IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

特開2024-145321駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法
<>
  • 特開-駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法 図1
  • 特開-駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145321
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/217 20060101AFI20241004BHJP
   H01F 7/18 20060101ALI20241004BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20241004BHJP
   H03K 17/695 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H03F3/217
H01F7/18 Q
H02M1/08 A
H03K17/695
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057613
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杵村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
5J500
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB08
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J055AX06
5J055BX16
5J055CX17
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX65
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ09
5J055GX01
5J055GX05
5J500AA01
5J500AA27
5J500AA51
5J500AA66
5J500AC36
5J500AF12
5J500AF17
5J500AF18
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK01
5J500AK13
5J500AK33
5J500AK42
5J500AM08
5J500AM13
5J500AS00
5J500AT01
5J500AT06
5J500WU02
5J500WU08
(57)【要約】
【課題】負荷を効率的に駆動可能な駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法を提供する。
【解決手段】駆動回路は、共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号が入力される第1入力端子と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる第1制御信号が入力される第2入力端子と、前記第1スイッチング素子の制御端子に接続される出力端子とを有する駆動素子と、前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、
前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号が入力される第1入力端子と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる第1制御信号が入力される第2入力端子と、前記第1スイッチング素子の制御端子に接続される出力端子とを有する駆動素子と、
前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子と
を含む、駆動回路。
【請求項2】
前記駆動素子の出力端子と前記第1スイッチング素子の制御端子とを接続する第2接続経路に挿入される第1抵抗器をさらに含む、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第1抵抗器と前記第1スイッチング素子の制御端子との間で前記第2接続経路から分岐する分岐点と前記基準電位点とを接続する分岐経路に挿入される第2抵抗器をさらに含む、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記負荷は、共振周波数を有する誘導性負荷であり、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、前記駆動素子は、オペアンプである、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記駆動素子と前記第2スイッチング素子とを制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第1制御信号を前記駆動素子に出力し、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第2制御信号を前記第2スイッチング素子に出力し、
