(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145024
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057245
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀久
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA03
5D208CB06
5D208CC06
5D208CG10
(57)【要約】
【課題】歌唱区間を登録したカラオケ楽曲とバージョンの異なるカラオケ楽曲での歌唱区間の演奏で利用者に掛かる負担を抑制する。
【解決手段】カラオケ装置1は、楽曲データ記憶部15と、歌唱区間データ記憶部16と、利用者IDと第1楽曲IDと第1歌唱区間とを含む第1歌唱区間データの記憶を判定する第1判定部21と、第1楽曲とバージョンの異なる第2楽曲の第2楽曲データを取得する楽曲データ取得部22と、第2楽曲IDと利用者IDと第2歌唱区間とを含む第2歌唱区間データの記憶を判定する第2判定部23と、第2歌唱区間の第2文字列を第2歌詞データから取得する歌詞データ取得部24と、第2文字列と一致する第1文字列が第1歌詞データに含まれているか判定する第3判定部25と、第1文字列と一致する第1楽曲の歌唱区間を特定する特定部26と、第1楽曲データに基づいて歌唱区間をカラオケ演奏する演奏部12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲の楽曲識別情報、歌詞データ及び演奏データを含む楽曲データを記憶する楽曲データ記憶部と、
利用者の利用者識別情報と、楽曲の楽曲識別情報と、当該利用者が当該楽曲の一部を歌唱するための歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データを記憶する歌唱区間データ記憶部と、
一の前記利用者が前記楽曲として第1楽曲を予約した場合、一の前記利用者の一の前記利用者識別情報と、前記第1楽曲の前記楽曲識別情報である第1楽曲識別情報と、前記歌唱区間として第1歌唱区間とを対応付けて含む前記歌唱区間データである第1歌唱区間データが前記歌唱区間データ記憶部に記憶されているか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部で前記第1歌唱区間データが記憶されていないと判定された場合、前記第1楽曲とバージョンの異なる前記楽曲である第2楽曲の前記楽曲データである第2楽曲データを前記楽曲データ記憶部から取得する楽曲データ取得部と、
前記楽曲データ取得部で取得した前記第2楽曲の前記楽曲識別情報である第2楽曲識別情報と、一の前記利用者識別情報と、前記歌唱区間として第2歌唱区間とを対応付けて含む前記歌唱区間データである第2歌唱区間データが前記歌唱区間データ記憶部に記憶されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部で前記第2歌唱区間データが記憶されていると判定された場合、当該第2歌唱区間データの前記第2歌唱区間における歌詞文字列である第2文字列を、前記楽曲データ取得部で取得した前記第2楽曲データの前記歌詞データである第2歌詞データから取得する歌詞データ取得部と、
前記歌詞データ取得部により取得された前記第2文字列と一致する歌詞文字列である第1文字列が、前記第1楽曲の前記楽曲データである第1楽曲データの前記歌詞データである第1歌詞データに含まれているか否かを判定する第3判定部と、
前記第3判定部で前記第1文字列が含まれていると判定された場合、前記第1楽曲の前記第1楽曲データの前記第1歌詞データにおける前記第1文字列と一致する区間を、前記第1楽曲の前記歌唱区間として特定する特定部と、
前記特定部で特定した前記歌唱区間を、前記第1楽曲の前記第1楽曲データに基づいてカラオケ演奏する演奏部と、
を備えることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記歌唱区間データの前記歌唱区間は歌唱開始位置及び歌唱終了位置からなり、前記歌唱開始位置及び前記歌唱終了位置は、当該歌唱区間データの前記楽曲識別情報に対応する前記楽曲データの前記歌詞データにおける先頭文字からの文字順で設定され、
前記歌詞データ取得部は、前記第2楽曲の前記第2歌唱区間データの前記第2歌唱区間における歌唱開始位置から歌唱終了位置までの歌詞文字列である前記第2文字列を、前記第2楽曲の前記第2楽曲データの前記第2歌詞データから取得し、
前記特定部は、前記第1楽曲の前記第1楽曲データの前記第1歌詞データにおける前記第1文字列と一致する歌詞文字列の先頭文字及び末尾文字を、前記第1楽曲の前記第1楽曲データの前記第1歌詞データの先頭文字からの文字順でそれぞれ特定することで、前記第1楽曲の前記歌唱区間を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記特定部で特定した前記歌唱区間を前記第1歌唱区間として、一の前記利用者の一の前記利用者識別情報と、前記第1楽曲の前記第1楽曲識別情報とに対応付けて含む前記第1歌唱区間データを記憶するか否かを受け付ける受付部と、
前記受付部にて前記第1歌唱区間データを記憶すると受け付けた場合、一の前記利用者識別情報と、前記第1楽曲識別情報と、前記特定部で特定した前記第1歌唱区間とを対応付けて含む前記第1歌唱区間データを前記歌唱区間データ記憶部に記憶する記憶制御部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置には、楽曲をカラオケ演奏する際に、利用者が歌い始めたい部分から演奏開始させるための早送り機能や早戻し機能、歌い終えたい部分で演奏終了させるための演奏中止機能等を有するものがある。
【0003】
また、近年では、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータによって定額課金サービスや動画共有サービスを利用する利用者は手軽に音楽を楽しめるようになっているところ、楽曲中の自分の好きな部分だけを楽しむ利用者も増加している。そのような利用者がカラオケを利用する際に、楽曲の中で自分の好きな部分だけのカラオケ歌唱を楽しむ場合には、カラオケ歌唱を所望する一部の歌唱区間を演奏させるために、早送りや演奏中止等の操作がカラオケ歌唱の度に必要となる。
【0004】
