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特開2024-145253充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145253
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057527
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】山下 大介
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐志
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503CB06
5G503CB16
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成する。
【解決手段】再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、1日を所定時間毎に区切ることにより構成される各コマにおける電力価格の予測値及び前記発電設備の発電電力の予測値に基づいて、前記蓄電池に充電を行う複数の充電コマにおける充電量と、前記蓄電池から放電する複数の放電コマにおける放電量と、を算出する充放電計画作成部と、前記複数の放電コマにおける放電量の合計が、前記発電電力の合計と前記蓄電池の効率とを基に算出される放電可能量になるように、前記各放電コマの放電量を減量する減量部と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、
1日を所定時間毎に区切ることにより構成される各コマにおける電力価格の予測値及び前記発電設備の発電電力の予測値に基づいて、前記蓄電池に充電を行う複数の充電コマにおける充電量と、前記蓄電池から放電する複数の放電コマにおける放電量と、を算出する充放電計画作成部と、
前記複数の放電コマにおける放電量の合計が、前記発電電力の合計と前記蓄電池の効率とを基に算出される放電可能量になるように、前記各放電コマの放電量を減量する減量部と、
を含む充放電計画作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充放電計画作成装置であって、
前記減量部は、前記発電電力の合計と、前記蓄電池の充電効率と、放電効率と、自己放電量と、を基に、前記放電可能量を算出する
充放電計画作成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充放電計画作成装置であって、
前記減量部は、前記電力価格の予測値がより安い放電コマを優先して、各放電コマの放電量を減量する
充放電計画作成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の充放電計画作成装置であって、
前記充電コマは、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる時間帯に含まれるコマであり、
前記放電コマは、前記作成対象日における電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる時間帯に含まれるコマである
充放電計画作成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の充放電計画作成装置であって、
前記充放電計画の作成対象日における前記複数の放電コマの放電量の実績値の合計と、前記放電可能量と、の差分に基づいて、前記充電効率、前記放電効率、及び前記自己放電量の各値を補正する第1補正部、を更に含む
充放電計画作成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の充放電計画作成装置であって、
過去における電力価格の予測値と実績値との関係に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する第2補正部と、
過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正する第3補正部と、を更に含み、
前記充放電計画作成部は、補正された前記作成対象日における電力価格の予測値と、補正された前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値と、に基づいて、前記充電量及び前記放電量を算出する
充放電計画作成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の充放電計画作成装置であって、
前記第2補正部は、過去における電力価格の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第1学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する
充放電計画作成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の充放電計画作成装置であって、
前記第3補正部は、過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第2学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正する
充放電計画作成装置。
【請求項9】
再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成方法であって、
1日を所定時間毎に区切ることにより構成される各コマにおける電力価格の予測値及び前記発電設備の発電電力の予測値に基づいて、前記蓄電池に充電を行う複数の充電コマにおける充電量と、前記蓄電池から放電する複数の放電コマにおける放電量と、を算出し、
前記複数の放電コマにおける放電量の合計が、前記発電電力の合計と前記蓄電池の効率とを基に算出される放電可能量になるように、前記各放電コマの放電量を減量する
充放電計画作成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の充放電計画作成方法であって、
前記各放電コマの放電量を減量するとき、前記発電電力の合計と、前記蓄電池の充電効率と、放電効率と、自己放電量と、を基に、前記放電可能量を算出する
充放電計画作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の充放電計画作成方法であって、
前記各放電コマの放電量を減量するとき、前記電力価格の予測値がより安い放電コマを優先して、各放電コマの放電量を減量する
充放電計画作成方法。
【請求項12】
請求項9に記載の充放電計画作成方法であって、
前記充電コマは、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる時間帯に含まれるコマであり、
前記放電コマは、前記作成対象日における電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる時間帯に含まれるコマである
充放電計画作成方法。
【請求項13】
請求項10に記載の充放電計画作成方法であって、
前記充放電計画の作成対象日における前記複数の放電コマの放電量の実績値の合計と、前記放電可能量と、の差分に基づいて、前記充電効率、前記放電効率、及び前記自己放電量の各値を補正する
充放電計画作成方法。
【請求項14】
請求項9に記載の充放電計画作成方法であって、
過去における電力価格の予測値と実績値との関係に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正し、
過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係に基づいて、前記作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正し、
補正された前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値と、補正された前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値と、に基づいて、前記充電量及び前記放電量を算出する
充放電計画作成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の充放電計画作成方法であって、
過去における電力価格の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第1学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する
充放電計画作成方法。
【請求項16】
請求項14に記載の充放電計画作成方法であって、
過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第2学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正する
