(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145240
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】軸出し装置および軸出しプログラム
(51)【国際特許分類】
G02C 13/00 20060101AFI20241004BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20241004BHJP
B24B 9/14 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02C13/00
B24B41/06 Z
B24B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057513
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】武市 教児
【テーマコード(参考)】
2H006
3C034
3C049
【Fターム(参考)】
2H006DA02
3C034BB75
3C034BB93
3C034CA05
3C034CA22
3C034DD20
3C049AB05
3C049AC02
3C049CA01
(57)【要約】
【課題】 眼鏡レンズの軸出位置に適切に設定できる軸出し装置および軸出しプログラムを提供する。
【解決手段】 眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置であって、眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像する撮像手段と、撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する拡大画像取得手段と、撮像手段が撮像した撮像画像と、拡大画像取得手段が取得した拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる表示制御手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置であって、
前記眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する拡大画像取得手段と、
前記撮像手段が撮像した前記撮像画像と、前記拡大画像取得手段が取得した前記拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする軸出し装置。
【請求項2】
請求項1の軸出し装置において、
前記撮像画像の前記特定領域を設定する領域設定手段を備え、
前記拡大画像取得手段は、前記領域設定手段が設定した前記特定領域を拡大した前記拡大画像を取得することを特徴とする軸出し装置。
【請求項3】
請求項1の軸出し装置において、
前記領域設定手段は、前記撮像手段によって撮像される前記撮像画像の撮像領域において予め設定された領域を、前記特定領域として設定することを特徴とする軸出し装置。
【請求項4】
請求項2の軸出し装置において、
前記撮像手段が撮像した前記撮像画像に基づいて特定部位を検出する検出手段を備え、
前記領域設定手段は、前記検出手段が検出した前記特定部位を含む前記特定領域を設定し、
前記表示制御手段は、前記領域設定手段が設定した前記特定領域を拡大し、前記拡大画像として前記表示手段に表示させることを特徴とする軸出し装置。
【請求項5】
請求項4の軸出し装置において、
前記検出手段は、前記眼鏡レンズの左右のプリントマークを前記特定部位として前記撮像画像から検出し、
前記領域設定手段は、前記眼鏡レンズの一方の第1プリントマークと他方の第2プリントマークの少なくともいずれかを含む前記特定領域を設定することを特徴とする軸出し装置。
【請求項6】
請求項4または5の軸出し装置において、
前記検出手段は、前記眼鏡レンズの左右の隠しマークを前記特定部位として前記撮像画像から検出し、
前記領域設定手段は、前記眼鏡レンズの一方の第1隠しマークと他方の第2隠しマークの少なくともいずれかを含む前記特定領域を設定することを特徴とする軸出し装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれかの軸出し装置において、
前記領域設定手段は、前記第1プリントマークまたは前記第1隠しマークの少なくともいずれかを含む第1特定領域と、前記第2プリントマークまたは前記第2隠しマークの少なくともいずれかを含む第2特定領域と、をそれぞれに設定し、
前記表示制御手段は、前記第1特定領域の第1拡大画像と、前記第2特定領域の第2拡大画像と、の一方を前記撮像画像の左側に配置し、他方を前記撮像画像の右側に配置することを特徴とする軸出し装置。
【請求項8】
請求項7の軸出し装置において、
前記表示制御手段は、前記撮像画像の左側領域にて検出された前記特定部位に対応する前記第1拡大画像または前記第2拡大画像を、前記撮像画像の左側に配置し、前記撮像画像の右側領域にて検出された前記特定部位に対応する前記第1拡大画像または前記第2拡大画像を、前記撮像画像の右側に配置することを特徴とする軸出し装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかの軸出し装置において、
前記眼鏡レンズの前記撮像画像は、前記眼鏡レンズの全体画像であって、前記第1プリントマークと前記第2プリントマークの双方、および、前記第1隠しマークと前記第2隠しマークの双方、の少なくともいずれかを含む全体画像であることを特徴とする軸出し装置。
【請求項10】
眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置にて実行される軸出しプログラムであって、
前記眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する拡大画像取得ステップと、
前記撮像ステップが撮像した前記撮像画像と、前記拡大画像取得ステップが取得した前記拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる表示制御ステップと、
を前記軸出し装置に実行させることを特徴とする軸出しプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置、および、軸出し装置にて用いる軸出しプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置の一例として、眼鏡レンズに加工治具(カップ)を取り付けるカップ取付装置が知られている。例えば、眼鏡レンズが累進焦点レンズである場合には、累進焦点レンズに対するカップの取付位置(軸出位置)を設定する過程で、隠しマークやプリントマークの撮像が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の軸出し装置では、累進焦点レンズの撮像画像から隠しマーク位置やプリントマーク位置を把握することが難しい場合があった。また、隠しマーク位置とプリントマーク位置にはずれが生じている可能性があり、このずれを認識することが難しかった。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡レンズの軸出位置に適切に設定できる軸出し装置および軸出しプログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は、以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 本開示の第1態様に係る軸出し装置は、眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置であって、前記眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像する撮像手段と、前記撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する拡大画像取得手段と、前記撮像手段が撮像した前記撮像画像と、前記拡大画像取得手段が取得した前記拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係る軸出しプログラムは、眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置にて実行される軸出しプログラムであって、前記眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像する撮像ステップと、前記撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する拡大画像取得ステップと、前記撮像ステップが撮像した前記撮像画像と、前記拡大画像取得ステップが取得した前記拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させる表示制御ステップと、を前記軸出し装置に実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】累進焦点レンズの撮像画像と拡大画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本開示の実施形態に軸出し装置の概要について説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0010】
