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特開2024-145311カッター装置、印刷装置及びカッター装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145311
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】カッター装置、印刷装置及びカッター装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20241004BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20241004BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20241004BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B26D1/08
B41J11/70
B26D3/08 Z
B26D5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057600
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】井上 信宏
【テーマコード(参考)】
2C058
3C027
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA24
2C058LA26
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB36
2C058LC19
3C027JJ01
3C027JJ03
3C027JJ12
(57)【要約】
【課題】カッターの性能を維持しつつ寿命を延ばすことが可能なカッター装置を提供すること。
【解決手段】第1刃および第2刃を有するカッターと、前記第1刃を移動させる駆動源と、前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を記憶するメモリーと、カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させるコントローラーと、を備え、前記コントローラーは、前記カッターによる紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源の駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、フルカットを指定する第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、パーシャルカットを指定する第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、カッター装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、
前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を記憶するメモリーと、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、カッター装置。
【請求項2】
前記第1刃には、前記紙をカットする部分である刃先と、前記紙に前記切り残しを形成する部分である切り欠きが形成されており、
前記駆動源は、前記フルカットが実行される場合には前記第1刃を第1移動量で移動させ、前記パーシャルカットが実行される場合には前記第1刃を第2移動量で移動させ、
前記第1移動量は、前記第2移動量よりも大きい、請求項1に記載のカッター装置。
【請求項3】
前記カッターによりカットされた前記紙が排出される排出口が形成されており、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の排出方向に関する排出設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記排出設定値は、
重力方向と反対の方向である第1方向を示す第1排出設定値、および、前記第1方向と交差する方向である第2方向を示す第2排出設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1排出設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2排出設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、請求項1または2に記載のカッター装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の幅に関する紙幅設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記紙幅設定値は、
第1幅を示す第1紙幅設定値、および、前記第1幅よりも小さい第2幅を示す第2紙幅設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1紙幅設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2紙幅設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、請求項1または2に記載のカッター装置。
【請求項5】
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前回のカットと今回のカットの時間間隔であるカット間隔に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
所定時間以下の前記カット間隔に対応する前記カッター消耗値は、
前記所定時間を超える前記カット間隔に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、請求項1または2に記載のカッター装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のカッター装置と、
前記紙に印刷するヘッドと、を備える印刷装置であって、
前記メモリーは、国ごとの言語に関する言語設定値を記憶しており、
前記コントローラーは、前記メモリーに記憶された前記言語設定値によって指定される言語で前記ヘッドに印刷させ、
前記言語設定値は、
第1国の言語である第1言語を指定する第1言語設定値、および、前記第1国とは異なる第2国の言語である第2言語を指定する第2言語設定値の少なくとも1つを含み、
前記コントローラーは、
前記メモリーに前記第1言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が第1紙種であると判定し、
前記メモリーに前記第2言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が前記第1紙種とは異なる第2紙種であると判定し、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の種類に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記第1紙種に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2紙種に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、印刷装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、印刷濃度に関する印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記印刷濃度設定値は、
第1濃度での印刷を示す第1印刷濃度設定値、および、前記第1濃度よりも薄い第2濃度での印刷を示す第2印刷濃度設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1印刷濃度設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2印刷濃度設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、を備えるカッター装置の制御方法であって、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させ、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である、カッター装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッター装置、印刷装置及びカッター装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録紙の種類に応じてカッターモーターの最適な駆動電圧値を決定し、記録紙の種類毎に切断した累積切断枚数が限界切断枚数を上回った場合に、カッターモーターの駆動電圧値を調整するカッター装置が開示されている。特許文献1に記載のカッター装置によれば、複数種類の記録紙に対応するとともに、標準的な使用条件下において省電力及び静音化を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-111830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カッターが劣化してもその性能を維持しつつ寿命を延ばす観点において、特許文献1に記載のカッター装置は改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカッター装置の一態様は、
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、
前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を記憶するメモリーと、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【0006】
