IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図1
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図2
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図3
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図4
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図5
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図6
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図7
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図8
  • 特開-2シリンダロータリー圧縮機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145222
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】2シリンダロータリー圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20241004BHJP
   F04C 18/32 20060101ALI20241004BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04C18/356 L
F04C18/32
F04C23/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057481
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】益田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】西出 洋平
(72)【発明者】
【氏名】諸江 将吾
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB43
3H129CC24
(57)【要約】
【課題】2シリンダロータリー圧縮機における圧縮機構を扁平化する技術を提供する。
【解決手段】吸気管が接続されるヘッドと、内部を第1ピストンが偏心回転する第1シリンダと、内部を第2ピストンが偏心回転する第2シリンダと、前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に設けられるミドルプレートと、前記吸気管から前記ヘッド、前記第1シリンダ及び前記ミドルプレートを通って前記第2シリンダまで貫通する主流路と、前記主流路から、前記第1シリンダの内部に分岐する第1分岐流路と、前記主流路から、前記第2シリンダの内部に分岐する第2分岐流路と、を備える2シリンダロータリー圧縮機。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気管が接続されるヘッドと、
内部を第1ピストンが偏心回転する第1シリンダと、
内部を第2ピストンが偏心回転する第2シリンダと、
前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に設けられるミドルプレートと、
前記吸気管から前記ヘッド、前記第1シリンダ及び前記ミドルプレートを通って前記第2シリンダまで貫通する主流路と、
前記主流路から、前記第1シリンダの内部に分岐する第1分岐流路と、
前記主流路から、前記第2シリンダの内部に分岐する第2分岐流路と、
を備える、
2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項2】
前記主流路における流路面積は、前記吸気管が接続される吸入口における流路面積以上である、
請求項1に記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項3】
前記第2分岐流路における流路面積は、前記第1分岐流路における流路面積と異なる、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項4】
前記第1分岐流路における流路面積と前記第2分岐流路における流路面積の和は、前記主流路における流路面積以上である、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項5】
前記第1ピストンと、前記第1シリンダと前記第1ピストンとの間に形成される第1圧縮室を第1高圧室と第1低圧室とに仕切る第1ブレードと、を更に備え、
前記第1分岐流路が前記第1低圧室に接続される第1接続口の中心は、前記主流路と前記第1ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、前記第1ブレード側に設けられ、
前記第2ピストンと、前記第2シリンダと前記第2ピストンとの間に形成される第2圧縮室を第2高圧室と第2低圧室とに仕切る第2ブレードと、を更に備え、
前記第2分岐流路が前記第2低圧室に接続される第2接続口の中心は、前記主流路と前記第2ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、前記第2ブレード側に設けられる、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項6】
前記ヘッド、前記第1シリンダ、前記ミドルプレート及び前記第2シリンダを保持する保持部材と、
前記ヘッド、前記第1シリンダ、前記ミドルプレート、前記第2シリンダ及び前記保持部材を内部に収容する容器と、
前記吸気管に接続されるアキュムレータと、を更に備え、
前記保持部材は、前記容器に固定され、
前記アキュムレータの下部は、前記保持部材より下側に設けられる、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項7】
使用する冷媒が二酸化炭素である、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【請求項8】
前記第1シリンダは、
前記第1シリンダの内径の外側に、厚み方向に貫通する第1貫通孔と、
前記第1貫通孔から前記第1シリンダの内部まで形成された第1溝部と、を有し、