あるいは、カラオケ歌唱を所望する歌唱区間を演奏させるために、例えば、特許文献1によれば、カラオケ装置は、所定の入力装置による入力操作に応じて、対象となる演奏曲の中途における位置を指定する位置指定手段と、位置指定手段により指定された指定位置を対象となる演奏曲の情報と関連付けて所定の記憶装置に登録する登録手段と、登録手段により登録された対象となる演奏曲の情報及び指定位置を記憶装置から読み出す読出手段と、読出手段により読み出された対象となる演奏曲の出力に際して、演奏曲の情報と関連付けられて登録された指定位置を演奏開始位置として演奏曲の出力を行う演奏制御手段と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カラオケ利用者の嗜好の多様化に対応するために、カラオケ事業者は同じ楽曲に対して複数のバージョンのカラオケ楽曲を用意している。例えば、MP3データやMIDIデータ等のデータ形式の異なるカラオケ楽曲、ジャズ調やロック調等の編曲の異なるカラオケ楽曲、歌唱アーティストの違いによりアレンジの異なるカラオケ楽曲、尺の短いテレビの主題歌バージョン等の尺の異なるカラオケ楽曲等をカラオケ装置に用意している。
【0007】
しかしながら、従来技術では、一のカラオケ楽曲においてカラオケ歌唱を所望する一部の歌唱区間を登録していても、当該一のカラオケ楽曲とバージョンの異なる他のカラオケ楽曲で自分の好きな部分だけのカラオケ歌唱を楽しむ場合には、当該他のカラオケ楽曲においても同様に、カラオケ歌唱を所望する歌唱区間を登録しなければならない。このように、バージョンの異なる複数のカラオケ楽曲毎に所望の歌唱区間の指定や登録を行う必要があり、煩わしい指定操作や登録操作の負担が利用者に生じてしまう。
【0008】
本発明の目的は、歌唱区間を登録したカラオケ楽曲とバージョンの異なるカラオケ楽曲において同様の歌唱区間を演奏する際に利用者に掛かる負担を抑制することができるカラオケ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のカラオケ装置は、楽曲の楽曲識別情報、歌詞データ及び演奏データを含む楽曲データを記憶する楽曲データ記憶部と、利用者の利用者識別情報と、楽曲の楽曲識別情報と、当該利用者が当該楽曲の一部を歌唱するための歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データを記憶する歌唱区間データ記憶部と、一の前記利用者が前記楽曲として第1楽曲を予約した場合、一の前記利用者の一の前記利用者識別情報と、前記第1楽曲の前記楽曲識別情報である第1楽曲識別情報と、前記歌唱区間として第1歌唱区間とを対応付けて含む前記歌唱区間データである第1歌唱区間データが前記歌唱区間データ記憶部に記憶されているか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部で前記第1歌唱区間データが記憶されていないと判定された場合、前記第1楽曲とバージョンの異なる前記楽曲である第2楽曲の前記楽曲データである第2楽曲データを前記楽曲データ記憶部から取得する楽曲データ取得部と、前記楽曲データ取得部で取得した前記第2楽曲の前記楽曲識別情報である第2楽曲識別情報と、一の前記利用者識別情報と、前記歌唱区間として第2歌唱区間とを対応付けて含む前記歌唱区間データである第2歌唱区間データが前記歌唱区間データ記憶部に記憶されているか否かを判定する第2判定部と、前記第2判定部で前記第2歌唱区間データが記憶されていると判定された場合、当該第2歌唱区間データの前記第2歌唱区間における歌詞文字列である第2文字列を、前記楽曲データ取得部で取得した前記第2楽曲データの前記歌詞データである第2歌詞データから取得する歌詞データ取得部と、前記歌詞データ取得部により取得された前記第2文字列と一致する歌詞文字列である第1文字列が、前記第1楽曲の前記楽曲データである第1楽曲データの前記歌詞データである第1歌詞データに含まれているか否かを判定する第3判定部と、前記第3判定部で前記第1文字列が含まれていると判定された場合、前記第1楽曲の前記第1楽曲データの前記第1歌詞データにおける前記第1文字列と一致する区間を、前記第1楽曲の前記歌唱区間として特定する特定部と、前記特定部で特定した前記歌唱区間を、前記第1楽曲の前記第1楽曲データに基づいてカラオケ演奏する演奏部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、歌唱区間を登録したカラオケ楽曲とバージョンの異なるカラオケ楽曲において同様の歌唱区間を演奏する際に利用者に掛かる負担を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態のカラオケ装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態のカラオケ装置における楽曲データを示す表である。
【
図3】本発明の実施形態のカラオケ装置における歌詞データを示す表である。
【
図4】本発明の実施形態のカラオケ装置における歌唱旋律データを示す表である。
【
図5】本発明の実施形態のカラオケ装置における歌唱区間データを示す表である。
【
図6】本発明の実施形態のカラオケ装置における動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態のカラオケ装置の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[カラオケ装置]
以下、本発明の実施形態のカラオケ装置1について説明する。
図1は、本実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体2と、マイクロフォン3と、スピーカ4と、モニタ等の表示装置5と、リモコン装置6とを備えている。カラオケ装置1は、例えば、カラオケルーム等の設置場所に設置される。カラオケ装置1は、外部のサーバ装置(図示せず)と通信可能に接続されてカラオケシステムを構成してもよい。
【0013】
本実施形態では特に、カラオケ装置1は、予約されたカラオケ楽曲の通常のカラオケ演奏(カラオケ楽曲の全区間演奏のためのカラオケ楽曲の先頭からの演奏)を行う機能に加えて、利用者が楽曲の中で自分の好きな部分だけのカラオケ歌唱を楽しむために、カラオケ楽曲においてカラオケ歌唱を所望する一部の歌唱区間を登録する機能や、当該歌唱区間のカラオケ演奏(カラオケ楽曲の一部区間演奏)を行う機能を有する。更に、カラオケ装置1は、一のカラオケ楽曲(第1楽曲)とバージョンの異なる他のカラオケ楽曲(第2楽曲)における歌唱区間(第2歌唱区間)を判定する機能や、第1楽曲について第2歌唱区間と同様の歌唱区間を演奏する機能等を有する。
【0014】