本発明に係る印刷装置の一態様は、
前記カッター装置の一態様と、
前記紙に印刷するヘッドと、を備える印刷装置であって、
前記メモリーは、国ごとの言語に関する言語設定値を記憶しており、
前記コントローラーは、前記メモリーに記憶された前記言語設定値によって指定される言語で前記ヘッドに印刷させ、
前記言語設定値は、
第1国の言語である第1言語を指定する第1言語設定値、および、前記第1国とは異なる第2国の言語である第2言語を指定する第2言語設定値の少なくとも1つを含み、
前記コントローラーは、
前記メモリーに前記第1言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が第1紙種であると判定し、
前記メモリーに前記第2言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が前記第1紙種とは異なる第2紙種であると判定し、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の種類に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記第1紙種に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2紙種に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【0007】
本発明に係るカッター装置の制御方法の一態様は、
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、を備えるカッター装置の制御方法であって、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させ、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷装置の斜視図である。
図2】印刷装置の内部構造の一例を模式的に示す図である。
図3】印刷装置の内部構造の一例を模式的に示す図である。
図4】搬送部及び切断部の構造を模式的に示す図である。
図5】切断部の構造を模式的に示す図である。
図6】フルカットの場合の可動刃の切断位置を示す図である。
図7】パーシャルカットの場合の可動刃の切断位置を示す図である。
図8】印刷装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】係数テーブルの一例を示す図である。
図10】駆動電流テーブルの一例を示す図である。
図11】累積消耗値と駆動電流値との関係を示す図である。
図12】カッター装置の制御方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中における方向を、X軸、Y軸及びZ軸が互いに直交する三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称し、Y軸の正方向を前方向又は単に前と称し負方向を後方向又は単に後と称して説明する。
【0011】
図1図5を参照して印刷装置1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。図2及び図3は、印刷装置1の内部構造の一例を模式的に示す図である。図4は、搬送部30及び切断部40の構造を模式的に示す図である。図5は、切断部40の構造を模式的に示す図である。
【0012】
印刷装置1は、例えば、サーマルプリンターである。図1に示すように、印刷装置1は、ボタン等の凹凸部を除き、全体として直方体形状をしたケース54を有する。
【0013】
図1及び図2に示すように、カバー51は、ケース54の一つの面を構成し、ヒンジ52を回転軸としてケース54の前方で開閉可能に接続される。例えば、カバー51は、ケース54の前面を構成する。
【0014】
開閉レバー15は、カバー51を開閉するときに使用されるレバーである。カバー51は、収容部50と対向しており、使用者は、開閉レバー15を操作してカバー51を開け、ケース54に備えられた収容部50に記録媒体Mが巻かれたロール紙Rを収容する。
【0015】
電源スイッチ11は、印刷装置1の電源をオン又はオフするためのスイッチである。印刷装置1は、不図示の電源ケーブルを介して商用交流電源に接続され、電力が供給される。印刷装置1は、電源がオンの状態で、記録媒体Mへの印刷や、印刷装置1に接続される外部機器との通信を行う。
【0016】
ケース54の右側面、又は左側面には、電源ケーブルやUSBケーブル等の各種ケーブルを引き出すためのケーブル切欠部16が形成されている。
【0017】
表示部13は、例えば、複数のLEDを含む。表示部13は、後述するコントローラー10と電気的に接続され、コントローラー10によって制御される。表示部13は、例えば、印刷装置1の状態に関する情報をLEDの点滅、点灯又は消灯によって表示する。なお、表示部13は、液晶表示装置であってもよい。
【0018】
また、表示部13は、例えば、通信状態に関する情報、ロール紙Rの補充を促す情報等を表示してもよい。なお、表示部13は、印刷装置1の状態を使用者に知らせる役割を有するため、表示部13は、使用者が視認しやすい位置に設けられることが好ましい。
【0019】
印刷された記録媒体Mを排出する排出口55は、表示部13と同様に、使用者が視認しやすい位置に設けられることが好ましい。さらには、排出口55は、使用者が表示部13と同時に視認できるように、表示部13の近くに設けられることがより好ましい。具体的には、排出口55及び表示部13は、並んで設けられることが好ましい。
【0020】
図2に示すように、カバー51には、搬送部30に含まれる搬送ローラー35、切断部40に含まれる可動刃42、ロール紙Rを規制可能なガイド53などが搭載されている。図2及び図4に示すように、搬送ローラー35には、搬送ローラー軸36、搬送ローラーギア37が取り付けられている。
【0021】
図2及び図5に示すように、カバー51には、可動刃42の他、可動刃42を移動させる駆動源に含まれる、可動刃モーター43、可動刃モーター軸43a、可動刃モーターギア44、伝達歯車45、ウォーム46、ウォームホイール47、歯車48、歯車48上に設けられたピン49などが搭載されている。
【0022】
図2に示すように、カバー51には、切断部40の可動刃モーター43の少なくとも一部を覆うモーターカバー56を備えている。使用者が、カバー51を開けてケース54の収容部50へロール紙Rを収容する際、モーターカバー56により、使用者が、可動刃モーター43に触れないように構成されている。
【0023】
図2に示すように、ケース54には、切断部40に含まれる固定刃41、ヘッド21を含む印刷部20、搬送部30に含まれる搬送モーター31、収容部50などが搭載されている。図2及び図4に示すように、搬送部30は、搬送モーター31、輪列38、搬送ローラー35を含んで構成されている。搬送モーター31には、搬送モーター軸32、搬送モーターギア33が取り付けられている。また、印刷部20は、ヘッド21、ヘッド基板22、FFC23を含んで構成されている。FFCは、Flexible Flat Cableの略である。
【0024】
また、ケース54には、メイン基板60、及び、サブ基板61が設けられている。メイン基板60は、印刷部20を制御する後述のコントローラー10を搭載している。印刷部20のFFC23は、メイン基板60に接続されている。サブ基板61は、比較的大きなコネクターを有する通信回路及び電源回路を搭載している。これらのコネクターは、ケース54から外部へ露出している。メイン基板60及びサブ基板61は、互いに内部用コネクターで接続されている。
【0025】
図2に示すように、カバー51が閉じた状態では、カバー51に設けられている搬送ローラー35が、ケース54に設けられている印刷部20のヘッド21に対向する位置となる。その結果、記録媒体Mはヘッド21及び搬送ローラー35に挟まれるようになる。このように、カバー51が閉じると、印刷部20のヘッド21は、搬送ローラー35に対向する位置となり、記録媒体Mに接触して印刷を行うことが可能となる。
【0026】
また、図4に示すように、カバー51が閉じると、輪列38と搬送ローラー35の搬送ローラーギア37とが噛み合うようになり、搬送モーター31から搬送ローラー35へトルクを伝達できるようになる。その結果、搬送ローラー35が記録媒体Mを搬送可能となる。このように、使用者が、カバー51を開いて収容部50にロール紙Rを収容し、カバー51を閉じると、印刷装置1は記録媒体Mを印刷可能な状態となる。
【0027】
図2に示すように、カバー51が閉じた状態のとき、カバー51に設けられている可動刃42は、ケース54に設けられている固定刃41に対向する位置となり、互いに擦り合わせ可能となる。図2に示すように、可動刃42が固定刃41から離反している位置を、待機位置Aとする。また、カバー51が閉じたとき、カバー51及びケース54の境界に記録媒体Mを排出する排出口55が形成される。具体的には、カバー51が閉じた状態のとき、ヒンジ52の反対側のカバー51の端、及び当該カバー51の端と対向する位置のケース54の境界には、矩形形状の排出口55が形成される。
【0028】
なお、図2では、カバー51が印刷装置1の前面に位置するような姿勢で印刷装置1を設置した例を示しているが、カバー51が上面に位置する姿勢で印刷装置1を設置することも可能である。これらの印刷装置1の姿勢によれば、カバー51が形成する排出口55が、印刷装置1の前面又は上面に位置するので、印刷されて排出口55から排出される記録媒体Mを、使用者が取り易い。
【0029】
カバー51を閉じると、さらに、記録媒体経路Pが形成される。記録媒体経路Pは、記録媒体Mの搬送方向の上流から下流へ向かって、収容部50、ヘッド21及び搬送ローラー35、排出口55により記録媒体Mを規制するように形成される。記録媒体Mは、搬送部30により、ロール紙Rから引き出され、記録媒体経路Pに沿って搬送される。
【0030】
印刷部20は、ヘッド21を搬送ローラー35に向かって押圧する押圧機構をさらに備えていてもよい。記録媒体Mは、ヘッド21及び搬送ローラー35の間において、押圧機構により所定の押圧力で挟まれる。搬送モーター31により搬送ローラー35が時計回りに回転すると、ヘッド21及び搬送ローラー35により所定の押圧力で挟まれた記録媒体Mが、搬送される。
