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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145244
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ヘアブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20241004BHJP
   A46B 5/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A46B5/00 B
A46B5/00 F
A46B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057517
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敬
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202AB01
3B202BA16
3B202BB01
3B202BB07
3B202CA02
3B202CA05
3B202DB03
3B202EA06
3B202EE07
3B202EG03
(57)【要約】
【課題】ハンドル部を握りやすくできるヘアブラシを提供する。
【解決手段】ヘアブラシ10は、ブラシ毛23を有するヘッド部20と、前記ヘッド部20から一方向に延びたハンドル部40と、を備え、前記ハンドル部40は、第一部品10Fと第二部品10Sとを組み合わせて形成されており、前記第一部品10Fは、前記ハンドル部40の一部を構成する第一ハンドル構成部12と前記ヘッド部20とを一体に有し、前記第二部品10Sは、前記ハンドル部40の他の部分を構成する第二ハンドル構成部13を有している。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ毛を有するヘッド部と、
前記ヘッド部から一方向に延びたハンドル部と、を備え、
前記ハンドル部は、第一部品と第二部品とを組み合わせて形成されており、
前記第一部品は、前記ハンドル部の一部を構成する第一ハンドル構成部と前記ヘッド部とを一体に有し、
前記第二部品は、前記ハンドル部の他の部分を構成する第二ハンドル構成部を有している、ヘアブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、
前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、
前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部のいずれか一方は前記ハンドル部の左面を有し、他方は前記ハンドル部の右面を有している、請求項1に記載のヘアブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側としたとき、
前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部のいずれか一方は、前記ハンドル部の前面及び後面を有し、前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部の他方は、前記前面と前記後面との間に抱え込まれている、請求項1又は請求項2に記載のヘアブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、
前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、
前記ハンドル部の前面及び後面は、前記一方向における両端部よりも前記一方向における中央部において前記ハンドル部の前後方向の寸法を増すように湾曲している、請求項1又は請求項2に記載のヘアブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、
前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、
前記一方向に交差する前記ハンドル部の断面において、前記ハンドル部の左右方向の寸法は、前記ハンドル部の前後方向の寸法よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載のヘアブラシ。
【請求項6】
