IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ エム・エス・ティー株式会社の特許一覧

特開2024-145238周知装置、周知システム及び周知方法
<>
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図1
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図2
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図3
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図4
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図5
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図6
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図7
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図8
  • 特開-周知装置、周知システム及び周知方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145238
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】周知装置、周知システム及び周知方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/06 20060101AFI20241004BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B61L23/06
B61L25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057509
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520475296
【氏名又は名称】エム・エス・ティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩元 寿也
(72)【発明者】
【氏名】大川 真佐雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 元
(57)【要約】
【課題】線路閉鎖及び停電の双方を作業関係者に周知可能な周知装置を提供する。
【解決手段】周知装置10は、線路閉鎖(線閉)及び停電を伴う作業に関する作業情報を受け付ける第1受付部11と、第1受付部11で受け付けた作業情報を記録する第1記録部13と、第1記録部12に記録された作業情報毎に、線閉の着手と、停電の着手と、線閉の解除と、停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付ける第2受付部12と、第2受付部12で受け付けた情報を記録する第2記録部14と、線閉の着手、及び、線閉の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように第1報知機構61を制御する第1報知部15と、停電の着手、及び、停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように第2報知機構62を制御する第2報知部16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用線路の一時的な閉鎖とともに鉄道車両の走行に利用される電力の一時的な供給停止状態で前記鉄道用線路に近接して作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行う周知装置であって、
前記線路閉鎖及び前記停電を伴う前記作業に関する作業情報を受け付ける第1受付部と、
前記第1受付部で受け付けた前記作業情報を記録する第1記録部と、
前記第1記録部に記録された作業情報毎に、前記線路閉鎖の着手と、前記停電の着手と、前記線路閉鎖の解除と、前記停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付ける第2受付部と、
前記第2受付部で受け付けた前記情報を記録する第2記録部と、
前記情報のうち、前記線路閉鎖の着手、及び、前記線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第1報知部と、
前記情報のうち、前記停電の着手、及び、前記停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第2報知部と、
を備える
ことを特徴とする周知装置。
【請求項2】
前記第2受付部は、前記線路閉鎖の着手完了後でなければ、前記停電の着手開始の情報を受け付けないように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の周知装置。
【請求項3】
前記第2受付部は、前記線路閉鎖を実行する線閉責任者による前記線路閉鎖の着手完了に至るまでの履歴が入力されなければ、前記線路閉鎖の着手を完了しないように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の周知装置。
【請求項4】
鉄道用線路の一時的な閉鎖とともに鉄道車両の走行に利用される電力の一時的な供給停止状態で前記鉄道用線路に近接して作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行う周知システムであって、
周知装置と、前記周知装置からの報知指令に基づいて前記作業関係者に報知する報知機構とを備え、
前記周知装置は、
前記線路閉鎖及び前記停電を伴う前記作業に関する作業情報を受け付ける第1受付部と、