カラオケ本体2は、有線又は無線によりマイクロフォン3、スピーカ4、表示装置5及びリモコン装置6と接続されている。マイクロフォン3は、利用者の歌唱音声を音声信号に変換してカラオケ本体2に入力する。スピーカ4は、カラオケ本体2からの放音信号に基づいて、利用者の歌唱音声や楽曲のカラオケ演奏を放音する。表示装置5は、カラオケ本体2からの映像信号等に基づいて様々な画面を表示し、例えば、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップを表示する。
【0015】
リモコン装置6は、タッチパネルを主体に構成されている。リモコン装置6は、各種画面や各種操作ボタンを有するGUI等をタッチパネルに操作可能に表示して、タッチパネルによってログイン操作や選曲操作を受け付けている。リモコン装置6とカラオケ本体2は無線通信を介してペアリングされることで、リモコン装置6とカラオケ本体2の間で各種情報が相互に送受信される。
【0016】
リモコン装置6は、利用者のログイン操作に応じて入力された利用者識別情報(利用者ID)及びパスワード等をカラオケ本体2へ送信して、利用者がカラオケ装置1にログインする。リモコン装置6は、利用者による自己の利用者IDの選択と、カラオケ楽曲の検索や選曲とを受け付けて、予約ボタンの操作に応じて、選択された利用者IDと選曲されたカラオケ楽曲の楽曲識別情報(楽曲ID)とを予約楽曲情報としてカラオケ本体2へ送信する。
【0017】
また、リモコン装置6は、カラオケ楽曲に対して、上記した歌唱区間を予め登録するための指定や登録を受け付けるように構成されてよく、例えば、歌唱区間の指定ボタンや登録ボタンを有して構成される。リモコン装置6は、指定ボタンの操作に応じて、カラオケ楽曲の中で歌唱区間の歌唱を開始する歌唱開始位置と、カラオケ楽曲の中で歌唱区間の歌唱を終了する歌唱終了位置の指定を受け付ける。リモコン装置6は、登録ボタンの操作に応じて、指定された歌唱開始位置及び歌唱終了位置からなる歌唱区間の登録を受け付ける。
【0018】
具体的には、リモコン装置6は、利用者によってカラオケ楽曲が選曲された後に、指定ボタンの操作に応じて当該カラオケ楽曲の歌詞を画面に表示し、当該画面において、歌唱区間の歌唱を開始する歌詞文字(歌唱開始文字)及び歌唱を終了する歌詞文字(歌唱終了文字)の指定を受け付ける。ここで、カラオケ楽曲の全歌詞において先頭文字から歌唱開始文字及び歌唱終了文字が何文字目であるかの情報(即ち、先頭文字からの文字順)をそれぞれ歌唱開始位置及び歌唱終了位置とする。そして、リモコン装置6は、利用者による自己の利用者IDの選択と登録ボタンの操作とに応じて、選択された利用者IDと、選曲したカラオケ楽曲の楽曲IDと、歌唱区間に指定した歌唱開始位置及び歌唱終了位置とをカラオケ本体2へ送信する。
【0019】
カラオケ本体2は、制御部10と、記憶部11と、演奏部12と、音声入出力部13とを備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等を有して構成され、カラオケ本体2を統括制御する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶媒体を有して構成され、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。
【0020】
例えば、記憶部11は、カラオケ装置1の各利用者の利用者IDを記憶して各利用者を識別している。制御部10は、利用者のログイン操作に応じて入力された利用者ID及びパスワードをリモコン装置6から受信して、受信した利用者IDが記憶部11に記憶されていることを確認し、パスワードを認証することで、利用者のログインを受け付ける。これにより、利用者は、カラオケ装置1にログインする。なお、利用者ID及びパスワードはカラオケ装置1と通信可能に接続されたサーバ装置に記憶してもよい。
【0021】
記憶部11は、カラオケ装置1がカラオケ演奏可能な各カラオケ楽曲の楽曲データを記憶する楽曲データ記憶部15として機能する。楽曲データは、
図2に示すように、カラオケ楽曲の管理データ、歌詞データ、歌唱旋律データ、演奏データ及び背景映像データを含み、管理データは、楽曲の楽曲ID、曲名、歌手名、ジャンル等を含む。
【0022】
歌詞データは、カラオケ楽曲において利用者が歌唱すべき歌詞を表すデータであり、例えば、カラオケ楽曲の演奏中に表示装置5に表示される歌詞テロップの元になるデータである。歌詞データでは、
図3に示すように、タイミングデータとイベントデータとが対応付けられる。イベントデータは、歌詞を表す文字が書き込まれたデータであり、タイミングデータは、対応するイベントデータの文字を表示装置5において色替えするタイミングを示すデータである。
【0023】
歌唱旋律データは、カラオケ楽曲において利用者が歌唱すべき旋律を表すデータであり、例えば、MIDIデータで構成される。歌唱旋律データでは、
図4に示すように、タイミングデータとイベントデータとが対応付けられる。イベントデータは、楽音の発音や消音の指示や、発音する音高、発音する音強などを示すデータであり、タイミングデータは、イベントデータを実行するタイミングを示すデータである。
【0024】
演奏データは、カラオケ演奏の伴奏音を表すデータであり、例えば、MIDIデータで構成される。背景映像データは、カラオケ楽曲の演奏中に表示装置5に表示される背景映像を表すデータである。
【0025】
記憶部11は、リモコン装置6から送信されたカラオケ楽曲の予約楽曲情報を順に登録するための予約リストを記憶している。
【0026】
記憶部11は、利用者がカラオケ楽曲においてカラオケ歌唱を所望する一部の歌唱区間について歌唱区間データを記憶する歌唱区間データ記憶部16として機能する。歌唱区間データは、
図5に示すように、歌唱区間を登録した利用者の利用者IDと、登録した歌唱区間の元となるカラオケ楽曲の楽曲IDと、当該歌唱区間とを対応付けて含み、歌唱区間は、歌唱開始位置及び歌唱終了位置を含む。
【0027】
例えば、歌唱開始位置及び歌唱終了位置は、上記したように、歌唱区間データの楽曲IDに対応する楽曲データ(即ち、歌唱区間の元となるカラオケ楽曲の楽曲データ)の歌詞データにおいて、歌唱区間の歌唱を開始する歌詞文字(歌唱開始文字)の情報及び歌唱区間の歌唱を終了する歌詞文字(歌唱終了文字)の情報であり、例えば、先頭文字から何文字目であるかの情報(即ち、先頭文字からの文字順)である。
【0028】
具体的には、
図5では、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と楽曲X2の楽曲ID「ID****X2」とに対応付けられている歌唱区間が、歌詞データの先頭文字から128番目の歌詞文字を歌唱開始文字として指定された歌唱開始位置と、歌詞データの先頭文字から152番目の歌詞文字を歌唱終了文字として指定された歌唱終了位置とを含む歌唱区間データの例を1行目に示す。また、