【0031】
ヘッド21は、例えば、複数の発熱素子がライン状に並んでいるラインサーマルヘッドである。記録媒体Mは感熱紙である。記録媒体Mは、ヘッド21に接触し、発熱素子の発熱により発色して、印刷データに応じた印刷が行われる。
【0032】
切断部40において、可動刃モーター43を含む上述の駆動源により、可動刃42は、図2に示す待機位置Aから、図3に示す切断位置Bへ向かって移動する。すなわち、可動刃42は固定刃41へ向かって移動していき、記録媒体Mを切断することができる。可動刃モーター43は、DCモーターでもステップモーターでもよく、他の方式のものでもよい。
【0033】
図3及び図4に示すように、ケース54において、搬送モーター31の搬送モーターギア33が取り付けられている側には、輪列38が設けられている。輪列38は、搬送モーターギア33と噛み合っており、搬送モーター31のトルクを搬送ローラー35へ伝達可能である。輪列38は、複数のギアが組み合わされており、搬送モーター31の回転速度を減速しながら、搬送ローラー35へトルクを伝達する。
【0034】
図3及び図4に示すように、搬送ローラー35の搬送ローラーギア37も、カバー51の左に配置されている。カバー51が閉じると、ケース54に搭載された輪列38は、カバー51に搭載された搬送ローラーギア37と噛み合い、搬送ローラー35を時計回りへ回転させることができる。
【0035】
図5を用いて、切断部40の動作について説明する。なお、図5では、固定刃41は省略されている。図5に示すように、可動刃42は、待機位置Aでは記録媒体経路Pの下へ後退している。
【0036】
可動刃42により記録媒体Mを切断するとき、後述のコントローラー10の制御の下、可動刃モーター43が起動する。そして、可動刃モーター43の起動に伴い、可動刃モーター軸43aが回転すると、可動刃モーター軸43aに取り付けた可動刃モーターギア44も回転する。可動刃モーターギア44は、ウォーム46と同軸の伝達歯車45が噛み合っている。可動刃モーターギア44が回転すると、伝達歯車45を介してウォーム46も回転する。すると、ウォーム46に噛み合っているウォームホイール47が、ウォームホイール軸47aを中心に反時計回りへ回転する。ウォーム46は、ウォームホイール47と共に、いわゆるウォームギアを構成している。
【0037】
ピン49は、歯車48から前へ突出するように歯車48に取り付けられている。一方、可動刃42には、左右に長い楕円形状の長孔42aが開けられている。歯車48のピン49は、可動刃42の長孔42aと摺動可能に嵌合している。
【0038】
ウォームホイール47が反時計回りへ回転すると、ウォームホイール47に噛み合っている歯車48が、歯車軸48aを中心に時計回りへ回転する。歯車48の時計回りの回転に伴い、ピン49も時計回りへ回転し、長孔42aの上縁に擦りながら移動して、可動刃42を上へ押していく。この可動刃42の待機位置Aからの移動に伴い、可動刃42は記録媒体経路Pの上へ進出していき、記録媒体経路Pにある記録媒体Mを切断していくことができる。
【0039】
可動刃42は、V字形状の金属で構成されており、V字形状の先端が刃先となっている。また、刃先の中央部には、切り欠き42bが形成されている。可動刃42は、固定刃41へ向かってV字形状の刃先を移動していく、いわゆる突っ切り方式のものである。可動刃42は、V字形状の刃先により、移動しながら記録媒体Mを両端から切断していくことができる。このとき、図6に示すように、可動刃42が、待機位置Aから、切り欠き42bのすべてが記録媒体経路Pの上になる切断位置B1へ第1移動量L1で移動すると、記録媒体Mの全幅が切断される。可動刃42により、記録媒体Mの全幅を切断することを、いわゆるフルカットという。
【0040】
また、図7に示すように、可動刃42が、待機位置Aから、切り欠き42bの一部のみが記録媒体経路Pの上になる切断位置B2へ第2移動量L2で移動すると、記録媒体Mの中央部分が切り残される。可動刃42により、記録媒体Mの中央部分を切り残すことを、いわゆるパーシャルカットという。
【0041】
可動刃42が切断位置B1又はB2に至ると、記録媒体Mの切断が終了する。記録媒体Mの切断が終了すると、コントローラー10は可動刃42を待機位置Aに向かって戻すようにする。具体的には、可動刃モーター43の駆動によって可動刃モーター軸43aがさらに回転し、可動刃モーターギア44、伝達歯車45、ウォーム46を介して、ウォームホイール47が、さらに反時計回りへ回転する。
【0042】
歯車48の時計回りの回転に伴い、ピン49も時計回りへ回転し、今度は、ピン49が長孔42aの下縁に擦りながら、可動刃42を下へ押していく。可動刃42は記録媒体経路Pから下へ退避していき、待機位置Aへ移動していく。図5に示すように、可動刃42が待機位置Aに至ると、検出器70により検出される。検出器70により、可動刃42が待機位置Aに至ったことが検出されると、コントローラー10により、可動刃モーター43の駆動が停止させられる。
【0043】
記録媒体Mに対してパーシャルカットをした場合は、コントローラー10の制御の下、可動刃モーター43が逆回転する。可動刃42は、パーシャルカットをした位置からそれ以上進まず、記録媒体Mの中央部分を残した状態で、待機位置Aへ戻ることができる。可動刃モーター43が逆回転すると、歯車48及びピン49が反時計回りに回転し、ピン49が長孔42aの下縁に擦りながら、可動刃42を下へ押していき、待機位置Aへ移動させることができる。
【0044】
なお、可動刃42の左右における中央の位置に、不図示のフレームに設けられたガイド溝と篏合するように、進退方向に沿ってガイドが設けられていてもよい。この場合、可動刃42のガイドがガイド溝に沿いながら移動するので、可動刃42が左右に振られない。その結果、可動刃42は、記録媒体経路Pに対して、真っ直ぐに進出し、精度良く記録媒体Mを切断することができる。
【0045】
図8を参照して、印刷装置1の機能構成について説明する。図8に示すように、印刷装置1は、コントローラー10、通信部12、表示部13、印刷部20、搬送部30、切断部40及びメモリー100を備える。また、印刷装置1は、カッター装置2を備える。例えば、コントローラー10、切断部40及びメモリー100が、カッター装置2に含まれる。
【0046】
コントローラー10は、印刷装置1内の各部に対して各種の制御を実行するCPUを備える。CPUは、Central Processing Unitの略である。CPUは、プロセッサーともいう。
【0047】
通信部12は、例えば、印刷装置1に接続される外部機器と有線通信又は無線通信を行うインターフェースである。例えば、コントローラー10は、通信部12を介して、印刷装置1に接続される外部機器から印刷を実行するための印刷データを受信する。また、例えば、コントローラー10は、通信部12を介して、外部機器に各種の情報を送信する。
【0048】
メモリー100は、例えばフラッシュROM等の書き換え可能な不揮発性メモリーを含み、当該不揮発性メモリーは、プログラムであるファームウェア、各部の制御に係る情報を含む所定の情報などを記憶可能である。ROMは、Read Only Memoryの略である。メモリー100は、コントローラー10がワークエリアとして使用する揮発性メモリーであるRAMも含む。RAMは、Random Access Memoryの略である。不揮発性メモリーには、各種情報として、例えば、係数テーブル101及び駆動電流テーブル102が記憶されている。また、不揮発性メモリーには、後述するカッター設定値103、排出設定値104、紙幅設定値105、言語設定値106、印刷濃度設定値107及び累積消耗値108の少なくとも一部が記憶されてもよい。あるいは、これらの各設定値及び累積消耗値108の少なくとも一部がRAMに記憶されてもよい。不揮発性メモリーに記憶されているファームウェアや各種情報は、印刷装置1の電源投入時に不揮発性メモリーからRAMに転送される。そして、コントローラー10は、RAMに記憶されるファームウェアを実行し、RAMに記憶される各種データを用いて各所の制御を実行する。
【0049】
印刷部20は、コントローラー10からの指示を受け、記録媒体Mへの印刷を実行する。印刷部20は、図2および図4に示したヘッド21を備えている。コントローラー10は、印刷データに基づいて、1ドットライン毎に、ヘッド21が有する複数の発熱体の各々に対して通電するか否かを制御するとともに、記録媒体Mの搬送速度に基づいて通電時間を制御する。そして、通電された各発熱体が発熱し、記録媒体Mの印刷面上に各ドットが形成される。
【0050】
搬送部30は、コントローラー10からの指示を受け、記録媒体Mを搬送する。搬送部30は、図4に示した、搬送モーター31、搬送ローラー35及び輪列38を備えている。
【0051】
切断部40は、コントローラー10からの指示を受け、記録媒体Mを切断する。切断部40は、カッター81及び駆動源82を備える。カッター81は、移動可能な第1刃である可動刃42、および、可動刃42と噛み合って記録媒体Mである紙をカットする第2刃である固定刃41を有する。駆動源82は、可動刃42を移動させるものであり、図5に示した、可動刃モーター43、可動刃モーター軸43a、可動刃モーターギア44、伝達歯車45、ウォーム46、ウォームホイール47、歯車48及びピン49を有する。
【0052】
コントローラー10は、印刷が開始すると、搬送部30に記録媒体Mの搬送を実行させる。
【0053】
また、コントローラー10は、駆動源82を制御し、メモリー100に記憶されているカッター設定値103によって指定される動作をカッター81に実行させる。カッター設定値103は、記録媒体Mを完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、記録媒体Mをカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含む。例えば、使用者が、カット方式を選択し、コントローラー10が、選択されたカット方式に応じて、カッター設定値103を設定してもよい。駆動源82は、フルカットが実行される場合には、図6に示したように、可動刃42を第1移動量L1で移動させ、パーシャルカットが実行される場合には、図7に示したように、可動刃42を第2移動量L2で移動させる。第1移動量L1は、第2移動量L2よりも大きい。