前記第1受付部で受け付けた前記作業情報を記録する第1記録部と、
前記第1記録部に記録された作業情報毎に、前記線路閉鎖の着手と、前記停電の着手と、前記線路閉鎖の解除と、前記停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付ける第2受付部と、
前記第2受付部で受け付けた前記情報を記録する第2記録部と、
前記情報のうち、前記線路閉鎖の着手、及び、前記線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第1報知部と、
前記情報のうち、前記停電の着手、及び、前記停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第2報知部と、
を備え、
前記報知装置は、
前記第1報知部からの報知指令をトリガとして報知を行う第1報知機構と、
前記第2報知部からの報知指令をトリガとして報知を行う第2報知機構と、
を備える
ことを特徴とする周知システム。
【請求項5】
前記第1報知機構及び前記第2報知機構は、異なる色彩の光を発する発光装置を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の周知システム。
【請求項6】
鉄道用線路の一時的な閉鎖とともに鉄道車両の走行に利用される電力の一時的な供給停止状態で前記鉄道用線路に近接して作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行う周知方法であって、
前記線路閉鎖及び前記停電を伴う作業に関する作業情報を受け付ける第1受付ステップと、
前記第1受付ステップで受け付けた前記作業情報を記録する第1記録ステップと、
前記第1記録ステップで記録された作業情報毎に、前記線路閉鎖の着手と、前記停電の着手と、前記線路閉鎖の解除と、前記停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付ける第2受付ステップと、
前記第2受付ステップで受け付けた前記情報を記録する第2記録ステップと、
前記情報のうち、前記線路閉鎖の着手、及び、前記線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第1報知ステップと、
前記情報のうち、前記停電の着手、及び、前記停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第2報知ステップと、
を含む
ことを特徴とする周知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、周知装置、周知システム及び周知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用線路付近で作業を行う際、鉄道車両が線路を走行しないように線路閉鎖(線閉)が行われる。線路閉鎖が行われると、線路閉鎖が行われた旨が、例えば作業員に対して周知される。線路閉鎖の周知に関する発明として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1の要約書には「鉄道用の線路が一時的に閉鎖されて作業員による作業が行われた後に、前記閉鎖の解除を支援する線閉解除支援器であって、前記作業員に携行される本体部を備え、前記本体部は、作業開始時刻及び作業終了時刻の入力を受け付ける本体端末から、前記作業開始時刻及び前記作業終了時刻を入力する入力部と、前記入力部によって入力された作業開始時刻及び作業終了時刻を記憶する記憶部と、作業開始又は作業終了を報知する報知部と、前記記憶部に記憶された作業開始時刻及び作業終了時刻のそれぞれに、作業開始又は作業終了を前記報知部に報知させる制御部とを備えることを特徴とする。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-23574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、作業開始時刻及び作業終了時刻を作業員に自動的に知らせることで、線路の閉鎖及び解除を案内できることが記載されている(段落0004)。しかし、作業の中には、鉄道車両の走行に利用される電力を一時的に供給停止状態で行う作業もある。特許文献1に記載の技術では、そのような作業については考慮されていない。
本開示が解決しようとする課題は、線路閉鎖及び停電の双方を作業関係者に周知可能な周知装置、周知システム及び周知方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の周知装置は、鉄道用線路の一時的な閉鎖とともに鉄道車両の走行に利用される電力の一時的な供給停止状態で前記鉄道用線路に近接して作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行う周知装置であって、前記線路閉鎖及び前記停電を伴う前記作業に関する作業情報を受け付ける第1受付部と、前記第1受付部で受け付けた前記作業情報を記録する第1記録部と、前記第1記録部に記録された作業情報毎に、前記線路閉鎖の着手と、前記停電の着手と、前記線路閉鎖の解除と、前記停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付ける第2受付部と、前記第2受付部で受け付けた前記情報を記録する第2記録部と、前記情報のうち、前記線路閉鎖の着手、及び、前記線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第1報知部と、前記情報のうち、前記停電の着手、及び、前記停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに前記作業関係者に報知するように報知装置を制御する第2報知部と、を備える。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、線路閉鎖及び停電の双方を作業関係者に周知可能な周知装置、周知システム及び周知方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の周知システム及び周知装置を示すブロック図である。