前記第一部品及び前記第二部品の少なくとも一方よりも比重の重い部材が内蔵されている、請求項1又は請求項2に記載のヘアブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されているように、ブラシ毛を有するヘッド部と、ヘッド部から一方向に延びたハンドル部と、を備えたヘアブラシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-119869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなヘアブラシは、ハンドル部を握りやすくしたいという要望があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハンドル部を握りやすくできるヘアブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘアブラシは、ブラシ毛を有するヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に延びたハンドル部と、を備え、前記ハンドル部は、第一部品と第二部品とを組み合わせて形成されており、前記第一部品は、前記ハンドル部の一部を構成する第一ハンドル構成部と前記ヘッド部とを一体に有し、前記第二部品は、前記ハンドル部の他の部分を構成する第二ハンドル構成部を有しているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば第一部品及び第二部品の素材やデザインを異ならせて、ハンドル部を握りやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例におけるヘアブラシを示す正面図
図2】ヘアブラシを示す背面図
図3】ヘアブラシを示す左側面図
図4】ヘアブラシを示す右側面図
図5】ハンドル部を示す断面図であって、図1のA-A位置における断面に相当する断面図
図6】ヘアブラシのくびれ部を拡大して示す一部拡大正面図
図7】ヘアブラシのくびれ部を拡大して示す一部拡大右側面図
図8】ヘアブラシを示す断面図であって、図1のB-B位置における断面に相当する断面図
図9】ヘッド部を示す断面図であって、図1のC-C位置における断面に相当する断面図
図10】ブラシ毛及びブラシ面の一部を拡大して示す断面図
図11】組み合わせる前の状態の第一部品及び第二部品を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
[1]本発明のヘアブラシは、ブラシ毛を有するヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に延びたハンドル部と、を備え、前記ハンドル部は、第一部品と第二部品とを組み合わせて形成されており、前記第一部品は、前記ハンドル部の一部を構成する第一ハンドル構成部と前記ヘッド部とを一体に有し、前記第二部品は、前記ハンドル部の他の部分を構成する第二ハンドル構成部を有しているものである。このような構成によれば、例えば第一部品及び第二部品の素材やデザインを異ならせて、ハンドル部を握りやすくできる。
[2]上記[1]に記載のヘアブラシにおいて、前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部のいずれか一方は前記ハンドル部の左面を有し、他方は前記ハンドル部の右面を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、ハンドル部の左右両面に合わせ面がないから、ハンドル部を握ったときに引っ掛かりを生じにくくできる。
[3]上記[1]又は[2]に記載のヘアブラシにおいて、前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側としたとき、前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部のいずれか一方は、前記ハンドル部の前面及び後面を有し、前記第一ハンドル構成部及び前記第二ハンドル構成部の他方は、前記前面と前記後面との間に抱え込まれているものとしてもよい。このような構成によれば、例えばハンドル部の前面及び後面に滑りにくい素材を配置できるから、ハンドル部を握りやすくできる。
[4]上記[1]から[3]までの何れかに記載のヘアブラシにおいて、前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、前記ハンドル部の前面及び後面は、前記一方向における両端部よりも前記一方向における中央部において前記ハンドル部の前後方向の寸法を増すように湾曲しているものとしてもよい。このような構成によれば、ハンドル部は手のひらにフィットしやすいから、ハンドル部を握りやすくできる。
