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特開2024-14519自動試験装置およびそのインタフェース装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014519
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】自動試験装置およびそのインタフェース装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240125BHJP
   G01R 31/319 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G01R31/28 T
G01R31/28 B
G01R31/319
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117406
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】須藤 訓
(72)【発明者】
【氏名】藤部 亮
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA08
2G132AE08
2G132AE25
2G132AF18
2G132AJ02
2G132AL11
(57)【要約】
【課題】高速デバイスを高精度で試験可能なインタフェース装置を提供する。
【解決手段】インタフェース装置200は、テストヘッド130とDUT1の間に設けられる。インタフェース装置200は、複数のピンエレクトロニクスIC400がモジュール化されてなるフロントエンドモジュール300を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストヘッドと被試験デバイス(DUT)の間に設けられるインタフェース装置であって、
複数のピンエレクトロニクスIC(Integrated Circuit)がモジュール化されてなるフロントエンドモジュールを備えることを特徴とするインタフェース装置。
【請求項2】
前記フロントエンドモジュールは、
前記複数のピンエレクトロニクスICが実装される複数のプリント基板をさらに備え、
前記複数のプリント基板は、前記DUTの面に対して垂直な向きで配置されることを特徴とする請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項3】
前記フロントエンドモジュールは、プレート状の冷却装置をさらに備え、
前記複数のプリント基板は、前記冷却装置を挟んで積層され、
前記複数のプリント基板は、重力方向と平行となるように配置されることを特徴とする請求項2に記載のインタフェース装置。
【請求項4】
前記複数のピンエレクトロニクスICは、前記プリント基板上において、前記プリント基板の中央よりも、前記DUTに寄せて実装されることを特徴とする請求項2または3に記載のインタフェース装置。
【請求項5】
前記複数のピンエレクトロニクスICは、前記プリント基板の前記DUT側の1辺から、5cm以内に配置されることを特徴とする請求項4に記載のインタフェース装置。
【請求項6】
前記複数のピンエレクトロニクスICは、1個のDUTに対して、2×M個(M≧1)割り当てられ、M枚の前記プリント基板に実装され、
1枚の前記プリント基板には、2個の前記ピンエレクトロニクスICが、前記DUTから等距離の位置に実装されることを特徴とする請求項2または3に記載のインタフェース装置。
【請求項7】
同一のプリント基板に実装される2個のピンエレクトロニクスICが並ぶ方向をY方向とするとき、前記M枚のプリント基板をY方向に沿って見たときに、前記M枚のプリント基板の中央に、前記DUTが位置していることを特徴とする請求項6に記載のインタフェース装置。
【請求項8】
前記フロントエンドモジュールは、N個(N≧2)のDUTに対応する部分をひとつのユニットとして構成されることを特徴とする請求項7に記載のインタフェース装置。
【請求項9】
N=4であり、4個のDUTは2行2列に配置され、
前記ユニットは、8枚のプリント基板が積層された構成を有することを特徴とする請求項8に記載のインタフェース装置。
【請求項10】
それぞれにDUTが装着可能な複数のソケットと、前記複数のソケットが実装されるソケットプリント基板を有するソケットボードをさらに備え、
前記フロントエンドモジュールと前記ソケットボードの間は、FPC(Flexible printed circuits)ケーブルを介して接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインタフェース装置。
【請求項11】
テスター本体と、
テストヘッドと、
前記テストヘッドに接続される請求項1から3のいずれかに記載のインタフェース装置と、
