(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145236
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】物流システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0834 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q10/0834
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057503
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】村井 正輝
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】優先条件を満足しつつ、利用者の元に商品を配送することができる物流システムを提供すること。
【解決手段】注文された商品に関する商品情報と、商品の届け先に関する届け先情報とを取得する第1取得ステップと、第1取得ステップで取得した商品情報に基づいて、商品を保管する保管場所に関する保管場所情報を取得する第2取得ステップと、第1取得ステップで取得した届け先情報と、第2取得ステップで取得した保管場所情報とに基づいて、保管場所から届け先までの配送ルートを決定するとともに、複数の長距離配送事業者および複数の短距離配送事業者の中から、設定された優先条件を満足する長距離配送事業者および短距離配送事業者の組み合わせを選択する選択ステップと、を実行する物流システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文された商品に関する商品情報と、前記商品の届け先に関する届け先情報とを取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得した前記商品情報に基づいて、前記商品を保管する保管場所に関する保管場所情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得した前記届け先情報と、前記第2取得ステップで取得した前記保管場所情報とに基づいて、前記保管場所から前記届け先までの配送ルートを決定するとともに、複数の長距離配送事業者および複数の短距離配送事業者の中から、設定された優先条件を満足する前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する選択ステップと、を実行することを特徴とする物流システム。
【請求項2】
前記優先条件は、配送時間が最短となることであり、
前記選択ステップでは、前記配送ルートにおける前記長距離配送事業者の配送時間および前記短距離配送事業者の配送時間に関する配送時間情報を取得し、取得した前記配送時間情報に基づいて、前記優先条件を満足する前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する請求項1に記載の物流システム。
【請求項3】
前記選択ステップでは、前記長距離配送事業者の配送車両の稼働状態に関する第1稼働情報を取得し、取得した前記第1稼働情報を加味して前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する請求項2に記載の物流システム。
【請求項4】
前記選択ステップでは、前記短距離配送事業者の配送車両の稼働状態に関する第2稼働情報を取得し、取得した前記第2稼働情報を加味して前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する請求項2または3に記載の物流システム。
【請求項5】
前記優先条件は、配送料金が最安となることであり、
前記選択ステップでは、前記配送ルートにおける前記長距離配送事業者の配送料金および前記短距離配送事業者の配送料金に関する配送料金情報を取得し、取得した前記配送料金情報に基づいて、前記優先条件を満足する前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する請求項1に記載の物流システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、利用者がインターネットで商品の注文を行い、注文された商品を配送事業者が配送する物流システムが知られている。このような物流システムでは、注文された商品を保管する保管場所に、特定の配送事業者が集配に向かう。その後、特定の配送事業者が中継地点まで商品を輸送し、中継地点にある商品を、利用者の自宅等に配送する。すなわち、長距離輸送を行って商品を中継地点まで配送し、その後、短距離輸送を行って商品を中継地点から利用者の自宅等に配送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている物流システムでは、長距離輸送を行う事業者と、短距離輸送を行う事業者とを適切に組み合わせるといった工夫が行われていなかった。そのため、例えば、長距離輸送を行う事業者や短距離輸送を行う事業者の空状況によっては、注文された商品が届け先に到着するまでに長時間を要したり、配送料金が高額になったりすることがあった。