[5]上記[1]から[4]までの何れかに記載のヘアブラシにおいて、前記ブラシ毛が設けられている側を前側、その反対側を後側とし、前記ハンドル部を前側から見て前記一方向と交差する方向を左右方向としたとき、前記一方向に交差する前記ハンドル部の断面において、前記ハンドル部の左右方向の寸法は、前記ハンドル部の前後方向の寸法よりも大きいものとしてもよい。このような構成によれば、ハンドル部は左右方向に幅広であるから、手のひら及び指先がハンドル部の前面及び後面に沿いやすい。したがって、ヘアブラシの操作性を良くできる。
[6]上記[1]から[5]までの何れかに記載のヘアブラシにおいて、前記第一部品及び前記第二部品の少なくとも一方よりも比重の重い部材が内蔵されているものとしてもよい。この構成によれば、ヘアブラシの重さが増すから、高級感を出すことができる。
【0010】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図11を参照しつつ詳細に説明する。本実施例におけるヘアブラシ10は、人の頭髪のブラッシングに用いられる。ヘアブラシ10は、図1に示すように、ヘッド部20と、ハンドル部40とを備えている。ヘッド部20は、ベース部21、ブラシ面22及びブラシ毛23を有している。ハンドル部40は、ヘッド部20から一方向に延びている。使用者は、ハンドル部40を手で把持し、ヘッド部20を移動させ、ブラシ毛23で毛髪をブラッシングする。
【0011】
以下、各構成部材において、ヘッド部20が設けられている側を上側、ハンドル部40が設けられている側を下側、ブラシ毛23が設けられている側を前側、その反対側を後側、図1における右側を右側、左側を左側として説明する。各図におけるX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。X軸は、左右方向と平行である。Y軸は、上下方向と平行である。Z軸は、前後方向と平行である。「平行」は、厳密に平行な状態に加えて、概ね平行な状態を含む。上下方向は、重力方向と無関係である。
【0012】
図1に示すように、正面視において、ブラシ面22の最も外側に配置されたブラシ毛23の前端は、ブラシ面22の外周縁よりも外周側にはみ出している。図2に示すように、背面視において、ブラシ面22の最も外側に配置されたブラシ毛23の前端は、ベース部21の外周縁よりも外周側にはみ出している。ヘアブラシ10の重さは、80g~100gである。ヘアブラシ10の上下方向の寸法D1は、236.5mmである。ヘアブラシ10の上下方向の寸法D1は、ヘッド部20の上端からハンドル部40の下端までのY軸に平行な長さ寸法である。ヘッド部20の左右方向の寸法W1は、70mmである。ヘッド部20の左右方向の寸法W1は、ブラシ毛23を含むヘッド部20の左端から右端までのX軸に平行な長さ寸法である。
【0013】
ハンドル部40は、図1及び図2に示すように、ヘッド部20から下方に直線状に延びている。ハンドル部40の左右方向の寸法W2は、ハンドル部40の上下方向中心部において最も大きい。ハンドル部40の左右方向の寸法W2は、ハンドル部40の右面41と左面42との間のX軸に平行な長さ寸法である。ハンドル部40は、正面視において、ハンドル部40の上下方向中心部からハンドル部40の上端及び下端に向かって先細り形状である。ハンドル部40の右面41及び左面42は、上下方向両端部よりも上下方向中心部においてハンドル部40の左右方向の寸法W2を増すように湾曲している。
【0014】
図3に示すように、ハンドル部40の前後方向の寸法H1は、ハンドル部40の上下方向中心部において最も大きい。ハンドル部40の前後方向の寸法H1は、ハンドル部40の前面43と後面44との間のZ軸に平行な長さ寸法である。ハンドル部40は、側面視において、ハンドル部40の上下方向中心部からハンドル部40の上端及び下端に向かって先細り形状である。ハンドル部40の前面43及び後面44は、上下方向両端部よりも上下方向中心部においてハンドル部40の前後方向の寸法H1を増すように湾曲している。
【0015】
図5には、上下方向に直交するハンドル部40の断面を示す。上下方向に直交するハンドル部40の断面をハンドル断面と称する。ハンドル断面においてハンドル部40の左右方向の寸法W2は、ハンドル部40の前後方向の寸法H1よりも大きい。ハンドル断面は、左右方向の中心線45に対して非対称である。中心線45は、ハンドル断面においてハンドル部40の左右方向中心点を通るZ軸に平行な線である。ハンドル部40の前後方向の寸法H1は、中心線45よりも左側の領域において右側の領域よりも大きい。ハンドル断面においてハンドル部40の左面42の曲がり具合は、ハンドル部40の右面41の曲がり具合よりも緩やかである。
【0016】
図1図4に示すように、ヘアブラシ10においてヘッド部20とハンドル部40との間はくびれている。ヘッド部20とハンドル部40との間のくびれている部分をくびれ部50と称する。くびれ部50は、ヘッド部20とハンドル部40とを繋ぐ部分である。くびれ部50は、ハンドル部40の付け根でもある。
