IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社T&Lの特許一覧

<>
  • 特開-キャッパー装置 図1
  • 特開-キャッパー装置 図2
  • 特開-キャッパー装置 図3
  • 特開-キャッパー装置 図4
  • 特開-キャッパー装置 図5
  • 特開-キャッパー装置 図6
  • 特開-キャッパー装置 図7
  • 特開-キャッパー装置 図8
  • 特開-キャッパー装置 図9
  • 特開-キャッパー装置 図10
  • 特開-キャッパー装置 図11
  • 特開-キャッパー装置 図12
  • 特開-キャッパー装置 図13
  • 特開-キャッパー装置 図14
  • 特開-キャッパー装置 図15
  • 特開-キャッパー装置 図16
  • 特開-キャッパー装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145061
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】キャッパー装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 1/06 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B67B1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057304
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】516166317
【氏名又は名称】株式会社サイレック
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】横原 大
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA07
3E080BB01
3E080CD01
3E080CF15
3E080EE02
3E080EE08
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でもってコスト高を招くことなく処理能力を高めることができる安価で新規なキャッパー装置を提供する。
【解決手段】容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持された一対の締付回転体31,31Aを有し、各締付回転体31,31Aは、キャップBに圧接して互いに回転することにより、キャップBを回転させて容器Aの口部A1に巻き締め可能であり、各締付回転体31,31Aは、キャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に載せたキャップを締め付けるキャッパー装置において、
所定位置に保持された容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持された一対の締付回転体を有し、
前記各締付回転体は、キャップに圧接して互いに回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に巻き締め可能であり、
前記各締付回転体は、キャップの締め付け完了までの間に、キャップに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能であることを特徴とするキャッパー装置。
【請求項2】
前記各締付回転体は、キャップに近接して挟み込み再び離間する動作を繰り返すことにより、容器の口部上のキャップの締め付け姿勢を正した後、キャップを本締め相当のトルクで締め付け可能であることを特徴とする請求項1に記載のキャッパー装置。
【請求項3】
前記各締付回転体の動作を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記各締付回転体がキャップに近接したとき、前記各締付回転体の回転の有無、回転方向、回転数、トルク、およびキャップを挟み込む圧力のうち、少なくともいずれか一つを設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のキャッパー装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記各締付回転体がキャップに近接して挟み込み再び離間する動作の回数も設定可能であることを特徴とする請求項3に記載のキャッパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等の容器の口部に載せたキャップを締め付けるキャッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的なキャッパー装置としては、ボトルの口部に載せたスクリュー式のキャップに対して、その両側から圧接する一対の離間可能な回転ベルトを互いに回転させることにより、各回転ベルトに圧接するキャップを回転させてボトルの口部に締め付けるベルト式のキャッパー装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなキャッパー装置では、ボトルを所定位置に保持すると、直後に各回転ベルトがボトルの口部上のキャップに圧接して互いに回転することにより、キャップはボトルの口部に締め付けられる。ここで各回転ベルトは、キャップを挟み込んで回転するときに、キャップから離間することはなく最後までそのまま回転することにより、キャップを締め付けるものであった。
【0004】
この他、各回転ベルトがキャップを挟み込んで回転するときに、キャップを締め付ける正転に加えて、キャップの締め付けを緩める逆転も可能なキャッパー装置も知られている。このように各回転ベルトを正逆両方向に回転可能なキャッパー装置であっても、キャップを挟み込んで回転するときは、各回転ベルトがキャップからいったん離間することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-72987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来のベルト式のキャッパー装置では、一対の回転ベルトが一度挟み込んだキャップから離間することはないため、最初にキャップをつかむ際にボトルの口部に対してキャップの軸心が斜めにずれた状態でつかんでしまうと、キャップを締め込むときに口部のネジ山とキャップのネジ溝が嵌合不良(所謂かじり)を起こす虞があった。
【0007】
また、前記キャッパー装置では、キャップの締め付けの初期段階において、前述したようにキャップを斜めにずれた状態で挟み込んでしまうと、キャップが歪むなど変形してしまい、設定したトルクで締め込むことができない虞もあった。その一方で、キャップを弱い圧力で挟み込むと、各回転ベルトに触れたキャップが滑ってしまい、やはり設定したトルクまで締め込むことができないという問題があった。
【0008】
さらに、前記キャッパー装置において、最初にキャップをつかむときに必要以上に高い圧力で挟み込んでしまうと、キャップが歪むなど変形した状態で、無理やり容器にねじり込ませる形になる。そのため、キャップとボトルが擦れて摩耗してしまい、摩耗粉が発生する虞があった。しかも、キャップを強く挟みこんでしまうと、前述した嵌合不良(所謂かじり)の原因にも成り得る。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、ボトル等の容器の口部に載せたキャップを締め付けるときに、キャップのつかみ直しを行うことにより、キャップの締め付け姿勢を正した状態での締め付けを可能とし、キャップの変形や摩耗による不具合、締め付け不足および嵌合不良(所謂かじり)を容易に防止することができる安価で新規なキャッパー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記した目的を達成するために、容器の口部に載せたキャップを締め付けるキャッパー装置において、
