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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145332
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】シート空調装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20241004BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20241004BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20241004BHJP
   B60N 2/879 20180101ALI20241004BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A47C7/74 C
A47C27/00 F
B60N2/56
B60N2/879
B60H1/00 102V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057634
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 健彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 好彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】長倉 夕季
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JG01
3B084JG04
3B084JG06
3B087DC05
3B087DE03
3B096AC12
3L211BA08
3L211DA53
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制することと、送風効率の向上との両立を図ることができるシート空調装置を提供する。
【解決手段】シート空調装置1は、シート2に用いられるシート空調装置1であって、送風機20と、シート2に着座する人の上体に対して送風機20からの空気を吐出するノズル部36を介し、シート2に設けられた第1吐出口31aから吐出するための空気を導く第1通風路31とを備える。また、ノズル部36は、シート2のシートバック13を側面から見たときのシートバック13の厚みを二分する中心軸Oよりも後方に配置され、シート2に着座する人の上体に向けて空気を吐出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに用いられるシート空調装置であって、
送風機と、
前記シートに着座する人の上体に対して前記送風機からの空気を吐出するノズル部を介し、前記シートに設けられた第1吐出口から吐出するための空気を導く第1通風路とを備え、
前記ノズル部は、前記シートのシートバックを側面から見たときの前記シートバックの厚みを二分する中心軸よりも後方に配置され、前記シートに着座する人の上体に向けて空気を吐出する
シート空調装置。
【請求項2】
前記送風機によって前記シートに着座する人の背部に対し、前記シートに設けられた第2吐出口から吐出するための空気を導く第2通風路を、さらに備え、
前記第2吐出口は、前記中心軸よりも前方に配置される
請求項1に記載のシート空調装置。
【請求項3】
前記第1吐出口から吐出された空気によって、前記シートに着座する人に吹き付けられる空気の流量は、前記第2吐出口から吐出された空気によって、前記シートに着座する人に吹き付けられる空気の流量よりも多い
請求項2に記載のシート空調装置。
【請求項4】
前記第1通風路は、さらに、前記シートバックの前後方向に貫通した貫通路を有し、
前記貫通路には、一部が狭められた絞り部が形成され、
前記ノズル部は、前記絞り部に向けて空気を吐出するように前記貫通路内に配置され、
前記第1通風路は、前記ノズル部から吐出された第1の空気と、前記第1の空気により前記貫通路に誘導される第2の空気とを混合した第3の空気を吐出する
請求項1~3のいずれか1項に記載のシート空調装置。
【請求項5】
前記貫通路は、前記シートバックに配置された筒体である
請求項4に記載のシート空調装置。
【請求項6】
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し、
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載のシート空調装置。
【請求項7】
前記第1通風路は、さらに、前記シートバックの前後方向に貫通し、
前記第1通風路には、一部が狭められた絞り部が形成され、
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置され、
前記絞り部は、前記ヘッドレスト及び前記シートバックの形状に応じて形成される
請求項1~3のいずれか1項に記載のシート空調装置。
【請求項8】
前記第1吐出口は、前記ノズル部によって形成され、
前記シートバックは、前記ノズル部から吐出された空気を案内するガイド部を有し、
前記ノズル部は、前記ガイド部に向けて空気を吐出するように、前記シートバックの表面に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載のシート空調装置。
【請求項9】
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記ヘッドレスト及び前記シートバックのそれぞれに設けられ、
各前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載のシート空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートに着座する人に送風するシート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の熱電調整システムが開示されている。この熱電調整システムは、メインサイドと廃棄サイドとを有する熱電装置と、熱電装置によって生成された熱エネルギーが流体の流れに、又は流体の流れから伝達されるように、熱電装置と熱的に連絡する流体の流れを生成する流体移送装置と、メインサイド流路、廃棄サイド流路、及び/又はバイパス流路を通流する流体の流れを導く流量制御弁とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-511801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の熱電調整システムでは、流量制御弁及びバイパス流路が搭載されることによって追加のスペースが設けられることとなる。これらの搭載による通気抵抗の増大を避けるためには、システムの大型化が不可避になる。
