(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145037
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241004BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20241004BHJP
B25J 9/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/10 A
B25J9/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057265
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】塔本 健太
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707BS06
3C707CT05
3C707CV02
3C707CW02
3C707HT21
3C707HT31
3C707KS20
3C707KS24
3C707LT11
3C707LT18
3C707MT04
3C707NS12
3C707NS21
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA03
5F131BA04
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5F131BB23
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131DB93
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
(57)【要約】
【課題】搬送されるワークWの位位置決め精度を向上させるのに適した搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置A1は、周囲に複数のチャンバ11,21~25が配置された搬送室3内に設けられており、ワークWを複数のチャンバ11,21~25のいずれかから他のいずれかに搬送する場合、旋回駆動部によりアーム41,42が旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを旋回させる旋回角度について、アーム41,42が複数のチャンバ11,21~25のうち選択された1つの目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを第1の旋回方向TLに第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定され、アーム41,42が目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを第2の旋回方向TRに旋回させるときの旋回角度は、基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に複数のチャンバが配置された搬送室内に設けられ、それぞれの前記チャンバとの間でワークを搬送する搬送装置であって、
前記搬送室内に旋回可能に設けられた旋回ベースと、
前記旋回ベース上に設けられ、前記ワークを支持するとともに前記複数のチャンバの各々に向けて前記ワークを進入させるためのアームと、
動力源からギア機構を介して伝達された動力により、前記旋回ベースを、第1の旋回方向または前記第1の旋回方向とは反対の方向である第2の旋回方向に旋回させる旋回駆動部と、を備え、
前記ワークを前記複数のチャンバのいずれかから他のいずれかに搬送する場合、前記旋回駆動部により前記アームが旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを旋回させるときの旋回角度について、
前記アームが前記複数のチャンバのうち選択された1つの目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回方向に第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定され、
前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第2の旋回方向に旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される、搬送装置。
【請求項2】
前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回速度とは異なる旋回速度で旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置が同じ場合において、前記旋回ベースの旋回方向および旋回速度が同じであれば、前記旋回開始位置が異なっても前記補正値は同一に設定される、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ギア機構は、減速機により構成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
周囲に複数のチャンバが配置された搬送室内に旋回可能に設けられた旋回ベースと、