所定位置に保持された容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持された一対の締付回転体を有し、
前記各締付回転体は、キャップに圧接して互いに回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に巻き締め可能であり、
前記各締付回転体は、キャップの締め付け完了までの間に、キャップに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の好ましい態様として、前記各締付回転体は、キャップに近接して挟み込み再び離間する動作を繰り返すことにより、容器の口部上のキャップの締め付け姿勢を正した後、キャップを本締め相当のトルクで締め付け可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の好ましい態様として、前記各締付回転体の動作を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記各締付回転体がキャップに近接したとき、前記各締付回転体の回転の有無、回転方向、回転数、トルク、およびキャップを挟み込む圧力のうち、少なくともいずれか一つを設定可能であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の別の好ましい態様として、前記制御手段は、前記各締付回転体がキャップに近接して挟み込み再び離間する動作の回数も設定可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るキャッパー装置によれば、容器の口部に載せたキャップを締め付けるときに、キャップのつかみ直しを行うことにより、キャップの締め付け姿勢を正した状態での締め付けを可能とし、キャップの変形や摩耗による不具合、締め付け不足および嵌合不良(所謂かじり)を容易に防止することができる効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す正面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す背面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す右側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す左側面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ供給機構を拡大して示す側面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構を拡大して示す平面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構を拡大して示す底面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の駆動系において低圧使用時の状態を模式的に示す説明図である。
図10】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の駆動系において高圧使用時の状態を模式的に示す説明図である。
図11】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構におけるつかみ直し制御の設定を示すフローチャートである。
図12】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の制御に関する各設定を行う画面を示す説明図である。
図13】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の制御に関する各設定を行う画面を示す説明図である。
図14】本発明の第1実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の制御に関する各設定を行う画面を示す説明図である。
図15】本発明の第2実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す斜視図である。
図16】本発明の第2実施形態に係るキャッパー装置を正面上方から見た斜視図である。
図17】本発明の第2実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構の要部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各実施形態を説明する。
図1から図14は、第1実施形態に係るキャッパー装置10を示し、図15から図17は、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aを示している。
各実施形態に係るキャッパー装置10,10Aは、何れもボトル等の容器Aの口部A1に載せたキャップBを締め付ける装置である。ここで容器Aの種類は、特に限定されるものではないが、口部A1の外周側にあるネジ山に、キャップBの内周側にあるネジ溝を螺合させて締め付けるスクリュー式が該当する。
【0017】
第1実施形態に係るキャッパー装置10は、主な構成としてキャップBを締め付けるキャップ巻締機構30のほか、容器Aの口部A1に真上からキャップBを自動的に供給するキャップ供給機構20も備えている。一方、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aは、キャップ搬送コンベヤ2とキャップ供給機構20を備えず、キャップBは人手により容器Aの口部A1に載せた状態でキャップ巻締機構30Aに供給される。
【0018】
このような各実施形態の構成の違いにより、第1実施形態に係るキャッパー装置10では、天面が水平なキャップBの扱いに限られるが、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aでは、キャップBに限られることなく後述するがノズル付きキャップにも対応可能である。以下、各実施形態で使用する容器Aは、例えば化粧水等が内部に充填された化粧品用のボトルに適用した場合を例に説明する。
【0019】
各実施形態に係るキャッパー装置10,10Aにおいて共通する本発明の根幹は、それぞれ後述するキャップ巻締機構30,30Aにおける各締付回転体31,31Aが、キャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能な制御にある。なお、各実施形態に記載される具体的な構成、形状、それに制御の詳細等は、あくまで本発明の一例に過ぎず本発明を何ら限定するものではない。
【0020】
[第1実施形態]
図1から図14は、第1実施形態に係るキャッパー装置10を示している。
図1に示すように、第1実施形態に係るキャッパー装置10は、その外郭をなす本体フレーム11の内外に、本発明の構成要素であるキャップ供給機構20、キャップ巻締機構30等の各構成部品が組み込まれている。なお、本実施形態に記載される「上」と「下」、「前」と「後」、「左」と「右」等の方向を表す用語は、各構成要素の位置関係を説明するために便宜上定めたものであり、実際の装置の設置状態等を限定するものではない。
【0021】
<本体フレーム11>
図1に示すように、本体フレーム11は、全体的には金属製の各部材により立方体状の枠組みとして構成されている。すなわち、本体フレーム11は基本的には、左右一対のベース台12,12と、各ベース台12上に立設された4本の支柱13,13…と、各支柱13の上端に固定された上部フレーム14と、からなる。また、各支柱13間には、キャップ巻締機構30を配設するステージ台15が上下方向に移動可能に支持されている。
【0022】
詳しくは後述するがステージ台15は、正面向かって左側(図1中で左側)の2本の支柱13,13間に支持された右ステージ台15Aと、正面向かって右側(図1中で右側)の2本の支柱13,13間に支持された左ステージ台15Bと、に分かれている、ここで各ステージ台15A,15Bは、それぞれ同期して上下方向に位置調整が可能に支持されている。また、右ステージ台15A上には、キャップ供給機構20を配設するフレーム枠16が一体に設けられている。なお、各ステージ台15A,15Bを総称するときは、単にステージ台15と表記する。
