(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145124
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】蒸着用アンカーコート剤および蒸着用基材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 133/06 20060101AFI20241004BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20241004BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
C09D133/06
C09D5/00 D
C09D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057372
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 凌輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 直哉
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 邦人
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG131
4J038DG262
4J038JA17
4J038JA32
4J038KA03
4J038KA06
4J038LA03
4J038MA09
4J038NA12
4J038PC02
(57)【要約】
【課題】耐ブロッキング性と金属膜の密着性に優れたアンカーコート層を形成でき、ポットライフの長い蒸着用アンカーコート剤、および該蒸着用アンカーコート剤を用いた蒸着用基材の製造方法を提供する。
【解決手段】アルコール系溶剤、非プロトン性溶剤、ポリイソシアネート化合物、およびガラス転移温度が50℃より高いアクリル樹脂を少なくとも含有する蒸着用アンカーコート剤であって、該アンカーコート剤全体に占めるアルコール系溶剤の割合は25~63質量%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール系溶剤、非プロトン性溶剤、ポリイソシアネート化合物、およびガラス転移温度が50℃より高いアクリル樹脂を少なくとも含有する蒸着用アンカーコート剤であって、該アンカーコート剤全体に占めるアルコール系溶剤の割合が25~63質量%である蒸着用アンカーコート剤。
【請求項2】
前記請求項1に記載の蒸着用アンカーコート剤を基材表面に付与し、乾燥することでアンカーコート層を形成する蒸着用基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属蒸着に用いることができる蒸着用アンカーコート剤、およびこれを用いた蒸着用基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸着による表面加工技術は、各種樹脂基材やガラス基材等、多様な基材上に金属薄膜を形成できることから、導電性材料、食品用バリアフィルム、表面装飾などの用途で利用されている。一般に蒸着によって基材上に金属薄膜を形成する場合、基材上にあらかじめアンカーコート層を設け、該アンカーコート層の上に金属薄膜を形成することで、金属と基材の密着性を確保することがしばしば行われる。
【0003】
例えば特開2010-229291号公報(特許文献1)には水性ポリウレタン樹脂を用いたアンカーコート層を形成させた蒸着用フィルムが、特開2021-178899号公報(特許文献2)にはグリシジル基含有(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物と有機溶媒を含むアンカーコート剤が開示されている。
【0004】
一般に架橋反応により強靭な被膜が得られることから、特許文献2の様にポリイソシアネート化合物を共存させた塗料や接着剤等の樹脂組成物が広く知られている。しかし、ポリイソシアネート化合物と樹脂の架橋反応は溶液または分散液中でも徐々に進行するため、これらの樹脂組成物には、作製後に充分な塗膜性能が得られる寿命(ポットライフ)が存在するのが一般的である。
【0005】
ポリイソシアネート化合物を含む樹脂組成物のポットライフを長くするための工夫として、特開2006-97018号公報(特許文献3)、特開2020-147644号公報(特許文献4)にはイソシアネート基のブロック剤や、吸水性フィラーを添加した組成物が開示されている。また、特開2013-199582号公報(特許文献5)、特開2015-166404号公報(特許文献6)、特開2016-74780号公報(特許文献7)には、ウレタン化金属触媒の反応性をキレート剤等によって制御した組成物や接着剤が開示されている。
【0006】
上記文献の方法は長いポットライフや高い架橋反応性を両立できる方法であるものの、樹脂組成物中の各種添加剤は多くの場合、塗膜中に残留する。アンカーコート層に樹脂以外の残留物が多いと、アンカーコート層がべた付くことにより、重ねた蒸着用基材同士に接着や層剥離が生じたり(ブロッキング)、蒸着用基材と蒸着した金属膜との密着性が低下したりする場合があり、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-229291号公報
【特許文献2】特開2021-178899号公報
【特許文献3】特開2006-97018号公報
【特許文献4】特開2020-147644号公報
【特許文献5】特開2013-199582号公報
【特許文献6】特開2015-166404号公報
【特許文献7】特開2016-74780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、蒸着用基材に対する耐ブロッキング性と金属膜の密着性に優れたアンカーコート層を形成でき、ポットライフの長い蒸着用アンカーコート剤、および耐ブロッキング性と金属膜の密着性に優れたアンカーコート層が得られる蒸着用基材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は以下の手段によって達成された。
