(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145320
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241004BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B05B11/00 102G
B05B11/10 102G
B05B11/10 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057612
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
(57)【要約】
【課題】貯留プランジャおよび貯留シリンダを有するトリガー式液体噴出器に、例えば落下時等に、破損や分解が生ずるのを抑制する。
【解決手段】噴出器本体2と、ノズル部材3と、カバー5と、を備え、噴出器本体は、貯留シリンダ40と、貯留シリンダ内に貯留シリンダの中心軸線O2に沿う軸方向に移動可能に配設され、貯留シリンダ内への液体の供給に伴って、軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャ50と、貯留プランジャを前記他方側に向けて付勢するプランジャ付勢部材60と、を備え、プランジャ付勢部材の前記一方側の端部63は、貯留シリンダに対して前記他方側に弾性変位可能に設けられ、カバーは、プランジャ付勢部材をプランジャ付勢部材の前記一方側から覆い、かつ前記他方側に変位、若しくは変形したときにプランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する端壁部13を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着されるとともに、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って、前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、
前記貯留プランジャを前記他方側に向けて付勢するプランジャ付勢部材と、を備え、
前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部は、前記貯留シリンダに対して前記他方側に弾性変位可能に設けられ、
前記カバーは、前記プランジャ付勢部材を前記プランジャ付勢部材の前記一方側から覆い、かつ前記他方側に変位、若しくは変形したときに前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する端壁部を備えている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記プランジャ付勢部材には、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、
前記端壁部には、前記他方側に向けて突出し、前記プランジャ付勢部材の一端開口部内に挿入された突出部が形成され、
前記突出部には、前記一方側から前記他方側に向かうに従い、前記軸方向から見て前記中心軸線に交差する径方向の内側に向けて延び、かつ前記プランジャ付勢部材の一端開口部に当接する傾斜部が形成されている、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記突出部は、前記軸方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、
複数の板体のうちの1つは、前記軸方向から見て上下方向に延びている、請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記プランジャ付勢部材は、
前記軸方向に延びるコイルばねと、
前記他方側が開口し、かつ前記一方側の開口を閉塞する底壁を有する横向きの有底筒状に形成されたばね受けと、を備え、
前記ばね受け内に、前記コイルばねの前記一方側の端部が挿入され、
前記ばね受けの底壁に、前記コイルばねの前記一方側の端部が支持されるとともに、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、
前記ばね受けは、前記貯留シリンダに前記軸方向に弾性変位可能に嵌合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
前記カバーには、前記噴出器本体に設けられた被係止部に対して、前記一方側から前記他方側に向けて摺動して乗越えることで係止される係止部が設けられ、
前記カバーにおいて、前記端壁部と前記係止部との間に位置する部分には、弾性変形可能な変形部が形成され、