【0017】
くびれ部50は、左右方向及び前後方向にくびれている。くびれ部50は、図6に示すように、右くびれ面51と左くびれ面52とを有している。右くびれ面51及び左くびれ面52は、左右方向の中心側に凹んでいる。
【0018】
図6に示すように、正面視において、右くびれ面51のうち最も左側に位置する点を右くびれ点51Pと称する。正面視において、左くびれ面52のうち最も右側に位置する点を左くびれ点52Pと称する。右くびれ点51Pの上下方向の位置は、左くびれ点52Pの上下方向の位置よりもわずかに下側である。正面視において、右くびれ面51のうち右くびれ点51Pよりも上側の領域R1の曲がり具合は、下側の領域R2の曲がり具合よりもきつい。正面視において、右くびれ点51Pから見た上側の領域R1のY軸を基準とした仰角は、下側の領域R2のY軸を基準とした仰角よりも大きい。正面視において、左くびれ面52のうち左くびれ点52Pよりも前側の領域R3の曲がり具合は、後側の領域R4の曲がり具合よりもきつい。正面視において、左くびれ点52Pから見た上側の領域R3のY軸を基準とした仰角は、下側の領域R4のY軸を基準とした仰角よりも大きい。
【0019】
くびれ部50は、図7に示すように、前くびれ面53と後くびれ面54とを有している。前くびれ面53は、ベース部21の前面とハンドル部40の前面43との間で後側に凹んでいる。後くびれ面54は、ベース部21の後面とハンドル部40の後面44との間で前側へ凹んでいる。側面視において、前くびれ面53は、後くびれ面54よりも下側にずれている。前くびれ面53の凹みは、後くびれ面54の凹みよりも大きい。
【0020】
側面視において、前くびれ面53のうち最も後側に位置する点を前くびれ点53Pと称する。前くびれ点53Pは、右くびれ点51P及び左くびれ点52Pよりも少し下側に位置している。側面視において、前くびれ面53のうち前くびれ点53Pよりも上側の領域R5の曲がり具合は、下側の領域R6の曲がり具合よりきつい。側面視において、前くびれ点53Pから見た上側の領域R5のY軸を基準とした仰角は、下側の領域R6のY軸を基準とした仰角よりも大きい。これによって、親指の腹は、前くびれ面53の前側の領域R5にフィットしやすい。
【0021】
側面視において、後くびれ面54のうち最も前側に位置する点を後くびれ点54Pと称する。後くびれ点54Pは、前くびれ点53Pよりも上側に位置している。これによって、前くびれ面53に親指がフィットしやすく、後くびれ面54に人差し指がフィットしやすい。側面視において、後くびれ面54のうち後くびれ点54Pよりも上側の領域R7の曲がり具合、及び後くびれ点54Pよりも下側の領域R8の曲がり具合はいずれも、前くびれ面53の下側の領域R6の曲がり具合より緩やかである。
【0022】
ヘアブラシ10には、図8に示すように、鉄製の芯材11が内蔵されている。芯材11は、断面円形の棒状である(図5参照)。芯材11は、インサート成形によってヘアブラシ10に埋め込まれている。芯材11は、くびれ部50の中心に配置されている。芯材11は、ヘッド部20からハンドル部40まで上下方向に直線状に延びている。芯材11によって、くびれ部50の折れ強度は増している。これによって、ハンドル部40の耐久性を向上できる。芯材11によってヘアブラシ10の重心がヘアブラシ10の上下方向中心部にくる。これによって、ヘアブラシ10は操作性を向上できる。
【0023】
ベース部21は、図9に示すように、ブラシ面22を嵌合する嵌合部24を有している。嵌合部24は、ベース部21の前面側に凹み形成されている。ブラシ面22の周縁部は、嵌合部24の周縁部に嵌合している。ブラシ面22の周縁部は、図示しない接着剤によって嵌合部24の周縁部に固定されている。接着剤は、シリコン系の接着剤を用いて良い。接着剤は、刷毛を使って嵌合部24の周縁部に塗装される。ブラシ面22は、嵌合部24に嵌め込まれることによって嵌合部24に接着される。ブラシ面22が嵌合部24に嵌合した状態において、ブラシ面22と嵌合部24の底面25との間には空間26が形成されている。
【0024】
ブラシ面22は、図8及び図9に示すように、前側に膨らんだドーム状をなしている。ブラシ面22の厚さ寸法は、2.6±0.1mmである。ブラシ面22のタイプAデュロメータ硬さは、43~45である。ブラシ面22の材料は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、シリコンゴム(SI)等のゴムを用いて良い。
【0025】
ブラシ面22は、図8に示すように、ブラシ面22の上端から下端まで湾曲している。ブラシ面22の上下方向における中心は、ブラシ面22の上下方向における両端よりも前側に位置している。ベース部21の後面からブラシ毛23の前端までの前後方向の寸法H2は、43mmである。