充放電計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、再生可能エネルギー(例えば太陽光、風力、水力等)を利用して発電を行う発電設備の事業者が電力を売電することに関して、FIP(Feed-in-Premium)制度が導入されている。FIP制度の導入に伴い、上記の発電事業者が、発電設備と蓄電池を組み合わせ、電力価格が比較的安くなる日中等の時間帯では発電電力を蓄電池に充電し、電力価格が比較的高くなる夜間等の時間帯では蓄電池に充電されている電力を放電する、所謂タイムシフトを行うことで、電力の売電による収益を得る手法が提案されている。(特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-98952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池に充電される充電量は、蓄電池に充電しようとする電力量に対して蓄電池に固有の充電効率αを乗じた量となる。また、蓄電池から放電される放電量は、蓄電池の充電量に対して蓄電池に固有の放電効率βを乗じた量となる。また、蓄電池には、蓄電池が放電を行っていないにも関わらず充電量が時間の経過とともに減少する、蓄電池に固有の自己放電量γが発生する。従って、蓄電池に充電された充電量と、蓄電池に充電されたこの充電量から放電される放電量とを比較すると、放電量は充電量よりも少なくなる。
【0005】
上記のタイムシフトを行う場合、タイムシフトを行う対象日において電力を売電することによる収益が最大となるような充放電計画を予め作成し、この充放電計画に基づいて電力を売電する(蓄電池の放電を行う)入札を行うこととなる。しかし、充放電計画を作成する際に、上記の充電効率α、放電効率β、自己放電量γ等の蓄電池の効率が考慮されていないと、充放電計画で予め計画された放電量よりも実際に放電できる放電量が少なくなってしまい、その結果、放電量の不足分についてインバランスの清算処理を行ったり、或いは、放電量の不足分を時間前市場で調整したりする必要があり、対象日における収益を最大とすることが困難となる虞があった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能な充放電計画作成装置及び充放電計画作成方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明のうちの1つは、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池の充放電計画を作成する充放電計画作成装置であって、1日を所定時間毎に区切ることにより構成される各コマにおける電力価格の予測値及び前記発電設備の発電電力の予測値に基づいて、前記蓄電池に充電を行う複数の充電コマにおける充電量と、前記蓄電池から放電する複数の放電コマにおける放電量と、を算出する充放電計画作成部と、前記複数の放電コマにおける放電量の合計が、前記発電電力の合計と前記蓄電池の効率とを基に算出される放電可能量になるように、前記各放電コマの放電量を減量する減量部と、を含む。
【0008】
本発明の充放電計画作成装置によれば、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記減量部は、前記発電電力の合計と、前記蓄電池の充電効率と、放電効率と、自己放電量と、を基に、前記放電可能量を算出する。
【0010】
本発明の充放電計画作成装置によれば、放電可能量を算出する際の要因として蓄電池の充電効率、放電効率及び自己放電量を含むため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記減量部は、前記電力価格の予測値がより安い放電コマを優先して、各放電コマの放電量を減量する。
【0012】
本発明の充放電計画作成装置によれば、電力価格の予測値が安い放電コマの順に放電量を減量していくことから、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記充電コマは、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる時間帯に含まれるコマであり、前記放電コマは、前記作成対象日における電力価格の予測値が前記第1価格以上の第2価格以上となる時間帯に含まれるコマである。
【0014】
本発明の充放電計画作成装置により作成される充放電計画は、蓄電池における充放電計画の作成対象日において、電力価格の予測値が比較的安い日中等の時間帯に蓄電池の充電をまとめて行い、電力価格の予測値が比較的高い夜間等の時間帯に蓄電池の放電をまとめて行う計画であって、蓄電池が充放電の動作を頻繁に繰り返すことがないため、充電効率及び放電効率が早期に低下することを防止することが可能となる。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記充放電計画の作成対象日における前記複数の放電コマの放電量の実績値の合計と、前記放電可能量と、の差分に基づいて、前記充電効率、前記放電効率、及び前記自己放電量の各値を補正する第1補正部、を更に含む。
【0016】
本発明の充放電計画作成装置によれば、充電効率、放電効率、及び自己放電量を蓄電池の経年劣化の状況に応じて補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、過去における電力価格の予測値と実績値との関係に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する第2補正部と、過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係に基づいて、前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正する第3補正部と、を更に含み、前記充放電計画作成部は、補正された前記作成対象日における電力価格の予測値と、補正された前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値と、に基づいて、前記充電量及び前記放電量を算出する。
【0018】
本発明の充放電計画作成装置によれば、過去における電力価格の予測傾向に応じて作成対象日における電力価格の予測値を補正し、過去における発電設備の発電電力の予測傾向に応じて作成対象日における発電設備の発電電力の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記第2補正部は、過去における電力価格の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第1学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する。
【0020】
本発明の充放電計画作成装置によれば、第1学習モデルを用いて作成対象日における電力価格の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、充放電計画作成装置において、前記第3補正部は、過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第2学習モデルに基づいて、前記充放電計画の作成対象日における前記発電設備の発電電力の予測値を補正する。
【0022】
本発明の充放電計画作成装置によれば、第2学習モデルを用いて作成対象日における発電設備の発電電力の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【0023】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池の充放電計画を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】充放電計画作成装置100を含む発電システム1の概略的な構成を示すブロック図である。
図2】蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、電力価格の予測値と、PV発電設備110の発電電力の予測値と、複数の充電コマにおける蓄電池120の充電量の計画値と、複数の放電コマにおける蓄電池120の放電量の計画値と、の関係の一例を示すグラフである。
図3】充放電計画作成装置100の主な機能を示すブロック図である。
図4】第1学習データの一例を示す図である。
図5】第2学習データの一例を示す図である。
図6】第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの一例である深層ニューラルネットワークの構造を示す図である。
図7】充放電計画作成装置100が第1学習データを用いて第1学習モデル1082Aの学習を行い、第2学習データを用いて第2学習モデル1084Aの学習を行うときの処理を示すフローチャートである。
図8A】減量部1050が減量処理を行う前の放電コマD1~D7の放電量の計画値を示す図である。