を備えることを特徴とする自動試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動試験装置に関し、特にテストヘッドとDUTのインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリやCPU(Central Processing Unit)などの各種半導体デバイスの検査に、自動試験装置(ATE:Automatic Test Equipment)が使用される。ATEは、試験対象の半導体デバイス(以下、被試験デバイス(DUT))に、試験信号を供給し、試験信号に対するDUTの応答を測定し、DUTの良否を判定し、あるいは、不良箇所を特定する。
【0003】
図1は、従来のATE10のブロック図である。ATE10は、テスター(テスター本体ともいう)20、テストヘッド30、インタフェース装置40、ハンドラ50を備える。
【0004】
テスター20は、ATE10を統括的に制御する。具体的には、テスター20は、テストプログラムを実行し、テストヘッド30やハンドラ50を制御し、測定結果を収集する。
【0005】
テストヘッド30は、DUT1に供給すべき試験信号を発生し、またDUTからの信号(デバイス信号という)を検出するハードウェアを備える。具体的には、テストヘッド30は、ピンエレクトロニクス(PE)32や、電源回路(不図示)などを備える。PE32は、ドライバおよびコンパレータなどを含むASIC(Application Specific IC)である。従来において、PE32は、PEボード34と呼ばれるプリント基板上に実装され、テストヘッド30の内部に収容されていた。
【0006】
インタフェース装置40は、ハイフィックスとも称され、テストヘッド30とDUT1の間の電気的な接続を中継する。インタフェース装置40は、ソケットボード42を備える。ソケットボード42には、複数のソケット44が設けられており、複数のDUT1を同時測定可能となっている。ウェハレベル試験を行うATEの場合、ソケットボード42に代えて、プローブカードが使用される。
【0007】
複数のソケット44には、ハンドラ50によって、複数のDUT1がロードされ、ソケット44にDUT1が押し付けられる。試験終了後、ハンドラ50は、DUT1をアンロードし、必要に応じて、良品と不良品を分別する。
【0008】
インタフェース装置40は、ソケットボード42と、テストヘッド30を接続する複数のケーブル46を備える。PE32が発生する試験信号は、ケーブル46を介して、DUT1に伝送され、DUT1が発生するデバイス信号は、ケーブル46を介してPE32に伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-76308号公報
【特許文献2】国際公開WO2009-034641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の高速化が進んでいる。グラフィックボードに搭載されるGDDR(Graphics Double Data Rate)メモリでは、GDDR6X規格において、NRZ(Non Return to Zero)方式により21Gbpsの伝送速度が達成されている。
【0011】
次世代のGDDR7では、PAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)が採用され、伝送速度は40Gbpsまで高められる。NRZ方式も、年々高速化が進められており、次世代では、28Gbps程度まで高速化される。
【0012】
伝送速度が20Gbpsを超えると、従来のアーキテクチャを流用したメモリテスタでの正確な測定が難しくなってくる。現状、28Gbpsや40Gbpsの高速なメモリを正確に測定できるATEは市販されていない。
【0013】
本開示は係る状況においてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、20Gbpsを超える高速デバイスを高精度で試験可能なインタフェース装置、および自動試験装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のある態様は、テストヘッドと被試験デバイス(DUT)の間に設けられるインタフェース装置に関する。インタフェース装置は、複数のピンエレクトロニクスIC(Integrated Circuit)がモジュール化されてなるフロントエンドモジュールを備える。
【0015】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本開示のある態様によれば、高速デバイスを量産試験可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のATEのブロック図である。
図2】実施形態に係るATEを示す図である。
図3】一実施例に係るインタフェース装置の断面図である。
図4】一実施例に係るフロントエンドモジュールを示す図である。
図5図4のFEUの構成例を示す斜視図である。
図6図4のFEUの構成例を示す断面図である。
図7】ピンエレクトロニクスICとソケットの接続の一例を示す断面図である。