本実施形態の軸出し装置は、眼鏡レンズの周縁を加工する工程で用いる軸出し装置であってもよい。例えば、軸出し装置は、眼鏡レンズに対して、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定するための軸出位置設定手段を備える軸出し装置であってもよい。例えば、保持手段は、眼鏡レンズ周縁加工装置が有する保持手段(一例として、チャック軸)であってもよい。また、例えば、軸出し装置は、眼鏡レンズを保持手段に保持させるための加工治具であるカップを取り付けるカップ取付手段を備えるカップ取付装置であってもよい。
【0011】
<カップ取付手段>
本実施形態の軸出し装置は、カップ取付手段(例えば、カップ取付機構30)を備えてもよい。例えば、カップ取付手段は、眼鏡レンズを保持手段に保持させるための加工治具であるカップを、軸出位置設定手段(詳細は後述)によって設定された軸出位置に基づいて、眼鏡レンズに取り付けてもよい。例えば、カップ取付手段は、眼鏡レンズの前面と後面の少なくともいずれかにカップを取り付けてもよい。
【0012】
<眼鏡レンズの撮像画像と拡大画像の表示>
<撮像手段>
本実施形態の軸出し装置は、撮像手段(例えば、眼鏡レンズ測定機構40)を備えてもよい。例えば、撮像手段は、眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像してもよい。例えば、撮像手段は、眼鏡レンズのレンズ面の広範囲を撮像することが可能な撮像範囲を有していてもよい。一例として、撮像手段は、眼鏡レンズのレンズ面の全体を撮像することが可能な撮像範囲を有していてもよい。
【0013】
例えば、眼鏡レンズの撮像画像は、眼鏡レンズの全体画像であって、眼鏡レンズに付された左右のプリントマーク(第1プリントマークと第2プリントマーク)の双方、および、眼鏡レンズに付された左右の隠しマーク(第1隠しマークと第2隠しマーク)の双方、の少なくともいずれかを含む全体画像であってもよい。例えば、この場合には、眼鏡レンズの中心位置(一例として、幾何学中心位置)に対する左右のプリントマークまたは左右の隠しマークの軸度を容易に把握できる。
【0014】
例えば、撮像手段は、撮像手段を構成する一部として、撮像光学系(例えば、撮像光学系420)を備えてもよい。例えば、撮像光学系は、眼鏡レンズからの自然光による反射光束を受光することで、眼鏡レンズを撮像してもよい。また、例えば、撮像光学系は、眼鏡レンズからの照明光学系(例えば、照明光学系410)による反射光束を受光することで、眼鏡レンズを撮像してもよい。例えば、撮像手段は、少なくとも撮像素子を有する構成であればよい。
【0015】
<検出手段>
本実施形態の軸出し装置は、検出手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、検出手段は、撮像手段が撮像した撮像画像に基づいて特定部位を検出してもよい。例えば、検出手段は、眼鏡レンズの撮像画像に基づいて、撮像画像を解析処理することによって、特定部位を検出してもよい。例えば、撮像画像の解析処理には、種々の画像処理方法が適用されてもよい。一例としては、撮像画像の輝度値、彩度、色相、等の少なくともいずれかの変化を検出することによって、特定部位を検出してもよい。また、一例としては、予め準備された特定部位のテンプレート画像を用いて、テンプレート画像と撮像画像の類似度を算出することによって、特定部位を検出してもよい。
【0016】
例えば、検出手段は、眼鏡レンズの左右のプリントマークを特定部位として撮像画像から検出してもよい。例えば、この場合、検出手段は、後述のプリントマーク検出手段を兼ねてもよい。また、例えば、検出手段は、眼鏡レンズの左右の隠しマークを特定部位として撮像画像から検出してもよい。例えば、この場合、検出手段は、後述の隠しマーク検出手段を兼ねてもよい。もちろん、例えば、検出手段は、眼鏡レンズの左右のプリントマークと、左右の隠しマークと、の双方を特定部位として撮像画像から検出してもよい。
【0017】
<領域設定手段>
本実施形態の軸出し装置は、領域設定手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、領域設定手段は、撮像手段が撮像した撮像画像の特定領域を設定してもよい。例えば、これによって、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を特定領域として容易に設定することができ、その結果として、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を含む局所的な拡大画像を容易に取得できる。
【0018】
例えば、領域設定手段は、操作者による操作手段の操作によって入力された任意の位置を、特定領域として設定してもよい。例えば、この場合、軸出し装置は、操作者が特定領域を指定するための操作信号を入力する操作手段(例えば、モニタ2)を備えてもよく、領域設定手段は、操作手段によって撮像画像上で指定された位置を、特定領域として設定してもよい。
【0019】
例えば、領域設定手段は、検出手段が検出した特定部位を含む特定領域を設定してもよい。例えば、領域設定手段は、特定領域を基準とした所定の領域を、特定領域として設定してもよい。
【0020】
例えば、領域設定手段は、検出手段(プリントマーク検出手段)が検出した特定部位を含む特定領域として、眼鏡レンズの一方の第1プリントマークと他方の第2プリントマークの少なくともいずれかを含む特定領域を設定してもよい。例えば、この場合、領域設定手段は、第1プリントマークと第2プリントマークの双方を含む1つの特定領域を設定してもよいし、第1プリントマークと第2プリントマークのそれぞれに対する2つの特定領域を設定してもよい。
【0021】
例えば、領域設定手段は、検出手段(隠しマーク検出手段)が検出した特定部位を含む特定領域として、眼鏡レンズの一方の第1隠しマークと他方の第2隠しマークの少なくともいずれかを含む特定領域を設定してもよい。例えば、この場合、領域設定手段は、第1隠しマークと第2隠しマークの双方を含む1つの特定領域を設定してもよいし、第1隠しマークと第2隠しマークのそれぞれに対する2つの特定領域を設定してもよい。
【0022】
なお、例えば、領域設定手段は、第1プリントマークまたは第1隠しマークの少なくともいずれかを含む第1特定領域と、第2プリントマークまたは第2隠しマークの少なくともいずれかを含む第2特定領域と、をそれぞれに設定してもよい。
【0023】
例えば、領域設定手段は、撮像手段によって撮像される撮像画像の撮像領域において予め設定された領域を、特定領域として設定してもよい。例えば、撮像画像の撮像領域において予め設定された領域は、撮像画像に対する所定の座標位置と予め対応づけることによって設定された領域であってもよい。例えば、これによって、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を指定したり、眼鏡レンズの特定部位を検出したりすることなく、眼鏡レンズの局所的な拡大画像を容易に取得できる。一例として、領域設定手段は、撮像画像の撮像領域において、予め設定された左右のプリントマークあるいは左右の隠しマークの少なくともいずれかが配置される位置を、特定領域として設定してもよい。
【0024】
なお、軸出し装置は、眼鏡レンズを撮像手段(撮像光学系)に対して位置合わせするためのアライメント手段を備えてもよい。例えば、アライメント手段は、眼鏡レンズの中心位置と撮像光学系の光軸位置を一致させるために、眼鏡レンズを求心する求心機構であってもよい。一例として、この場合、領域設定手段は、眼鏡レンズが求心機構にて求心された際に、撮像光学系の撮像領域において左右のプリントマークあるいは隠しマークが配置される位置を、特定領域として設定してもよい。また、例えば、アライメント手段は、操作者に眼鏡レンズの所定の位置を撮像光学系に対する所定の位置(所定の領域)に配置させるためのガイド機構であってもよい。一例として、この場合には、操作者が眼鏡レンズを移動させて、撮像光学系の撮像領域に対する所定の領域内に左右のプリントマークあるいは隠しマークをおさめるためのガイドを撮像画像上に表示させてもよい。例えば、領域設定手段は、このようなガイドに対応する位置を、特定領域として設定してもよい。