【0005】
また、従来の熱電調整システムを大型化したとしても、熱電装置と流体移送装置とを繋ぐ流路の容量以上の風量を出すことはできず、送風効率の向上を図ることが困難であるという課題がある。
【0006】
そこで、本開示では、大型化を抑制することと、送風効率の向上との両立を図ることができるシート空調装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るシート空調装置は、シートに用いられるシート空調装置であって、送風機と、前記シートに着座する人の上体に対して前記送風機からの空気を吐出するノズル部を介し、前記シートに設けられた第1吐出口から吐出するための空気を導く第1通風路とを備え、前記ノズル部は、前記シートのシートバックを側面から見たときの前記シートバックの厚みを二分する中心軸よりも後方に配置され、前記シートに着座する人の上体に向けて空気を吐出する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のシート空調装置では、大型化を抑制することと、送風効率の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態におけるシート空調装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態におけるシート空調装置を示す正面図である。
図3図3は、実施の形態におけるシート空調装置を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態におけるシートバック等を示す部分拡大断面図である。
図5図5は、実施の形態の変形例1におけるシートバック等を示す部分拡大断面図である。
図6図6は、実施の形態の変形例2におけるシートバック等を示す部分拡大断面図である。
図7図7は、実施の形態の変形例3におけるシートバック等を示す部分拡大断面図である。
図8図8は、実施例1におけるシートバック等を示す図である。
図9図9は、実施例2におけるシートバック等を示す図である。
図10図10は、その他変形例におけるシート空調装置を示す斜視図である。
図11図11は、その他変形例におけるシートバック等を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
また、以下の実施の形態において、板状、略平行及びX軸方向等の表現を用いている。例えば、板状、略平行及びX軸方向は、完全に板、平行及びX軸方向であることを意味するだけでなく、実質的に板、略平行及びX軸方向である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、板状、略平行及びX軸方向は、本開示による効果を奏し得る範囲において板状、略平行及びX軸方向という意味である。他の「状」、「略」、「方向」を用いた表現がある場合についても同様である。
【0013】
以下の説明において、シートの前後方向をX軸方向と称し、シートの上下方向をZ軸方向と称す。さらに、シートの左右方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向のそれぞれに垂直な方向をY軸方向と称す。また、X軸方向において、シートの前側をプラス方向側と称し、シートの後側をマイナス方向側と称す。また、Y軸方向において、シートの左側(図1の右手前側)をプラス方向側と称し、その反対側をマイナス方向側と称す。また、右側とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の右側であり、Y軸マイナス方向側である。また、左側とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の左側であり、Y軸プラス方向側である。また、Z軸方向において、シートの上側をプラス方向側と称し、シートの下側をマイナス方向側と称す。図2以降においても、同様に適用する。
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(実施の形態)
<構成>
まず、図1図4を用いて、本実施の形態のシート空調装置1について説明する。
【0016】
図1は、実施の形態におけるシート空調装置1の外観を示す斜視図である。図1では、シート2内の空気の流れを破線で示し、シート2から吐出された空気を白抜きの矢印で示している。図2は、実施の形態におけるシート空調装置1を示す正面図である。図3は、実施の形態におけるシート空調装置1を示すブロック図である。図4は、実施の形態におけるシートバック13等を示す部分拡大断面図である。なお、図1では、シート2の内部の流路を流れる空気を破線で示し、第1吐出口31a及び第2吐出口32aから吐出される空気を白抜きの矢印で示している。また、図1では、図面が煩雑になることを避けるため、シート2の内部における空気の流れの一部、及び、第2吐出口32aから吐出される空気流れの一部を省略している。また、図4では、図面が煩雑になることを避けるため、ヘッドレスト15を省略している。
【0017】
図1に示すように、例えば車両等に装備されているシート空調装置1は、シート2に着座した人に向けて、人の後ろから人の上半身に空気を吹き付けることで、シート2に着座する人を冷やしたり暖めたりする。具体的には、シート空調装置1は、車室内の空気を吸い込み、シート2に着座する人の上体である頭部、首、肩峰、背部、及び腰部等に吸い込んだ空気を吹き付けることで人の身体を冷やしたり暖めたりすることが可能である。
【0018】
図1図3に示すように、このようなシート空調装置1は、シート2と、送風機20と、吸気ダクト21と、送風ダクト22と、排気ダクト23と、第1通風路31と、第2通風路32と、熱交換器33と、制御部40と、電源部50とを備える。
【0019】
シート2は、人が着座するための座部10と、シートバック13と、ヘッドレスト15とを備える。
【0020】
座部10は、シート2に着座する人の臀部及び大腿部等を支えるシートクッションである。座部10は、クッション材に相当する第1シートパッドと、その第1シートパッドを覆う第1シートカバーとを有する。
【0021】