図8】FPCケーブルとソケットボードの接続部分の構成例を示す断面図である。
図9】FPCケーブルとソケットボードの接続部分の分解斜視図である。
図10図10(a)、(b)は、インタポーザの構造および接続を説明する断面図である。
図11】FPCケーブルとピンエレクトロニクスPCBの接続部分の構成例を示す断面図である。
図12】FPCケーブルとピンエレクトロニクスPCBの接続部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0019】
超高速のメモリデバイスを試験可能なATEを実現するためには、信号源(ドライバ)とDUTの間の伝送距離を最短化する必要がある。従来は同軸ケーブルを用いたマザーボード(MB)によって、ピンエレクトロニクスボード(PE)とDUT間の伝送を担っていたが、同軸ケーブルの伝送損失および同軸ケーブルと基板との接続に要するコネクタの伝送損失、さらには基板上のピンエレクトロニクスICからコネクタまでの配線引き出しといった伝送媒体の接続点や、接続箇所でのモード変換に伴う信号反射などの信号劣化要因が多く、高速信号を正確に伝送するには不利であった。本開示は、係る知見にもとづいてなされたものである。本開示では、伝送路における損失を低減することにより、高速信号の伝送を可能にする方式を提案する。
【0020】
一実施形態に係るインタフェース装置は、テストヘッドと被試験デバイス(DUT)の間に設けられる。インタフェース装置は、複数のピンエレクトロニクス(PE)IC(Integrated Circuit)がモジュール化されてなるフロントエンドモジュールを備える。
【0021】
本発明者らは、従来のATEについて検討し、以下の知見を得た。従来のATEでは、ピンエレクトロニクスICは、テストヘッド内に設けられており、ピンエレクトロニクスICとDUTの間の距離が遠かった。DUTが28Gbpsや40Gbpsの高速なメモリである場合、ピンエレクトロニクスICが発生する試験信号やDUTが発生するデバイス信号は、14GHzを超える高周波数成分を含むようになるが、伝送距離が長いと、高周波成分の損失が顕著となる。高周波成分の減衰は、波形歪みを引き起こし、正確な信号伝送が難しくなる。
【0022】
これに対して、本実施形態では、ピンエレクトロニクスICを備えるフロントエンドモジュールを、インタフェース装置に内蔵することにより、ピンエレクトロニクスICを、DUTの直近に配置することが可能となり、試験信号およびデバイス信号の伝送距離を従来に比べて大幅に短くすることができる。これにより高周波成分の損失を抑制でき、高速な試験信号およびデバイス信号を伝送することが可能となり、ひいては正確な試験が可能となる。
【0023】
一実施形態において、フロントエンドモジュールは、複数のピンエレクトロニクスICが実装される複数のプリント基板をさらに備えてもよい。複数のプリント基板は、DUTの面に対して垂直な向きで配置されてもよい。プリント基板をDUTの面に対して垂直方向に配置することにより、各プリント基板に実装される複数のピンエレクトロニクスICと、DUTの距離を揃えることが容易となる。
【0024】
一実施形態において、フロントエンドモジュールは、プレート状の冷却装置をさらに備えてもよい。複数のプリント基板は、冷却装置を挟んで積層されてもよい。複数のプリント基板は、重力方向と平行となるように配置されてもよい。これにより、プレート状の冷却装置およびプリント基板が、重力方向と平行に配置されるため、冷却装置やプリント基板に、重力に起因する撓みや応力がかかるのを防止できる。
【0025】
一実施形態において、複数のピンエレクトロニクスICは、プリント基板上において、プリント基板の中央よりも、DUTに寄せて実装されてもよい。これにより、プリント基板上での伝送損失も小さくできる。
【0026】
一実施形態において、複数のピンエレクトロニクスICは、プリント基板のDUT側の1辺から、50mm以内、より好ましくは30mm以内に配置されてもよい。
【0027】
一実施形態において、複数のピンエレクトロニクスICは、1個のDUTに対して、2×M個(M≧1)割り当てられ、M枚のプリント基板に実装され、1枚のプリント基板には、2個のピンエレクトロニクスICが、DUTから等距離の位置に実装されてもよい。
【0028】
一実施形態において、同一のプリント基板に実装される2個のピンエレクトロニクスICが並ぶ方向をY方向とするとき、M枚のプリント基板をY方向に沿って見たときに、M枚のプリント基板の中央に、DUTが位置していてもよい。
【0029】
一実施形態において、フロントエンドモジュールは、N個(N≧2)のDUTに対応する部分をひとつのユニットとして構成されてもよい。
【0030】
一実施形態において、N=4であり、4個のDUTは2行2列に配置され、ユニットは、8枚のプリント基板が積層された構成を有してもよい。
【0031】