【0023】
各ベース台12は、それぞれ前後方向に延びる平板状に形成されており、互いに平行な状態でフロア等の据付場所に水平に載置される。ベース台12の下面側には、例えばフレーム本体11の全体の4隅となる箇所で、それぞれ高さ調整ないし水平出しが可能なアジャスター(図示せず)を設けると良い。また、各ベース台12の中間には、容器搬送コンベヤ1が配置されている。言い換えればキャッパー装置10は、そのベース台12を容器搬送コンベヤ2の両外側に位置させて、容器搬送コンベヤ1の上方に据え置かれる。
【0024】
<容器搬送コンベヤ1>
図1に示すように、容器搬送コンベヤ1は、一般的なベルトコンベアから成り、平坦状の無端ベルトの上面側が、図面手前の前方から奥の後方へ向かって長手方向に延び、一定速度で回転駆動される。無端ベルトとしては、その表面が比較的滑りの良い材質ないし構造のものが採用されている。容器搬送コンベヤ1上には、その手前側から容器Aが供給される。ここで容器Aは、予め化粧水等の内容物が充填されており、例えば、容器搬送コンベヤ1上に人手によって容器Aを立てた状態で順次供給される。なお、容器搬送コンベヤ1は、キャッパー装置10の構成の一部として捉えても良い。
【0025】
<キャップ搬送コンベヤ2>
また、右側のベース台12の外側に沿って、キャップ搬送コンベヤ2が配置されている。キャップ搬送コンベヤ2も、前記容器搬送コンベヤ1と同様に一般的なベルトコンベアから成り、平坦状の無端ベルトの上面側が、図面手前の前方から奥の後方へ向かって長手方向に延び、一定速度で回転駆動される。キャップ搬送コンベヤ2の無端ベルトも、その表面が比較的滑りの良い材質ないし構造のものが使用されている。キャップ搬送コンベヤ2上には、その手前側からキャップBが順次供給される。ここでキャップBは、キャップ搬送コンベヤ2上に人手によって開口が下を向く状態で供給される。なお、キャップ搬送コンベヤ2も、キャッパー装置10の構成の一部として捉えても良い。
【0026】
<ガイド40>
また、容器搬送コンベヤ1の途中の両側に沿って、左右一対のガイド40,40が、互いに間隔をあけて対向するように配設されている。各ガイド40は、容器搬送コンベヤ1により搬送される容器Aを、その進行に伴って無端ベルトの幅方向の中央に一列に導くものである。各ガイド40によって、容器Aは1つずつ各ガイド40の後端より後方の所定位置まで導かれ、次述する左右一対のクランプ50,50によって、容器Aは所定位置に順次位置決め保持される。
【0027】
各ガイド40は、それぞれロッド41を介して取付板42に固定され、各取付板42は、それぞれの側にあるベース台12に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に位置調整が可能に取り付けられている。これにより、各ガイド40間の間隔は、容器Aの大きさ等に応じて調整できるように構成されている。なお、各ガイド40の先端側は、末広がりに開いて容器Aを受け入れやすいように形成されている。
【0028】
<クランプ50>
また、容器搬送コンベヤ1の途中の両側に沿って、前記各ガイド40の後方には、左右一対のクランプ50,50が、互いに間隔をあけて対向するように配設されている。各クランプ50は、後述する締付回転体31の下方で、容器搬送コンベヤ1上をガイド40を経て所定位置に供給された容器Aに両側から圧接して、容器Aを所定位置に位置決め保持するものである。
【0029】
各クランプ50は、それぞれ可動板51に固定され、各可動板51は、それぞれの側にあるベース台12に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に移動可能に取り付けられている。これにより各クランプ50は、互いに離間ないし近接が可能に構成されている。各クランプ50が互いに近接して容器Aを圧接保持する動作は、例えばエアシリンダー52による圧縮空気を利用して行われ、近接時にはレギュレターを用いて、程良い圧力で容器Aを保持することができるように構成されている。
【0030】
各クランプ50間の間隔は、通常時は互いに離間して開いており、容器Aの大きさ等に応じて、容器搬送コンベヤ1の進行に伴い容器Aを所定位置に位置決め保持できるように構成されている。ここで各クランプ50によって容器Aを保持するタイミングは、具体的には例えば、前記ガイド40によって導かれる容器Aをレーザー検知器(図示せず)で検知し、その信号に基づいて、所定時間の経過後に前述の圧縮空気を作動させて、各クランプ50の間隔を狭めるように移動させて行われる。
【0031】
<キャップ供給機構20>
図1に示すように、キャップ供給機構20は、容器搬送コンベヤ1によって所定位置まで搬送された容器Aに対して、キャップ搬送コンベヤ2によって定位置まで搬送されたキャップBを自動的に順次供給する機構である。キャップ供給機構20は、フレーム枠16に組み込まれたユニットとして構成されている。ここでフレーム枠16は、その前後壁が右ステージ台15A上に一体に固定され、前後壁の上端間に亘る上壁の下面側に、取付ブラケット16aが固定されている。
【0032】
図2図3に示すように、キャップ供給機構20は、回転動作の駆動源である電動モーター21と、電動モーター21によって水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バー22と、反転支持バー22の一端側と他端側に支持された一対の吸着ヘッド23,23と、を有してなる。電動モーター21は、前記取付ブラケット16aを介してフレーム枠16に固定され、電動モーター21より垂下する出力軸21a(図6参照)に対して、反転支持バー22は中間部が一体に軸支されている。
【0033】
反転支持バー22は、細幅な直線状の延びる板状に形成され、一端部と他端部とは、中間部の回転中心を間にして180度対極に位置する。この一端部と他端部には、それぞれ上下方向に昇降可能な一対の昇降ロッド24,24が支持され、各昇降ロッド24の下端側に吸着ヘッド23が設けられている。ここで各昇降ロッド24の昇降は、前述したクランプ50の動作と同様に、例えば圧縮空気を利用して行われる。図6に示すように、反転支持バー22の一端部と他端部には、それぞれ昇降ロッド24を、ブラケット25を介して昇降させるエアシリンダー26が設けられている。
【0034】
吸着ヘッド23は、前記キャップ搬送コンベヤ2によって順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れた状態で、キャップBを真空吸着して保持するものである。吸着ヘッド23は、下方に開口した筒状に形成され、その内側は昇降ロッド24内の吸気通路を介して真空源(図示せず)に連通している。また、吸着ヘッド23において、キャップBの天面に接触する口部は、例えばウレタン樹脂等の弾性材質により形成されている。なお、吸着ヘッド23は、回転駆動されることはないが、昇降ロッド24の下端に対しては自由に回転可能に連結されている。
【0035】
キャップ供給機構20の基本的な動作として、反転支持バー22は、一端側の吸着ヘッド23が、キャップ搬送コンベヤ2上で順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の吸着ヘッド23が、容器搬送コンベヤ1で順次搬送された所定位置の容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて180度ずつ正逆回転する。なお、前記キャップ搬送コンベヤ2の後端寄りには、キャップBを吸着される定位置に一時的に留めるためのストッパ3(図1参照)が無端ベルト上に架設されている。
【0036】