すなわち、従来では、注文された商品の配送に際し、配送事業者の組み合わせが適正でない場合が多々あり、それが原因で、利用者の意向に沿わない状態が生じる、利用者の利益を損なう等の悪影響が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の物流システムは、注文された商品に関する商品情報と、前記商品の届け先に関する届け先情報とを取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得した前記商品情報に基づいて、前記商品を保管する保管場所に関する保管場所情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得した前記届け先情報と、前記第2取得ステップで取得した前記保管場所情報とに基づいて、前記保管場所から前記届け先までの配送ルートを決定するとともに、複数の長距離配送事業者および複数の短距離配送事業者の中から、設定された優先条件を満足する前記長距離配送事業者および前記短距離配送事業者の組み合わせを選択する選択ステップと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の物流システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す物流システムにおいて商品の流れを説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す物流システムが行う制御の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す物流システムが行う制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の物流システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
<実施形態>
図1は、本発明の物流システムの概略構成図である。
図2は、
図1に示す物流システムのブロック図である。
図3は、
図1に示す物流システムにおいて商品の流れを説明するための模式図である。
図4は、
図1に示す物流システムが行う制御の一例を示す図である。
図5は、
図1に示す物流システムが行う制御の一例を示す図である。
【0009】
図1、
図2および
図3に示すように、物流システム1は、複数の利用者10が、各々が所有する利用者端末2を用いて、商品等の注文を行い、注文内容に応じた商品を保有、保管している保管者60から利用者10の元に配送するシステムである。物流システム1では、利用者の注文を受けると、長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の適正な組み合わせを適宜決定し、長距離配送事業者20が所有する長距離配送事業者端末3と、短距離配送事業者30が所有する短距離配送事業者端末4とにそれぞれ配送依頼を送信する。これにより、長距離配送事業者20および短距離配送事業者30が保管者60から利用者10に対し商品の適正な配送を行うことができる。
【0010】
物流システム1は、サーバー5と、複数の利用者端末2と、複数の長距離配送事業者端末3と、複数の短距離配送事業者端末4と、複数の保管者端末6を備える。サーバー5は、例えばインターネットのようなネットワークを介して各利用者端末2、各長距離配送事業者端末3および各短距離配送事業者端末4と接続され、各端末2、3、4との間で、有線、無線またはこれらの組み合わせにより通信が行われる。
【0011】
利用者10としては、特に限定されないが、個人、企業、法人等が挙げられる。利用者端末2としては、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等が挙げられる。
【0012】
図2に示すように、利用者端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を有する。
【0013】
制御部21は、1以上のプロセッサーを備える。制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部22に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行する。制御部21で生成された信号は、通信部23を介してサーバー5に送信される。制御部21で生成される信号は、利用者に関する情報(以下単に「利用者情報」と言う。)と、注文する商品に関する商品情報(以下単に「商品情報」と言う。)と、配送の優先条件(以下単に「優先条件」と言う。)に関する情報と、商品の届け先情報(以下単に「届け先情報」と言う。)と、受け取り希望日時等の情報と、代金の支払いに関する情報と、を含む信号である。これらの信号は、利用者端末2が有する図示しない入力装置を用いて利用者10が入力する情報に基づいて生成される。
【0014】
記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラム等を保存する。記憶部22としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0015】
通信部23は、インターフェース回路を備え、ネットワーク7を介してサーバー5との間で信号の送受信を行う。通信部23がサーバー5に送信する信号は、利用者情報と、商品情報と、優先条件に関する情報と、届け先情報と、受け取り希望日時等の情報の信号と、代金の支払いに関する情報である。
【0016】
保管者60としては、特に限定されないが、個人、企業、法人等が挙げられる。保管者端末6としては、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等が挙げられる。
【0017】