前記ミドルプレートは、厚み方向に貫通する第2貫通孔を有し、
前記第2シリンダは、
前記第2シリンダの内径の外側に、厚み方向に延びる縦穴と、
前記縦穴から前記第2シリンダの内部まで形成された第2溝部と、を有し、
前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記縦穴のそれぞれは、前記主流路の一部を構成し、
前記第1溝部は、前記第1分岐流路を構成し、
前記第2溝部は、前記第2分岐流路を構成する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の2シリンダロータリー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2シリンダロータリー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機構部と回転駆動部を備える2シリンダ回転式圧縮機が開示されている。特許文献1には、作動ガスを仕切板に接続された1本の吸込管から仕切板内に設けた分岐部で分岐された2個の吸込通路を通じて、両シリンダ室内に導くことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5070097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータリー圧縮機において、性能を向上させるために、圧縮機構の扁平化が求められている。
【0005】
本開示は、2シリンダロータリー圧縮機における圧縮機構を扁平化する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の2シリンダロータリー圧縮機は、
吸気管が接続されるヘッドと、
内部を第1ピストンが偏心回転する第1シリンダと、
内部を第2ピストンが偏心回転する第2シリンダと、
前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に設けられるミドルプレートと、
前記吸気管から前記ヘッド、前記第1シリンダ及び前記ミドルプレートを通って前記第2シリンダまで貫通する主流路と、
前記主流路から、前記第1シリンダの内部に分岐する第1分岐流路と、
前記主流路から、前記第2シリンダの内部に分岐する第2分岐流路と、
を備える。
【0007】
第1観点の2シリンダロータリー圧縮機によれば、圧縮機構を扁平化できる。
【0008】
第2観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記主流路における流路面積は、前記吸気管が接続される吸入口における流路面積以上である第1観点の2シリンダロータリー圧縮機である。
【0009】
第3観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記第2分岐流路における流路面積は、前記第1分岐流路における流路面積と異なる第1観点又は第2観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【0010】
第4観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記第1分岐流路における流路面積と前記第2分岐流路における流路面積の和は、前記主流路における流路面積以上である第1観点から第3観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【0011】
第5観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記第1ピストンと、前記第1シリンダと前記第1ピストンとの間に形成される第1圧縮室を第1高圧室と第1低圧室とに仕切る第1ブレードと、を更に備え、前記第1分岐流路が前記第1低圧室に接続される第1接続口の中心は、前記主流路と前記第1ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、前記第1ブレード側に設けられ、前記第2ピストンと、前記第2シリンダと前記第2ピストンとの間に形成される第2圧縮室を第2高圧室と第2低圧室とに仕切る第2ブレードと、を更に備え、前記第2分岐流路が前記第2低圧室に接続される第2接続口の中心は、前記主流路と前記第2ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、前記第2ブレード側に設けられる第1観点から第4観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【0012】
第6観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記ヘッド、前記第1シリンダ、前記ミドルプレート及び前記第2シリンダを保持する保持部材と、前記ヘッド、前記第1シリンダ、前記ミドルプレート、前記第2シリンダ及び前記保持部材を内部に収容する容器と、前記吸気管に接続されるアキュムレータと、を更に備え、前記保持部材は、前記容器に固定され、前記アキュムレータの下部は、前記保持部材より下側に設けられる第1観点から第5観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【0013】
第7観点の2シリンダロータリー圧縮機は、使用する冷媒が二酸化炭素である第1観点から第6観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【0014】
第8観点の2シリンダロータリー圧縮機は、前記第1シリンダは、前記第1シリンダの内径の外側に、厚み方向に貫通する第1貫通孔と、前記第1貫通孔から前記第1シリンダの内部まで形成された第1溝部と、を有し、前記ミドルプレートは、厚み方向に貫通する第2貫通孔を有し、前記第2シリンダは、前記第2シリンダの内径の外側に、厚み方向に延びる縦穴と、前記縦穴から前記第2シリンダの内部まで形成された第2溝部と、を有し、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記縦穴のそれぞれは、前記主流路の一部を構成し、前記第1溝部は、前記第1分岐流路を構成し、前記第2溝部は、前記第2分岐流路を構成する第1観点から第7観点のいずれかの2シリンダロータリー圧縮機である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の拡大断面図である。