前記第1制御信号と前記第2制御信号の周期の始期を一致させるとともに、前記第2制御信号のオフ期間において前記第1制御信号が繰り返しオンにされるように制御する、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記駆動素子の第2入力端子と、前記第2スイッチング素子の制御端子とに接続されており、前記第2入力端子に前記第1制御信号を出力するとともに、前記第2スイッチング素子の制御端子に第2制御信号を出力する、請求項5に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第2制御信号は、前記負荷の共振周波数における周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされ、
前記第1制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされる、請求項5に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1制御信号は、前記初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされる、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
請求項1に記載の駆動回路と、
前記負荷と
を含む、触覚発生装置。
【請求項10】
共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の駆動制御を行う駆動素子と、
前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子と、
前記駆動素子と前記第2スイッチング素子とを制御する制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第1制御信号を前記駆動素子に出力し、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第2制御信号を前記第2スイッチング素子に出力し、
前記第1制御信号と前記第2制御信号の周期の始期を一致させるとともに、前記第2制御信号のオフ期間において前記第1制御信号が繰り返しオンにされるように制御する、駆動回路の制御方法。
【請求項11】
前記第2制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされ、
前記第1制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされる、請求項10に記載の駆動回路の制御方法。
【請求項12】
前記第1制御信号は、前記初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされる、請求項11に記載の駆動回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷のローサイドに、負荷を駆動するFET(Field Effect Transistor)を設け、オペアンプの出力でFETを駆動する電流出力回路がある。オペアンプの反転入力端子は、FETの電流出力端子に接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-308635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オペアンプは、反転入力端子と非反転入力端子との間にオフセット電圧が生じるため、FETをオフにする期間にオペアンプの非反転入力端子に0Vを入力しても、出力端子の電圧は0Vにならない。また、オペアンプのゲインは非常に大きい。このため、FETをオフにする期間に、微小な電圧が非常に大きいゲインで増幅されて出力端子から出力されることで、FETをオフにできず、負荷を効率的に駆動できないおそれがあった。
【0005】
そこで、負荷を効率的に駆動可能な駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の駆動回路は、共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号が入力される第1入力端子と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる第1制御信号が入力される第2入力端子と、前記第1スイッチング素子の制御端子に接続される出力端子とを有する駆動素子と、前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子とを含む。
【発明の効果】
【0007】
負荷を効率的に駆動可能な駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の駆動回路を含む触覚発生装置の構成を示す図である。
図2】実施形態の駆動回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法を適用した実施形態について説明する。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、XY面視することを平面視と称す。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の駆動回路100を含む触覚発生装置100Aの構成を示す図である。駆動回路100は、アクチュエータ130を駆動する回路であり、触覚発生装置100Aは、駆動回路100及びアクチュエータ130を含む装置である。アクチュエータ130は、負荷の一例である。
【0011】