【0054】
そして、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、カッター設定値103に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させる。カッター設定値103に対応するカッター消耗値は、カッター81がカッター設定値103で指定された動作を行った場合において、カッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、カッター設定値103に対応するカッター消耗値が大きくなる。フルカットの場合は、パーシャルカットの場合と比較して、可動刃42の移動量が大きいので駆動源82の負荷が重く、また、小紙片や紙粉の発生量も多い。発生した小紙片や紙粉は、カッター81に入り込みやすい。例えば、発生した小紙片や紙粉は、固定刃41と可動刃42との間に入り込みやすく、可動刃42が摩耗しやすい。また、例えば、前述の通り、ガイド溝と篏合するように可動刃42にガイドが設けられている場合は、小紙片や紙粉が可動刃42のガイドとガイド溝との間に入り込みやすい。ガイドとガイド溝との間に入り込んだ小紙片や紙粉は潤滑油を吸着し、可動刃42が移動するときにガイドとガイド溝との間の摩擦が大きくなり、ガイドやガイド溝の摩耗が促進される。ガイドやガイド溝が摩耗すると、可動刃42が左右のどちらかに傾きながら移動するため、駆動源82の負荷が重くなるとともに可動刃42の刃先が摩耗しやすくなる。このように、フルカットの方がパーシャルカットよりも、カッター81に小紙片や紙粉が入り込みやすく、カッター81や駆動源82の消耗度が大きい。そのため、第1カッター設定値に対応するカッター消耗値は、第2カッター設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0055】
また、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、記録媒体Mの排出方向に関する排出設定値104に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させてもよい。排出設定値104は、重力方向と反対の方向である第1方向を示す第1排出設定値、および、第1方向と交差する方向である第2方向を示す第2排出設定値の少なくとも1つを含む。前述の通り、印刷装置1は、排出口55が、印刷装置1の前面又は上面に位置するような姿勢で設置可能である。排出口55が上面に位置する場合、記録媒体Mの排出方向は上方向であり、重力方向とは反対の第1方向となるので、排出設定値104は第1排出設定値となる。また、排出口55が前面に位置する場合、記録媒体Mの排出方向は前方向であり、第1方向と交差する第2方向となるので、排出設定値104は第2排出設定値となる。例えば、印刷装置1に、記録媒体Mの排出方向が上方向となるときと前方向となるときの一方でオンとなり、他方でオフとなる機械スイッチが設けられ、コントローラー10が、当該機械スイッチがオンとオフのいずれであるかを判定して、排出設定値104を設定してもよい。あるいは、使用者が、設置した印刷装置1の姿勢を選択し、コントローラー10が、選択された姿勢に応じて、排出設定値104を設定してもよい。
【0056】
そして、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、排出設定値104に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させる。排出設定値104に対応するカッター消耗値は、カッター81が記録媒体Mのカットを行った場合に、記録媒体Mの排出方向に応じたカッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、排出設定値104に対応するカッター消耗値が大きくなる。記録媒体Mの排出方向が上方向の場合、記録媒体Mの排出方向が前方向の場合と比較して、発生した小紙片や紙粉が落下してカッター81に入り込みやすい。そのため、駆動源82の負荷が重くなるとともに可動刃42の刃先が摩耗しやすくなる。したがって、記録媒体Mの排出方向が上方向の方が前方向よりもカッター81や駆動源82の消耗度が大きいので、第1排出設定値に対応するカッター消耗値は、第2排出設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0057】
また、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、記録媒体Mの幅に関する紙幅設定値105に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させてもよい。紙幅設定値105は、第1幅を示す第1紙幅設定値、および、第1幅よりも小さい第2幅を示す第2紙幅設定値の少なくとも1つを含む。記録媒体Mの幅はロール紙Rの幅に相当するので、例えば、印刷装置1に、ロール紙Rの幅が第1幅のときと第2幅のときの一方でオンとなり、他方でオフとなる機械スイッチが設けられ、コントローラー10が、当該機械スイッチがオンとオフのいずれであるかを判定して、紙幅設定値105を設定してもよい。あるいは、使用者が、ロール紙Rの幅を選択し、コントローラー10が、選択された幅に応じて、紙幅設定値105を設定してもよい。
【0058】
そして、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、紙幅設定値105に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させる。紙幅設定値105に対応するカッター消耗値は、カッター81が記録媒体Mのカットを行った場合に、記録媒体Mの幅に応じたカッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、紙幅設定値105に対応するカッター消耗値が大きくなる。記録媒体Mの幅が大きいほど、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに可動刃42の刃先が摩耗しやすくなる。したがって、記録媒体Mの幅が大きいほどカッター81や駆動源82の消耗度が大きいので、第1紙幅設定値に対応するカッター消耗値は、第2紙幅設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0059】
コントローラー10は、印刷部20を制御し、メモリー100に記憶されている言語設定値106によって指定される言語でヘッド21に印刷させる。言語設定値106は、国ごとの言語に関する設定値であり、第1国の言語である第1言語を指定する第1言語設定値、および、第1国とは異なる第2国の言語である第2言語を指定する第2言語設定値の少なくとも1つを含む。例えば、印刷装置1の製造者や販売者が、印刷装置1の市場に応じて言語を選択し、メモリー100に言語設定値106を設定してもよい。あるいは、使用者が言語を選択し、コントローラー10が、選択された言語に応じて、言語設定値106を設定してもよい。
【0060】
また、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、記録媒体Mの種類に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させる。記録媒体Mの種類に対応するカッター消耗値は、カッター81が記録媒体Mのカットを行った場合に、記録媒体Mの種類に応じたカッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、記録媒体Mの種類に対応するカッター消耗値が大きくなる。記録媒体Mの厚さが大きいほど、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに可動刃42の刃先が摩耗しやすく、また、小紙片や紙粉の発生量も多い。また、記録媒体Mの成分によっても、可動刃42の切断負荷、可動刃42の刃先の摩耗度合、小紙片や紙粉の発生量が変わる。記録媒体Mの種類は、印刷装置1が使用される国ごとに異なる。逆に言えば、印刷装置1が使用される国によって、使用される記録媒体Mの種類を推定可能である。
【0061】
そのため、コントローラー10は、メモリー100に言語設定値106として第1言語設定値が記憶されている場合、記録媒体Mの種類が第1紙種であると判定し、メモリー100に言語設定値106として第2言語設定値が記憶されている場合、記録媒体Mの種類が第1紙種とは異なる第2紙種であると判定する。例えば、第1紙種に対応するカッター消耗値は、第2紙種に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0062】
また、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、印刷濃度に関する印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させてもよい。印刷濃度設定値107は、第1濃度での印刷を示す第1印刷濃度設定値、および、第1濃度よりも薄い第2濃度での印刷を示す第2印刷濃度設定値の少なくとも1つを含む。例えば、使用者が、印刷濃度を選択し、コントローラー10が、選択された印刷濃度に応じて、印刷濃度設定値107を設定してもよい。
【0063】
そして、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させる。印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値は、カッター81が記録媒体Mのカットを行った場合に、印刷濃度に応じたカッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値が大きくなる。印刷濃度が濃いほど、記録媒体Mの品質が低いことが推定される。記録媒体Mの品質が低い場合、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに可動刃42の刃先が摩耗しやすく、また、小紙片や紙粉の発生量も多い。したがって、印刷濃度が濃いほどカッター81や駆動源82の消耗度が大きいので、第1印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値は、第2印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0064】
