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特開2024-145048自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145048
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタル
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20241004BHJP
   C04B 24/38 20060101ALI20241004BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20241004BHJP
   C04B 111/62 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B24/38 B
C04B24/38 Z
C04B22/06 Z
C04B111:62
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057280
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川崎 泰平
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MA00
4G112PB03
4G112PB39
4G112PB40
(57)【要約】
【課題】平滑性を発揮できる良好な流動性を有し、硬化時に表面仕上がりが優れた自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルを提供すること。
【解決手段】セメント、細骨材、増粘材、膨張材及び減水剤を含み、増粘剤が、20℃における2質量%水溶液の粘度が3000~6000mPa・sである増粘剤を少なくとも一種含む二種以上であり、増粘剤の含有量が、セメント100質量部に対し、固形分換算で0.06~1質量部である、自己平滑性水硬性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、細骨材、増粘材、膨張材及び減水剤を含み、
前記増粘剤が、20℃における2質量%水溶液の粘度が3000~6000mPa・sである増粘剤を少なくとも一種含む二種以上であり、
前記増粘剤の含有量が、前記セメント100質量部に対し、固形分換算で0.06~1質量部である、自己平滑性水硬性組成物。
【請求項2】
消泡剤を更に含む、請求項1に記載の自己平滑性水硬性組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自己平滑性水硬性組成物と、水とを含み、
前記水の含有量が、前記セメント100質量部に対し、55~105質量部である、自己平滑性モルタル。
【請求項4】
土木学会基準「PCグラウトの流動性試験方法(案)」JSCE-F531:2018に準拠して測定するJ10ロートの流下時間が10~40秒である、請求項3に記載の自己平滑性モルタル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、左官業者の人手不足や物流倉庫をはじめとする床面積の大きい構造物の需要が高まっており、施工時間の短縮、床仕上げ後の早期開放のための生産性向上が求められている。仕上げ材料としてセメントを結合材としたセメント系セルフレベリング材を下地コンクリート床面に流し込み、床面の水平性を確保する手法がある。セルフレベリング材を使用するにあたり、施工時間の短縮及び作業性の向上を図るために、練混ぜ水量を増やして流動性を向上させることが最も簡易的な方法である。しかしながら、その反面、水量を増やすに連れて材料分離や乾燥過程におけるひび割れの諸問題が生じやすくなる。水量を増やさずとも分散剤等を添加することにより、セメント粒子同士の凝集を防ぎ流動性を向上させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリエーテル系減水剤とポリカルボン酸系減水剤との混合減水剤を用いた自己平滑性モルタルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-123026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床仕上げを目的としたセルフレベリング材としては、平滑性を確保するために十分な流動性を有しつつ、材料が分離しない程度の粘性が必要であり、それらを両立した適度な流動性が求められている。また、美観等の観点から、セルフレベリング材が硬化した際にその表面の仕上がりが良好であることも重要である。
【0006】
したがって、本発明は、平滑性を発揮できる良好な流動性を有し、硬化時に表面仕上がりが優れた自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の粘度を有する増粘剤を含む2種以上の増粘剤を併用することで、優れた流動性と表面仕上がりを示す自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルが得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]セメント、細骨材、増粘材、膨張材及び減水剤を含み、増粘剤が、20℃における2質量%水溶液の粘度が3000~6000mPa・sである増粘剤を少なくとも一種含む二種以上であり、増粘剤の含有量が、セメント100質量部に対し、固形分換算で0.06~1質量部である、自己平滑性水硬性組成物。
