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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145064
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241004BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241004BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
G03G15/00 107
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057307
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】グゥエン・ダック・タン
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB29
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AD01
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA04
5C072DA12
5C072DA25
5C072EA07
5C072FB12
5C072NA01
5C072UA02
(57)【要約】
【課題】光学ユニットを標準反射板に対して好適に揺動させることによって、キャリブレーションを好適に行うことができる。
【解決手段】搬送装置8は、駆動部80と、光学ユニット84と、伝達部81とを備える。駆動部80は、駆動力を発生する。光学ユニット84は、光を照射する画像読取ユニット842を有する。伝達部81は、駆動部80が発生した駆動力を伝達して光学ユニット84を主走査方向に揺動させる。伝達部81は、遊星ギア部811と、遊星ギア部811の回転態様に応じて光学ユニット84の長手方向に揺動する揺動部材812とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生する駆動部と、
光を照射して反射光を画像センサーで読み取る画像読取ユニットを有する光学ユニットと、
前記駆動部が発生した前記駆動力を伝達して前記光学ユニットを主走査方向に揺動させる伝達部と
を備え、
前記伝達部は、遊星ギア部と、前記遊星ギア部の回転態様に応じて前記光学ユニットの長手方向に揺動する揺動部材とを有する、搬送装置。
【請求項2】
前記駆動部により回転してシートを搬送する搬送部をさらに備え、
前記伝達部は、前記駆動部が前記搬送部を前記シートの搬送方向に回転させるとき前記揺動部材を揺動させず、前記駆動部が前記搬送部を前記搬送方向と反対の逆搬送方向に回転させるとき前記揺動部材を揺動させる、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記遊星ギア部は、
太陽歯車部材と、
同軸上に形成された前記太陽歯車部材の外周に沿って配置される遊星歯車部材と、
前記駆動部の前記駆動力により回転する遊星キャリア部材と、
前記遊星歯車部材の外周に配置され前記遊星歯車部材と噛み合う内歯車部材と
を有し、
前記駆動部の回転方向に基づいて前記太陽歯車部材の回転を制止させるロック部材と
をさらに備え、
前記内歯車部材は、第1カムを有し、
前記揺動部材は、前記遊星ギア部に貫通する揺動シャフトと、
前記揺動シャフトと同軸上に前記第1カムと対向する第2カムを有し、
前記内歯車部材は、前記太陽歯車部材の回転が前記ロック部材により制止されているとき、前記駆動部の前記駆動力により前記遊星キャリア部材および前記遊星歯車部材とともに回転し、
前記揺動部材は、前記内歯車部材が回転すると、前記第2カムと前記第1カムとの噛み合いがずれることにより、前記光学ユニットを揺動させる、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記内歯車部材の前記第1カムは、
前記内歯車部材に近付く方向に傾斜する第1下り傾斜部と、
前記第1下り傾斜部が前記内歯車部材に最も近付く第1底部と、
前記第1底部を始点に前記内歯車部材から離れる方向に傾斜する第1登り傾斜部と、
前記第1登り傾斜部が前記内歯車部材から最も離れる第1頂部と
を有し、
前記揺動部材は、前記遊星ギア部を貫通するギア側端部と、前記ギア側端部と反対側のガイド側端部とを有し、
前記揺動部材の前記第2カムは、
前記ギア側端部に近付く方向に傾斜する第2登り傾斜部と、
前記第2登り傾斜部が前記ギア側端部に最も近付く第2頂部と、
前記第2頂部を始点に前記ガイド側端部に近付く方向に傾斜する第2下り傾斜部と、
前記第2下り傾斜部が前記ガイド側端部に最も近付く第2底部と
を有し、
前記第1カムの前記第1底部から前記第1頂部までの軸方向距離と、前記第2カムの前記第2底部から前記第2頂部までの軸方向距離との和は、4mm以下である、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記内歯車部材の前記第1カムは、
前記内歯車部材に近付く方向に傾斜する第1下り傾斜部と、
前記第1下り傾斜部が前記内歯車部材に最も近付く位置である第1底部と、
前記第1底部を始点に前記内歯車部材から離れる方向に傾斜する第1登り傾斜部と、
前記第1登り傾斜部が前記内歯車部材から最も離れる位置である第1頂部と
を有し、
前記揺動部材は、前記遊星ギア部を貫通するギア側端部と、前記ギア側端部と反対側のガイド側端部とを有し、
前記揺動部材の前記第2カムは、
前記ギア側端部に近付く方向に傾斜する第2登り傾斜部と、
前記第2登り傾斜部が前記ギア側端部に最も近付く位置である第2頂部と、