図2】報知機構の具体的構造を示す図である。
図3】別の実施形態に係る報知機構の具体的構造を示す図である。
図4】制御装置を構成するハードウェアを示すブロック図である。
図5】本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉着手及び停電着手前に予め行われるフローである。
図6】本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉着手及び停電着手時に行われるフローである。
図7】線閉着手時に表示装置に表示される画像である。
図8】停電着手時に表示装置に表示される画像である。
図9】本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉解除及び停電解除時に行われるフローである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。また、同じ実施形態で、必ずしも全ての構成を備える必要はない。
【0009】
図1は、本開示の周知システム100及び周知装置10を示すブロック図である。周知システム100は、所定作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行うものである。所定作業は、鉄道用線路に近接して行われる作業であり、鉄道用線路の一時的な閉鎖とともに鉄道車両の走行に利用される電力の一時的な供給停止状態で行われる。鉄道用線路上で行われる作業も、鉄道用線路に近接して行われる作業に含まれる。作業は、工事、点検等を含む。また、鉄道車両の走行に利用される電力は、例えば架線を通じて車両に供給される電力、第三軌条を通じて車両に供給される電力等を含む。鉄道車両の走行に利用される電力には、適宜、更に、鉄道車両の走行に利用される設備(即ち車両以外の設備。例えば信号設備等)に供給される電力を含んでもよい。
【0010】
線路閉鎖(線閉)は、少なくとも作業区間(線路上、線路付近等の作業現場)に鉄道車両を侵入させないようにする状態である。線路閉鎖は、例えば、線路閉鎖を行う線閉責任者による線閉着手手続によって実行できる。即ち、線閉責任者が、この例に限定されないが、例えば、車両運行システムにおいて所定の線閉操作を行うことで、実行できる。これにより、作業区間への鉄道車両の進入が抑制される。線閉着手手続は、線閉着手の一部として実行される。
【0011】
一方で、線路閉鎖の解除(線閉解除)は、例えば、線閉責任者による線閉解除手続によって実行できる。即ち、線閉責任者が、この例に限定されないが、例えば、線閉責任者が車両運行システムにおいて所定の線閉解除操作を行うことで、実行できる。これにより、作業区間への鉄道車両の進入が可能になる。線閉解除手続は、線閉解除の一部として実行される。
【0012】
また、停電は、少なくとも作業区間への上記電力の供給を一時的に停止させる状態である。停電の着手(停電着手)は、例えば、停電を確認するための手続きを行う停電責任者による停電着手手続によって実行できる。即ち、停電責任者が、この例に限定されないが、例えば電力指令に連絡して電力遮断状態を確認する等の停電着手手続を行うことで、作業区間の停電状態が形成される。これにより、作業関係者が作業区間で自由に作業できる。停電着手手続は、停電着手の一部として実行される。
【0013】
一方で、停電の解除(停電解除)は、例えば、停電責任者による停電解除手続によって実行できる。即ち、停電責任者が、この例に限定されないが、例えば電力指令に連絡して作業区間が電力復旧してよい状態になったこと知らせる等の停電解除手続を行うことで、作業区間の停電状態が解除される。これにより、作業区間での鉄道車両の走行に使用される電力供給が再開される。停電解除手続は、停電解除の一部として実行される。なお、詳細は後記するが、本開示の例で、停電着手は、線閉着手完了後の作業区間(線路閉鎖した作業区間)について実行される。従って、停電着手は、線閉着手完了後に実行される。
【0014】
周知システム100は、周知装置10と、報知機構60とを備える。周知装置10は、上記所定作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行うものである。「作業関係者」には、作業区間を含む作業現場で実際に作業する作業員が含まれるが、これ以外にも、例えば、作業区間で作業員に作業を指示する作業管理者を含んでもよい。更に、「作業関係者」には、作業区間以外の場所(例えば作業区間外の作業現場)で作業を指示する作業管理者を含んでもよい。報知機構60は、周知装置10からの報知指令に基づいて作業関係者に報知するものである。
【0015】
周知装置10は、入力装置1と、表示装置2と、制御装置20と、カメラ21と、を備える。周知装置10は、例えば、携帯通信端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット、携帯可能なパーソナルコンピュータ等)である。
【0016】
入力装置1は、制御装置20に各種指示を入力するものである。入力装置1は、いずれも不図示の例えばキーボード、マウス、タッチパネル等により構成できる。表示装置2は、例えば、第1記録部13及び第2記録部14に記録された情報、入力装置1を介して入力された情報等を表示するものである。表示装置2は、いずれも不図示の例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、モニター等により構成できる。表示装置2は、入力装置1と一体に構成されたタッチセンサ付ディスプレイでもよい。カメラ21は、制御装置20に入力される情報を撮影するものである。詳細は後記するが、カメラ21を用いた撮影により取得された画像は、制御装置20に入力される。
【0017】