このようなキャップ供給機構20の一連の動作の詳細なタイミングは、後述する制御盤60によって制御されるように構成されている。なお、キャップ供給機構20は、容器Aの口部A1にキャップBを単に載せた状態とするものである。すなわち、キャップ供給機構20は、従来一般のキャッパー装置のように、キャップBを容器Aに一周り程ネジ込ませる必要はなく、単にキャップBを容器Aの口部に載せるように供給するだけで足りるものである。
【0037】
<キャップ巻締機構30>
図1に示すように、キャップ巻締機構30は、所定位置にある容器Aの口部A1上のキャップBを両側から挟み込み位置決めしつつ締め付ける機構である。キャップ巻締機構30は、左右に分かれた各ステージ台15A,15Bに対して、それぞれ分割して構成されている。すなわち、キャップ巻締機構30は、各ステージ台15A,15B上に別々に取り付けられた一対の締結回転体31,31を有してなる。
【0038】
一対の締結回転体31,31は、所定位置に保持された容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持されており、キャップBに近接した際に圧接可能なものである。各締付回転体31は、キャップBに圧接して互いに回転することにより、キャップBを回転させて容器Aの口部A1に巻き締め可能なものである。各締付回転体31は、平面視で互いに反時計回りである同方向に回転することにより、キャップBに対して両側から逆向きとなる回転力を伝達して巻き締めることができる。ここで各締付回転体31は、詳しくは後述するが、回転の有無、回転方向、回転数、トルク、およびキャップBを挟み込む圧力に関して、それぞれ制御可能に構成されている。
【0039】
図7図8に示すように、締付回転体31は、相対向する側に配された2つの把持ローラー311と、各把持ローラー311の後方で互いに広い間隔に配された2つの張架ローラー312と、各張架ローラー312間の後方に配された駆動ローラー313と、これらの外側に張架された無端の環状体310で構成されている。環状体310は、ベルト状あるいは紐状に摩擦力のある弾性材質により形成されたものであり、本実施形態では細幅な平坦ベルトが採用されている。また、2つの把持ローラー311間には、環状体310を部分的に凹状に巻き回すピン状のガイドローラー316も配されている。
【0040】
各張架ローラー312と駆動ローラー313は、左右で形状の異なる移動台32A,32Bの下面側に回転可能に軸支されている。各把持ローラー311とガイドローラー316は、移動台32A,32Bの下面側に対して位置調整可能な調整板33下に回転可能に軸支されている。各把持ローラー311は、環状体310を介してキャップBに直接的に圧接するものである。ここで環状体310は、ガイドローラー316によって各把持ローラー311間に直線状に張られていないため、キャップBは左右両側から4点で保持されることになる。また、各把持ローラー311は、調整板33ごと移動台32A,32Bに対する取付位置を予め調整して固定することができる。
【0041】
各張架ローラー312は、環状体310を外側に付勢して、その張力を適切に保つ機能を果たすものである。また、駆動ローラー313は、環状体310を回転駆動するものであり、移動台32A,32Bの上面側に配設された電動モーター34の出力軸に連結されている。本実施形態では、電動モーター34の駆動を制御することにより、締付回転体31の回転の有無、回転方向、回転数、トルクを任意の値に調整することができる。また、駆動ローラー313は、電動モーター34ごと移動台32A,32Bに対する取付位置を調整して固定することにより、前記調整板33の取付位置の調整と相俟って、予め環状体310は最適な張力となるように設定されている。
【0042】
このように各締付回転体31は、それぞれ移動台32A,32Bに固定され、各移動台32A,32Bは、それぞれの側にある各ステージ台15A,15B上に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に移動可能に取り付けられている。これにより各締付回転体31は、互いに離間ないし近接が可能に構成されている。各締付回転体31(移動台32A,32B)が互いに近接して、キャップBに圧接する動作は、例えばエアシリンダー35による圧縮空気を利用して行われるように構成されている。
【0043】
各締付回転体31を互いに離間ないし近接させる機構は、図7、8に示すように、エアシリンダー35が固定された移動台32Aに設けられた第1ラック36と、同じく移動台32Bに設けられたピニオン37と、もう一方の移動台32Aに設けられた第2ラック38と、を有している。第1ラック36は、エアシリンダー35が上面側に固定された移動台32Bの下面側において、その一端縁に沿って先端が少し移動台32Aより突出するように固定されている。第2ラック38は、他方の移動台32Aの下面側において、第1ラック36と平行に対峙し移動台32Aより長く延出するように固定されている。
【0044】
第1ラック36と第2ラック38は、それぞれピニオン37と噛み合っており、互いに平行に相反する左右方向に移動可能に支持されている。第1ラック36が固定されている移動台32Bは、エアシリンダー35の駆動によって左右方向に移動可能に支持されている。よって、移動台32Bと共に第1ラック36が移動すると、ピニオン37の回転を介して第2ラック38も逆方向に移動するため、各締付回転体31は互いに離間ないし近接するように構成されている。
【0045】
第1ラック36と第2ラック38は、それぞれ移動台32B,32Aに対して取付位置を調整可能に固定されている。また、移動台32A,32Bは、それぞれステージ台15A,15B上に対して左右方向に正確に移動するように、例えば長溝やピン等によるガイドが設けられている。なお、図1から図5では、各ラック36,37は図示省略したが、特に第2ラック37は、キャップ供給機構20の動作に干渉しない位置で、各移動台32A,32Bの間に渡って架設されている。
【0046】
本実施形態では、エアシリンダー35の駆動を制御することにより、各締付回転体31がキャップBを挟み込む圧力を任意の値に調整することができる。具体的には、図9図10に示すように、エアシリンダー35を駆動する圧縮空気のエアー経路351,352を複数とし、電磁弁353~356を複数個設けることにより、各締付回転体31がキャップBを挟み込む圧力を調整するように構成されている。
【0047】
詳しく言えば、ポンプ等の圧縮空気の供給源(図示せず)を作動させて、エアシリンダー35を駆動するが、圧縮空気の供給源からは、低圧の圧縮空気(低圧エアー)のエアー経路351と、高圧の圧縮空気(高圧エアー)のエアー経路352とが、それぞれ分岐しており、各エアー経路351,352ごとに精密レギュレター(図示せず)を介して、別々のノーマルクローズ仕様の電磁弁353,354に供給される。
【0048】
各電磁弁353,354からのエアー経路は、それぞれ最初の3ポート電磁弁355に接続されており、最初の3ポート電磁弁355のうち1つだけの排気ポートは、さらに2番目の3ポート電磁弁356に接続されている。この2番目の3ポート電磁弁356のうち2つの排気ポートは、それぞれエアシリンダー35に対して各締付回転体31の開閉を切り替え可能に接続されている、すなわち、3ポート電磁弁356のうち一方の排気ポートは、各締付回転体31を開くように離間させるものであり、他方の排気ポートは、各締付回転体31を閉じるように近接させるものとなる。
【0049】
各締付回転体31によるキャップBの圧接による挟み込みは、本実施形態では、例えば容器Aが左右一対のクランプ50,50によって保持された直後に、前述したようにエアシリンダー35を駆動して開始される。そして、各締付回転体31は、キャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行するように制御される。ここで各締付回転体31は、キャップBを挟み込んだとき、互いに回転駆動されることにより、容器Aの口部A1にキャップBは巻き締められるように構成されている。
【0050】
