(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145279
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】複数の印刷装置を用いた印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B31D 5/00 20170101AFI20241004BHJP
【FI】
B31D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057563
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】518040275
【氏名又は名称】当矢印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 吉晃
(72)【発明者】
【氏名】田島 俊也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将臣
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA02
3E075AA05
3E075BA95
3E075CA01
3E075DB16
3E075DB19
3E075DC01
3E075DD02
3E075DD30
3E075DE23
3E075FA33
3E075GA04
3E075GA05
(57)【要約】
【課題】短時間で印刷物を製造できる、複数の印刷装置を用いた印刷物の製造方法を提供する。
【解決手段】印刷物の製造方法は、第一シート2Aが給紙される第一印刷装置2、第二シート3Aが給紙される第二印刷装置2及び印刷物加工装置10,20を用いて印刷物を製造する。この印刷物の製造方法は、第一印刷装置2によって第一シート2Aに印刷を施し、第二印刷装置3によって第二シート3Aに印刷を施す印刷工程と、印刷工程後、印刷物加工装置10,20において、第一印刷装置1から移送された第一シート2Aと第二印刷装置3から移送された第二シート3Aとを貼り合わせる貼合せ工程と、貼合せ工程後、印刷物加工装置10,20において、所定の形状に切断する裁断工程とを含み、印刷工程、貼合せ工程、裁断工程を一連のラインで行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シートが給紙される第一印刷装置、第二シートが給紙される第二印刷装置及び印刷物加工装置を用いて印刷物を製造する印刷物の製造方法であって、
前記第一印刷装置によって前記第一シートに印刷を施し、前記第二印刷装置によって前記第二シートに印刷を施す印刷工程と、
前記印刷工程後、前記印刷物加工装置において、前記第一印刷装置から移送された前記第一シートと前記第二印刷装置から移送された前記第二シートとを貼り合わせる貼合せ工程と、
前記貼合せ工程後、前記印刷物加工装置において、所定の形状に切断する裁断工程と、を含み、
前記印刷工程、前記貼合せ工程、前記裁断工程を一連のラインで行う、
ことを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項2】
前記印刷物加工装置が、前記第一印刷装置と前記第二印刷装置との間に配置され、
前記貼合せ工程において、前記第一印刷装置から直接移送された前記第一シートと前記第二印刷装置から直接移送された前記第二シートとを貼り合わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷物の製造方法。
【請求項3】
前記印刷物加工装置が、折り加工機構、型抜き加工機構、ミシン目加工機構、綴じ加工機構を備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷装置を用いた印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物は、情報を伝えることに加え、印刷物の構造を工夫することにより、視覚的に楽しめたり、使用が便利になったりする付加価値を提供することができる。例えば、新聞や雑誌などに折り込み用チラシとした広告印刷物、二つ折りされた下側シートを開いたときに起立片が立ち上がるシート状印刷物、シールブックや広告に使用されるシール付印刷物等の多種多様な印刷物が知られており、これらを製造するための製造方法も開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の印刷物の製造方法は、二つ折りされたシートを開いたときに、シート内側から起立片が立ち上がるシート状印刷物を製造する方法である。