一実施形態において、インタフェース装置は、それぞれにDUTが装着可能な複数のソケットと、複数のソケットが実装されるソケットプリント基板を有するソケットボードをさらに備えてもよい。フロントエンドモジュールとソケットボードの間は、FPC(Flexible printed circuits)ケーブルを介して接続されてもよい。
【0032】
従来の同軸ケーブルに代えて、FPCケーブルを採用することで、高周波領域における損失を低減できる。これにより波形歪みを改善して、高速なデバイスを試験することが可能となる。
【0033】
一実施形態に係る自動試験装置は、テスター本体と、テストヘッドと、テストヘッドに接続される上述のいずれかのインタフェース装置と、を備える。
【0034】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0035】
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0036】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0038】
図2は、実施形態に係るATE100を示す図である。ATE100は、テスター120、テストヘッド130、ハンドラ150およびインタフェース装置200を備える。
【0039】
テスター120は、ATE100を統括的に制御する。具体的には、テスター120は、テストプログラムを実行し、テストヘッド130やハンドラ150を制御し、測定結果を収集する。
【0040】
ハンドラ150は、DUT1を、インタフェース装置200に供給(ロード)し、試験済みのDUT1を、インタフェース装置200からアンロードする。またハンドラ150は、DUT1を、良品と不良品に分別する。
【0041】
インタフェース装置200は、ソケットボード210、配線220およびフロントエンドモジュール300を備える。
【0042】
本実施形態において、複数のピンエレクトロニクスIC(PE-IC)400は、テストヘッド130内ではなく、インタフェース装置200に設けられている。ピンエレクトロニクスIC400は、試験信号を発生するドライバや、デバイス信号を受信するコンパレータが集積化される特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific IC)である。試験信号およびデバイス信号は、NRZ信号、あるいはPAM4信号である。
【0043】
より具体的には、複数のピンエレクトロニクスIC400はモジュール化されている。このモジュールをフロントエンドモジュール300と称する。
【0044】
ソケットボード210には、複数のソケット212が設けられている。ソケット212には、DUT1が装着される。フロントエンドモジュール300とソケット212の間は、配線220を介して接続される。
【0045】
以上がATE100の構成である。
【0046】
このATE100によれば、複数のピンエレクトロニクスIC400をモジュール化してなるフロントエンドモジュール300を、インタフェース装置200に内蔵することにより、ピンエレクトロニクスIC400を、DUT1の直近に配置することが可能となる。これにより、試験信号およびデバイス信号の伝送距離を、従来に比べて大幅に短くすることができる。
【0047】
たとえば、従来のATEにおいて、ピンエレクトロニクスICとソケットボードの間は、長さ500mm~600mm程度の同軸ケーブルで接続されていたが、本実施形態では、配線220の長さを、100mm~150mm程度まで短くすることができる。これにより高周波成分の損失を大幅に低減でき、高速な試験信号およびデバイス信号を伝送することが可能となる。このインタフェース装置200を備えるATE100は、20Gbpsを超える高速メモリの試験が可能となる。
【0048】
本開示は、図2のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0049】
図3は、一実施例に係るインタフェース装置200Aの断面図である。図3には、1個のDUTに関連する構成のみが示される。この実施例において、インタフェース装置200Aは、マザーボード230と、マザーボード230に対して着脱可能なソケットボード210を備える。ソケットボード210は、ソケット212、ソケットプリント基板(ソケットPCB)214、ソケットボード側コネクタ216を備える。
【0050】
フロントエンドモジュール300Aは、複数のピンエレクトロニクスIC400が実装される複数のプリント基板(ピンエレクトロニクスPCB)310を備える。複数のピンエレクトロニクスPCB310は、DUTの面(表面および裏面)、言い換えるとソケットボード210の面S1に対して垂直な向きで配置される。本実施形態では、ソケットボード210は、地面と水平であり、したがって複数のピンエレクトロニクスPCB310は、重力方向と平行となるように配置される。
【0051】
フロントエンドモジュール300Aは、プレート状の冷却装置(以下、コールドプレートと称する)320をさらに備える。コールドプレート320は、冷媒が流通する流路を有する。
【0052】