前記旋回ベース上に設けられ、それぞれの前記チャンバとの間で搬送されるワークを支持するアームと、
動力源からギア機構を介して伝達された動力により、前記旋回ベースを、第1の旋回方向または前記第1の旋回方向とは反対の方向である第2の旋回方向に旋回させる旋回駆動部と、を備える搬送装置によって行う搬送方法であって、
前記ワークを前記複数のチャンバのいずれかから他のいずれかに搬送する場合、前記旋回駆動部により前記アームが旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを旋回させるときの旋回角度について、
前記アームが前記複数のチャンバのうち選択された1つの目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回方向に第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定され、
前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第2の旋回方向に旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)、有機EL基板等の製造工程における処理のスループットを向上させるために、被処理基板(ワーク)に対して処理を行う処理室(チャンバ)を複数用いて、複数のワークを並行して処理する場合がある。複数の処理室は、ワークが搬送される搬送室に接続される。搬送室内は、所定の真空度に保たれている。搬送室内には、搬送用のアームを備えた搬送装置が配置され、アームにより、被処理基板が搬送室から各処理室に搬送される。また、被処理基板に対して複数の処理工程が行われる場合、被処理基板は、それぞれの処理工程を行う処理室の間でも搬送される。アームは、モータ等の動力源からギアを介して伝達された動力により搬送室内で回転する(たとえば特許文献1を参照)。
【0003】
近年、被処理基板が大型化する傾向にある。一方、動力源からの動力がギアを介してアームに伝達される場合、ギアのバックラッシにより、アームの回転角度が僅かにずれる。このアームの回転角度の僅かなずれも、アームにより処理室に搬送された被処理基板の位置では、1mm以上のずれになり得る。アームの回転方向は右回転(平面視で時計回り)と左回転(平面視で時計回り)がある。特許文献1に記載された搬送装置においては、アームを目標位置まで回転させる際に、たとえばアームが目標位置に向かって左回転する場合には、アームを目標位置の手間で一旦停止させ、その後アームを少し左回転させて目標位置に到達させる。一方、アームが目標位置に向かって右回転する場合には、アームが目標位置を通過するように右回転させ、その後アームを少し左回転させて目標位置に到達させる。このように、アームが目標位置に向けていずれの回転方向に回転させられる場合でも、アームは同じ回転方向から目標位置に到達させられる。このようにすることで、ギアのバックラッシに起因する被処理基板の位置ずれを抑制している。
【0004】
しかしながら、上記のようにアームを同じ回転方向から目標位置に到達させても、アームの回転方向や目標位置の違いによって、ワークの位置決め精度が十分に得られない場合があった。このことは、アームを様々な回転条件で回転させる際にギアのバックラッシ以外の要因が影響していると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、搬送されるワークの位位置決め精度を向上させるのに適した搬送装置を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される搬送装置は、周囲に複数のチャンバが配置された搬送室内に設けられ、それぞれの前記チャンバとの間でワークを搬送する搬送装置であって、前記搬送室内に旋回可能に設けられた旋回ベースと、前記旋回ベース上に設けられ、前記ワークを支持するとともに前記複数のチャンバの各々に向けて前記ワークを進入させるためのアームと、動力源からギア機構を介して伝達された動力により、前記旋回ベースを、第1の旋回方向または前記第1の旋回方向とは反対の方向である第2の旋回方向に旋回させる旋回駆動部と、を備え、前記ワークを前記複数のチャンバのいずれかから他のいずれかに搬送する場合、前記旋回駆動部により前記アームが旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを旋回させるときの旋回角度について、前記アームが前記複数のチャンバのうち選択された1つの目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回方向に第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定され、前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第2の旋回方向に旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。
【0009】
好ましい実施の形態においては、前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回速度とは異なる旋回速度で旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。