入力装置1、表示装置2、又はカメラ21のうちの少なくとも何れかの1つの装置は、制御装置20とは別体に構成されてもよい。別体に構成される場合、別体に構成される装置と制御装置20とは、例えば無線通信機能によって通信可能に構成できる。無線通信機能は、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi等の近距離無線通信を使用できる。別体に構成される装置と制御装置20とは、有線により通信されてもよい。
【0018】
周知装置10は、第1受付部11と、第2受付部12と、第1記録部13と、第2記録部14と、第1報知部15と、第2報知部16とを備える。
【0019】
第1受付部11は、線路閉鎖及び停電を伴う上記所定作業に関する作業情報を受け付けるものである。作業情報は、上記所定作業を行う作業所名、上記所定作業を行う工事名、線路閉鎖及び停電の対象路線(例えば、山手線、埼京線等)、線路閉鎖及び停電の対象線別(外回り、内回り、上り、下り等)を含む。他にも、作業情報は、例えば、上記所定作業を行う作業日、作業時間等を含んでもよい。
【0020】
作業情報の受け付けは、通常は、上記所定作業を行う前に予め入力される。入力は、例えば入力装置1によって実行できる。第1受付部11で受け付けた作業情報は、第1記録部13に記録される。例えば、上記所定作業を行うことが決定した時点で、設定者が、決定した上記所定作業の内容を作業情報として周知装置10に入力できる。ここでいう設定者は、周知装置10に作業情報を入力することで周知装置10を設定する者である。そして、上記所定作業時には、登録者は、設定者によって予め記録された作業情報を選択すればよい。ここでいう登録者は、上記所定作業時に周知装置10を操作する者であり、詳細は後記するが、線路閉鎖及び停電に至るまでの履歴を登録する者である。登録者は、通常は、作業区間を含む作業現場での作業管理者である。ただし、入力は、上記所定作業を行うときに、登録者が実行するようにしてもよい。
【0021】
なお、入力は、周知装置10とは別の場所に配置されるサーバ(不図示)に対して任意の入力装置(不図示)を用いて行われてもよい。この場合、作業情報の受け付けは、例えばネットワーク(不図示)を介して、周知装置10が当該サーバに接続することで実行できる。
【0022】
第2受付部12は、第1記録部13に記録された作業情報毎に、線路閉鎖の着手(線閉着手)と、停電の着手(停電着手)と、線路閉鎖の解除(線閉解除)と、停電の解除(停電解除)と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付けるものである。第2受付部12で受け付けた情報は、第2記録部14に記録される。情報は、例えば、線閉着手、停電着手、線閉解除、停電解除をそれぞれ実行するときに行われる手続(線閉着手手続、停電着手手続、線閉解除手続、停電解除手続)の情報、及び、当該手続に付随して行われる情報を含む。付随して行われる情報としては、詳細は後記するが例えば、線閉着手手続が開始又は完了したという情報、線閉責任者と登録者との間で交わされた線閉着手に至る迄の交信履歴等が挙げられる。指示は、例えば登録者による入力装置1の操作により実行できる。
【0023】
第2受付部12は、線路閉鎖の着手完了後でなければ、停電の着手開始の情報を受け付けないように構成される。線路閉鎖の着手完了により、鉄道車両は作業区間に侵入できない。この状態で停電着手を開始することで、停電着手完了前であっても、作業区間のうちの、いまだ供給状態にある電力の影響を受けない範囲での作業(線閉作業)を実行できる。これにより、作業効率を向上できる。
【0024】
また、第2受付部12は、停電解除の完了後でなければ、線閉解除の着手開始の情報を受け付けないように構成される。このようにすることで、電力供給の開始により車両が走行可能ではあるものの、線路閉鎖を維持できるため線閉作業を継続できる。
【0025】
第2受付部12は、線路閉鎖を実行する線閉責任者による線路閉鎖の着手完了に至るまでの履歴が入力されなければ、線路閉鎖の着手を完了しないように構成される。これにより、登録者の勘違いによる線路閉鎖の着手及び未完了を抑制できる。また、周知装置10に当該履歴を入力することで、線路閉鎖に伴う責任の一端を、線閉責任者にも担わせることができる。
【0026】
第1報知部15は、第2受付部12で受け付けた情報のうち、線路閉鎖の着手、及び、線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するものである。実行に関する情報は、例えば、線閉着手手続及び線閉解除手続の開始及び終了に関する情報、当該開始のために当該開始に先立って行われる作業に関する指示を表す情報、当該終了後に手続に付随して行われる作業を表す情報等を含む。
【0027】
本開示の例では、報知機構60による報知の開始は、線閉着手手続及び線閉着手手続に付随して行われる作業が完了したときに、実行される。一方で、報知機構60による報知の終了は、線閉作業(上記所定作業において線閉状態で行われる作業)が完了し、線閉解除手続を開始する前に、実行される。
【0028】
第2報知部16は、第2受付部12で受け付けた情報のうち、停電の着手、及び、停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するものである。実行に関する情報は、例えば、停電着手手続及び停電解除手続の開始及び終了に関する情報、当該開始のために当該開始に先立って行われる作業に関する指示を表す情報、当該終了後に手続に付随して行われる作業を表す情報等を含む。
【0029】
本開示の例では、報知機構60による報知の開始は、停電着手手続及び停電着手手続に付随して行われる作業が完了したときに、実行される。一方で、報知機構60による報知の終了は、停電作業(上記所定作業において停電状態で行われる作業)が完了し、停電解除手続を開始する前に、実行される。
【0030】