アクチュエータ130は、一例として、利用者の指先等によって行われる操作を受け付ける入力装置の操作部に配置される。触覚発生装置100Aは、利用者の指先等によって入力装置の操作部に対して操作が行われると、アクチュエータ130を駆動することによって振動し、利用者の指先等に提示する触覚を発生させる。入力装置は、例えば、操作内容に応じた機能を実行する操作対象装置を遠隔操作するリモートコントローラ端末やスマートフォン等に含まれてもよく、操作対象装置の操作部に一体的に設けられていてもよい。
【0012】
ここでは、一例として、触覚発生装置100Aが1つの装置として一体的に構成されている形態について説明する。しかしながら、例えば、MCU120は、触覚発生装置100AのうちのMCU120以外の構成要素とは、別の場所に設けられていてもよい。例えば、触覚発生装置100Aとは別の装置のMCUが、MCU120の機能を兼用しているような構成であってもよい。また、アクチュエータ130は、触覚発生装置100Aのうちのアクチュエータ130以外の構成要素とは、別の離れた場所に設けられていてもよい。
【0013】
また、ここでは、触覚発生装置100Aがアクチュエータ130を含む形態について説明するが、触覚発生装置100Aが含む負荷は、アクチュエータ130以外の負荷(例えば、LED(light emitting diode)やヒータ等)であってもよい。また、ここでは、利用者が指先で入力装置に対して操作を行う形態について説明するが、利用者の体の指先以外の部位であっても操作可能である。
【0014】
<駆動回路100の構成>
駆動回路100は、FET(field effect transistor/電界効果トランジスタ)111、オペアンプ112、FET113、抵抗器R1~R7、及びMCU(Micro Controller Unit)120を含む。MCU120は、制御部121を有する。
【0015】
FET111は、第1スイッチング素子の一例である。オペアンプ112は、駆動素子の一例である。FET113は、第2スイッチング素子の一例である。抵抗器R2は、第1抵抗器の一例である。抵抗器R3は、第2抵抗器の一例である。
【0016】
また、図1には、電源端子50を示す。電源端子50に掛かる電圧は、オペアンプ112及び制御部121を動作させる定格電圧よりも高い。
【0017】
<アクチュエータ130>
アクチュエータ130は、一例として、リニア共振アクチュエータ(LRA)である。アクチュエータ130は、共振周波数を有する誘導性負荷の一例である。アクチュエータ130は、直流電力を出力する電源端子50とグランド電位点とを接続する電流経路101に直列に挿入されている。グランド電位点は、基準電位点の一例である。電流経路101は、一例として、駆動回路100が実装される配線基板等の配線によって実現される。なお、ここでは、一例として、アクチュエータ130がLRAである形態について説明する。しかしながら、アクチュエータ130は共振周波数を有する誘導性負荷であればよいため、アクチュエータ130として、LRAの代わりにボイスコイルモータを用いてもよい。
【0018】
FET111は、ドレイン端子(D)、ソース端子(S)、及びゲート端子(G)を有する。ゲート端子は、FET111の制御端子の一例である。ドレイン端子はアクチュエータ130に接続されている。ソース端子は、抵抗器R4を介してオペアンプ112の反転入力端子(-)に接続されるとともに、抵抗器R5を介してグランド電位点に接続されている。電源端子50からアクチュエータ130、FET111、及び抵抗器R5を通ってグランド電位点に至る電流経路101は、アクチュエータ130に電流を供給する経路である。FET111は、オペアンプ112と定電流回路を構成する。
【0019】
オペアンプ112は、制御部121から基準信号が入力される非反転入力端子(+)と、抵抗器R4を介してFET111のソース端子に接続される反転入力端子(-)と、抵抗器R2を介してFET111のゲート端子に接続される出力端子とを有する。オペアンプ112の反転入力端子は、第1入力端子の一例であり、非反転入力端子は、第2入力端子の一例である。基準信号は、第1制御信号の一例である。基準信号1及び2については後述する。
【0020】
オペアンプ112の出力端子とFET111のゲート端子とを接続する経路102は、第2接続経路の一例である。オペアンプ112の出力端子とオペアンプ112の反転入力端子とを接続する経路103は、第1接続経路の一例である。経路103には、FET113が挿入される。抵抗器R2とFET111のゲート端子との間で経路102(第2接続経路の一例)から分岐する分岐点とグランド電位点とを接続する経路104は、分岐経路の一例である。経路102、103、及び104は、一例として、駆動回路100が実装される配線基板等の配線によって実現される。
【0021】
抵抗器R1は、MCU120とオペアンプ112の非反転入力端子とを接続する経路に直列に挿入されている。抵抗器R1の非反転入力端子側からグランド電位点に分岐する経路に直列に挿入されるコンデンサCと、抵抗器R1とは、RCフィルタ回路を構成する。また、このRCフィルタ回路には、MCU120から基準信号が入力され、RCフィルタ回路を通過した基準信号がオペアンプ112の非反転入力端子に入力される。RCフィルタ回路を通過する前後で基準信号の波形は変化する。このため、以下では、RCフィルタ回路を通過する前後の基準信号を区別する場合には、RCフィルタ回路を通過前の基準信号を基準信号1と称し、RCフィルタ回路の通過後の基準信号を基準信号2と称す。基準信号1及び2を特に区別しない場合には、単に基準信号と称す。
【0022】
抵抗器R2は、オペアンプ112の出力端子とFET111のゲート端子とを接続する経路102に直列に挿入されている。抵抗器R2は、オペアンプ112の出力端子から経路102に流れる突入電流の電流値を制限してオペアンプ112を保護するために設けられている。