(1)アルコール系溶剤、非プロトン性溶剤、ポリイソシアネート化合物、およびガラス転移温度が50℃より高いアクリル樹脂を少なくとも含有する蒸着用アンカーコート剤であって、該アンカーコート剤全体に占めるアルコール系溶剤の割合が25~63質量%である蒸着用アンカーコート剤。
(2)上記(1)に記載の蒸着用アンカーコート剤を基材表面に付与し、乾燥することでアンカーコート層を形成する蒸着用基材の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、耐ブロッキング性と金属膜の密着性に優れたアンカーコート層を形成でき、ポットライフの長い蒸着用アンカーコート剤、および耐ブロッキング性と金属膜の密着性に優れたアンカーコート層が得られる蒸着用基材の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0012】
本発明の蒸着用アンカーコート剤はアルコール系溶剤を含有する。本発明におけるアルコール系溶剤とは、分子内に1個以上のヒドロキシ基を有する有機溶剤であり、このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、変性エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等の公知のアルコール系溶剤を使用できる。中でも、アンカーコート層形成時の乾燥工程で除去しやすいことから、炭素数5以下のアルコール系溶剤が好ましく、炭素数3以下のアルコール系溶剤が特に好ましい。
【0013】
本発明の蒸着用アンカーコート剤全体に占めるアルコール系溶剤の割合は25~63質量%である。アルコール系溶剤の割合が25質量%未満の場合、蒸着用アンカーコート剤のポットライフが短くなり、経時で高粘度化やゲル化する。また経時により、形成したアンカーコート層表面のタック性が上がることでブロッキングを起こしやすくなる。逆にアルコール系溶剤の割合が63質量%を超える場合、良好な耐ブロッキング性が得られない。
【0014】
本発明の蒸着用アンカーコート剤は非プロトン性溶剤を含有する。本発明における非プロトン性溶剤としては、プロトン供与性官能基を有さない有機溶剤である以外は特に限定されないが、蒸着用アンカーコート剤中に共存するガラス転移温度が50℃より高いアクリル樹脂等の成分を溶解または分散し、アルコール系溶剤と混和する溶剤であることが好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤等、公知の非プロトン性溶剤を使用できる。
【0015】
本発明におけるアルコール系溶剤と非プロトン性溶剤の揮発性は特に限定されないが、塗布乾燥等によりアンカーコート層を形成する都合上、一般的な乾燥工程で揮発除去されることが好ましい。この様な観点から、20℃における蒸気圧が2kPa以上であるアルコール系溶剤および非プロトン性溶剤が好ましい。また、沸点については120℃以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の蒸着用アンカーコート剤はガラス転移温度(Tg)が50℃より高いアクリル樹脂を含有する。本発明におけるアクリル樹脂としては、Tgが50℃より高いアクリル樹脂であれば特に限定されないが、ポリイソシアネート化合物との架橋反応によりアンカーコート層を強靭にするため、イソシアネート基と反応する官能基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等)を有するアクリル樹脂であることが好ましく、特にヒドロキシ基を有するアクリルポリオール樹脂であることが特に好ましい。これらはアクリル酸およびメタクリル酸誘導体の重合反応により合成してもよく、市販品を使用してもよい。市販品としては各種の有機溶剤に溶解または分散したアクリル樹脂が知られており、例えば、DIC(株)製のアクリディック(登録商標)(54-270,A-814,A-817,A-859-B,AU-7005,AU-7007,BU-955,FU-1031,WBU-1218,WFU-289,WFU-580,WLU-738,WNL-200,WNU-533,WXU-880-BA,WZU-591)、東レ・ファインケミカル(株)製のコータックス(登録商標)LH(408,601,613,629)等、公知の市販品を使用できる。また、蒸着用基材に対する耐ブロッキング性、およびポットライフを良好にするために本発明におけるアクリル樹脂の水酸基価は60mgKOH/g以下であることが好ましく、45mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることが特に好ましい。水酸基価の好ましい下限値は5mgKOH/g以上である。同じく、耐ブロッキング性を良好にするため、本発明におけるアクリル樹脂の特に好ましいTgは80℃以上である。
【0017】
本発明の蒸着用アンカーコート剤はポリイソシアネート化合物を含有する。本発明におけるポリイソシアネート化合物とは、分子内に2個以上のイソシアネート基を含む化合物であり、化合物そのものまたは、該化合物を適宜、溶剤に溶解または分散した市販品を使用してもよい。具体的には、DIC(株)製のバーノック(登録商標)(DN-950,DN-980,DN-981)、旭化成(株)製のデュラネート(登録商標)(24A-100,TPA-100,P301-75E)等の公知のポリイソシアネート化合物を使用できる。ポリイソシアネート化合物は分子構造に応じて、イソシアヌレート型、アダクト型、ビウレット型等のタイプが知られているが、中でも塗膜の乾燥性に優れることから、イソシアヌレート型が好ましい。
【0018】
本発明におけるポリイソシアネート化合物の割合は特に限定されないが、アクリル樹脂との架橋反応により強靭なアンカーコート層を形成するため、固形分換算でアクリル樹脂に対して1質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。また、上限値は50質量%以下が好ましい。ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)保持率は特に限定されないが、ポリイソシアネート化合物の10質量%以上であることが好ましい。
【0019】