図2は、報知機構60の具体的構造を示す図である。報知機構60は、上記のように、周知装置10(図1)からの報知指令に基づいて作業関係者に報知するものである。周知装置10と報知機構60とは、例えば無線通信機能によって通信可能に構成できる。無線通信機能は、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi等の近距離無線通信を使用できる。ただし、周知装置10と報知機構60とは、有線により通信されてもよく、周知装置10が報知機構60の機能を有してもよい。
【0031】
報知機構60は、第1報知機構61及び第2報知機構62を備える。第1報知機構61は、第1報知部15(図1)からの報知指令をトリガとして報知を行うものである。第2報知機構62は、第2報知部16(図1)からの報知指令をトリガとして報知を行うものである。報知機構60は、例えば作業区間に設置される。従って、作業区間にいる作業関係者は、同じく作業区間に設置された報知機構60を通じて、線路閉鎖の有無及び停電の有無を把握できる。また、例えば作業区間の入口に報知機構60を設置すれば、作業区間に入ろうとする作業関係者が、線路閉鎖の有無及び停電の有無を把握できる。
【0032】
第1報知機構61及び第2報知機構62は、例えば、異なる色彩の光を発する発光装置を含む。第1報知機構61及び第2報知機構62をこのように構成することで、報知機構60を視認した作業関係者が視覚によって直感的に線路閉鎖の有無及び停電の有無を直感的に把握できる。第1報知機構61は例えば青色の回転灯であり、第2報知機構62は例えば緑色の回転灯である。
【0033】
本開示の例では、報知機構60は、第1報知機構61及び第2報知機構62を支持板63に固定した立て看板である。ただし、報知機構60は、図示のような立て看板に限定されず、地面又は任意の構造物(例えば作業区間に設置される柱、壁、机、台等)の上に第1報知機構61及び第2報知機構62が置かれてもよい。また、第1報知機構61及び第2報知機構62は、セットで設置されることが好ましいが、何れか一方のみが設置されてもよい。
【0034】
第1報知機構61は、線閉開始のとき発光及び回転し始め、線閉終了のときに発光及び回転し終える。従って、第1報知機構61を視認した作業関係者は、第1報知機構61の発光及び回転中には、線閉作業を実行可能と判断できる。一方で、作業関係者は、第1報知機構61の発光及び回転停止中には、線閉作業を実行不可能と判断できる。また、第2報知機構62も、停電開始のときに発光及び回転し始め、停電終了のときに発光及び回転し終える。第2報知機構62を視認した作業関係者は、第2報知機構62の発光及び回転中には、停電作業を実行可能と判断できる。一方で、作業関係者は、第2報知機構62の発光及び回転停止中には、停電作業を実行不可能と判断できる。
【0035】
報知機構60は、1つのみ設置されてもよく、2つ以上設置されてもよい。特に、作業区間が広範な場合には、報知機構60は2つ以上設置されることが好ましく、中でも、作業区間の全体に満遍なく配置されることが好ましい。また、報知機構60は、作業区間以外にも、作業区間を含む作業現場における作業区間外に配置してもよい。これにより、作業区間外に存在し、作業区間で作業予定の作業関係者に対し、線閉作業及び停電作業の可否を周知できる。
【0036】
また、報知機構60は、上記のような回転灯に限定されず、例えば、ポップアップ表示を表示可能な画面を備える携帯端末装置(不図示)、アラーム音を発生可能な任意の音発生装置(不図示)等でもよい。
【0037】
図3は、別の実施形態に係る報知機構60の具体的構造を示す図である。図3には、一例として第1報知機構61が図示されるが、第2報知機構62も、図3に示す構造と同じ構造を有することができる。
【0038】
図3に示す実施形態では、第1報知機構61は、作業関係者が所持可能な構造を有する。ここでいう所持は、作業関係者の手によって所持される「把持」の意味に限定されず、作業関係者が身に着けられる構造をも含む意味である。
【0039】
図示の例では、第1報知機構61は、作業関係者が肩に背負うことができるリュックサック64に備えられる。具体的には、第1報知機構61は、リュックサック64の外面(作業関係者が背負った時に他の作業関係者に視認される側の面)に備えられる。また、リュックサック64の例えば内部には、第1報知機構61に接続され、第1報知機構61の発光制御と周知装置10(図1)との通信とを実行する制御装置(不図示。電源を含む)が配置される。
【0040】
作業区間は短くても、作業区間以外の作業現場が極めて広範な場合(例えば、駅構内の線路工事を伴う大規模駅)がある。極めて広範な作業現場には、上記図2に示した報知機構60の設置台数が極めて多くなり、設置コストが莫大になり易い。そこで、例えば作業関係者が図3に示す構造の第1報知機構61を所持し、作業関係者が作業現場を巡回することで、報知機構60の設置コストの抑制と、作業関係者への周知とを両立できる。
【0041】
なお、図3の例では、第1報知機構61のみがリュックサック64の外面に備えられているが、第1報知機構61及び第2報知機構62の双方がリュックサック64の外面に備えられてもよい。また、リュックサック64における第1報知機構61の設置場所は、図3に示す例に限られない。
【0042】
図4は、制御装置20を構成するハードウェアを示すブロック図である。制御装置20は、例えばCPU(Central Processing Unit)1001、RAM(Random Access Memory)1002、ROM(Read Only Memory)1003等を備えて構成される。制御装置20は、ROM1003に格納されている所定の制御プログラム(例えば本開示の周知方法)がRAM1002に展開され、CPU1001によって実行されることにより具現化される。
【0043】
図5は、本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉着手及び停電着手前に予め行われるフローである。本開示の周知方法は、上記所定作業を行う作業関係者に対して、線路閉鎖及び停電の周知を行う周知方法である。図5に示すフローは、上記のように、例えば設定者(登録者でもよい)が周知装置10(図1)の入力装置1を操作し、各情報を周知装置10に登録することで実行できる。ただし、上記のように、図5に示すフローは、任意のサーバ(不図示)に対して行われてもよい。