[2]消泡剤を更に含む、[1]に記載の自己平滑性水硬性組成物。
[3][1]又は[2]に記載の自己平滑性水硬性組成物と、水とを含み、水の含有量が、セメント100質量部に対し、55~105質量部である、自己平滑性モルタル。
[4]土木学会基準「PCグラウトの流動性試験方法(案)」JSCE-F531:2018に準拠して測定するJ10ロートの流下時間が10~40秒である、[3]に記載の自己平滑性モルタル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平滑性を発揮できる良好な流動性を有し、硬化時に表面仕上がりが優れた自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物は、セメント、細骨材、増粘材、膨張材及び減水剤を含む。
【0012】
セメントは種々のものを使用することができ、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、エコセメント、超速硬セメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0013】
細骨材は、例えば、川砂、珪砂、砕砂、寒水石、石灰石砂、スラグ骨材等が挙げられる。細骨材は、これらの中から、微細な粉や粗い骨材を含まない粒度に調整した珪砂、石灰石等の骨材を用いることが好ましい。細骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。細骨材は、通常用いられる粒径1.2mm未満のもの(1.2mmふるい通過分)を使用するのが好ましい。
【0014】
細骨材の粒度は特に限定されるものではなく、必要とする細骨材の粒度の範囲内で調整することができる。細骨材は、JIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」により規定される粗粒率からその粒度を考慮することができる。より良好な流動性が得られやすく、ブリーディングを抑制しやすいという観点から、細骨材の粗粒率は、1~3であることが好ましく、1.1~2.5であることがより好ましく、1.2~2であることが更に好ましい。
【0015】
細骨材の含有量は、セメント100質量部に対し、100~300質量部であることが好ましく、120~250質量部であることがより好ましく、140~200質量部であることが更に好ましい。細骨材の添加量が上記範囲内であれば、セルフレベリング材として十分な流動性と圧縮強度を確保しやすい。
【0016】
本実施形態に係る増粘剤は、20℃における2質量%水溶液の粘度が3000~6000mPa・sである増粘剤を少なくとも一種含む二種以上である。増粘剤の粘度が上記範囲外であったり、増粘剤が一種のみであったりする場合、モルタルの広がりや流下時間で示される流動性が不十分であり、表面の仕上がりも優れない。増粘剤は、適度な流動性が得られやすく、表面仕上がりが一層向上するという観点から、20℃における2質量%水溶液の粘度が3500~5500mPa・sであることが好ましく、4000~5000mPa・sであることがより好ましい。本明細書において、増粘剤の粘度は、濃度が2質量%となるように調製した増粘剤の水溶液を、20℃の環境下において回転粘度計を用いて測定した値である。回転粘度計は通常用いられているものを使用することができ、例えば、内筒回転型粘度計、外筒回転型粘度計を用いることができる。
【0017】
増粘剤の種類は特に限定されず、例えば、セルロース系増粘剤、アクリル系増粘剤、グアーガム系増粘剤、スターチ系増粘剤が挙げられる。増粘剤としてはセルロース系増粘剤が好ましい。セルロース系増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のメチルセルロース系、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。アクリル系増粘剤としてはアクリルアミド系増粘剤が挙げられる。グアーガム系増粘剤としてはヒドロキシプロピルグアーガム系増粘剤が挙げられる。スターチ系増粘剤としてはヒドロキシプロピルスターチエーテル系増粘剤が挙げられる。増粘剤は、平滑性を確保するのに適した流動性が得られやすく、表面仕上がりが更に良好になるという観点から、異なる種類の増粘剤を組み合わせることが好ましく、20℃における2質量%水溶液の粘度が3000mPa・s以上の粘度を有する増粘剤を複数種組み合わせることがより好ましい。
【0018】
増粘剤の含有量は、セメント100質量部に対し、固形分換算で0.06~1質量部である。増粘剤の含有量が上記範囲外であると、モルタルの流動性が安定せず、硬化時の表面仕上がりも優れない。増粘剤の含有量は、平滑性を確保するのに適した流動性が得られやすいという観点から、セメント100質量部に対し、固形分換算で0.08~0.8質量部であることが好ましく、0.1~0.6質量部であることがより好ましい。