本発明におけるアルコール系溶剤、非プロトン性溶剤、ポリイソシアネート化合物、アクリル樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の蒸着用アンカーコート剤は、アルコール系溶剤、非プロトン性溶剤、ポリイソシアネート化合物、アクリル樹脂の他に、水等のプロトン性溶剤、アクリル樹脂以外の他の樹脂、無機粒子、界面活性剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の各種成分を含んでいてもよい。
【0021】
本発明の蒸着用アンカーコート剤は、上記した成分を混合することで製造できる。かかる混合方法は特に限定されず、公知の混合方法を用いることができる。例えば、所望するアルコール溶剤と非プロトン性溶剤を混合した後、前述したアクリル樹脂、ポリイソシアネート化合物を加え、スターラー撹拌、プロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、メディアミル、圧力式分散機、超音波分散機、マイクロミキサー、スタティックミキサー等の公知の混合処理を行うことにより得ることができる。蒸着用アンカーコート剤の固形分濃度は特に限定されないが、固形分濃度が高いと塗液の粘性が高くなり均一な層を形成しにくくなることから、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。なお、下限値は5質量%以上が好ましい。
【0022】
次に本発明における蒸着用基材の製造方法について説明する。蒸着用アンカーコート剤を付与する基材は特に限定されず、ポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、セロハン、セルロイド、シクロオレフィン、ガラス等の公知の基材を使用できる。特に、本発明の蒸着用アンカーコート剤が含有するアルコール系溶剤は樹脂基材を侵しにくいため、例えばポリカーボネート樹脂の様に耐溶剤性が低い樹脂基材に対しても好適に使用できる。
【0023】
本発明における蒸着用アンカーコート剤の基材表面への付与方法は特に限定されず、バーコート法、スピンコーティング法、スリットコート法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、キスコート法等の公知の塗布方法や、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、ディスペンサー印刷、パッド印刷等の公知の印刷方法等が例示できる。さらに、これらの方法で塗布または印刷した後、熱風乾燥、赤外線乾燥、自然乾燥等の公知の方法により乾燥することで基材表面にアンカーコート層が積層された蒸着用基材を得ることができる。
【0024】
蒸着用基材を本発明により製造する場合、アンカーコート層の膜厚は特に限定されないが、金属膜の充分な密着性を確保するため、ドライ膜厚5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1μm以下である。また、下限値は0.01μm以上が実際的である。乾燥温度についても限定されないが、60℃以上で加熱乾燥することが好ましい。
【0025】
本発明による蒸着用基材の製造においては、アクリル樹脂とポリイソシアネート化合物の架橋反応によるアンカーコート層の硬化を促進するため、乾燥後の蒸着用基材を加温することが好ましい。加温条件は特に限定されないが、40℃以上の温度で15時間以上加温することが好ましい。
【0026】
本発明により得られた蒸着用基材に対して蒸着可能な金属材料は限定されず、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、白金、ニッケル等、公知の金属材料を使用できる。金属材料の蒸着方法も特に限定されず、真空蒸着等、公知の蒸着方法を用いることができる。
【実施例0027】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、記載中百分率は特に断りのない限り、質量基準である。
【0028】
「蒸着用基材1の作製」
マグネティックスターラーを用いて、下記の成分を回転数100rpmで3分間混合、攪拌することで、蒸着用アンカーコート剤1を作製した。
メタノール(20℃における蒸気圧13.3kPa、沸点64.5℃) 28g
メチルエチルケトン(20℃における蒸気圧9.5kPa、沸点79.6℃) 28g
DN-980(DIC(株)製イソシアヌレート型ポリイソシアネート、固形分濃度75%、溶剤成分として酢酸エチルを含有) 2.4g
WXU-880-BA(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg90℃、水酸基価7.0-13.0mgKOH/g、固形分濃度50%、溶剤として酢酸イソブチルおよびメチルイソブチルケトンを含有) 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0029】
テクノロイ(登録商標)C000(住友化学(株)製ポリカーボネートフィルム、片面保護フィルム付き)の保護フィルムを有さない側の面に、作製直後の蒸着用アンカーコート剤1をドライ膜厚0.5μmとなるようにバーコート法で塗布し、95℃の乾燥機で1分乾燥させた。乾燥後のフィルムを50℃で24時間加温することで、蒸着用基材1を作製した。
【0030】
「蒸着用基材2の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤2に変更した以外は同様にして、蒸着用基材2を作製した。
【0031】
<蒸着用アンカーコート剤2>
エタノール(20℃における蒸気圧6.4kPa、沸点78.3℃) 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0032】
「蒸着用基材3の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤3に変更した以外は同様にして、蒸着用基材3を作製した。
【0033】
<蒸着用アンカーコート剤3>
イソプロピルアルコール(20℃における蒸気圧4.3kPa、沸点82.3℃) 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0034】
