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特開2024-145252充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145252
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057526
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐志
(72)【発明者】
【氏名】織田 昭人
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503CB06
5G503CB16
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】売電価格が最も高くなり、収益が最大となる蓄電池の充放電計画を作成する。
【解決手段】充放電計画作成装置であって、充電計画部で作成された充電計画と、放電計画部で作成された放電計画とに基づいて、充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して充電計画を更新するごとに、電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量に応じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して放電計画を更新し、更新された充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、第1売電価格及び第2売電価格の中で最も高い売電価格となる充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画を作成する充放電計画作成部と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、
前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新した前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、
前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、
を含む充放電計画作成装置。
【請求項2】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、
前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、
前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、
を含む充放電計画作成装置。
【請求項3】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、
前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、
前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第3売電価格を算出する第3算出部と、
前記第1売電価格、前記第2売電価格、及び前記第3売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、
を含む充放電計画作成装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の充放電計画作成装置であって、
前記放電時間帯は、前記充電時間帯以降の時間帯である
充放電計画作成装置。
【請求項5】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成方法であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成し、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成し、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出し、
前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出し、
前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する
充放電計画作成方法。
【請求項6】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成方法であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成し、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成し、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出し、
前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出し、
前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する
充放電計画作成方法。
【請求項7】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成方法であって、
前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成し、
前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成し、
前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出し、
前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出し、
前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第3売電価格を算出し、
前記第1売電価格、前記第2売電価格、及び前記第3売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する
充放電計画作成方法。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載の充放電計画作成方法であって、
前記放電時間帯は、前記充電時間帯以降の時間帯である
充放電計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、再生可能エネルギー(例えば太陽光、風力、水力等)を利用した発電事業者が電力を売電することに関してFIP(Feed-in-Premium)制度が導入されている。FIP制度の導入に伴い、上記の発電事業者は、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備と蓄電池を組み合わせ、電力価格が比較的安くなる日中等の時間帯では発電電力を蓄電池に充電し、電力価格が比較的高くなる夜間等の時間帯では蓄電池に充電されている電力を放電する、所謂タイムシフトを行うことで、電力の売電による収益を得る手法が提案されている。(特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-98952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池の容量分の充電を行う場合、「蓄電池の容量/充電効率α」の充電量Aが必要となり、一方、蓄電池の容量分の放電を行おうとしても、「蓄電池の容量×放電効率β」の放電量Bしか放電できない。つまり、充電量Aと放電量Bとの間には、「放電量B<充電量A」と「放電量B=α×β×充電量A」の関係が成立する。
【0005】
蓄電池における1日分の充放電計画を作成するために、電力価格が安くなる日中等の時間帯に複数の充電コマを割り当て、電力価格が高くなる夜間等の時間帯に複数の放電コマを割り当てた場合、複数の充電コマにおける電力価格の平均価格(充電平均価格)、複数の放電コマにおける電力価格の平均価格(放電平均価格)、上記の充電効率α及び放電効率βの間に、(放電平均価格/充電平均価格)>(1/(α×β))の関係が成立しない限り、蓄電池に充電された電力をタイムシフトで売電したとしても収益が得られないことから、比較的容量の大きい蓄電池を活用したとしても、この収益を最大化することが困難となる虞があった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、蓄電池の容量に関わらず、売電価格が最も高くなり、売電による収益が最大となる蓄電池の充放電計画を作成することが可能な充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明のうちの1つは、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新した前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、を含む。
【0008】
また、上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、前記第1売電価格及び前記第2売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、を含む。
【0009】
また、上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる複数の充電コマを含む充電時間帯において、前記電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう前記充電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで充電を行う充電計画を作成する充電計画部と、前記電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる複数の放電コマを含む放電時間帯において、前記電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう前記放電コマの順序で、前記蓄電池の容量に達するまで放電を行う放電計画を作成する放電計画部と、前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部と、前記電力価格の予測値が高い側から1つの前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が安い側から、削除した前記充電量に応じた放電量に達するまで前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部と、前記電力価格の予測値が安い側から1つの前記放電コマの放電量を削除して前記放電計画を更新するごとに、前記電力価格の予測値が高い側から、削除した前記放電量に応じた充電量に達するまで前記充電コマの充電量を削除して前記充電計画を更新し、更新された前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における第3売電価格を算出する第3算出部と、前記第1売電価格、前記第2売電価格、及び前記第3売電価格の中で最も高い売電価格となる前記充電計画及び前記放電計画に基づいて、前記充放電計画を作成する充放電計画作成部と、を含む。
【0010】
本発明の充放電計画作成装置によれば、売電価格が最も高くなり、収益が最大となる蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0011】