図5では、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と楽曲X6の楽曲ID「ID****X6」とに対応付けられている歌唱区間が、歌詞データの先頭文字から1番目の歌詞文字を歌唱開始文字として指定された歌唱開始位置と、歌詞データの先頭文字から36番目の歌詞文字を歌唱終了文字として指定された歌唱終了位置とを含む歌唱区間データの例を2行目に示す。また、
図5では、利用者U2の利用者ID「ID****U2」と楽曲X1の楽曲ID「ID****X1」とに対応付けられている歌唱区間が、歌詞データの先頭文字から24番目の歌詞文字を歌唱開始文字として指定された歌唱開始位置と、歌詞データの先頭文字から63番目の歌詞文字を歌唱終了文字として指定された歌唱終了位置とを含む歌唱区間データの例を3行目に示す。
【0029】
演奏部12は、例えば、MIDI音源等の音源を備えて構成され、記憶部11の予約リストに予約されたカラオケ楽曲の登録順に、対応する楽曲データを記憶部11から読み出して、楽曲データの演奏データに基づいてカラオケ演奏信号を生成するカラオケ演奏手段である。演奏部12は、生成したカラオケ演奏信号を、音声入出力部13を介してスピーカ4へ出力する。
【0030】
音声入出力部13は、マイクロフォン3に接続されていて、マイクロフォン3を用いて歌唱した歌唱音声信号を入力する。音声入出力部13は、スピーカ4に接続されていて、カラオケ演奏のカラオケ演奏信号やカラオケ歌唱の歌唱音声信号をスピーカ4へ出力する。また、音声入出力部13は、ミキサ(デジタルミキサ)やアンプ等を備え、カラオケ演奏信号や歌唱音声信号をミキシングし、このミキシング信号を放音するために増幅する。
【0031】
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御する。例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、登録部20、第1判定部21、楽曲データ取得部22、第2判定部23、歌詞データ取得部24、第3判定部25、特定部26及び演奏制御部27として動作する。これにより、制御部10は、上記した通常のカラオケ演奏を行う機能に加えて、歌唱区間を登録する機能、歌唱区間のカラオケ演奏を行う機能を実現し、更に、一のカラオケ楽曲(第1楽曲)とバージョンの異なる他のカラオケ楽曲(第2楽曲)における歌唱区間(第2歌唱区間)を判定する機能や、第1楽曲について第2歌唱区間と同様の歌唱区間を演奏する機能等を実現する。
【0032】
登録部20は、カラオケ装置1にログインした利用者が予約したカラオケ楽曲に対して、当該利用者の操作に応じて、当該カラオケ楽曲の中の一部の歌唱区間の指定を受け付けて当該歌唱区間を登録して、歌唱区間データとして記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶する。
【0033】
例えば、登録部20は、リモコン装置6から、利用者IDと、楽曲IDと、歌唱区間の歌唱開始位置及び歌唱終了位置とを受信すると、当該利用者IDと、当該楽曲IDと、当該歌唱開始位置及び当該歌唱終了位置からなる歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データを歌唱区間データ記憶部16(記憶部11)に記憶する。
【0034】
具体的には、利用者U0が動画サイトでよく視聴している楽曲X0の一部分(例えば1番のBメロとサビ)を歌唱するために、リモコン装置6によってカラオケ楽曲X0の歌詞の中から所定の歌唱開始文字(歌唱開始位置)及び所定の歌唱終了文字(歌唱終了位置)を指定して歌唱区間を登録する。登録部20は、歌詞データにおいて先頭文字から歌唱開始文字及び歌唱終了文字が何文字目であるかの情報(即ち、先頭文字からの文字順)をそれぞれ歌唱開始位置及び歌唱終了位置として歌唱区間を登録する。この場合、登録部20は、リモコン装置6から、利用者U0の利用者ID「ID****U0」と、楽曲X0の楽曲ID「ID****X0」と、指定された歌唱開始位置及び歌唱終了位置からなる歌唱区間とを受信して、これらを対応付けて含む歌唱区間データを歌唱区間データ記憶部16に記憶する。
【0035】
なお、登録部20は、歌唱開始文字から歌唱終了文字までの歌唱区間の文字数が、所定の最小文字数以上であることを条件として、当該歌唱区間を含む歌唱区間データを記憶するようにしてもよい。
【0036】
第1判定部21は、リモコン装置6から受信した所定のカラオケ楽曲(第1楽曲)の楽曲IDと、当該カラオケ楽曲を選曲した利用者の利用者IDが予約リストに登録され、当該カラオケ楽曲の演奏開始のタイミングが到来すると、当該利用者の利用者IDと、当該カラオケ楽曲(第1楽曲)の楽曲ID(第1楽曲識別情報:第1楽曲ID)と、所定の歌唱区間(第1歌唱区間)とを対応付けて含む歌唱区間データ(第1歌唱区間データ)が、記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する。換言すれば、第1判定部21は、予約されたカラオケ楽曲(第1楽曲)について、歌唱区間データ記憶部16に歌唱区間データ(第1歌唱区間データ)が登録されているか否かを判定する。
【0037】
例えば、利用者U1がリモコン装置6を操作して自己の利用者IDを選択し、カラオケ楽曲X1を選曲して予約した場合、第1判定部21は、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と、カラオケ楽曲X1の楽曲ID「ID****X1」と、歌唱区間とが対応付けられた歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する。具体的には、第1判定部21は、利用者ID「ID****U1」と楽曲ID「ID****X1」との組み合わせを、歌唱区間データ記憶部16から検索してヒットしたか否かで判定する。
【0038】
楽曲データ取得部22は、予約されたカラオケ楽曲(第1楽曲)について第1判定部21によって歌唱区間データ(第1歌唱区間データ)が記憶されていないと判定された場合、第1楽曲と同じ楽曲であってバージョンの異なる他のカラオケ楽曲(第2楽曲)の楽曲データ(第2楽曲データ)を記憶部11の楽曲データ記憶部15から検索して取得する。なお、楽曲データ取得部22は、第1楽曲X1とバージョンの異なる複数の他のカラオケ楽曲を検索して取得してもよい。
【0039】