前記変形部の変形に伴い、前記端壁部および前記係止部が相対的に前記軸方向に弾性変位する、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、噴出器本体と、噴出孔が形成されたノズル部材と、噴出孔を露呈させた状態で噴出器本体を覆うカバーと、を備え、噴出器本体が、容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部内に連通するシリンダと、トリガー部の後方への移動によって、縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、貯留シリンダ内に配設され、貯留シリンダ内への液体の供給に伴って軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、貯留プランジャを前記他方側に向けて付勢するプランジャ付勢部材と、を備え、噴出孔を通じて液体の連続噴出が可能とされたトリガー式液体噴出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のトリガー式液体噴出器では、ピストンおよびシリンダだけでなく、液体の連続噴出を可能にする貯留プランジャおよび貯留シリンダも備えられているので、重量のバランス上、例えば落下時等に上下反転しやすく、カバーのうち、プランジャ付勢部材をプランジャ付勢部材の前記一方側から覆う端壁部付近が、地面等の被衝突体に衝突しやすい。この場合、例えば縦供給筒部の下端部付近が、破損したり、分解したりするおそれが考えられる。このような破損や分解が生じやすい箇所に、補強リブを設けることが考えられるが、この場合、補強リブが設けられていない箇所に、新たに応力が集中して破損しやすくなったり、補強リブを設けたことでトリガー式液体噴出器が大型になるおそれがある。
【0005】
本発明は、例えば落下時等に破損や分解が生ずるのを抑制することができる、液体の連続噴出が可能なトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体に装着されるとともに、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、前記噴出器本体は、前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って、前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、前記貯留プランジャを前記他方側に向けて付勢するプランジャ付勢部材と、を備え、前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部は、前記貯留シリンダに対して前記他方側に弾性変位可能に設けられ、前記カバーは、前記プランジャ付勢部材を前記プランジャ付勢部材の前記一方側から覆い、かつ前記他方側に変位、若しくは変形したときに前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する端壁部を備えている。
【0007】
プランジャ付勢部材の前記一方側の端部が、貯留シリンダに対して前記他方側に弾性変位可能に設けられ、カバーの端壁部が、プランジャ付勢部材をプランジャ付勢部材の前記一方側から覆い、かつ前記他方側に変位したときにプランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する。したがって、例えば、トリガー式液体噴出器が上下反転した状態で落下等し、カバーの端壁部が、地面等の被衝突体に衝突して前記他方側に変位、若しくは変形したときに、端壁部が、プランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する。この際、プランジャ付勢部材の前記一方側の端部が、前記他方側に弾性変位することで、衝撃力が吸収される。これにより、貯留プランジャおよび貯留シリンダを有するトリガー式液体噴出器であっても、例えば落下時等に破損や分解が生ずるのを抑制することができる。
【0008】
前記プランジャ付勢部材には、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、前記端壁部には、前記他方側に向けて突出し、前記プランジャ付勢部材の一端開口部内に挿入された突出部が形成され、前記突出部には、前記一方側から前記他方側に向かうに従い、前記軸方向から見て前記中心軸線に交差する径方向の内側に向けて延び、かつ前記プランジャ付勢部材の一端開口部に当接する傾斜部が形成されてもよい。
【0009】
カバーの端壁部に突出部が形成され、突出部にプランジャ付勢部材の一端開口部に当接する傾斜部が形成されているので、例えば、カバーの端壁部に対して被衝突体から前記一方側の斜め上方等から衝撃力が加えられても、傾斜部を、プランジャ付勢部材の一端開口部内を摺動させることで、端壁部を前記軸方向に沿って変位、若しくは変形させることが可能になり、この衝撃力をプランジャ付勢部材に前記軸方向に伝達させやすくすることができる。
【0010】
前記突出部は、前記軸方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、複数の板体のうちの1つは、前記軸方向から見て上下方向に延びてもよい。