【0019】
減水剤は、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤及び流動化剤を含む。このような減水剤としては、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に規定される減水剤が挙げられる。減水剤としては、例えば、ポリカルボン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、メラミン系減水剤が挙げられる。これらの中ではポリカルボン酸系減水剤が好ましい。減水剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0020】
減水剤の含有量は、セメント100質量部に対し、固形分換算で0.1~5質量部であることが好ましく、0.3~3質量部であることがより好ましく、0.4~1.5質量部であることが更に好ましい。減水剤の含有量が上記範囲内であれば、モルタルとした際により良好な流動性が得られやすい。
【0021】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物は膨張材を含んでもよい。膨張材は、コンクリート用膨張材として一般に使用されているJIS適合の膨張材(JIS A 6202:2008)であれば、何れの膨張材でもかまわない。膨張材としては、例えば、遊離生石灰を主成分とする膨張材(生石灰系膨張材)、アーウィンを主成分とする膨張材(エトリンガイト系膨張材)、遊離生石灰とエトリンガイト生成物質の複合系膨張材が挙げられる。膨張材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。膨張材はブレーン比表面積が2000~6000cm/gのものを使用することが好ましい。
【0022】
膨張材の含有量は、セメント100質量部に対し、0.1~15質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、2~8質量部であることが更に好ましい。膨張材の含有量が上記範囲内であれば、圧縮強度が優れやすく、ひび割れも低減できる傾向にある。
【0023】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物は繊維類を含んでもよい。繊維類は、ひび割れ抵抗性及び曲げ耐力を向上させるものであれば限定されるものではない。繊維類としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の有機繊維;鋼繊維;ガラス繊維等の無機繊維が挙げられる。分散性がより良好であるという観点から、繊維類は、有機繊維であることが好ましく、ポリエステル繊維であることがより好ましい。繊維類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
【0024】
繊維類の長さは、1~10mmであることが好ましく、1.2~8mmであることがより好ましく、1.5~5mmであることが最も好ましい。繊維類の長さが上記範囲内であれば、流動性を確保しつつ、硬化時のひび割れを抑制しやすい。
【0025】
繊維類の含有量は、セメント100質量部に対し、0.01~3質量部であることが好ましく、0.05~1質量部であることがより好ましく、0.1~0.5質量部であることが更により好ましい。繊維類の含有量が上記範囲内であれば、流動性を確保しつつ、硬化時のひび割れを抑制しやすい。
【0026】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物は消泡剤を含有してもよい。消泡剤は、一般のコンクリートに使用される消泡剤であれば特に限定されず、例えば、鉱油系消泡剤、エステル系消泡剤、アミン系消泡剤、アミド系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられる。
【0027】
消泡剤の添加量は、セメント100質量部に対し、0.01~3質量部であることが好ましく、0.03~1質量部であることがより好ましく、0.05~0.5質量部であることが更に好ましい。消泡剤の添加量が上記範囲内であれば、練混ぜ空気の消泡性に効果を発揮しやすく、硬化時の表面仕上がりも一層優れる。
【0028】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種混和剤(材)を配合してもよい。混和剤(材)としては、例えば、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤が挙げられる。
【0029】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物を製造する方法は、通常用いられる混練器具により上記した各成分を混合することで調製でき、その器具は特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば、グラウトミキサ、ホバートミキサ、ハンドミキサ、傾胴ミキサ、2軸ミキサ等が挙げられる。