【0044】
本開示の周知方法は、ステップS41,S42を含む。ステップS41(第1受付ステップ)は、線路閉鎖及び前停電を伴う作業に関する作業情報を受け付けるステップである。例えば、設定者が入力装置1を操作して作業情報を第1受付部11に入力することで、ステップS41を実行できる。ただし、設定者が、周知装置10(図1)を操作して任意のサーバに接続し、当該サーバに記録された作業情報を読み出すことで、第1受付部11が読みだされた作業情報を受け付けるようにしてもよい。作業情報については、上記図1を参照しながら説明した事項を適用できる。ステップS42(第1記録ステップ)は、ステップS41で受け付けた作業情報を記録するステップである。記録は、第1記録部13に対して行われる。
【0045】
図6は、本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉着手及び停電着手時に行われるフローである。図6及び後記図9に示すフローは、登録者(上記のように通常は作業管理者)が周知装置10(図1)を操作し、各情報を周知装置10に登録することで実行できる。また、周知装置10には、上記ステップS41,52(図5)により、第1受付部11を介して作業情報が予め記録されている。
【0046】
登録者は、周知装置10を操作し、予め記録された作業所名の中から、作業対象となる作業所名を選択する(ステップS1)。更に、登録者は、周知装置10を操作し、予め記録された工事名の中から、作業対象となる工事名を選択する(ステップS2)。次いで、登録者は、周知装置10を操作し、予め記録された線名及び線別の中から、作業対象(線路閉鎖及び停電の対象)となる線名及び線別を選択する(ステップS3)。
【0047】
登録者は、周知装置10を操作して、線閉着手を開始する(ステップS4)。開始は、例えば、表示装置2(図1)に表示された「線閉着手の開始」ボタンを押下することで実行される。なお、押下された時点では、線閉着手手続は実行されていない。次に、登録者は、線閉着手手続(線路閉鎖の着手手続)を行う線閉責任者に対し線路閉鎖を依頼(指示)する。この依頼により、線閉責任者は、作業区間について線閉着手手続を行い、作業空間を線路閉鎖する。線閉着手手続が完了すると、線閉責任者が所持する携帯通信端末(不図示)の表示装置に、「線路閉鎖手続完了に対応する表示」が表示される。一方で、登録者は、この依頼の後、周知装置10に表示された「線閉着手の動作確認」を表すボタン(不図示)を押下する(ステップS5)。
【0048】
図7は、線閉着手時に表示装置2(図1)に表示される画像101である。画像101は、ステップS5に次いで実行されるステップS6(図6)のときに表示装置2に表示される。画像101は、ステップS3(図6)で選択した線名及び線別と、現在操作中の項目である「線閉着手手続」とを示す項目102を含む。画像101は、ステップS5(図6)で「線閉着手の動作確認」を表す「確認会話、ダブルチェック実施」ボタンを押下した時刻を含む項目103を含む。画像101は、カメラ21(図1)を用いて写真を撮影する写真撮影ボタン104と、撮影により得られた画像を登録する登録スペース105とを含む。画像101は、次の画面へ進むボタン106と、前の画面へ戻るボタン107と、ホーム画面へ戻るボタン108とを含む。
【0049】
図6に戻って、ステップS5に次いで実行されるステップS6では、登録者は、ステップS4での登録者の行為(線閉責任者への依頼)によって実行される、線閉責任者による線閉着手手続を開始した証拠を、線路閉鎖に伴う確認動作として登録スペース105(図7)に登録する。ここで登録される証拠は、線閉着手完了動作を示すものであり、線閉責任者による線路閉鎖の着手(線閉着手手続)の完了に至るまでの履歴である。従って、本開示の例では、ここでの証拠は、上記「線路閉鎖手続完了に対応する表示」である。
【0050】
ステップS6では、具体的には、登録者は、画像101(図7)において、写真撮影ボタン104(図7)の押下によりカメラ21(図1)を起動する。そして、登録者は、登録者と一緒にいる線閉責任者が所持する携帯通信端末(不図示)の表示画面に表示された「線閉着手手続完了に対応する表示」を撮影する。ただし、写真撮影ボタン104の押下により、予め撮影した当該表示を含む画像を選択できるようにしてもよい。そして、登録者は、撮影により取得された画像を、登録スペース105(図7)にアップロードすることで周知装置10に登録する。登録は、第2受付部12を通じて行われ、登録された画像は、第2記録部14に記録される。
【0051】
登録により、一連の線閉着手が完了する。本開示の例では、登録をトリガとして、第2受付部12は、第1報知部15に線閉着手完了を指示する。これにより、第1報知部15は、第1報知機構61によって線閉着手完了の指示指令を送信し、第1報知機構61による報知が開始される(ステップS7)。
【0052】
なお、ステップS6における登録は、「線閉着手完了に対応する表示」を含む画像に限られない。例えば、カメラ21を用いて、登録者と線閉責任者との間における線閉指示の会話の様子を撮影した画像、登録者と線閉責任者との間における線閉指示の会話を録音した録音データ、登録者と線閉責任者との間における線閉指示に関するやり取りを記したメール、ショートメッセージ等の写し等を登録してもよい。
【0053】
上記のように、周知装置10は、線路閉鎖の着手完了後でなければ、停電の着手開始の指示を受け付けない。このため、ステップS1~S6で実行される線閉着手完了後に、停電着手に関するステップS8以降が実行される。
【0054】
登録者は、上記ステップS3と同様にして、線名及び線別を選択する(ステップS8)。登録者は、周知装置10を操作して、停電着手を開始する(ステップS9)。開始は、例えば、表示装置2(図1)に表示された「停電着手の開始」ボタンを押下されることで実行される。なお、押下された時点では、停電着手手続は実行されていない。