前記第2頂部を始点に前記ガイド側端部に近付く方向に傾斜する第2下り傾斜部と、
前記第2下り傾斜部が前記ガイド側端部に最も近付く位置である第2底部と
を有し、
前記第1下り傾斜部と前記第2登り傾斜部、前記第1底部と前記第2頂部、前記第1登り傾斜部と前記第2下り傾斜部、および、前記第1頂部と前記第2底部は、それぞれ噛み合っている、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記画像読取ユニットは、CIS方式センサーである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記揺動部材は、前記第2カムが配置され、
前記光学ユニットは、
一端が前記光学ユニットと接続されたバネと、
前記揺動シャフトと当接可能なガイドと
を有し、
前記ガイドは、前記バネにより前記揺動シャフトに付勢されており、
前記揺動シャフトは、前記内歯車部材が回転すると、前記第2カムと前記第1カムとの噛み合いがずれることにより、前記ガイドを介して前記光学ユニットを揺動させる、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記画像読取ユニットは、前記第2カムと前記第1カムとの噛み合いがずれることにより揺動した後、さらに、前記第2カムと前記第1カムとが噛み合うことにより、シートの読み取り位置に戻る、請求項7に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワンウェイクラッチを用いてシェーディング補正を実行する画像読取装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-140446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、遊星歯車機構を活用したシェーディング補正を開示していない。
【0005】
本発明は、光学ユニットを標準反射板に対して好適に揺動させることによって、キャリブレーションを好適に行うことができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る搬送装置は、駆動部と、光学ユニットと、伝達部とを備える。前記駆動部は、駆動力を発生する。前記光学ユニットは、光を照射する画像読取ユニットを有する。前記伝達部は、前記駆動部が発生した駆動力を伝達して前記光学ユニットを主走査方向に揺動させる。前記伝達部は、遊星ギア部と、前記遊星ギア部の回転態様に応じて前記光学ユニットの長手方向に揺動する揺動部材とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の搬送装置によれば、光学ユニットを標準反射板に対して好適に揺動させることによって、キャリブレーションを好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る搬送装置を備える複合機の構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る搬送装置を示す図である。
図3】本実施形態に係る搬送装置を拡大した外観斜視図である。
図4】本実施形態に係る搬送装置の伝達部を拡大した外観斜視図である。
図5】(a)~(e)は、伝達部の遊星ギア部の構成を示す図である。
図6】(a)~(e)は、伝達部のロック部材の構成を示す図である。
図7】(a)および(b)は、揺動部材とバネを示す図である。
図8】伝達部の構成を示す外観斜視図である。
図9】(a)および(b)は、搬送シャフトとロック部材の動作を説明する図である。
図10】(a)および(b)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係を示す図である。
図11】(a)~(c)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係、および、揺動シャフトの移動量を示す図である。
図12】(a)~(c)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係、および、揺動シャフトの移動量を示す図である。
図13】(a)~(c)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係、および、揺動シャフトの移動量を示す図である。
図14】(a)~(c)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係、および、揺動シャフトの移動量を示す図である。
図15】(a)~(c)は、伝達部のロック部材と遊星ギア部との関係、および、揺動シャフトの移動量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については、同一の参照符号を付して、重複する説明を繰り返さない。
【0010】
まず、図1を参照して、複合機1を説明する。
【0011】
図1に示すように、複合機1は、原稿から画像データを取得し、または、外部のサーバー、クラウド、若しくは端末から画像データを取得する。複合機1は、画像データに基づき、シートに画像を形成して出力する。複合機1は、画像データ送受信機能と、画像読取機能と、画像形成機能とを複合した装置である。複合機は、一例として、スキャナー、プリンター、コピー機、電話機、印刷機、ファクシミリなどの機能を有する。
【0012】
クラウドは、インターネットなどのコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源を提供する利用形態であり、一例として、アプリケーションと、プラットフォームと、インフラストラクチャーとを有する。
【0013】
サーバーは、データを保管し、通信回線経由でリクエストがあったときに、対応するデータを提供する。