【0011】
突出部が、前記軸方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、複数の板体のうちの1つが、前記軸方向から見て上下方向に延びているので、被衝突体から端壁部に及ぼされる衝撃力の向きによらず、この衝撃力をプランジャ付勢部材の一端開口部に偏り少なく周方向に分散してプランジャ付勢部材に伝達しやすくすることができる。
【0012】
前記プランジャ付勢部材は、前記軸方向に延びるコイルばねと、前記他方側が開口し、かつ前記一方側の開口を閉塞する底壁を有する横向きの有底筒状に形成されたばね受けと、を備え、前記ばね受け内に、前記コイルばねの前記一方側の端部が挿入され、前記ばね受けの底壁に、前記コイルばねの前記一方側の端部が支持されるとともに、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、前記ばね受けは、前記貯留シリンダに前記軸方向に弾性変位可能に嵌合されてもよい。
【0013】
プランジャ付勢部材が、横向きの有底筒状に形成されたばね受けを備え、ばね受け内に、コイルばねの前記一方側の端部が挿入され、ばね受けの底壁に、コイルばねの前記一方側の端部が支持されるとともに、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、ばね受けが、貯留シリンダに前記軸方向に弾性変位可能に嵌合されている。したがって、カバーの端壁部に被衝突体から衝撃力が加えられ、端壁部およびばね受けが、前記他方側に向けて変位等したときに、コイルばねを前記軸方向に沿って円滑に圧縮変形させることが可能になり、衝撃力を確実に吸収することができる。
【0014】
前記カバーには、前記噴出器本体に設けられた被係止部に対して、前記一方側から前記他方側に向けて摺動して乗越えることで係止される係止部が設けられ、前記カバーにおいて、前記端壁部と前記係止部との間に位置する部分には、弾性変形可能な変形部が形成され、前記変形部の変形に伴い、前記端壁部および前記係止部が相対的に前記軸方向に弾性変位してもよい。
【0015】
カバーを、噴出器本体に対して前記一方側に位置させた状態で、カバーおよび噴出器本体を相対的に前記軸方向に接近移動させて組み付ける過程において、カバーの係止部が、噴出器本体の被係止部を前記他方側に乗越える前に、カバーの端壁部が、プランジャ付勢部材の前記一方側の端部に引っ掛かっても、カバーの変形部を前記軸方向に弾性変形させることにより、カバーの係止部を、噴出器本体の被係止部を前記他方側に乗越えさせることができる。
カバーの端壁部に被衝突体から衝撃力が加えられたときに、変形部を弾性変形させることにより、衝撃力を吸収することが可能になり、カバーの端壁部に被衝突体から衝撃力が加えられたときに、カバーおよび噴出器本体が相対変位するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、貯留プランジャおよび貯留シリンダを有するトリガー式液体噴出器に、例えば落下時等に破損や分解が生ずるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【
図2】
図1のトリガー式液体噴出器のII-II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、
図1に示されるように、噴出器本体2と、ノズル部材3と、カバー5と、を備えている。トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0019】
(噴出器本体)
噴出器本体2は、液体が収容された容器体Aに装着キャップ30を介して装着される。噴出器本体2は、縦供給筒部10と、接続筒部20と、貯留シリンダ40と、貯留プランジャ50と、プランジャ付勢部材60と、射出筒部70と、トリガー機構80と、ボール弁90と、貯留弁91と、を主に備えている。
【0020】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1といい、軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見て軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向から見て前後方向に直交する方向を左右方向という。
貯留シリンダ40の中心軸線を軸線O2という。本実施形態では、軸線O2は、前後方向(貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向)に延びている。前後方向から見て軸線O2に交差する方向を径方向といい、前後方向から見て軸線O2回りに周回する方向を周方向という。
なお、軸線O2は、上下方向から見て前後方向に交差する方向に延びてもよい。
【0021】