【0055】
次に、登録者は、停電を行う停電責任者に対し停電を依頼(指示)する。この依頼により、停電責任者は、作業区間について停電着手手続を行い、作業区間の停電状態を確認する。停電後、停電責任者は例えば検電接地器を作業現場に設置することで、停電着手手続が完了する。一方で、この依頼の後、登録者は、周知装置10に表示された「停電着手の動作確認」を表すボタン(不図示)を押下する(ステップS10)。
【0056】
図8は、停電着手時に表示装置2(図1)に表示される画像110である。画像110は、ステップS10に次いで実行されるステップS11(図6)のときに表示装置2に表示される。画像110は、ステップS8(図6)で選択した線名及び線別と、現在操作中の項目である「停電着手手続」とを示す項目112を含む。画像110は、ステップS10(図6)で「停電着手の動作確認」を表す「検電接地器の設置完了」ボタンを押下した時刻を含む項目113を含む。画像110は、カメラ21(図1)を用いて写真を撮影する写真撮影ボタン114と、撮影により得られた画像を登録する登録スペース115とを含む。画像110は、上記画像101(図7)と同様に、ボタン106,107,108を含む。
【0057】
図6に戻って、ステップS10に次いで実行されるステップS11では、登録者は、ステップS9での登録者の行為(停電責任者への依頼)によって実行される、停電責任者による停電着手手続を開始した証拠を、停電に伴う確認動作として登録スペース111(図8)に登録する。ここで登録される証拠は、停電着手完了動作を示すものであり、停電責任者による停電の着手(停電着手手続)の完了に至るまでの履歴である。本開示の例では、従って、ここでの証拠は、作業現場において、上記の検電接地器を作業現場に設置した様子を撮影した画像である。
【0058】
ステップS11では、具体的には、登録者は、画像110(図8)において、写真撮影ボタン114(図8)の押下によりカメラ21(図1)を起動する。そして、登録者は、停電責任者により設置された検電接地器の設置取付の様子を撮影する。ただし、写真撮影ボタン104の押下により、予め撮影した当該表示を含む画像を選択できるようにしてもよい。そして、登録者は、撮影により取得された画像を、登録スペース115(図8)にアップロードすることで周知装置10に登録する。登録は、第2受付部12を通じて行われ、登録された画像は、第2記録部14に記録される。
【0059】
登録により、一連の停電着手が完了する。また、本開示の例では、この時点で、第2受付部12は、第2報知部16に停電着手完了を指示する。これにより、第2報知部16は、第2報知機構62によって停電着手手完了の指示指令を送信し、第2報知機構62による報知が開始される(ステップS12)。
【0060】
なお、ステップS11における登録は、「検電接地器の設置取付の様子」を含む画像に限られない。例えば、カメラ21を用いて、登録者と停電責任者との間における停電指示の会話の様子を撮影した画像、登録者と停電責任者との間における停電指示の会話を録音した録音データ、登録者と停電責任者との間における停電指示に関するやり取りを記したメール、ショートメッセージ等の写し等を登録してもよい。
【0061】
以上により、線閉着手及び停電着手の何れもが完了する。線名及び線別が2つ以上の場合には、上記ステップS1~S12を線名及び線別の区分に応じて繰り返せばよい。
【0062】
なお、ステップS1~S6,S8~S11は、上記ステップS42で記録された作業情報毎に、線路閉鎖の着手と、停電の着手と、線路閉鎖の解除と、停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付けるステップ(第2受付ステップ)である。また、ステップS1~S6,S8~S11では、第2受付部12への入力の都度、入力された情報(ボタン押下を含む)が第2記録部14に記録される。従って、ステップS1~S6,S8~S11は、ステップS1~S6,S8~S11で受け付けた情報を記録するステップ(第2記録ステップ)でもある。
【0063】
また、ステップS7(第1報知ステップ)は、第2受付部12で受け付けた情報のうち、線路閉鎖の着手、及び、線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するステップである。ステップS12(第2報知ステップ)は、前記情報のうち、停電の着手、及び、停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するステップである。
【0064】
図9は、本開示の周知方法を示すフローチャートであり、線閉解除及び停電解除時に行われるフローである。上記図6に示すフローに沿って線閉着手及び停電着手の完了後、上記所定作業が行われる。そして、上記所定作業が終了後、図9に示すフローが実行される。図9に示すフローの実行により、作業区間を再度車両が走行できる。
【0065】
登録者は、上記ステップS3と同様にして、線名及び線別を選択する(ステップS21)。次に、登録者は、周知装置10を操作して、停電解除を開始する(ステップS22)。開始は、例えば、表示装置2(図1)に表示された「停電解除の開始」ボタンを押下されることで実行される。なお、押下された時点では、停電解除手続は実行されていない。
【0066】
次に、登録者は、停電解除手続を行う停電責任者に対し停電解除を依頼(指示)する。この依頼により、停電責任者は、作業区間について停電解除手続を行い、作業区間の停電を解除する。これにより、作業区間の電力供給が再開される。電力供給の再開後、停電責任者は例えば検電接地器を作業現場で解放(設置取外)することで、停電解除手続が完了する。一方で、登録者は、この依頼の後、周知装置10に表示された「線閉着手の動作確認」を表すボタン(不図示)を押下する(ステップS23)。
【0067】