また、上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記放電時間帯は、前記充電時間帯以降の時間帯である。
【0012】
本発明の充放電計画作成装置により作成される充放電計画は、蓄電池における充放電計画の作成対象日において、電力価格の予測値が比較的安い日中等の時間帯に蓄電池の充電をまとめて行い、電力価格の予測値が比較的高い夜間等の時間帯に蓄電池の放電をまとめて行う計画であって、蓄電池が充放電の動作を頻繁に繰り返すことがないため、充電効率及び放電効率が早期に低下することを防止することが可能となる。
【0013】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、売電価格が最も高くなり、収益が最大となる蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】充放電計画作成装置100を含む発電システム1の概略的な構成を示すブロック図である。
図2】電力価格予測装置160による電力価格の予測値と、発電電力予測装置170による発電出力の予測値と、充電コマにおける蓄電池120の充電量の計画値と、放電コマにおける蓄電池120の放電量の計画値と、の関係の一例を示すグラフである。
図3】充放電計画作成装置100の主な機能を示すブロック図である。
図4A】記憶領域1072に記憶される、PV発電設備110の発電出力の予測値と、電力価格の予測値と、の関係の一例を示すテーブルデータの図である。
図4B】記憶領域1075に記憶される充放電計画初期値の一例を示す図である。
図4C】記憶領域1078に記憶される1回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図4D】記憶領域1078に記憶される2回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図4E】記憶領域1078に記憶される3回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図4F】記憶領域1078に記憶される4回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図4G】記憶領域1078に記憶される5回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図5】充放電計画作成装置100の機能を実現する情報処理装置10のハードウェアの一例を示すブロック図である。
図6A】第1実施形態において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
図6B】充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例であって、図6Aの処理に続く処理を示すフローチャートである。
図7A】記憶領域1078に記憶される1回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図7B】記憶領域1078に記憶される2回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図7C】記憶領域1078に記憶される3回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。
図8A】第2実施形態において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
図8B】充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例であって、図8Aの処理に続く処理を示すフローチャートである。
図9】充放電計画作成装置100の主な機能を示す他のブロック図である。
図10A】第3実施形態において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
図10B】充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例であって、図10Aの処理に続く処理を示すフローチャートである。
図10C】充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例であって、図10Bの処理に続く処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る充放電計画作成装置100を含む発電システム1の概略的な構成を示すブロック図である。尚、本実施形態では、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備は、例えば、太陽光を利用して発電を行う太陽光発電設備(以下、「PV発電設備」(PV:Photo Voltaic)と称する。)110であることとする。
【0018】
発電システム1は、充放電計画作成装置100、PV発電設備110、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置150、電力価格予測装置160、発電電力予測装置170を含んで構成される。
【0019】
充放電計画作成装置100、PV発電設備110、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置150、電力価格予測装置160、発電電力予測装置170は、通信ネットワーク180を介して通信が可能な状態で接続されている。尚、通信ネットワーク180は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、電力線通信網、各種公衆通信網等である。また、PV発電設備110及び蓄電池120は、通信ネットワーク180の他に、一般送配電事業者等によって運用される電力系統190にも接続されている。
【0020】
PV発電設備110は、例えば、多結晶シリコン型発電素子、単結晶シリコン型発電素子、薄膜型発電素子等を用いて構成される太陽光発電パネルを備える。また、PV発電設備110は、太陽光発電パネルによって発電された電力を直流から交流に変換して電力系統190に供給するパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning Subsystem)110Aを備える。PV発電設備110による発電電力は、パワーコンディショナ110Aを介して電力系統190に供給されるか(一般送配電事業者に売電されるか)、蓄電池120に供給されるか(蓄電池120に充電されるか)の何れかであるが、本実施形態では、PV発電設備110による発電電力は、充電時間帯に含まれる10個の充電コマC1~C10において、蓄電池120に供給されることとする。
【0021】
蓄電池120は、例えば、鉛電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、燃料電池、キャパシタ電池等である。蓄電池120は、電力系統190との間で充放電を行うためのパワーコンディショナ(PCS)120Aを備える。
【0022】
気象情報提供装置150は、蓄電池120の充放電計画が作成される該当日(充放電計画の作成対象日)における、PV発電設備110が設置されている地域の気象情報(例えば、気温、日射量等)を、電力価格予測装置160及び発電電力予測装置170に提供する。尚、気象情報提供装置150は、PV発電設備110が設置されている地域の気象観測所から上記の気象情報を取得してもよいし、気象庁が管理する気象情報提供サーバから上記の気象情報を取得するようにしてもよい。
【0023】
電力価格予測装置160は、蓄電池120の充放電計画が作成される該当日(充放電計画の作成対象日)について、気象情報提供装置150から取得した気象情報や、日時及び曜日等の情報を参照し、蓄電池120の充放電計画の作成対象日に取引される電力の電力価格(円/kW)を予測する。尚、本実施形態では、電力価格予測装置160は、例えば30分の時間幅を1コマとして、1コマごとの電力価格を予測することとする。また、電力価格予測装置160が電力価格を予測する手法としては、例えば、上記の気象情報や日時及び曜日等の情報と、人工知能等の解析技術とを組み合わせて電力価格を予測する周知の技術を用いることができる。また、電力価格予測装置160は、第三者が公開する電力価格の予測値を、通信ネットワーク180又はインターネットを介して取得するようにしてもよい。
【0024】
発電電力予測装置170は、蓄電池120の充放電計画が作成される該当日(充放電計画の作成対象日)について気象情報提供装置150から取得した気象情報、PV発電設備110の位置情報(緯度、経度等)、太陽光発電パネルの設置面積及び設置角度等の情報に基づいて、PV発電設備110における1コマごとの発電出力(MWh)を予測する。尚、発電電力予測装置170がPV発電設備110の発電出力を予測する手法としては、例えば、上記の気象情報、PV発電設備110の位置情報、太陽光発電パネルの設置面積及び設置角度等の情報に対して、発電出力をピンポイントで予測する解析技術を組み合わせる物理モデル、或いは過去における気象情報と発電出力の実績値との関係を学習した人工知能等の解析技術を組み合わせる統計モデル等の周知の技術を用いることができる。
【0025】
充放電計画作成装置100は、蓄電池120の充放電計画が作成される該当日(充放電計画の作成対象日)について、電力価格予測装置160から電力価格の予測値を取得するとともに、発電電力予測装置170からPV発電設備110の発電出力の予測値を取得し、電力価格の予測値及び発電出力の予測値に基づいて、電力価格の予測値が比較的安い充電時間帯に含まれる10個の充電コマC1~C10での充電量と、電力価格の予測値が比較的高い放電時間帯に含まれる7個の放電コマD1~D7での放電量とを調整し、蓄電池120の売電価格(売電収益)が最高値となるときの充電コマC1~C10ごとの充電量及び放電コマD1~D7ごとの放電量に従って充放電計画を作成する。充放電計画作成装置100の詳細については後述する。
【0026】
蓄電池制御装置130は、充放電計画作成装置100で作成された充放電計画を取得し、充放電計画で計画されている充電コマC1~C10ごとの充電量に従って、蓄電池120が充電を行い、充放電計画で計画されている放電コマD1~D7ごとの放電量に従って、蓄電池120が放電を行うように、蓄電池120の充放電動作を制御する。
【0027】
図2は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、電力価格予測装置160による電力価格の予測値と、発電電力予測装置170による発電出力の予測値と、充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値と、放電コマD1~D7における蓄電池120の放電量の計画値と、の関係の一例を示すグラフである。
【0028】
図2において、横軸の目盛りは、1日における30分単位(1コマ単位)の時間を示し、左側の縦軸の目盛りは、PV発電設備110における0.5MWh単位の発電出力を示し、右側の縦軸の目盛りは、電力の売買取引を行う市場における5円/kW単位の電力価格を示している。また、図2において、一点鎖線は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を示し、二点鎖線は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電出力の予測値を示し、縦に伸びる黒塗り線は、充電時間帯に含まれる充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値を示し、縦方向に伸びる白抜き線は、放電時間帯に含まれる放電コマD1~D7における蓄電池120の放電量の計画値を示している。本実施形態では、充電時間帯は、電力価格の予測値が例えば19.85円(第1価格)/kW以下となる9時30分から14時までの時間帯であり、放電時間帯は、電力価格の予測値が例えば23.02円(第2価格)/kW以上となる16時から19時までの時間帯であることとする。充電時間帯には、9時30分から14時までの間を30分単位で分割することにより10個の充電コマC1~C10が含まれ、放電時間帯には、16時から19時までの間を30分単位で分割することにより7個の放電コマD1~D7が含まれる。