【0014】
複合機1は、原稿読取装置2と、画像形成装置3とを備えてもよい。
【0015】
まず、図1を参照して、画像形成装置3について説明する。図1に示す画像形成装置3は、シートに画像を形成する。
【0016】
画像形成装置3は、シートトレイ30と、シート給送ローラー31と、画像形成部32と、定着装置33と、シート排出ローラー34と、シート排出トレイ35とを有する。
【0017】
シートトレイ30は、シートを収納する。
【0018】
シート給送ローラー31は、シートトレイ30に収納されたシートを給送する。
【0019】
画像形成部32は、トナーまたはインクにより、シートに画像を形成する。画像形成装置3が電子写真方式である場合、画像形成部32は、感光体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写装置と、クリーニング装置と、除電装置とを含む。
【0020】
感光体は、一例として、感光体ドラムである。感光体ドラムは、外周面に感光層を有する。感光体ドラムの一例は、セレンドラム、OPC(有機光導電体:Organic Photoconductor)である。
【0021】
帯電装置は、感光体の感光層を所定の電位に帯電する。帯電装置の一例は、コロナ放電器である。
【0022】
露光装置は、感光体の感光層にレーザー光を照射して露光する。露光装置は、画像データに基づいて感光体の感光層を露光する。この結果、感光体に静電潜像が形成される。露光装置の一例は、LED(Light Emitting Diode)である。
【0023】
現像装置は、一例として、磁性体からなるキャリアおよびトナーを含む二成分現像剤を収容する。そして、現像装置は、トナーによって感光体に形成された静電潜像を現像して、感光体にトナー画像を形成する。転写装置は、感光体上のトナー画像をシートに転写する。クリーニング装置は、転写後に感光体に残留している残留トナーを除去する。除電装置は、感光体を除電する。
【0024】
画像形成装置3がインクジェットプリンターである場合、画像形成部32は、インクカートリッジと、インクタンクと、ポンプと、ヘッドと、ノズルと、電極と、搬送ベルトとを有する。
【0025】
インクカートリッジおよびインクタンクは、一例として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の水性インクを貯蔵する。
【0026】
ポンプは、インクタンクからヘッドにインクを供給する。
【0027】
ヘッドには、画素を構成する多数のノズルが配置される。ヘッドには、画像データに基づいて、画像データに対応する色のインクがインクタンクから供給される。ノズルからは、インクがシートに向けて吐出される。
【0028】
電極は、一例として、帯電電極と、偏向電極とを有する。帯電電極は、ノズルから吐出されたインクを帯電させる。偏向電極は、帯電されたインクの飛翔方向を制御する。
【0029】
搬送ベルトは、ヘッドのノズルと対向して配置され、シートを搬送する。搬送ベルトに搬送されるシートには、ヘッドのノズルから吐出されたインクにより画像が形成される。
【0030】
次に、画像形成装置3が電子写真方式である場合、定着装置33は、シートに現像されたトナー画像を加熱および加圧して、シートにトナー画像を定着させる。定着装置33は、例えば、定着ローラーと、ヒーターと、プレスローラーとを有する。
【0031】
定着ローラーは、中空円筒状のローラーである。定着ローラーは、プレスローラーに圧着される。プレスローラーと定着ローラーとは、ニップ部を形成する。プレスローラーは、図示しない駆動部により回転駆動され、定着ローラーとニップ部を形成することにより、定着ローラーを回転させる。
【0032】
ヒーターは、図示しない電源から電力を供給されて定着ローラーを加熱する。ヒーターは、定着ローラーの内周面に近接して配置される。定着装置33に搬送されたシートは、ニップ部を通過することにより、ヒーターに加熱され、トナー画像が定着される。
【0033】
画像形成装置3がインクジェットプリンターである場合、定着装置は必要ない。
【0034】
シート排出部は、画像形成装置3の本体の外部にシートを排出する。シート排出部は、シート排出ローラー34と、シート排出トレイ35とを有する。シート排出ローラー34は、定着装置33から搬送装置で搬送されたシートをシート排出トレイ35に排出する。シート排出トレイ35は、排出されたシートを収納する。
【0035】
次に、図1に加え、さらに図2を参照して、原稿読取装置2を説明する。図2は、本実施形態に係る搬送装置8を示す図である。
【0036】
図1および図2に示す原稿読取装置2は、原稿に記載された画像を読み取り、画像情報を出力する。原稿読取装置2の一例は、スキャナーである。原稿読取装置2は、原稿搬送装置を取り付けることができる。原稿搬送装置の一例は、ADF(Auto Document Feeder)である。
【0037】
原稿読取装置2は、原稿搬送装置4と、原稿給送ローラー5と、原稿搬送路6と、原稿搬送ローラー7と、搬送装置8と、読取部9と、原稿排出ローラー10と、光学装置11とを備える。
【0038】
原稿読取装置2は、原稿Gから画像を読み取って画像データを生成する。
【0039】
原稿搬送装置4は、原稿Gを給送する。
【0040】
原稿搬送装置4は、給送トレイ40と、排出トレイ41とを有する。
【0041】
給送トレイ40は、原稿Gを収納する。
【0042】
排出トレイ41は、画像を読み取られて排出された原稿Gを収納する。
【0043】
原稿給送ローラー5は、給送トレイ40の原稿Gを給送する。
【0044】
原稿搬送路6は、原稿給送ローラー5が配置され、原稿給送ローラー5により給送されたシートが搬送される。
【0045】