第1シートパッドは、例えばウレタンフォーム等のクッション材で構成される。第1シートパッドは、厚みのある略矩形の板状であり、X-Y平面に対し所定の角度で傾いた姿勢で配置される。第1シートカバーは、第1シートパッドを覆うカバーである。第1シートカバーは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
【0022】
シートバック13は、シート2に着座する人の肩峰、背部及び腰部を支える背もたれ部である。シートバック13は、Z軸方向に沿って長尺であり、座部10に対して立上るように配置される。シートバック13は、人の姿勢に応じてY軸を中心に背もたれ角度を調整できる。シートバック13は、クッション材に相当する第2シートパッドと、その第2シートパッドを覆う第2シートカバーとを有する。
【0023】
第2シートパッドは、例えばウレタンフォーム等のクッション材で構成される。第2シートパッドは、厚みのある略矩形の板状である。第2シートカバーは、第2シートパッドを覆うカバーである。第2シートカバーは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
【0024】
また、図2及び図4に示すように、シートバック13の背面(X軸マイナス方向側の面)には、凹部14が形成される。つまり、シートバック13の背面では、凹部14によって通風空間Kが形成されている。通風空間Kは、吸気ダクト21の吸気開口21aから吸気された空気を吐出するための第1通風路31、第2通風路32及び送風ダクト22と接続されている。このため、通風空間Kには送風ダクト22を経由した空気が流入し、流入した空気が通風空間Kから第1通風路31及び第2通風路32に導かれ、第1吐出口31a及び第2吐出口32aから空気が吐出される。
【0025】
第1吐出口31aは、シート2のシートバック13を側面から見た(Y軸方向に沿って見た)ときに、後方(X軸マイナス方向)に配置される。第1吐出口31aは、送風機20によってシート2に着座する人の上体に向けて空気を吐出することができる。本実施の形態の第1吐出口31aは、シートバック13のZ軸プラス方向側の表面に配置されている。
【0026】
第2吐出口32aは、シート2のシートバック13を側面から見た(Y軸方向に沿って見た)ときのシートバック13の厚みを二分する中心軸Oよりも前方(X軸プラス方向)に配置される。第2吐出口32aは、送風機20によってシート2に着座する人の背部及び腰部に対して空気を吐出することができる。本実施の形態の第2吐出口32aは、シートバック13の前面(X軸プラス方向側の表面)に配置されている。
【0027】
図1に示すように、シートバック13のZ軸プラス方向側の端部には、ヘッドレスト15が設けられている。ヘッドレスト15は、シート2に着座する人の頭部を衝撃発生時等に拘束するシート2の構成部材の1つである。ヘッドレスト15は、シートバック13と支柱で接続されている。
【0028】
また、図2及び図4に示すように、シートバック13には、送風機20、吸気ダクト21、送風ダクト22、排気ダクト23、第1通風路31、第2通風路32、及び熱交換器33が設けられている。なお、送風機20、吸気ダクト21、送風ダクト22、第1通風路31、第2通風路32、及び、熱交換器33は、シートバック13の第2シートパッドに収容されている。
【0029】
本実施の形態では、送風機20、吸気ダクト21、送風ダクト22、第1通風路31、第2通風路32、及び熱交換器33は、シートバック13の裏面側(X軸マイナス方向側)に配置されている。
【0030】
吸気ダクト21は、送風機20に接続されている。本実施の形態では、吸気ダクト21は、吸気開口21aがシートバック13のY軸プラス方向側に位置するように配置されている。
【0031】
送風ダクト22は、送風機20、通風空間K、及び、排気ダクト23に接続されている。具体的には、送風ダクト22の一端は送風機20に接続され、他端が通風空間Kに接続されている。また、排気ダクト23は、送風ダクト22における一端と他端との間に接続されている。
【0032】
本実施の形態では、排気ダクト23は、排気開口23aがシートバック13のY軸マイナス方向側に位置するように配置されている。排気開口23aは、送風機20を挟んで、吸気開口21aとできるだけ離れるように配置されている。
【0033】
送風機20は、吸気ダクト21及び送風ダクト22に接続されている。送風機20は、シート2のシートバック13の後方に配置された吸気ダクト21の吸気開口21aから空気を吸気し、吸気した空気を送風ダクト22に送ることで、第1吐出口31a及び第2吐出口32aから空気を吐出させる。具体的には、送風機20は、制御部40に駆動制御されることで、吸気ダクト21の吸気開口21aから空気を吸気し、吸気ダクト21を経て吸気した空気を送風ダクト22、通風空間K及び第1通風路31を経由して第1吐出口31aから吐出させたり、吸気ダクト21を経て吸気した空気を送風ダクト22、通風空間K及び第2通風路32を経由して第2吐出口32aから吐出させたりする。
【0034】
また、送風機20が制御部40に駆動制御されて吸気ダクト21の吸気開口21aから空気を吸気する際に、送風ダクト22及び排気ダクト23を経由して、熱交換された空気が排気される。
【0035】
送風ダクト22と排気ダクト23との接続部分には、ペルチェ素子、複数のフィン等で構成された熱交換器33が設けられている。熱交換器33は、電流の印加に基づいて制御される。
【0036】
熱交換器33は、送風側熱交換部33aと、排気側熱交換部33bとを有する。
【0037】
送風側熱交換部33aは送風ダクト22に設けられ、排気側熱交換部33bは排気ダクト23に設けられる。このため、送風側熱交換部33aを通過した空気は、送風ダクト22に導かれて通風空間Kに送られる。つまり、送風ダクト22は、熱交換器33で熱交換した空気を通風空間Kに送ることができる。また、排気側熱交換部33bを通過した空気は、排気ダクト23に導かれて排気開口23aから排気される。つまり、排気ダクト23は、熱交換器33で熱交換した空気を排気することができる。
【0038】
例えば、熱交換器33を冷却装置として利用する場合、制御部40が電源部50を制御して熱交換器33に印加する電流を制御することで、送風側熱交換部33aを通過した空気を、排気側熱交換部33bを通過した空気よりも低温にできる。これにより、送風側熱交換部33aで熱交換された低温の空気が通風空間Kに送られて各吐出口から吐出され、排気側熱交換部33bで熱交換された高温の空気が排気ダクト23に送られて排気開口23aから排気される。
【0039】