【0029】
ここで、PV発電設備110が発電した発電電力を蓄電池120が充電する場合の1コマ当たりの充電量の計画値は、PV発電設備110の1コマ当たりの発電出力の予測値がパワーコンディショナ110Aの容量/2以上であるときは、パワーコンディショナ110Aの容量/2と等しくなり、一方、PV発電設備110の1コマ当たりの発電出力の予測値がパワーコンディショナ110Aの容量/2未満であるときは、PV発電設備110の1コマ当たりの発電出力の予測値と等しくなる。尚、パワーコンディショナ110Aの容量/2は、パワーコンディショナ110Aが1コマについてPV発電設備110の発電出力を処理することが可能な容量である。本実施形態では、充電時間帯におけるPV発電設備110の発電出力の予測値は、パワーコンディショナ110Aの容量/2以上であることとする。つまり、充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値の最大値は、パワーコンディショナ110Aの容量/2(2.5MWh)に制限される。また、充電時間帯における電力価格の予測値は、充電コマC6,C7,C8,C1,C5,C4,C3,C2,C9,C10の順に高くなる。また、放電時間帯における電力価格の予測値は、放電コマD3,D4,D2,D5,D1,D6,D7の順に安くなる。
【0030】
図2では、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充電時間帯の後に放電時間帯を設定しているが、電力価格の予測値が充電時間帯の中で23.02円以上に上昇したり、放電時間帯の中で19.85円以下に下降したりする場合には、充電時間帯の中に放電コマを挿入したり、放電時間帯の中に充電コマを挿入したりすることもある。また、図2では、充電時間帯を設定するための電力価格の予測値(19.85円/kW)と、放電時間帯を設定するための電力価格の予測値(23.02円/kW)として、夫々異なる値を選択しているが、これに限定されない。例えば、充電時間帯と放電時間帯とを区切る1つの電力価格の予測値を選択し、この電力価格の予測値未満となる時間帯を充電時間帯に設定し、この電力価格の予測値以上となる時間帯を放電時間帯に設定するようにしてもよい。
【0031】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態に係る充放電計画作成装置100の主な機能を示すブロック図である。
【0032】
充放電計画作成装置100は、入力部1010、充電計画部1020、放電計画部1030、第1算出部1040、第2算出部1050、充放電計画作成部1060、記憶部1070、出力部1080を含んで構成される。
【0033】
入力部1010は、充放電計画作成装置100が蓄電池120の充放電計画を作成することとなった場合、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を電力価格予測装置160から取得するとともに、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電出力の予測値を発電電力予測装置170から取得する。
【0034】
充電計画部1020は、電力価格予測装置160から取得した電力価格の予測値が19.85円/kW以下となる9時30分のコマから14時のコマまでの充電時間帯に含まれる10個の充電コマC1~C10について、充電時間帯での電力価格の予測値が最安値から最高値へ向かう順(C6,C7,C8,C1,C5,C4,C3,C2,C9,C10)に、蓄電池120に充電される充電量の累積値が蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の充電を行う充電計画を作成する。尚、充電時間帯では、PV発電設備110の発電出力の予測値はパワーコンディショナ110Aの容量/2以上であることから、蓄電池120における充電量の最大値の計画値はパワーコンディショナ110Aの容量/2に制限される。充電計画部1020によって最初に作成された充電計画に含まれる充電コマC1~C10の充電量の計画値のことを充電計画初期値と称する。
【0035】
放電計画部1030は、電力価格予測装置160から取得した電力価格の予測値が例えば23.02円/kW以上となる16時のコマから19時のコマまでの放電時間帯に含まれる放電コマD1~D7について、放電時間帯での電力価格の予測値が最高値から最安値へ向かう順(D3,D4,D2,D5,D1,D6,D7)に、蓄電池120から放電された放電量の累積値が蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の放電を行う放電計画を作成する。尚、放電時間帯では、蓄電池120における放電量の最大値の計画値はパワーコンディショナ110Aの容量/2に制限される。放電計画部1030によって最初に作成された放電計画に含まれる放電コマD1~D7の放電量の計画値のことを放電計画初期値と称する。充放電計画作成部1060は、上記の充電計画初期値と放電計画初期値とを合わせて充放電計画初期値を作成する。
【0036】
第1算出部1040は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日の全48コマ分について、PV発電設備110の発電出力の予測値と、充電時間帯で最初に計画された蓄電池120の充電量の計画値である充電計画初期値と、放電時間帯で最初に計画された蓄電池120の放電量の計画値である放電計画初期値とを用いて、蓄電池120の第1売電価格(第1売電収益とも記す)を算出する。
【0037】
第2算出部1050は、第1算出部1040で算出した第1売電価格が蓄電池120の充放電計画の作成対象日において最高値の売電価格であるかどうかを確認するために、以下の処理を行って第2売電価格(第2売電収益とも記す)を算出する。具体的には、第2算出部1050は、充電時間帯における充電コマC1~C10のうち、電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して蓄電池120の充電計画を更新するごとに、放電時間帯における放電コマD1~D7のうち、電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量に応じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して、蓄電池120の放電計画を更新する。このように更新された充電コマC1~C10の充電量の計画値のことを充電計画更新値と称し、更新された放電コマD1~D7の放電量の計画値のことを放電計画更新値と称する。そして、第2算出部1050は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日の全48コマ分について、PV発電設備110の発電出力の予測値と、充電時間帯で更新された蓄電池120の充電量の計画値である充電計画更新値と、放電時間帯で更新された蓄電池120の放電量の計画値である放電計画更新値とを用いて、蓄電池120の第2売電価格を算出する。
【0038】
尚、第2算出部1050が第2売電価格を算出する処理は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、第1売電価格及び第2売電価格のうち何れか一方の売電価格が最高値であることが判明するまで繰り返し行われる。
【0039】
充放電計画作成部1060は、充電計画部1020によって計画された充電計画初期値と、放電計画部1030によって計画された放電計画初期値とに基づいて、充放電計画初期値を作成する。また、充放電計画作成部1060は、第2算出部1050によって更新された充電計画更新値及び放電計画更新値に基づいて、充放電計画更新値を作成する。充放電計画作成部1060は、第1売電価格と第2売電価格を比較し、第1売電価格が最高値となる場合は、充放電計画初期値に基づいて充放電計画を作成し、第2売電価格が最高値となる場合は、充放電計画更新値に基づいて充放電計画を作成する。
【0040】
記憶部1070は、10個の記憶領域を有している。記憶領域1071には、充放電計画作成装置100を動作させるための制御プログラムが記憶されている。また、記憶領域1073には、充電計画部1020によって計画された充電計画初期値が記憶される。また、記憶領域1074には、放電計画部1030によって計画された放電計画初期値が記憶される。また、記憶領域1075には、充放電計画作成部1060によって作成された充放電計画初期値と第1売電価格が記憶される。また、記憶領域1076には、第2算出部1050によって更新された充電計画更新値が記憶される。また、記憶領域1077には、第2算出部1050によって更新された放電計画更新値が記憶される。また、記憶領域1078には、充放電計画作成部1060によって作成された充放電計画更新値と第2売電価格が記憶される。また、記憶領域1072には、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、電力価格予測部160から取得した電力価格の予測値と、発電電力予測部170から取得した発電出力の予測値と、が全48コマに対応付けて記憶される。
【0041】
図4Aは、記憶領域1072に記憶される、PV発電設備110の発電出力の予測値と、電力価格の予測値と、の関係の一例を示すテーブルデータの図である。蓄電池120の充放電計画の作成対象日における時刻は、30分単位で全48コマに分割されており、各コマに対して、PV発電設備110の発電出力の予測値(MWh)と、電力価格の予測値(円/kW)とが対応付けられている。図4Aの例では、6時30分のコマから16時30分のコマまでPV発電設備110の発電出力が発生することが予測されており、このコマの中で、電力価格の予測値が19.85円/kW以下となる9時30分のコマから14時のコマまでの時間帯が充電時間帯に設定される。また、電力価格の予測値が23.02円/kW以上となる16時のコマから19時のコマまでの時間帯が放電時間帯に設定される。
【0042】
図4Bは、記憶領域1075に記憶される充放電計画初期値の一例を示す図である。図4Bの充放電計画初期値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電計画部1020によって計画された充電計画初期値(MWh)と、放電計画部1030によって計画された放電計画初期値(MWh)と、売電価格(万円)とを対応付けた形で、記憶領域1075に記憶される。
【0043】
図4Cは、記憶領域1078に記憶される1回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図4Cの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値(19.85円/kW)となる充電コマC10の充電量の計画値を削除した充電計画更新値(MWh)と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値となる放電コマD7から、充電コマC10で削除した充電量に応じた放電量を削除した放電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0044】