図8B】補正後の電力価格の予測値が最安値である放電コマD7の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8C】補正後の電力価格の予測値が放電コマD7の次に安い放電コマD6の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8D】補正後の電力価格の予測値が放電コマD6の次に安い放電コマD1の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8E】補正後の電力価格の予測値が放電コマD1の次に安い放電コマD5の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8F】補正後の電力価格の予測値が放電コマD5の次に安い放電コマD2の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8G】補正後の電力価格の予測値が放電コマD2の次に安い放電コマD4の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図8H】補正後の電力価格の予測値が放電コマD4の次に安い(最高値の)放電コマD3の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示す図である。
図9図3に示す充放電計画作成装置100の機能を実現する情報処理装置10のハードウェアの一例を示すブロック図である。
図10】蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る充放電計画作成装置100を含む発電システム1の概略的な構成を示すブロック図である。尚、本実施形態では、再生可能エネルギーを利用して発電を行う発電設備は、例えば、太陽光を利用して発電を行う太陽光発電設備(以下、「PV発電設備」(PV:Photo Voltaic)と称する。)110であることとする。
【0028】
発電システム1は、充放電計画作成装置100、PV発電設備110、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置150、電力価格予測装置160、発電電力予測装置170を含んで構成される。
【0029】
充放電計画作成装置100、PV発電設備110、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置150、電力価格予測装置160、発電電力予測装置170は、通信ネットワーク180を介して通信が可能な状態で接続されている。尚、通信ネットワーク180は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、電力線通信網、各種公衆通信網等である。また、PV発電設備110及び蓄電池120は、通信ネットワーク180の他に、一般送配電事業者等によって運用される電力系統190にも接続されている。
【0030】
PV発電設備110は、例えば、多結晶シリコン型発電素子、単結晶シリコン型発電素子、薄膜型発電素子等を用いて構成される太陽光発電パネル(不図示)を備える。また、PV発電設備110は、太陽光発電パネルによって発電された電力を直流から交流に変換して電力系統190に供給するパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning Subsystem)110Aを備える。PV発電設備110による発電電力は、パワーコンディショナ110Aを介して電力系統190に供給されるか(一般送配電事業者に売電されるか)、蓄電池120に供給されるか(蓄電池120に充電されるか)の何れかであるが、本実施形態では、PV発電設備110による発電電力は、充電時間帯に含まれる複数の充電コマにおいて、蓄電池120に供給されることとする。
【0031】
蓄電池120は、例えば、鉛電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、燃料電池、キャパシタ電池等である。蓄電池120は、電力系統190との間で充放電を行うためのパワーコンディショナ(PCS)120Aを備える。
【0032】
気象情報提供装置150は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、PV発電設備110が設置されている地域の気象情報(例えば、気温、日射量等)を、電力価格予測装置160及び発電電力予測装置170に提供する。尚、気象情報提供装置150は、PV発電設備110が設置されている地域の気象観測所から上記の気象情報を取得してもよいし、気象庁が管理する気象情報提供サーバ(不図示)から上記の気象情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
電力価格予測装置160は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日について、気象情報提供装置150から取得した気象情報や、日時及び曜日等の情報を参照し、蓄電池120の充放電計画の作成対象日に取引される電力の電力価格(円/kW)を予測する。尚、本実施形態では、電力価格予測装置160は、例えば30分の時間幅を1コマとして、1コマごとの電力価格を予測することとする。また、電力価格予測装置160が電力価格を予測する手法としては、例えば、上記の気象情報や日時及び曜日等の情報と、人工知能等の解析技術とを組み合わせて電力価格を予測する周知の技術を用いることができる。また、電力価格予測装置160は、第三者が公開する電力価格の予測値を、通信ネットワーク180又はインターネットを介して取得するようにしてもよい。
【0034】
発電電力予測装置170は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日について気象情報提供装置150から取得した気象情報、PV発電設備110が設置されている場所の位置情報(緯度、経度等)、PV発電設備110の太陽光発電パネルが太陽光を受光することが可能なパネル面積、PV発電設備110が効率よく発電を行うことができるように太陽光発電パネルが地面から立ち上がる傾斜角度、等の情報に基づいて、PV発電設備110における1コマごとの発電電力(MWh)を予測する。尚、発電電力予測装置170がPV発電設備110の発電電力を予測する手法としては、例えば、上記の気象情報、PV発電設備110の位置情報、太陽光発電パネルのパネル面積及び傾斜角度等の情報に対して、発電電力をピンポイントで予測する解析技術を組み合わせる物理モデル、或いは過去における気象情報と発電電力の実績値との関係を学習した人工知能等の解析技術を組み合わせる統計モデル等の周知の技術を用いることができる。
【0035】
充放電計画作成装置100は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日について、電力価格予測装置160から電力価格の予測値を取得するとともに、発電電力予測装置170からPV発電設備110の発電電力の予測値を取得し、電力価格の予測値及び発電電力の予測値に基づいて、電力価格の予測値が比較的安く且つPV発電設備110の発電電力の予測値が比較的大きい時間帯(蓄電池120の充電を行うのに適した充電時間帯)に含まれる複数の充電コマの充電量と、電力価格の予測値が比較的高く且つPV発電設備110の発電電力の予測値が比較的小さい時間帯(蓄電池120の放電を行うのに適した放電時間帯)に含まれる複数の放電コマの放電量と、を調整し、蓄電池120の放電による売電の収益が最大となるときの複数の充電コマの充電量及び複数の放電コマの放電量に従って充放電計画を作成する。充放電計画作成装置100の詳細については後述する。
【0036】
蓄電池制御装置130は、充放電計画作成装置100で最終的に決定された充放電計画を取得し、この充放電計画で計画されている複数の充電コマごとの充電量に従って、蓄電池120が充電を行い、充放電計画で計画されている複数の放電コマごとの放電量に従って、蓄電池120が放電を行うように、蓄電池120の充放電動作を制御する。
【0037】
図2は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、電力価格予測装置160による電力価格の予測値と、発電電力予測装置170によるPV発電設備110の発電電力の予測値と、複数の充電コマにおける蓄電池120の充電量の計画値と、複数の放電コマにおける蓄電池120の放電量の計画値と、の関係の一例を示すグラフである。特に、図2は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、蓄電池120の放電を行うことによる売電の収益が最大となるように、充放電計画作成装置100によって最初に作成される充放電計画(充放電計画初期値)を示すグラフである。尚、電力価格の予測値は、後述する電力価格補正部1020によって補正された予測値であり、PV発電設備110の発電電力の予測値は、後述する発電電力補正部1030によって補正された予測値である。
【0038】