【0026】
ブラシ面22は、図9に示すように、ブラシ面22の左端から右端まで湾曲している。ブラシ面22の左右方向における中心は、ブラシ面22の左右方向における両端よりも前側に位置している。
【0027】
ブラシ面22が湾曲していることによって、ブラシ毛23の前端は、ブラシ面22の中心部27において最も前側に位置している。ブラシ面22の中心部27は、ブラシ面22の上下方向中心点及びブラシ面22の左右方向中心点を含む。ブラシ面22の中心部27は、後向きの力を受けると後側に弾性変形する。例えば直径5mmの棒部材を用いてブラシ面22の中心に15Nの荷重を後向きにかけた場合、ブラシ面22の中心は10mm後側に凹む。ブラシ面22の中心部27は、ブラシ面22の周縁部よりも後側まで弾性変形できる。
【0028】
ブラシ毛23は、図10に示すように、複数本の毛を束にしてブラシ面22に埋め込まれている。図10を除く他の図面において毛束28は概略的に示されている。
【0029】
毛束28は、1本ないし複数本の毛を折り返して形成されている。各毛束28の折り返し部31は、ブラシ面22より後側に配置されている。毛束28のうちブラシ面22から後側への突出寸法は2±0.2mmである。毛束28は、ブラシ面22の貫通孔29を貫通している。ブラシ毛23は、ブラシ面22に対して直交方向に延びている。ブラシ毛23は、猪の毛を用いている。これによって、静電気を発生しにくくできる。ブラシ毛23の1本あたりの毛の太さは、0.3mm~0.6mmである。ブラシ毛23の毛の太さは、0.15mm~0.5mmであると更に良い。
【0030】
各毛束28は、ブラシ面22から前方に延出した1本ないし複数本のブラシ毛23を有している。1つの毛束28におけるブラシ毛23は、6~8本であると良い。1つの毛束28の太さは、1.4mm~2.0mmであると良い。
【0031】
毛束28は、短い毛32と長い毛33とを有している。これによって、毛束28の前端部には、段差34が形成されている。短い毛32の長さ寸法は、13mm~15mmである。長い毛33の長さ寸法は、17mm~19mmである。毛の長さ寸法は、ブラシ面22から延出している部分の毛に沿った寸法である。短い毛32及び長い毛33の長さ寸法は、すべての毛束28においてほぼ同じである。
【0032】
毛束28の折り返し部31は、第1接着剤35及び第2接着剤36によってブラシ面22に固着されている。図10を除く他の図面において第1接着剤35及び第2接着剤36の図示は省略されている。第1接着剤35の硬度と第2接着剤36の硬度とは異なっている。第1接着剤35は、第2接着剤36よりも硬い。第1接着剤35及び第2接着剤36は、湿気硬化型である。
【0033】
第1接着剤35は、毛束28の折り返し部31の1つ1つに点在している。第1接着剤35は、各折り返し部31とブラシ面22とに付着している。第1接着剤35は、例えばエポキシ系接着剤である。第1接着剤35は、折り返し部31をブラシ面22に強固に固着している。第1接着剤35は、毛束28に作用する3N以上の引き抜き力に耐えうる。これによって、毛束28のブラシ面22からの引き抜きは防止される。第1接着剤35は、経年使用による毛束28の前端部の開きを防止する。
【0034】
第2接着剤36は、ブラシ面22の後面44に広がっている。第2接着剤36は、点在する第1接着剤35の全てを覆ってブラシ面22に付着している。第2接着剤36は、例えばシリコン系接着剤である。第2接着剤36は、ゴム状であり、ブラシ面22の弾性変形に従って変形する。第2接着剤36は、毛束28がブラシ面22から第1接着剤35ごと後側へ押し込まれることを防止する。第2接着材は、毛束28に作用する2.5N以上の押し込み力に耐えうる。
【0035】
ヘアブラシ10は、図11示すように、第一部品10Fと第二部品10Sとを組み合わせて形成されている。第一部品10Fは、第一ハンドル構成部12とヘッド部20とを一体に有している。「一体」とは、分離することなくつながっている状態を意味し、同素材で成形されているのみではなく、溶接や接着等によって一体にされた状態のもの、二色成形や多色一体成形といった複数の樹脂より成形されたものを含む。第一ハンドル構成部12は、ハンドル部40の一部を構成する。
【0036】
第一部品10Fは、左くびれ点52P、前くびれ点53P及び後くびれ点54Pを含んでいる(図6参照)。第二部品10Sは、第二ハンドル構成部13を有している。第二ハンドル構成部13は、ハンドル部40のうち第一ハンドル構成部12を除く他の部分を構成する。第二部品10Sは、右くびれ点51Pを含んでいる。
【0037】