【0010】
好ましい実施の形態においては、前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置が同じ場合において、前記旋回ベースの旋回方向および旋回速度が同じであれば、前記旋回開始位置が異なっても前記補正値は同一に設定される。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記ギア機構は、減速機により構成される。
【0012】
本発明の第2の側面によって提供される搬送方法は、周囲に複数のチャンバが配置された搬送室内に旋回可能に設けられた旋回ベースと、前記旋回ベース上に設けられ、それぞれの前記チャンバとの間で搬送されるワークを支持するアームと、動力源からギア機構を介して伝達された動力により、前記旋回ベースを、第1の旋回方向または前記第1の旋回方向とは反対の方向である第2の旋回方向に旋回させる旋回駆動部と、を備える搬送装置によって行う搬送方法であって、前記ワークを前記複数のチャンバのいずれかから他のいずれかに搬送する場合、前記旋回駆動部により前記アームが旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを旋回させるときの旋回角度について、前記アームが前記複数のチャンバのうち選択された1つの目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回方向に第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定され、前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第2の旋回方向に旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。
【0013】
本発明の第2の側面に係る搬送方法の好ましい実施の形態においては、前記アームが前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置まで旋回するように前記旋回ベースを前記第1の旋回速度とは異なる旋回速度で旋回させるときの旋回角度は、前記基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。
【0014】
本発明の第2の側面に係る搬送方法の好ましい実施の形態においては、前記目標チャンバに対応する前記旋回終了位置が同じ場合において、前記旋回ベースの旋回方向および旋回速度が同じであれば、前記旋回開始位置が異なっても前記補正値は同一に設定される。
【0015】
本発明の第2の側面に係る搬送方法の好ましい実施の形態においては、前記ギア機構は、減速機により構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る搬送装置は、周囲に複数のチャンバが配置された搬送室内に設けられており、ワークを複数のチャンバのいずれかから他のいずれかに搬送する場合、旋回駆動部によりアームが旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを旋回させる際の旋回角度について、アームが複数のチャンバのうち選択された1つの目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを第1の旋回方向に第1の旋回速度で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定される。このように設定した場合、 アームが目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベースを第2の旋回方向に旋回させるときの旋回角度は、基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。このような構成によれば、旋回ベースの旋回方向の違いにより生じる旋回角度のずれ、および旋回ベースの旋回終了位置の相違により生じる旋回角度のずれを補正することができる。これにより、目標チャンバに搬送されるワークの位置決め精度を向上させることができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る搬送装置を備えたワーク処理システムの一例を示す概略平面図である。
【
図2】本発明に係る搬送装置の一例を示す平面図である。
【
図4】搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図5】目標チャンバに対応する旋回終了位置を説明するための図である。
【
図6】旋回終了位置、旋回方向および旋回速度と、基準旋回角度に対する補正値との関係の一例を示す図である。
【
図7】ワークの搬送方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る搬送装置を備えたワーク処理システムの一例を示す概略平面図である。