保管者60は、保管者端末6を用いてサーバー5と通信を行い、商品の発注情報を受信する。発注情報には、商品情報、商品回収日時および商品の代金の支払いに関する情報等の情報が含まれる。保管者60は、発注情報に含まれる商品情報および商品回収日時の情報に基づいて、指定された長距離配送事業者20に商品を渡す。この際、長距離配送事業者20は、長距離配送事業者端末3がサーバー5から取得した保管場所情報に基づいて、集荷を行う。
【0018】
保管場所情報は、商品の保管場所に関する位置情報であり、商品ごとに予めサーバー5の記憶部52に記憶されていてもよく、保管者端末6に発注情報が届いてから保管者60が入力する構成であってもよい。
【0019】
図2に示すように、保管者端末6は、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、を有する。
【0020】
制御部61は、1以上のプロセッサーを備える。制御部61は、例えば、CPUで構成され、記憶部62に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行する。制御部61で生成された信号は、通信部63を介してサーバー5に送信される。制御部61で生成される信号は、保管場所情報の信号である。この信号は、保管者端末6が有する図示しない入力装置を用いて保管者60が入力する情報に基づいて生成される。
【0021】
記憶部62は、制御部61で実行される各種プログラム等を保存する。記憶部62としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0022】
通信部63は、インターフェース回路を備え、ネットワーク7を介してサーバー5との間で信号の送受信を行う。通信部63がサーバー5に送信する信号は、保管場所情報の信号等である。ネットワーク7としては、特に限定されず、例えば、LAN、WAN、インターネット等が挙げられる。
【0023】
長距離配送事業者20は、例えば、大型トラック、中型トラック、軽トラック、貨物列車、飛行機、船舶等の輸送機のうちの1または2以上を組み合わせて、長距離輸送を行う。本明細書における長距離輸送とは、商品の保管場所から届け先までの配送ルートが県を跨いでいることである。従って、同一県内において車両等を用いて輸送を行う場合は、短距離輸送に含まれる。
【0024】
短距離配送事業者30は、例えば、大型トラック、小型トラック、軽トラック、乗用車、自動二輪車、自転車等の輸送機のうちの1または2以上を組み合わせて、短距離輸送を行う。本明細書における短距離輸送とは、商品の保管場所から届け先までの配送ルートが同一県内であることである。
【0025】
なお、長距離輸送と短距離輸送の区別は、上記に限定されず、例えば、商品の保管場所から届け先までの配送ルートが所定距離を超える場合、例えば50kmを超える場合は、長距離輸送とされ、所定距離以下の場合は、短距離輸送とされる。
【0026】
長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4は、サーバー5との間で通信を行い、各種情報の送受信を行う。長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4としては、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。
【0027】
物流システム1では、複数の長距離配送事業者20および複数の短距離配送事業者30と配送事業に関する契約を結んでいる。各長距離配送事業者20は、配送可能地域が異なっていることが好ましい。各短距離配送事業者30は、各都道府県に存在し、各々の配送可能地域が異なっていることが好ましく、配送拠点が存在する市町村が異なっていることが好ましい。
【0028】
長距離配送事業者20の配送拠点は、長距離配送事業者20が保有する配送車両が待機している場所のことを言い、短距離配送事業者30の配送拠点は、短距離配送事業者30が保有する配送車両が待機している場所のことを言う。
【0029】
図2に示すように、長距離配送事業者端末3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を有する。
【0030】
制御部31は、1以上のプロセッサーを備える。制御部31は、例えば、CPUで構成され、記憶部32に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行する。制御部31で生成された信号は、通信部33を介してサーバー5に送信される。制御部31で生成される信号は、後述するような配送時間情報や、第1稼働情報等の情報の信号である。これらの信号は、長距離配送事業者端末3が有する図示しない入力装置を用いて長距離配送事業者20に属する作業者が入力する情報に基づいて生成される。
【0031】
記憶部32は、制御部31で実行される各種プログラム等を保存する。記憶部32としては、例えば、RAM等の揮発性メモリー、ROM等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0032】
通信部33は、インターフェース回路を備え、ネットワーク7を介してサーバー5との間で信号の送受信を行う。通信部23がサーバー5に送信する信号は、後述するような配送時間情報や、第1稼働情報等の情報の信号である。
【0033】
長距離配送事業者端末3は、長距離配送事業者20の配送車両の稼働状態、例えば、空車の位置情報や、配送拠点での配送車両の待機数等に関する第1稼働情報をサーバー5に送信する。この送信は、リアルタイム、または定期的に、例えば30分毎に自動で行われる。
【0034】
図2に示すように、短距離配送事業者端末4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を有する。
【0035】