【0023】
抵抗器R3は、経路102から分岐する経路104(分岐経路の一例)に直列に挿入されている。抵抗器R4は、電流経路101の抵抗器R5よりも電源端子50側から分岐してオペアンプ112の反転入力端子に接続される経路に直列に挿入されている。抵抗器R5は、電流経路101のグランド電位点の手前において、電流経路101に直列に挿入されている。抵抗器R6は、FET113のゲート端子とMCU120とを接続する経路に直列に挿入されている。抵抗器R7は、FET113のゲート端子と、MCU120とを接続する経路から分岐してグランド電位点に接続される経路に直列に挿入されている。
【0024】
オペアンプ112の反転入力端子には、アクチュエータ130と抵抗器R5との間の電流経路101に流れる電流を抵抗器R5で電圧に変換した負荷信号が入力される。制御部121からオペアンプ112の非反転入力端子に入力される基準信号は、FET111の動作の基準になる信号である。オペアンプ112は、反転入力端子に入力される負荷信号と、基準信号との比較結果に基づく駆動制御信号をFET111のゲート端子に出力する。なお、駆動制御信号の信号レベルは、FET111のゲート端子での信号レベルであり、経路102における抵抗器R2よりもゲート端子側の部分における信号レベルである。
【0025】
FET113は、オペアンプ112の出力端子に接続されるドレイン端子(D)と、オペアンプ112の反転入力端子に接続されるソース端子(S)と、抵抗器R6を介してMCU120に接続されるゲート端子(G)とを有する。FET113のドレイン端子及びソース端子は、経路103に接続されている。FET113は、小信号用のFETであり、電流制御用のFET111に比べてサイズが非常に小さい。
【0026】
FET113は、MCU120からゲート端子に入力される制御信号によって、オン及びオフが切り換えられる。制御信号は、第2制御信号の一例である。FET113がオンになると、オペアンプ112は、出力端子と反転入力端子との間がFET113のドレイン端子とソース端子との間が導通することで、FET113によって短絡された状態になる。この状態では、オペアンプ112の経路103によって実現される負帰還ループにおいて、出力端子の電圧レベルと、反転入力端子の電圧レベルとが等しくなるため、オペアンプ112のゲインは1になる。
【0027】
また、FET113がオフになると、FET113のドレイン端子とソース端子との間が非導通状態になることで、経路103によって実現されるオペアンプ112の負帰還ループの抵抗が非常に大きくなる(無限大になる)。このため、FET113がオフの状態では、オペアンプ112のゲインは非常に大きくなる。駆動回路100は、FET113のオン及びオフを切り替えることで、オペアンプ112の出力端子から出力される駆動制御信号の波形を制御し、アクチュエータ130を効率的に駆動可能にする。
【0028】
MCU120は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。MCU120は、制御部121を有する。制御部121は、MCU120が実行するプログラムの機能を機能ブロックとして示したものである。
【0029】
MCU120は、オペアンプ112の非反転入力端子と、FET113のゲート端子とに接続されており、非反転入力端子に基準信号を出力するとともに、FET113のゲート端子に制御信号を出力する。基準信号及び制御信号の動作の詳細については、図2を用いて後述する。
【0030】
<駆動回路100の動作>
図2は、駆動回路100の動作の一例を示すタイミングチャートである。図2において、横軸は時間tを表す。図2には、上から下にかけて順番に、基準信号1、基準信号2、制御信号、オペアンプ112のゲイン、オペアンプ112の出力電圧、駆動制御信号、FET111のドレイン-ソース間電圧VDS、アクチュエータ130の駆動電圧、及び、アクチュエータ130の駆動電圧(参考用の理想波形)を示す。ここで、アクチュエータ130の共振周波数の周期をTとする。また、上述したように、駆動制御信号は、経路102における抵抗器R2よりもFET113のゲート端子側の電圧を表す信号であるため、FET111のゲート電圧である。
【0031】
また、図2に示す駆動回路100の動作は、制御部121が実施形態の駆動回路の制御方法による処理を実行することで実現されるものである。
【0032】
アクチュエータ130の駆動電圧(参考用の理想波形)は、アクチュエータ130を駆動する際の理想的な駆動電圧の波形を示す。理想波形は、周期がTであり、周期Tの前半で電圧値が正弦波状に変化し、周期Tの後半では電圧値がゼロになる波形(半波整流の波形)である。このような波形を用いて周期Tを繰り返すと、LRAで構成されるアクチュエータ130を周期Tの前半で滑らかに加速することができる。正弦波状の波形によって、アクチュエータ130の振動子が滑らかに加速するからである。
【0033】
また、このような波形を用いて周期Tを繰り返すと、周期Tの後半で電圧を印加しないことで、アクチュエータ130の振動に制動力を掛けることなく、効率的に駆動できる。周期Tの後半で電圧を印加すると、アクチュエータ130の振動に制動力を掛けることになり、前半で増大した振動子の加速度を低減してしまうからである。このような理由から、アクチュエータ130に電圧を印加する前半では正弦波状の波形を有し、後半では電圧がゼロになる波形が理想的である。駆動回路100は、このような理想的な波形を模擬する。以下、駆動回路100がアクチュエータ130に供給する駆動電圧について説明する。
【0034】