また、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、前回のカットと今回のカットの時間間隔であるカット間隔に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新し、更新した累積消耗値108をメモリー100に記憶させてもよい。例えば、コントローラー10は、内蔵のタイマーによってカット間隔を計測してもよい。カット間隔に対応するカッター消耗値は、カッター81が記録媒体Mのカットを行った場合に、カット間隔に応じたカッター81及び駆動源82の消耗度を示す数値である。カッター81及び駆動源82の消耗度が大きいほど、カット間隔に対応するカッター消耗値が大きくなる。カット間隔が極端に短い場合は、駆動源82がカッター81を連続駆動するため負荷が極端に大きくなり、駆動源82の寿命が短くなる。したがって、カット間隔が極端に短いとカッター81や駆動源82の消耗度が大きいので、所定時間以下の前記カット間隔に対応する前記カッター消耗値は、所定時間を超えるカット間隔に対応するカッター消耗値よりも大きい値である。
【0065】
係数テーブル101は、カッター設定値103、排出設定値104、紙幅設定値105、記録媒体Mの種類、印刷濃度設定値107及びカット間隔の各々とカッター消耗値との関係を示すテーブルである。
【0066】
図9は、係数テーブル101の一例を示す図である。図9の例では、カッター設定値103に対応するカッター消耗値として、カット方式がフルカットの場合のカッター消耗値は1.10であり、カット方式がパーシャルカットの場合のカッター消耗値は1.00である。すなわち、図9の例では、第1カッター設定値に対応するカッター消耗値は1.10であり、第2カッター設定値に対応するカッター消耗値は1.00である。
【0067】
また、排出設定値104に対応するカッター消耗値として、排出方向が上方向の場合のカッター消耗値は1.10であり、排出方向が前方向の場合のカッター消耗値は1.00である。すなわち、図9の例では、第1排出設定値に対応するカッター消耗値は1.10であり、第2排出設定値に対応するカッター消耗値は1.00である。
【0068】
また、紙幅設定値105に対応するカッター消耗値として、紙幅が80mmの場合のカッター消耗値は1.00であり、紙幅が58mmの場合のカッター消耗値は0.95である。すなわち、図9の例では、第1紙幅設定値に対応するカッター消耗値は1.00であり、第2紙幅設定値に対応するカッター消耗値は0.95である。
【0069】
また、記録媒体Mの種類、すなわち紙種に対応するカッター消耗値として、言語設定値106で指定される言語が日本語であり、かつ、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.00である。また、言語が中国語であり、かつ、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.20である。また、言語がアジアの言語であり、かつ、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.15である。また、言語が欧米の言語であり、かつ、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.00である。図9の例では、一例として、中国語が第1言語に相当し、日本語が第2言語に相当する。この場合、第1紙種に対応するカッター消耗値は1.20であり、第2紙種に対応するカッター消耗値は1.00である。
【0070】
また、印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値として、言語設定値106で指定される言語が日本語の場合、印刷濃度が標準濃度よりも濃い濃度の場合のカッター消耗値は1.10であり、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.00であり、印刷濃度が標準濃度よりも薄い濃度の場合のカッター消耗値は0.95である。また、言語設定値106で指定される言語が中国語の場合、印刷濃度が標準濃度よりも濃い濃度の場合のカッター消耗値は1.25であり、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.20であり、印刷濃度が標準濃度よりも薄い濃度の場合のカッター消耗値は1.15である。また、言語設定値106で指定される言語がアジアの言語の場合、印刷濃度が標準濃度よりも濃い濃度の場合のカッター消耗値は1.20であり、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.15であり、印刷濃度が標準濃度よりも薄い濃度の場合のカッター消耗値は1.10である。また、言語設定値106で指定される言語が欧米の言語の場合、印刷濃度が標準濃度よりも濃い濃度の場合のカッター消耗値は1.10であり、印刷濃度が標準濃度の場合のカッター消耗値は1.05であり、印刷濃度が標準濃度よりも薄い濃度の場合のカッター消耗値は1.00である。図9の例では、一例として、第1濃度は標準濃度よりも濃い濃度に相当し、第2濃度は標準濃度に相当する。この場合、言語設定値106で指定される言語が日本語であれば、第1印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値は1.10であり、第2印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値は1.00である。
【0071】
また、カット間隔に対応するカッター消耗値として、カット間隔が1秒以下の場合のカッター消耗値は1.05であり、カット間隔が1秒を超える場合のカッター消耗値は1.00である。図9の例では、所定時間は1秒に相当する。
【0072】
本実施形態では、コントローラー10は、カッター設定値103に対応するカッター消耗値と、排出設定値104に対応するカッター消耗値と、紙幅設定値105に対応するカッター消耗値と、紙種に対応するカッター消耗値と、印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値と、カット間隔に対応するカッター消耗値との積により、記録媒体Mのカットによるトータルの消耗値を算出する。そして、コントローラー10は、メモリー100に記憶されている累積消耗値108に、算出したトータルの消耗値を加算して累積消耗値108を更新する。
【0073】
図9の例において、例えば、カット方式がフルカットであり、排出方向が上方向であり、紙幅が80mmであり、言語が中国語であり、印刷濃度が標準濃度よりも濃い濃度であり、カット間隔が1秒以下である場合、記録媒体Mのカットによるトータルの消耗値は、1.10×1.10×1.00×1.25×1.05=1.69となる。この値がトータルの消耗値の最大値である。この場合、コントローラー10は、累積消耗値108にトータルの消耗値である1.69を加算して累積消耗値108を更新する。
【0074】
また、例えば、カット方式がパーシャルカットであり、排出方向が前方向であり、紙幅が58mmであり、言語が日本語であり、印刷濃度が標準濃度よりも薄い濃度であり、カット間隔が1秒を超える場合、記録媒体Mのカットによるトータルの消耗値は、1.00×1.00×0.95×0.95×1.00=0.90となる。この値がトータルの消耗値の最小値である。この場合、コントローラー10は、累積消耗値108にトータルの消耗値である0.90を加算して累積消耗値108を更新する。
【0075】
コントローラー10は、累積消耗値108が所定の閾値以上となる場合に駆動源82を駆動させる駆動電流を第1電流値から、第1電流値よりも大きい第2電流値に変更する。本実施形態では、コントローラー10は、駆動電流テーブル102を参照し、駆動源82を駆動させる駆動電流を、累積消耗値108に応じた電流値に設定する。駆動電流テーブル102は、累積消耗値108の範囲と駆動電流の値との関係を示すテーブルである。
【0076】
図10は、駆動電流テーブル102の一例を示す図である。図10の例では、累積消耗値108が0以上P1未満の範囲と駆動電流の値I0とが対応づけられている。また、累積消耗値108がP1以上P2未満の範囲と駆動電流の値I1とが対応づけられている。また、累積消耗値108がP2以上P3未満の範囲と駆動電流の値I2とが対応づけられている。また、累積消耗値108がP3以上P4未満の範囲と駆動電流の値I3とが対応づけられている。また、累積消耗値108がP3以上の範囲と駆動電流の値I4とが対応づけられている。
【0077】
図11は、累積消耗値108と、図10に示した駆動電流テーブル102に基づいて設定される駆動電流値との関係を示す図である。図11に示すように、まず、コントローラー10は、累積消耗値108が0のときに駆動電流の値をI0に設定する。次に、コントローラー10は、累積消耗値108が増加して閾値P1以上となる場合に、駆動電流の値をI0からI1に変更する。次に、コントローラー10は、累積消耗値108がさらに増加して閾値P2以上となる場合に、駆動電流の値をI1からI2に変更する。次に、コントローラー10は、累積消耗値108がさらに増加して閾値P3以上となる場合に、駆動電流の値をI2からI3に変更する。次に、コントローラー10は、累積消耗値108がさらに増加して閾値P4以上となる場合に、駆動電流の値をI3からI4に変更する。例えば、閾値P1が第1閾値に相当し、電流値I0が第1電流値に相当し、電流値I1が第2電流値に相当する。あるいは、閾値P2が第1閾値に相当し、電流値I1が第1電流値に相当し、電流値I2が第2電流値に相当する。あるいは、閾値P3が第1閾値に相当し、電流値I2が第1電流値に相当し、電流値I3が第2電流値に相当する。あるいは、閾値P4が第1閾値に相当し、電流値I3が第1電流値に相当し、電流値I4が第2電流値に相当する。