制御部41は、1以上のプロセッサーを備える。制御部41は、例えば、CPUで構成され、記憶部42に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行する。制御部41で生成された信号は、通信部43を介してサーバー5に送信される。制御部41で生成される信号は、後述するような配送時間情報や、第2稼働情報等の情報の信号である。これらの信号は、短距離配送事業者端末4が有する図示しない入力装置を用いて短距離配送事業者30に属する作業者が入力する情報に基づいて生成される。
【0036】
記憶部42は、制御部41で実行される各種プログラム等を保存する。記憶部42としては、例えば、RAM等の揮発性メモリー、ROM等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0037】
通信部43は、インターフェース回路を備え、ネットワーク7を介してサーバー5との間で信号の送受信を行う。通信部43がサーバー5に送信する信号は、後述するような配送時間情報や、第2稼働情報等の情報の信号である。
【0038】
短距離配送事業者端末4は、短距離配送事業者30の配送車両の稼働状態、例えば、空車の位置情報や、配送拠点での配送車両の待機数等に関する第2稼働情報をサーバー5に送信する。この送信は、リアルタイム、または定期的に、例えば30分毎に自動で行われる。
【0039】
サーバー5は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、を備える。
制御部51は、1以上のプロセッサーを備える。制御部51は、例えば、CPUで構成され、記憶部52に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行する。制御部51で生成された信号は、通信部53を介して、利用者端末2、長距離配送事業者端末3、短距離配送事業者端末4および保管者端末6等に送信される。
【0040】
記憶部52は、制御部51で実行される各種プログラム等を保存する。記憶部52としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0041】
通信部53は、インターフェース回路を備え、ネットワーク7を介して利用者端末2、長距離配送事業者端末3、短距離配送事業者端末4および保管者端末6との間で信号の送受信を行う。
【0042】
以下、本実施形態の物流システム1により、利用者10が商品を注文し、該商品が利用者10の指定する届け先に届くまでの流れを説明する。
【0043】
利用者10は、利用者端末2を用いて、自己が希望する商品を注文して購入する。この購入の際、利用者10は、利用者端末2を用いて、利用者情報、商品情報、優先条件に関する情報、届け先情報、受け取り希望日時等の情報および代金の支払いに関する情報等を入力する。
【0044】
利用者情報は、利用者10のID、パスワード、利用者10の属性、例えば利用者10の住所、氏名、性別、生年月日(年齢)等を含む。
【0045】
商品情報は、商品の種類、名称、型番、サイズ、色、個数、商品製造元情報等の情報を含む。
【0046】
優先条件に関する情報は、例えば、最安値での配送を希望するか、最速(最短時間)での配送を希望するか、の条件である。
【0047】
届け先情報は、利用者10が指定した、商品を受け取る住所の情報を含む。届け先(配送先)は、利用者10自身の住所に限られず、利用者の自宅以外の住所の場合もある。商品を受け取る住所は、例えば、利用者または利用者以外の者の自宅、勤務先、公共施設の宅配ボックス等が挙げられる。
【0048】
受け取り希望日時等の情報は、受け取り希望日の年月日または注文日からの日数、受け取りの時間帯を含む。
【0049】
代金の支払いに関する情報は、商品の代金(配送料金を含まず)の金額、支払い方法、クレジットカード情報、ポイント利用情報等を含む。
【0050】
また、利用者10が利用者端末2を用いて行う注文には、例えば、商品の購入注文またはレンタル注文に関する情報が含まれる。この情報は、商品情報に含まれていてもよい。
【0051】
利用者10は、利用者端末2より、利用者情報、商品情報、優先条件に関する情報、届け先情報、受け取り希望日時等の情報および代金の支払いに関する情報を入力するが、これらの情報の全てを新たに入力する場合に限らず、一部の情報は、前回入力した情報がそのまま自動的に入力されてもよい。
【0052】
利用者端末2にて入力されたこれらの情報は、利用者端末2からサーバー5に送信され、サーバー5は、これらの情報を受信し、取得する。すなわち、サーバー5は、注文された商品情報と、届け先情報とを取得する第1取得ステップを実行する。
【0053】
次いで、サーバー5は、利用者10が入力した商品情報に合致する商品を保管する保管者60を検索して抽出し、当該保管者60の保管者端末6に対し、発注情報を送信する。
【0054】
また、サーバー5は、第1取得ステップで取得した商品情報に基づいて、商品を保管する保管場所に関する保管場所情報を取得する第2取得ステップを実行する。保管場所情報が商品ごとに予めサーバー5の記憶部52に記憶されている場合、第2取得ステップは、制御部51が記憶部52から保管場所情報を読み出して取得することによりなされる。一方、保管者端末6に発注情報が届いてから保管者60が保管場所情報を入力する場合、第2取得ステップは、保管者端末6から保管場所情報を取得することによりなされる。
【0055】
次いで、サーバー5は、届け先情報と保管場所情報とに基づいて、保管場所から届け先までの配送ルートを決定するとともに、複数の長距離配送事業者20および複数の短距離配送事業者30の中から、設定された優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する選択ステップを実行する。