複数のピンエレクトロニクスPCB310a,310bおよびコールドプレート320は、ピンエレクトロニクスIC400がコールドプレート320と熱的に結合する接触する態様で積層されている。
【0053】
マザーボード230は、ソケットボード側コネクタ232、スペーシングフレーム234、中継コネクタ236を備える。フロントエンドモジュール300Aは、スペーシングフレーム234に対して固定されている。中継コネクタ236は、テストヘッド側コネクタ132と電気的および機械的に結合する。
【0054】
詳しくは後述するように、配線220は、従来の同軸ケーブルに代えて、フレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)で構成されるケーブル(FPCケーブルともいう)を用いることができる。
【0055】
一方で、ピンエレクトロニクスPCB310と中継コネクタ236の間の配線224には、ピンエレクトロニクスIC400に対する制御信号のみが伝送し、試験信号やデバイス信号は伝送しない。そのため配線224は、同軸ケーブルを利用してもよい。
【0056】
複数のピンエレクトロニクスIC400は、ピンエレクトロニクスPCB310上において、ピンエレクトロニクスPCB310の上下方向の中央よりも、DUT寄り(ソケットボード210寄り)に実装される。これにより、ピンエレクトロニクスPCB310上における、試験信号およびデバイス信号の伝送距離を短くすることができ、高速な信号伝送が可能となる。
【0057】
たとえば、複数のピンエレクトロニクスIC400は、ピンエレクトロニクスPCB310のDUT側の1辺から、50mm以内に配置することが好ましく、30mm以内に配置することができれば、さらに伝送距離を短くできる。
【0058】
図4は、一実施例に係るフロントエンドモジュール300Bを示す図である。
【0059】
1個のDUT1には、2×M個(M≧1)のピンエレクトロニクスIC400が割り当てられている。複数のDUTおよびピンエレクトロニクスIC400には、A~Dの添え字を付し、必要に応じて区別する。この例では、DUT1が、192I/Oを有し、ピンエレクトロニクスIC400が24I/Oを有する場合、1個のDUT当たり、192/24=8個(つまりM=4)のピンエレクトロニクスIC400が割り当てられる。
【0060】
フロントエンドモジュール300Bは、複数N個(N≧2)のDUT1ごとに分割して構成され、この分割単位をフロントエンドユニット(FEU)と称する。この例では4個のDUTに対応するブロックが、1個のFEUを構成しており、1個のFEUは、2×M×N個=2×4×4=32個のピンエレクトロニクスIC400を備える。
【0061】
図4には、2個のFEUが示されるが、実際にはフロントエンドモジュール300Bは、2個以上のFEUを備えることができる。たとえば64個の同時測定可能なATEでは、64/4=16個のFEUが設けられ、フロントエンドモジュール300B全体としては、64×192I/O=12288I/Oを備えることとなる。
【0062】
図5は、図4のFEUの構成例を示す斜視図である。4個のDUTに対応するソケット212A~212Dは、2行2列のマトリクス状に配置される。1個のDUT1Aに着目すると、それに割り当てられる8個のピンエレクトロニクスIC400Aは、X方向に並ぶ4枚のピンエレクトロニクスPCB310a~310dに2個ずつに分けて実装される。ソケット212が実装されるソケットPCB214は、DUTごとに分割されていてもよいし、4個のDUTに対応するソケットPCB214が、1枚の基板として一体に構成されてもよい。
【0063】
1枚のピンエレクトロニクスPCB310に実装される2個のピンエレクトロニクスIC400Aは、Y方向に並べて配置される。2個のピンエレクトロニクスIC400Aは、DUT1Aから等距離の位置に配置されている。
【0064】
図6は、図4のFEUの構成例を示す断面図である。図3に示したように、2枚のピンエレクトロニクスPCB310aと310bの間には、コールドプレート320が設けられる。同様に、2枚のピンエレクトロニクスPCB310c、310dの間にも、コールドプレート320が設けられる。上述したように、ピンエレクトロニクスIC400は、ピンエレクトロニクスPCB310上のソケットボード210に近い箇所に実装されている。冷却効率を高めるために、ピンエレクトロニクスIC400はベアチップとすることができ、ピンエレクトロニクスIC400とコールドプレート320は、サーマルインターフェースマテリアル(TIM)322を介して熱的に結合している。
【0065】
またFEUを、Y軸に沿って平面視したときに、X方向に積層される4枚(M枚)のピンエレクトロニクスPCB310a~310dの中心位置に、DUTの中心、すなわちソケット212Aが位置している。
【0066】
以上がFEUの構成である。
【0067】