図2に示す基準信号1及び2は、アクチュエータ130の共振周波数の周期Tと等しい周期を有する。すなわち、制御部121は、アクチュエータ130の共振周波数に応じた周期Tを有する基準信号1を出力する。また、制御部121は、基準信号1と制御信号の周期の始期を一致させる。
【0035】
また、以下では、制御部121が駆動回路100の動作を制御するにあたって、基準信号1及び制御信号について、周期Tの1/4の期間(T/4)と周期Tの1/2の期間(T/2)とを用いる。制御部121は、基準信号1及び制御信号をデジタル的に制御するため、基準信号1及び制御信号のビット数等によっては、周期Tを4で割り切れずに、T/4の期間は、周期Tを4で割った期間に対して端数の分だけずれる場合がある。同様に、T/2の期間は、周期Tを2で割った期間に対して端数の分だけずれる場合がある。周期Tの1/4の期間(T/4)、及び、周期Tの1/2の期間(T/2)とは、このようなずれを許容する意味である。
【0036】
<時刻t1~t2>
アクチュエータ130の共振周波数の周期Tの始期である時刻t1からT/4の時間が経過する時刻t2までの期間において、基準信号1は、PWM(パルス幅変調)パルス信号のオン及びオフを繰り返す波形パターンを有する。図2には、図面を簡略化して5本のPWMパルス信号を示すが、時刻t1~t2に向かってパルス幅を徐々に太くすれば、周期Tの始期から立ち上がり始める正弦波のT/4の区間を再現可能である。パルス幅を太くすることは、PWMパルス信号のデューティ比を増大させることに相当する。
【0037】
時刻t1~t2は、周期Tの始期からT/4の期間(周期Tの初めからT/4の期間)である。
【0038】
基準信号2は、基準信号1をRCフィルタ回路に通した信号であるため、図2に示すように、時刻t1~t2にかけて滑らかに立ち上がる波形を有する。基準信号1のPWMパルス信号のデューティ比を徐々に増大させることで、時刻t1~t2にかけて電圧値が滑らかに増大する基準信号2を実現できる。
【0039】
制御信号は、FET113のオン及びオフを制御する信号であり、時刻t1~t2ではL(Low)レベルに設定される。Lレベルでは、FET113はオフになる。周期Tの初めからT/4の期間では、アクチュエータ130の振動子を加速させるため、基準信号2をオペアンプ112の負帰還ループのゲインで増幅するためである。このため、時刻t1~t2では、オペアンプ112のゲインは無限大(∞)になる。
【0040】
時刻t1~t2では、オペアンプ112の出力電圧は、基準信号2の時刻t1~t2の期間の波形を増幅させた波形を有する。また、駆動制御信号は、オペアンプ112の出力電圧と同様に、基準信号2の時刻t1~t2の期間の波形を増幅させた波形を有する。駆動制御信号は、時刻t1から立ち上がり始めて直ぐに、FET111がオンになるゲート電圧の閾値TH以上になる。
【0041】
また、FET111のドレイン-ソース間電圧VDSは、時刻t1において、初期値VDS1から滑らかに低下し、時刻t2まで滑らかに低下し続ける。また、アクチュエータ130の駆動電圧は、駆動制御信号の波形と同様に、時刻t1~t2で滑らかに増大する。
【0042】
<時刻t2~t3>
時刻t2~t3は、周期TのT/4からT/2の期間である。
【0043】
時刻t2において、基準信号1のPWMパルス信号はオフにされる。すなわち、PWMパルス信号は、時刻t2~t3においてオフとなっている。
【0044】
基準信号2は、時刻t2でピークになり、時刻t2からは低下する。PWMパルス信号がオフになるからである。このため、基準信号2は、時刻t2以降において滑らかに低下する。RCフィルタ回路の時定数によって、波形の減衰率が決まる。
【0045】
制御信号は、時刻t2~t3においては、時刻t1~t2の期間に引き続きLレベルに設定される。周期TのT/4からT/2の期間では、低下しつつある基準信号2でアクチュエータ130の振動子を加速させるので、基準信号2をオペアンプ112の負帰還ループのゲインで増幅するために、Lレベルに設定される。このため、時刻t2~t3では、オペアンプ112のゲインは、時刻t1~t2の期間に引き続き無限大(∞)になる。
【0046】
時刻t2~t3では、オペアンプ112の出力電圧は、基準信号2の時刻t2~t3の期間の波形を増幅させた波形を有する。また、駆動制御信号は、オペアンプ112の出力電圧と同様に、基準信号2の時刻t2~t3の期間の波形を増幅させた波形を有する。駆動制御信号は、時刻t2~t3の期間では閾値TH以上である。
【0047】
また、FET111のドレイン-ソース間電圧VDSは、時刻t2において、増大し始め、時刻t3まで滑らかに増大する。また、アクチュエータ130の駆動電圧は、駆動制御信号の波形と同様に、時刻t2~t3で滑らかに低下する。
【0048】
<時刻t3~t4>
時刻t3~t4は、周期Tの始期からT/2の時点から、残りのT/2の期間である。すなわち、時刻t3~t4は、周期Tの後半のT/2の期間である。
【0049】
時刻t3~t4の期間では、基準信号1のPWMパルス信号は、時刻t2~t3の期間に引き続いてオフに保持される。すなわち、PWMパルス信号は、時刻t2~t4の期間においてオフに保持される。
【0050】
基準信号2は、時刻t3~t4の期間で低下し続ける。PWMパルス信号がオフの状態が続くからである。このため、基準信号2は、時刻t3以降において滑らかに低下する。RCフィルタ回路の時定数によって、波形の減衰率が決まる。
【0051】
制御信号は、時刻t3~t4においては、H(High)レベルに切り替えられる。周期Tの後半のT/2の期間では、アクチュエータ130に駆動電圧を印加しないようにするので、オペアンプ112の負帰還ループのゲインを1に設定するために、Hレベルに設定される。このため、時刻t3~t4では、オペアンプ112のゲインは、1になる。