縦供給筒部10は、上下方向に延び、容器体A内の液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、装着キャップ30により容器体Aに装着される。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ10aの上部が嵌合されている。
縦供給筒部10は、外筒11および内筒12を有する二重筒状に形成されている。内筒12には、外筒11の内面に設けられた差込突起11aが差し込まれる差込凹部12aが形成されている。差込突起11aは、上下方向に延びる筒状に形成され、差込凹部12aは、内筒12の外面に開口し、かつ軸線O1回りに延びる環状凹部となっている。
【0022】
接続筒部20は、縦供給筒部10の上端部から前方(他方側)に向けて延びている。接続筒部20の前後方向の両端部は開口している。接続筒部20の後端開口は、縦供給筒部10内に開口している。接続筒部20の前端開口に、閉塞栓100が密に嵌合されている。
【0023】
貯留シリンダ40は、縦供給筒部10の上方に設けられている。貯留シリンダ40の後部は、縦供給筒部10から後方(一方側)に突出している。貯留シリンダ40の後端部は、装着キャップ30よりも後方に位置している。貯留シリンダ40の前部は、縦供給筒部10から前方に突出している。貯留シリンダ40の下端部は、縦供給筒部10および接続筒部20それぞれの上端部と一体に形成されている。
貯留シリンダ40における前端部の下端部には、上下方向に貫き、貯留シリンダ40内と接続筒部20内とを連通する供給孔41が形成されている。供給孔41は、閉塞栓100の後方に位置している。貯留シリンダ40の内部(後述する貯留空間40a)には、トリガー部81の後方への移動によって、縦供給筒部10内および接続筒部20内を通過した液体が、供給孔41を通じて供給される。
【0024】
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内に前後方向に移動可能に配設されている。貯留プランジャ50は、貯留空間40aへの液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留プランジャ50は、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断し、後方に移動したときに、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を許容する。
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40の内周面上を全周にわたって前後方向に密に摺動する摺動筒部50aを備えている。貯留シリンダ40内において摺動筒部50aより前方に位置する部分(以下、貯留空間40aという)に、供給孔41が開口している。貯留空間40aに、縦供給筒部10からの液体が貯留される。貯留空間40aは、液体の供給に伴い貯留プランジャ50が後方に向けて移動することで拡張する。
貯留プランジャ50において、摺動筒部50aより後方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出し、全周にわたって連続して延びる支持部50bが形成されている。
【0025】
プランジャ付勢部材60は、後方移動した貯留プランジャ50を前方に向けて付勢する。本実施形態では、プランジャ付勢部材60は、貯留プランジャ50が後方移動する前から貯留プランジャ50を前方に付勢している。プランジャ付勢部材60の前端部は、貯留プランジャ50の支持部50bに、支持部50bの後方から当接している。プランジャ付勢部材60の後端部は、貯留シリンダ40の後端部内に嵌合されている。プランジャ付勢部材60の後端部は、貯留シリンダ40から後方に露呈している。
射出筒部70は、貯留シリンダ40から前方に向けて延びている。射出筒部70は、貯留空間40a、供給孔41、および接続筒部20内を通じて縦供給筒部10内に連通している。
【0026】
トリガー機構80は、トリガー部81と、主シリンダ82と、主ピストン83と、付勢部材84と、を備えている。トリガー機構80は、トリガー部81の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じて噴出孔4側に向けて流通させる。
【0027】
トリガー部81は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されている。トリガー部81は、上下方向に延び、射出筒部70の下方に配設されている。トリガー部81は、主ピストン83および主シリンダ82の前方に設けられ、主ピストン83および主シリンダ82を上下方向に跨いでいる。トリガー部81の上端部は、ノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支されている。
トリガー部81と、主シリンダ82と、の間の前後方向の隙間には、ストッパTが設けられている。ストッパTは、トリガー部81および主シリンダ82の双方に当接することで、トリガー部81の後方への移動を規制する。ストッパTは、前記隙間に対して着脱可能に設けられている。なお、ストッパTは設けなくてもよい。