「蒸着用基材4の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤4に変更した以外は同様にして、蒸着用基材4を作製した。
【0035】
<蒸着用アンカーコート剤4>
イソプロピルアルコール 28g
酢酸エチル(20℃における蒸気圧9.7kPa、沸点77℃) 28g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0036】
「蒸着用基材5の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤5に変更した以外は同様にして、蒸着用基材5を作製した。
【0037】
<蒸着用アンカーコート剤5>
イソプロピルアルコール 28g
トルエン(20℃における蒸気圧2.9kPa、沸点110.6℃) 28g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0038】
「蒸着用基材6の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤6に変更した以外は同様にして、蒸着用基材6を作製した。
【0039】
<蒸着用アンカーコート剤6>
イソプロピルアルコール 45g
メチルエチルケトン 11g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合57%)
【0040】
「蒸着用基材7の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤7に変更した以外は同様にして、蒸着用基材7を作製した。
【0041】
<蒸着用アンカーコート剤7>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-950(DIC(株)製アダクト型ポリイソシアネート、固形分濃度75%、溶剤として酢酸エチルを含有) 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0042】
「蒸着用基材8の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤8に変更した以外は同様にして、蒸着用基材8を作製した。
【0043】
<蒸着用アンカーコート剤8>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
24A-100(旭化成(株)製ビウレット型ポリイソシアネート、固形分濃度100%) 1.8g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0044】
「蒸着用基材9の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤9に変更した以外は同様にして、蒸着用基材9を作製した。
【0045】
<蒸着用アンカーコート剤9>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
WZU-591(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg55℃、水酸基価37.0-43.0mgKOH/g、固形分濃度55%、溶剤として酢酸ブチルを含有) 18.2g
(アルコール系溶剤割合37%)
【0046】
「蒸着用基材10の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤10に変更した以外は同様にして、蒸着用基材10を作製した。
【0047】
<蒸着用アンカーコート剤10>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
WFU-580(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg70℃、水酸基価51.0-57.0mgKOH/g、固形分濃度60%、溶剤として酢酸ブチルを含有) 16.7g
(アルコール系溶剤割合37%)
【0048】
「蒸着用基材11の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤11に変更した以外は同様にして、蒸着用基材11を作製した。
【0049】
<蒸着用アンカーコート剤11>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
FU-1031(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg80℃、水酸基価32.0-38.0mgKOH/g、固形分濃度50%、溶剤としてキシレン、酢酸ブチル、およびトルエンを含有) 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0050】
「蒸着用基材12の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤12に変更した以外は同様にして、蒸着用基材12を作製した。
【0051】
<蒸着用アンカーコート剤12>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
A-817(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg95℃、水酸基価27.0-33.0mgKOH/g、固形分濃度50%、溶剤としてトルエンおよび酢酸ブチルを含有) 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0052】
「蒸着用基材13の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤13に変更した以外は同様にして、蒸着用基材13を作製した。
【0053】
<蒸着用アンカーコート剤13>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
A-817 10g
WXU-880-BA 10g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0054】