原稿搬送ローラー7は、原稿搬送路6に配置され、原稿搬送路6に原稿Gを搬送する。
【0046】
搬送装置8は、原稿搬送路6に配置される。搬送装置8は、原稿搬送ローラー7で原稿搬送路6を搬送されてきた原稿Gをさらに搬送する。搬送装置8は、搬送される原稿Gに光を照射する。
【0047】
読取部9は、原稿Gが画像を読み取られる位置を示す。原稿Gが読取部9を通過するとき、搬送装置8から光を照射され、画像が読み取られる。
【0048】
また、読取部9は、透過ガラスを有し、原稿Gが透過ガラスを通過するとき、光学装置11から照射されるレーザー光により画像が読み取られる。
【0049】
原稿排出ローラー10は、原稿搬送路6に配置され、排出トレイ41に原稿Gを排出する。
【0050】
光学装置11は、発光部と、反射鏡と、反射鏡のアクチュエーターと、受光部とを有する。
【0051】
次に、図1図2に加え、さらに図3図10を参照して、本実施形態に係る搬送装置8を詳細に説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係る搬送装置8を拡大した外観斜視図である。図4は、本実施形態に係る搬送装置8の伝達部81を拡大した外観斜視図である。図5(a)~(e)は、伝達部81の遊星ギア部811の構成を示す図である。図6(a)~(e)は、伝達部81のロック部材813の構成を示す図である。図7(a)および(b)は、揺動部材812とバネ843を示す図である。図8は、伝達部81の構成を示す外観斜視図である。図9(a)および(b)は、搬送シャフト830とロック部材813の動作を説明する図である。図10は、伝達部81のロック部材813と遊星ギア部811との関係を示す図である。
【0053】
図3および図4に示すように、搬送装置8は、駆動部80と、伝達部81と、搬送部83と、光学ユニット84とを有する。
【0054】
図4は、図3に示す領域IVを拡大した拡大図である。
【0055】
図3に示すように、駆動部80は、駆動力を発生する。駆動部80の具体例はモーターである。
【0056】
伝達部81は、駆動部80が発生した駆動力を伝達して、標準反射板に対して光学ユニット84を主走査方向に揺動させる。
【0057】
図4に示すように、伝達部81は、駆動ギア部810と、遊星ギア部811と、揺動部材812と、ロック部材813とを有する。
【0058】
図4に示すように、搬送部83は、駆動部80により回転してシート(原稿G)を搬送する。
【0059】
図3に示すように、搬送部83は、搬送シャフト830と、ローラー831と、ロック駆動ギア部832とを有する。
【0060】
搬送シャフト830は、図1および図2で説明した原稿搬送路6の幅方向(主走査方向)に架け渡される。搬送シャフト830は、ロック駆動ギア部832を介して、駆動部80の駆動力を受けて回転する。
【0061】
駆動部80が原稿の搬送方向に回転すると、それに伴って、ロック駆動ギア部832および搬送シャフト830も搬送方向に回転する。駆動部80が搬送方向と反対の逆搬送方向に回転すると、それに伴って、ロック駆動ギア部832および搬送シャフト830も逆搬送方向に回転する。
【0062】
図3に示すように、ローラー831は、搬送シャフト830に軸支され、搬送シャフト830の回転に伴なって回転し、シートを搬送する。
【0063】
ロック駆動ギア部832は、駆動部80から駆動力を受けて回動する。ロック駆動ギア部832については、図8以降でさらに詳細に説明される。
【0064】
図3に示す光学ユニット84は、シートに光を照射する機能部である。
【0065】
図4に示すように、光学ユニット84は、ケース840と、ガイド841と、画像読取ユニット842と、バネ843とを有する。
【0066】
ケース840には、画像読取ユニット842が収納される。
【0067】
ガイド841は、揺動シャフト819と当接可能に配置される。
【0068】
ガイド841は、バネ843により揺動シャフト819に付勢されている。
【0069】
画像読取ユニット842は、シートまたは標準反射板に光を照射して反射光を画像センサーで読み取る。画像読取ユニット842から標準反射板に照射した光の反射光は、一例として、シェーディング補正に用いられる。
【0070】
画像読取ユニット842の一例は、CIS(Contact Image Sensor)方式センサーまたはCCD(Charge Coupled Devices)方式センサーがある。
【0071】
画像読取ユニット842は、第2カム820と第1カム8160との噛み合いがずれることにより揺動した後、さらに、第2カム820と第1カム8160とが噛み合うことにより、シートの読み取り位置に戻る。
【0072】
本実施形態によれば、画像読取ユニット842のシェーディング補正が終わった後、画像読取ユニット842を好適に読取位置に戻すことができる。
【0073】
図7(b)に示すバネ843は、一端が光学ユニット84と接続される。バネ843は、弾性力により、揺動部材812の揺動に応じて伸縮し、光学ユニット84を揺動させる。
【0074】
次に、伝達部81について詳細に説明する。
【0075】
前述したように、伝達部81は、図4に示す駆動ギア部810と、遊星ギア部811と、揺動部材812と、ロック部材813とを有する。
【0076】
駆動ギア部810は、駆動部80に接続される。図5(e)および図8に示すように、駆動ギア部810は、駆動部80の駆動力を遊星ギア部811(図5(a))の特に遊星キャリア部材817に伝達する。
【0077】
図8に示すように、遊星ギア部811は、駆動部80の回転方向に基づいて、駆動ギア部810の回転に連動して回転する。
【0078】
図4に示すように、揺動部材812は、遊星ギア部811の回転態様に応じて光学ユニット84の長手方向に(標準反射板に対して)揺動する。
【0079】