【0028】
ここで、接続筒部20の下端部と、装着キャップ30の上端部と、の間には、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口し、後端開口が閉塞された有底筒状の主シリンダ装着用筒部110が設けられている。
主シリンダ82は、主シリンダ装着用筒部110内に嵌合されている。主シリンダ82は、前方に開口し、後端開口が閉塞された有底筒状に形成されている。主シリンダ82および主シリンダ装着用筒部110それぞれの底壁に、主シリンダ82内と縦供給筒部10内とを連通する連通路2aが形成されている。
【0029】
主ピストン83は、主シリンダ82内に前後方向に移動可能に嵌合されている。主ピストン83は、トリガー部81の前後方向の移動に連動して前後方向に移動する。主シリンダ82内は、主ピストン83の前後方向の移動に伴って加圧および減圧される。主ピストン83は、後方に向けて開口し、前端開口が閉塞された有頂筒状に形成されている。主ピストン83の前端部は、トリガー部81に連結されている。主ピストン83は、トリガー部81を介して付勢部材84の付勢力によって前方に付勢されている。
【0030】
付勢部材84は、例えば金属製のコイルばねとされている。付勢部材84は、主ピストン83および主シリンダ82と同軸に配設され、主ピストン83の前端部が連結されたトリガー部81を前方に付勢している。付勢部材84は、主シリンダ82の前端開口部に装着されたばね受け130と、トリガー部81と、の間に配設されている。付勢部材84は、液体と接触しない位置に設けられている。
なお、付勢部材84は、例えば樹脂製でもよく、その他の弾性を有する材質で形成されてもよい。
【0031】
ボール弁90および貯留弁91は、縦供給筒部10内に設けられている。縦供給筒部10内において、ボール弁90と貯留弁91との間に位置する部分に、連通路2aが開口している。
【0032】
ボール弁90は、主シリンダ82内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を遮断すると共に、主シリンダ82内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を許容する逆止弁とされている。
貯留弁91は、ボール弁90の上方に配設されている。貯留弁91は、縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じた貯留空間40aへの液体の供給を許容すると共に、貯留空間40aから接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0033】
(ノズル部材)
ノズル部材3は、液体を噴出する噴出孔4を有し、噴出器本体2に装着されている。ノズル部材3は、射出筒部70に射出筒部70の前方から外嵌された装着筒部120と、装着筒部120の前端部に装着されたノズル筒122と、を備えている。ノズル筒122には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0034】
(装着キャップ)
装着キャップ30は、環状の頂壁を有する有頂筒状に形成されている。この頂壁の内側に、縦供給筒部10の下端部が挿入されている。頂壁の内周縁部には、上方に向けて突出する規制筒31が形成されている。規制筒31の上端開口縁は、噴出器本体2の外面(図示の例では、主シリンダ装着用筒部110の外周面の下端部)に上下方向に当接、若しくは近接している。規制筒31は、縦供給筒部10における差込突起11aおよび差込凹部12aを全周にわたって囲っている。なお、装着キャップ30に、規制筒31を設けなくてもよい。
【0035】
(カバー)
カバー5は、噴出孔4を露呈させた状態で噴出器本体2を覆っている。カバー5は、噴出器本体2のうち、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部70の全体、および貯留シリンダ40の全体を、少なくとも左右方向の両側および上方から覆っている。
【0036】
カバー5は、プランジャ付勢部材60および貯留シリンダ40それぞれの後端部を、これら60、40の後方から覆う端壁部13を備えている。端壁部13は、前方に向けて変位、若しくは変形したときにプランジャ付勢部材60の後端部に当接する。図示の例では、端壁部13は、前方に向けて変位、若しくは変形する前からプランジャ付勢部材60の後端部に当接している。端壁部13は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されている。端壁部13は、上下方向に沿う縦断面視で後方に向けて突の曲線状を呈するように湾曲している。端壁部13は、前方に向けて弾性変形可能に形成されている。
【0037】
端壁部13には、前方に向けて突出した突出部21が形成されている。突出部21には、後方から前方に向かうに従い、径方向の内側に向けて延びる傾斜部21aが形成されている。