第一部品10F及び第二部品10Sはいずれも合成樹脂製である。第一部品10F及び第二部品10Sは、例えばABS(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂製である。第一部品10Fの表面及び第二部品10Sの表面は、表面層で覆われている。表面層は、例えばクロムめっきであってもよいし、黒塗装であってもよいし、光沢のあるコーティングであってもよい。
【0038】
第二部品10Sの表面は、上下方向に延びた複数の筋を有している。複数の筋は、第二部品10Sの外面の全体に形成されている。複数の筋は、握ったときにハンドル部40の滑り止めとしても機能する。
【0039】
第一ハンドル構成部12は、図5に示すように、ハンドル部40の左面42を有している。第一ハンドル構成部12は、第二ハンドル構成部13によって抱え込まれる中間部14を有している。中間部14は、第二ハンドル構成部13の前面43と後面44との間に抱え込まれている。中間部14の前面及び後面は、第二ハンドル構成部13が組み付けられる組み付け面15である。前後の組み付け面15は平行である。中間部14の右面は、第二ハンドル構成部13の内面に沿って湾曲している。
【0040】
第二ハンドル構成部13は、図5に示すように、前面部16、後面部17及び右面部18を有している。前面部16は、前面43を有している。後面部17は、後面44を有している。右面部18は右面41を有している。ハンドル断面において、前面部16の左右方向の寸法は、後面部17の左右方向の寸法よりも大きい。
【0041】
第二ハンドル構成部13は、第一ハンドル構成部12に対して右側から組み付けられ、第一ハンドル構成部12の中間部14を覆う。第一ハンドル構成部12と第二ハンドル構成部13の合わせ面19は、ハンドル部40の前面43及び後面44に形成されている。前面43の合わせ面19の位置と後面44の合わせ面19の位置とは、左右方向にずれている。前面43の合わせ面19の位置及び後面44の合わせ面19の位置は、いずれも左右方向中心線45よりも左側の領域に配置されている。前面43の合わせ面19の位置は、後面44の合わせ面19の位置よりも左側に寄っている。
【0042】
第一ハンドル構成部12及び第二ハンドル構成部13は、接着剤によって強固に固着されている。これによって、ハンドル部40を強く握ってヘアブラシ10を操作しても軋み音の発生は抑制される。第二ハンドル構成部13は、第一ハンドル構成部12を抱え込んでいるから、ヘアブラシ10が落下しても外れにくい。したがって、ヘアブラシ10の耐久性を向上できる。
【0043】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。ヘアブラシ10は、ヘッド部20と、ハンドル部40と、を備えている。ヘッド部20は、ブラシ毛23を有している。ハンドル部40は、ヘッド部20から下方向に延びている。ハンドル部40は、第一部品10Fと第二部品10Sとを組み合わせて形成されている。第一部品10Fは、第一ハンドル構成部12とヘッド部20とを一体に有している。第一ハンドル構成部12は、ハンドル部40の一部を構成する。第二部品10Sは、第二ハンドル構成部13を有している。第二ハンドル構成部13は、ハンドル部40の他の部分を構成する。この構成によれば、第一部品10F及び第二部品10Sの素材やデザインを異ならせて、ハンドル部40を握りやすくできる。第一ハンドル構成部12及び第二ハンドル構成部13のデザインを変更することで、デザイン性を高めることができる。また、ヒケの発生を抑制しつつ、ハンドル部40を肉厚にできるから、ハンドル部40を握りやすくできる。
【0044】
第一ハンドル構成部12はハンドル部40の左面42を有している。第二ハンドル構成部13はハンドル部40の右面41を有している。この構成によれば、ハンドル部40の左右両面41,42に合わせ面19がないから、ハンドル部40を握ったときに引っ掛かりを生じにくくできる。
【0045】
第二ハンドル構成部13は、ハンドル部40の前面43及び後面44を有している。第一ハンドル構成部12及び第二ハンドル構成部13は、前面43と後面44との間に抱え込まれている。この構成によれば、例えばハンドル部40の前面43及び後面44に滑りにくい素材を配置できるから、ハンドル部40を握りやすくできる。
【0046】
ハンドル部40の前面43及び後面44は、上下方向両端部よりも上下方向中央部においてハンドル部40の前後方向の寸法H1を増すように湾曲している。この構成によれば、ハンドル部40は手のひらにフィットしやすいから、ハンドル部40を握りやすくできる。
【0047】
ハンドル断面において、ハンドル部40の左右方向の寸法W2は、ハンドル部40の前後方向の寸法H1よりも大きい。この構成によれば、ハンドル部40は左右方向に幅広であるから、手のひら及び指先がハンドル部40の前面43及び後面44に沿いやすい。したがって、ヘアブラシ10の操作性を良くできる。