図1に示すワーク処理システムX1は、ロードロックチャンバ11と、複数(本実施形態では5つ)の処理チャンバ21,22,23,24,25と、搬送室3と、搬送装置4と、を備える。搬送室3は、平面視において六角形形状をなし、ロードロックチャンバ11および複数の処理チャンバ21~25は、搬送室3の周囲に放射状に配置されている。搬送装置4は、搬送室3の中央に配置されている。搬送装置4は、ロードロックチャンバ11および複数の処理チャンバ21~25のいずれかの間でワークWを搬送するものである。ワークWは、特に限定されないが、たとえば薄板状のガラス基板である。なお、以下の説明において、ロードロックチャンバ11および複数の処理チャンバ21~25をまとめて、適宜「複数のチャンバ11,21~25」と言う。また、複数のチャンバ11,21~25のうちの任意の1つを、単に「チャンバ」と言う場合がある。
【0021】
詳細な図示は省略するが、複数のチャンバ11,21~25は、それぞれゲート弁を介して搬送室3に接続されている。本実施形態において図示した例では、搬送室3の5つの側面のそれぞれにゲート弁を介して複数の処理チャンバ21~25のいずれかが接続されている。搬送室3の側面の1つには、ゲート弁を介してロードロックチャンバ11が接続されている。また、図示は省略しているが、ロードロックチャンバ11において、搬送室3が接続された側面と反対側の側面には他の搬送室が配置されている。他の搬送室には他の搬送装置が配置されており、たとえばワークWを収納するカセットが他の搬送装置によってロードロックチャンバ11に対して出し入れされるように構成されている。
【0022】
搬送室3内は、所定の真空状態に維持される。複数の処理チャンバ21~25はそれぞれ、たとえば所定の減圧雰囲気状態に維持される。複数の処理チャンバ21~25は、たとえばワークWの表面に所定の製造プロセス処理を行うチャンバである。製造プロセス処理は特に限定されず、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)技術やPVD(Physical Vapor Deposition)技術による薄膜形成処理、ドライエッチング技術やリソグラフィ技術による回路のパターン形成処理、熱処理などが挙げられる。
【0023】
図2、
図3に示すように、搬送装置4は、たとえば2つのアーム41,42、旋回ベース43、固定ベース44、旋回駆動部45、スライド駆動部46、および制御部(図示せず)を有する。旋回ベース43は、固定ベース44に対して昇降可能に支持されている。また、旋回ベース43は、旋回軸線Oを中心として旋回可能である。各アーム41,42は、旋回ベース43上に設けられており、ワークWを支持する。本実施形態では、アーム41は、水平方向に延びる2本のホーク状の保持片411,412を有する。また、アーム42もアーム41と同様に、水平方向に延びる2本のホーク状の保持片421,422を有する。
【0024】
旋回駆動部45は、モータ等の動力源からギア機構47を介して伝達された動力により、旋回ベース43およびこれに支持されたアーム41,42を、旋回軸線Oを中心として旋回させる。本実施形態において、ギア機構47は、減速機であり、たとえば精密減速機である。旋回駆動部45およびギア機構47は、たとえば固定ベース44内に配置される。
【0025】
スライド駆動部46は、各アーム41,42を旋回軸線Oに対して離れる方向と近づく方向とに往復するように水平方向に直線移動させる。スライド駆動部46は、たとえば旋回ベース43内に配置されたベルト駆動による直線移動機構を含む。各アーム41,42は、旋回ベース43の長手方向(
図1では図中下方)に沿って移動可能である。各アーム41,42は、複数のチャンバ11,21~25の各々に向けてワークWを進入させることが可能である。各アーム41,42は、旋回ベース43上において旋回ベース43の長手方向に沿って移動することにより、複数のチャンバ11,21~25のうちアーム41,42が向けられた方向にあるいずれかに、ワークWを搬入する。また、各アーム41,42は、旋回ベース43上において旋回ベース43の長手方向に沿って移動することにより、複数のチャンバ11,21~25のうちアーム41,42が向けられた方向にあるいずれかから、ワークWを搬出する。
【0026】
制御部は、搬送装置4の動作を統括的に制御するものである。制御部は、たとえば、相互に接続されたメモリ、プロセッサおよび入出力インターフェースを有する。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムやワークWの搬送に関する情報を読み出して実行することにより、入出力インターフェースを介して、搬送室3内の搬送装置4の各部の動作を制御する。
【0027】
図4は、搬送装置4の動作の一例を説明するための図である。搬送装置4は、たとえば処理前のワークWをロードロックチャンバ11から取り出して処理チャンバ21~25のいずれかへ搬送する。搬送装置4は、当該処理チャンバにおいて処理が行われたワークWを、他のいずれかの処理チャンバに搬送する。このようにしてワークWに対して処理チャンバ21~25において必要な処理を順次行う。そして、搬送装置4は、必要な処理が行われたワークWを、ロードロックチャンバ11へ搬送する。
【0028】
搬送装置4の旋回ベース43およびアーム41,42は、旋回駆動部45によって第1の旋回方向TLまたは第2の旋回方向TRに旋回する。本実施形態においては、