【0078】
図12は、コントローラー10によるカッター装置2の制御方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【0079】
図12に示すように、工程S10において、コントローラー10は、印刷の要求があるまで待機する。印刷の要求は、例えば、コントローラー10が印刷データの受信を終了したときであってもよい。工程S10において印刷の要求があった場合、工程S20において、コントローラー10は、印刷が終了するまで待機する。
【0080】
工程S20において印刷が終了すると、まず、工程S30において、コントローラー10は、メモリー100に記憶されている累積消耗値108に基づいてカッター81を駆動する駆動源82の駆動電流値を設定する。具体的には、コントローラー10は、メモリー100に記憶されている駆動電流テーブル102を参照し、駆動源82の駆動電流を、累積消耗値108に応じた電流値に設定する。例えば、コントローラー10は、累積消耗値108が所定の閾値以上となる場合に駆動電流を第1電流値から、第1電流値よりも大きい第2電流値に変更する。
【0081】
次に、工程S40において、コントローラー10は、メモリー100に記憶されているカッター設定値103で指定されている動作をカッター81に実行させる。本実施形態では、コントローラー10は、カッター設定値103に従い、カッター81に、工程S20で印刷された記録媒体Mに対するフルカット又はパーシャルカットを実行させる。
【0082】
次に、工程S50において、コントローラー10は、カッター81による記録媒体Mのカットに応じて、カッター設定値103に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。具体的には、メモリー100に記憶されている係数テーブル101に基づいて、カッター設定値103、排出設定値104、紙幅設定値105、記録媒体Mの種類、印刷濃度設定値107及びカット間隔のそれぞれに対応するカッター消耗値を選択し、選択したカッター消耗値の積を累積消耗値108に加算する。
【0083】
次に、工程S60において、コントローラー10は、工程S50で更新した累積消耗値108をメモリー100に書き込む。そして、コントローラー10は、工程S10~S60を繰り返し行う。
【0084】
以上に説明したように、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、フルカットの場合は、パーシャルカットの場合と比較して、記録媒体Mのカットに伴う紙片や紙粉の発生量が多い。また、フルカットの場合、可動刃42の移動量が大きいため、可動刃42の切り欠き42bが切り残しを破断させて紙片を形成しやすい。そして、発生した紙片や紙粉がカッター81に入り込みやすいため、カッター81の劣化が早まる。カッター81が劣化した場合にカッター81の性能を維持するためには、カッター81の駆動源82を駆動させる駆動電流を大きくする必要があるが、逆に、カッター81がほとんど劣化していない場合に駆動電流を大きくするとカッター81の寿命を早めるおそれがある。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、コントローラー10が、カッター設定値103に対応するカッター消耗値に基づいて、カッター81の消耗値を累積した累積消耗値108を更新し、累積消耗値108が所定の閾値以上となる場合に駆動源82を駆動させる駆動電流を第1電流値から、第1電流値よりも大きい第2電流値に変更する。そして、フルカットを指定する第1カッター設定値に対応するカッター消耗値は、パーシャルカットを指定する第2カッター設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、フルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が少なくなる。逆に、パーシャルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター装置2において、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0085】
また、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、記録媒体Mの排出方向が第1方向である上方向である場合は、記録媒体Mの排出方向が第2方向である場合と比較して、記録媒体Mのカットに伴って発生した紙片や紙粉が重力によって落下してカッター81に入り込みやすいため、カッター81の劣化が早まる。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、コントローラー10が、排出設定値104に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。そして、第1方向を示す第1排出設定値に対応するカッター消耗値は、第2方向を示す第2排出設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、記録媒体Mの排出方向が第1方向である場合は、駆動源82の駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が少なくなる。逆に、記録媒体Mの排出方向が第2方向である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター装置2において、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0086】
また、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、記録媒体Mの幅が大きいほど、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに、記録媒体Mのカットに伴う紙片や紙粉の発生量が多く、発生した紙片や紙粉がカッター81に入り込みやすいため、カッター81の劣化が早まる。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、コントローラー10が、紙幅設定値105に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。そして、第1幅を示す第1紙幅設定値に対応するカッター消耗値は、第1幅よりも小さい第2幅を示す第2紙幅設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、記録媒体Mの幅が第1幅である場合は、駆動源82の駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、記録媒体Mの幅が第2幅である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター装置2において、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0087】
また、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、カット間隔が極端に短い場合は、駆動源82がカッター81を連続駆動するため負荷が極端に大きくなり、カッター81の劣化が早まる。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、カッター装置2において、コントローラー10が、カット間隔に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。そして、所定時間以下のカット間隔に対応するカッター消耗値は、所定時間を超えるカット間隔に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、カット間隔が所定時間以下である場合は、駆動源82の駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が少なくなる。逆に、カット間隔が所定時間を超える場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター装置2において、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0088】
また、本実施形態の印刷装置1では、記録媒体Mの厚さが大きいほど、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに可動刃42が劣化しやすく、また、紙片や紙粉の発生量も多い。また、記録媒体Mの成分によっても、可動刃42の切断負荷、可動刃42の劣化度合、紙片や紙粉の発生量が変わる。そして、記録媒体Mの種類は、印刷装置1が使用される国ごとに異なる。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、メモリー100に第1言語を指定する第1言語設定値が記憶されている場合、記録媒体Mの種類が第1紙種であると判定し、メモリー100に第2言語を指定する第2言語設定値が記憶されている場合、記録媒体Mの種類が第2紙種であると判定し、記録媒体Mの種類に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。そして、第1紙種に対応するカッター消耗値は、第2紙種に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、記録媒体Mの種類が第1紙種である場合は、駆動源82の駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が少なくなる。逆に、記録媒体Mの種類が第2紙種である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0089】