伝達部81は、駆動部80が搬送部83をシートの搬送方向に回転させるとき揺動部材812を揺動させず、駆動部80が搬送部83を搬送方向と反対の逆搬送方向に回転させるとき揺動部材812を揺動させる。
【0080】
本実施形態によれば、遊星ギア部811を利用して、光学ユニット84を標準反射板に対して好適に揺動させることによって、キャリブレーションを好適に行うことができる。
【0081】
本実施形態によれば、駆動部80の回転方向を切り換えることにより、光学ユニット84を標準反射板に対して好適に揺動させることによって、キャリブレーションを好適に行うことができる。
【0082】
本実施形態によれば、光学ユニット84の画像読取ユニット842にCISを用いることができ、CISのキャリブレーションを好適に行うことができる。
【0083】
ロック部材813は、駆動部80の回転方向に基づいて太陽歯車部材814の回転を制止させる。
【0084】
すなわち、図9(b)に示すように、駆動部80が回転して、搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が搬送方向Cに回転すると、ロック部材813は、ロック駆動ギア部832の回転に伴なって、遊星ギア部811(図8)から離間方向Bに離間する。
【0085】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転して、搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dに回転すると、ロック部材813は、ロック駆動ギア部832の回転に伴なって、遊星ギア部811(図8)に近接する噛み合い方向Aに移動する。
【0086】
ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811の太陽歯車部材814(図5(b))と噛み合って、太陽歯車部材814の回転を制止させる。
【0087】
次に、図5(a)~(e)を参照して、遊星ギア部811の構成を詳細に説明する。
【0088】
図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)に示す太陽歯車部材814と、図5(c)に示す遊星歯車部材815と、図5(d)に示す内歯車部材816と、図5(e)に示す遊星キャリア部材817と、図5(a)に示す貫通孔818とを有する。
【0089】
図5(b)に示すように、太陽歯車部材814は、貫通孔8140を有する。
【0090】
太陽歯車部材814の貫通孔8140には、図7に示す揺動部材812の揺動シャフト819が貫通し、揺動シャフト819は太陽歯車部材814を回転可能に保持する。図8には、太陽歯車部材814の貫通孔8140に揺動シャフト819が貫通した態様を示す。
【0091】
遊星歯車部材815は、同軸上に形成された太陽歯車部材814の外周に沿って配置される。
【0092】
内歯車部材816は、遊星歯車部材815の外周に配置され遊星歯車部材815と噛み合う。
【0093】
内歯車部材816は、第1カム8160と、貫通孔8161とを有する。
【0094】
図5(d)に示す第1カム8160は、図7に示す揺動部材812の第2カム820と噛み合う。
【0095】
ここで、図5(d)に示すように、第1カム8160は、第1下り傾斜部8160Aと、第1底部8160Bと、第1登り傾斜部8160Cと、第1頂部8160Dとを有する。
【0096】
第1下り傾斜部8160Aは、内歯車部材816に近付く方向に傾斜する。すなわち、第1下り傾斜部8160Aは、第1頂部8160Dから内歯車部材816に近付くように傾斜して、第1底部8160Bに向かって傾斜する。
【0097】
第1底部8160Bは、第1下り傾斜部8160Aが内歯車部材816に最も近付く。
【0098】
第1登り傾斜部8160Cは、第1底部8160Bを始点に内歯車部材816から離れる方向に傾斜する。すなわち、第1登り傾斜部8160Cは、第1底部8160Bを始点に、第1頂部8160Dに向かって傾斜する。
【0099】
第1頂部8160Dは、第1登り傾斜部8160Cが内歯車部材816から最も離れる。
【0100】
図5(d)に示す貫通孔8161は、図7に示す揺動部材812の揺動シャフト819が貫通する。
【0101】
内歯車部材816は、太陽歯車部材814の回転がロック部材813により制止されているとき、駆動部80の駆動力により遊星キャリア部材817および遊星歯車部材815とともに回転する。
【0102】
図5(e)に示す遊星キャリア部材817は、駆動部80の駆動力により回転する。
【0103】
遊星キャリア部材817は、キャリアシャフト8170と、貫通孔8171とを有する。
【0104】
キャリアシャフト8170は、遊星歯車部材815に貫通して遊星歯車部材815を支持する。
【0105】
貫通孔8171は、太陽歯車部材814が貫通し、太陽歯車部材814は遊星キャリア部材817を回転可能に保持する。
【0106】
内歯車部材816の貫通孔818は、図7(a)に示す揺動部材812の揺動シャフト819が貫通し、揺動シャフト819は内歯車部材816を回転可能に保持する。
【0107】
次に、図7(a)を参照して、揺動部材812について詳細に説明する。
【0108】
揺動部821は、揺動部材812の揺動に伴ない、光学ユニット84のガイド841と一体で移動する。
【0109】
図7(a)に示すように、揺動部材812は、揺動シャフト819と、第2カム820と、揺動部821と、ギア側端部822と、ガイド側端部823と、回転規制部824とを有する。ギア側端部822は、図示しない原稿搬送装置4の筐体に支持された軸受け部材により軸方向に移動可能に保持される。ガイド側端部823はガイド841により支持される。さらに、揺動部821の周面には半径方向に突出するリブ形状の回転規制部824が形成されている。回転規制部824はガイド841の図示しない係合部に係合して、揺動部材812は揺動シャフト819の周りの回転が規制される。