図4Dは、記憶領域1078に記憶される2回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図4Dの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値から2番目の高値(17.04円/kW)となる充電コマC9の充電量の計画値を更に削除した充電計画更新値(MWh)と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値となる放電コマD7と、最安値から2番目の安値(23.03円/kW)となる放電コマD6とから、充電コマC9で削除した充電量に応じた放電量を削除した放電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0045】
図4Eは、記憶領域1078に記憶される3回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図4Eの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値から3番目の高値(17円/kW)となる充電コマC2の充電量の計画値を更に削除した充電計画更新値(MWh)と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値から2番目の安値(23.03円/kW)となる放電コマD6とから、充電コマC2で削除した充電量に応じた放電量を削除した放電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0046】
図4Fは、記憶領域1078に記憶される4回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図4Fの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値から4番目の高値(16.81円/kW)となる充電コマC3の充電量の計画値を更に削除した充電計画更新値(MWh)と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値から2番目の安値(23.03円/kW)となる放電コマD6と、最安値から3番目の安値(23.04円/kW)となる放電コマD1とから、充電コマC3で削除した充電量に応じた放電量を削除した放電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0047】
図4Gは、記憶領域1078に記憶される5回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図4Gの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値から5番目の高値(16.12円/kW)となる充電コマC4の充電量の計画値を更に削除した充電計画更新値(MWh)と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値から3番目の安値となる放電コマD1と、最安値から4番目の安値(24.58円/kW)となる放電コマD5とから、充電コマC4で削除した充電量に応じた放電量を削除した放電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0048】
出力部1080は、充放電計画作成部1060によって作成された、売電金額が最高値となる充放電計画を出力する。この充放電計画の情報は、通信ネットワーク180を介して蓄電池制御装置130に入力する。
【0049】
図5は、図3に示す充放電計画作成装置100の機能を実現する情報処理装置10のハードウェアの一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、通信装置16を備える。情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ、各種サーバ装置、汎用機等である。情報処理装置10は、その全部又は一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。充放電計画作成装置100は、通信可能に接続された複数の情報処理装置10を用いて実現されるものであってもよい。
【0050】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成される。
【0051】
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0052】
補助記憶装置13は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカード、光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に記憶されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
【0053】
入力装置14は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0054】
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、情報処理装置10は、通信装置16を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0055】
入力装置14及び出力装置15は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0056】
通信装置16は、通信ネットワーク5等の通信基盤を介した他の装置との間での通信(有線通信又は無線通信)を実現する装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等を用いて構成される。
【0057】
尚、情報処理装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(Data Base Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0058】
充放電計画作成装置100が備える機能は、情報処理装置10のプロセッサ11が、主記憶装置12に記憶されている制御プログラムを読み出して実行するか、或いは、充放電計画作成装置100を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)自体の機能によって実現される。例えば、入力部1010は入力装置14によって実現され、出力部1080は出力装置15によって実現され、充電計画部1020、放電計画部1030、第1算出部1040、第2算出部1050、充放電計画作成部1060は、プロセッサ11によって実現され、記憶部1070は、主記憶装置12及び補助記憶装置13によって実現される。
【0059】
図6A及び図6Bは、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
以下、図2図3図4A図4Gを参照しつつ、充放電計画作成装置100の処理動作の一例について説明する。
【0061】
尚、説明の便宜上、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充電時間帯前と放電時間後における蓄電池120の充電状態を示すSOC(State Of Charge)は夫々0%であることとする。つまり、充放電計画作成装置100は、充電時間帯において蓄電池120のSOCが0%から100%となるまで充電を行うとともに、放電時間帯において蓄電池120のSOCが100%から0%となるまで放電を行う充放電計画を作成する。本実施形態では、電力価格の予測値とPV発電設備110の発電電力の予測値とに基づいて、蓄電池120のSOCを0%から100%にする充電時間帯の時間幅を確保することができるように、充電時間帯を設定するための電力価格として19.85円/kWを選択しており、また、蓄電池120のSOCを100%から0%にする放電時間帯の時間幅を確保することができるように、放電時間帯を設定するための電力価格として23.02円/kWを選択している。
【0062】
また、以下の説明において、nは初期値が1で1ずつ増える整数であり、1番目(n=1)に電力価格の予測値が安い、充電時間帯の中で最安値の充電コマはC6、2番目(n=2)に電力価格の予測値が安い充電コマはC7、3番目(n=3)に電力価格の予測値が安い充電コマはC8、4番目(n=4)に電力価格の予測値が安い充電コマはC1、5番目(n=5)に電力価格の予測値が安い充電コマはC5、6番目(n=6)に電力価格の予測値が安い充電コマはC4、7番目(n=7)に電力価格の予測値が安い充電コマはC3、8番目(n=8)に電力価格の予測値が安い充電コマはC2、9番目(n=9)に電力価格の予測値が安い充電コマはC9、10番目(n=10)に電力価格の予測値が安い、充電時間帯の中で最高値の充電コマはC10である。
【0063】
また、以下の説明において、mは初期値が1で1ずつ増える整数であり、1番目(m=1)に電力価格の予測値が高い、放電時間帯の中で最高値の放電コマはD3、2番目(m=2)に電力価格の予測値が高い放電コマはD4、3番目(m=3)に電力価格の予測値が高い放電コマはD2、4番目(m=4)に電力価格の予測値が高い放電コマはD5、5番目(m=5)に電力価格の予測値が高い放電コマはD1、6番目(m=6)に電力価格の予測値が高い放電コマはD6、7番目(m=7)に電力価格の予測値が高い、放電時間帯の中で最安値の放電コマはD7である。
【0064】
また、蓄電池120の充電を行う際の充電効率α=0.85、蓄電池120の放電を行う際の放電効率β=0.85であることとする。
【0065】
先ず、充電計画部1020は、後述するステップS2020~S2050で用いるnを初期値の1に設定する(S2010)。
【0066】
次に、充電計画部1020は、記憶部1070の記憶領域1072に記憶されている、図4Aに示す充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値及びPV発電設備110の発電電力の予測値を参照し、充電時間帯の中で1番目(n=1)に電力価格の予測値が安値(5円/kW)となる充電コマC6について、PV発電設備110の発電電力を蓄電池120に充電することを計画する。充電コマC6では、PV発電設備110の発電電力の予測値はパワーコンディショナ110Aの容量/2よりも大きいことから、蓄電池120の充電量の計画値はパワーコンディショナ110Aの容量/2である2.5MWhに制限される(S2020)。
【0067】
PV発電設備110の発電電力を蓄電池120に充電する場合には、蓄電池120の充電効率αを考慮する必要がある。そこで、充電計画部1020は、1番目に電力価格の予測値が安価となる充電コマC6までの蓄電池120の充電量の総和が「蓄電池120の容量/充電効率α」以上であるかどうかを判断する(S2030)。
【0068】
1番目に電力価格の予測値が安価となる充電コマC6までの蓄電池120の充電量の総和が「蓄電池120の容量/充電効率α」以上ではない場合(S2030:NO)、充電計画部1020は、nを1から2に更し(S2040)、2番目(n=2)に電力価格の予測値が安価(6.27円/kW)となる充電コマC7について、上記のステップS2020,S2030の処理を再度実行する。本実施形態では、充電計画部1020は、n=10となるまで、つまり、充電時間帯の中で電力価格の予測値が最高値(19.85円/kW)となる充電コマC10についてPV発電設備110の発電電力を蓄電池120に充電する計画を立てるまで、nを+1ずつインクリメントして上記のステップS2020,S2030の処理を繰り返し実行する。尚、2~10番目に電力価格の予測値が安価となる充電コマC7,C8,C1,C5,C4,C3,C2,C9,C10における蓄電池120の充電量の計画値も、充電コマC6と同様に、パワーコンディショナ110Aの容量/2である2.5MWhに制限される。
【0069】