図4に示すように、第1の旋回方向TLは、平面視において左旋回(反時計回りの方向)であり、第2の旋回方向TRは、平面視において右旋回(時計回りの方向)である。なお、本実施形態において、旋回ベース43の旋回可能範囲には制限がある。たとえば、旋回ベース43、
図4においてハッチングを付した旋回不能範囲9を除く範囲において、旋回が可能である。そのため、本実施形態の搬送室3では、たとえば処理チャンバ21,22のいずれかから処理チャンバ23~25のいずれかへワークWが搬送される際、旋回ベース43およびこれに支持されたアーム41,42は、第1の旋回方向TLに旋回する。また、処理チャンバ23~25のいずれかから処理チャンバ21,22のいずれかへワークWが搬送される際、旋回ベース43およびアーム41,42は、第2の旋回方向TRに旋回する。
なお、本実施形態と異なり、旋回ベース43の旋回不能範囲9を設けず、旋回ベース43およびアーム41,42が第1の旋回方向TLおよび第2の旋回方向TRのいずれにも常に旋回できるように構成してもよい。
【0029】
本実施形態において、アーム41,42によりロードロックチャンバ11および複数の処理チャンバ21~25のいずれかに対してワークWを搬入または搬出する際、旋回ベース43は、当該チャンバに対応する位置において停止する。
図5において、実線で表した旋回ベース43およびアーム41,アーム42は、ロードロックチャンバ11に対応する位置にあり、ロードロックチャンバ11に正対している。旋回ベース43およびアーム41,42がロードロックチャンバ11に対応する位置にあるとき、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Aにあると定義する。旋回ベース43およびアーム41,42が処理チャンバ21に対応する位置にあるとき、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Bにあると定義する。旋回ベース43およびアーム41,42が処理チャンバ22に対応する位置にあるとき(
図5において二点鎖線で表す)、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Cにあると定義する。旋回ベース43およびアーム41,42が処理チャンバ23に対応する位置にあるとき、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Dにあると定義する。旋回ベース43およびアーム41,42が処理チャンバ24に対応する位置にあるとき、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Eにあると定義する。旋回ベース43およびアーム41,42が処理チャンバ25に対応する位置にあるとき、旋回ベース43およびアーム41,42は位置Fにあると定義する。
【0030】
本実施形態において、ワークWを複数のチャンバ11,21~25のいずれかから他のいずれかに搬送する場合、旋回ベース43およびアーム41,42は、ワークWを搬出するチャンバ(ワークWの搬送元のチャンバ)に対応する位置からワークWを搬入するチャンバ(ワークWの搬送先のチャンバ)に対応する位置まで旋回動作を行う。ここで、アーム41,42がワークWを搬出するチャンバに対応する位置を「旋回開始位置」と定義し、アーム41,42がワークWを搬入するチャンバに対応する位置を「旋回終了位置」と定義する。また、アーム41,42がワークWを搬入するチャンバを「目標チャンバ」と定義する。
図5を参照し、たとえばワークWをロードロックチャンバ11から処理チャンバ22に搬送する場合、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回開始位置は、位置Aであり、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置は、位置Cであり、目標チャンバは、処理チャンバ22である。また、ワークWを処理チャンバ21から処理チャンバ23に搬送する場合、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回開始位置は、位置Bであり、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置は、位置Dであり、目標チャンバは、処理チャンバ23である。同様に、ワークWを処理チャンバ24からからロードロックチャンバ11に搬送する場合、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回開始位置は、位置Eであり、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置は、位置Aであり、目標チャンバは、ロードロックチャンバ11である。
【0031】