また、各移動台32A,32Bの初期位置では、各締付回転体31がキャップBの外径よりも広く離間しているが、この間隔は、キャップBの大きさ等に応じて予め調整できるように構成されている。すなわち、左右一対の移動台32A,32Bは、それぞれの各ステージ台15A,15B上で、例えばハンドル等の操作によって近接ないし離間して位置調整できるように構成されている。従って、各締結回転体31は、互いに離間した初期位置から近接する間隔を、キャップBの大きさに合わせて調整することができる。
【0051】
さらに、各締付回転体31は、ベース台12に対して高さ調整可能に構成されており、各種の容器AのキャップBの高さに応じて、キャップBの両側から確実に圧接できるように構成されている。すなわち、各ステージ台15A,15Bは、それぞれ上下方向に位置調整が可能に構成されている。なお、キャップ巻締機構30のフレーム枠16も、左側のステージ台15Aと一緒に上下方向に移動する。
【0052】
図1に示すように、本体フレーム11の両側後方の各支柱13の手前には、一対となる昇降用のスクリューロッド17,17が平行に並ぶように立設されている。この各スクリューロッド17の回転に伴い上下移動するナット等の動力伝達系を介して、各ステージ台15A,15Bは上下方向に同時に移動可能に支持されている。よって、キャップ巻締機構30は、各ステージ台15A,15Bごと上下方向に位置調整することができる。なお、一方のスクリューロッド17の上端には、回転操作用のハンドル18が設けられており、他方のスクリューロッド17にも同時に回転操作が伝達されるように、ベルト19を介して連結されている。
【0053】
<制御手段>
キャッパー装置10は、各締付回転体31等の各駆動系の具体的な動作を制御する制御手段を有している。本実施形態では、制御手段を図示省略したが、例えば図15に示す後述の第2実施形態に係るキャッパー装置10Aのように、制御手段である制御盤60が適所に配設されている。制御盤60は、例えば機械の制御に適したPLC(Programmable Logic Controller)を用いると良い。PLCは、ハードウェアのほか、シーケンス制御を行うソフトウェアを備えており、前述したクランプ50、キャップ供給機構20、キャップ巻締機構30の各動作を予めプログラミングすることができる。
【0054】
図15に示すように、制御盤60の正面側には、各種操作ないし設定を表示するための表示画面61、各種操作ないし設定を行うためのスイッチ類62が設けられている。なお、制御手段として、PLCの代わりにコンピューターで代用することもできるが、PLCは、機械の制御の反応速度に優れるほか、回路設計・動作変更も容易であり、安価で信頼性が高いという特徴がある。
【0055】
制御盤60は、本発明の根幹であるキャップ巻締機構30の制御として、各締付回転体31をキャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接させて挟み込み再び離間させる動作を複数回にわたり実行する。このように各締付回転体31を、キャップBに近接させて挟み込み再び離間させる動作を本締め前に少なくとも1回行うことにより、容器Aの口部A1上のキャップBの締め付け姿勢を正しい状態に矯正することができ、その後にキャップBを本締め相当のトルク値で締め付けて動作を完了することが可能となる。
【0056】
複数回に亘る各締付回転体31の近接ないし離間の動作において、制御盤60は、各締付回転体31をキャップBに近接させたとき、各締付回転体31の回転の有無、回転方向、回転数、トルク、それにキャップBを挟み込む圧力をそれぞれ調整可能であり、それぞれ予めスイッチ類62等の操作によって任意に設定することができる。制御盤60は、各締付回転体31をキャップBに近接させて挟み込み再び離間させる動作(以下「開閉動作」)の回数も予め設定することができる。
【0057】
このような開閉動作において、各締付回転体31がキャップBに近接したときの圧力のほか、回転の有無、回転方向、回転数、トルクは、それぞれ各回ごとに予め設定することができる。また、各締付回転体31の開閉動作を少なくとも1回行った後、各締付回転体31の最後の近接に伴うキャップBの巻き締めは、仮締めではなく本締め相当のトルク値で行われるように設定されている。なお、各締付回転体31の詳しい設定ないし動作の具体的な一例については後述する。
【0058】
以下に、本実施形態に係るキャッパー装置10の作用について説明する。
<キャッパー装置10の運転準備>
最初にキャッパー装置10を運転するに際しては、取り扱う容器AおよびキャップBの種類に応じて各部品の位置を予め調整しておく。例えば、キャップ巻締機構30を配設した左右一対のステージ台15A,15Bは、ハンドル18の回転操作により同期して上下方向に移動可能である。よって、各締付回転体31の高さ位置を、容器Aの高さに応じて予め調整する。
【0059】
また、前述したように、各締結回転体31が互いに離間した初期位置での間隔、各クランプ50が互いに離間した初期位置での間隔、それに各ガイド40間の固定された間隔も、それぞれ容器AおよびキャップBの大きさに応じて予め調整しておく。このように本キャッパー装置10は、各部品の可動域が広いため、様々な種類の容器AおよびキャップBを部品交換することなく扱うことが可能である。
【0060】
キャッパー装置10の電源を投入した後、前述した制御盤60の設定画面によって、各構成部品の動作制御に関する設定を行う。例えば、容器搬送コンベヤ1およびキャップ搬送コンベヤ2の動作、各クランプ50の動作、キャップ供給機構20の動作、それにキャップ巻締機構30の動作等について適宜設定する。特に、キャップ巻締機構30における各締付回転体31の開閉動作によるつかみ直し制御等、一部の制御の詳細については後述する。
【0061】
<キャッパー装置10の動作>
キャッパー装置10の運転準備が済んだら、先ず作業者は、別工程で化粧水等の内容物が充填された容器Aを、容器搬送コンベヤ1の手前側に順次供給する。容器搬送コンベヤ1に立てた状態で置かれた容器Aは、ベルトの回転進行に伴って左右一対のガイド40,40間に案内され、ベルトの幅方向の位置が調整されつつ、左右一対のクランプ50,50間の所定位置に到達する。
【0062】
次いで各クランプ50は、互いに近接して容器Aを圧接保持する。容器搬送コンベヤ1のベルト表面は滑りが良いため、容器搬送コンベヤ1の進行にも関わらず、各クランプ50による保持によって、容器Aは容器搬送コンベヤ1上において所定位置に停止ないし固定される。容器Aがクランプ50により保持固定されると同時に、キャップ供給機構20によって、容器Aの口部A1に真上よりキャップBが載せられる。
【0063】
このとき、従来一般のキャッパー装置のように、容器Aの口部A1にキャップBを一回り程度もネジ込む必要は一切ない。ただ単にキャップBを容器Aの口部に被せて載せるだけで足りる。従って、キャップ供給機構20の動作に関しては、容器搬送コンベヤ1上の所定位置にある容器Aと、キャップ搬送コンベヤ2上の定位置にあるキャップBに対する吸着ヘッド23の昇降動作が、単に上下方向に合致する程度の精度出しで足りる。
【0064】
キャップ供給機構20では、反転支持バー22が電動モーター21によって180度ずつ正逆回転を繰り返す。このとき、反転支持バー22の一端側の吸着ヘッド23は、キャップ搬送コンベヤ2上を順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇する。一方、反転支持バー22の他端側の吸着ヘッド23は、所定位置に保持固定されている容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する。
【0065】
このように本キャッパー装置10のキャップ供給機構20では、いわば一往復(一回転)ごとのキャップの供給ではなく、片道(半回転)ごとにキャップBを連続して供給することが可能となり、キャップBの供給に関する処理能力を格段に向上させることができる。一方、従来技術のキャッパー装置では、キャップを吸着して供給する動作において、一般にキャップを吸着している最中は他の動作(新たなキャップの吸着等)は何もしてないため、処理能力が上がらず動作の往復分だけ工程に無駄が生じていた。