「蒸着用基材14の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤14に変更した以外は同様にして、蒸着用基材14を作製した。
【0055】
<蒸着用アンカーコート剤14>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
WBU-1218(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg100℃、水酸基価7.0-13.0mgKOH/g、固形分濃度30%、溶剤として酢酸ブチルを含有) 33.3g
(アルコール系溶剤割合31%)
【0056】
「蒸着用基材15の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤15に変更した以外は同様にして、蒸着用基材15を作製した。
【0057】
<蒸着用アンカーコート剤15>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
LH-601(東レ・ファインケミカル(株)製アクリル樹脂、Tg68℃、水酸基価20mgKOH/g、固形分濃度50%、溶剤として酢酸ブチルおよびトルエンを含有) 20g
(アルコール系溶剤割合36%)
【0058】
「蒸着用基材16の作製」
蒸着用基材3の作製においてテクノロイC000をルミラー(登録商標)U48(東レ(株)製ポリエステルフィルム)に変更した以外は同様にして、蒸着用基材16を作製した。
【0059】
「蒸着用基材17の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤17に変更した以外は同様にして、蒸着用基材17を作製した。
【0060】
<蒸着用アンカーコート剤17>
メチルエチルケトン 56g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合0%)
【0061】
「蒸着用基材18の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤18に変更した以外は同様にして、蒸着用基材18を作製した。
【0062】
<蒸着用アンカーコート剤18>
イソプロピルアルコール 14g
メチルエチルケトン 42g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合18%)
【0063】
「蒸着用基材19の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤19に変更した以外は同様にして、蒸着用基材19を作製した。
【0064】
<蒸着用アンカーコート剤19>
イソプロピルアルコール 53g
メチルエチルケトン 3g
DN-980 2.4g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合68%)
【0065】
「蒸着用基材20の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤20に変更した以外は同様にして、蒸着用基材20を作製した。
【0066】
<蒸着用アンカーコート剤20>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
WXU-880-BA 20g
(アルコール系溶剤割合37%)
【0067】
「蒸着用基材21の作製」
蒸着用基材1の作製において蒸着用アンカーコート剤1を下記蒸着用アンカーコート剤21に変更した以外は同様にして、蒸着用基材21を作製した。
【0068】
<蒸着用アンカーコート剤21>
イソプロピルアルコール 28g
メチルエチルケトン 28g
DN-980 2.4g
A-875-55(DIC(株)製アクリル樹脂、Tg45℃、水酸基価19.0-25.0mgKOH/g、固形分濃度55%、溶剤としてミネラルスピリットおよびソルベッソ100を含有) 18.2g
(アルコール系溶剤割合37%)
【0069】
「蒸着用基材22の作製」
テクノロイC000をそのまま蒸着用基材22とした。
【0070】
「蒸着用基材23の作製」
ルミラーU48をそのまま蒸着用基材23とした。
【0071】
上記の様にして得られた各種蒸着用アンカーコート剤および、該アンカーコート剤を基材表面に付与することで得られたアンカーコート層について下記の様に評価した。なお、イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物を用いた蒸着用基材1~6、9~19、21のアンカーコート層は他のアンカーコート層に比べて乾燥性に優れ、成膜性も良好であった。
【0072】
<蒸着用基材の耐ブロッキング性評価>
蒸着用基材1~23をそれぞれ2枚重ねて鉄板で1kgの荷重をかけ、50℃で24時間保管した。その後、重ねた蒸着用基材を剥がした。蒸着用基材が抵抗なく剥がれれば○、抵抗はあるもののアンカーコート層が剥離しなければ△、アンカーコート層が剥離すれば×として耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
<金属膜の密着性評価>
(株)島津製作所製の真空蒸着装置E-230A形を用い、蒸着用基材1~21のアンカーコート層塗布面および、蒸着用基材22と23に対して膜厚300nmでアルミニウムを蒸着した。蒸着したアルミ膜の密着性を、JIS K 5600-5-6:1999に規定されるクロスカット法に準拠して試験し、試験結果の分類0~5として記録した。本評価では分類0が最良であり、分類の数字が大きくなるにつれて悪い結果となり、分類5が最悪である。結果を表1に示す。
【0074】
<ポットライフ評価>
蒸着用基材1~21に使用した蒸着用アンカーコート剤を作製24時間後に観察し、作製直後からの外観の変化を記録した。該蒸着用アンカーコート剤が高粘度化、ゲル化していた場合をポットライフの外観変化が×、変化が無い場合を○として評価した。この結果をアンカーコート剤外観変化として表1に示した。さらに作製してから24時間経過した蒸着用アンカーコート剤を使用して蒸着用基材を作製し、前記した蒸着用基材の耐ブロッキング性評価と同様にして耐ブロッキング性評価を行った。それぞれ結果を表1に示す。
【0075】
【0076】
表1より、本発明の有効性が判る。