【0030】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物は、水を混合して自己平滑性モルタルとして調製することができ、その水の含有量は用途に応じて適宜調整すればよい。水の含有量は、セメント成分100質量部に対し、55~105質量部であることが好ましく、65~95質量部であることがより好ましく、70~90質量部であることが更に好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、流動性を確保しやすく、材料分離の発生、強度発現性の低下を抑制しやすい。
【0031】
本実施形態の自己平滑性モルタルを製造する方法は、通常の自己平滑性水硬性組成物と同様の混練器具を使用することができ、特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば、グラウトミキサ、ホバートミキサ、ハンドミキサ、傾胴ミキサ、2軸ミキサ等が挙げられる。
【0032】
自己平滑性モルタルは、日本建築学会規格「セルフレベリング材の品質基準」JASS 15M-103:2019に規定するフロー値が230~290mmであることが好ましく、240~280mmであることがより好ましく、250~275mmであることが更に好ましい。自己平滑性モルタルのフロー値が上記範囲内であれば、材料分離をより一層抑制しつつ、平滑性を確保できる傾向にある。
【0033】
自己平滑性モルタルは、土木学会基準「PCグラウトの流動性試験方法(案)」JSCE-F531:2018に準拠して測定するJ10ロートの流下時間が10~40秒であることが好ましく、15~38秒であることがより好ましく、20~36秒であることが更に好ましい。自己平滑性モルタルの流下時間が上記範囲内であれば、材料分離をより一層抑制しつつ、平滑性を確保できる傾向にある。
【0034】
本実施形態の自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルは、平滑性を発揮するのに良好な流動性を有し、硬化時において表面の仕上がりが優れるものであるため、床面に流し込むことで床面の平滑性を確保でき、作業効率を高め施工時間の短縮を図ることができる。したがって、本実施形態の自己平滑性水硬性組成物及びそのモルタルは、床面積の大きい構造物等に好適に使用することができる。
【実施例0035】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。試験は全て20℃で行った。
【0036】
[材料]
セメント:普通ポルトランドセメント
膨張材:生石灰系膨張材
細骨材:珪砂、粒度調整品(粒径0.01mm~0.4mm、粗粒率1.37)
増粘剤:
増粘剤A:ヒドロキシプロピルメチルセルロース系増粘剤(20℃、2質量%水溶液粘度4000mPa・s)
増粘剤B:ヒドロキシエチルメチルセルロース系増粘剤(20℃、2質量%水溶液粘度4500mPa・s)
増粘剤C:ヒドロキシプロピルグアーガム系増粘剤(20℃、2質量%水溶液粘度8000mPa・s)
増粘剤D:アクリルアミド系増粘剤(20℃、2質量%水溶液粘度10000mPa・s)
増粘剤E:ヒドロキシプロピルスターチエーテル系増粘剤(20℃、2質量%水溶液粘度60mPa・s)
・繊維:ポリエステル繊維、繊維長2mm
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
・減水剤:ポリカルボン酸系減水剤
【0037】
[自己平滑性組成物の調製]
セメント100質量部に対して、セメント、膨張材、細骨材、増粘剤、繊維及び消泡剤を表1に示す割合で配合設計した。配合は全て固形分換算である。
【0038】
【表1】
【0039】
[自己平滑性モルタルの作製]
円筒容器に配合設計した自己平滑性組成物と水を添加し、ハンドミキサで90秒混練して自己平滑性モルタルを作製した。水はセメント100質量部に対して72質量部の割合で添加した。
【0040】
[評価方法]
・流動性(フロー試験、流下試験)
フロー値は、社団法人日本建築学会のJASS-15M-103:2019(セルフレベリング材の品質基準)に従い測定した。
流下時間は、土木学会基準「PCグラウトの流動性試験方法(案)」JSCE-F531:2018に準拠し、J10ロート試験器を用いて測定した。
測定は自己平滑性モルタル混練後0時間に行った。
・硬化後表面仕上り
温度20℃、湿度80%の環境下で作製した自己平滑性モルタルを内寸:縦13.5cm×横18.5cm×高さ2.5cmのプラスチック容器に厚さ1cmとなるように流し込んだ。成型1日経過後、硬化した自己平滑性モルタルの表面を目視確認し、次のように評価した。
「〇」:ひび割れや材料分離による脆弱層の析出がみられず、平滑性が確認できる
「△」:ひび割れもしくは凹凸の発生により平滑性が欠失している
「×」:ひび割れが発生しており、同時に凹凸が生じて平滑性も確認できない
【0041】
【表2】
【0042】
実施例の自己平滑性モルタルは、フロー値及び流下時間が適度な範囲に収まっており、十分な流動性を示すものの過度の広がりを示さないという自己平滑性を発揮するのに適した性能を示した。また、実施例の自己平滑性モルタルは材料分離も見られなかったため硬化後においても表面の仕上がりが良好なものだった。一方、比較例の自己平滑性モルタルは、流動性が高すぎる場合や低すぎる場合もあり、硬化後の表面仕上がりも優れなかった。