【0066】
キャップ供給機構20の効率的な動作は、キャップ巻締機構30における各締付回転体31の駆動系を含む構成部品とその可動領域を、キャップ供給機構20における反転支持バー22および各吸着ヘッド23の動作軌跡に干渉しない位置に配置したことによって実現されている。従来一般のキャッパー装置では、キャップの巻締位置にある容器の真上には、キャップを吸着保持ないし回転させる電動モーターやその動力伝達機構が存在するため、キャップ供給機構20のような構成を設けることは配置スペース上できなかった。
【0067】
次いで、容器Aの口部A1上にキャップBが載せられると、直ぐにキャップ巻締機構30が作動する。すなわち、左右一対の締付回転体31,31の間隔が狭まるように、キャップBの両側から接近してキャップBを挟み込む。このとき、各締付回転体31が互いに回転することにより、キャップBは容器Aの口部A1に締め付けられるが、キャップの締め付け完了までの間に、各締付回転体31がキャップBに近接して挟み込み再び離間する開閉動作は複数回にわたり実行される。
【0068】
このような各締付回転体31の開閉動作の繰り返し(つかみ直し制御)によれば、最初はキャップBがボトルAに対して軸心が斜めにずれていたとしても、キャップBはつかみ直される度に自重で軸心が鉛直方向に近づき、正しい締め付け姿勢に矯正される。これにより、最後はキャップBを本締め相当のトルク値で確実に締め付けることが可能となる。従って、従来一般のキャッパー装置のように、仮締め機と本締め機を別々に分ける必要はなく、1つの装置で仮締めと本締めを実現することができる。
【0069】
ところで各締付回転体31は、図8に示すように、一対の把持ローラー311,311が、環状体310を介してキャップBに対接する。ここで環状体310は、ガイドローラー316によって各把持ローラー311間に直線状に張らないため、キャップBは左右両側から4点で保持されることになる。このような各締付回転体31によれば、キャップBをいっそう確実に位置決めした状態で保持することが可能となる。
【0070】
<キャップ巻締機構30のつかみ直し制御>
図11は、キャップ巻締機構30のつかみ直し制御の設定に関するフローチャートである。図12から図14は、制御盤60の表示画面61における各種設定の一例を示している。図11において、先ず最初にキャップ巻締機構30の各締付回転体31によるキャップBのつかみ直しの有無、すなわち各締付回転体31の開閉動作を繰り返すか否かについて切り替える(ステップS101)。
【0071】
図12に示す「巻締めクランプ」項目において、「1回」を選択した場合、各締付回転体31のつかみ直しは無く、「2回」を選択した場合、各締付回転体31による本締め前に1回だけ開閉動作が行われ、合計2回の開閉動作となる。ここで開閉動作の繰返し回数は2回までに限定されることはなく、その回数は最低2回として適宜定め得る設計事項である。
【0072】
図11のステップS101において、キャップBのつかみ直しが有りの場合、ステップS106に移行して、図12に示す「巻締めクランプ」項目で各種タイマー等をセットする。すなわち、各締付回転体31の1回目の開閉動作でキャップBを挟み込むクランプ時間と、キャップBから離間しているクランプ解放時間を設定する。一方、キャップBのつかみ直しが無しの場合、ステップS106におけるセット後と同じく、ステップS102に移行して、各締付回転体31の電動モーター34の逆転の有無を切り替える。
【0073】
各締付回転体31は、通常はキャップBを巻き締める反時計回りの同方向に回転することになるが、これとは反対にキャップBを緩めて外す時計回りの同方向に回転することが「逆転」を意味する。このような逆転によれば、容器Aの口部A1とキャップBの軸心のずれや嵌合不良(かじり)をいったんリセットして、再び互いの軸心を合わせる芯出しが可能となる。
【0074】
図12に示す「逆転」項目において、「逆転有」を選択した場合、ステップS107に移行して、図12に示す「逆転」項目で各種タイマー等をセットする。すなわち、各締付回転体31が、正転してから逆転するか、最初から逆転するかを切り替えた後、正転してから逆転の場合(正転後)、さらに正転する時間と逆転する時間をそれぞれ設定する。また、最初から逆転する場合(クランプ後)、逆転している時間を設定する。なお、後述する回転開始タイミングで「起動時」を選んでいるときには、「逆転」を選択することはできない。
【0075】
一方、「逆転無」を選択した場合、ステップS107におけるセット後と同じく、ステップS103に移行して、各締付回転体31の電動モーター34の回転開始タイミングとして、1回目の挟み込み後に回転させるか、2回目の挟み込み後に回転させるかについて切り替える。また、装置の起動時に最初から各締付回転体31を回転させる制御も選択することができる。このように回転開始タイミングを起動時とする制御は、例えば生産能力を上げたい場合に選択すると良い。
【0076】
図12に示す「回転開始タイミング」項目において、「♯1クランプ後」を選択した場合、各締付回転体31は1回目の挟み込み後に回転する。かかる選択の場合、ステップS104に移行して、図12に示す「回転開始タイミング」項目で各種タイマー等をセットする。すなわち、各締付回転体31が、1回目の開閉動作時にキャップBを挟み込んでから回転するまでの所要時間、それに各締付回転体31の回転数として電動モーター34の回転数等を設定する。
【0077】
一方、「♯2クランプ後」を選択した場合、各締付回転体31は1回目の開閉動作時に回転することはない。すなわち、各締付回転体31はキャップBを挟み込んで位置決めするだけであり、この時点ではキャップBを締め込むことなく離間する。そして、各締付回転体31は2回目の開閉動作時に回転する。かかる選択の場合、ステップS108に移行して、前記「♯1クランプ後」を選択した場合と同様に、図12に示す「回転開始タイミング」項目で各種タイマー等をセットする。
【0078】
すなわち、各締付回転体31が、2回目の開閉動作時にキャップBを挟み込んでから回転するまでの所要時間、それに各締付回転体31の回転数として電動モーター34の回転数等を設定する。なお、図13において、前述したように回転開始タイミングを起動時と選択した場合、前述したステップS102では、「逆転有」を選択することはできず、また、後述するキャップ供給機構20の制御ではタイマー設定による吸着開放のみの選択となる。
【0079】
また、制御盤60の表示画面61では、各締付回転体31がキャップBを締め付けるための電動モーター34のトルクについても設定する。前述したように各締付回転体31は、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を繰り返すことにより、容器Aの口部A1上のキャップBの締め付け姿勢を正すことができる、これにより、各締付回転体31の最後の開閉動作時におけるトルクは、仮締めではなく締め相当の値に設定することができる。
【0080】
トルクの設定に関しては、図14に示す「トルク設定方法切替」項目で、デジタル設定とアナログ設定とに切り替えることができる。デジタル設定では、画面上で設定トルクの数値を入力し、容器AとボトルBの品種毎に最適な値が記憶される。アナログ設定では、外部ボリュームに応じて設定され、その数値が画面上に表示され、容器AとボトルBの品種を切り替える度に設定が必要となる。
【0081】
また、各締付回転体31の回転を停止するタイミングは、電動モーター34のトルクアップ信号に基づいて停止させるように設定すると良い。ただし、各締付回転体31がキャップBを挟み込んだ瞬間や軸心がずれた場合には、トルクアップ信号が出力されてしまうことがあるため、トルクアップ無視時間を設定すると良い。なお、各締付回転体31の回転を停止するタイミングは、トルクアップとは無関係にタイマーで所定時間の経過後に回転を停止するように設定しても良い。
【0082】