また、本実施形態の印刷装置1では、印刷濃度が濃いほど、記録媒体Mの品質が低いことが推定され、記録媒体Mの品質が低い場合、可動刃42の切断負荷が重くなるとともに可動刃42が劣化しやすく、また、紙片や紙粉の発生量も多い。これに対して、本実施形態の印刷装置1では、コントローラー10が、印刷濃度設定値107に対応するカッター消耗値に基づいて、累積消耗値108を更新する。そして、第1濃度での印刷を示す第1印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値は、第1濃度よりも薄い第2濃度での印刷を示す第2印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、印刷濃度が第1濃度である場合は、駆動源82の駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が少なくなる。逆に、印刷濃度が第2濃度である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの記録媒体Mのカット回数が多くなる。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、カッター81の劣化度合に応じて、駆動源82の駆動電流を適切に調整することができるので、カッター81の性能を維持しつつ寿命を延ばすことができる。
【0090】
本発明は、本実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、本実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、本実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、本実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0091】
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0092】
例えば、上記の各実施形態では、本発明に係る印刷装置の一例としてサーマルプリンターを挙げて説明したが、本発明に係る印刷装置は、サーマルプリンターに限られず、例えばインクジェットプリンターであってもよい。
【0093】
また、例えば、印刷装置1は、累積消耗値108があらかじめ決められた所定の値を超えた場合、表示部13に、使用者に対して印刷装置1の修理や買い替えを促す情報を表示させてもよい。
【0094】
また、例えば、印刷装置1は、累積消耗値108以外にも、印刷装置1の動作条件、カット回数等もメモリー100に記憶させてもよい。この場合、製造者や販売者は、印刷装置1の修理の際に、メモリー100に記憶されている情報を収集し、分析することで、係数テーブル101の各カッター消耗値をより実態に近い値に改善していくことができる。その結果、印刷装置1が故障するタイミングを、継続してより正確に推測することができるような仕組みを構築することができる。
【0095】
上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0096】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0097】
カッター装置の一態様は、
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、
前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を記憶するメモリーと、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【0098】
このカッター装置では、フルカットの場合は、パーシャルカットの場合と比較して、紙のカットに伴う紙片や紙粉の発生量が多く、発生した紙片や紙粉がカッターに入り込みやすいため、カッターの劣化が早まる。カッターが劣化した場合にカッターの性能を維持するためには、カッターの駆動源を駆動させる駆動電流を大きくする必要があるが、逆に、カッターがほとんど劣化していない場合に駆動電流を大きくするとカッターの寿命を早めるおそれがある。これに対して、このカッター装置では、コントローラーが、カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新し、累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、第1電流値よりも大きい第2電流値に変更する。そして、フルカットを指定する第1カッター設定値に対応するカッター消耗値は、パーシャルカットを指定する第2カッター設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、フルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、パーシャルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、このカッター装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0099】
前記カッター装置の一態様において、
前記第1刃には、前記紙をカットする部分である刃先と、前記紙に前記切り残しを形成する部分である切り欠きが形成されており、
前記駆動源は、前記フルカットが実行される場合には前記第1刃を第1移動量で移動させ、前記パーシャルカットが実行される場合には前記第1刃を第2移動量で移動させ、
前記第1移動量は、前記第2移動量よりも大きくてもよい。
【0100】
このカッター装置では、第1刃の移動量が大きいフルカットを行う場合、第1刃の切り欠きが切り残しを破断させて紙片を形成しやすく、その紙片がカッターに入り込むことでカッターの劣化が早まる。これに対して、このカッター装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0101】
前記カッター装置の一態様において、
前記カッターによりカットされた前記紙が排出される排出口が形成されており、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の排出方向に関する排出設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記排出設定値は、
重力方向と反対の方向である第1方向を示す第1排出設定値、および、前記第1方向と交差する方向である第2方向を示す第2排出設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1排出設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2排出設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値であってもよい。
【0102】
このカッター装置では、紙の排出方向が第1方向である場合は、紙の排出方向が第2方向である場合と比較して、紙のカットに伴って発生した紙片や紙粉が重力によって落下してカッターに入り込みやすいため、カッターの劣化が早まる。これに対して、このカッター装置では、コントローラーが、排出設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新する。そして、第1方向を示す第1排出設定値に対応するカッター消耗値は、第2方向を示す第2排出設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、紙の排出方向が第1方向である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、紙の排出方向が第2方向である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、このカッター装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0103】
前記カッター装置の一態様において、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の幅に関する紙幅設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記紙幅設定値は、
第1幅を示す第1紙幅設定値、および、前記第1幅よりも小さい第2幅を示す第2紙幅設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1紙幅設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2紙幅設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値であってもよい。
【0104】
このカッター装置では、紙の幅が大きいほど、第1刃の切断負荷が重くなるとともに、紙のカットに伴う紙片や紙粉の発生量が多く、発生した紙片や紙粉がカッターに入り込みやすいため、カッターの劣化が早まる。これに対して、このカッター装置では、コントローラーが、紙幅設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新する。そして、第1幅を示す第1紙幅設定値に対応するカッター消耗値は、第1幅よりも小さい第2幅を示す第2紙幅設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、紙の幅が第1幅である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、紙の幅が第2幅である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、このカッター装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0105】
前記カッター装置の一態様において、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前回のカットと今回のカットの時間間隔であるカット間隔に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
所定時間以下の前記カット間隔に対応する前記カッター消耗値は、