図4図4は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるヘッドの平面図である。
図5図5は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるシリンダの平面図である。
図6図6は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるシリンダの底面図である。
図7図7は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるミドルプレートの平面図である。
図8図8は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるシリンダの平面図である。
図9図9は、本実施形態に係るロータリー圧縮機におけるシリンダの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示のロータリー圧縮機の具体例を、以下に図面を参照して説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際と異なる場合がある。
【0018】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0019】
例えば、略平行は、2つの線又は2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内で互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0020】
本実施形態に係るロータリー圧縮機について説明する。本実施形態に係るロータリー圧縮機は、吸気管が接続されるヘッドと、内部を第1ピストンが偏心回転する第1シリンダと、内部を第2ピストンが偏心回転する第2シリンダと、第1シリンダと第2シリンダとの間に設けられるミドルプレートと、を備える。そして、本実施形態に係るロータリー圧縮機は、吸気管からヘッド、第1シリンダ及びミドルプレートを通って第2シリンダまで貫通する主流路を備える。そして、本実施形態に係るロータリー圧縮機は、主流路から、第1シリンダの内部に分岐する第1分岐流路と、主流路から、前記第2シリンダの内部に分岐する第2分岐流路と、を備える。
【0021】
本実施形態に係るロータリー装置を、本実施形態に係るロータリー装置の一例であるロータリー圧縮機1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1の斜視図である。図2は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1の断面図である。図3は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1の拡大断面図である。
【0022】
なお、図面には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される場合がある。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合、座標軸が紙面に対して手前側に向いていることを表す。また、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合、座標軸が紙面に対して奥側に向いていることを表す。
【0023】
ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係るロータリー圧縮機等の姿勢について限定するものではない。
【0024】
なお、以下の図面では、X軸方向及びY軸方向に平行な平面であるXY平面において、ロータリー圧縮機のピストンが回転する。
【0025】
Z軸方向に沿って、対象を+Z側からZ軸の反対向きに見る図を平面図という。Z軸方向に沿って、対象を+Z側からZ軸の反対向きに見ることを平面視という。Z軸方向に沿って、対象を-Z側からZ軸の向きに見る図を底面図という。Z軸方向に沿って、対象を-Z側からZ軸の向きに見ることを底面視という。
【0026】
ロータリー圧縮機1は、冷媒を圧縮する。ロータリー圧縮機1において使用される冷媒は、例えば、二酸化炭素である。なお、冷媒は、二酸化炭素に限らず、例えば、フルオロカーボン系の冷媒でもよい。ロータリー圧縮機1は、圧縮機本体10と、アキュムレータ20と、を備える。
【0027】
[圧縮機本体10]
圧縮機本体10は、容器11と、吸気管12と、排気管13と、電力端子15と、を備える。また、容器11は、圧縮機本体10を設置するためにプレート14を備える。
【0028】
圧縮機本体10は、内部に、圧縮部70と、電動部80と、を備える。電動部80は、主軸81を回転させる。圧縮部70は、吸気管12から供給される冷媒を圧縮する。圧縮部70において圧縮された冷媒は、排気管13からロータリー圧縮機1の外部に排出される。圧縮部70は、圧縮機構を構成する。
【0029】
電動部80は、主軸81を回転させる。圧縮部70において、電動部80により回転される主軸81は、ピストン61及びピストン62のそれぞれを回転させる。ピストン61及びピストン62のそれぞれは、主軸81が回転すると偏心回転する。ピストン61及びピストン62のそれぞれが回転することにより、圧縮部70において、冷媒が圧縮される。
【0030】
圧縮部70は、ヘッド31と、シリンダ41と、ミドルプレート50と、シリンダ42と、ヘッド32と、を備える。ヘッド31、シリンダ41、ミドルプレート50、シリンダ42及びヘッド32は、下から順に積み重ねられる。ヘッド31、シリンダ41、ミドルプレート50、シリンダ42及びヘッド32のそれぞれを、主軸81が貫通する。
【0031】
圧縮部70は、シリンダ41の内部に、主軸81により偏心回転するピストン61を備える。また、圧縮部70は、シリンダ42の内部に、主軸81により偏心回転するピストン62を備える。
【0032】
[ヘッド31]
ヘッド31について説明する。図4は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1における下側のヘッド31の平面図である。
【0033】
ヘッド31は、Y軸方向に沿って延び、途中からZ軸方向に沿って延びる貫通孔31hを有する。貫通孔31hの一方は、吸気管12が接続される。貫通孔31hの他方は、シリンダ41の貫通孔41hに接続する。
【0034】