このFEUの利点を説明する。添え字Aを付したDUT1Aに着目する。1個のDUT1Aに対応する複数(この例では8個)のピンエレクトロニクスIC400Aを、4枚のピンエレクトロニクスPCB310a~310dに2個ずつ、実装することにより、8個のピンエレクトロニクスIC400Aそれぞれから、ソケット212Aまでの距離を均一化することができる。これにより各ピンエレクトロニクスIC400Aからソケット212A(DUT1A)までの伝送線路の損失を均一化でき、正確な試験が可能となる。
【0068】
続いて、ピンエレクトロニクスIC400とソケット212の電気的な接続について説明する。
【0069】
図7は、ピンエレクトロニクスICとソケット(DUT1)の接続の一例を示す断面図である。試験信号およびデバイス信号が伝送する伝送路、すなわちピンエレクトロニクスPCB310とソケットボード210の間の配線220は、FPCケーブル222が用いられる。
【0070】
ピンエレクトロニクスPCB310とソケットボード210の間の配線220として、同軸ケーブルを用いると、同軸ケーブルの剛性に起因して、ピンエレクトロニクスPCB310とソケットボード210の最短距離が制約される。またこれに対して、FPCケーブル222を利用することにより、その柔軟性によってピンエレクトロニクスPCB310とソケットボード210の距離hを、同軸ケーブルを用いた場合に比べて短縮でき、試験信号およびデバイス信号の伝送距離を短くできる。
【0071】
従来の試験装置では、ソケットボード210を着脱可能としたい場合、LIF(Low Insertion Force)コネクタを使用するのが一般的であった。このLIFコネクタは、14GHzより高い周波数帯域において、-3dB程度の無視できない損失を有しており、28Gbpsあるいは40Gbpsの高速伝送においては、波形歪みの原因となる。配線220にFPCケーブル222を用いることで、LIFコネクタが不要となるため、損失(高周波帯域の減衰)に起因する波形歪みを抑制でき、正確な試験が可能となる。
【0072】
図8は、FPCケーブル222とソケットボード210の接続部分の構成例を示す断面図である。図9は、FPCケーブル222とソケットボード210の接続部分の分解斜視図である。
【0073】
ソケットボード210は、ソケット212およびソケットPCB214を含む。ソケットPCB214は、配線層と絶縁層を含む多層基板である。配線層には、信号経路を水平方向に移動させる配線が形成され、絶縁層には、信号経路を垂直方向に移動させるビアホールVHが形成されている。試験信号およびデバイス信号が伝送する経路は、なるべく水平方向(X方向およびY方向)に移動せずに、ソケットボード210の裏面まで引き出されることが好ましい。反対に、電源信号や周波数が低い制御信号に関しては、ソケットPCB214の内部において、水平方向に引き回しても構わない。
【0074】
FPCケーブル222とソケットボード210は、ソケットボード側コネクタ216によって接続される。ソケットボード側コネクタ216は、インタポーザ218と、ケーブルクランプ219を含む。
【0075】
インタポーザ218の表面に露出する電極は、ソケットPCB214の裏面に露出する電極と電気的に接続されている。FPCケーブル222は、インタポーザ218の裏面電極と接触した状態で、ケーブルクランプ219によって挟み込まれる。
【0076】
図10(a)、(b)は、インタポーザの構造および接続を説明する断面図である。図10(a)は、接続前の状態を、図10(b)は、接続後の状態を示す。インタポーザ218は、基板250、非変形電極252、変形電極254を有する。基板250の第1面S1には開口256が設けられており、その内部に、変形電極254が埋め込まれる。変形電極254は、導電性および弾性を有しており、接続前の状態において、基板250の一面よりも突出している。変形電極254は、導電性ガスケットや導電性エラストマーであってもよい。あるいは変形電極254は、ポゴピンのようなバネ付きの電極であってもよい。
【0077】
基板250の第2面S2には、非変形電極252が設けられる。非変形電極252は、基板250の内部において変形電極254と電気的に接続されている。非変形電極252は、複数の突起を有しており、多点接続が可能となっている。
【0078】
図10(b)に示すように、インタポーザ218を挟んだ状態でソケットPCB214とFPCケーブル222に圧力が加わると、インタポーザ218の非変形電極252が、FPCケーブル222の電極222eと接触する。また変形電極254が変形し、ソケットPCB214の裏面電極214eと接触する。
【0079】
このようなインタポーザ218は、LIFコネクタやZIFコネクタに比べて寄生容量を小さく構成できるため高周波特性に優れており、0~40GHzにわたり、フラットな通過特性(SパラメータのS21特性)を得ることができる。
【0080】
図11は、FPCケーブル222とピンエレクトロニクスPCB310の接続部分の構成例を示す断面図である。図12は、FPCケーブル222とピンエレクトロニクスPCB310の接続部分の分解斜視図である。
【0081】