【0025】
<拡大画像取得手段>
本実施形態の軸出し装置は、拡大画像取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、拡大画像取得手段は、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得してもよい。例えば、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域は、撮像画像に含まれる部分的な領域であってもよい。一例としては、眼鏡レンズに付されたプリントマークおよび隠しマークの少なくともいずれかを含む領域であってもよい。
【0026】
例えば、拡大画像取得手段は、眼鏡レンズの拡大画像を撮像する撮像手段によって撮像された拡大画像を取得してもよい。例えば、このような撮像手段は、前述の<撮像手段>と少なくとも一部の構成が兼用されてもよい。一例として、この場合には、撮像手段の撮像倍率を切り換えることで、撮像画像と拡大画像を取得してもよい。また、例えば、このような撮像手段は、前述の<撮像手段>とは別途設けられてもよい。つまり、例えば、眼鏡レンズの広範囲の撮像画像を撮像する撮像手段と、眼鏡レンズの狭範囲の拡大画像を撮像する撮像手段と、がそれぞれに設けられてもよい。
【0027】
例えば、拡大画像取得手段は、前述の<撮像手段>によって撮像された撮像画像を画像処理することによって、拡大画像を取得してもよい。例えば、この場合、拡大画像取得手段は、領域設定手段が撮像画像において設定した特定領域を拡大した拡大画像を取得してもよい。一例としては、撮像画像において設定した特定領域を所定の倍率に拡大するように、撮像画像の画素を補間することによって、拡大画像を取得してもよい。
【0028】
<表示制御手段>
本実施形態の軸出し装置は、表示制御手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、表示制御手段は、撮像手段が撮像した眼鏡レンズの撮像画像を表示手段に表示させてもよい。
【0029】
例えば、表示制御手段は、撮像手段が撮像した眼鏡レンズの撮像画像と、拡大画像取得手段が取得した撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させてもよい。例えば、表示制御手段は、眼鏡レンズの撮像画像と、眼鏡レンズの1つまたは複数の拡大画像と、を同一画面上に表示させてもよい。例えば、眼鏡レンズの撮像画像のみが画面上に表示される場合、眼鏡レンズの広範囲における特定領域の位置関係等を俯瞰的に把握することはできても、眼鏡レンズに含まれる小さな情報(一例としては、プリントマークや隠しマーク等)を確認することはできない。また、例えば、眼鏡レンズの拡大画像のみが画面上に表示される場合、眼鏡レンズに含まれる小さな情報を容易に確認することはできるが、眼鏡レンズ上における小さな情報の位置関係等は見ることができない。しかし、例えば、操作者は、眼鏡レンズの広範囲の撮像画像と、眼鏡レンズの局所的な拡大画像と、を同時に比較しながら操作を進めることができるため、眼鏡レンズに含まれる種々の情報を見失いにくくなり、これらの情報の位置関係等を容易に把握できる。また、例えば、眼鏡レンズに含まれる種々の情報を見失いにくいことで、これらの情報の位置関係等をスムーズに調整することができる。一例としては、眼鏡レンズの撮像画像から左右のプリントマークや左右の隠しマークの相対的な位置関係を把握し、眼鏡レンズの拡大画像から個々のプリントマークや隠しマークの形状や位置関係を把握することによって、眼鏡レンズの位置合わせ等を容易に行うことができる。
【0030】
例えば、表示制御手段は、領域設定手段が設定した特定領域を拡大し、これを拡大画像として表示手段に表示させてもよい。例えば、表示制御手段は、眼鏡レンズの一方の第1プリントマークと他方の第2プリントマークの少なくともいずれかを含む特定領域を拡大した拡大画像を表示手段に表示させてもよい。また、例えば、表示制御手段は、眼鏡レンズの一方の第1隠しマークと他方の第2隠しマークの少なくともいずれかを含む特定領域を拡大した拡大画像を表示手段に表示させてもよい。もちろん、例えば、表示制御手段は、第1プリントマークまたは第1隠しマークの少なくともいずれかを含む第1特定領域を拡大した第1拡大画像と、第2プリントマークまたは第2隠しマークの少なくともいずれかを含む第2特定領域を拡大した第2拡大画像と、を表示手段に表示させてもよい。
【0031】
例えば、表示制御手段は、眼鏡レンズの撮像画像と、第1特定領域の第1拡大画像と、第2特定領域の第2拡大画像と、を表示手段の同一画面上に表示させてもよい。例えば、表示制御手段は、第1拡大画像と第2拡大画像との一方を撮像画像の左側に配置し、他方を撮像画像の右側に配置してもよい。例えば、これによって、眼鏡レンズに付された2つのプリントマークおよび隠しマークのそれぞれを、2つの拡大画像を用いて容易に認識できる。
【0032】
なお、例えば、表示制御手段は、眼鏡レンズの撮像画像の左側領域にて検出された特定部位に対応する第1拡大画像または第2拡大画像を、撮像画像の左側に配置し、撮像画像の右側領域にて検出された特定部位に対応する第1拡大画像または第2拡大画像を、撮像画像の右側に配置してもよい。例えば、これによって、眼鏡レンズ上の特定部位の方向と、拡大画像の配置の方向と、が一致するため、特定部位の視覚的な判断が容易になり、その後の操作等を行いやすくなる。
【0033】
<軸出位置の設定>
<撮像手段>
本実施形態の軸出し装置は、撮像手段(例えば、眼鏡レンズ測定機構40)を備えてもよい。例えば、撮像手段は、眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像してもよい。なお、例えば、<軸出位置の設定>における撮像手段は、<眼鏡レンズの撮像画像と拡大画像の表示>における撮像手段と兼用されてもよい。
【0034】
<プリントマーク検出手段>
本実施形態の軸出し装置は、プリントマーク検出手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、プリントマーク検出手段は、眼鏡レンズの左右のプリントマークを撮像画像に基づいて検出してもよい。例えば、プリントマーク検出手段は、眼鏡レンズの一方の第1プリントマークと、他方の第2プリントマークと、を撮像画像に基づいてそれぞれに検出してもよい。
【0035】
<プリントマーク位置取得手段>
本実施形態の軸出し装置は、プリントマーク位置取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、プリントマーク位置取得手段は、眼鏡レンズに付された左右のプリントマークのプリントマーク位置を取得してもよい。
【0036】
なお、例えば、眼鏡レンズには、眼鏡レンズの幾何学中心位置を基準として左右にそれぞれの隠しマークが付され、その隠しマークに対応するようにプリントマークが付されている。従って、例えば、プリントマーク位置取得手段は、左右のプリントマークのプリントマーク位置として、左右の隠しマークに対応する2つのプリントマークのプリントマーク位置を取得してもよい。
【0037】
例えば、プリントマーク位置取得手段は、操作者による操作手段の操作によって入力された任意の位置を、プリントマーク位置として取得してもよい。例えば、この場合、軸出し装置は、操作者がプリントマーク位置を指定するための操作信号を入力する操作手段(例えば、モニタ2)を備えてもよく、プリントマーク位置取得手段は、操作手段によって撮像画像上で指定された位置を、プリントマーク位置として取得してもよい。なお、プリントマーク位置取得手段は、操作手段によって、撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像上で指定された位置を、プリントマーク位置として取得してもよい。
【0038】
例えば、プリントマーク位置取得手段は、プリントマーク検出手段の検出結果に基づいて、プリントマーク位置を自動的に取得してもよい。なお、例えば、眼鏡レンズにおいて、プリントマークはおおよそ共通のマークとして存在しており、隠しマークほどの記号や数値の組み合わせがないため、容易に検出することが可能である。