旋回駆動部45は、モータ等の動力源からギア機構47を介して伝達された動力により、旋回ベース43およびアーム41,42を旋回させる。アーム41,42が所定の旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように旋回ベース43を旋回させる際、旋回軸線O回りの旋回ベース43の旋回動作の角度を「旋回角度」と定義する。ここで、旋回ベース43の旋回条件(旋回終了位置、旋回方向および旋回速度)が異なると、目標とする所定の旋回角度で旋回するように旋回駆動部45を駆動しても、ギア機構47において僅かなずれが生じ、旋回角度にずれが生じる。すなわち、旋回ベース43の旋回条件が異なると、旋回条件に応じて旋回終了位置におけるアーム41,42の位置にずれが生じてしまう。また、旋回ベース43の旋回方向が異なると、ギア機構47のバックラッシが異なり、旋回角度にずれが生じる。本実施形態において、ギア機構47は減速機であり、旋回ベース43の旋回終了位置が異なると、ギア機構47の内部における歯の接触状態等が異なり、旋回角度にずれが生じる。また、旋回動作時の旋回速度、旋回加速度、旋回減速度が異なると、ギア機構47の内部における弾性変形や歯の接触状態等が異なり、旋回角度にずれが生じる。
【0032】
本実施形態においては、上記のような旋回ベース43の旋回条件の違いに起因する旋回角度のずれに対して、旋回条件に応じて、ずれを無くすように補正が行われる。
図6は、当該補正の一例を示す。旋回ベース43の旋回動作において、複数のチャンバ11,21~25の各々が目標チャンバとなり得る。旋回終了位置としては、複数のチャンバ11,21~25それぞれに対応する位置A~Fがある。たとえば目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合、旋回終了位置が位置Aであり、旋回開始位置は、位置B~Fのいずれかである。
【0033】
本実施形態では、
図6に示した旋回条件1~6は、目標チャンバがロードロックチャンバ11である(
図5参照)。旋回条件1においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Aであり、旋回開始位置は位置B~Fのいずれかである。旋回条件1は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件1における補正値は0(無し)である。なお、旋回ベース43の旋回動作において、旋回ベース43は台形加速の駆動制御が行われる。旋回速度が高速である場合、旋回加速度および旋回減速度が大きく、旋回速度の最大値が高速に設置される。旋回条件1における旋回速度(高速)は、本発明の「第1の旋回速度」の一例に相当する。
【0034】
旋回条件2は、旋回ベース43の旋回方向が第2の旋回方向TRであり、且つ旋回速度が高速であり、旋回条件1と比べて旋回ベース43の旋回方向が異なる。旋回条件2において、旋回条件1における基準旋回角度に対して所定の補正値a1を加えた値に設定される。この補正値a1は、角度と方向(第1の旋回方向TLまたは第2の旋回方向TR)を含む値である。これと同様に、後述の各補正値についても角度と方向を含む値である。
【0035】
旋回条件3は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、且つ旋回速度が中速であり、旋回条件1と比べて旋回ベース43の旋回速度が異なる。旋回条件3では、旋回ベース43の旋回速度は、旋回条件1よりも低い中速に設定される。旋回条件3において、旋回条件1における基準旋回角度に対して所定の補正値a2を加えた値に設定される。旋回条件4は、旋回ベース43の旋回方向が第2の旋回方向TRであり、且つ旋回速度が中速であり、旋回条件1と比べて旋回ベース43の旋回方向および旋回速度が異なる。旋回条件4において、旋回条件1における基準旋回角度に対して所定の補正値a3を加えた値に設定される。
【0036】
旋回条件5は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、且つ旋回速度が低速であり、旋回条件1と比べて旋回ベース43の旋回速度が異なる。旋回条件3では、旋回ベース43の旋回速度は、旋回条件3よりも低い低速に設定される。旋回条件5において、旋回条件1における基準旋回角度に対して所定の補正値a4を加えた値に設定される。旋回条件6は、旋回ベース43の旋回方向が第2の旋回方向TRであり、且つ旋回速度が低速であり、旋回条件1と比べて旋回ベース43の旋回方向および旋回速度が異なる。旋回条件6において、旋回条件1における基準旋回角度に対して所定の補正値a5を加えた値に設定される。
【0037】
旋回条件(上記旋回条件1~6)の相違に起因するずれの補正値は、たとえば次の手順で求められる。旋回ベース43を旋回させ、目標チャンバであるロードロックチャンバ11にアーム41(42)を進入させる。ここで、アーム41のずれ量を測定し、当該ずれ量から補正値を算出する。このことは、
図6に示した後述する他の旋回条件7~36についても同様である。
【0038】
なお、上記の各旋回条件1~6において、目標チャンバはいずれもロードロックチャンバ11である。当該目標チャンバに対応する旋回終了位置は、いずれも位置Aであり、同じである。このように目標チャンバに対応する旋回終了位置が同じ場合においては、旋回ベース43の旋回方向および旋回速度が同じであれば、旋回開始位置が異なっても、補正値は同一とされる。たとえば、旋回条件2において、旋回開始位置は、位置D~Fのいずれかである。ワークWを処理チャンバ23からロードロックチャンバ11に搬送する場合、旋回開始位置は位置Dであり、ワークWを処理チャンバ24からロードロックチャンバ11に搬送する場合、旋回開始位置は位置Eである。これら2つの場合において、旋回方向が第2の旋回方向TRであり、旋回速度が高速で同じであれば、いずれも旋回条件2に該当し、補正値として同じ値(a1)が設定される。このことは、