図2に示されるように、突出部21は、前後方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、複数の板体のうちの1つは、前後方向から見て上下方向に延びている。複数の板体は、軸線O2で交差している。これらの板体のうち、前後方向から見て上下方向に延びる板体以外の板体は、前後方向から見て、上下方向および左右方向の双方向に交差する方向に延びている。板体の表裏面は、周方向を向いている。板体の平面視形状は、上底が前端に位置し、かつ下底が後端(端壁部13の前面)に位置する台形状とされ、一対の脚に相当する部分が傾斜部21aとなっている。
【0038】
カバー5には、噴出器本体2に設けられた被係止部14に対して、後方から前方に向けて摺動して乗越えることで係止される係止部15が設けられている。
【0039】
被係止部14は、縦供給筒部10のうち、装着キャップ30より上方に位置する部分から後方に向けて突出した突板10bに設けられている。突板10bの表裏面は、上下方向を向いている。被係止部14は、突板10bの下面の後端部から下方に向けて突出している。被係止部14は、上下方向に沿う縦断面視で直角三角形状を呈する。直角三角形状を画成する三辺のうち、斜辺は、突板10bの下面から下方に向かうに従い前方に向けて延び、残りの二辺のうちの一辺は、突板10bの下面から下方に真直ぐ延び、かつ斜辺の下端部と交差して、被係止部14の前端面を構成し、もう一辺は、突板10bの下面と一致している。
係止部15は、カバー5の内面において、縦供給筒部10の後端部、および装着キャップ30の規制筒31の上端開口縁の双方に隣接する隣接部分に設けられている。係止部15は、カバー5の内面の前記隣接部分から上方に突出している。係止部15の後端面は、上下方向に真直ぐ延び、被係止部14の前端面に当接、若しくは近接している。係止部15の上端面は、後方から前方に向かうに従い下方に向けて延びている。
【0040】
カバー5において、端壁部13と係止部15との間に位置する部分には、弾性変形可能な変形部16が形成されている。変形部16の変形に伴い、端壁部13および係止部15が相対的に前後方向に弾性変位する。
【0041】
図示の例では、カバー5は、端壁部13の外周縁部から前方に向けて延び、かつ貯留シリンダ40の後端部が内側に挿入された挿入筒17を備えている。カバー5のうち、挿入筒17に挿入筒17の前方から連なる部分の後端部の直径は、挿入筒17の直径よりも大きくなっている。カバー5のうち、挿入筒17に挿入筒17の前方から連なる部分の後端縁と、挿入筒17の前端縁と、は、表裏面が前後方向を向く段部を介して連結されている。この段部が変形部16となっている。変形部16は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0042】
そして、本実施形態では、プランジャ付勢部材60の後端部が、貯留シリンダ40に対して前方に向けて弾性変位可能に設けられている。プランジャ付勢部材60には、後方に向けて開口した後端開口部(一端開口部)61が形成されている。
図2に示されるように、後端開口部61は、前後方向から見て四角形状を呈し、4つの角部のうち、2つが上下方向の両端部に位置し、残りの2つが左右方向の両端部に位置している。プランジャ付勢部材60の後端開口部61内に、端壁部13の突出部21が挿入されている。突出部21の傾斜部21aは、プランジャ付勢部材60の後端開口部61に当接する。
【0043】
プランジャ付勢部材60は、コイルばね62と、ばね受け63と、を備えている。
コイルばね62は、前後方向に延びる金属製のコイルばねとされている。コイルばね62の前端部が、貯留プランジャ50の支持部50bに、支持部50bの後方から当接している。なお、コイルばね62は、例えば樹脂製でもよく、その他の弾性を有する材質で形成されてもよい。
ばね受け63は、プランジャ付勢部材60の後端部を構成している。ばね受け63は、前方が開口し、かつ後端開口を閉塞する底壁64を有する横向きの有底筒状に形成されている。ばね受け63内に、コイルばね62の後端部が挿入されている。ばね受け63の底壁64の前面に、コイルばね62の後端部が支持されている。ばね受け63に、後方に向けて開口した後端開口部61が形成されている。後端開口部61は、ばね受け63の底壁64を前後方向に貫通している。ばね受け63は、貯留シリンダ40に前後方向に弾性変位可能に嵌合されている。ばね受け63は、貯留シリンダ40の後端部内に、後方移動が規制された状態で、前方に向けて弾性変位可能に嵌合されている。ばね受け63は、前方に向けて所定量移動したときに、これ以上の前方移動が規制されるように設けられている。
【0044】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、
図1に示すトリガー部81の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填されているものとする。
【0045】