また、熱交換器33を加熱装置として利用する場合、制御部40が電源部50を制御して熱交換器33に印加する電流を制御することで、送風側熱交換部33aを通過した空気を、排気側熱交換部33bを通過した空気よりも高温にできる。これにより、送風側熱交換部33aで熱交換された高温の空気が通風空間Kに送られて各吐出口から吐出され、排気側熱交換部33bで熱交換された低温の空気が排気ダクト23に送られて排気開口23aから排気される。
【0040】
第1通風路31及び第2通風路32は、通風空間Kと接続されている。本実施の形態では、第1通風路31及び第2通風路32は、シートバック13の表面から通風空間Kに至るように形成された貫通孔であるが、樹脂等で構成されたダクトであってもよい。この場合、シートバック13に形成された貫通孔に第1通風路31を形成するダクト及び第2通風路32を形成するダクトが設けられていてもよい。
【0041】
第1通風路31に導かれた空気は、第1吐出口31aから吐出され、第2通風路32に導かれた空気は第2吐出口32aから吐出される。
【0042】
第1通風路31は、送風機20からの空気を吐出するノズル部36を有する。ノズル部36は、シート2のシートバック13を側面から見た(Y軸方向に沿って見た)ときのシートバック13の厚みを二分する中心軸Oよりも後方(X軸マイナス方向)に配置される。
【0043】
ノズル部36は、第1吐出口31aを形成している。したがって、送風機20からの空気は、それを吐出するノズル部36を介して第1吐出口31aから吐出されることとなる。ノズル部36は、第1通風路31の一部が狭められるように形成されている。つまり、ノズル部36内の流路面積は、ノズル部36を除いた第1通風路31内の流路面積よりも小さい。このため、第1通風路31に導かれ、ノズル部36の第1吐出口31aから吐出される空気は、流速が速くなり、高速の気流となる。
【0044】
また、ノズル部36は、シートバック13の上面に設けられたガイド部37に向けて第1吐出口31aが空気を吐出するように、Z軸方向に対して流路が傾斜している。ガイド部37は、シートバック13において、ノズル部36及び第1吐出口31aよりも前方に配置され、ノズル部36から吐出された空気を案内する。
【0045】
このような構成のため、ノズル部36の第1吐出口31aから吐出される空気は、シートバック13の表面に沿って吐出されることで、シートバック13のガイド部37に案内されることとなる。図4に示すように、ノズル部36で生み出された高速の気流K1は、ガイド部37に案内されながら、負圧によって車室内における周囲の空気を誘引する。車室内における周囲の空気は、高速の気流K1の負圧によって誘引されて気流K2となり、高速の気流K1とともに第1の吹出し風(K1+K2)となって前方に吹出される。これにより、第1の吹出し風がシートバック13に着座している人の上体に吹き付けられる。
【0046】
第2通風路32は、通風空間Kに至った空気を第2吐出口32aへ案内する。第2吐出口32aからは、当該空気が第2の吹出し風となってX軸プラス方向側に吹出される。これにより、第2の吹出し風がシートバック13に着座している人に吹き付けられる。このとき、第2通風路32の第2吐出口32aから吐出される空気は、ノズル部36の第1吐出口31aから吐出される空気の流速よりも遅い。
【0047】
このように、ノズル部36が生み出した高速の気流は、負圧によって車室内の空気を誘引してより大きな第1の吹出し風となって人に吹き付けられ、第2吐出口32aが吐出した空気は第2の吹出し風となって単に人に吹き付けられる。このため、本実施の形態のシート空調装置1では、第1吐出口31aから吐出された空気によって、シート2に着座する人に吹き付けられる空気の流量は、第2吐出口32aから吐出された空気によって、シート2に着座する人に吹き付けられる空気の流量よりも多くなる。
【0048】
制御部40は、送風機20及び熱交換器33を制御する。制御部40は、送風機20及び熱交換器33に流す電流をオンオフしたり、電流値を変更することで送風機20の出力を制御したり、熱交換器33を冷却装置として利用したり、熱交換器33を加熱装置として利用したりするマイクロコンピュータである。
【0049】
また、制御部40は、車両に搭載されるエアコンディショナの制御部(以下、エアコン制御部)と通信する機能を有していてもよい。この場合、制御部40はエアコン制御部に制御信号を送信したり、エアコンディショナの動作状態を受信したりすることができる。
【0050】
電源部50は、送風機20及び熱交換器33に電力を供給する電源回路である。ここでは、電源部50は図示しないバッテリから供給される直流電源である。電源部50は、制御部40によって制御されることで、送風機20及び熱交換器33に供給する電流を調節する。
【0051】
<作用効果>
次に、本実施の形態におけるシート空調装置1の作用効果について説明する。
【0052】
上述したように、本実施の形態のシート空調装置1は、シート2に用いられるシート空調装置1であって、送風機20と、シート2に着座する人の上体に対して送風機20からの空気を吐出するノズル部36を介し、シート2に設けられた第1吐出口31aから吐出するための空気を導く第1通風路31とを備える。また、ノズル部36は、シート2のシートバック13を側面から見たときのシートバック13の厚みを二分する中心軸Oよりも後方(X軸マイナス方向側)に配置され、シート2に着座する人の上体に向けて空気を吐出する。
【0053】
これによれば、ノズル部36が中心軸Oよりも後方側に位置し、かつ、高速の気流を生み出すことができ、さらに、ノズル部36から人の上体までの距離と風路を確保することができるため、ノズル部36が吐出した空気が周囲の空気を誘引することができる。このため、ノズル部36が吐出した空気は、周囲の空気を誘引しながら、より大きな風量となって第1吐出口31aからシート2に着座する人に吹き付けられる。これにより、人に吹き付ける風量を大きくするために、送風機20及び第1通風路31を大きくしなくてもよくなる。
【0054】
したがって、このシート空調装置1では、大型化を抑制することと、送風効率の向上との両立を図ることができる。
【0055】
また、本実施の形態のシート空調装置1において、送風機20によってシート2に着座する人に対し、シート2に設けられた第2吐出口32aから吐出するための空気を導く第2通風路32を、さらに備える。そして、第2吐出口32aは、中心軸Oよりも前方に配置される。
【0056】
これによれば、送風機20からの空気は、ノズル部36を介さずに第2吐出口32aから吐出されるので、風量が大きくなることなく人に空気が吹き付けられる。したがって、人の部位に応じて最適な風量となるように、例えば、温冷感を感じやすい首筋には第1吐出口31aから風量を大きくした空気を吹き付け、着衣により首筋ほど温冷感を感じ難い背部には第2吐出口32aからマイルドな風量の空気を吐出することができる。