この印刷物の製造方法は、印刷が施された印刷領域と印刷が施されていないブランク領域とをシート材の延在方向に交互に形成する工程と、印刷領域に接着領域を有する接着層を形成する工程と、シート材を幅方向に折り畳むことによって、接着層を介して、上層シートになる領域と下層シートになる領域とを貼り合せる工程と、印刷領域とブランク領域との境界を断裁する工程とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の印刷物の製造方法は、1つのロール紙(シート材)を使用し、シート材を幅方向に折り畳むことにより上層シートと下層シートを形成させ、上層シートと下層シートを貼り合わせる。このように製造された印刷物の幅方向のサイズは、最大でロール紙の幅方向のサイズの半分となる。そのため、所望の幅方向のサイズの印刷物を製造する場合、そのサイズの2倍以上のサイズを有するシート材を準備する必要がある。そうすると、印刷物の加工装置のスペックによって、製造する印刷物の幅方向のサイズが制限される。
【0006】
印刷が施されたロール紙を2つ使用して、各ロール紙を重ね合わせて印刷物を製造することもできるが、この場合、印刷後のロール紙を加工装置にセットした後、加工を実施しなければいけない。そのため、ロール紙を加工装置にセットする手間が生じると共に、目的の印刷物を製造するために時間を要していた。
【0007】
そこで、本発明は、短時間で印刷物を製造できる、複数の印刷装置を用いた印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷物の製造方法は、第一シートが給紙される第一印刷装置、第二シートが給紙される第二印刷装置及び印刷物加工装置を用いて印刷物を製造する。この印刷物の製造方法は、第一印刷装置によって第一シートに印刷を施し、第二印刷装置によって第二シートに印刷を施す印刷工程と、印刷工程後、印刷物加工装置において、第一印刷装置から移送された第一シートと第二印刷装置から移送された第二シートとを貼り合わせる貼合せ工程と、貼合せ工程後、印刷物加工装置において、所定の形状に切断する裁断工程と、を含み、印刷工程、貼合せ工程、裁断工程を一連のラインで行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る印刷物の製造方法は、印刷物加工装置が、第一印刷装置と第二印刷装置との間に配置され、貼合せ工程において、第一印刷装置から直接移送された第一シートと前記第二印刷装置から直接移送された第二シートとを貼り合わせることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る印刷物の製造方法は、印刷物加工装置が、折り加工機構、型抜き加工機構、ミシン目加工機構、綴じ加工機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る印刷物の製造方法は、第一印刷装置、第二印刷装置及び印刷物加工装置を用いて、印刷工程、貼合せ工程、裁断工程を一連のラインで行う。第一印刷装置によって印刷が施された第一シート及び第二印刷装置によって印刷が施された第二シートが、直接、印刷物加工装置に移送され、貼合せ工程等が実施される。そのため、印刷物を短時間で製造することができると共に、印刷物製造の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係る印刷物の製造方法で使用する印刷物製造装置の概略図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る印刷物の製造方法で使用する印刷物加工装置を示す図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る印刷物の製造方法で使用する印刷物加工装置を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る印刷物の製造方法で製造された印刷物の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第一実施形態]
本実施形態に係る印刷物の製造方法について、
図1及び
図2を参照し説明する。
【0014】
本実施形態に係る印刷物の製造方法では、
図1に示すように、印刷物製造装置1を利用して、印刷物を製造する。印刷物製造装置1は、第一シート2Aが給紙される第一印刷装置2、第二シート3Aが給紙される第二印刷装置3及び印刷物加工装置10を用いて印刷物を製造する。
【0015】
印刷物製造装置1は、第一印刷装置2と、第一印刷装置2に対向して配置される第二印刷装置3と、第一印刷装置2と第二印刷装置3との間に配置される印刷物加工装置10とを備えている。印刷物加工装置10では、第一印刷装置2から移送される第一シート2Aと、第二印刷装置3から移送される第二シート3Aとを用いて、目的の印刷物に加工する。