前記所定時間を超える前記カット間隔に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値であってもよい。
【0106】
このカッター装置では、カット間隔が極端に短い場合は、駆動源がカッターを連続駆動するため負荷が極端に大きくなり、カッターの劣化が早まる。これに対して、このカッター装置では、コントローラーが、カット間隔に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新する。そして、所定時間以下のカット間隔に対応するカッター消耗値は、所定時間を超えるカット間隔に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、カット間隔が所定時間以下である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、カット間隔が所定時間を超える場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、このカッター装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0107】
印刷装置の一態様は、
前記カッター装置の一態様と、
前記紙に印刷するヘッドと、を備える印刷装置であって、
前記メモリーは、国ごとの言語に関する言語設定値を記憶しており、
前記コントローラーは、前記メモリーに記憶された前記言語設定値によって指定される言語で前記ヘッドに印刷させ、
前記言語設定値は、
第1国の言語である第1言語を指定する第1言語設定値、および、前記第1国とは異なる第2国の言語である第2言語を指定する第2言語設定値の少なくとも1つを含み、
前記コントローラーは、
前記メモリーに前記第1言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が第1紙種であると判定し、
前記メモリーに前記第2言語設定値が記憶されている場合、前記紙の種類が前記第1紙種とは異なる第2紙種であると判定し、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記紙の種類に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記第1紙種に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2紙種に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【0108】
この印刷装置では、紙の厚さが大きいほど、第1刃の切断負荷が重くなるとともに第1刃が劣化しやすく、また、紙片や紙粉の発生量も多い。また、紙の成分によっても、第1刃の切断負荷、第1刃の劣化度合、紙片や紙粉の発生量が変わる。そして、紙の種類は、この印刷装置が使用される国ごとに異なる。これに対して、この印刷装置では、メモリーに第1言語を指定する第1言語設定値が記憶されている場合、紙の種類が第1紙種であると判定し、メモリーに第2言語を指定する第2言語設定値が記憶されている場合、紙の種類が第2紙種であると判定し、紙の種類に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新する。そして、第1紙種に対応するカッター消耗値は、第2紙種に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、紙の種類が第1紙種である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、紙の種類が第2紙種である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、この印刷装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0109】
前記印刷装置の一態様において、
前記コントローラーは、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、印刷濃度に関する印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記累積消耗値を更新し、
前記印刷濃度設定値は、
第1濃度での印刷を示す第1印刷濃度設定値、および、前記第1濃度よりも薄い第2濃度での印刷を示す第2印刷濃度設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1印刷濃度設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2印刷濃度設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値であってもよい。
【0110】
この印刷装置では、印刷濃度が濃いほど、紙の品質が低いことが推定され、紙の品質が低い場合、第1刃の切断負荷が重くなるとともに第1刃が劣化しやすく、また、紙片や紙粉の発生量も多い。これに対して、この印刷装置では、コントローラーが、印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新する。そして、第1濃度での印刷を示す第1印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値は、第1濃度よりも薄い第2濃度での印刷を示す第2印刷濃度設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、印刷濃度が第1濃度である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、印刷濃度が第2濃度である場合は、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、この印刷装置によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【0111】
カッター装置の制御方法の一態様は、
移動可能な第1刃、および、前記第1刃と噛み合って紙をカットする第2刃を有するカッターと、
前記第1刃を移動させる駆動源と、を備えるカッター装置の制御方法であって、
カッター設定値によって指定される動作を前記カッターに実行させ、
前記カッターによる前記紙のカットに応じて、前記カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、前記カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新し、
前記累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に前記駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、前記第1電流値よりも大きい第2電流値に変更し、
前記カッター設定値は、
前記紙を完全にカットするフルカットを指定する第1カッター設定値、および、前記紙をカットして切り残しを形成するパーシャルカットを指定する第2カッター設定値の少なくとも1つを含み、
前記第1カッター設定値に対応する前記カッター消耗値は、
前記第2カッター設定値に対応する前記カッター消耗値よりも大きい値である。
【0112】
このカッター装置の制御方法では、フルカットの場合は、パーシャルカットの場合と比較して、紙のカットに伴う紙片や紙粉の発生量が多く、発生した紙片や紙粉がカッターに入り込みやすいため、カッターの劣化が早まる。カッターが劣化した場合にカッターの性能を維持するためには、カッターの駆動源を駆動させる駆動電流を大きくする必要があるが、逆に、カッターがほとんど劣化していない場合に駆動電流を大きくするとカッターの寿命を早めるおそれがある。これに対して、このカッター装置の制御方法では、カッター設定値に対応するカッター消耗値に基づいて、カッターの消耗値を累積した累積消耗値を更新し、累積消耗値が所定の閾値以上となる場合に駆動源を駆動させる駆動電流を第1電流値から、第1電流値よりも大きい第2電流値に変更する。そして、フルカットを指定する第1カッター設定値に対応するカッター消耗値は、パーシャルカットを指定する第2カッター設定値に対応するカッター消耗値よりも大きい値であるので、フルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が少なくなる。逆に、パーシャルカットの頻度が高いほど、駆動電流が第1電流値から第2電流値に変更されるまでの紙のカット回数が多くなる。したがって、このカッター装置の制御方法によれば、カッターの劣化度合に応じて、駆動電流を適切に調整することができるので、カッターの性能を維持しつつカッターの寿命を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0113】
1…印刷装置、2…カッター装置、10…コントローラー、11…電源スイッチ、12…通信部、13…表示部、15…開閉レバー、16…ケーブル切欠部、20…印刷部、21…ヘッド、22…ヘッド基板、23…FFC、30…搬送部、31…搬送モーター、32…搬送モーター軸、33…搬送モーターギア、35…搬送ローラー、36…搬送ローラー軸、37…搬送ローラーギア、38…輪列、40…切断部、41…固定刃、42…可動刃、42a…長孔、42b…切り欠き、43…可動刃モーター、43a…可動刃モーター軸、44…可動刃モーターギア、45…伝達歯車、46…ウォーム、47…ウォームホイール、47a…ウォームホイール軸、48…歯車、48a…歯車軸、49…ピン、50…収容部、51…カバー、52…ヒンジ、53…ガイド、54…ケース、55…排出口、56…モーターカバー、60…メイン基板、61…サブ基板、70…検出器、81…カッター、82…駆動源、100…メモリー、101…係数テーブル、102…駆動電流テーブル、103…カッター設定値、104…排出設定値、105…紙幅設定値、106…言語設定値、107…印刷濃度設定値、108…累積消耗値、M…記録媒体、P…記録媒体経路、R…ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12