【0057】
また、本実施の形態のシート空調装置1において、第1吐出口31aから吐出された空気によって、シート2に着座する人に吹き付けられる空気の流量は、第2吐出口32aから吐出された空気によって、シート2に着座する人に吹き付けられる空気の流量よりも多い。
【0058】
これによれば、第1吐出口31aから吐出された空気が周囲の空気を誘引することで、第1吐出口31aから吐出された空気の流量(風量)がより大きくなった第1の吹出し風を人の上体に吹き付けることができる。つまり、人の上体の特に首元に吹き付けられる空気の流量が背部に吹き付けられる空気の流量よりも多くなる。したがって、温度変化を感じやすい首元に、より多くの冷風、又は、温風が吹き付けられるので、送風機20の風量を変えることなく、有効に温冷感を人に与えることができる。
【0059】
また、本実施の形態のシート空調装置1において、シート2は、人の上体を支持するシートバック13と、ヘッドレスト15とを有する。また、ヘッドレスト15は、シートバック13と支柱16で接続される。そして、ノズル部36は、支柱16よりも後方に配置される。
【0060】
これによれば、ノズル部36から人の上体までの距離と風路を確保することができるため、この風路で、ノズル部36が吐出した高速の空気が周囲の空気を、より誘引することができるようになる。このため、シート空調装置1の大型化をより抑制することができる。
【0061】
また、本実施の形態のシート空調装置1において、第1吐出口31aは、ノズル部36によって形成される。また、シートバック13は、ノズル部36から吐出された空気を案内するガイド部37を有する。そして、ノズル部36は、ガイド部37に向けて空気を吐出するように、シートバック13の表面に配置される。
【0062】
これによれば、ノズル部36から吐出された空気がガイド部37で案内されるため、当該空気は、周囲の空気を誘引しながら、さらに大きな風となってシート2に着座する人に吹き付けられる。このため、シート空調装置1の大型化をより抑制することができる。
【0063】
(実施の形態の変形例1)
まず、図5を用いて、本変形例のシート空調装置1a、1bについて説明する。
【0064】
図5は、実施の形態の変形例1におけるシートバック13a、13b等を示す部分拡大断面図である。図5の(a)は、シート空調装置1aの筒体130がX軸方向に沿って配置されている場合を示している。図5の(b)は、シート空調装置1bの筒体130aがシートバック13bの内部に配置されている場合を示している。
【0065】
本変形例では、第1通風路31が筒体130、130aで構成されている点、第1吐出口131aが筒体130、130aに形成されている点等で、実施の形態のシート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0066】
図5の(a)に示すように、本変形例のシート空調装置1aの第1通風路31は、X軸方向に延びる筒体130を有する。筒体130は、シートバック13aのX軸方向に貫通した貫通路131を有する。つまり、筒体130は、X軸方向で開口している。本変形例の筒体130は、シートバック13aのZ軸プラス方向側の面に配置されている。
【0067】
貫通路131には、一部が狭められた絞り部137が形成されている。つまり、筒体130は、絞り部137を有する。絞り部137は、貫通路131の一部を狭めるように構成されている。つまり、絞り部137の流路面積は、絞り部137を除いた貫通路131内の流路面積よりも小さくなるように設定されている。
【0068】
貫通路131内には、ノズル部136が配置されている。ノズル部136は、絞り部137に向けて空気を吐出するように貫通路131内に配置されている。つまり、ノズル部136は、筒体130の内壁から突出した状態で配置され、ノズル開口136aが貫通路131の絞り部137と対向するように配置されている。
【0069】
ノズル部136は、空気の流入元であるシートバック13aの第1通風路31と接続している。このため、送風機20から送られた空気が送風ダクト22、通風空間K、及び、シートバック13aの第1通風路31を介して、ノズル部136のノズル開口136aから吐出される。
【0070】
また、ノズル部136のノズル開口136aと貫通路131との間には、空気が通過する流路が形成されている。流路は、貫通路131の一部であり、白抜きの矢印で示すように、空気を通過させる。
【0071】
なお、ノズル部136の先端、つまりノズル開口136aは、絞られていてもよい。この場合、ノズル開口136aの流路面積は、ノズル開口136aを除くノズル部136内の流路面積よりも小さくなる。このため、ノズル部136のノズル開口136aから高速の空気が吐出される。
【0072】
このような構成のため、ノズル部136のノズル開口136aから吐出された高速の空気は、負圧によって(エジェクタ効果によって)、貫通路131のX軸マイナス方向側の開口へ車室内における周囲の空気を流れ込ませ、ノズル開口136aと貫通路131との間の流路へ空気を誘引することができる。このとき、絞り部137を通過した空気の流量は、ノズル部136のノズル開口136aからの吐出された空気の流量に、負圧によって誘引された空気の流量を合算した値となる。つまり、ノズル部136のノズル開口136aから吐出された空気(第1の空気)と負圧によって誘引された空気(第2の空気)とが、第1の吹出し風(第3の空気)となって筒体130の第1吐出口131aから吹出される。したがって、第1吐出口131aから吹出される空気は、送風機20からの空気を吐出するノズル部136を介して吐出される。このため、ノズル開口136aからの吐出された空気の流量よりも、大きな第1の吹出し風がシートバック13aに着座している人の上体に吹き付けられる。
【0073】
なお、図5の(b)に示すように、筒体130aは、シートバック13bの内部に埋め込まれていてもよい。この場合、筒体130aは、第1吐出口131aがZ軸プラス方向側を向いて筒体130aがX軸方向に対して斜めに傾斜するようにシートバック13bの内部に配置されていてもよい。
【0074】
次に、本変形例におけるシート空調装置1aの作用効果について説明する。
【0075】
このような、本変形例のシート空調装置1aにおいて、第1通風路31は、さらに、シートバック13aの前後方向(X軸方向)に貫通した貫通路131を有する。また、貫通路131には、一部が狭められた絞り部137が形成される。また、ノズル部136は、絞り部137に向けて空気を吐出するように貫通路131内に配置される。そして、第1通風路31は、ノズル部136から吐出された第1の空気と、第1の空気により貫通路131に誘導される第2の空気とを混合した第3の空気を吐出する。