さらに、制御盤60の制御によれば、各クランプ50が作動するタイミングやキャップBを挟み込む圧力のほか、各締付回転体31がエアシリンダー35の駆動によりキャップBを挟み込む圧力等も適宜設定することができる。特に、各締付回転体31がキャップBを挟み込む圧力に関しては、前述しようにエアシリンダー35を駆動する圧縮空気のエアー経路351,352を複数とし、電磁弁353~356を複数個設けることにより、容易に調整することができる。
【0083】
具体的な調整としては、例えばキャップBが硬度の低い品種であれば、各締付回転体31の1回目の開閉動作時は弱い圧力で挟み込み、2回目の開閉動作時は強い圧力で挟み込んで本締めするように設定すると良い。これにより、従来一般のキャッパー装置の問題点の一つであったキャップBおよび容器Aの摩耗を防止することができる。なお、キャップBを挟み込む圧力は、強弱の2段階だけに限らず、3段以上に細かく設定できるように構成しても良い。
【0084】
以上のような各設定により、図11の最後のステップS105として、前述したキャップ巻締機構30によるキャップBの締め付け動作を実施することができる。このようなキャッパー装置10によれば、容器Aの口部A1に載せたキャップBを締め付けるときに、キャップBのつかみ直しを行うことにより、キャップBの締め付け姿勢を正した状態での締め付けを可能とし、キャップBの変形や摩耗を含む不具合、締め付け不足および嵌合不良(所謂かじり)を容易に防止することができる。
【0085】
また、キャップ供給機構20の動作に関しても、制御盤60の表示画面61にて、キャップBの供給後における吸着ヘッド23の真空破壊のタイミング等を適宜設定する。吸着ヘッド23の真空破壊は、多少エアーを吹き出すことになり、キャップBを吹き飛ばす力が発生する。ここで吸着ヘッド23は、キャップBを吸着したままの状態でも、フリーで回転可能となっているため、キャップ巻締機構30による締め付け動作に、大きく影響を及ぼすことはない。
【0086】
[第2実施形態]
図15から図17は、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aを示している。
図15図16に示すように、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aは、前記キャッパー装置10とは本体フレーム11A等の具体的な形状が異なるほか、キャップ搬送コンベヤ2とキャップ供給機構20を備えず、キャップBは人手により容器Aの口部に載せた状態でキャップ巻締機構30Aに供給されるように構成されている。なお、第1実施の形態と同種の部位については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0087】
図15に示すように、キャッパー装置10Aは、本体フレーム11Aをなす左右一対のベース台12,12を、容器搬送コンベヤ1の両外側に位置させて、容器搬送コンベヤ1の上方に据え置かれる。各ベース台12には、第1実施形態では図示省略した高さ調整用のアジャスター12aが設けられている。また、本体フレーム11Aの上部には、第1実施形態では図示省略した制御盤60が配設されている。
【0088】
キャップ巻締機構30Aは、前記キャップ巻締機構30と同様に、容器搬送コンベヤ1上の所定位置に保持された容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持された一対の締付回転体31A,31Aを有している。締付回転体31Aは、適宜変更し得る設計事項の範囲内で前記締付回転体31とは具体的な構成が若干異なっている。ただし、キャップ巻締機構30Aの制御に関しては、前述したキャップ巻締機構30と同様に、各締付回転体31Aが、キャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能に設定されている。
【0089】
第2実施形態に係るキャッパー装置10Aでは、前述したキャップ供給機構20を備えていないため、キャップBは人手により容器Aの口部A1に載せた状態でキャップ巻締機構30Aに供給される。このような構成によれば、取り扱うキャップBは、天面が平らな一般的な品種に限らず、図示省略したがノズル付きキャップにも対応可能である。ここでノズル付きキャップとは、容器内の液体を泡状または霧状にして吐出するためのポンプを備えたものである。
【0090】
ノズル付きキャップでは、天面上のポンプよりノズルが外周の一方向へ突出するように設けられている。ノズルからの内容物の吐出は、ノズルをポンプごと押し下げるか、ノズルの下に設けられたトリガーを引いて行われる。ノズル付きキャップの内側には、ポンプから容器内に伸びる吸引ホースが設けられており、トリガー式の場合の吸引ホースは、最後まで内容物を使い切れるようにノズルの突出方向寄りに湾曲している。
【0091】
この種のノズル付きキャップの締め付けに際しては、ノズルが搬送方向に対して横向きになると締付回転体31Aに衝突してしまうため、これを防止するためにはノズル付きキャップのノズル側を搬送方向の前方または後方に向くように方向規制する必要がある。そのため、第2実施形態では、ノズル付きキャップにおけるノズルの向きを方向規制するための案内ロッド70を備えている。図15図16に示すように、案内ロッド70は、各締付回転体31Aを取り付けた左右一対の動台32A,32Bに、それぞれ左右一対となるように設けられている。
【0092】
各案内ロッド70は、図示のものは収納状態にあり、使用時には下部の軸を中心に先端が広くなるように水平に突き出させるように操作することができる。このような各案内ロッド70によれば、容器搬送コンベヤ1上を進行する容器の口部に載せられたノズル付きキャップにおけるノズルの向きを、容器搬送コンベヤ1の進行に従って搬送方向の前方または後方に揃えるように方向規制することが可能であり、横向きでノズルが締付回転体31Aに衝突するのを防止することができる。
【0093】
また、第2実施形態では、キャップ巻締機構30Aの締付回転体31Aを、互いに対向する位置でそれぞれ回転方向に向けて水平面よりも斜め下方に傾斜するように配設しても良い。このような構成によれば、容器Aの口部A1にキャップBを人手により軽くねじ込む作業を要することなく、単に容器Aの口部A1にキャップBを載せた状態であれば、確実にキャップBを容器Aの口部A1に締め付けることができるという効果が奏される。
【0094】
図17は、第2実施形態に係るキャッパー装置10Aの変形例の要部を示している。この変形例の場合は、左右両側の把持ローラー311を、それぞれの軸心が正面から見て略ハの字形となるように、鉛直方向に対して僅かに傾斜させるように構成している。すなわち、各締結回転体31Aは、それぞれ各ローラー311~313を保持する傾斜板39に軸支されており、この傾斜板39が左右の移動台32A,32Bに固定されている。このような構成によれば、キャップBを下方に付勢しつつ回転することになるため、容器Aが浮き上がることを防ぐことができると共に、確実にキャップBをボトルAの口部A1に締め付けることができる。
【0095】
さらに、第2実施形態では、ノズル付きキャップを各締付回転体31Aによって締め付けるとき、ノズル付きキャップの前傾姿勢を水平な状態に矯正する機構を付加しても良い。ノズル付きキャップは、ノズルの重さ(およびノズルの突出方向寄りに湾曲した吸引ホースの重さ)によって前傾姿勢になりやすい。そこで、ノズル付きキャップが各締付回転体31に挟み込まれる前に、例えばノズルあるいはノズル下に設けられた操作用トリガーに下から当接させて、前傾姿勢を水平な状態に矯正する機構が考えられる。このような機構によれば、ノズル付きキャップであっても、確実に締め付けることが可能となる。
【0096】
[本発明の構成と作用効果]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0097】
先ず、本発明は、容器Aの口部A1に載せたキャップBを締め付けるキャッパー装置10,10Aにおいて、
所定位置に保持された容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持された一対の締付回転体31,31Aを有し、