図2において、横軸は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における1日の時間であって、30分を1コマとする48コマ分の時間を示している。また、図2において、左側の縦軸の目盛りは、PV発電設備110における0.5(MWh)単位の発電電力を示し、右側の縦軸の目盛りは、電力の売買取引を行う市場における5(円/kW)単位の電力価格を示している。また、図2において、一点鎖線は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を示し、二点鎖線は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を示し、縦に伸びる黒塗り線は、充電時間帯に含まれる10個の複数の充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値を示し、縦方向に伸びる白抜き線は、放電時間帯に含まれる7個の放電コマD1~D7における蓄電池120の放電量の計画値を示している。本実施形態では、充電時間帯は、電力価格の予測値が例えば19.85(円(第1価格)/kW)以下となる9時30分から14時までの時間帯であり、放電時間帯は、電力価格の予測値が例えば23.02(円(第2価格)/kW)以上となる16時から19時までの時間帯であることとする。充電時間帯には、9時30分から14時までの間を30分単位で分割することにより10個の充電コマC1~C10が含まれ、放電時間帯には、16時から19時までの間を30分単位で分割することにより7個の放電コマD1~D7が含まれる。
【0039】
ここで、PV発電設備110が発電した発電電力を蓄電池120が充電する場合の1コマ当たりの充電量の計画値は、PV発電設備110の1コマ当たりの発電電力の予測値がパワーコンディショナ110Aの容量/2以上であるときは、パワーコンディショナ110Aの容量/2と等しくなり、一方、PV発電設備110の1コマ当たりの発電電力の予測値がパワーコンディショナ110Aの容量/2未満であるときは、PV発電設備110の1コマ当たりの発電電力の予測値と等しくなる。尚、パワーコンディショナ110Aの容量/2は、パワーコンディショナ110Aが1コマについてPV発電設備110の発電電力を処理することが可能な容量である。本実施形態では、充電時間帯におけるPV発電設備110の発電電力の予測値は、パワーコンディショナ110Aの容量/2以上であることとする。つまり、充電コマC1~C10における蓄電池120の充電量の計画値の最大値は、パワーコンディショナ110Aの容量/2(例えば2.5(MWh))に制限される。また、放電コマD1~D7における蓄電池120の放電量の計画値の最大値も、パワーコンディショナ110Aの容量/2に制限される。
【0040】
図2では、放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値の合計が、充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値の合計よりも小さくなるように設定されている。しかし、図2の例示に限定されることなく、充電時間帯前と放電時間後における蓄電池120の充電状態を示すSOC(State Of Charge)が夫々下限値となるように、例えば、充電時間帯における蓄電池120の充電量の計画値の合計と、放電時間帯における蓄電池120の放電量の計画値の合計と、が等しくなるように設定を行ってもよい。
【0041】
充電時間帯における電力価格の予測値は、充電コマC6,C7,C8,C1,C5,C4,C3,C2,C9,C10の順に高くなる。従って、充電コマC6,C7,C8,C1,C5,C4,C3,C2,C9,C10の順に、充電量の計画値は設定される。また、放電時間帯における電力価格の予測値は、放電コマD3,D4,D2,D5,D1,D6,D7の順に安くなる。従って、放電コマD3,D4,D2,D5,D1,D6,D7の順に、放電量の計画値は設定される。
【0042】
図2では、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充電時間帯の後に放電時間帯を設定しているが、電力価格の予測値が充電時間帯の中で23.02(円/kW)以上に上昇したり、放電時間帯の中で19.85(円/kW)以下に下降したりする場合には、充電時間帯の中に放電コマを挿入したり、放電時間帯の中に充電コマを挿入したりすることもある。また、図2では、充電時間帯を設定するための電力価格の予測値(19.85(円/kW))と、放電時間帯を設定するための電力価格の予測値(23.02(円/kW))として、夫々異なる値を選択しているが、これに限定されない。例えば、充電時間帯と放電時間帯とを区切る1つの電力価格の予測値を選択し、この電力価格の予測値未満となる時間帯を充電時間帯に設定し、この電力価格の予測値以上となる時間帯を放電時間帯に設定するようにしてもよい。
【0043】
充放電計画作成装置100は、充電コマC1~C10において蓄電池120の充電量の計画値が設定された充電計画と、放電コマD1~D7において蓄電池120の放電量の計画値が設定された放電計画とを含む、図2に示す充放電計画初期値を作成する。尚、充放電計画初期値は、この充放電計画初期値を作成可能な外部の装置(不図示)から充放電計画作成装置100に入力されるものであってもよい。
【0044】
図3は、充放電計画作成装置100の主な機能を示すブロック図である。
【0045】
充放電計画作成装置100は、入力部1010、電力価格補正部1020(第2補正部)、発電電力補正部1030(第3補正部)、充放電計画作成部1040、減量部1050、判定部1060、充放電計画決定部1070、記憶部1080、出力部1090を含んで構成される。
【0046】
記憶部1080は、第1記憶領域1081~第9記憶領域1089を含んで構成される。
【0047】
第1記憶領域1081には、充放電計画作成装置100を動作させるための制御プログラムが記憶されている。
【0048】
第2記憶領域1082には、蓄電池120の充放電計画を実行したときの売電による収益が最大となるように、つまり作成対象日における充放電計画の精度が向上するように、過去の所定日(例えば過去における同季節や同月の複数日)における電力価格の予測値と実績値との乖離を考慮して、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を1コマごとに補正する第1学習モデル1082Aが記憶されている。
【0049】
第3記憶領域1083には、第1学習モデル1082Aが機械学習を行うための第1学習データが記憶されている。
【0050】
図4及び図5は、夫々第1学習データ及び第2学習データの一例を示す図である。
【0051】
第1学習データは、第1特徴量と第1ラベルとを対応付けたデータである。第1特徴量は、例えば、過去の所定日におけるPV発電設備110の設置地域で予測された気象情報(気温、気圧、湿度、日射量等)、過去の所定日を示す日時及び曜日の情報、過去の所定日における電力の売買取引に関して予測された電力価格の予測値(円/kW)、過去の所定日において決定された電力価格の実績値(円/kW)の情報を含む。一方、第1ラベルは、過去の所定日における気象情報、日時及び曜日を考慮して、電力価格の予測値と実績値との乖離が小さくなるように、第1学習データを作成する当事者がこの電力価格の予測値を補正した補正情報である。第1学習データは、過去の複数日の夫々における第1特徴量及び第1ラベルを、同一日ごとに対応付けて蓄積したデータである。
【0052】
第1学習モデル1082Aは、第1学習データを取り込んで、過去の同季節や同月における電力価格の予測値の補正の傾向を事前に学習する。第1学習モデル1082Aは、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、PV発電設備110の設置地域で予測される気象情報、日時及び曜日の情報、電力価格の予測値が入力されると、過去の同季節又は同月において類似する気象情報となっている複数日の電力価格の予測値の補正の傾向に基づいて、蓄電池120の充放電計画を実行したときの売電による収益が最大となるように、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正し、この補正された電力価格の予測値を示すデータを出力する。
【0053】
第4記憶領域1084には、蓄電池120の充放電計画を実行したときの売電による収益が最大となるように、つまり作成対象日における充放電計画の精度が向上するように、過去の所定日(例えば過去における同季節や同月の複数日)におけるPV発電設備110の発電電力の予測値と実績値との乖離を考慮して、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における発電電力の予測値を1コマごとに補正する第2学習モデル1084Aが記憶されている。
【0054】
第5記憶領域1085には、第2学習モデル1084Aが機械学習を行うための第2学習データが記憶されている。
【0055】
第2学習データは、第2特徴量と第2ラベルとを対応付けたデータである。第2特徴量は、例えば、過去の所定日におけるPV発電設備110の設置地域で予測された気象情報、過去の所定日を示す日時の情報、過去の所定日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値(MWh)、過去の所定日においてPV発電設備110の発電電力の実績値(MWh)の情報を含む。一方、第2ラベルは、過去の所定日を示す日時とそのときの気象情報を考慮して、PV発電設備110の発電電力の予測値と実績値との乖離が小さくなるように、第2学習データを作成する当事者がこの発電電力の予測値を補正した補正情報である。第2学習データは、過去の複数日の夫々における第2特徴量及び第2ラベルを、同一日ごとに対応付けて蓄積したデータである。