【0039】
<隠しマーク検出手段>
本実施形態の軸出し装置は、隠しマーク検出手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、隠しマーク検出手段は、眼鏡レンズの左右の隠しマークを撮像画像に基づいて検出してもよい。例えば、隠しマーク検出手段は、眼鏡レンズの一方の第1隠しマークと、他方の第2隠しマークと、を撮像画像に基づいてそれぞれに検出してもよい。
【0040】
<隠しマーク位置取得手段>
本実施形態の軸出し装置は、隠しマーク位置取得手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、隠しマーク位置取得手段は、眼鏡レンズに付された左右の隠しマークの隠しマーク位置を取得してもよい。
【0041】
例えば、隠しマーク位置取得手段は、操作者による操作手段の操作によって入力された任意の位置を、隠しマーク位置として取得してもよい。例えば、この場合、軸出し装置は、操作者が隠しマーク位置を指定するための操作信号を入力する操作手段(例えば、モニタ2)を備えてもよく、隠しマーク位置取得手段は、操作手段によって撮像画像上で指定された位置を、隠しマーク位置として取得してもよい。なお、例えば、隠しマーク位置取得手段は、操作手段によって、撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像上で指定された位置を、隠しマーク位置として取得してもよい。例えば、眼鏡レンズに付された隠しマークの検出は、眼鏡レンズの種類や眼鏡レンズの製造メーカによって異なる記号や数値で表されるため、プリントマークよりも検出が難しい場合がある。しかし、眼鏡レンズの撮像画像上で隠しマーク位置を直接的に指定することで、隠しマーク位置を容易に取得することができる。
【0042】
また、例えば、隠しマーク位置取得手段は、隠しマーク検出手段の検出結果に基づいて、隠しマーク位置を自動的に取得してもよい。
【0043】
<表示制御手段>
本実施形態の軸出し装置は、表示制御手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、表示制御手段は、撮像手段が撮像した眼鏡レンズの撮像画像を表示手段に表示させてもよい。なお、例えば、<軸出位置の設定>における表示制御手段は、<眼鏡レンズの撮像画像と拡大画像の表示>における表示制御手段と兼用されてもよい。
【0044】
例えば、表示制御手段は、プリントマーク検出手段の検出結果に基づいて、プリントマーク位置に基づく識別情報を撮像画像上に重畳表示させてもよい。なお、例えば、表示制御手段は、識別情報を撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像上に重畳表示させてもよい。例えば、識別情報は、操作者にプリントマーク位置を識別させるためのものであればよい。例えば、識別情報は、プリントマークの形状に重ね合わせた検出線、プリントマーク位置を示す所定の標識(一例として、記号、目盛り、マーク、アイコン、等の少なくともいずれか)、等の少なくともいずれかであってもよい。もちろん、例えば、識別情報は、これらとは異なる情報であってもよい。例えば、これによって、操作者は容易にプリントマーク位置を把握でき、プリントマーク位置に対する種々の操作を直感的に行うことができる。また、例えば、プリントマーク位置と隠しマーク位置がずれていた場合に、ずれの方向や程度を判断しやすくなる。
【0045】
<軸出位置設定手段>
本実施形態の軸出し装置は、軸出位置設定手段(例えば、制御部60)を備えてもよい。例えば、軸出位置設定手段は、眼鏡レンズに対し、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定してもよい。例えば、軸出位置設定手段は、眼鏡レンズ周縁加工装置が有する保持手段に眼鏡レンズを保持させる位置(言い換えると、眼鏡レンズに対する保持手段の取付位置)を、軸出位置として設定してもよい。例えば、軸出位置は、眼鏡レンズの光学中心位置、幾何学中心位置、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0046】
例えば、軸出位置設定手段は、眼鏡レンズの撮像画像に基づいて、眼鏡レンズに対し、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定してもよい。また、例えば、軸出位置設定手段は、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像に基づいて、眼鏡レンズに対し、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定してもよい。
【0047】
例えば、軸出位置設定手段は、プリントマーク位置取得手段が取得したプリントマーク位置と、隠しマーク位置取得手段が取得した隠しマーク位置と、に基づいて、眼鏡レンズに対し、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定してもよい。例えば、これによって、眼鏡レンズのプリントマーク位置を用いて、眼鏡レンズの軸出位置を容易に決めることができ、さらに、眼鏡レンズの隠しマーク位置を用いて、眼鏡レンズの軸出位置の精度を向上させることができる。
【0048】
例えば、軸出位置設定手段は、プリントマーク位置と隠しマーク位置とのずれ量に基づいて、眼鏡レンズに対する保持手段の軸出位置を変更することにより、軸出位置を設定してもよい。例えば、軸出位置設定手段は、プリントマーク位置に基づいて軸出位置を設定し、さらに、プリントマーク位置と隠しマーク位置とのずれ量に基づいて軸出位置を移動させることで、軸出位置を再設定してもよい。例えば、軸出位置設定手段は、隠しマーク位置に基づいて軸出位置を設定し、さらに、プリントマーク位置と隠しマーク位置とのずれ量に基づいて軸出位置を移動させることで、軸出位置を再設定してもよい。
【0049】
なお、例えば、プリントマーク位置と隠しマーク位置とのずれ量には、許容範囲が設けられてもよい。例えば、このような許容範囲は、操作者によって設定される任意の値であってもよい。また、例えば、このような許容範囲は、実験やシミュレーションの結果に基づいて予め設定される固定の値であってもよい。
【0050】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種の記憶媒体等を介して装置あるいはシステムに供給し、装置あるいはシステムの制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0051】
<実施例>
以下、本実施形態に係る一実施例を図面に基づいて説明する。本実施例では、軸出し装置としてカップ取付装置を例に挙げる。
【0052】
図1は、カップ取付装置1の外観図である。例えば、カップ取付装置1は、モニタ2、眼鏡レンズ支持機構10、カップ取付機構30、眼鏡レンズ測定機構40(
図4参照)、等を備える。
【0053】
本実施例において、モニタ2にはタッチパネル機能が付加され、モニタ2が操作部(コントローラ)として機能する。なお、モニタ2と操作部は別に設ける構成であってもよく、この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いてもよい。また、本実施例において、モニタ2にはLCD(Liquid Crystal Display)が用いられる。もちろん、モニタ2には、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、等を用いてもよい。
【0054】
例えば、モニタ2には、眼鏡レンズに取り付けるカップ情報、眼鏡レンズの光学特性情報(第1情報)、眼鏡レンズの光学特性情報とは異なる情報(第2情報)、等の少なくともいずれかを含む各種の情報が表示される。なお、一例として、眼鏡レンズに取り付けるカップ情報は、カップの外形形状等であってもよい。また、一例として、眼鏡レンズの第1情報は、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、プリズム量、等の少なくともいずれかであってもよい。また、一例として、眼鏡レンズの第2情報は、眼鏡レンズの外形形状、小玉形状、プリントマーク、隠しマーク、印点、穴形状、穴位置、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0055】
また、例えば、モニタ2には、眼鏡レンズにカップを取り付けるための軸打ち画面、眼鏡レンズの加工レイアウトを入力するためのレイアウト画面、眼鏡レンズの加工条件を入力するための加工条件設定画面、等の少なくともいずれかを含む各種の操作画面が表示される。