そして、10番目(n=10)に電力価格の予測値が安価となる、つまり充電時間帯の中で電力価格の予測値が最高値となる充電コマC10までの蓄電池120の充電量の総和は「蓄電池120の容量/充電効率α」以上になることから(S2030:YES)、充電計画部1020は、10番目までの蓄電池120の充電量の総和が「蓄電池120の容量/充電効率α」と等しくなるように、「蓄電池120の容量/充電効率α」の充電量から9番目(n=9)に電力価格の予測値が安価となる充電コマC9までの蓄電池120の充電量の総和を減算して充電コマC10での蓄電池120の充電量の計画値を算出する(S2050)。
【0070】
上記のステップS2010~S2050の処理を実行することにより得られた充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画初期値として記憶部1070の記憶領域1073に記憶される。
【0071】
次に、放電計画部1030は、後述するステップS2070~S2100で用いるmを初期値の1に設定する(S2060)。
【0072】
次に、放電計画部1030は、図4Aに示す充放電計画の作成対象日おける電力価格の予測値及びPV発電設備110の発電電力の予測値を参照し、放電時間帯の中で1番目(m=1)に電力価格の予測値が高価(26.17円/kW)となる放電コマD3について、蓄電池120の放電を行うことを計画する。放電コマD3では、蓄電池120の放電量の計画値はパワーコンディショナ110Aの容量/2である2.5MWhとされる(S2070)。
【0073】
蓄電池120の放電を行う場合には、蓄電池120の放電効率βを考慮する必要がある。そこで、放電計画部1030は、1番目に電力価格の予測値が高価となる放電コマD3までの蓄電池120の放電量の総和が「蓄電池120の容量×放電効率β」以上であるかどうかを判断する(S2080)。
【0074】
1番目に電力価格の予測値が高価となる放電コマD3までの蓄電池120の放電量の総和が「蓄電池120の容量×放電効率β」以上ではない場合(S2080:NO)、放電計画部1030は、mを1から2に変更し(S2090)、2番目(m=2)に電力価格の予測値が高値(25.7円/kW)となる放電コマD4について、上記のステップS2070,S2080の処理を再度実行する。本実施形態では、放電計画部1030は、m=7となるまで、つまり、放電時間帯の中で電力価格の予測値が最安値(23.02円/kW)となる放電コマD7について蓄電池120の放電を行う計画を立てるまで、上記のステップS2070,S2080の処理を繰り返し実行する。尚、2~7番目に電力価格の予測値が高くなる放電コマD4,D2,D5,D1,D6,D7における蓄電池120の放電量の計画値も、放電コマD3と同様に、パワーコンディショナ110Aの容量/2である2.5MWhに制限される。
【0075】
そして、7番目(m=7)に電力価格の予測値が高価となる、つまり放電時間帯の中で電力価格の予測値が最安値となる放電コマD7までの蓄電池120の放電量の総和は「蓄電池120の容量×放電効率β」以上となることから(S2080:YES)、放電計画部1030は、7番目に電力価格の予測値が高値となる放電コマD7までの蓄電池120の放電量の総和が「蓄電池120の容量×放電効率β」と等しくなるように、「蓄電池120の容量×放電効率β」の放電量から6番目(m=6)に電力価格の予測値が高値となる放電コマD6までの蓄電池120の放電量の総和を減算して放電コマD7での蓄電池120の放電量の計画値を算出する(S2100)。
【0076】
上記のステップS2060~S2100の処理を実行することにより得られた放電コマD1~D7における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画初期値として記憶部1070の記憶領域1074に記憶される。
【0077】
充放電計画作成部1060は、記憶領域1073に記憶された充電計画初期値と、記憶領域1074に記憶された放電計画初期値とに基づいて、図4Bに示す充放電計画の作成対象日における充放電計画初期値を作成する(S2110)。この充放電計画初期値は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶される。
【0078】
次に、第1算出部1040は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶された図4Bに示す充放電計画初期値に基づいて、蓄電池120の充放電を行うことによる第1売電価格を算出する(S2120)。具体的には、第1算出部1040は、充放電計画の作成対象日の全48コマの夫々について、{(PV発電設備110の発電出力の予測値)-(蓄電池120の充電量の計画値)+(蓄電池120の放電量の計画値)}×(電力価格の予測値)の演算を行うことにより、各コマにおける蓄電池120の売電価格を算出し、更に、全てのコマについて算出された蓄電池120の売電価格を加算することにより、充放電計画の作成対象日における第1売電価格(75.7万円)を算出する。この第1売電価格は、図4Bに示す充放電計画初期値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1075に再度記憶される。
【0079】
上記のステップS2120で算出された第1売電価格が、充放電計画の作成対象日において最高値の売電価格であるかどうかについては、現時点では不明であることから、最高値の売電価格を求めるために以下のステップの処理を実行する。
【0080】
第2算出部1050は、 後述するステップS2140~S2190で用いるnを初期値の1に設定する(S2130)。
【0081】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶されている図4Bに示す充放電計画初期値を参照し、充電時間帯の中で1番目(n=1)に電力価格の予測値が高値(19.85円/kW)となる充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値(1.029412MWh)を削除して0MWhに更新する(S2140)。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に記憶される。
【0082】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶されている図4Bに示す充放電計画初期値を参照し、放電時間帯の中で1番目に電力価格の予測値が安値(23.02円/kW)となる放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値から、上記のステップS2140で削除した充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値に応じた分の放電量を削除する(S2150)。具体的には、第2算出部1050は、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値(2MWh)から、削除した充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値(1.029412MWh)に対して充電効率α(0.85)及び放電効率β(0.85)を乗じた放電量を削除する。この結果、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値は、2MWhから1.25625MWhに更新される。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に記憶される。
【0083】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図4Cに示す充放電計画の作成対象日における1回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0084】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された1回目の充放電計画更新値に基づいて、上記のステップS2120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(76.0298万円)を算出する(S2160)。この第2売電価格は、図4Cに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0085】
充放電計画作成部1060は、上記のステップS2120で算出された第1売電価格と、上記のステップS2160で算出された第2売電価格(更新1回目)とを比較する(S2170)。
【0086】
第2売電価格は第1売電価格よりも高いため(S2170:YES)、充放電計画作成部1060は、暫定的に1回目の充放電計画更新値から算出された第2売電価格(更新1回目)を最高値の売電価格に設定する(S2180)。
【0087】
次に、第2算出部1050は、nを1から2に変更し(S2190)、上記のステップS2140以降の処理を再度実行する。
【0088】
第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図4Cに示す1回目の充放電計画更新値を参照し、充電時間帯の中で2番目(n=2)に電力価格の予測値が高値(17.04円/kW)となる充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値(2.5MWh)を削除して0MWhに更新する(S2140)。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に更新して記憶される。
【0089】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図4Cに示す充放電計画更新値を参照し、放電時間帯において、蓄電池120の放電量の計画値が0MWhではない放電コマの中で、1番目に電力価格の予測値が安価となる放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値から、上記のステップS2140で削除した充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値に応じた分の放電量を削除する(S2150)。具体的には、第2算出部1050は、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値(1.25625MWh)から、削除した充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値(2.5MWh)に対して充電効率α(0.85)及び放電効率β(0.85)を乗じた放電量を削除する。この結果、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値は、1.25625MWhから0MWhに更新される。しかし、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値から、削除した充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値に対して充電効率α及び放電効率βを乗じた全ての放電量を削除しきれないため、次に電力価格の予測値が安値となる放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)から残りの放電量を削除する。この結果、放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値は、2.5MWhから1.95MWhに更新される。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に更新して記憶される。