【0110】
揺動部材812の揺動シャフト819は、遊星ギア部811に貫通する。
【0111】
揺動部材812は、揺動シャフト819と同軸上に第1カム8160と対向する第2カム820を有する。
【0112】
揺動部材812の揺動シャフト819は、第2カム820が配置される。
【0113】
第2カム820は、遊星ギア部811に配置される内歯車部材816の第1カム8160(図5(d))と対向する。
【0114】
揺動部材812は、内歯車部材816が回転すると、第2カム820と第1カム8160との噛み合いがずれることにより、ガイド841を介して光学ユニット84を揺動させる。
【0115】
本実施形態によれば、対向する第1カム8160と第2カム820との噛み合いと噛み合いのずれを利用することにより、好適に光学ユニット84の画像読取ユニット842を揺動させることができる。
【0116】
次に、図7(a)に示す揺動部材812は、遊星ギア部811を貫通するギア側端部822と、ギア側端部822と反対側のガイド側端部823とを有する。
【0117】
ギア側端部822は、揺動シャフト819の遊星ギア部811と嵌合する端部である。
【0118】
ガイド側端部823は、揺動シャフト819の揺動部821側の端部であり、ガイド841と当接してガイド841を押圧している。
【0119】
揺動部材812の第2カム820は、第2登り傾斜部8200と、第2頂部8201と、第2下り傾斜部8202と、第2底部8203とを有する。
【0120】
第2登り傾斜部8200は、ギア側端部822に近付く方向に傾斜する。すなわち、図7に示す揺動部材812の揺動シャフト819がギア側端部822で図5(a)に示す遊星ギア部811に貫通しているとき、第2カム820の第2登り傾斜部8200は、第2底部8203を始点にしてギア側端部822に近付く方向に、第2頂部8201まで傾斜するように延びて形成される。
【0121】
第2頂部8201は、第2登り傾斜部8200がギア側端部822に最も近付く位置である。すなわち、第2頂部8201は、揺動シャフト819の軸方向において、第2登り傾斜部8200がギア側端部822に最も近付く位置である。
【0122】
第2下り傾斜部8202は、第2頂部8201を始点にガイド側端部823に近付く方向に傾斜する。すなわち、図7に示す揺動部材812の揺動シャフト819がギア側端部822で図5(a)に示す遊星ギア部811に貫通しているとき、第2カム820の第2下り傾斜部8202は、第2頂部8201を始点にガイド側端部823に近付く方向に第2底部8203まで傾斜するように延びて形成される。
【0123】
第2底部8203は、第2下り傾斜部8202がガイド側端部823に最も近付く位置である。すなわち、第2底部8203は、揺動シャフト819の軸方向において、第2下り傾斜部8202がガイド側端部823に最も近付く位置である。
【0124】
第2カム820は、駆動部80が搬送部83を搬送方向と反対の逆搬送方向に回転させるとき、揺動シャフト819の第1底部8160Bから第1頂部8160Dまでの軸方向距離と、揺動シャフト819の第2底部8203から第2頂部8201までの軸方向距離との和は、4mm以下である。
【0125】
本実施形態によれば、第1カム8160と第2カム820の形態を具体的に規定することにより、光学ユニット84の揺動量を好適に規定できる。
【0126】
第2カム820は、駆動部80が搬送部83を搬送方向に回転させるとき、第1下り傾斜部8160Aと第2登り傾斜部8200、第1底部8160Bと第2頂部8201、第1登り傾斜部8160Cと第2下り傾斜部8202、および、第1頂部8160Dと第2底部8203が、それぞれ噛み合っている。
【0127】
本実施形態によれば、光学ユニット84のシェーディング補正が終わった後、光学ユニットを好適にシート読取位置に戻すことができる。
【0128】
揺動部材812は、内歯車部材816が回転すると、第2カム820と第1カム8160との噛み合いがずれることにより、光学ユニット84を揺動させる。
【0129】
本実施形態によれば、好適に光学ユニット84を揺動させることができる。
【0130】
次に、図6(a)~(e)を参照して、ロック部材813について詳細に説明する。
【0131】
図6(a)に示すロック部材813は、図6(b)に示すロック歯車8130と、図6(c)に示すワッシャー8131と、図6(d)に示す接合部8132と、図6(e)に示すビス8133とを有する。
【0132】
図9(a)に示すように、ロック歯車8130は、搬送シャフト830のロック駆動ギア部832と噛み合う。ロック歯車8130は、駆動部80により回転駆動されるロック駆動ギア部832に伴なって回転する。
【0133】
ワッシャー8131は、ロック歯車8130に内蔵される。ワッシャー8131は、接合部8132に対するロック歯車8130の抵抗として機能する。
【0134】
接合部8132は、ロック歯車8130およびワッシャー8131とビス8133で組み合わされる。
【0135】
接合部8132は、さらに、爪部8132Aを有する。
【0136】
爪部8132Aは、図8に示すように、ロック部材813が遊星ギア部811の太陽歯車部材814の歯車に噛み合い、太陽歯車部材814の回動を制止する。
【0137】
次に、引き続き、図9(a)および(b)に加え、図10(a)~図15(b)を参照して、搬送装置8の動作を説明する。
【0138】
図10(a)および(b)は、伝達部81のロック部材813と遊星ギア部811との関係を示す図である。図11(a)~図15(b)は、伝達部81のロック部材813と遊星ギア部811との関係、および、揺動シャフト819の移動量を示す図である。