前記各締付回転体31,31Aは、キャップBに圧接して互いに回転することにより、キャップBを回転させて容器Aの口部A1に巻き締め可能であり、
前記各締付回転体31,31Aは、キャップBの締め付け完了までの間に、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を複数回にわたり実行可能であることを特徴とする。
【0098】
このような構成によれば、容器Aの口部A1に載せたキャップBを締め付けるときに、キャップBのつかみ直しを行うことにより、キャップBの締め付け姿勢を正した状態での締め付けを可能とし、キャップBの変形や摩耗による不具合、締め付け不足および嵌合不良(所謂かじり)を容易に防止することができる。
【0099】
すなわち、本キャッパー装置10,10Aによれば、先ずはキャップBの嵌合不良(所謂かじり)を防止することができる。従来一般のベルト式のキャップ供給機やキャップ仮締め機では、最初にキャップBをつかむ際に容器Aの口部A1に対してキャップBの軸心が斜めにずれた状態でつかんでしまうと、容器Aを締め込むときに口部A1のネジ山とキャップBのネジ溝が嵌合不良(所謂かじり)を起こす虞があった。
【0100】
これに対して本キャッパー装置10,10Aでは、容器Aの口部A1にキャップBを置いた状態で、改めてキャップをつかみ直すことにより、最初はキャップBがボトルAに対して軸心が斜めにずれていたとしても、キャップBはつかみ直される度に自重で軸心が鉛直方向に近づき、正しい締め付け姿勢に矯正される。これにより、キャップBの嵌合不良(所謂かじり)を簡易な制御によって、確実に防止することができる。
【0101】
また、本キャッパー装置10,10Aによれば、キャップBの締め付けトルクの精度を向上させることができる。従来一般のベルト式のキャッパー装置(キャップ本締め機)では、キャッピングの初期段階においてキャップBを斜めに挟みこんだり、強く挟みこんでしまうと、キャップBが変形してしまい、予め設定した所望のトルクで締め付けることができない。一方で、キャップBを弱い圧力で挟み込むと、各回転ベルトに触れたキャップBが滑ってしまい、やはり設定したトルクまで締め込むことができなかった。
【0102】
これに対して本キャッパー装置10,10Aでは、キャッピングの初期段階では、締付回転体31,31AによりキャップBを弱く挟み込んだ状態で巻き締めを行い、容器Aの口部A1にキャップBがある程度入り込み安定した状態となった後で、改めてつかみ直しを行う。そして、最後はキャップBを挟み込む圧力を強くして、本締め相当のトルクで締め付けることにより、キャップBの締め付けを完了する。これにより、従来のように仮締め機と本締め機を別々に分ける必要はなく、1つの装置で仮締めと本締めを実現することができる。
【0103】
さらに、本キャッパー装置10,10Aによれば、キャップBおよび容器Aの摩耗を防止することができる。従来一般のベルト式のキャップ供給機やキャップ仮締め機では、最初にキャップをつかむ際に高い圧力で挟み込んでしまうと、キャップBがひずみ無理やり容器Aの口部A1にねじり込ませる形になる。そのため、キャップBと容器Aが擦れて摩耗してしまい、摩耗粉が発生する虞があった。しかも、キャップBを強く挟みこんでしまうと、前述した嵌合不良(所謂かじり)の原因にも成り得る。
【0104】
これに対して本キャッパー装置10,10Aでは、前述したようにキャッピングの初期段階では、締付回転体31,31AによりキャップBを弱く挟み込んだ状態で巻き締めを行い、つかみ直しにより改めて高い圧力によってキャップBを持ち直し、本締め相当のトルクをくわえて締め込みを行うことにより、キャップBおよび容器Aの摩耗を防止することができる。
【0105】
また、本発明では、前記各締付回転体31,31Aは、キャップBに近接して挟み込み再び離間する動作を繰り返すことにより、容器Aの口部A1上のキャップBの締め付け姿勢を正した後、キャップBを本締め相当のトルクで締め付け可能であることを特徴とする。
このような構成により、前述したように、キャップBの嵌合不良(所謂かじり)を防止することができ、また、キャップBの締め付けトルクの精度を向上させることができ、さらに、キャップBおよび容器Aの摩耗を防止することができる。
【0106】
また、本発明では、前記各締付回転体31,31Aの動作を制御する制御手段60を有し、
前記制御手段60は、前記各締付回転体31,31AがキャップBに近接したとき、前記各締付回転体31,31Aの回転の有無、回転方向、回転数、トルク、およびキャップBを挟み込む圧力のうち、少なくともいずれか一つを設定可能であることを特徴とする。
このような制御手段60の制御によって、前述した本発明の効果を奏するように、本キャッパー装置10,10Aを運転することが可能となる。
【0107】
さらに、本発明では、前記制御手段60は、前記各締付回転体31,31AがキャップBに近接して挟み込み再び離間する動作の回数も設定可能であることを特徴とする。
このような制御手段60の制御によって、前述した本発明の効果をより確実に実現することができる。
【0108】
[別の本発明の構成と作用効果]
また、前述した実施形態からは、次のような別発明も導かれる。
すなわち、所定位置に順次搬送されて保持される容器Aの口部A1に対して、真上よりキャップBを供給して載せるキャップ供給機構20を備え、
前記キャップ供給機構20は、
水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バー22と、
前記反転支持バー22の一端側と他端側に、それぞれ上下方向に昇降可能に支持され、キャップBを吸着して保持可能な一対の吸着ヘッド23,23と、を有し、
前記反転支持バー22は、一端側の前記吸着ヘッド23が、順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の前記吸着ヘッド23が、順次搬送された所定位置の容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて、正逆回転することを特徴とする。
【0109】
このような別発明の構成によれば、キャップ供給機構20では、いわば一往復(一回転)ごとのキャップBの供給ではなく、片道(半回転)ごとにキャップBを連続して供給することが可能となり、キャップBの供給に関する処理能力を格段に向上させることができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の主要部をなすキャップ供給機構20およびキャップ巻締機構30における各部品の具体的な形状ないし配置は、図示した構成に限定されることはない。
【0111】
また、本キャッパー装置10,10Aを、本体フレーム11,11Aごと全体的に囲むケーシングを備えても良い。ケーシングは、例えば、金属製フレーム材で組んだ枠組みの各面を透明な樹脂製のパネルで覆って構成される。これにより本キャッパー装置10,10Aを、衛生的な閉鎖空間で運転することができる。なお、パネルの適所には、各搬送コンベヤ1,2等を適宜通すための開口部を設けることになる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係るキャッパー装置は、様々な容器におけるキャップの締め付けに広く適用することができ、例えば、無菌室での比較的高価な中身の充填作業を伴う分野において特に有効利用され得るものである。
【符号の説明】
【0113】
A…容器
A1…口部
B…キャップ
1…容器搬送コンベヤ
2…キャップ搬送コンベヤ
10,10A…キャッパー装置
11,11A…本体フレーム
15…ステージ台
20…キャップ供給機構
21…電動モーター
22…反転支持バー
23…吸着ヘッド
30,30A…キャップ巻締機構
31,31A…締結回転体
32…移動台
33…調整板
40…ガイド
50…クランプ
60…制御盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17