本開示の例では、押下操作をトリガとして、第2受付部12は、第2報知部16に停電解除完了(停電解除の着手完了)を指示する。これにより、第2報知部16は、第2報知機構62によって停電解除完了の指示指令を送信し、第2報知機構62による報知が終了する(ステップS24)。
【0068】
一方で、ステップS23での押下により、上記ステップS11で表示された画像110(図8)と同様の画像(不図示)が表示装置2に表示される。そして、表示装置2において、登録者はカメラ21を用い、検電接地器の設置開放(取外)の様子を撮影し、得られた画像を登録スペース(不図示)に登録する。登録される画像は、停電責任者による停電解除完了動作を示す証拠であり、停電責任者による停電解除(停電解除手続)の着手完了に至るまでの履歴である。従って、本開示の例では、ここでの証拠は、検電接地器の設置開放(取外)の様子を示す画像である。
【0069】
このとき、登録する画像は、「検電接地器の設置開放の様子」を含む画像に限られない。例えば、カメラ21を用いて、登録者と停電責任者との間における停電解除指示の会話の様子を撮影した画像、登録者と停電責任者との間における停電解除指示の会話を録音した録音データ、登録者と停電責任者との間における停電解除指示に関するやり取りを記したメール、ショートメッセージ等の写し等を登録してもよい。
【0070】
以上により、一連の停電解除が完了する。周知装置10は、停電解除完了後でなければ、線閉解除の着手開始の指示を受け付けない。このため、ステップS21~S25で実行される停電解除完了後に、線閉解除に関するステップS26以降が実行される。
【0071】
登録者は、上記ステップS21と同様にして、線名及び線別を選択する(ステップS26)。次に、登録者は、周知装置10を操作して、線閉解除を開始する(ステップS27)。開始は、例えば、表示装置2(図1)に表示された「線閉解除の開始」ボタンを押下されることで実行される。なお、押下された時点では、線閉解除手続は実行されていない。
【0072】
本開示の例では、押下操作をトリガとして、第2受付部12は、第1報知部15に線閉解除完了(線閉解除の着手完了)を指示する。これにより、第1報知部15は、第1報知機構61によって線閉解除完了の指示指令を送信し、第1報知機構61による報知が終了する(ステップS28)。
【0073】
一方で、上記ステップS27の後、登録者は、線閉解除手続を行う線閉責任者に対し線閉解除を依頼(指示)する。この依頼により、線閉責任者は、作業区間について線閉解除手続を行い、作業空間の線路閉鎖を解除する。線閉解除手続が完了すると、線閉責任者が所持する携帯通信端末(不図示)の表示装置に、「線閉解除手続完了に対応する表示」が表示される。一方で、登録者は、この依頼の後、周知装置10に表示された「線閉解除の動作確認」を表すボタン(不図示)を押下する(ステップS29)。
【0074】
ステップS29での押下により、上記ステップS6で表示された画像101(図7)と同様の画像(不図示)が表示装置2に表示される。そして、表示装置2において、登録者はカメラ21を用い、上記「線閉解除手続完了に対応する表示」を撮影し、得られた画像を登録スペース(不図示)に登録する(ステップS30)。登録される画像は、線閉責任者による線閉解除完了動作を示す証拠であり、線閉責任者による線閉解除手続の完了に至るまでの履歴である。従って、本開示の例では、ここでの証拠は、上記「線閉解除手続完了に対応する表示」を撮影した画像である。
【0075】
このとき、登録する画像は、「線閉解除手続完了に対応する表示」を含む画像に限られない。例えば、カメラ21を用いて、登録者と線閉責任者との間における線閉解除指示の会話の様子を撮影した画像、登録者と線閉責任者との間における線閉解除指示の会話を録音した録音データ、登録者と線閉責任者との間における線閉解除指示に関するやり取りを記したメール、ショートメッセージ等の写し等を登録してもよい。
【0076】
以上により、線閉解除及び停電解除の何れもが完了する。線名及び線別が2つ以上の場合には、上記ステップS21~S30を線名及び線別の区分に応じて繰り返せばよい。
【0077】
なお、ステップS21~S23,S25~S27,S29,S30は、上記ステップS42で記録された作業情報毎に、線路閉鎖の着手と、停電の着手と、線路閉鎖の解除と、停電の解除と、を含む各手続の実行に関する情報を受け付けるステップ(第2受付ステップ)である。また、ステップS21~S23,S25~S27,S29,S30では、第2受付部12への入力の都度、入力された情報(ボタン押下を含む)が第2記録部14に記録される。従って、ステップS21~S23,S25~S27,S29,S30は、ステップS21~S23,S25~S27,S29,S30で受け付けた情報を記録するステップ(第2記録ステップ)でもある。
【0078】
また、ステップS28(第1報知ステップ)は、第2受付部12で受け付けた情報のうち、線路閉鎖の着手、及び、線路閉鎖の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するステップである。ステップS24(第2報知ステップ)は、前記情報のうち、停電の着手、及び、停電の解除、の各手続の実行に関する情報を受け付けたときに作業関係者に報知するように報知機構60を制御するステップである。
【0079】
本開示の周知装置10、周知システム100及び周知方法によれば、線路閉鎖及び停電のそれぞれに関する着手及び解除を作業関係者に周知できる。これにより、線路閉鎖に加えて停電も周知されるため作業性を向上でき、効率的に作業できる。
【符号の説明】
【0080】
1 入力装置
10 周知装置
100 周知システム
11 第1受付部
12 第2受付部
13 第1記録部
14 第2記録部
15 第1報知部
16 第2報知部
2 表示装置
20 制御装置
21 カメラ
60 報知機構
61 第1報知機構
62 第2報知機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9