【0056】
<眼鏡レンズ支持機構>
図2は、眼鏡レンズ支持機構10の概略図である。眼鏡レンズ支持機構10は、眼鏡レンズLEを支持する。例えば、眼鏡レンズ支持機構10は、円筒ベース11、リング部材12、保護カバー13、支持ピン14、等を備える。
【0057】
例えば、円筒ベース11の内部には、後述の指標板44や再帰性反射部材45等が収納される。例えば、円筒ベース11の上部には、リング部材12が固定される。例えば、リング部材12の上部には、保護カバー13が固定される。例えば、保護カバー13の上部には、支持ピン14が固定される。例えば、支持ピン14は3本で構成され、各々の支持ピン14が眼鏡レンズ測定機構40(
図4参照)の光軸L1に対して等距離かつ等角度で配置される。
【0058】
<カップ取付機構>
図3は、カップ取付機構30の概略図である。カップ取付機構50は、眼鏡レンズにカップを取り付ける。例えば、カップ取付機構30は、装着部31、アーム32、アーム保持ベース33、モータ34、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、等を備える。
【0059】
例えば、装着部31には、カップCuが装着される。例えば、装着部31は、カップCuに形成された凹凸部Cuaに嵌合する凹凸部31aを有する。例えば、装着部31は、アーム32に固定される。例えば、アーム32は、装着部31における水平方向の回転角度を可変に保持するための図示なき回転伝達機構を備える。例えば、アーム32は、アーム保持ベース33に固定される。例えば、アーム保持ベース33は、モータ34を備える。例えば、モータ34の回転は、アーム32の図示なき回転伝達機構を介して、装着部31へと伝達される。これによって、例えば、装着部31がカップCuの取付中心軸S1の軸回りに回転する。
【0060】
例えば、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、およびZ方向移動機構37は、それぞれ、図示なきモータ等を備える。例えば、X方向移動機構35は、カップ取付装置1の左右方向(X方向)に移動する。例えば、X方向移動機構35の上部には、Y方向移動機構36が設置される。例えば、Y方向移動機構36は、カップ取付装置1の上下方向(Y方向)に移動する。例えば、Y方向移動機構36の上部には、Z方向移動機構37が設置される。例えば、Z方向移動機構37は、カップ取付装置1の前後方向(Z方向)に移動する。例えば、Z方向移動機構37は、アーム32と、アーム保持ベース33と、アーム保持ベース33が備えるモータ34と、を保持する。
【0061】
例えば、本実施例では、X方向移動機構35が移動されることで、カップ取付装置1に対して、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、およびアーム32、等が左右方向に移動する。また、例えば、本実施例では、Z方向移動機構37が移動されることで、カップ取付装置1に対して、アーム32等が前後方向に移動する。これによって、例えば、装着部31が眼鏡レンズ支持機構10の上部まで移動する。
【0062】
さらに、例えば、本実施例では、Y方向移動機構36が移動されることで、カップ取付装置1に対して、Z方向移動機構37およびアーム32等が上下方向に移動する。これによって、例えば、装着部31に装着されたカップCuが、眼鏡レンズに軸打ちされる。
【0063】
<眼鏡レンズ測定機構>
図4は、眼鏡レンズ測定機構40の概略図である。眼鏡レンズ測定機構40は、眼鏡レンズの光学特性情報(第1情報)を測定する。また、眼鏡レンズ測定機構40は、眼鏡レンズの光学特性情報とは異なる第2情報を検出する。例えば、眼鏡レンズ測定機構40は、照明光学系410、撮像光学系420、等を備える。
【0064】
照明光学系410は、眼鏡レンズLEの前面側から照明光束を投光する。例えば、照明光学系410は、光源411、ハーフミラー412、凹面ミラー413、指標板414、再帰性反射部材415、等を備える。例えば、光源411は、眼鏡レンズLEに光束を照射する。例えば、凹面ミラー413は、光源からの光束を反射させるとともに、光源からの光束を眼鏡レンズLEよりも大きな径の平行光束(略平行光束)となるように整形する。例えば、指標板414は、多数の開口(光束の通過口)で形成された所定のパターンを有する。例えば、再帰性反射部材415は、光源からの光束を入射方向と同一(略同一)の方向に反射する。例えば、再帰性反射部材415は、光源からの光束を均一に反射させるために、図示なきモータ等によって、光軸L1の軸回りに高速で回転されてもよい。
【0065】
撮像光学系420は、眼鏡レンズLEを前面側から撮像する。例えば、撮像光学系420は、凹面ミラー413、絞り421、撮像レンズ422、撮像素子423、等を備える。例えば、絞り421は、凹面ミラー413の焦点位置(略焦点位置)に配置される。例えば、絞り421は、光源411と共役(略共役)な位置関係である。例えば、撮像素子423は、光源411から出射し、再帰性反射部材415によって反射された反射光束を撮像する。例えば、撮像素子323の焦点位置は、眼鏡レンズLEの前面付近に合わされている。これによって、眼鏡レンズLEのプリントマーク、隠しマーク、印点、等の少なくともいずれかを、おおよそ焦点の合った状態で撮像することができる。
【0066】
<制御部>
図5は、カップ取付装置1における制御系の概略図である。例えば、制御部60には、モニタ2、不揮発性メモリ65(以下、メモリ65)、等が電気的に接続される。また、例えば、制御部60には、カップ取付機構30のモータ34、X方向移動機構35の図示なきモータ、Y方向移動機構36の図示なきモータ、Z方向移動機構37の図示なきモータ、等が電気的に接続される。また、例えば、制御部60には、眼鏡レンズ測定機構40の光源411、撮像素子423、再帰性反射部材415を回転させるための図示なきモータ、等が電気的に接続される。
【0067】
例えば、制御部60は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、カップ取付装置1における各部の駆動を制御してもよい。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶してもよい。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されてもよい。
【0068】
<制御動作>
上記の構成を備えるカップ取付装置1の制御動作を説明する。例えば、カップ取付装置1の操作者は、眼鏡レンズLEを眼鏡レンズ支持機構10の支持ピン14上に載置する。例えば、眼鏡レンズLEの後面に支持ピン14が当接することで、眼鏡レンズが保持される。本実施例では、眼鏡レンズLEが累進焦点レンズLEpである場合を例に挙げる。
【0069】
図6は、累進焦点レンズLEpの一例である。
図6(a)は、累進焦点レンズLEpのレイアウトを示す。
図6(b)は、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90を示す。例えば、累進焦点レンズLEpは、累進焦点レンズLEpの種類、加入度数、屈折率、累進帯長、等を特定するための隠しマークMを有する。例えば、隠しマークMは、幾何学中心位置Oに対して左右対称な位置(一例としては、幾何学中心位置Oから左右に17mm離れた位置)に、形成される。例えば、隠しマークMは、レーザ等によって形成され、レンズの種類やレンズの製造メーカによって異なる何通りもの記号や数値で表される。
【0070】
また、例えば、累進焦点レンズLEpは、遠用アイポイント70、遠用度数測定領域75、近用アイポイント80、近用度数測定領域85、等を有する。例えば、遠用アイポイント70は、眼鏡装用者の瞳孔を一致させる位置である。例えば、遠用アイポイント70は、幾何学中心位置Oから上方向に所定距離だけ離れた位置(一例としては、幾何学中心位置Oから上に2mm離れた位置)とされる。例えば、遠用度数測定領域75は、遠用度数を測定する領域である。例えば、遠用度数測定領域75の中心は、遠用アイポイント70から上方向に所定距離だけ離れた位置(一例としては、遠用アイポイント70から上に4mm離れた位置)とされる。例えば、近用アイポイント80は、幾何学中心位置Oから下方向に所定距離だけ離れた位置とされる。例えば、近用度数測定領域85は、近用度数を測定する領域である。例えば、近用度数測定領域85の中心は、近用アイポイント80から下方向に所定距離だけ離れた位置とされる。このため、累進焦点レンズLEpの隠しマークMを基準に、幾何学中心位置O、各アイポイントの位置、各測定領域の位置、等を特定することができる。