例えば、楽曲データ取得部22は、第1楽曲X1と曲名が同一である他のカラオケ楽曲や、第1楽曲X1と同一の曲名に「ボサノババージョン」等のバージョン名が付されている他のカラオケ楽曲、バージョン名を付された第1楽曲X1の曲名からバージョン名を除いたものと曲名が同一である他のカラオケ楽曲を、バージョンの異なる第2楽曲X2として取得する。バージョン名は、曲名の前方又は後方の何れに付されていてもよい。なお、楽曲データが曲名の読み仮名を含んでいて、読み仮名にはバージョン名を除いた曲名が設定される場合には、楽曲データ取得部22は、第1楽曲X1と曲名の読み仮名が同一である他のカラオケ楽曲を、バージョンの異なる第2楽曲X2としてよい。楽曲データ取得部22は、第1楽曲X1と曲名が同一であることに加えて、作詞者及び作曲者が同一であることを条件として、第1楽曲と同じ楽曲であってバージョンの異なる他のカラオケ楽曲(第2楽曲)であると判定するとよい。
【0040】
第2判定部23は、予約された第1楽曲とバージョンの異なる第2楽曲を楽曲データ取得部22によって取得した場合、当該第2楽曲の楽曲ID(第2楽曲識別情報:第2楽曲ID)と、第1楽曲を予約した利用者の利用者IDと、所定の歌唱区間(第2歌唱区間)とを対応付けて含む歌唱区間データ(第2歌唱区間データ)が、記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する。
【0041】
例えば、第2判定部23は、楽曲データ取得部22で取得した第2楽曲X2の第2楽曲ID「ID****X2」と、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と、第2歌唱区間とが対応付けられた第2歌唱区間データが、歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する。具体的には、第2判定部23は、利用者ID「ID****U1」と第2楽曲ID「ID****X2」との組み合わせを、歌唱区間データ記憶部16から検索してヒットしたか否かで判定する。
【0042】
なお、第1楽曲とバージョンの異なる複数のカラオケ楽曲が楽曲データ取得部22で取得されることがある。この場合、第2判定部23は、順次、各カラオケ楽曲の楽曲IDと利用者の利用者IDとの組み合わせを歌唱区間データ記憶部16から検索して最初にヒットした組み合わせを選択してもよい。あるいは、第2判定部23は、カラオケ楽曲の楽曲IDと利用者の利用者IDとの全ての組み合わせを歌唱区間データ記憶部16から検索して複数の組み合わせがヒットした場合には、何れか1つの組み合わせをランダムに選択してもよい。そして、第2判定部23は、選択した組み合わせに対応する第2歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されていると判定する。
【0043】
歌詞データ取得部24は、第2判定部23によって第2楽曲の第2歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されていると判定された場合、楽曲データ取得部22によって取得した第2楽曲の第2楽曲データの歌詞データ(第2歌詞データ)から、当該第2歌唱区間データの第2歌唱区間における歌詞文字列(第2文字列)を取得する。
【0044】
例えば、第2判定部23によって利用者ID「ID****U1」と楽曲ID「ID****X2」との組み合わせの第2歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されていると判定された場合、歌詞データ取得部24は、当該第2歌唱区間データの第2歌唱区間における歌詞文字列を、楽曲データ取得部22で取得した第2楽曲X2の第2楽曲データの歌詞データから取得する。
【0045】
具体的には、第2判定部23によって、利用者ID「ID****U1」と楽曲ID「ID****X2」との組み合わせに基づいて、
図5のような歌唱区間データ記憶部16に第2歌唱区間データが記憶されていると判定される。この場合、歌詞データ取得部24は、当該第2歌唱区間データの第2歌唱区間の歌唱開始位置「128」及び歌唱終了位置「152」に基づいて、第2楽曲X2の歌詞データの先頭文字から128番目と152番目との間に含まれる歌詞文字列「あいうえお…はひふへほ」を、第2歌唱区間における第2文字列として取得する。
【0046】
第3判定部25は、歌詞データ取得部24によって取得された第2文字列と一致する歌詞文字列(第1文字列)が、予約された第1楽曲の第1楽曲データの歌詞データ(第1歌詞データ)に含まれているか否かを判定する。
【0047】
例えば、歌詞データ取得部24によって、第2歌唱区間の第2文字列「あいうえお…はひふへほ」が取得されると、第3判定部25は、当該第2文字列と一致する歌詞文字列(第1文字列)が、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれているか否かを判定する。
【0048】
具体的には、第3判定部25は、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データの各歌詞文字を先頭文字から順に読み出して、歌詞データ取得部24によって取得した第2文字列の先頭文字「あ」と比較して一致するか否かをする。第1歌詞データの歌詞文字と第2文字列の先頭文字「あ」とが一致した場合、第3判定部25は、第1歌詞データの次の歌詞文字と第2文字列の二番目の歌詞文字「い」とを比較して一致するか否かをする。そして、第1歌詞データの歌詞文字が第2文字列の最後の歌詞文字「ほ」まで全て連続して一致していた場合、第3判定部25は、第2歌唱区間の第2文字列と一致する第1文字列が第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれていると判定する。
【0049】
なお、第2歌唱区間データの第2歌唱区間に第2楽曲X2における3番のサビ部分の歌詞が記憶されていて、第1楽曲X1がテレビサイズバージョンで1番のみを歌唱する構成である場合には、第1楽曲の第1歌詞データに、第2歌唱区間の第2文字列と一致する歌詞が存在しないことになる。この場合、第3判定部25は、第2歌唱区間の第2文字列が第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれていないと判定する。
【0050】
特定部26は、第3判定部25によって、第2歌唱区間の第2文字列と一致する第1文字列が第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれていると判定された場合、第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データにおいて第1文字列と一致する区間を、第1楽曲の歌唱区間として特定する。