【0016】
印刷物加工装置10は、
図2に示すように、シート供給部11、粘着剤供給部12、複数の赤外線照射装置13Aを備える乾燥部13、ニップローラ14Aを備える貼着部14、切断ローラ15Aを備える裁断部15を備えている。
【0017】
本実施形態に係る印刷物の製造方法は、第一印刷装置2によって第一シート2Aに印刷を施し、第二印刷装置3によって第二シート3Aに印刷を施す印刷工程と、印刷工程後、印刷が施された第一シート2Aと第二シート3Aを印刷物加工装置10に供給するシート供給工程、第一印刷装置2から移送された第一シート2A、第二印刷装置3から移送された第二シート3Aに接着剤(粘着剤)を塗布する接着剤塗布工程と、粘着剤を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程後、第一シート2Aと第二シート3Aを貼り合わせる貼合せ工程と、貼合せ工程後、所定の形状に裁断する裁断工程を含んでいる。
【0018】
本実施形態に係る印刷物の製造方法では、上述した印刷工程、シート供給工程、接着剤塗布工程、乾燥工程、貼合せ工程、裁断工程を一連(一つ)のラインで行う。
【0019】
[印刷工程]
印刷工程では、第一シート2A及び第二シート3Aに所望の図柄や模様、文字を印刷する。具体的には、第一シート2Aのおもて面と第二シート3Aのうら面に所望の図柄等を印刷する。これらの印刷工程は、第一印刷装置2と第二印刷装置3で同時に実施する。
【0020】
[シート供給工程]
印刷工程後、第一シート2A及び第二シート3Aは、直接、印刷物加工装置10に供給される。具体的には、シート供給部11から第一シート2Aは上側に供給され、第二シート3Aは下側に供給される。貼着工程まで、第一シート2Aは第二シート3Aよりも上側を走行し、第二シート3Aは第一シート2Aよりも下側を走行する。
【0021】
[粘着剤塗布工程]
粘着剤塗布工程では、第一シート2Aと第二シート3Aを粘着させる粘着層を形成するために実施する。粘着剤供給部12で第二シート3Aのおもて面に粘着剤が塗布され、粘着層が形成される。粘着剤供給部12には粘着剤塗布ローラ12Aが設けられており、この粘着剤塗布ローラ12Aには、樹脂パット(図示しない)が設けられている。この樹脂パットに粘着剤を転写させ、第二シート3Aが樹脂パットに接触することで、第二シート3Aのおもて面の所定の領域に粘着剤が塗布され、粘着剤が乾燥することで粘着層が形成される。なお、樹脂パットの代わりに、スポンジパットも使用することができ、この場合スポンジパットに粘着剤をしみ込ませて使用する。
【0022】
[乾燥工程]
粘着剤を塗布した後、第二シート3Aは乾燥部13を通過し、貼着部14に移動する。この乾燥部13には、複数の赤外線照射装置13Aが設けられている。この赤外線照射装置13Aから粘着剤に向けて赤外線を照射することによって、粘着剤を乾燥させる。赤外線照射装置13Aは、第二シート3Aの進行方向に向けて、所定の間隔を空けて複数設けられている。
【0023】
[貼合せ工程]
貼合せ工程では、第一シート2Aと第二シート3Aを貼り合わせる。乾燥工程後、第一印刷装置2から直接移送された第一シート2A及び第二印刷装置3から直接移送された第二シート3Aは、貼着部14において、第一シート2Aのうら面と第二シート3Aのおもて面を重ね合わせ、ニップローラ14Aに送り込まれる。ニップローラ14Aに送り込まれた第一シート2Aと第二シート3Aは、上方向及び下方向から押圧され、一体となり、印刷物本体が形成される。
【0024】
[裁断工程]
貼合せ工程後、裁断工程を行う。この裁断工程では、印刷物本体が裁断部15において、所定のサイズに裁断される。裁断部15では、切断ローラ15Aに印刷物本体を通過させることで、所望のサイズの印刷物が製造される。裁断工程では、印刷物本体の自由端もロータリーカッタ(図示しない)により裁断される。
【0025】
次に、本実施形態に係る印刷物の製造方法の作用効果について、説明する。
【0026】
本実施形態に係る印刷物の製造方法で、第一印刷装置2によって第一シート2Aに、第二印刷装置3によって第二シート3Aに、それぞれ同時に印刷を施し、その後、第一印刷装置2及び第二印刷装置3から、直接、第一シート2A及び第二シート3Aが供給され、貼合せ工程、裁断工程が一連のラインで実施される。そのため、従来の製造方法よりも短時間で目的の印刷物を製造することができる。さらに、印刷物を製造する際に、既に印刷されたロール紙を準備する必要がないため、作業の手間を省くこともできる。
【0027】
本実施形態に係る印刷物の製造方法は、折り畳まずに2つのシートを貼り合わせることができるため、印刷物の幅方向のサイズが制限されず、所望のサイズの印刷物を製造できる。