【0139】
図4に示すように、シートの搬送時において、駆動部80正回転する駆動力により、駆動ギア部810を介して遊星キャリア部材817が回転する。従って、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は静止している。
【0140】
図9(b)に示すように、搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832は、搬送方向Cに回転する。ロック部材813は、ロック歯車8130およびワッシャー8131(図6(b))の抵抗力により、ロック駆動ギア部832の回転に伴なって、遊星ギア部811(図8)から離間方向Bに離間している。
【0141】
図10(a)および(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811から離間している。
【0142】
図10(a)に示すように、遊星ギア部811の第1カム8160と、揺動部材812の第2カム820とは噛み合っている。
【0143】
揺動部材812の揺動シャフト819は、光学ユニット84のガイド841に当接している。
【0144】
バネ843は、光学ユニット84のガイド841を搬送シャフト830のガイド側端部823に向けて付勢する。
【0145】
従って、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、シート読取位置(初期位置)にある。
【0146】
次に、図4に示すように、シートの非搬送時であって、画像読取ユニット842のシェーディング補正を行なう場合、駆動部80が逆回転する駆動力により、駆動ギア部810を介して遊星キャリア部材817が逆回転する。従って、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが逆回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は継続して静止している。
【0147】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転し始めたことにより、搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dに回転し始める。ロック部材813は、ロック歯車8130およびワッシャー8131(図6(b))の抵抗力により、ロック駆動ギア部832の回転に伴なって、遊星ギア部811(図8)に向けて噛み合い方向Aに近付く。
【0148】
図11(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811に引っかかる。そのため、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)に示す太陽歯車部材814が制止する。図5(c)~(e)に示す遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817と、内歯車部材816とが回転し始める。
【0149】
図11(a)に示すように、遊星ギア部811の第1カム8160は、揺動部材812の第2カム820からわずかにずれる。
【0150】
揺動部材812の揺動シャフト819は、バネ843の復元力により光学ユニット84のガイド841に当接した状態でわずかに移動する。
【0151】
バネ843は、光学ユニット84のガイド841を搬送シャフト830のガイド側端部823を常に付勢する。
【0152】
従って、図11(c)に示すように、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、シート読取位置(初期位置)から殆ど変化しない。揺動シャフト819のシート読取位置からの移動量は、ほぼ0(mm)である。また、ガイド841および画像読取ユニット842のシート読取位置からの移動量もほぼ0(mm)である。
【0153】
次に、引き続き、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は継続して静止している。
【0154】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転する駆動力により搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dにさらに回転する。ロック部材813は、ロック歯車8130およびワッシャー8131(図6(b))の抵抗力により、ロック駆動ギア部832の回転に伴なって、遊星ギア部811(図8)に向けてさらに噛み合い方向Aに近付く。
【0155】
図12(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811に入り込む。
【0156】
図12(c)に示すように、遊星ギア部811は30度回転し、図12(a)に示す遊星ギア部811の第1カム8160は、揺動部材812の第2カム820と噛み合いがずれる。
【0157】
揺動部材812の揺動シャフト819は、軸方向に光学ユニット84のガイド841の方向に移動し、バネ843の付勢力に抗してガイド841とともに移動する。
【0158】
バネ843は、光学ユニット84のガイド841を搬送シャフト830のガイド側端部823に付勢する。
【0159】
従って、図12(c)に示すように、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、シート読取位置(初期位置)から主走査方向に揺動する。本事例において、揺動シャフト819のシート読取位置からの移動量は2(mm)である。また、ガイド841および画像読取ユニット842のシート読取位置からの移動量も2(mm)である。