【0056】
配送ルートは、例えば、保管場所の位置情報、届け先の位置情報、交通規制、渋滞状況等に関する交通規制情報等に基づいて決定される。交通規制情報は、例えば、リアルタイムで外部機器から受信し、記憶部52に記憶されている。
【0057】
サーバー5は、配送ルートを決定すると、その配送ルートに対応可能で、かつ優先条件を満たす長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。
【0058】
優先条件として、配送時間の最短時間が選択されている場合、各長距離配送事業者20および各短距離配送事業者30の中から、配送ルートに対応可能で、かつ、配送時間が最短となる長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。
【0059】
サーバー5は、長距離配送事業者20の配送車両の稼働状態、すなわち空車の位置情報に関する第1稼働情報を各長距離配送事業者端末3から取得するとともに、短距離配送事業者30の配送車両の稼働状態、すなわち空車の位置情報に関する第2稼働情報を各短距離配送事業者端末4から取得する。
【0060】
サーバー5は、第1稼働情報を加味して、さらには第2稼働情報をも加味して、商品の集荷を行うことにより、商品の保管場所に最も早く到着することができる長距離配送事業者20を選択するとともに、その長距離配送事業者20が商品を配送する先である中継地点へ商品の集荷が可能な短距離配送事業者30を選択することができる。これにより、届け先に商品をさらに適正に、すなわち効率良く安全に最短時間で配送することができる。
【0061】
配送時間情報は、予め記憶部52に記憶されていてもよく、リアルタイムまたは定期的に、例えば、30分毎に長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4から取得する構成であってもよい。
【0062】
配送料金情報は、予め記憶部52に記憶されていてもよく、リアルタイムまたは定期的に、例えば、30分毎に長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4から取得する構成であってもよい。
【0063】
一方、優先条件として、配送料金の最安値が選択されている場合、各長距離配送事業者20および各短距離配送事業者30の中から、配送ルートに対応可能で、かつ、配送料金が最安値となる長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。
【0064】
サーバー5は、配送ルートにおける長距離配送事業者20の配送料金および短距離配送事業者30の配送料金に関する配送料金情報を取得する。配送料金情報は、各長距離配送事業者20の距離および時間帯に応じた配送料金のテーブル、および各短距離配送事業者30の距離および時間帯に応じた配送料金のテーブルとして記憶部52に記憶されている。サーバー5は、届け先情報および保管場所情報から配送距離を算出し、各テーブルに基づいて、配送料金が最安となる組み合わせを求める。
【0065】
なお、この最安となる配送料金の配送料金情報は、利用者端末2に送信され、利用者10に提示されてもよい。
【0066】
従来では、商品の届け先および保管場所が決定すると、予め契約している特定の長距離配送事業者および短距離配送事業者に配送を依頼していた。従って、長距離配送事業者および短距離配送事業者の稼働状況によっては、商品の届け先および保管場所が決定してから、迅速に商品の配送を開始することができない場合があった。また、予め契約している長距離配送事業者および短距離配送事業者が配送を行っていたため、それらが最安値の配送事業者とは限らなかった。このように従来では、利用者にとって適切な配送であるとは限らない。これに対し、本発明では、サーバー5は、上述したようにして、複数の長距離配送事業者20および複数の短距離配送事業者30の中から、設定された優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、優先条件を満足しつつ、利用者10の元に商品を配送することができる。
【0067】
以上説明したように、物流システム1は、注文された商品に関する商品情報と、商品の届け先に関する届け先情報とを取得する第1取得ステップと、第1取得ステップで取得した商品情報に基づいて、商品を保管する保管場所に関する保管場所情報を取得する第2取得ステップと、第1取得ステップで取得した届け先情報と、第2取得ステップで取得した保管場所情報とに基づいて、保管場所から届け先までの配送ルートを決定するとともに、複数の長距離配送事業者20および複数の短距離配送事業者30の中から、設定された優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する選択ステップと、を実行する。これにより、優先条件を満足しつつ、商品を利用者10が指定する届け先(配送先)に、より適正に配送することができる。よって、利用者10の利便性や利益に資することとなる。
【0068】
また、優先条件は、配送時間が最短となることであり、選択ステップでは、配送ルートにおける長距離配送事業者20の配送時間および短距離配送事業者30の配送時間に関する配送時間情報を取得し、取得した配送時間情報に基づいて、優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、最短時間で届け先に商品を配送することができる。よって、利用者10の利便性が向上する。