【0090】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図4Dに示す充放電計画の作成対象日における2回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0091】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された2回目の充放電計画更新値に基づいて、上記のステップS2120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(76.1282万円)を算出する(S2160)。この第2売電価格は、図4Dに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0092】
充放電計画作成部1060は、図4Cに示す1回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新1回目)と、図4Dに示す2回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新2回目)とを比較する(S2170)。
【0093】
第2売電価格(更新2回目)は第2売電価格(更新1回目)よりも高いため(S2170:YES)、充放電計画作成部1060は、暫定的に第2売電価格(更新2回目)を最高値の売電価格に設定する(S2180)。
【0094】
次に、第2算出部1050は、nを2から3に変更し(S2190)、上記のステップS2140以降の処理を再度実行する。
【0095】
このように、上記のステップS2140の処理を繰り返し実行し、図4Eに示す3回目の充放電計画更新値と、図4Fに示す4回目の充放電計画更新値と、が記憶領域1078に記憶される。本実施形態では、現時点で、4回目の充放電計画更新値から算出された蓄電池120の第2売電価格(76.2575円/kW)が暫定的に最高値に設定される。
【0096】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図4Fに示す4回目の充放電計画更新値を参照し、充電時間帯の中で5番目(n=5)に電力価格の予測値が高値(16.12円/kW)となる充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値(2.5MWh)を削除して0MWhに更新する(S2140)。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に更新して記憶される。
【0097】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図4Fに示す充放電計画更新値を参照し、放電時間帯において、蓄電池120の放電量の計画値が0MWhではない放電コマの中で、1番目に電力価格の予測値が安価となる放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値から、上記のステップS2140で削除した充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値に応じた分の放電量を削除する(S2150)。具体的には、第2算出部1050は、放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値(0.8375MWh)から、削除した充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値(2.5MWh)に対して充電効率α(0.85)及び放電効率β(0.85)を乗じた放電量を削除する。この結果、放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値は、0.8375MWhから0MWhに更新される。しかし、放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値から、削除した充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値に対して充電効率α及び放電効率βを乗じた全ての放電量を削除しきれないため、次に電力価格の予測値が安価となる放電コマD5における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)から残りの放電量を削除する。この結果、放電コマD5における蓄電池120の放電量の計画値は、2.5MWhから1.53125MWhに更新される。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に更新して記憶される。
【0098】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図4Gに示す、充放電計画の作成対象日における5回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0099】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された5回目の充放電計画更新値に基づいて、上記のステップS2120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(75.9767万円)を算出する(S2160)。この第2売電価格は、図4Gに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0100】
充放電計画作成部1060は、図4Fの4回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新4回目)と、図4Gの5回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新5回目)とを比較する(S2170)。
【0101】
第2売電価格(更新5回目)は第2売電価格(更新4回目)よりも安価であるため(S2170:NO)、充放電計画作成部1060は、第2売電価格(更新4回目)を最高値の売電価格に決定し、図4Gに示す充放電計画更新値を蓄電池120の売電価格が最高値となる充放電計画として作成する(S2200)。
【0102】
<第2実施形態>
図7Aは、記憶領域1078に記憶される1回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図7Aの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、放電時間帯において電力価格の予測値が最安値(23.02円/kW)となる放電コマD7の放電量の計画値を削除した放電計画更新値(MWh)と、充電時間帯において電力価格の予測値が最高値(19.85円/kW)となる充電コマC10、電力価格の予測値が2番目に高値(17.04円/kW)となる充電コマC9から、放電コマD7で削除した放電量に応じた充電量を削除した充電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0103】
図7Bは、記憶領域1078に記憶される2回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図7Bの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、放電時間帯において電力価格の予測値が2番目に安値(23.03円/kW)となる放電コマD6の放電量の計画値を更に削除した放電計画更新値(MWh)と、充電時間帯において電力価格の予測値が2番目に高値となる充電コマC9、電力価格の予測値が3番目に高値(17円/kW)となる充電コマC2、電力価格の予測値が4番目に高値(16.81円/kW)となる充電コマC3から、放電コマD6で削除した放電量に応じた充電量を削除した充電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0104】
図7Cは、記憶領域1078に記憶される3回目の充放電計画更新値の一例を示す図である。図7Cの充放電計画更新値は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における全48コマに対して、充電コマC1~C10と、放電コマD1~D7と、放電時間帯において電力価格の予測値が3番目に安値(23.04円/kW)となる放電コマD1の放電量の計画値を更に削除した放電計画更新値(MWh)と、充電時間帯において電力価格の予測値が4番目に高値となる充電コマC3、電力価格の予測値が5番目に高値(16.12円/kW)となる充電コマC4から、放電コマD1で削除した放電量に応じた充電量を削除した充電計画更新値(MWh)と、を対応付けた形で記憶領域1078に記憶される。
【0105】
図8A及び図8Bは、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
【0106】
尚、図6では、第2算出部1050は、充電時間帯において電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して充電計画を更新するごとに、放電時間帯において電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量の計画値に充電効率α及び放電効率βを乗じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して放電計画を更新する第1処理を行っている。これに対して、図8では、第2算出部1050は、放電時間帯において電力価格の予測値が安い側から1つの放電コマの放電量を削除して放電計画を更新するごとに、充電時間帯において電力価格の予測値が高い側から、削除した放電量に充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた充電量に達するまで充電コマの充電量を削除して充電計画を更新する第2処理を行っている。第2算出部1050は、第1実施形態では第1処理を行い、第2実施形態では第2処理を行うところが相違点となっている。第2実施形態では、第1実施形態で用いた図3を共用することとする。
【0107】
また、図8のステップS3010~S3120の処理は図6のステップS2010~S2120の処理と同一であるため、その説明は省略する。
【0108】
以下、図2図3図4A図4B図7A図7Cを参照しつつ、第2実施形態に係る充放電計画作成装置100の処理動作の一例を、ステップS3130から説明する。
【0109】
第2算出部1050は、 後述するステップS3140~S3190で用いるmを初期値の1に設定する(S3130)。
【0110】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶されている図4Bに示す充放電計画初期値を参照し、放電時間帯の中で1番目(m=1)に電力価格の予測値が安値(23.02円/kW)となる放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値(2MWh)を削除して0MWhに更新する(S3140)。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に記憶される。