【0048】
ヘアブラシ10には、第一部品10Fよりも比重の重い金属製の芯材11が内蔵されている。この構成によれば、ヘアブラシ10の重さが増すから、高級感を出すことができる。
【0049】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例において芯材11は静電気を逃がすための通電経路として利用してよい。これによって、ブラシ面に帯電することを抑制し、静電気の発生を抑制できる。具体的には、例えばブラシ面に導電性をもたせ、ブラシ面と芯材とを電気的に接続することによって、静電気をハンドル部側へ逃がす構成としてよい。この場合、ブラシ面は、例えば導電性を有する材料によって形成してもよい。
(2)上記実施例において第二ハンドル構成部13は、第一ハンドル構成部12に対して右側から組み付けられる。これに限らず、第二ハンドル構成部は、第一ハンドル構成部に対して下側から組み付けられるようにしてもよい。
(3)上記実施例において毛束28は、複数本の毛を折り返して形成されている。これに限らず、毛束は、複数本の毛を折り返すことなく、複数本の毛を束ねるだけで形成してもよい。
(4)上記実施例においてブラシ毛23は、猪の毛を用いている。これに限らず、ブラシ毛は他の動物の毛を用いてもよいし、例えばナイロン製の毛を用いてもよい。
(5)上記実施例において毛束28は接着剤によってブラシ面22に固定されている。これに限らず、毛束はアンカーによってブラシ面に固定してもよいし、金具等を用いて抜け止めしてもよい。
(6)上記実施例においてヘアブラシ10は、人の頭髪のブラッシングに用いられる。これに限らず、ヘアブラシは動物の毛のブラッシングに用いるものでもよい。
(7)上記実施例において第一部品10F及び第二部品10Sは合成樹脂製である。これに限らず、第一部品及び第二部品の材料は変更してもよく、例えば木製であってもよいし、第一部品及び第二部品の材料として、セラミック、ガラス又は金属等を用いてもよい。
(8)上記実施例において第一部品10F及び第二部品10Sは、ハンドル部40を構成する部分とは別の部分を備えても良い。具体的には、例えば、第二部品は、収納時にヘアブラシを引掛けるためのフックやリングを備えてもよい。
(9)上記実施例においてヘアブラシ10には金属製の芯材11が埋め込まれている。これに限らず、ヘアブラシには、金属以外の部材であって、第一部品よりも比重が重い部材を埋め込んでもよいし、部材の形状は棒状でなくてもよい。例えば部材は、ヘアブラシの重さを増すものとして、ヘッド部及びハンドル部の複数箇所に埋め込まれても良い。
(10)上記実施例においてハンドル部40は下方に直線状に延びている。これに限らず、ハンドル部は下方に湾曲して延びた形状であってもよい。例えばハンドル部は、ヘアブラシを前側から見たときの左方又は右方に湾曲したJ字状であってもよい。この場合、ハンドル部の左面及び右面は、ヘアブラシを前側から見たときのハンドルの延び方向と交差する方向の両側、つまり湾曲した形状の内側の面又は外側の面であってよい。また、例えばハンドル部は、ヘアブラシを左側もしくは右側から見たときの前方又は後方に湾曲したJ字状であってもよい。この場合、ハンドル部の左面及び右面は、ヘアブラシを前側から見たときのハンドル部の延び方向と交差する方向の両側、つまり前側から見た左面及び右面であってよい。
(11)上記実施例において第2接着剤36は、点在する第1接着剤35の全てを覆ってブラシ面22に付着している。これに限らず、第2接着剤は、第1接着剤を覆っていなくてもよく、第1接着剤は第2接着剤から後側に突出していてもよい。
(12)上記実施例において第二ハンドル構成部13は、ハンドル部40の前面43及び後面44を有し、第一ハンドル構成部12は、前面43と後面44との間に抱え込まれている。これに限らず、ヘッド部を有する第一部品の第一ハンドル構成部がハンドル部の前面及び後面を有し、第二ハンドル構成部は、第一ハンドル構成部の前面と後面との間に抱え込まれてもよい。
(13)上記実施例においてくびれ部50は、左右方向及び 前後方向にくびれている。これに限らず、くびれ部は、左右方向及び前後方向のどちらか一方のみがくびれていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
H…ハンドル部の前後方向の寸法
W…ハンドル部の左右方向の寸法
10…ヘアブラシ
10F…第一部品
10S…第二部品
11…芯材(金属製の部材)
12…第一ハンドル構成部
13…第二ハンドル構成部
20…ヘッド部
23…ブラシ毛
40…ハンドル部
41…ハンドル部の左面
42…ハンドル部の右面
43…ハンドル部の前面
44…後面
図1
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図11