【0056】
第2学習モデル1084Aは、第2学習データを取り込んで、過去の同季節や同月におけるPV発電設備110の発電電力の予測値の補正の傾向を事前に学習する。第2学習モデル1084Aは、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、PV発電設備110の設置地域で予測される気象情報、日時の情報、PV発電設備110の発電電力の予測値が入力されると、過去の同季節又は同月において類似する気象情報となっている複数日の発電電力の予測値の補正の傾向に基づいて、蓄電池120の充放電計画を実行したときの売電による収益が最大となるように、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を補正し、この補正された発電電力の予測値を示すデータを出力する。
【0057】
尚、第1学習データ及び第2学習データは、第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの学習を行うときのみ必要になるデータであるため、記憶部1080に記憶する代わりに、外部のコンピュータ(不図示)が有する記憶部に記憶するようにしてもよい。そして、充放電計画作成装置100が通信ネットワーク180を介して外部のコンピュータ内の記憶部から第1学習データ及び第2学習データを取得し、充放電計画作成装置100上で第1学習データ及び第2学習データを用いて第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの学習を行うようにしてもよい。或いは、外部のコンピュータ内で第1学習データ及び第2学習データを用いて第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの学習を行い、充放電計画作成装置100が通信ネットワーク180を介して外部のコンピュータから学習済みの第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aを取得して記憶部1080の第2記憶領域1082及び第4記憶領域1084に記憶するようにしてもよい。
【0058】
第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aは、夫々、より多くの第1学習データ及び第2学習データを用いて学習を行うほど、より正確な予測を行うことが可能となる。第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aは、例えば深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)であることとするが、勾配ブースティング(GBDT:Gradient Boosting Decision Tree)等の他の種類のモデルであってもよい。
【0059】
図6は、第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの一例である深層ニューラルネットワークの構造を示す図である。
【0060】
第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aは、夫々、入力層2010、中間層2020、出力層2030の3層を含んで構成される。
【0061】
第1学習モデル1082Aの場合、入力層2010は、第1学習データの第1特徴量と同一種類のデータが入力される層である。具体的には、入力層2010には、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、日時及び曜日の情報、PV発電設備110の設置地域で予測される気象情報、電力価格の予測値を示すデータが入力される。中間層2020は、第1学習データを用いて学習を行うことにより調整されるパラメータを含む1つ以上のノードからなる1つ以上の隠れ層を含む層である。中間層2020は、入力層2010に入力されるデータに基づき、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する。出力層2030は、中間層2020で処理された補正後の電力価格の予測値を示すデータを出力する層である。
【0062】
第2学習モデル1084Aの場合、入力層2010は、第2学習データの第2特徴量と同一種類のデータが入力される層である。具体的には、入力層2010には、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における、日時の情報、PV発電設備110の設置地域で予測される気象情報、PV発電設備110の発電電力の予測値を示すデータが入力される。中間層2020は、第2学習データを用いて学習を行うことにより調整されるパラメータを含む1つ以上のノードからなる1つ以上の隠れ層を含む層である。中間層2020は、入力層2010に入力されるデータに基づき、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を補正する。出力層2030は、中間層2020で処理された補正後の発電電力の予測値を示すデータを出力する層である。
【0063】
図7は、充放電計画作成装置100が第1学習データを用いて第1学習モデル1082Aの学習を行い、第2学習データを用いて第2学習モデル1084Aの学習を行うときの処理を示すフローチャートである。
【0064】
第1学習モデル1082Aの学習を行う場合、充放電計画作成装置100は、過去の複数日における、この複数日の夫々を示す日時及び曜日の情報、PV発電設備110の設置地域で予測された気象情報、電力価格の予測値及び実績値を示す説明変数である第1特徴量と、補正後の電力価格の予測値を示す目的変数である第1ラベルと、を同一日ごとに対応付けた第1学習データを生成する(S3010)。
【0065】
次に、充放電計画作成装置100は、第1学習データを用いて第1学習モデル1082Aの学習を行う(S3020)。
【0066】
一方、第2学習モデル1084Aの学習を行う場合、充放電計画作成装置100は、過去の複数日における、この複数日の夫々を示す日時の情報、PV発電設備110の設置地域で予測された気象情報、PV発電設備110の発電電力の予測値及び実績値を示す説明変数である第2特徴量と、補正後の発電電力の予測値を示す目的変数である第2ラベルと、を対応付けた第2学習データを生成する(S3010)。
【0067】
次に、充放電計画作成装置100は、第2学習データを用いて第2学習モデル1084Aの学習を行う(S3020)。
【0068】
尚、充放電計画作成装置100は、学習済みの第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aに対して予測精度の検証を行うようにしてもよい。その場合、充放電計画作成装置100は、第1学習データ及び第2学習データの夫々について学習用データ及び検証用データを用意し、学習用データを用いて第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの学習を行い、検証用データを用いて第1学習モデル1082A及び第2学習モデル1084Aの検証を行う。
【0069】
図3に戻り、第6記憶領域1086には、電力価格予測装置160から取得した1日48コマ分の電力価格の予測値と、この1日48コマ分の電力価格の実績値と、を同一日の同一コマに対応付けた1日分のデータが、電力の売買取引が行われた過去の日数分蓄積されて記憶されている。更に、第6記憶領域1086には、既に記憶されている上記の電力価格の予測値及び実績値を示すデータに加えて、電力価格予測装置160から取得した現在以降における1日48コマ分の電力価格の予測値と、この1日48コマ分の電力価格の実績値と、を同一日の同一コマに対応付けた1日分ずつのデータが、順次蓄積されて記憶されていく。これらの電力価格の予測値及び実績値を示すデータは、第3記憶領域1083に記憶された第1学習データの第1特徴量に利用される。特に、第6記憶領域1086に追加された電力価格の予測値及び実績値を示す新たなデータは、第1学習データの第1特徴量に追加され、この電力価格の予測値を補正した新たなデータは、第1学習データの第1ラベルに追加される。第1学習モデル1082Aでは、更新された第1学習データを用いて学習を行うことにより、過去の同季節や同月における電力価格の予測値の補正の傾向を把握する精度が向上する。尚、第1学習モデル1082Aが再学習を行うタイミングは、第1学習データを構成する第1特徴量及び第1ラベルが毎回更新されるごとでもよいし、第1学習データを構成する第1特徴量及び第1ラベルが一定数更新されるごとでもよいし、或いは、一定期間ごとでもよい。尚、電力価格の実績値は、例えば、電力取引市場において電力の売買について入札した際の約定価格値であり、この約定価格値を示すデータを、入力部1010を介して外部のコンピュータやサーバから取得した後、電力価格の予測値と対応付けられる。
【0070】