【0160】
次に、引き続き、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は継続して静止している。
【0161】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転する駆動力により搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dにさらに回転する。ロック部材813は、遊星ギア部811(図8)に向けてさらに噛み合い方向Aに近付く。
【0162】
図13(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811と噛み合う。
【0163】
図13(c)に示すように、遊星ギア部811は60度回転し、図13(a)に示す遊星ギア部811の第1カム8160は、揺動部材812の第2カム820と噛み合いが大きくずれる。
【0164】
揺動部材812は、軸方向に光学ユニット84のガイド841の方向にさらに移動し、バネ843の付勢力に抗してガイド841とともにさらに移動する。
【0165】
従って、図13(c)に示すように、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、標準反射板を読み取る位置に到達する。画像読取ユニット842は、標準反射板を読み取ることにより、シェーディング補正を行うことができる。本事例において、揺動シャフト819のシート読取位置からの移動量は4(mm)である。また、ガイド841および画像読取ユニット842のシート読取位置からの移動量も4(mm)である。
【0166】
次に、引き続き、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は継続して静止している。
【0167】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転する駆動力により搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dの回転を維持する。ロック部材813は、遊星ギア部811(図8)と噛み合う。
【0168】
すなわち、図14(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811との噛み合いを維持する。
【0169】
図14(c)に示すように、遊星ギア部811は90度回転し、図14(a)に示す遊星ギア部811の第1カム8160の第1頂部8160D(図5(d))は、揺動部材812の第2カム820の第2頂部8201を乗り越える。
【0170】
揺動部材812は、軸方向に光学ユニット84のガイド841の逆方向に移動し始め、バネ843の付勢力によりガイド841は揺動部材812とともに移動する。
【0171】
従って、図14(c)に示すように、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、標準反射板を読み取る位置からシート読取位置に向けて揺動する。本事例において、揺動シャフト819のシート読取位置からの移動量は2.5(mm)である。また、ガイド841および画像読取ユニット842のシート読取位置からの移動量も2.5(mm)である。
【0172】
次に、引き続き、図5(a)に示す遊星ギア部811は、図5(b)~(e)に示す太陽歯車部材814と、遊星歯車部材815と、遊星キャリア部材817とが回転している。図5(d)に示す内歯車部材816は継続して静止している。
【0173】
図9(a)に示すように、駆動部80が逆回転する駆動力により搬送シャフト830およびロック駆動ギア部832が逆搬送方向Dの回転を維持する。ロック部材813は、遊星ギア部811(図8)との噛み合いを維持する。
【0174】
図15(b)に示すように、ロック部材813の爪部8132Aは、遊星ギア部811との噛み合いを維持する。
【0175】
図15(c)に示すように、遊星ギア部811は120度回転し、図15(a)に示す遊星ギア部811の第1カム8160と揺動部材812の第2カム820とが再び噛み合う。
【0176】
揺動部材812の揺動シャフト819は、軸方向に光学ユニット84のガイド841の逆方向にさらに移動し、バネ843の復元力によりガイド841は揺動シャフト819をさらに付勢する。
【0177】
従って、図15(c)に示すように、光学ユニット84の画像読取ユニット842は、シート読取位置に戻る。本事例において、揺動シャフト819のシート読取位置からの移動量は0(mm)である。また、ガイド841および画像読取ユニット842のシート読取位置からの移動量も0(mm)である。
【0178】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示していることがある。図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なってもよい。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、搬送装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 複合機
2 原稿読取装置
8 搬送装置
80 駆動部
81 伝達部
810 駆動ギア部
811 遊星ギア部
814 太陽歯車部材
815 遊星歯車部材
816 内歯車部材
8160 第1カム
817 遊星キャリア部材
812 揺動部材
820 第2カム
813 ロック部材
83 搬送部
832 ロック駆動ギア部
84 光学ユニット
841 ガイド
842 画像読取ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15