【0052】
時刻t3~t4では、オペアンプ112の出力電圧は、基準信号2の時刻t3~t4の期間の波形を増幅せずにコピーしたような波形を有する。また、駆動制御信号は、オペアンプ112の出力電圧と同様に、基準信号2の時刻t3~t4の期間の波形を増幅せずにコピーしたような波形を有する。駆動制御信号は、時刻t3~t4の期間では閾値TH未満である。このため、FET111はオフである。
【0053】
また、FET111のドレイン-ソース間電圧VDSは、時刻t3において、VDS1に戻り、時刻t4までVDS1で一定になる。時刻t3~t4では、FET111がオフになるからである。また、アクチュエータ130の駆動電圧は、時刻t3~t4では、0Vになる。FET111がオフになっているからである。
【0054】
以上のように、周期Tの前半のT/2の期間では、アクチュエータ130の駆動電圧は、周期Tの始期(時刻t1)から滑らかに増大し、周期Tの始期からT/4の時点(時刻t2)でピークとなって、その後は滑らかに低下している。また、周期Tの後半のT/2の期間(時刻t3~t4)では、アクチュエータ130の駆動電圧は0Vになる。このため、図2の一番下に示す理想波形を模擬したような波形が得られている。
【0055】
制御部121は、制御信号のオフ期間において基準信号が繰り返しオンにされるように制御する。また、制御信号は、アクチュエータ130の共振周波数における周期Tの初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされる。また、基準信号は、アクチュエータ130の共振周波数の周期Tの初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされる。また、基準信号は、周期Tの初めの1/4の期間内において、PWMパルス信号のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされる。
【0056】
制御部121は、周期Tの初めのT/4の期間において、PWMパルス信号のデューティ比を増大させながら繰り返しオンになる基準信号を出力するとともに、PWMパルス信号をオフにする。これにより、制御部121は、基準信号2をオペアンプ112で増幅して、正弦波の最初のT/4の期間の波形に相当するアクチュエータ130の駆動電圧を生成する。
【0057】
また、制御部121は、周期Tの始期からT/4が経過した時点(時刻t2)からT/4の期間(時刻t2~t3)において、PWMパルス信号をオフした基準信号を出力するとともに、PWMパルス信号をオフにする。これにより、制御部121は、基準信号2をオペアンプ112で増幅して、正弦波の始期からT/4が経過した時点(時刻t2)からT/4の期間の波形に相当するアクチュエータ130の駆動電圧を生成する。
【0058】
また、制御部121は、周期Tの後半のT/2の期間において、PWMパルス信号をオフにした基準信号を出力するとともに、制御信号をオンにする。これにより、制御部121は、0Vの駆動電圧をアクチュエータ130に供給する。
【0059】
このようにして周期Tで得られるアクチュエータ130の駆動電圧は、図2に示すように、周期Tの前半では時刻t2でピークを取り、滑らかに増減する波形になり、後半では0Vに保持された波形になる。このような波形は、図2の一番下に示す理想的な波形を模擬した波形である。
【0060】
このため、周期Tの前半では、アクチュエータ130の振動子を滑らかに加速させることができ、後半では前半での加速に制動力を与えることなく、惰性で滑らかに振動させることができる。したがって、アクチュエータ130を効率的に駆動可能である。なお、より強い振動を発生させる際には、周期Tの駆動を複数周期にわたって繰り返せばよい。
【0061】
<効果>
駆動回路100は、共振周波数を有するアクチュエータ130(負荷)とグランド電位点(基準電位点)とを接続する電流経路101に挿入されるFET111(第1スイッチング素子)と、電流経路101に流れる電流を電圧に変換した負荷信号が入力される第1入力端子(-)と、FET111(第1スイッチング素子)の動作の基準になる基準信号(第1制御信号)が入力される第2入力端子(+)と、FET111(第1スイッチング素子)の制御端子に接続される出力端子とを有するオペアンプ112(駆動素子)と、オペアンプ112(駆動素子)の出力端子とオペアンプ112(駆動素子)の第1入力端子(-)とを接続する第1接続経路に挿入されるFET113(第2スイッチング素子)とを含む。このことにより、FET113のオン及びオフを切り替えることでオペアンプ112のゲインを切り替えることができ、周期Tの後半でオペアンプ112のゲインを1にすることで、後半でアクチュエータ130に制動力が掛かることを抑制できる。
【0062】
したがって、負荷を効率的に駆動可能な駆動回路100を提供することができる。
【0063】
また、アクチュエータ130を駆動するFETは、アクチュエータ130のローサイド側に接続される1つのFET111のみである。例えば、電流駆動用のサイズの大きい4つのFETをHブリッジ型に接続する駆動回路も存在するが、このような駆動回路に対して、電流駆動用のFETの数が少なく簡易な構成の駆動回路100を提供できる。
【0064】
また、オペアンプ112(駆動素子)の出力端子とFET111(第1スイッチング素子)の制御端子とを接続する経路102(第2接続経路)に挿入される第1抵抗器(R2)をさらに含んでもよい。オペアンプ112の出力端子から経路102に流れる突入電流の電流値を制限してオペアンプ112の負荷を軽減し、オペアンプ112を保護することができる。