ヘッド31は、上面31Sを有する。上面31Sの上にシリンダ41が載置される。また、上面31Sの上において、ピストン61が回転する。
【0035】
[シリンダ41]
次に、シリンダ41について説明する。図5は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1におけるシリンダ41の平面図である。図6は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1におけるシリンダ41の底面図である。なお、図5及び図6には、シリンダ41の内部を偏心回転するピストン61も示す。
【0036】
シリンダ41は、厚み方向、すなわち、Z軸方向、に沿って貫通する貫通孔41hを備える。貫通孔41hは、シリンダ41の内径の外側に設けられる。貫通孔41hの一方は、ヘッド31の貫通孔31hに接続する。貫通孔41hの他方は、ミドルプレート50の貫通孔50hに接続する。また、シリンダ41は、貫通孔41hからシリンダ41の内部まで形成される溝である溝部41gを有する。
【0037】
シリンダ41における溝部41gにおける接続口の中心41gcは、ピストン61の回転中心41cと、貫通孔41hの中心と結ぶ線L1に対して、ピストン61のブレード61b側に設けられる。
【0038】
[ミドルプレート50]
次に、ミドルプレート50について説明する。図7は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1におけるミドルプレート50の平面図である。
【0039】
ミドルプレート50は、厚み方向、すなわち、Z軸方向、に沿って貫通する貫通孔50hを備える。貫通孔50hの一方は、シリンダ41の貫通孔41hに接続する。貫通孔50hの他方は、シリンダ42の縦穴42hに接続する。
【0040】
[シリンダ42]
次に、シリンダ42について説明する。図8は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1におけるシリンダ42の平面図である。図9は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の一例であるロータリー圧縮機1におけるシリンダ42の底面図である。なお、図8及び図9には、シリンダ42の内部を偏心回転するピストン62も示す。
【0041】
シリンダ42は、厚み方向、すなわち、Z軸方向、に沿って、シリンダ42の厚さの途中まで形成された縦穴42hを備える。縦穴42hは、シリンダ42の内径の外側に設けられる。縦穴42hは、ミドルプレート50の貫通孔50hに接続する。また、シリンダ42は、縦穴42hからシリンダ42の内部まで形成される溝である溝部42gを有する。
【0042】
シリンダ42における溝部42gにおける接続口の中心42gcは、ピストン62の回転中心42cと、縦穴42hの中心と結ぶ線L2に対して、ピストン62のブレード62b側に設けられる。
【0043】
[ヘッド32]
ヘッド32は、ヘッド31、シリンダ41、ミドルプレート50及びシリンダ42を保持する。そして、ヘッド32は、容器11に固定される。例えば、ヘッド32は、溶接により容器11に固定される。なお、アキュムレータ20の下部は、ヘッド32より下側に設けられる。
【0044】
[ピストン61]
ピストン61は、シリンダ41の内部を偏心回転する。ピストン61は、シリンダ41の圧縮室41CSを高圧室41HSと低圧室41LSとに仕切るブレード61bを有する。ブレード61bは、ブッシュ41bによりシリンダ41に固定される。
【0045】
[ピストン62]
ピストン62は、シリンダ42の内部を偏心回転する。ピストン62は、シリンダ42の圧縮室42CSを高圧室42HSと低圧室42LSとに仕切るブレード62bを有する。ブレード62bは、ブッシュ42bによりシリンダ42に固定される。
【0046】
[主流路MFP]
図3に示すように、ロータリー圧縮機1は、貫通孔31h、貫通孔41h、貫通孔50h及び縦穴42hにより、吸気管12からヘッド31、シリンダ41及びミドルプレート50を通って、シリンダ42まで貫通する主流路MFPを備える。
【0047】
主流路MFPにおける流路面積SMは、吸気管12が接続される吸入口における流路面積SSC以上となるようにしてもよい。本開示において、流路面積は、冷媒が流れる方向に垂直な平面で切断した、流路の断面における面積である。例えば、流路面積SMは、貫通孔41h、貫通孔50h及び縦穴42hにおけるXY平面に平行な面で切断した断面の面積である。また、流路面積SMは、貫通孔41hのX軸方向に延びる部分におけるYZ平面に平行な面で切断した断面の面積又は貫通孔41hのY軸方向に延びる部分におけるXY平面に平行な面で切断した断面の面積である。
【0048】
[分岐流路SFP1、分岐流路SFP2]
図3に示すように、ロータリー圧縮機1は、溝部41gにより、主流路MFPからシリンダ41の内部に分岐する分岐流路SFP1を備える。また、ロータリー圧縮機1は、溝部42gにより、主流路MFPからシリンダ42の内部に分岐する分岐流路SFP2を備える。
【0049】
分岐流路SFP2における流路面積SS2は、分岐流路SFP1における流路面積SS1と異なるようにしてもよい。例えば、分岐流路SFP1における冷媒の流量と、分岐流路SFP2における冷媒の流量とを、最適化するように、分岐流路SFP1における流路面積SS1と分岐流路SFP2における流路面積SS2とを定めてもよい。また、例えば、分岐流路SFP1における冷媒の流量と、分岐流路SFP2における冷媒の流量とが等しくなるように、分岐流路SFP1における流路面積SS1と分岐流路SFP2における流路面積SS2とを定めてもよい。
【0050】
分岐流路SFP1における流路面積SS1と分岐流路SFP2における流路面積SS2の和は、主流路MFPにおける流路面積SM以上としてもよい。分岐流路SFP1における流路面積SS1と分岐流路SFP2における流路面積SS2の和を、主流路MFPにおける流路面積SM以上にすることにより、分岐流路SFP1及び分岐流路SFP2における圧力損失を低減できる。
【0051】
なお、分岐流路SFP1における流路面積SS1は、溝部41gが延びる方向に垂直な平面で切断した溝部41gの断面の面積である。分岐流路SFP2における流路面積SS2は、溝部42gが延びる方向に垂直な平面で切断した溝部42gの断面の面積である。
【0052】