図6に示した旋回条件1~36のいずれにおいても同様である。
【0039】
図6に示した旋回条件7~12は、目標チャンバが処理チャンバ21である(
図5参照)。旋回条件7~12においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Bであり、旋回開始位置は位置A,C~Fのいずれかである。旋回条件7は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件7における補正値は0(無し)である。旋回条件8~12については、目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合の上述の旋回条件2~6にそれぞれ対応しているので、詳細な説明は省略する。旋回条件8~12において、補正値b1~b5が個別に設定される。
【0040】
図6に示した旋回条件13~18は、目標チャンバが処理チャンバ22である(
図5参照)。旋回条件13~18においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Cであり、旋回開始位置は位置A,B,D~Fのいずれかである。旋回条件13は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件13における補正値は0(無し)である。旋回条件13~18については、目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合の上述の旋回条件2~6にそれぞれ対応しているので、詳細な説明は省略する。旋回条件13~18において、補正値c1~c5が個別に設定される。
【0041】
図6に示した旋回条件19~24は、目標チャンバが処理チャンバ23である(
図5参照)。旋回条件19~24においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Dであり、旋回開始位置は位置A~C,E,Fのいずれかである。旋回条件19は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件19における補正値は0(無し)である。旋回条件19~24については、目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合の上述の旋回条件2~6にそれぞれ対応しているので、詳細な説明は省略する。旋回条件19~24において、補正値d1~d5が個別に設定される。
【0042】
図6に示した旋回条件25~30は、目標チャンバが処理チャンバ24である(
図5参照)。旋回条件25~30においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Eであり、旋回開始位置は位置A~D,Fのいずれかである。旋回条件25は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件25における補正値は0(無し)である。旋回条件26~30については、目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合の上述の旋回条件2~6にそれぞれ対応しているので、詳細な説明は省略する。旋回条件25~30において、補正値e1~e5が個別に設定される。
【0043】
図6に示した旋回条件31~36は、目標チャンバが処理チャンバ25である(
図5参照)。旋回条件31~36においては、旋回ベース43およびアーム41,42の旋回終了位置が位置Fであり、旋回開始位置は位置A~Eのいずれかである。旋回条件31は、旋回ベース43の旋回方向が第1の旋回方向TLであり、旋回速度が高速であり、この場合の旋回ベース43の旋回角度のずれを補正して、「基準旋回角度」として設定される。
図6に示すように、旋回条件31における補正値は0(無し)である。旋回条件31~36については、目標チャンバがロードロックチャンバ11である場合の上述の旋回条件2~6にそれぞれ対応しているので、詳細な説明は省略する。旋回条件31~36において、補正値f1~f5が個別に設定される。
【0044】
図6に示した、旋回条件1~36毎の旋回終了位置、旋回方向および旋回速度と、基準旋回角度に対する補正値との情報は、たとえば制御部のメモリ内のテーブルに予め格納されている。
【0045】
図7は、ワークWの搬送方法の一例を示すフローチャートである。
図7に例示されたフローチャートは、制御部が搬送装置4の各部を制御することにより実施される。まず、制御部は、搬送情報に基づいて、ワークWの搬送元および搬送先それぞれのチャンバと、旋回条件(旋回終了位置、旋回方向および旋回速度)とを特定する(S1)。次に、メモリ内のテーブル(旋回条件毎の補正値)を参照して、旋回条件に対応する補正値を特定する(S2)。次に、制御部は、旋回ベース43が旋回条件に基づく基準旋回角度に補正値を加えた旋回角度で旋回するように、旋回駆動部45を制御する(S3)。そして、制御部は、アーム41(42)上のワークWを搬送先のチャンバへ搬送するように、スライド駆動部46を制御する(S4)。これにより、