【0069】
選択ステップでは、長距離配送事業者20の配送車両の稼働状態に関する第1稼働情報を取得し、取得した第1稼働情報を加味して長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、長距離配送事業者20の配送車両の稼働状態に応じて、適正な長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択することができる。その結果、届け先に商品をさらに適正に、すなわち効率良く安全に最短時間で配送することができる。
【0070】
なお、この構成に限定されず、例えば、所定時間内に配送可能であれば、最短で利用者10の元に商品を配送可能な組み合わせでなくてもよい。
【0071】
選択ステップでは、短距離配送事業者30の配送車両の稼働状態に関する第2稼働情報を取得し、取得した第2稼働情報を加味して長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、短距離配送事業者30の配送車両の稼働状態に応じて、適正な長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択することができる。その結果、届け先に商品をさらに適正に、すなわち効率良く安全に最短時間で配送することができる。
【0072】
優先条件は、配送料金が最安となることであり、選択ステップでは、配送ルートにおける長距離配送事業者20の配送料金および短距離配送事業者30の配送料金に関する配送料金情報を取得し、取得した配送料金情報に基づいて、優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、最安値で届け先に商品を配送することができる。よって、利用者10の利益に貢献する。
【0073】
なお、この構成に限定されず、例えば、所定料金内で配送可能であれば、最安値で利用者10の元に商品を配送可能な組み合わせでなくてもよい。
【0074】
次に、物流システム1が行う制御の一例を、
図4および
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0075】
なお、ステップS101~ステップS104は、利用者端末2の制御部21が実行し、ステップS201~ステップS212は、サーバー5の制御部51が実行し、ステップS301~ステップS305は、保管者端末6の制御部61が実行する。ステップS401~ステップS404は、長距離配送事業者端末3の制御部31および短距離配送事業者端末4の制御部41がそれぞれ独立して実行するが、説明の便宜上、これらをまとめて記載している。
【0076】
まず、ステップS101において、利用者10が利用者端末2を用いて前述した商品情報等の各種情報を入力し、サーバー5に送信する。具体的には、利用者端末2は、利用者情報、商品情報、優先条件に関する情報、届け先情報、受け取り希望日時等の情報および代金の支払いに関する情報をサーバー5に送信する。
【0077】
ステップS201において、サーバー5は、利用者端末2から、利用者情報、商品情報、優先条件に関する情報、届け先情報、受け取り希望日時等の情報および代金の支払いに関する情報を受信し、取得する。本ステップが、第1取得ステップである。
【0078】
サーバー5においては、取得した利用者情報によって、利用者10が特定され、取得した商品情報によって注文された商品が特定され、取得した優先条件に関する情報によって優先条件が特定され、取得した届け先情報によって届け先が特定され、取得した受け取り希望日時等の情報によって受け取り希望日時が特定され、取得した代金の支払いに関する情報によって代金および支払い方法等が特定される。
【0079】
次いで、ステップS202において、サーバー5は、在庫情報を取得、受信する。在庫情報は、注文された商品と同一の商品(商品の数量を含む)を、誰がどこで保管しているかに関する保管場所情報である。在庫情報は、リアルタイムで各保管者端末6から受信してもよく、予め記憶部52に記憶されていてもよい。本ステップが、第2取得ステップである。
【0080】
次いで、ステップS203において、サーバー5は、利用者10が指定する届け先と近い順で在庫を探索する。すなわち、利用者10が指定する届け先と近い保管場所を距離探索する。そして、届け先と最も近い保管場所の保管者60を、商品の購入先に決定する。
【0081】
なお、シェアリングエコノミーにより、商品をレンタル利用するニーズが増加している。届け先と最も近い保管場所からのレンタルを選択できることは、物流効率の向上の他、配送料金を含めた商品の利用コストの総額を安価にできるためレンタル利用にも好ましい。
【0082】
次いで、ステップS204において、サーバー5は、長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。すなわち、届け先情報と、保管場所情報とに基づいて、保管場所から届け先までの配送ルートを決定し、その配送ルートに対応可能な長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の適正な組み合わせを選択する。本ステップにおける選択は、前述したように、優先条件に関する情報、配送時間情報、第1稼働情報、第2稼働情報および配送料金情報等に基づいてなされる。
【0083】
次いで、ステップS205において、サーバー5は、配送の予約の依頼に関する予約情報を送信する。すなわち、ステップS204で決定した長距離配送事業者20の長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者30の短距離配送事業者端末4に対し、届け先および保管場所の情報を送信するとともに、配送依頼を行う。