第7記憶領域1087には、発電電力予測装置170から取得した1日48コマ分の発電電力の予測値と、この1日48コマ分の発電電力の実績値と、を同一日の同一コマに対応付けた1日分のデータが、電力の売買取引が行われた過去の日数分蓄積されて記憶されている。更に、第7記憶領域1087には、既に記憶されている上記の発電電力の予測値及び実績値を示すデータに加えて、発電電力予測装置170から取得した現在以降における1日48コマ分の発電電力の予測値と、この1日48コマ分の発電電力の実績値と、を同一日の同一コマに対応付けた1日分ずつのデータが、順次蓄積されて記憶されていく。これらの発電電力の予測値及び実績値を示すデータは、第5記憶領域1085に記憶された第2学習データの第2特徴量に利用される。特に、第7記憶領域1087に追加された発電電力の予測値及び実績値を示す新たなデータは、第2学習データの第2特徴量に追加され、この発電電力の予測値を補正した新たなデータは、第2学習データの第2ラベルに追加される。第2学習モデル1084Aでは、更新された第2学習データを用いて学習を行うことにより、過去の同季節や同月における発電電力の予測値の補正の傾向を把握する精度が向上する。尚、第2学習モデル1084Aが再学習を行うタイミングは、第2学習データを構成する第2特徴量及び第2ラベルが毎回更新されるごとでもよいし、第2学習データを構成する第2特徴量及び第2ラベルが一定数更新されるごとでもよいし、或いは、一定期間ごとでもよい。尚、PV発電設備110の発電電力の実績値を示すデータは、入力部1010を介して外部のコンピュータやサーバから取得した後、発電電力の予測値と対応付けられる。
【0071】
第8記憶領域1088には、充放電計画作成部1040が最初に作成した図2に示す蓄電池120の充放電計画初期値を示すデータが記憶される。
【0072】
第9記憶領域1089には、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における売電の収益が最大となるように、充放電計画初期値を更新した充放電計画更新値が記憶される。充放電計画更新値の詳細については後述する。
【0073】
入力部1010は、充放電計画作成装置100が蓄電池120の充放電計画を作成することとなった場合、蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を電力価格予測装置160から取得するとともに、蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を発電電力予測装置170から取得する。
【0074】
電力価格補正部1020は、入力部1010に蓄電池120の充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を示すデータが入力されたことを契機として、蓄電池120の充放電計画に従って売電を行ったときの収益が最大となるように、この電力価格の予測値を補正することを第1学習モデル1082Aに指示する。また、電力価格補正部1020は、第1学習モデル1082Aから出力される補正後の電力価格の予測値を充放電計画作成部1040に提供する。
【0075】
発電電力補正部1030は、入力部1010に蓄電池120の充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を示すデータが入力されたことを契機として、蓄電池120の充放電計画に従って売電を行ったときの収益が最大となるように、この発電電力の予測値を補正することを第2学習モデル1084Aに指示する。また、発電電力補正部1030は、第2学習モデル1084Aから出力される補正後の発電電力の予測値を充放電計画作成部1040に提供する。
【0076】
充放電計画作成部1040は、第1学習モデル1082Aから出力された補正後の電力価格の予測値と、第2学習モデル1084Aから出力された補正後の発電電力の予測値とを用いて、例えば図2に示すような充放電計画初期値を作成する。この充放電計画初期値は、記憶部1080の第8記憶領域1088に記憶される。
【0077】
充放電計画初期値において、充電時間帯に含まれる複数の充電コマで計画された蓄電池120の充電量の計画値には、蓄電池120に固有の充電効率αが考慮されておらず、放電時間帯に含まれる複数の放電コマで計画された蓄電池120の放電量の計画値には、蓄電池120に固有の放電効率β及び自己放電量γが考慮されていない。そこで、減量部1050は、複数の放電コマで計画される補正前の放電量の計画値の合計が、蓄電池120の効率である充電効率α、放電効率β、自己放電量γを考慮した放電可能量となるまで、複数の放電コマの中で補正後の電力価格の予測値が安い放電コマの順に、補正前の放電量の計画値の合計と放電可能量との差分を減量していく。
【0078】
減量部1050は、放電コマD1~D7における補正前の放電量の計画値の合計が、放電コマD1~D7におけるPV発電設備110の発電電力の合計と蓄電池120の効率(充電効率α、放電効率β、自己放電量γ)とを基に算出される放電可能量(補正後の放電量の計画値)になるように、各放電コマD1~D7の放電量を減量する。尚、減量部1050は、各放電コマD1~D7の放電量の減量処理を行う際に、放電可能量を算出する。
【0079】
図8A図8Hは、減量部1050が放電時間帯に含まれる複数の放電コマの放電量の計画値の合計を放電可能量となるまで減量する過程の一例を示すグラフである。
【0080】
図8A図8Hは、図2の放電時間帯に含まれる放電コマD1~D7の放電量の計画値のみを示すグラフであり、横軸は、放電時間帯である16時~19時の放電コマD1~D7の時間を示し、縦軸の目盛りは、PV発電設備110における0.5(MWh)単位の発電電力を示している。放電コマD1~D7における補正後の電力価格の予測値は、放電コマD7,D6,D1,D5,D2,D4,D3の順に高値となっていく。
【0081】
具体的には、図8Aは、減量部1050が減量処理を行う前の放電コマD1~D7の補正前の放電量の計画値を示している。また、図8Bは、補正後の電力価格の予測値が最安値である放電コマD7の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Cは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD7の次に安い放電コマD6の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Dは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD6の次に安い放電コマD1の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Eは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD1の次に安い放電コマD5の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Fは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD5の次に安い放電コマD2の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Gは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD2の次に安い放電コマD4の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。また、図8Hは、補正後の電力価格の予測値が放電コマD4の次に安い(最高値の)放電コマD3の補正前の放電量の計画値に対して減量部1050が減量処理を行うことを示している。図8B図8Hの破線は、補正前の放電量の計画値から減量された減量値を示している。
【0082】
図2から明らかなように、充電コマC1~C9における充電量の計画値は夫々2.5(MWh)、充電コマC10における充電量の計画値は1(MWh)、放電コマD1~D6における補正前の放電量の計画値は夫々2.5(MWh)、放電コマD7における補正前の放電量の計画値は2(MWh)である。また、説明の便宜上、充電効率α=0.85、放電効率β=0.85、放電コマD1~D7の1コマ当たりの自己放電量γ=0.1(MWh)とする。
【0083】
図2において、充電時間帯に含まれる充電コマC1~C10で計画される蓄電池120の充電量の計画値の合計は、2.5×9+1=23.5(MWh)である。一方、蓄電池120に実際に充電される充電可能量は充電効率αを考慮して23.5×0.85=19.975(MWh)である。そして、蓄電池120の充電量の計画値の合計23.5(MWh)と、蓄電池120の充電可能量19.975(MWh)との差分値は、3.525(MWh)である。この充電効率αを考慮した差分3.525(MWh)は、蓄電池120には充電されないが、充電量の計画値として見込まれているため、放電時間帯に含まれる放電コマD1~D7の中で補正後の電力価格の予測値が安い放電コマの順に、放電量の計画値から差分値3.525(MWh)を0(MWh)になるまで減量していく必要がある。
【0084】
以下、図8A図8Hを参照しつつ、減量部1050の減量動作の一例について説明する。
【0085】