【0111】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1075に記憶されている図4Bに示す充放電計画初期値を参照し、充電時間帯の中で1番目に電力価格の予測値が高値(19.85円/kW)となる充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値から、上記のステップS3140で削除した放電コマD7における蓄電池120の放電量に応じた分の充電量を削除する(S3150)。具体的には、第2算出部1050は、充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値(1.029412MWh)から、削除した放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値(2MWh)に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた充電量を削除する。この結果、充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値は削除されて0MWhになる。しかし、充電コマC10における蓄電池120の充電量の計画値だけでは、削除した放電コマD7における蓄電池120の放電量の計画値に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた全ての充電量を削除しきれないため、充電時間帯の中で次に電力価格の予測値が高値となる充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値(2.5MWh)から残りの充電量を削除する。この結果、充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値は、2.5MWhから0.761246MWhに更新される。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に更新して記憶される。
【0112】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図7Aに示す充放電計画の作成対象日における1回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0113】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された1回目の充放電計画更新値に基づいて、第1実施形態のステップS2120と等しいステップS3120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(76.0982万円)を算出する(S3160)。この第2売電価格は、図7Aに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0114】
充放電計画作成部1060は、上記のステップS3120で算出された第1売電価格と、上記のステップS3160で算出された第2売電価格(更新1回目)とを比較する(S3170)。
【0115】
第2売電価格(更新1回目)は第1売電価格よりも高いため(S3170:YES)、充放電計画作成部1060は、暫定的に1回目の充放電計画更新値から算出された第2売電価格(更新1回目)を最高値の売電価格に設定する(S3180)。
【0116】
次に、第2算出部1050は、mを1から2に変更し(S3190)、上記のステップS3140以降を再度実行する。
【0117】
第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図7Aに示す1回目の充放電計画更新値を参照し、放電時間帯の中で2番目(m=2)に電力価格の予測値が安値(23.03円/kW)となる放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)を削除して0MWhに更新する(S3140)。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に更新して記憶される。
【0118】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図7Aに示す充放電計画更新値を参照し、充電時間帯において、蓄電池120の充電量の計画値が0MWhではない充電コマの中で、1番目に電力価格の予測値が高価となる充電コマC9における蓄電池120の充電量から、上記のステップS3140で削除した放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値に応じた分の充電量を削除する(S3150)。具体的には、第2算出部1050は、充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値から、削除した放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)に対して充電効率α(0.85)の逆数及び放電効率β(0.85)の逆数を乗じた充電量を削除する。この結果、充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値は、0.761246MWhから0MWhに更新される。しかし、充電コマC9における蓄電池120の充電量の計画値だけでは、削除した放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた全ての充電量を削除しきれないため、次に電力価格の予測値が高値となる充電コマC2における蓄電池120の充電量の計画値から残りの充電量を削除する。この結果、充電コマC2における蓄電池120の充電量の計画値は、2.5MWhから0MWhに更新される。しかし、充電コマC2における蓄電池120の充電量の計画値だけでは、削除した放電コマD6における蓄電池120の放電量の計画値に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた全ての充電量をまだ削除しきれていないため、次に電力価格の予測値が高値となる充電コマC3における蓄電池120の充電量の計画値から残りの充電量を更に削除する。この結果、充電コマC3における蓄電池120の充電量の計画値は、2.5MWhから2.301038MWhに更新される。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に更新して記憶される。
【0119】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図7Bに示す、充放電計画の作成対象日における2回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0120】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された2回目の充放電計画更新値に基づいて、上記のステップS3120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(76.2199万円)を算出する(S3160)。この第2売電価格は、図7Bに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0121】
充放電計画作成部1060は、図7Aの1回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新1回目)と、図7Bの2回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新2回目)とを比較する(S3170)。
【0122】
第2売電価格(更新2回目)は第2売電価格(更新1回目)よりも高いため(S3170:YES)、充放電計画作成部1060は、暫定的に第2売電価格(更新2回目)を最高値の売電価格に設定する(S3180)。
【0123】
次に、第2算出部1050は、mを2から3に変更し(S3190)、上記のステップS3140以降を再度実行する。
【0124】
第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図7Bに示す2回目の充放電計画更新値を参照し、放電時間帯の中で3番目(m=3)に電力価格の予測値が安値(23.04円/kW)となる放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)を削除して0MWhに更新する(S3140)。この更新後の放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値は、放電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1077に更新して記憶される。
【0125】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶されている図7Bに示す充放電計画更新値を参照し、充電時間帯において、蓄電池120の充電量の計画値が0MWhではない充電コマの中で、1番目に電力価格の予測値が高価となる充電コマC3における蓄電池120の充電量から、上記のステップS3140で削除した放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値に応じた分の充電量を削除する(S3150)。具体的には、第2算出部1050は、充電コマC3における蓄電池120の充電量の計画値から、削除した放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値(2.5MWh)に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた充電量を削除する。この結果、充電コマC3における蓄電池120の充電量の計画値は、2.301038MWhから0MWhに更新される。しかし、充電コマC3における蓄電池120の充電量の計画値だけでは、削除した放電コマD1における蓄電池120の放電量の計画値に対して充電効率αの逆数及び放電効率βの逆数を乗じた全ての放電量を削除しきれていないため、次に電力価格の予測値が高値となる充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値から残りの放電量を削除する。この結果、充電コマC4における蓄電池120の充電量の計画値は、2.5MWhから1.34083MWhに更新される。この更新後の充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値は、充電計画更新値として記憶部1070の記憶領域1076に更新して記憶される。
【0126】
充放電計画作成部1060は、記憶部1070の記憶領域1076に記憶された充電計画更新値及び記憶領域1077に記憶された放電計画更新値に基づいて、図7Cに示す、充放電計画の作成対象日における3回目の充放電計画更新値を作成して記憶領域1078に記憶する。
【0127】
次に、第2算出部1050は、記憶部1070の記憶領域1078に記憶された3回目の充放電計画更新値に基づいて、上記のステップS3120と同様にして、蓄電池120の充放電を行うことによる第2売電価格(76.1965万円)を算出する(S3160)。この第2売電価格は、図7Cに示す充放電計画更新値の情報に付加されて記憶部1070の記憶領域1078に再度記憶される。
【0128】
充放電計画作成部1060は、図7Bの2回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新2回目)と、図7Cの3回目の充放電計画更新値から算出される第2売電価格(更新3回目)とを比較する(S3170)。
【0129】
第2売電価格(更新3回目)は第2売電価格(更新2回目)よりも高価ではないため(S3170:NO)、充放電計画作成部1060は、第2売電価格(更新2回目)を最高値の売電価格に決定し(S3180)、図7Bに示す充放電計画更新値を蓄電池120の売電価格が最高値となる充放電計画として作成する(S3200)。
【0130】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る充放電計画作成装置100の主な機能を示すブロック図である。
【0131】
図9では、充放電計画作成装置100の機能として、第3算出部1090が新たに追加されている。尚、図9において、第2算出部1050は第1実施形態における第2算出部1050と同一であり、第3算出部1090は第2実施形態における第2算出部1050と同一である。