【0065】
また、第1抵抗器(R2)とFET111(第1スイッチング素子)の制御端子との間で経路102(第2接続経路)から分岐する分岐点とグランド電位点(基準電位点)とを接続する経路104(分岐経路)に挿入される第2抵抗器(R3)をさらに含んでもよい。オペアンプ112の出力が不定になっても、経路102の電圧をグランド電位点付近の電圧にすることができ、駆動回路100の安定的な動作が可能になる。
【0066】
また、アクチュエータ130(負荷)は、リニア共振アクチュエータであり、FET111(第1スイッチング素子)及びFET113(第2スイッチング素子)は、電界効果トランジスタであり、オペアンプ112(駆動素子)は、オペアンプであってもよい。リニア共振アクチュエータ、電界効果トランジスタ、及びオペアンプを用いることで、リニア共振アクチュエータを効率的に駆動可能な駆動回路100を提供することができる。
【0067】
また、オペアンプ112(駆動素子)とFET113(第2スイッチング素子)とを制御する制御部121をさらに含んでもよい。制御部121は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う基準信号(第1制御信号)をオペアンプ112(駆動素子)に出力してもよく。また、制御部121は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う制御信号(第2制御信号)をFET113(第2スイッチング素子)に出力してもよく。さらに、制御部121は、基準信号(第1制御信号)と制御信号(第2制御信号)の周期の始期を一致させるとともに、制御信号(第2制御信号)のオフ期間において基準信号(第1制御信号)が繰り返しオンにされるように制御してもよい。負荷の駆動信号を緩やかに立ち上げられるので、効率的に負荷を駆動させることができる。
【0068】
また、制御部121は、オペアンプ112(駆動素子)の第2入力端子(+)と、FET113(第2スイッチング素子)の制御端子とに接続されてもよく。そして、制御部121は、第2入力端子に基準信号(第1制御信号)を出力するとともに、FET113(第2スイッチング素子)の制御端子に制御信号(第2制御信号)を出力してもよい。制御部121がオペアンプ112とFET113を駆動することで、FET111を駆動可能な駆動回路100を提供できる。
【0069】
また、制御信号(第2制御信号)は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数における周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされてもよく。そして、基準信号(第1制御信号)は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされてもよい。周期Tの前半で正弦波状に変化し、後半でアクチュエータ130に制動力を掛けないようにアクチュエータ130を駆動可能な駆動電圧を生成可能であり、負荷をより効率的に駆動可能な駆動回路100を提供することができる。
【0070】
基準信号(第1制御信号)は、初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされてもよい。周期Tの最初のT/4の期間で、アクチュエータ130の振動子を確実に加速させることができ、良好な振動が得られる。
【0071】
触覚発生装置100Aは、上記に記載の駆動回路100と、アクチュエータ130(負荷)とを含む。したがって、負荷を効率的に駆動可能な触覚発生装置100Aを提供することができる。
【0072】
駆動回路の制御方法は、共振周波数を有するアクチュエータ130(負荷)とグランド電位点(基準電位点)とを接続する電流経路101に挿入されるFET111(第1スイッチング素子)と、FET111(第1スイッチング素子)の駆動制御を行うオペアンプ112(駆動素子)と、オペアンプ112(駆動素子)の出力端子とオペアンプ112(駆動素子)の第1入力端子(-)とを接続する経路103(第1接続経路)に挿入されるFET113(第2スイッチング素子)と、オペアンプ112(駆動素子)とFET113(第2スイッチング素子)とを制御する制御部121とを含み、制御部121は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う基準信号(第1制御信号)をオペアンプ112(駆動素子)に出力し、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う制御信号(第2制御信号)をFET113(第2スイッチング素子)に出力し、基準信号(第1制御信号)と制御信号(第2制御信号)の周期の始期を一致させるとともに、制御信号(第2制御信号)のオフ期間において基準信号(第1制御信号)が繰り返しオンにされるように制御する。負荷の駆動信号を緩やかに立ち上げられるので、負荷を効率的に駆動可能な駆動回路の制御方法を提供することができる。
【0073】
また、制御信号(第2制御信号)は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数の周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされてもよく。そして、基準信号(第1制御信号)は、アクチュエータ130(負荷)の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされてもよい。周期Tの前半で正弦波状に変化し、後半でアクチュエータ130に制動力を掛けないようにアクチュエータ130を駆動可能な駆動電圧を生成可能であり、負荷をより効率的に駆動可能な駆動回路100を提供することができる。