【0071】
例えば、累進焦点レンズLEpの表面には、隠しマークMの位置、各アイポイントの位置、および各測定領域の位置、等がプリントマーク90として印刷される。一例としては、隠しマークMの位置を示す水平線91、各アイポイントの位置を示す十字マーク92、各測定領域の位置を示す円形マーク93、等がプリントマーク90として印刷される。従って、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90を基準に、幾何学中心位置O、各アイポイントの位置、各測定領域の位置、等を特定することも可能である。
【0072】
なお、累進焦点レンズLEpの隠しマークMは前述のように何通りも存在し、新たなレンズが増える度に追加されていくため、隠しマークMの画像処理等による自動検出は、テンプレートデータの更新やマッチング処理に要する時間の問題が生じ、難しい場合がある。一方、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90は、おおよそ共通のマークとして存在しているため、隠しマークMよりも容易に自動検出することができる。また、プリントマーク90は、隠しマークMがわずかなサイズであるのに対し、比較的大きなサイズで認識しやすいため、隠しマークMよりも容易に自動検出することができる。
【0073】
操作者は、モニタ2を操作して、累進焦点レンズLEpにカップCuを取り付けるための軸打ちモードを設定する。例えば、制御部60は、モニタ2から入力される操作信号に基づいて、眼鏡レンズ測定機構40の光源411を点灯させるとともに、累進焦点レンズLEpを撮像素子423にて撮像する。これによって、累進焦点レンズLEpの像(撮像画像110)が取得される。また、累進焦点レンズLEpの像(撮像画像110)に基づく拡大画像120が取得される。
【0074】
図7は、累進焦点レンズLEpの撮像画像110と拡大画像120の一例である。
図7(a)は、撮像画像110を示す。
図7(b)は、拡大画像120を示す。例えば、累進焦点レンズLEpの撮像画像110は、レンズ全体を含む画像である。例えば、撮像画像110には、隠しマークM、プリントマーク90、等が含まれてもよい。また、例えば、撮像画像110には、支持ピン14の像112、指標板414による図示なきパターン像、等が含まれてもよい。例えば、累進焦点レンズLEpの拡大画像120は、撮像画像110を部分的に拡大した画像である。
【0075】
制御部60は、撮像画像110から特定部位を検出する。例えば、制御部60は、撮像画像110の画像処理によって、特定部位としてプリントマーク90を検出する。一例として、制御部60は、撮像画像110の各画素の輝度を算出し、輝度の変化(輝度の立ち上がり等)に基づいて、プリントマーク90を検出する。これによって、例えば、制御部60は、撮像画像110上の水平線91、十字マーク92、円形マーク93、等の位置を取得することができる。また、例えば、制御部60は、撮像画像110上の水平線91の傾斜角度から、累進焦点レンズLEpの載置面における回転角度を取得することができる。
【0076】
続いて、制御部60は、撮像画像110において、プリントマーク90の少なくとも一部を含む特定領域115を設定する。例えば、水平線91は中央に切れ目が存在するため、この切れ目を基準とした所定の画素の範囲を、特定領域115として設定してもよい。一例としては、水平線91の切れ目を基準とした、縦1.5cm×横1.5cmの実距離に相当する画素の範囲を、特定領域115として設定してもよい。なお、累進焦点レンズLEpには、2つの隠しマークMに対応する2つの水平線91が印刷されている。このため、例えば、制御部60は、一方の水平線91に対する第1特定領域115aと、他方の水平線に対する第2特定領域115bと、を設定してもよい。
【0077】
さらに、制御部60は、撮像画像110の特定領域115を拡大した拡大画像120を取得する。例えば、制御部60は、撮像画像110から特定領域115をトリミングし、特定領域115を所定の倍率となるように引き伸ばすことで、拡大画像120を取得する。例えば、拡大画像120には、隠しマークM、水平線91、等が含まれてもよい。ここでは、第1特定領域115aの第1拡大画像120aと、第2特定領域115bの第2拡大画像120bと、をそれぞれに取得することができる。
【0078】
制御部60は、累進焦点レンズLEpの撮像画像110と拡大画像120(第1拡大画像120aと第2拡大画像120b)を取得すると、累進焦点レンズLEpにカップCuを取り付けるための軸打ち画面100をモニタ2に表示させる。
【0079】
図8は、軸打ち画面100の一例である。
図8では、隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置にずれがない状態を示している。例えば、軸打ち画面100は、累進焦点レンズLEpの撮像画像110、第1拡大画像120a、第2拡大画像120b、軸打ちボタン130、手動指定ボタン140、等によって構成される。
【0080】
例えば、軸打ち画面100は、撮像画像110の左側に第1拡大画像120aと第2拡大画像120bの一方を配置するように、撮像画像110の右側に第1拡大画像120aと第2拡大画像120bの他方を配置するように、レイアウトされる。例えば、制御部60は、撮像画像110を縦方向に2等分割することで、撮像画像110を左側領域110Lと右側領域110Rに分けてもよい。例えば、制御部60は、撮像画像110の左側領域110Lにある特定領域115に対応した拡大画像(
図8では、第1拡大画像120a)を、撮像画像110の左側に配置するように、表示を制御してもよい。同様に、例えば、制御部60は、撮像画像110の右側領域110Rに位置する特定領域115に対応する拡大画像(
図8では、第2拡大画像120b)を、撮像画像110の右側に配置するように、表示を制御してもよい。
【0081】
例えば、軸打ち画面100において、少なくとも拡大画像120には、水平線91の位置を把握しやすくするための十字マーク125が重畳されてもよい。例えば、十字マーク125は、さらに、水平線91の位置に対する隠しマークMの位置のずれ(詳細は後述する)を把握しやすくするための目盛り線を兼ねてもよい。例えば、制御部60は、水平線91の切れ目の中心と、十字マーク125の中心と、を一致(略一致)させるように、拡大画像120に十字マーク125を重畳表示させる。
【0082】
操作者は、モニタ2に軸打ち画面100が表示されると、累進焦点レンズLEpの隠しマークMの位置と水平線91の位置にずれがあるか否かを、拡大画像120を用いて確認する。例えば、操作者は、第1拡大画像120aに写る隠しマークMの位置に対し、十字マーク125の位置が一致(略一致)するか否かを確認する。また、例えば、操作者は、第2拡大画像120bに写る隠しマークMの位置に対し、十字マーク125の位置が一致(略一致)するか否かを確認する。
【0083】
なお、例えば、拡大画像120において、隠しマークMの位置と水平線91(十字マーク125)の位置にずれがない場合には、隠しマークMに十字マーク125が重畳されるので、隠しマークMが見づらくなることがある。このため、例えば、十字マーク125は、その表示と非表示を切り換えることができるように構成されてもよい。
【0084】
操作者は、第1拡大画像120aと第2拡大画像120bにおいて、隠しマークMの位置と水平線91(十字マーク125)の位置にずれがないと判断した場合、累進焦点レンズLEpにカップCuを取り付ける。例えば、操作者は、カップ取付機構30の装着部31にカップCuを装着し、軸打ちボタン130を操作する。例えば、制御部60は、軸打ちボタン130からの操作信号に基づいて、累進焦点レンズLEpの適切な軸出し位置(一例として、遠用アイポイント70の位置)に、カップCuを取り付ける。
【0085】
例えば、制御部60は、プリントマーク90の検出結果に基づいて、X方向移動機構35とZ方向移動機構37を制御し、遠用アイポイント70の位置を示す十字マーク92の位置に、アーム32の取付中心軸S1を配置する。また、例えば、制御部60は、プリントマーク90の検出結果に基づいて、アーム32の図示なき回転伝達機構を制御し、累進焦点レンズLEpの回転角度に合わせて、アーム32の取付中心軸S1を回転させる。また、例えば、制御部60は、Y方向移動機構36を制御し、アーム32を下降させることで、累進焦点レンズLEpの前面にカップCuを取り付ける。
【0086】