トリガー部81を牽引し、付勢部材84の付勢力に抗してトリガー部81を後方に移動させると、主ピストン83が後方に移動し、主シリンダ82内が加圧される。これにより、主シリンダ82内の液体が、連通路2aを通して縦供給筒部10内に供給される。縦供給筒部10内に供給された液体は、ボール弁90を下方に押し付けると共に、貯留弁91を押し上げる。
【0046】
これにより、縦供給筒部10内の液体が、接続筒部20内および供給孔41を通じて貯留シリンダ40の貯留空間40aに供給され、貯留空間40aが加圧される。貯留空間40aの加圧に伴って、貯留プランジャ50がプランジャ付勢部材60の付勢力に抗して後方に移動し、液体が貯留空間40aに充填される。貯留プランジャ50が後方に移動することで、圧力が高まった貯留空間40aの液体が、射出筒部70内を通じて噴出孔4に到達する。これにより、噴出孔4から前方に向けて液体が噴出される。
【0047】
上述のように、トリガー部81を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ50を後方に移動させて、貯留空間40a内に液体を溜めることができる。
【0048】
その後、トリガー部81を解放すると、付勢部材84の弾性復元力(付勢力)によってトリガー部81が前方に復元移動するので、これに伴ってトリガー部81に連結された主ピストン83も主シリンダ82内を前方に向けて復元移動する。そのため、主シリンダ82内が減圧して、容器体A内の圧力よりも低い圧力になり、貯留弁91が閉弁したままの状態で、ボール弁90が上昇する。従って、容器体A内の液体が、縦供給筒部10内に吸い上げられ、連通路2aを通して主シリンダ82内に導入される。これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0049】
トリガー部81の牽引を停止すると、縦供給筒部10内および接続筒部20内を通じた貯留空間40aへの液体の供給は停止するものの、プランジャ付勢部材60の付勢力によって貯留プランジャ50が前方移動しはじめる。この際、貯留空間40aから縦供給筒部10内への液体の流出は、貯留弁91によって規制される。これにより、貯留空間40aに充填された液体は、射出筒部70内を通じて噴出孔4に到達し、噴出孔4を通じて前方に向けて引き続き噴出する。
このように、トリガー部81を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部81を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、プランジャ付勢部材60の後端部を構成するばね受け63が、貯留シリンダ40に対して前方に弾性変位可能に設けられ、カバー5の端壁部13が、プランジャ付勢部材60をプランジャ付勢部材60の後方から覆い、かつ前方に変位したときにばね受け63に当接する。したがって、例えば、トリガー式液体噴出器1が上下反転した状態で落下等し、カバー5の端壁部13が、地面等の被衝突体に衝突して前方に変位、若しくは変形したときに、端壁部13が、ばね受け63に当接する。この際、ばね受け63が前方に弾性変位することで、衝撃力が吸収される。これにより、貯留プランジャ50および貯留シリンダ40を有するトリガー式液体噴出器1であっても、例えば落下時等に破損や分解が生ずるのを抑制することができる。
【0051】
カバー5の端壁部13に突出部21が形成され、突出部21にプランジャ付勢部材60の後端開口部61に当接する傾斜部21aが形成されているので、例えば、カバー5の端壁部13に対して被衝突体から後側の斜め上方等から衝撃力が加えられても、傾斜部21aを、プランジャ付勢部材60の後端開口部61内を摺動させることで、端壁部13を前後方向に沿って変位、若しくは変形させることが可能になり、この衝撃力をプランジャ付勢部材60に前後方向に伝達させやすくすることができる。
【0052】
突出部21が、前後方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、複数の板体のうちの1つが、前後方向から見て上下方向に延びているので、被衝突体から端壁部13に及ぼされる衝撃力の向きによらず、この衝撃力をプランジャ付勢部材60の後端開口部61に偏り少なく周方向に分散してプランジャ付勢部材60に伝達しやすくすることができる。
【0053】
プランジャ付勢部材60が、横向きの有底筒状に形成されたばね受け63を備え、ばね受け63内に、コイルばね62の後端部が挿入され、ばね受け63の底壁64に、コイルばね62の後端部が支持されるとともに、後方に向けて開口した後端開口部61が形成され、ばね受け63が、貯留シリンダ40に前後方向に弾性変位可能に嵌合されている。したがって、カバー5の端壁部13に被衝突体から衝撃力が加えられ、端壁部13およびばね受け63が、前方に向けて変位等したときに、コイルばね62を前後方向に沿って円滑に圧縮変形させることが可能になり、衝撃力を確実に吸収することができる。
【0054】