【0051】
例えば、第3判定部25によって、第2文字列「あいうえお…はひふへほ」と一致する第1文字列「あいうえお…はひふへほ」が第1楽曲の第1歌詞データに含まれていると判定された場合、特定部26は、第1歌詞データにおいて第1文字列「あいうえお…はひふへほ」と一致する区間を、第1楽曲の歌唱区間として特定する。
【0052】
具体的には、特定部26は、第2歌唱区間の第2文字列の先頭文字「あ」及び末尾文字「ほ」が、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データの全歌詞において先頭文字から何文字目の歌詞文字と一致するかを特定することで、第2歌唱区間と一致する第1楽曲X1の歌唱区間を特定する。例えば、特定部26は、第2文字列の先頭文字「あ」及び末尾文字「ほ」が、第1楽曲X1の第1歌詞データの先頭文字から98番目の歌詞文字及び122番目の歌詞文字とそれぞれ一致することを特定すると、第1楽曲X1の歌唱区間の歌唱開始位置「98」及び歌唱終了位置「122」をそれぞれ特定する。
【0053】
演奏制御部27は、予約された第1楽曲について特定部26によって第1楽曲の歌唱区間が特定された場合、第1楽曲の第1楽曲データに基づいて、当該特定された歌唱区間をカラオケ演奏するように演奏部12を制御する。
【0054】
例えば、演奏制御部27は、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データの先頭文字から数えて、第1楽曲X1の歌唱区間の歌唱開始位置から歌唱終了位置までの区間に対応する、第1楽曲X1の第1楽曲データの演奏データに基づいてカラオケ演奏するように演奏部12を制御する。具体的には、演奏制御部27は、第1楽曲X1の歌唱区間が歌唱開始位置「98」及び歌唱終了位置「122」からなる場合、第1歌詞データの先頭文字から数えて、98文字目から122文字目までの区間に対応する第1楽曲データの演奏データに基づいてカラオケ演奏させる。
【0055】
なお、演奏制御部27は、予約された第1楽曲について、第1判定部21によって記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に第1歌唱区間データが登録されていると判定した場合には、第1楽曲の第1楽曲データに基づいて、当該第1歌唱区間データの第1歌唱区間をカラオケ演奏するように演奏部12を制御する。
【0056】
また、演奏制御部27は、楽曲データ取得部22によって、バージョンの異なる第2楽曲が記憶部11の楽曲データ記憶部15から取得されなかった場合には、予約された第1楽曲の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する。
【0057】
また、演奏制御部27は、第2判定部23によって、バージョンの異なる第2楽曲に対応する第2歌唱区間データが記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶されていないと判定した場合にも、予約された第1楽曲の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する。
【0058】
また、演奏制御部27は、第3判定部25によって、バージョンの異なる第2楽曲の第2歌唱区間の第2文字列と一致する歌詞文字列が、予約された第1楽曲の第1楽曲データの歌詞データに含まれていないと判定した場合にも、第1楽曲の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する。
【0059】
[本実施形態の動作例]
次に、本実施形態のカラオケ装置1の動作例について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
先ず、カラオケ装置1において、利用者U1がリモコン装置6によって自己の利用者IDを選択して第1楽曲X1を予約すると(ステップS1)、第1楽曲X1の第1楽曲IDと利用者U1の利用者IDとがカラオケ本体2に送信される。
【0061】
カラオケ本体2の制御部10では、第1判定部21は、利用者U1の利用者IDと第1楽曲X1の第1楽曲IDと第1歌唱区間とを対応付けて含む第1歌唱区間データが、記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に既に記憶されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0062】
ここで、第1歌唱区間データが記憶されている場合(ステップS2:Yes)、制御部10(例えば、特定部26)によって、当該第1歌唱区間データの第1歌唱区間が第1楽曲X1のカラオケ演奏の歌唱区間として特定され(ステップS3)、演奏制御部27は、予約された第1楽曲X1の第1楽曲データに基づいて、当該特定された第1歌唱区間をカラオケ演奏するように演奏部12を制御する(ステップS4)。
【0063】
一方、第1歌唱区間データが記憶されていない場合(ステップS2:No)、楽曲データ取得部22は、予約された第1楽曲X1と同じ楽曲であってバージョンの異なる第2楽曲の第2楽曲データを記憶部11の楽曲データ記憶部15から取得する(ステップS5)。
【0064】
バージョンの異なる第2楽曲を取得できない場合(ステップS5:No)、演奏制御部27は、予約された第1楽曲X1の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する(ステップS6)。
【0065】
一方、バージョンの異なる第2楽曲を取得できた場合(ステップS5:Yes)、第2判定部23は、取得した第2楽曲X1の第2楽曲IDと、利用者U1の利用者IDと、所定の第2歌唱区間とを対応付けて含む第2歌唱区間データが、記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する(ステップS7)。
【0066】
ここで、第2歌唱区間データが記憶されていない場合(ステップS7:No)、演奏制御部27は、予約された第1楽曲X1の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する(ステップS6)。
【0067】
一方、第2歌唱区間データが記憶されている場合(ステップS7:Yes)、歌詞データ取得部24は、第2楽曲X2の第2楽曲データの第2歌詞データから、当該第2歌唱区間データの第2歌唱区間における第2文字列を取得する(ステップS8)。
【0068】
次に、第3判定部25は、第2歌唱区間の第2文字列と一致する第1文字列が、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれているか否かを判定する(ステップS9)。