【0028】
本実施形態に係る印刷物の製造方法で使用する印刷物加工装置10は、第一印刷装置2と第二印刷装置3との間に配置され、第一印刷装置2と第二印刷装置3から、第一シート2A及び第二シート3Aを安定的に印刷物加工装置10に供給することができる。さらに、印刷物加工装置10を上記のような配置とすることで、スペースを効率よく利用できる。
【0029】
[第二実施形態]
本実施形態では、シール付印刷物を製造する印刷物の製造方法について説明する。
本実施形態の印刷物の製造方法では、第一実施形態で説明した印刷物加工装置10に代えて、
図3に示す、印刷物加工装置20を使用する。印刷物加工装置20の構成以外は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
印刷物加工装置20は、シート供給部11、粘着剤供給部12、複数の赤外線照射装置13Aを備える乾燥部13、ニップローラ14Aを備える貼着部14、型抜きローラ16Aを備えるシール型抜き部16、折り畳み部17、切断ローラ15Aを備える裁断部15を備えている。
【0031】
本実施形態に係る印刷物の製造方法は、印刷工程と、印刷工程後、印刷が施された第一シート2Aと第二シート3Aを印刷物加工装置20に供給するシート供給工程と、第一シート2A又は第二シート3Aに接着剤(粘着剤)を塗布する接着剤塗布工程と、粘着剤を乾燥させる乾燥工程と、第一シート2Aと第二シート3Aを貼り合わせる貼合せ工程と、乾燥工程後、シール部形成工程と、折り畳み工程と、折り畳み工程後、所定の形状に裁断する裁断工程を含んでいる。
【0032】
[シール部形成工程]
印刷物本体は、型抜きローラ16Aが設けられたシール型抜き部16において、所望の形状のシール部が形成される。型抜きローラ16Aには、所望形状の型抜き金型(図示しない)が設けられている。印刷物本体を型抜きローラ16Aを通過させ、第二シート3Aのうら面に所定形状の切込みを入れることで、シール部が形成される。型抜き金型の高さを調整することで、印刷物本体に形成されるシール部の深さを決定できる。
【0033】
[折り畳み工程]
シール部形成工程後、印刷物本体は、折り畳み部17において、所望のサイズに折り畳まれる。具体的には、印刷物本体の進行方向と直交する幅方向の中心を折り畳み箇所とし、二つ折りにする。この際、シール部が形成されている第二シート3Aが内側となるように折り畳まれる。そのため、折り畳まれた印刷物本体は、外側が第一シート2Aで構成され、内側が第二シート3Aで構成される。折り畳み工程後、裁断工程により、所望のサイズに切断され、印刷物が製造される。
【0034】
本実施形態に係る印刷物の製造方法では、印刷物加工装置20に、型抜きローラ16Aを備える型抜き部16や折り畳み部17をセットすることで、シール付き印刷物のような複雑な印刷物を短時間で製造することができ、かつ作業効率を高めることができる。
【0035】
本実施形態で説明した印刷物加工装置10,20に、折り加工機構(折り畳み部)、型抜き加工機構(型抜き部)、ミシン目加工機構(ミシン目加工部)、綴じ加工機構(綴じ加工部)等を適宜備えることで、多種多様な印刷物を製造できる。
例えば、インデックス加工の印刷物4(
図4(a))、ピラミッド折り加工の印刷物4(
図4(b))、ミシン目加工の印刷物4(
図4(c))、飛び出し加工の印刷物4(
図4(d))を製造することができる。図示していないものでも、ジャバラ折り加工の印刷物、巻き三つ折り加工の印刷物、観音折り加工の印刷物、型抜き加工の印刷物、エコ綴じ加工の印刷物も製造することができる。
【0036】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、第一シート2Aと第二シート3Aの厚みを適宜変えたり、印刷物加工装置10,20に対する第一シート2Aと第二シート3Aの移送する速度を適宜調整することで、目的の印刷物を製造することができる。また、印刷物加工装置10,20は、実施形態に示した機構以外の機構を適宜セットすることができる。また、本実施形態では、2つの印刷装置を使用した例について説明したが、3つ以上の印刷装置を用いて、印刷物を製造することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 印刷物製造装置
2 第一印刷装置
2A 第一シート
3 第二印刷装置
3A 第二シート
4 印刷物
10,20 印刷物加工装置
11 シート供給部
12 粘着剤供給部
12A 粘着剤塗布ローラ
13 乾燥部
13A 赤外線照射装置
14 貼着部
14A ニップローラ
15 裁断部
15A 切断ローラ
16 シール型抜き部
16A 型抜きローラ
17 折り畳み部