図11を参照する。FPCケーブル222とピンエレクトロニクスPCB310は、FPCコネクタ312によって接続される。FPCコネクタ312は、ソケットボード側コネクタ216と同様に構成され、具体的には、インタポーザ314とケーブルクランプ316を含む。
【0082】
インタポーザ314の第1面S1に露出する変形電極254は、ピンエレクトロニクスPCB310の裏面の電極と電気的に接続されている。FPCケーブル222は、インタポーザ314の第2面S2に露出する非変形電極252と電気的に接触した状態で、ケーブルクランプ316によって挟み込まれる。
【0083】
ピンエレクトロニクスPCB310にはビアホールVHが形成される。ピンエレクトロニクスPCB310の内部においても、試験信号およびデバイス信号の伝送路は最短化することが望ましい。そこで、ピンエレクトロニクスPCB310に形成されるビアホールVHは、ピンエレクトロニクスIC400の裏面電極402とオーバーラップする位置に配置するとよい。これにより、ピンエレクトロニクスPCB310の内部において、伝送路がプリント基板の面内方向に引き回されないため、高速な信号伝送が可能となる。
【0084】
インタフェース装置200には、さまざまな形式があるが、本開示はいずれの形式にも適用可能である。
【0085】
・SBC(Socket Board Change)タイプ
SBCタイプは、DUTの種類に応じて、ソケットボード210を交換するタイプのインタフェース装置である。
【0086】
・CLS(Cable Less)タイプ
CLSタイプは、インタフェース装置200が、上部のDSA(Device Specific Adapter)と下部のマザーボードに分離可能であり、DUTの種類に応じて、DSAを交換するタイプのインタフェース装置である。本実施形態に係るインタフェース装置200をCLSタイプに適用する場合、2つの方式が考えられる。
【0087】
ひとつは、フロントエンドモジュール300を、マザーボード側に配置するものである。この場合、フロントエンドモジュール300を、異なるDUTの試験で共有することができるため、コストの観点から有利である。
【0088】
別のひとつは、フロントエンドモジュール300をDSA側に配置するものである。この場合、フロントエンドモジュール300がDSAごとに設けられるため、装置のコストは上昇する。一方で、フロントエンドモジュール300を、DUTに近づけることが可能となるため、高速な試験の観点からは有利である。
【0089】
・CCN(Cable Connection)タイプ
CCNタイプは、インタフェース装置200の全体を、DUTの種類に応じて交換するタイプのインタフェース装置である。本実施形態に係るインタフェース装置200をCCNタイプに適用すると、フロントエンドモジュール300をDUTに極限まで近づけることが可能となるため、高速な試験の観点からは有利である。
【0090】
・ウェハマザーボード
インタフェース装置200は、ウェハレベル試験に使用されるウェハマザーボードであってもよい。この場合、インタフェース装置200は、ソケットボードに代えて、プローブカードを備えることができる。
【0091】
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0092】
(変形例1)
実施形態では、ピンエレクトロニクスIC400が実装されるピンエレクトロニクスPCB310とソケットボード210の間を接続する配線220を、FPCケーブルとしたが、本開示はそれに限定されず、その他の低損失な配線を用いることが可能である。
【0093】
(変形例2)
FPCケーブル222とピンエレクトロニクスPCB310の間の接続インタフェースとして、あるいはFPCケーブル222とソケットボード210の間の接続インタフェースとして、インタポーザを用いたものを説明したが、本開示はそれに限定されない。
【0094】
(変形例3)
実施形態では、ソケットボード210が、地面と平行であるインタフェース装置200を説明したが本開示はそれに限定されない。たとえばソケットボード210は、地面と垂直であってもよい。この場合、図5図6等におけるY方向が、重力方向となる。
【0095】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 DUT
100 ATE
120 テスター
130 テストヘッド
200 インタフェース装置
210 ソケットボード
212 ソケット
214 ソケットPCB
216 ソケットボード側コネクタ
218 インタポーザ
219 ケーブルクランプ
220 配線
222 FPCケーブル
230 マザーボード
250 基板
252 非変形電極
254 変形電極
256 開口
300 フロントエンドモジュール
310 ピンエレクトロニクスPCB
312 FPCコネクタ
314 インタポーザ
316 ケーブルクランプ
320 コールドプレート
400 ピンエレクトロニクスIC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12