【0132】
第2算出部1050は、第1算出部1040で算出した第1売電価格が蓄電池120の充放電計画の作成対象日において最高値の売電価格であるかどうかを確認するために、以下の処理を行って第2売電価格を算出する。具体的には、第2算出部1050は、充電時間帯における充電コマC1~C10のうち、電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して蓄電池120の充電計画を更新するごとに、放電時間帯における放電コマD1~D7のうち、電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量に応じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して、蓄電池120の放電計画を更新する。そして、第2算出部1050は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日の全48コマ分について、PV発電設備110の発電出力の予測値と、充電時間帯で更新された蓄電池120の充電量の計画値である充電計画更新値と、放電時間帯で更新された蓄電池120の放電量の計画値である放電計画更新値とを用いて、蓄電池120の第2売電価格を算出する。
【0133】
第3算出部1090は、放電時間帯における放電コマD1~D7のうち、電力価格の予測値が低い側から1つの放電コマの放電量を削除して蓄電池120の放電計画を更新するごとに、充電時間帯における充電コマC1~C10のうち、電力価格の予測値が高い側から、削除した放電量に応じた充電量に達するまで充電コマの充電量を削除して、蓄電池120の充電計画を更新する。そして、第3算出部1090は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日の全48コマ分について、PV発電設備110の発電出力の予測値と、充電時間帯で更新された蓄電池120の充電量の計画値である充電計画更新値と、放電時間帯で更新された蓄電池120の放電量の計画値である放電計画更新値とを用いて、蓄電池120の第3売電価格を算出する。
【0134】
図10A図10Cは、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。尚、図10A図10Cは、図6A及び図6Bにおける一連の処理の中のステップS2010~S2190と、図8A及び図8Bにおける一連の処理の中のステップS3130~S3200と、を組み合わせた処理を示している。具体的には、図10A図10CにおけるステップS4010~S4190は、図6A及び図6BにおけるステップS2010~S2190と同一であり、図10A図10CにおけるステップS4200~4260は、図8A及び図8BにおけるステップS3130~S3190と同一である。
【0135】
そして、充放電計画作成部1060は、ステップS4180において暫定的に最高値とされた図4Fに示す第2売電価格(更新4回目)と、ステップS4250において最高値とされた図7Bに示す第3売電価格(更新2回目)とを比較し(S4240)、第2売電価格(更新4回目)の方が第3売電価格(更新2回目)よりも高値であることから、第2売電価格(更新4回目)を最高値の売電価格に決定し(S4270)、図4Fに示す充放電計画更新値を蓄電池120の売電価格が最高値となる充放電計画として作成する。
【0136】
このように、ステップS4130~S4190の処理と、ステップS4200~S4260の処理とを、一連の処理の中で実行することにより、売電価格が最高値となる充放電計画を作成する精度を向上させることができる。
【0137】
尚、図10A図10Cの一連の処理の中で、ステップS4130~S4190の処理と、ステップS4200~S4260の処理とを入れ替えて、一連の処理を実行することとしてもよい。
【0138】
以上説明したように、太陽光を利用して発電を行うPV発電設備110の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池120の充放電計画を作成する充放電計画作成装置100であって、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が19.85円/kW(第1価格)以下となる充電コマC1~C10を含む充電時間帯において、電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう充電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の充電を行う充電計画を作成する充電計画部1020と、電力価格の予測値が23.02円/kW(第2価格)以上となる放電コマD1~D7を含む放電時間帯において、電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう放電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の放電を行う放電計画を作成する放電計画部1030と、上記の充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部1040と、電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して充電計画を更新するごとに、電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量に応じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して放電計画を更新し、更新した充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部1050と、第1売電価格及び第2売電価格の中で最も高い売電価格となる充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画を作成する充放電計画作成部1060と、を含む。
【0139】
また、太陽光を利用して発電を行うPV発電設備110の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池120の充放電計画を作成する充放電計画作成装置100であって、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が19.85円/kW(第1価格)以下となる充電コマC1~C10を含む充電時間帯において、電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう充電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の充電を行う充電計画を作成する充電計画部1020と、電力価格の予測値が23.02円/kW(第2価格)以上となる放電コマD1~D7を含む放電時間帯において、電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう放電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の放電を行う放電計画を作成する放電計画部1030と、上記の充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部1040と、電力価格の予測値が安い側から1つの放電コマの放電量を削除して放電計画を更新するごとに、電力価格の予測値が高い側から、削除した放電量に応じた充電量に達するまで充電コマの充電量を削除して充電計画を更新し、更新された充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部1050と、第1売電価格及び第2売電価格の中で最も高い売電価格となる充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画を作成する充放電計画作成部1060と、を含む。
【0140】
また、太陽光を利用して発電を行うPV発電設備110の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池120の充放電計画を作成する充放電計画作成装置100であって、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が19.85円/kW(第1価格)以下となる充電コマC1~C10を含む充電時間帯において、電力価格の予測値が安い価格から高い価格へ向かう充電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の充電を行う充電計画を作成する充電計画部1020と、電力価格の予測値が23.02円/kW(第2価格)以上となる放電コマD1~D7を含む放電時間帯において、電力価格の予測値が高い価格から安い価格へ向かう放電コマの順序で、蓄電池120の容量に達するまで蓄電池120の放電を行う放電計画を作成する放電計画部1030と、上記の充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第1売電価格を算出する第1算出部1040と、電力価格の予測値が高い側から1つの充電コマの充電量を削除して充電計画を更新するごとに、電力価格の予測値が安い側から、削除した充電量に応じた放電量に達するまで放電コマの放電量を削除して放電計画を更新し、更新された充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第2売電価格を算出する第2算出部1050と、電力価格の予測値が安い側から1つの放電コマの放電量を削除して放電計画を更新するごとに、電力価格の予測値が高い側から、削除した放電量に応じた充電量に達するまで充電コマの充電量を削除して充電計画を更新し、更新された充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画の作成対象日における第3売電価格を算出する第3算出部1090と、第1売電価格、第2売電価格、及び第3売電価格の中で最も高い売電価格となる充電計画及び放電計画に基づいて、充放電計画を作成する充放電計画作成部1060と、を含む。
【0141】
充放電計画作成装置100によれば、売電価格が最も高くなり、収益が最大となる蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0142】
また、充放電計画作成装置において、前記放電時間帯は、充電時間帯以降の時間帯である。
【0143】
充放電計画作成装置100により作成される充放電計画は、蓄電池120における充放電計画の作成対象日において、電力価格の予測値が比較的安い日中等の時間帯に蓄電池の充電をまとめて行い、電力価格の予測値が比較的高い夜間等の時間帯に蓄電池の放電をまとめて行う計画であって、蓄電池120が充放電の動作を頻繁に繰り返すことがないため、充電効率及び放電効率が早期に低下することを防止することが可能となる。
【0144】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0145】
1 発電システム
100 充放電計画作成装置
110 PV発電設備
110A,120A パワーコンディショナ
120 蓄電池
130 蓄電池制御装置
150 気象情報提供装置
160 電力価格予測装置
170 発電電力予測装置
180 通信ネットワーク
190 電力系統
1010 入力部
1020 充電計画部
1030 放電計画部
1040 第1算出部
1050 第2算出部
1060 充放電計画作成部
1070 記憶部
1071~1078 記憶領域
1080 出力部
1090 第3算出部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C