図7のフローチャートに示した搬送方法は終了する。
【0046】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0047】
搬送装置4は、周囲に複数のチャンバ11,21~25が配置された搬送室3内に設けられており、それぞれのチャンバの間でワークWを搬送する。搬送装置4は、旋回ベース43、アーム41,42および旋回駆動部45を備える。旋回ベース43は、搬送室3内に旋回可能に設けられる。アーム41,42は、旋回ベース43上に設けられ、ワークWを支持するとともに複数のチャンバ11,21~25の各々に向けてワークWを進入させる。旋回駆動部45は、動力源からギア機構47を介して伝達された動力により、旋回ベース43を、第1の旋回方向TLまたは第1の旋回方向TLとは反対の方向である第2の旋回方向TRに旋回させる。ワークWを複数のチャンバ11,21~25のいずれかから他のいずれかに搬送する場合、旋回駆動部45によりアーム41,42が旋回開始位置から旋回終了位置まで旋回するように旋回ベース43を旋回させる際の旋回角度について、アーム41,42が複数のチャンバ11,21~25のうち選択された1つの目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベース43を第1の旋回方向TLに第1の旋回速度(高速)で旋回させるときの旋回角度が基準旋回角度と設定される。このように設定した場合、アーム41,42が目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベース43を第2の旋回方向TRに旋回させるときの旋回角度は、基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。旋回ベース43の旋回方向が異なると、ギア機構47のバックラッシが異なり、旋回角度にずれが生じる。また、旋回ベース43の旋回方向が同じでも、アーム41,42の旋回終了位置が異なると、ギア機構47の内部における歯の接触状態等が異なり、旋回角度にずれが生じる。上記構成によれば、旋回ベース43の旋回方向の違いにより生じる旋回角度のずれ、およびアーム41,42の旋回終了位置の相違により生じる旋回角度のずれを補正することができる。これにより、目標チャンバに搬送されるワークWの位置決め精度を向上させることができる。
【0048】
本実施形態においては、アーム41,42が目標チャンバに対応する旋回終了位置まで旋回するように旋回ベース43を第1の旋回速度(高速)とは異なる旋回速度(中速あるいは低速)で旋回させるときの旋回角度は、基準旋回角度に個別の補正値を加えた値に設定される。このような構成によれば、旋回ベース43の旋回条件(旋回終了位置、旋回方向および旋回速度)の相違により発生する旋回角度のずれを補正することができる。これにより、目標チャンバに搬送されるワークWの位置決め精度をより向上させることができる。
【0049】
本実施形態においては、目標チャンバに対応する旋回終了位置が同じ場合において、旋回ベース43の旋回方向および旋回速度が同じであれば、旋回開始位置が異なっても補正値は同一に設定される。このような構成によれば、旋回ベース43の旋回動作時におけるギア機構47のヒステリシス特性が同じであるため、目標チャンバに搬送されるワークWの位置決め精度を適切に向上させることができる。
【0050】
本実施形態においては、ギア機構47は、減速機により構成される。減速機において、アーム41,42の旋回終了位置が異なると、当該減速機の内部における歯の接触状態等が異なり、旋回角度にずれが生じる。また、旋回動作時の旋回速度が異なると、ギア機構47の内部における弾性変形や歯の接触状態等が異なり、旋回角度にずれが生じる。本実施形態によれば、目標チャンバに対応する旋回終了位置毎に、旋回方向あるいは旋回速度が異なれば、基準旋回角度に個別の補正値が加えられる。これにより、ギア機構47が減速機である場合でも、目標チャンバに搬送されるワークWの位置決め精度を適切に向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0052】
上記実施形態では、搬送室3は平面視六角形とされているが、本発明はこれに限定されない。搬送室3の平面視形状は、たとえば三角形状、四角形状、五角形状、あるいは八角形状等、六角形状以外の他の多角形状であってもよい。なお、搬送室3の周囲に配置されるチャンバの数は、搬送室3の多角形状の角数に応じた数に設定すればよい。
【0053】
上記実施形態では、搬送室3の周囲に配置された複数のチャンバについて、1つのロードロックチャンバ11を含むように構成されていたが、本発明はこれに限定されず、たとえば2つの1ロードロックチャンバを含むように構成してもよい。2つのロードロックチャンバを含む構成のワーク処理システムにおいては、一方のロードロックチャンバが外部からワークを搬送室内へ搬入するためのチャンバであり、他方のロードロックチャンバがワークを外部に搬出するためのチャンバである。
【符号の説明】
【0054】
11:ロードロックチャンバ(チャンバ)、21~25:処理チャンバ(チャンバ)、3:搬送室、4:搬送装置、41,42:アーム、43:旋回ベース、45:旋回駆動部45、47:ギア機構、TL:第1の旋回方向、TR:第2の旋回方向、W:ワーク