減量部1050は、第8記憶領域1088に記憶された充放電計画初期値を参照し、上記の差分値3.525(MWh)を算出する。
【0086】
そして、減量部1050は、図8Aに示す放電コマD1~D7における蓄電池120の補正前の放電量の計画値の状態から、充電効率α、放電効率β、自己放電量γを考慮した減量処理を開始する。
【0087】
図8B
減量部1050は、補正後の電力価格の予測値が最安値である放電コマD7における蓄電池120の補正前の放電量の計画値2(MWh)に放電効率βを乗じて、放電コマD7における放電効率βを考慮した放電量1.7(MWh)を算出する。
【0088】
次に、減量部1050は、放電コマD7における補正前の放電量の計画値から放電効率βを考慮した放電量を減量し、放電効率βを考慮した減量値0.3(MWh)を算出する。
【0089】
次に、減量部1050は、放電コマD7における補正前の放電量の計画値から、放電効率βを考慮した減量値と自己放電量γとを減量し、放電コマD7における放電可能量1.6(MWh)を算出する。
【0090】
次に、減量部1050は、放電コマD7における放電可能量から、上記の差分値3.525(MWh)のうち1.6(MWh)分を減量する。
【0091】
これにより、放電コマD7における補正後の放電量の計画値は、2(MWh)から0(MWh)となる。
【0092】
図8C
次に、減量部1050は、補正後の電力価格の予測値が放電コマD7の次に安い放電コマD6における蓄電池120の補正前の放電量の計画値2.5(MWh)に放電効率βを乗じて、放電コマD6における放電効率βを考慮した放電量2.125(MWh)を算出する。
【0093】
次に、減量部1050は、放電コマD6における補正前の放電量の計画値から放電効率βを考慮した放電量を減量し、放電効率βを考慮した減量値0.375(MWh)を算出する。
【0094】
次に、減量部1050は、放電コマD6における補正前の放電量の計画値から、放電効率βを考慮した減量値と自己放電量γとを減量し、放電コマD6における放電可能量2.025(MWh)を算出する。
【0095】
次に、減量部1050は、放電コマD6における放電可能量から、上記の差分値3.525(MWh)のうち放電コマD7の放電可能量から減量しきれなかった分である1.925(MWh)を減量する。この時点で上記の差分値3.525(MWh)の減量処理は完了する。
【0096】
これにより、放電コマD6における補正後の放電量の計画値は、2.5(MWh)から0.1(MWh)となる。
【0097】
図8D
次に、減量部1050は、補正後の電力価格の予測値が放電コマD6の次に安い放電コマD1における蓄電池120の補正前の放電量の計画値2.5(MWh)に放電効率βを乗じて、放電コマD1における放電効率βを考慮した放電量2.125(MWh)を算出する。
【0098】
次に、減量部1050は、放電コマD1における補正前の放電量の計画値から放電効率βを考慮した放電量を減量し、放電効率βを考慮した減量値0.375(MWh)を算出する。
【0099】
次に、減量部1050は、放電コマD1における補正前の放電量の計画値から、放電効率βを考慮した減量値と自己放電量γとを減量し、放電コマD1における放電可能量2.025(MWh)を算出する。
【0100】
これにより、放電コマD1における補正後の放電量の計画値は、2.5(MWh)から2.025(MWh)となる。
【0101】
図8E図8H
次に、減量部1050は、図8Dにおける減量部1050の減量処置と同様の処理を行う。これにより、放電コマD5,D2,D4,D3における補正後の放電量の計画値は、2.5(MWh)から2.025(MWh)となる。
【0102】
ここで、図8Hにおいて、放電コマD1~D6の実線で示す補正後の放電量の計画値の合計は、放電時間帯における蓄電池120の放電可能量を示し、放電コマD1~D7の破線で示す減量した放電量の合計は、図8Aに示す放電コマD1~D7の実線で示す補正前の放電量の合計と、図8Hに示す放電可能量との差分を示している。そして、図2に示す充放電計画初期値の中で、放電時間帯における放電コマD1~D7の補正前の放電量の計画値を、図8Hに示す補正後の放電量の計画値に入れ替えたものが充放電計画更新値となる。
【0103】
このように、減量部1050は、放電時間帯に含まれる全ての放電コマD1~D7の補正前の放電量の計画値について、充電効率α、放電効率β、自己放電量γを考慮した減量処理を行い、一連の減量処理を終了する。
【0104】
尚、減量部1050には、減量処理を行う際に使用する充電効率α、放電効率β、自己放電量γの値が予め設定されている。減量部1050は、充放電計画の作成対象日における放電コマD1~D7の放電量の実績値の合計と、放電コマD1~D7の補正後の放電量の計画値である放電可能量と、の差分に基づいて、充電効率α、放電効率β、及び自己放電量γの各値を補正する第1補正部としての機能を備えている。そして、これらの充電効率α、放電効率β、自己放電量γの値は、減量部1050によって、PV発電設備110における、放電コマD1~D7における放電量の実績値の合計と放電可能量との乖離の度合いに基づいて補正される。充電効率α、放電効率β、自己放電量γの値は記憶部1080に記憶され、減量部1050が減量処理を行うときに記憶部1080から読み出すようにしてもよい。
【0105】
図3に戻り、判定部1060は、減量部1050による一連の減量処理が終了したかどうかを判定する。
【0106】
充放電計画決定部1070は、判定部1060が減量部1050による一連の減量処理が終了したと判定したときの判定結果に従って、上記の充放電計画更新値を、蓄電池120の放電を行うことによる売電の収益が最大となる充放電計画に決定し、記憶部1080の第9記憶領域1089に記憶する。
【0107】
出力部1090は、通信ネットワーク180を介して、第9記憶領域1089から読み出された充放電計画更新値を蓄電池制御装置130に出力する。
【0108】
図9は、図3に示す充放電計画作成装置100の機能を実現する情報処理装置10のハードウェアの一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、通信装置16を備える。情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ、各種サーバ装置、汎用機等である。情報処理装置10は、その全部又は一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。充放電計画作成装置100は、通信可能に接続された複数の情報処理装置10を用いて実現されるものであってもよい。
【0109】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成される。
【0110】
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0111】
補助記憶装置13は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカード、光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に記憶されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
【0112】
入力装置14は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0113】
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、情報処理装置10は、通信装置16を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0114】
入力装置14及び出力装置15は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0115】
通信装置16は、通信ネットワーク5等の通信基盤を介した他の装置との間での通信(有線通信又は無線通信)を実現する装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等を用いて構成される。
【0116】
尚、情報処理装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(Data Base Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0117】
充放電計画作成装置100が備える機能は、情報処理装置10のプロセッサ11が、主記憶装置12に記憶されている制御プログラムを読み出して実行するか、或いは、充放電計画作成装置100を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)自体の機能によって実現される。例えば、入力部1010は入力装置14によって実現され、出力部1090は出力装置15によって実現され、電力価格補正部1020、発電電力補正部1030、充放電計画作成部1040、減量部1050、判定部1060、充放電計画決定部1070は、プロセッサ11によって実現され、記憶部1080は、主記憶装置12及び補助記憶装置13によって実現される。
【0118】