【0084】
ステップS401において、長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4は、予約情報を受信する。次いで、ステップS402において、配送依頼を受けるか否かを判断する。本ステップにおける判断は、長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4に依頼許諾操作がなされたか否かに基づいてなされる。
【0085】
ステップS402において、配送依頼を受けると判断した場合、ステップS403において、配送許諾情報をサーバー5に送信する。サーバー5は、ステップS207にて受信する。ステップS402において、配送依頼を受けないと判断した場合、その旨をサーバー5に送信し、サーバー5は、ステップS204を実行する。
【0086】
次いで、ステップS206において、サーバー5は、保管者端末6に対して発送依頼の情報を送付し、保管者60の保管者端末6が発送依頼の情報を受信する(ステップS301)。
【0087】
次いで、保管者端末6は、ステップS302において、発送依頼を受けるか否かを判断する。この判断は、保管者端末6に依頼許諾操作がなされたか否かに基づいてなされる。
ステップS302において、発送依頼を受けると判断した場合、ステップS303において、保管者端末6からサーバー5に対して発送了承情報を送信し、サーバー5が発送了承情報を受信する(ステップS207)。そして、保管者端末6は、ステップS305において、回収待ち、すなわち、発送準備を行う。
【0088】
一方、ステップS302において、発送依頼を受けないと判断した場合、ステップS304において、保管者端末6からサーバー5に対して発送拒否情報を送信し、サーバー5は、ステップS205を実行する。
【0089】
一方で、サーバー5は、ステップS208において、到着予想時間を算出する。すなわち、ステップS204で決定した長距離配送事業者20および短距離配送事業者30が保管場所から届け先まで商品の配送行うのに要する時間を算出する。本ステップにおける算出は、保管場所から届け先までの距離と配送時間との関係を示すテーブルに基づいて算出される。なお、このテーブルは、長距離配送事業者20および短距離配送事業者30毎に存在し、予め記憶部52に記憶されている。なお、この構成に限定されず、例えば、本ステップにおいて長距離配送事業者20および短距離配送事業者30に問い合わせて取得する構成であってもよい。
【0090】
次いで、ステップS209において、ステップS208で算出した到着予想時間に関する情報を利用者端末2に送信し、利用者端末2は、到着予想時間に関する情報を受信する(ステップS102)。
【0091】
次いで、ステップS103において、利用者端末2は、受け取り希望日時である配送日時の変更を希望するか否かを判断する。本ステップにおける判断は、利用者端末2に対し配送日時の変更を希望する操作がなされたか否かに基づいてなされる。
【0092】
ステップS103において、配送日時の変更を希望すると判断した場合、ステップS104において、変更された配送日時に関する情報を利用者端末2からサーバー5に送信する。
【0093】
ステップS103において、配送日時の変更を希望しないと判断した場合、利用者端末2が行う制御は、完了する。すなわち、ステップS102で受信した到着予想時間まで待機し、商品を受けとる。
【0094】
一方、ステップS210において、サーバー5は、利用者端末2から変更された配送希望日時に関する情報を受信し、ステップS211において、配送日時を調整する。すなわち、配送完了日時を配送希望日時に設定しなおす。次いで、ステップS212において、サーバー5は、ステップS211で設定した条件を満足する配送依頼情報を長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4に送信し、制御を完了する。
【0095】
そして、ステップS404において、長距離配送事業者端末3および短距離配送事業者端末4は、配送依頼情報を受信し、制御を完了する。
【0096】
このようにして、物流システム1では、複数の長距離配送事業者20および複数の短距離配送事業者30の中から、設定された優先条件を満足する長距離配送事業者20および短距離配送事業者30の組み合わせを選択する。これにより、優先条件を満足しつつ、注文された商品を利用者10が指定する届け先に、より適正に、すなわち利用者10の意向にさらに沿うように配送することができる。
【0097】
以上、本発明の物流システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、物流システムの各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成の物と置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…物流システム、2…利用者端末、3…長距離配送事業者端末、4…短距離配送事業者端末、5…サーバー、6…保管者端末、7…ネットワーク、10…利用者、20…長距離配送事業者、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、30…短距離配送事業者、31…制御部、32…記憶部、33…通信部、41…制御部、42…記憶部、43…通信部、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、60…保管者、61…制御部、62…記憶部、63…通信部