【0076】
これによれば、ノズル部136及び絞り部137は、より高速の気流を生み出すことができるため、車室内における周囲の空気を貫通路131に流れ込ませて、ノズル開口136aと貫通路131との間の流路へ空気を誘引することができるようになる。このため、ノズル部136が吐出した空気は、周囲の空気を誘引しながら、さらに大きな風となってシート2に着座する人に吹き付けられる。これにより、人に吹き付ける風量を大きくするために、送風機20及び第1通風路31を大きくしなくてもよくなり、シート空調装置1aの大型化をより抑制することができる。
【0077】
このような、本変形例のシート空調装置1aにおいて、貫通路131は、シートバック13aに配置された筒体130である。
【0078】
これによれば、筒体130をシートバック13aに配置することで、シート空調装置1aの大型化抑制と、送風効率の向上との両立を図ることができる。
【0079】
また、図5の(b)のシート空調装置1bにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0080】
また、本変形例においても、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0081】
(実施の形態の変形例2)
まず、図6を用いて、本変形例のシート空調装置1c、1dについて説明する。
【0082】
図6は、実施の形態の変形例2におけるシートバック13a、13b等を示す部分拡大断面図である。図6の(a)は、シート空調装置1cの筒体230がX軸方向に沿って配置されている場合を示している。図6の(b)は、シート空調装置1dの筒体230aがシートバック13bの内部に配置されている場合を示している。
【0083】
本変形例では、第1通風路231に管部232が挿入されている点等で、実施の形態の変形例1のシート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態の変形例1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0084】
図6の(a)に示すように、管部232は、X軸方向に沿って延び、X軸プラス方向に近づくにつれて次第に先細っている。管部232は、第1通風路231に挿入されている。具体的には、管部232のX軸プラス方向側が第1通風路231の筒体230に形成された絞り部237と対向し、管部232のX軸マイナス方向側からの空気が流入されるように配置されている。
【0085】
このような構成の場合、ノズル部236は、管部232のX軸プラス方向の端部と、筒体230の絞り部237との間の隙間に相当する。
【0086】
例えば、第1通風路231において、送風機20からノズル部236を介して絞り部237に流れる空気の負圧(エジェクタ効果によって)によって、管部232のX軸マイナス方向側の開口へ車室内における周囲の空気を流れ込ませ、絞り部237へ空気を誘引することができる。このとき、絞り部237を通過した空気の流量は、ノズル部236からの吐出された空気の流量に、負圧によって管部232を通過した空気の流量を合算した値となる。つまり、ノズル部236から吐出された空気と負圧によって管部232を通過した空気とが、第1の吹出し風となって筒体230の第1吐出口231aから吹出される。したがって、第1吐出口231aから吹出される空気は、送風機20からの空気を吐出するノズル部236を介して吐出される。このため、空気の流量よりも、大きな第1の吹出し風がシートバック13aに着座している人の上体に吹き付けられる。
【0087】
なお、図6の(b)に示すように、筒体230aは、シートバック13bの内部に埋め込まれていてもよい。この場合、筒体230aは、第1吐出口231aがZ軸プラス方向側を向いて筒体230aがX軸方向に対して斜めに傾斜するようにシートバック13bの内部に配置されていてもよい。
【0088】
また、図6の(b)のシート空調装置1dにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0089】
また、本変形例においても、上述の実施の形態等と同様の作用効果を奏する。
【0090】
(実施の形態の変形例3)
まず、図7を用いて、本変形例のシート空調装置1eについて説明する。
【0091】
図7は、実施の形態の変形例3におけるシートバック413等を示す図である。図7の(a)では、シートバック413の内部構造を示す部分拡大断面図である。図7の(b)では、正面から見たシートバック413及びヘッドレスト15を示している。
【0092】
本変形例では、ノズル部436がヘッドレスト15の支柱16よりも後方(X軸マイナス方向)に配置されている点等で、実施の形態の変形例1等のシート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態の変形例1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0093】
本変形例では、図7の(a)及び(b)に示すように、ヘッドレスト15は、支柱16によってシートバック413に接続されている。
【0094】
シートバック413には、ヘッドレスト15と対応するような凹部414が形成されている。支柱16は、凹部414に配置され、シートバック413とヘッドレスト15とを接続している。
【0095】
シートバック413の前後方向(X軸方向)に貫通した第1通風路431には、一部が狭められた絞り部437が形成される。つまり、第1通風路431には、凹部414の形状を利用するように、絞り部437が形成されている。絞り部437は、凹部414に対応してX軸方向に長くなるように形成されている。絞り部437のZ軸プラス方向には、支柱16及び凹部414が配置されている。
【0096】
ノズル部436は、第1通風路431内に配置され、絞り部437かつ支柱16よりもX軸マイナス方向に配置されている。これにより、ノズル部436のノズル開口をシートに着座する人から遠く離すことができる。この場合、ノズル部436が吐出した高速の空気が周囲の空気をより誘引することで、第1吐出口431aから人に吹き付ける風量を大きくすることができる。
【0097】
また、本変形例には、以下のような実施例がある。
【0098】
<実施例1>
図8を用いて、本実施例のシート空調装置1fについて説明する。
【0099】
図8は、実施例1におけるシートバック513等を示す図である。図8の(a)では、シートバック513の内部構造を示す部分拡大断面図である。図8の(b)では、正面から見たシートバック513及びヘッドレスト15を示している。