【0069】
ここで、第2文字列と一致する第1文字列が第1歌詞データに含まれていない場合(ステップS9:No)、演奏制御部27は、予約された第1楽曲X1の第1楽曲データに基づいて通常のカラオケ演奏を行うように演奏部12を制御する(ステップS6)。
【0070】
一方、第2文字列と一致する第1文字列が第1歌詞データに含まれている場合(ステップS9:Yes)、特定部26は、第1楽曲X1の第1楽曲データの第1歌詞データにおいて第1文字列と一致する区間を、第1楽曲X1の歌唱区間として特定する(ステップS10)。
【0071】
そして、演奏制御部27は、予約された第1楽曲X1の第1楽曲データに基づいて、当該特定された歌唱区間をカラオケ演奏するように演奏部12を制御する(ステップS4)。
【0072】
上記したように、本発明の実施形態によれば、カラオケ装置1は、楽曲の楽曲識別情報、歌詞データ及び演奏データを含む楽曲データを記憶する楽曲データ記憶部15と、利用者の利用者識別情報(利用者ID)と、楽曲の楽曲識別情報(楽曲ID)と、当該利用者が当該楽曲の一部を歌唱するための歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データを記憶する歌唱区間データ記憶部16と、一の利用者が楽曲として第1楽曲を予約した場合、一の利用者の一の利用者IDと、第1楽曲の楽曲IDである第1楽曲ID(第1楽曲識別情報)と、歌唱区間として第1歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データである第1歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する第1判定部21と、第1判定部21で第1歌唱区間データが記憶されていないと判定された場合、第1楽曲とバージョンの異なる楽曲である第2楽曲の楽曲データである第2楽曲データを楽曲データ記憶部15から取得する楽曲データ取得部22と、楽曲データ取得部22で取得した第2楽曲の楽曲IDである第2楽曲ID(第2楽曲識別情報)と、一の利用者IDと、歌唱区間として第2歌唱区間とを対応付けて含む歌唱区間データである第2歌唱区間データが歌唱区間データ記憶部16に記憶されているか否かを判定する第2判定部23と、第2判定部23で第2歌唱区間データが記憶されていると判定された場合、当該第2歌唱区間データの第2歌唱区間における歌詞文字列である第2文字列を、楽曲データ取得部22で取得した第2楽曲データの歌詞データである第2歌詞データから取得する歌詞データ取得部24と、歌詞データ取得部24により取得された第2文字列と一致する歌詞文字列である第1文字列が、第1楽曲の楽曲データである第1楽曲データの歌詞データである第1歌詞データに含まれているか否かを判定する第3判定部25と、第3判定部25で第1文字列が含まれていると判定された場合、第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データにおける第1文字列と一致する区間を、第1楽曲の歌唱区間として特定する特定部26と、特定部26で特定した歌唱区間を、第1楽曲の第1楽曲データに基づいてカラオケ演奏する演奏部12と、を備える。
【0073】
これにより、本発明のカラオケ装置1では、一のカラオケ楽曲とバージョンの異なる他のカラオケ楽曲に歌唱区間が登録されている場合には、当該一のカラオケ楽曲に対して歌唱区間の指定操作をすることなく、他のカラオケ楽曲と同様の歌唱区間のカラオケ演奏をすることができるので、利用者に掛かる負担を抑制することができる。このように、本発明のカラオケ装置1では、利用者は、歌唱区間の登録されたカラオケ楽曲とバージョンの異なるカラオケ楽曲を歌唱する場合であっても、煩わしい操作を必要とすることなく、登録された歌唱区間に対応する部分のみを歌唱することができる。
【0074】
また、本実施形態のカラオケ装置1では、歌唱区間データの歌唱区間は歌唱開始位置及び歌唱終了位置からなり、歌唱開始位置及び歌唱終了位置は、当該歌唱区間データの楽曲IDに対応する楽曲データの歌詞データにおける先頭文字からの文字順で設定され、歌詞データ取得部24は、第2楽曲の第2歌唱区間データの第2歌唱区間における歌唱開始位置から歌唱終了位置までの歌詞文字列である第2文字列を、第2楽曲の第2楽曲データの第2歌詞データから取得し、特定部26は、第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データにおける第1文字列と一致する歌詞文字列の先頭文字及び末尾文字を、第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データの先頭文字からの文字順でそれぞれ特定することで、第1楽曲の歌唱区間を特定する。
【0075】
これにより、カラオケ装置1では、予約された第1楽曲とバージョンの異なる第2楽曲に第2歌唱区間データが登録されている場合に、第2歌唱区間データの第2歌唱区間の第2文字列に対応する歌詞文字列が、第1楽曲の第1楽曲データの第1歌詞データに含まれているか否かを、より確実に判定することができる。
[変形例]
【0076】
また、上記した実施形態のカラオケ装置1は、変形例として、特定部26によって特定された第1楽曲X1の歌唱区間を歌唱した利用者U1に対して、当該歌唱区間を第1楽曲X1の第1歌唱区間とする第1歌唱区間データとして記憶(登録)するか否かを問い合わせて、記憶するとの回答があった場合に、第1楽曲X1と利用者U1と第1歌唱区間との組み合わせを第1歌唱区間データとして記憶(登録)してもよい。
【0077】
変形例では、制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、上記した登録部20、第1判定部21、楽曲データ取得部22、第2判定部23、歌詞データ取得部24、第3判定部25、特定部26及び演奏制御部27に加えて、
図7に示すように、受付部28及び記憶制御部29として動作する。これにより、制御部10は、特定された歌唱区間を第1歌唱区間データとした記憶の問い合わせを受け付ける機能や、問い合わせに応じて第1歌唱区間データを記憶する機能等を実現する。
【0078】
受付部28は、特定部26で特定された第1楽曲の歌唱区間を第1歌唱区間として、当該第1楽曲を予約した利用者の利用者IDと、当該第1楽曲の第1楽曲IDとに対応付けて含む第1歌唱区間データを記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶するか否かを受け付ける。
【0079】