【0074】
基準信号(第1制御信号)は、初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされてもよい。周期Tの最初のT/4の期間で、アクチュエータ130の振動子を確実に加速させることができ、良好な振動が得られる。
【0075】
以上、本開示の例示的な実施形態の駆動回路、触覚発生装置、及び、駆動回路の制御方法について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0076】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、
前記電流経路に流れる電流を電圧に変換した負荷信号が入力される第1入力端子と、前記第1スイッチング素子の動作の基準になる第1制御信号が入力される第2入力端子と、前記第1スイッチング素子の制御端子に接続される出力端子とを有する駆動素子と、
前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子と
を含む、駆動回路。
(付記2)
前記駆動素子の出力端子と前記第1スイッチング素子の制御端子とを接続する第2接続経路に挿入される第1抵抗器をさらに含む、付記1に記載の駆動回路。
(付記3)
前記第1抵抗器と前記第1スイッチング素子の制御端子との間で前記第2接続経路から分岐する分岐点と前記基準電位点とを接続する分岐経路に挿入される第2抵抗器をさらに含む、付記2に記載の駆動回路。
(付記4)
前記負荷は、共振周波数を有する誘導性負荷であり、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、前記駆動素子は、オペアンプである、付記1乃至3のいずれか1項に記載の駆動回路。
(付記5)
前記駆動素子と前記第2スイッチング素子とを制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第1制御信号を前記駆動素子に出力し、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第2制御信号を前記第2スイッチング素子に出力し、
前記第1制御信号と前記第2制御信号の周期の始期を一致させるとともに、前記第2制御信号のオフ期間において前記第1制御信号が繰り返しオンにされるように制御する、付記1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
(付記6)
前記制御部は、前記駆動素子の第2入力端子と、前記第2スイッチング素子の制御端子とに接続されており、前記第2入力端子に前記第1制御信号を出力するとともに、前記第2スイッチング素子の制御端子に第2制御信号を出力する、付記5に記載の駆動回路。
(付記7)
前記第2制御信号は、前記負荷の共振周波数における周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされ、
前記第1制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされる、付記5に記載の駆動回路。
(付記8)
前記第1制御信号は、前記初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされる、付記7に記載の駆動回路。
(付記9)
付記1乃至8のいずれか1項に記載の駆動回路と、
前記負荷と
を含む、触覚発生装置。
(付記10)
共振周波数を有する負荷と基準電位点とを接続する電流経路に挿入される第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の駆動制御を行う駆動素子と、
前記駆動素子の出力端子と前記駆動素子の第1入力端子とを接続する第1接続経路に挿入される第2スイッチング素子と、
前記駆動素子と前記第2スイッチング素子とを制御する制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第1制御信号を前記駆動素子に出力し、
前記負荷の共振周波数に応じた周期を有し、各周期内でオン及びオフを行う第2制御信号を前記第2スイッチング素子に出力し、
前記第1制御信号と前記第2制御信号の周期の始期を一致させるとともに、前記第2制御信号のオフ期間において前記第1制御信号が繰り返しオンにされるように制御する、駆動回路の制御方法。
(付記11)
前記第2制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/2の期間でオフにされ、残りの1/2の期間でオンにされ、
前記第1制御信号は、前記負荷の共振周波数の周期の初めの1/4の期間内において繰り返しオンにされ、残りの3/4の期間ではオフにされる、付記10に記載の駆動回路の制御方法。
(付記12)
前記第1制御信号は、前記初めの1/4の期間内において、パルス幅変調のデューティ比を増大させながら繰り返しオンにされる、付記11に記載の駆動回路の制御方法。
【符号の説明】
【0077】
100 駆動回路
100A 触覚発生装置
111 FET(第1スイッチング素子の一例)
112 オペアンプ(駆動素子の一例)
113 FET(第2スイッチング素子の一例)
R1~R7 抵抗器(抵抗器R2は第1抵抗器の一例、抵抗器R3は第2抵抗器の一例)
120 MCU
121 制御部
130 アクチュエータ(負荷の一例)
図1
図2