【0100】
図8の(a)及び(b)に示すように、シートバック513には、第1通風路531と、凹部514とが形成されている。凹部514の底面には、ヘッドレスト15の支柱16が挿入されるヘッドレスト取り付け部材514aが配置されている。つまり、ヘッドレスト取り付け部材514aをシートバック513に取り付けることにより、シートバック513の上端面(Z軸プラス方向側)が窪むため、この窪みを凹部514と呼ぶ。第1通風路531には、凹部514の形状を利用するように、絞り部537が形成されている。凹部514は、X軸方向及びY軸方向の長さが図7の(a)の場合よりも短く形成されている。絞り部537は、凹部514の形状を利用するように、凹部514に対応して短く形成されている。
【0101】
この場合でも、ノズル部536は、第1通風路531内に配置され、絞り部537かつ支柱16よりもX軸マイナス方向に配置されている。これにより、ノズル部536のノズル開口をシートに着座する人から遠く離すことができる。この場合、ノズル部536が吐出した高速の空気が周囲の空気をより誘引することで、第1吐出口531aから人に吹き付ける風量を大きくすることができる。
【0102】
<実施例2>
図9を用いて、本実施例のシート空調装置1gについて説明する。
【0103】
図9は、実施例2におけるシートバック613等を示す図である。図9の(a)では、シートバック613の内部構造を示す部分拡大断面図である。図9の(b)では、正面から見たシートバック613及びヘッドレスト615を示している。
【0104】
図9の(a)及び(b)に示すように、シートバック613には、第1通風路631と、凹部614とが形成されている。凹部614は、図9(a)に示すように、ヘッドレスト615の側面(XZ軸面内)形状に対応するようにシートバック613に形成されている。第1通風路631には、凹部614の形状を利用するように、絞り部637が形成されている。ヘッドレスト615のZ軸プラス方向側の表面がX軸プラス方向に向かってZ軸マイナス方向側に傾斜する部分を有するため、凹部614は、X軸プラス方向側に形成されている。この場合、シートバック613内の第1通風路631も、X軸プラス方向に向かってZ軸マイナス方向側に傾斜する部分を有する。絞り部637は、凹部614の形状を利用するように、傾斜する部分に対応して形成されている。
【0105】
この場合でも、ノズル部636は、第1通風路631内に配置され、絞り部637かつ支柱16よりもX軸マイナス方向(後方)に配置されている。これにより、ノズル部636のノズル開口をシートに着座する人から遠く離すことができる。この場合、ノズル部636が吐出した高速の空気が周囲の空気をより誘引することで、第1吐出口631aから人に吹き付ける風量を大きくすることができる。
【0106】
次に、本変形例におけるシート空調装置1eの作用効果について説明する。
【0107】
このような、本変形例のシート空調装置1eにおいて、第1通風路431は、さらに、シートバック413の前後方向(X軸方向)に貫通している。第1通風路431には、一部が狭められた絞り部437が形成される。また、シート2は、人の上体を支持するシートバック413と、ヘッドレスト15とを有する。また、ヘッドレスト15は、シートバック413と支柱16で接続される。また、ノズル部436は、支柱16よりも後方に配置される。そして、絞り部437は、ヘッドレスト15及びシートバック413の形状に応じて形成される。
【0108】
これによれば、シートバック413の形状に応じて第1通風路431及び絞り部437を適切に配置することができる。また、シートバック413の空きスペースを有効に活用して第1通風路431及び絞り部437を配置することができる。
【0109】
また、ノズル部436から人の上体までの距離と風路を確保することができるため、この風路で、ノズル部436が吐出した高速の空気が周囲の空気を、より誘引することができるようになる。このため、シート空調装置1eの大型化をより抑制することができる。
【0110】
また、実施例1、2の構成においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0111】
また、本変形例においても、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0112】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態及び実施の形態の変形例1~3等に限定されるものではない。
【0113】
例えば、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に係るシート空調装置は、図10に示す形態であってもよい。図10は、その他変形例におけるシート空調装置1hを示す斜視図である。図10では、シート空調装置1hの後方下側から見た状態である。図10に示すように、送風機20は、座部10のZ軸マイナス方向側に配置されていてもよい。また、図示はしないが、送風機20は、座部10の内部に配置されていてもよい。このため、送風機20の配置位置は特に限定されない。この場合、吸気ダクト21は、座部10のZ軸マイナス方向側に配置されることとなるため、吸気ダクト21の吸気開口21aも、座部10のZ軸マイナス方向側に配置されることとなる。
【0114】
また、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に係るシート空調装置は、図11に示す形態であってもよい。図11は、シート空調装置1jの、その他変形例におけるシートバック13等を示す部分拡大断面図である。図11では、支柱16を破線で示している。実施の形態のシートバック13に設けられているノズル部736、及び第1通風路731がヘッドレスト715に形成されていてもよい。つまり、ヘッドレスト715は、ノズル部736、及び第1通風路731を有していてもよい。この場合、第1通風路731には、送風機からの空気がヘッドレスト715とシートバック13とを接続する支柱16を介して送られてもよい。ノズル部736、36は、支柱16のX軸マイナス方向に配置される。また、ヘッドレスト715に別途、送風機が設けられていてもよく、さらに熱交換器が設けられていてもよい。この場合、シートバック13の第1吐出口31a及びヘッドレスト715の第1吐出口731aが吐出した空気は、周囲の空気を誘引しながら、より大きな風となってシートに着座する人に吹き付けられる。これにより、人に吹き付ける風量を大きくするために、送風機及び第1通風路31を大きくしなくてもよくなる。