なお、累進焦点レンズLEpの隠しマークMから特定できる各々の位置(例えば、実際の幾何学中心位置O、各アイポイントの位置、および各測定領域の位置、等の少なくともいずれか)と、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90の印刷位置と、にはずれが生じている場合がある。言い換えると、累進焦点レンズLEpにおける隠しマークMの位置と、累進焦点レンズLEpにおけるプリントマーク90の印刷位置と、にはずれが生じている場合がある。このため、必ずしもプリントマーク90が正確であるとは限らない。
【0087】
そこで、本実施例では、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90を利用しつつ、累進焦点レンズLEpの適切な軸出し位置(遠用アイポイント70の位置)にカップを取り付けるために、隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置のずれ量に基づいて、以下の制御が行われてもよい。
【0088】
図9は、軸打ち画面100の一例である。
図9(a)は、隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置にずれがある状態を示している。
図9(b)は、隠しマークMの位置を指定した状態を示している。例えば、操作者は、軸打ち画面100の第1拡大画像120aと第2拡大画像120bにおいて、隠しマークMの位置と水平線91(十字マーク125)の位置にずれがあると判断した場合、少なくとも隠しマークMの位置を手動で指定してもよい。
【0089】
例えば、操作者は、軸打ち画面100の手動指定ボタン140を操作する。例えば、制御部60は、手動指定ボタン140からの操作信号に基づき、操作者の次の操作を誘導するためのガイドメッセージ145等を表示させてもよい。一例としては、操作者に隠しマークMの位置を指定させるためのガイドメッセージ145を表示させてもよい。例えば、操作者は、ガイドメッセージ145に従い、拡大画像120上で任意の位置を指定する。
【0090】
例えば、制御部60は、拡大画像120上で指定された任意の位置に指定マーク150を重畳させるとともに、任意の位置を隠しマークMの位置として取得する。例えば、制御部60は、第1拡大画像120a上の任意の位置を、2つのうちの一方の隠しマークMの位置として取得し、第2拡大画像120b上の任意の位置を、2つのうちの他方の隠しマークMの位置として取得する。
【0091】
なお、前述のように、累進焦点レンズLEpの隠しマークMの自動検出は難しい場合があるが、撮像画像110または拡大画像120を画像処理し、隠しマークMを検出することによって、隠しマークMの位置を取得することも可能である。一例として、制御部60は、撮像画像110または拡大画像120の各画素の輝度を算出し、輝度の変化(輝度の立ち上がり等)に基づいて隠しマークMを検出することで、隠しマークMの位置を取得してもよい。
【0092】
さらに、例えば、制御部60は、プリントマーク90の位置を取得する。例えば、制御部60は、累進焦点レンズLEpの撮像画像110または拡大画像120を画像処理し、プリントマーク90を検出することによって、水平線91の切れ目の中心(十字マーク125)、十字マーク92、円形マーク93、等の位置を取得する。もちろん、例えば、操作者に対してプリントマーク90を指定させるためのガイドメッセージ145を表示させ、操作者が拡大画像120上で指定した任意の位置を、水平線91の切れ目の中心(十字マーク125)、十字マーク92、円形マーク93、等の位置として取得してもよい。
【0093】
例えば、制御部60は、隠しマークMの位置と水平線91の切れ目の中心(十字マーク125)の位置をそれぞれに取得すると、これらの位置に基づいて、累進焦点レンズLEpに対するカップCuの軸出位置を設定する。例えば、制御部60は、隠しマークMの位置と水平線91の切れ目の中心の位置のずれ量を利用し、プリントマーク90の検出結果に基づいて定まる軸出位置(つまり、遠用アイポイント70の位置を示す十字マーク92の位置)を変更することによって、カップCuの軸出位置160を設定する。
【0094】
図10は、カップCuの軸出位置を説明する図である。
図10(a)は、累進焦点レンズLEpの隠しマークMおよび水平線91の周辺を示す。
図10(b)は、累進焦点レンズLEpの遠用アイポイント70の周辺を示す。例えば、制御部60は、操作者が指定した隠しマークM(指定マーク150)の位置に対し、自動検出した水平線91の切れ目の中心(十字マーク125)の位置が、左右方向(X方向)に離れたずれ量δxと、前後方向(Z方向)に離れたずれ量δzと、を算出する。例えば、制御部60は、撮像画像110の画素数でずれ量δxとずれ量δzを表してもよい。
【0095】
続いて、例えば、制御部60は、自動検出した十字マーク92の位置に対し、左右方向(X方向)と前後方向(Z方向)にずれ量δxとずれ量δzだけ離れた位置を、実際の遠用アイポイント70の位置として検出する。また、例えば、制御部60は、このような実際の遠用アイポイント70の位置を、累進焦点レンズLEpの軸出位置160として再設定する。
【0096】
なお、例えば、制御部60は、左右の隠しマークMを結ぶ線分と、左右の水平線91の切れ目の中心(左右の十字マーク125)を結ぶ線分と、の軸度にずれがあった場合、2つの軸度のずれ(すなわち、回転角度)を検出してもよい。より詳細には、例えば、隠しマークMを結ぶ線分に対して、左右の水平線91の切れ目の中心を結ぶ線分が、幾何学中心位置Oを基準に回転した回転角度を検出してもよい。
【0097】
例えば、制御部60は、操作者の操作による軸打ちボタン130からの操作信号に基づいて、累進焦点レンズLEpの軸出位置160にカップCuを取り付ける。例えば、制御部60は、X方向移動機構35、Y方向移動機構36、Z方向移動機構37、等を制御し、ずれ量δxとずれ量δzの画素数を実距離に換算してアーム32を移動させる。また、例えば、制御部60は、累進焦点レンズLEpの回転角度、および、水平線91の幾何学中心位置Oを基準とした回転角度を考慮して、アーム32の取付中心軸S1を回転させる。例えば、これによって、累進焦点レンズLEpの隠しマークMから特定できる実際の遠用アイポイント70の位置と、累進焦点レンズLEpのプリントマーク90から特定できる遠用アイポイント70の位置と、が異なっていても、自動検出が容易なプリントマーク90を利用して、適切な軸出位置にカップCuを取り付けることができる。
【0098】
以上説明したように、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮像し、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得し、撮像画像と拡大画像とを同一画面上に表示させる。例えば、眼鏡レンズの撮像画像のみが画面上に表示される場合、眼鏡レンズの広範囲における特定領域の位置関係等を俯瞰的に把握することはできても、眼鏡レンズに含まれる小さな情報(一例としては、プリントマークや隠しマーク等)を確認することはできない。また、例えば、眼鏡レンズの拡大画像のみが画面上に表示される場合、眼鏡レンズに含まれる小さな情報を容易に確認することはできるが、眼鏡レンズ上における小さな情報の位置関係等は見ることができない。しかし、例えば、本実施例の軸出し装置の構成よって、操作者は、眼鏡レンズの広範囲の撮像画像と、眼鏡レンズの局所的な拡大画像と、を同時に比較しながら操作を進めることができるため、眼鏡レンズに含まれる種々の情報を見失いにくくなり、これらの情報の位置関係等を容易に把握できる。また、例えば、眼鏡レンズに含まれる種々の情報を見失いにくいことで、これらの情報の位置関係等をスムーズに調整することができる。
【0099】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの撮像画像における特定領域を設定することによって、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する。例えば、これによって、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を特定領域として容易に設定することができ、その結果として、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を含む局所的な拡大画像を容易に取得できる。
【0100】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの撮像画像の撮像領域において予め設定された領域を、撮像画像の特定領域として設定することによって、眼鏡レンズの撮像画像の特定領域を拡大した拡大画像を取得する。例えば、これによって、操作者が所望する眼鏡レンズの特定部位を指定したり、眼鏡レンズの特定部位を検出したりすることなく、眼鏡レンズの局所的な拡大画像を容易に取得できる。