例えば、受付部28は、利用者U1が予約した第1楽曲X1について、特定部26によって特定された歌唱区間を第1歌唱区間として、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と、第1楽曲X1の楽曲ID「ID****X1」とに対応付けて含む第1歌唱区間データを記憶するか否かを受け付ける。
【0080】
具体的には、受付部28は、第1楽曲X1の歌唱区間のカラオケ演奏が終了した後に、「利用者U1さん、歌唱した楽曲X1の歌唱区間を記憶しますか?」等の問い合わせ文と「はい」及び「いいえ」の選択肢とを有する画面を表示装置5に表示して、受付部28は、利用者U1による当該画面における「はい」又は「いいえ」の選択肢の選択をリモコン装置6によって受け付けることで、第1歌唱区間データを記憶するか否かを受け付ける。
【0081】
記憶制御部29は、受付部28によって第1楽曲について第1歌唱区間データを記憶すると受け付けた場合に、当該第1楽曲を予約した利用者の利用者IDと、当該第1楽曲の第1楽曲IDと、特定部26によって特定された第1歌唱区間とを対応付けて含む第1歌唱区間データを記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶する。例えば、記憶制御部29は、利用者U1の利用者ID「ID****U1」と、第1楽曲X1の楽曲ID「ID****X1」と、特定された第1歌唱区間とを対応付けて含む第1歌唱区間データを歌唱区間データ記憶部16に記憶する。
【0082】
上記した変形例によれば、一のカラオケ楽曲とバージョンの異なる他のカラオケ楽曲に歌唱区間が登録されている場合には、当該一のカラオケ楽曲に対して歌唱区間の登録操作をすることなく、他のカラオケ楽曲と同様の歌唱区間を登録することができるので、利用者に掛かる負担を抑制することができる。
【0083】
なお、上記した実施形態では、カラオケ装置1の登録部20が、カラオケ楽曲に対して歌唱区間を予め登録するために、リモコン装置6の指定ボタンや登録ボタンを利用する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0084】
他の例では、登録部20は、カラオケ楽曲のカラオケ演奏中におけるマイクロフォン3を介した音声入力に応じて、カラオケ楽曲に対して歌唱区間を指定して予め登録してもよい。例えば、登録部20は、カラオケ楽曲のカラオケ演奏を開始した後、カラオケ歌唱の開始を所望する演奏位置までの早送り操作や早戻し操作をリモコン装置6等によって受け付ける。そして、登録部20は、当該演奏位置からカラオケ楽曲のカラオケ演奏を開始して、当該カラオケ楽曲のカラオケ演奏が終了するまで、又は演奏中止の操作が行われるまでの間に、マイクロフォン3を介した音声入力のあった区間を検出し、当該区間における先頭の歌詞文字から末尾の歌詞文字までを歌唱区間として指定してもよい
。
【0085】
あるいは、他の例において、登録部20は、演奏位置からカラオケ楽曲のカラオケ演奏を開始して、当該カラオケ楽曲のカラオケ演奏が終了するまで、又は演奏中止の操作が行われるまでの間に、マイクロフォン3を介した音声入力に代えて、リモコン装置6の登録ボタン等の操作のあった区間を検出し、当該区間における先頭の歌詞文字から末尾の歌詞文字までを歌唱区間として指定してもよい
。
【0086】
なお、上記した実施形態では、カラオケ装置1の演奏制御部27が、特定部26によって特定された第1楽曲X1の歌唱区間や、予め登録された第1楽曲X1の第1歌唱区間データの第1歌唱区間について、歌唱開始位置から歌唱終了位置までの区間に対応する、第1楽曲X1の第1楽曲データの演奏データに基づいてカラオケ演奏するように演奏部12を制御する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0087】
他の例では、演奏制御部27は、第1楽曲X1の第1楽曲データの演奏データに基づいて、歌唱開始位置の数秒前(例えば、5秒前)からフィードインでカラオケ演奏を開始するように演奏部12を制御してもよいし、また、歌唱終了位置から数秒後(例えば、5秒後)にフェードアウトでカラオケ演奏を終了するように演奏部12を制御してもよい。
【0088】
あるいは、他の例では、演奏制御部27は、第1楽曲X1の第1楽曲データの演奏データに基づいて、歌唱区間を含むAメロ、Bメロ、サビ等の区間を、当該区間の先頭から最後までカラオケ演奏するように演奏部12を制御してもよい。
【0089】
なお、上記した実施形態では、カラオケ装置1の登録部20及び記憶制御部29は、歌唱を開始する歌詞文字(歌唱開始文字)及び歌唱を終了する歌詞文字(歌唱終了文字)が、歌詞データの先頭文字から何文字目であるかの情報(即ち、先頭文字からの文字順)を、それぞれ歌唱区間の歌唱開始位置及び歌唱終了位置とする例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0090】
他の例では、登録部20及び記憶制御部29は、歌唱区間において歌唱を開始する位置の音符(歌唱開始音符)及び歌唱を終了する位置の音符(歌唱終了音符)が、楽曲データの歌唱旋律データの先頭音符から何音符目であるかの情報(即ち、先頭音符からの音符順)を、それぞれ歌唱区間の歌唱開始位置及び歌唱終了位置とする歌唱区間を含む歌唱区間データを登録して記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶してもよい。この場合、登録部20及び記憶制御部29は、例えば、特開2013-231834号公報に開示の公知技術を用いて、音符と歌詞データとの対応付けを行うとよい。
【0091】
なお、上記した実施形態では、カラオケ装置1の登録部20及び記憶制御部29が、歌唱区間データの歌唱区間として歌唱開始位置及び歌唱終了位置を登録して記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、登録部20及び記憶制御部29は、歌唱開始位置から歌唱終了位置までの歌詞文字列を歌唱区間データの歌唱区間として登録して記憶部11の歌唱区間データ記憶部16に記憶してもよい。
【0092】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカラオケ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 カラオケ装置
10 制御部
11 記憶部
12 演奏部
15 楽曲データ記憶部
16 歌唱区間データ記憶部
20 登録部
21 第1判定部
22 楽曲データ取得部
23 第2判定部
24 歌詞データ取得部
25 第3判定部
26 特定部
27 演奏制御部
28 受付部
29 記憶制御部