図10は、蓄電池120の充放電計画の作成対象日において、充放電計画作成装置100が充放電計画を作成するときの処理の一例を示すフローチャートである。
【0119】
先ず、充放電計画作成装置100では、蓄電池120の充放電計画の作成対象日について、電力価格予測装置160から入力部1010に電力価格の予測値が入力されたかどうか、発電電力予測装置170から入力部1010にPV発電設備110の発電電力の予測値が入力されたかどうかを判定する(S4010)。
【0120】
入力部1010に電力価格の予測値及びPV発電設備の発電電力の予測値が入力されていない場合(S4010:NO)、充放電計画作成装置100は、上記のステップS4010の処理を繰り返し実行する。
【0121】
入力部1010に電力価格の予測値及びPV発電設備の発電電力の予測値が入力された場合(S4010:YES)、電力価格補正部1020では、第1学習モデル1082Aに対して、蓄電池120の放電を行った場合における売電の収益が最大となるように、補正前の電力価格の予測値を補正することを指示する。第1学習モデル1082Aでは、電力価格補正部1020からの指示を受けて、補正前の電力価格の予測値を補正する(S4020)。また、発電電力補正部1030では、第2学習モデル1084Aに対して、蓄電池120の放電を行った場合における売電の収益が最大となるように、補正前の発電電力の予測値を補正することを指示する。第2学習モデル1084Aでは、発電電力補正部1030からの指示を受けて、補正前の発電電力の予測値を補正する(S4030)。
【0122】
次に、充放電計画作成部1040では、補正後の電力価格の予測値及び補正後の発電電力の予測値を用いて、図2に示すような作成対象日における充放電計画初期値を作成する(S4040)。
【0123】
次に、減量部1050では、図8A図8Hに示すように、放電時間帯における放電コマD1~D7の補正前の放電量の計画値が放電可能量となるように、補正後の電力価格の予測値が安い放電コマの順に、充電効率α、放電効率β、自己放電量γを考慮した減量処理を行い(S4050)、充放電計画更新値が作成される(S4060)。
【0124】
出力部1090は、この充放電計画更新値を通信ネットワーク180を介して蓄電池制御装置130に出力する(S4070)。これにより、蓄電池制御装置130では、充放電計画更新値に基づいて電力の入札が行われるように、蓄電池120の充放電を制御する。
【0125】
以上説明したように、再生可能エネルギーの1つとして例えば太陽光を利用して発電を行うPV発電設備110の発電電力を充電するとともに、充電した電力を放電する蓄電池120の充放電計画を作成する充放電計画作成装置100であって、1日を所定時間毎に区切ることにより構成される各コマにおける電力価格の予測値及びPV発電設備110の発電電力の予測値に基づいて、蓄電池120に充電を行う複数の充電コマにおける充電量と、蓄電池120から放電する複数の放電コマにおける放電量と、を算出する充放電計画作成部1040と、複数の放電コマにおける放電量の合計が、PV発電設備110の発電電力の合計と蓄電池120の効率とを基に算出される放電可能量になるように、各放電コマの放電量を減量する減量部1050と、を含む。
【0126】
充放電計画作成装置100によれば、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0127】
また、充放電計画作成装置100において、減量部1050は、PV発電設備110の発電電力の合計と、蓄電池120の充電効率と、放電効率と、自己放電量と、を基に、蓄電池120の放電可能量を算出する。
【0128】
充放電計画作成装置100によれば、放電可能量を算出する際の要因として蓄電池120の充電効率、放電効率及び自己放電量を含むため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0129】
また、充放電計画作成装置100において、減量部1050は、電力価格の予測値がより安い放電コマを優先して、各放電コマの放電量を減量する。
【0130】
充放電計画作成装置100によれば、電力価格の予測値が安い放電コマの順に放電量を減量していくことから、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0131】
また、充放電計画作成装置100において、充電コマは、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以下となる時間帯に含まれるコマであり、放電コマは、作成対象日における電力価格の予測値が第1価格以上の第2価格以上となる時間帯に含まれるコマである。
【0132】
充放電計画作成装置100により作成される充放電計画は、蓄電池120における充放電計画の作成対象日において、電力価格の予測値が比較的安い日中等の時間帯に蓄電池120の充電をまとめて行い、電力価格の予測値が比較的高い夜間等の時間帯に蓄電池120の放電をまとめて行う計画であって、蓄電池120が充放電の動作を頻繁に繰り返すことがないため、充電効率及び放電効率が早期に低下することを防止することが可能となる。
【0133】
また、充放電計画作成装置100において、減量部1050は、充放電計画の作成対象日における複数の放電コマの放電量の実績値の合計と、放電可能量と、の差分に基づいて、充電効率、放電効率、及び自己放電量の各値を補正する第1補正部、を機能の1つとして含む。
【0134】
充放電計画作成装置100によれば、充電効率、放電効率、及び自己放電量を蓄電池120の経年劣化の状況に応じて補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0135】
また、充放電計画作成装置100において、過去における電力価格の予測値と実績値との関係に基づいて、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する電力価格補正部1020と、過去における前記発電設備の発電電力の予測値と実績値との関係に基づいて、充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を補正する発電電力補正部1030と、を更に含み、充放電計画作成部1040は、補正された充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値と、補正された充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値と、に基づいて、複数の充電コマ及び複数の放電コマの夫々における充電量及び放電量を算出する。
【0136】
充放電計画作成装置100によれば、過去における電力価格の予測傾向に応じて作成対象日における電力価格の予測値を補正し、過去における発電設備の発電電力の予測傾向に応じて作成対象日における発電設備の発電電力の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0137】
また、充放電計画作成装置100において、電力価格補正部1020は、過去における電力価格の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第1学習モデル1082Aに基づいて、充放電計画の作成対象日における電力価格の予測値を補正する。
【0138】
充放電計画作成装置100によれば、第1学習モデル1082Aを用いて作成対象日における電力価格の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0139】
また、充放電計画作成装置100において、発電電力補正部1030は、過去におけるPV発電設備110の発電電力の予測値と実績値との関係を学習することにより生成された第2学習モデル1084Aに基づいて、充放電計画の作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を補正する。
【0140】
充放電計画作成装置100によれば、第2学習モデル1084Aを用いて作成対象日におけるPV発電設備110の発電電力の予測値を補正するため、売電による収益が最大となる精度の高い蓄電池120の充放電計画を作成することが可能となる。
【0141】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0142】
1 発電システム
10 情報処理装置
11 プロセッサ
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入力装置
15 出力装置
16 通信装置
100 充放電計画作成装置
110 PV発電設備
120 蓄電池
130 蓄電池制御装置
150 気象情報提供装置
160 電力価格予測装置
170 発電電力予測装置
180 通信ネットワーク
190 電力系統
1010 入力部
1020 電力価格補正部
1030 発電電力補正部
1040 充放電計画作成部
1050 減量部
1060 判定部
1070 充放電計画決定部
1080 記憶部
1081~1089 第1記憶領域~第9記憶領域
1090 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9
図10