カバー5を、噴出器本体2に対して後方に位置させた状態で、カバー5および噴出器本体2を相対的に前後方向に接近移動させて組み付ける過程において、カバー5の係止部15が、噴出器本体2の被係止部14を前方に乗越える前に、カバー5の端壁部13が、プランジャ付勢部材60の後端部に引っ掛かっても、カバー5の変形部16を前後方向に弾性変形させることにより、カバー5の係止部15を、噴出器本体2の被係止部14を前方に乗越えさせることができる。
カバー5の端壁部13に被衝突体から衝撃力が加えられたときに、変形部16を弾性変形させることにより、衝撃力を吸収することが可能になり、カバー5の端壁部13に被衝突体から衝撃力が加えられたときに、カバー5および噴出器本体2が相対変位するのを抑制することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0056】
例えば、コイルばね62およびばね受け63は、一体に形成されてもよい。
プランジャ付勢部材60の後端開口部61は、ばね受け63の底壁64の後面に形成し、ばね受け63の底壁64を前後方向に貫通していなくてもよい。プランジャ付勢部材60に後端開口部61を形成しなくてもよい。
突出部21は、例えば前後方向に延びる柱状、若しくは筒状等に形成されてもよい。端壁部13に、突出部21を形成しなくてもよく、突出部21に、傾斜部21aを形成しなくてもよい。
カバー5に、変形部16を形成しなくてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【0058】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着されるとともに、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸い上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って、前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、
前記貯留プランジャを前記他方側に向けて付勢するプランジャ付勢部材と、を備え、
前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部は、前記貯留シリンダに対して前記他方側に弾性変位可能に設けられ、
前記カバーは、前記プランジャ付勢部材を前記プランジャ付勢部材の前記一方側から覆い、かつ前記他方側に変位、若しくは変形したときに前記プランジャ付勢部材の前記一方側の端部に当接する端壁部を備えている、トリガー式液体噴出器。
<2>
前記プランジャ付勢部材には、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、
前記端壁部には、前記他方側に向けて突出し、前記プランジャ付勢部材の一端開口部内に挿入された突出部が形成され、
前記突出部には、前記一方側から前記他方側に向かうに従い、前記軸方向から見て前記中心軸線に交差する径方向の内側に向けて延び、かつ前記プランジャ付勢部材の一端開口部に当接する傾斜部が形成されている、前記<1>に記載のトリガー式液体噴出器。
<3>
前記突出部は、前記軸方向から見て、径方向に延びて放射状を呈する複数の板体により構成され、
複数の板体のうちの1つは、前記軸方向から見て上下方向に延びている、前記<2>に記載のトリガー式液体噴出器。
<4>
前記プランジャ付勢部材は、
前記軸方向に延びるコイルばねと、
前記他方側が開口し、かつ前記一方側の開口を閉塞する底壁を有する横向きの有底筒状に形成されたばね受けと、を備え、
前記ばね受け内に、前記コイルばねの前記一方側の端部が挿入され、
前記ばね受けの底壁に、前記コイルばねの前記一方側の端部が支持されるとともに、前記一方側に向けて開口した一端開口部が形成され、
前記ばね受けは、前記貯留シリンダに前記軸方向に弾性変位可能に嵌合されている、前記<1>から<3>のいずれか1つに記載のトリガー式液体噴出器。
<5>
前記カバーには、前記噴出器本体に設けられた被係止部に対して、前記一方側から前記他方側に向けて摺動して乗越えることで係止される係止部が設けられ、
前記カバーにおいて、前記端壁部と前記係止部との間に位置する部分には、弾性変形可能な変形部が形成され、
前記変形部の変形に伴い、前記端壁部および前記係止部が相対的に前記軸方向に弾性変位する、前記<1>から<4>のいずれか1つに記載のトリガー式液体噴出器。
【符号の説明】
【0059】
1 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
3 ノズル部材
4 噴出孔
5 カバー
10 縦供給筒部
13 端壁部
14 被係止部
15 係止部
16 変形部
21 突出部
21a 傾斜部
40 貯留シリンダ
50 貯留プランジャ
60 プランジャ付勢部材
61 後端開口部(一端開口部)
62 コイルばね
63 ばね受け(一方側の端部)
64 底壁
80 トリガー機構
81 トリガー部
A 容器体
O2 中心軸線