【0101】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの撮像画像に基づいて特定部位を検出し、特定部位を含む特定領域を設定し、さらに、このような特定領域を拡大した拡大画像を表示させる。例えば、これによって、眼鏡レンズの特定部位および特定領域を容易に認識することができる。
【0102】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの左右のプリントマークを特定部位として撮像画像から検出し、眼鏡レンズの一方の第1プリントマークと他方の第2プリントマークの少なくともいずれかを含む特定領域を設定する。例えば、これによって、眼鏡レンズに付されたプリントマークに関する情報(一例として、プリントマークの形状や位置等)を、拡大画像から容易に判断できる。
【0103】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、第1プリントマークまたは第1隠しマークの少なくともいずれかを含む第1特定領域と、第2プリントマークまたは第2隠しマークの少なくともいずれかを含む第2特定領域と、をそれぞれに設定し、第1特定領域の第1拡大画像と、第2特定領域の第2拡大画像と、の一方を撮像画像の左側に配置し、他方を撮像画像の右側に配置する。例えば、これによって、眼鏡レンズに付された2つのプリントマークおよび隠しマークのそれぞれを、2つの拡大画像を用いて容易に認識できる。
【0104】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの撮像画像の左側領域にて検出された特定部位に対応する第1拡大画像または第2拡大画像を、撮像画像の左側に配置し、撮像画像の右側領域にて検出された特定部位に対応する第1拡大画像または第2拡大画像を、撮像画像の右側に配置する。例えば、これによって、眼鏡レンズ上の特定部位の方向と、拡大画像の配置の方向と、が一致するため、特定部位の視覚的な判断が容易になり、その後の操作等を行いやすくなる。
【0105】
また、例えば、本実施例における軸出し装置において、眼鏡レンズの撮像画像は、眼鏡レンズの全体画像であって、第1プリントマークと第2プリントマークの双方、および、第1隠しマークと第2隠しマークの双方、の少なくともいずれかを含む全体画像である。例えば、眼鏡レンズの撮像画像に第1プリントマークと第2プリントマーク(あるいは、第1隠しマークと第2隠しマーク)の双方が含まれることによって、2つのプリントマーク(隠しマーク)の軸度を確認することができる。従って、例えば、眼鏡レンズのレンズ面に対するプリントマーク(隠しマーク)の回転ずれを容易に把握できる。
【0106】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズに付された左右のプリントマークの位置を取得し、眼鏡レンズに付された左右の隠しマークの位置を取得し、プリントマーク位置と隠しマーク位置とに基づいて、眼鏡レンズに対し、眼鏡レンズを挟み込んで保持する保持手段の軸出位置を設定する。例えば、眼鏡レンズのプリントマーク位置と隠しマーク位置の双方を用いることで、眼鏡レンズの軸出位置を適切に設定することができる。一例としては、眼鏡レンズのプリントマーク位置を用いて、眼鏡レンズの軸出位置を容易に決めることができ、さらに、眼鏡レンズの隠しマーク位置を用いて、眼鏡レンズの軸出位置の精度を向上させることができる。
【0107】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズのプリントマーク位置と隠しマーク位置とのずれ量に基づいて、眼鏡レンズに対する保持手段の軸出位置を変更する。例えば、これによって、眼鏡レンズのプリントマーク位置に基づく軸出位置を精度よく補正することができ、眼鏡レンズの適切な位置に軸出位置を設定することができる。
【0108】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズのレンズ面の撮像画像を撮影して、眼鏡レンズの左右のプリントマークを撮像画像に基づいて検出するとともに、その検出結果に基づいて、プリントマーク位置を取得する。例えば、眼鏡レンズに付されたプリントマークはおおよそ共通のマークとして存在しており、隠しマークよりも容易に検出することが可能であるため、結果として、プリントマーク位置を容易に取得することができる。
【0109】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、眼鏡レンズの撮像画像から検出したプリントマーク位置に基づく識別情報を、撮像画像上に重畳表示させる。例えば、これによって、操作者は容易にプリントマーク位置を把握でき、プリントマーク位置に対する種々の操作を直感的に行うことができる。また、例えば、隠しマーク位置とプリントマーク位置とがずれていた場合に、ずれの方向や程度を判断しやすくなる。
【0110】
また、例えば、本実施例における軸出し装置は、操作者が眼鏡レンズの隠しマーク位置を指定するための操作信号を入力し、これによって、眼鏡レンズの撮像画像上で指定された位置を、隠しマーク位置として取得する。例えば、眼鏡レンズに付された隠しマークの検出は、眼鏡レンズの種類や眼鏡レンズの製造メーカによって異なる記号や数値で表されるため、プリントマークよりも検出が難しい場合がある。しかし、眼鏡レンズの撮像画像上で隠しマーク位置を直接的に指定することで、隠しマーク位置を容易に取得することができる。
【0111】
<変容例>
本実施例では、累進焦点レンズLEpの撮像画像110から、特定部位としてプリントマーク90を検出したが、これに限定されない。例えば、累進焦点レンズLEpの撮像画像110から、特定部位として隠しマークMを検出してもよい。例えば、この場合、制御部60は、撮像画像110において、隠しマークMを含む特定領域115を設定し、隠しマークMを含む特定領域115を拡大した拡大画像120を取得してもよい。
【0112】
さらに、例えば、制御部60は、累進焦点レンズLEpの撮像画像110と、隠しマークMの拡大画像と、を軸打ち画面100上に表示させてもよい。一例として、制御部60は、撮像画像110の左側に一方の隠しマークMを含む拡大画像を配置し、撮像画像110の右側に他方の隠しマークMを含む拡大画像を配置するように、軸打ち画面100をレイアウトしてもよい。なお、例えば、制御部60は、撮像画像110を左側領域110Lと右側領域110Rに分け、撮像画像110の左側領域110Lにある隠しマークMの拡大画像を、撮像画像110の左側に配置するように、表示を制御してもよい。同様に、撮像画像110の右側領域110Rに位置する隠しマークMの拡大画像を、撮像画像110の右側に配置するように、表示を制御してもよい。
【0113】
本実施例における軸出し装置は、このように、眼鏡レンズの左右の隠しマークを特定部位として撮像画像から検出し、眼鏡レンズの一方の第1隠しマークと他方の第2隠しマークの少なくともいずれかを含む特定領域を設定してもよい。例えば、これによって、眼鏡レンズに付された隠しマークに関する情報(一例として、隠しマークの形状や位置等)を、拡大画像から容易に判断できる。
【0114】
本実施例では、操作者が累進焦点レンズLEpの隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置とにずれがあるか否かを確認する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、制御部60は、累進焦点レンズLEpの隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置とにずれがあるか否かを検出し、その検出結果をアラートとして出力させてもよい。例えば、制御部60は、隠しマークMの位置とプリントマーク90の位置のずれの有無、あるいは、ずれの程度を、アラートとして出力させてもよい。一例として、このようなアラートは、メッセージの表示、軸打ち画面の強調、音声ガイドの発生、ランプの点滅や点灯、等の少なくともいずれとして表されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 カップ取付装置
2 モニタ
10 レンズ支持機構
30 カップ取付機構
40 眼鏡レンズ測定機構
60 制御部
65 不揮発性メモリ
100 軸打ち画面
110 撮像画像
120 拡大画像