シリンダ41は、主流路MFPから分岐した分岐流路SFP1を通過した冷媒が供給される。例えば、シリンダ41に、吸気管12が直接接続されると、吸気管12の外径よりシリンダ41を薄くできない。シリンダ41は主流路MFP及び分岐流路SFP1を介して吸気管12からの冷媒が供給されることから、シリンダ41を薄型化できる。同様に、シリンダ42は主流路MFP及び分岐流路SFP2を介して吸気管12からの冷媒が供給されることから、シリンダ42を薄型化できる。
【0053】
また、例えば、特許文献1に開示のように、ミドルプレート50に、吸気管12が直接接続されると、吸気管12の外径よりミドルプレート50を薄くできない。ミドルプレート50は、吸気管12が接続されていないことから、ミドルプレート50を薄型化できる。
【0054】
なお、シリンダ41が第1シリンダの一例、シリンダ42が第2シリンダの一例、分岐流路SFP1が第1分岐流路の一例、分岐流路SFP2が第2分岐流路の一例である。
【0055】
<まとめ>
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第1シリンダ、第2シリンダ及びミドルプレートを薄くすることにより、圧縮機構を扁平化できる。本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、圧縮機構を扁平化することにより、主軸を短くすることができる。本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、主軸を短くすることにより、主軸の軸たわみの影響を低減できる。
【0056】
また、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、ヘッドに吸気管が接続されることから、シリンダの形状によらずシリンダにおける吸い込み穴を設計できる。本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、シリンダの形状によらずシリンダにおける吸い込み穴を設計できることから、設計の自由度を高めることができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、吸い込み部分の周辺の部品点数を削減できる。本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、吸い込み部分の周辺の部品点数を削減することにより、製造コストを低減できる。
【0058】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、主流路における流路面積を吸気管が接続される吸入口における流路面積以上とすることにより、2シリンダロータリー圧縮機の内部における冷媒の圧力損失を低減できる。
【0059】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第2分岐流路における流路面積が、第1分岐流路における流路面積と異なることにより、第1シリンダ及び第2シリンダのそれぞれに分配する冷媒の量を最適化できる。
【0060】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第1分岐流路における流路面積と第2分岐流路における流路面積の和を主流路における流路面積以上とすることにより、2シリンダロータリー圧縮機の内部における冷媒の圧力損失を低減できる。
【0061】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第1分岐流路における第1接続口の中心が、主流路と第1ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、第1ブレード側に設けられることにより、第1接続口が閉じ終わるのを早くできる。言い換えると、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第1接続口が閉じ終わる角度を小さくできる。同様に、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第2分岐流路における第2接続口の中心が、主流路と第2ピストンの回転中心とを結ぶ線に対して、第2ブレード側に設けられることにより、第2接続口が閉じ終わるのを早くできる。言い換えると、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、第2接続口が閉じ終わる角度を小さくできる。
【0062】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、アキュムレータの下部を保持部材より下側に設けることにより、低重心化ができる。本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、2シリンダロータリー圧縮機を低重心化することにより、振動を低減できる。
【0063】
本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、主流路を貫通孔及び縦穴により形成し、分岐流路を溝部により形成することにより、シリンダの吸い込み部分における形状の設計自由度を高めることができる。また、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、分岐流路を溝部により形成することにより、シリンダの吸い込み部分における加工を簡略化できる。そして、本実施形態に係る2シリンダロータリー圧縮機によれば、シリンダの吸い込み部分における加工を簡略化することにより、製造コストを低減できる。
【0064】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ロータリー圧縮機
10 圧縮機本体
11 容器
12 吸気管
13 排気管
20 アキュムレータ
31 ヘッド
31h 貫通孔
32 ヘッド
41、42 シリンダ
41b、42b ブッシュ
41c、42c 回転中心
41g、42g 溝部
41gc、42gc 中心
41h 貫通孔
42h 縦穴
41CS、42CS 圧縮室
41HS、42HS 高圧室
41LS、42LS 低圧室
50 ミドルプレート
50h 貫通孔
61、62 ピストン
61b、62b ブレード
70 圧縮部
80 電動部
81 主軸
MFP 主流路
SFP1、SFP2 分岐流路
SM、SS1、SS2、SSC 流路面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9