【0115】
このような、シート空調装置1jにおいて、シートは、人の上体を支持するシートバック13と、ヘッドレスト715とを有する。また、ヘッドレスト715は、シートバック13と支柱16で接続される。また、ノズル部36、736は、ヘッドレスト715及びシートバック13のそれぞれに設けられる。そして、各ノズル部36、736は、支柱16よりも後方に配置される。
【0116】
これによれば、シートバック13とヘッドレスト715とにノズル部36、736を設けることで疑似的に、ノズル部36、736から吐出された高速の空気は、負圧によって(エジェクタ効果によって)、シートバック13とヘッドレスト715と間へ車室内における周囲の空気を流れ込ませることができる。これにより、シートバック13とヘッドレスト715との間から大きな風量で人に吹き付けることができる。
【0117】
また、ノズル部36、736から人の上体までの距離と風路を確保することができるため、この風路で、ノズル部36、736が吐出した高速の空気が周囲の空気を、より誘引することができるようになる。このため、シート空調装置1jの大型化をより抑制することができる。
【0118】
また、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に係るシート空調装置は、熱交換器を備えていなくてもよい。このため。熱交換器は、シート空調装置の必須の構成要件ではない。
【0119】
また、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に係るシート空調装置において、送風ダクト22を流れる空気の一部が熱交換器を介さずに通風空間Kに流入してもよい。この場合、送風ダクト22から空気の一部が通風空間Kへ流入するための流路が形成されていてもよい。
【0120】
また、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に係るシート空調装置に含まれる制御部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0121】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0122】
なお、上記各実施の形態及び実施の形態の変形例1~3において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0123】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0124】
その他、実施の形態及び実施の形態の変形例1~3に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び実施の形態の変形例1~3における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0125】
以下に、上記実施の形態に基づいて説明したシート空調装置の特徴を示す。
【0126】
<技術1>
シートに用いられるシート空調装置であって、
送風機と、
前記シートに着座する人の上体に対して前記送風機からの空気を吐出するノズル部を介し、前記シートに設けられた第1吐出口から吐出するための空気を導く第1通風路とを備え、
前記ノズル部は、前記シートのシートバックを側面から見たときの前記シートバックの厚みを二分する中心軸よりも後方に配置され、前記シートに着座する人の上体に向けて空気を吐出する
シート空調装置。
【0127】
<技術2>
前記送風機によって前記シートに着座する人の背部に対し、前記シートに設けられた第2吐出口から吐出するための空気を導く第2通風路を、さらに備え、
前記第2吐出口は、前記中心軸よりも前方に配置される
技術1に記載のシート空調装置。
【0128】
<技術3>
前記第1吐出口から吐出された空気によって、前記シートに着座する人に吹き付けられる空気の流量は、前記第2吐出口から吐出された空気によって、前記シートに着座する人に吹き付けられる空気の流量よりも多い
技術2に記載のシート空調装置。
【0129】
<技術4>
前記第1通風路は、さらに、前記シートバックの前後方向に貫通した貫通路を有し、
前記貫通路には、一部が狭められた絞り部が形成され、
前記ノズル部は、前記絞り部に向けて空気を吐出するように前記貫通路内に配置される
前記第1通風路は、前記ノズル部から吐出された第1の空気と、前記第1の空気により前記貫通路に誘導される第2の空気とを混合した第3の空気を吐出する
技術1~3のいずれか1つに記載のシート空調装置。
【0130】
<技術5>
前記貫通路は、前記シートバックに配置された筒体である
技術4に記載のシート空調装置。
【0131】
<技術6>
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置される
技術1~5のいずれか1つに記載のシート空調装置。
【0132】
<技術7>
前記第1通風路は、さらに、前記シートバックの前後方向に貫通し、
前記第1通風路には、一部が狭められた絞り部が形成され、
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置され、
前記絞り部は、前記ヘッドレスト及び前記シートバックの形状に応じて形成される
技術1~6のいずれか1つに記載のシート空調装置。
【0133】
<技術8>
前記第1吐出口は、前記ノズル部によって形成され、
前記シートバックは、前記ノズル部から吐出された空気を案内するガイド部を有し、
前記ノズル部は、前記ガイド部に向けて空気を吐出するように、前記シートバックの表面に配置される
技術1~7のいずれか1つに記載のシート空調装置。
【0134】
<技術9>
前記シートは、人の上体を支持する前記シートバックと、ヘッドレストとを有し
前記ヘッドレストは、前記シートバックと支柱で接続され、
前記ノズル部は、前記ヘッドレスト及び前記シートバックのそれぞれに設けられ、
各前記ノズル部は、前記支柱よりも後方に配置される
技術1~8のいずれか1つに記載のシート空調装置。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示は、例えば車両等の移動体用シート、ソファー等に利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1j シート空調装置
2 シート
13、13a、13b、413、513、613 シートバック
15、615、715 ヘッドレスト
16 支柱
20 送風機
31、231、431、531、631、731 第1通風路
31a、131a、231a、431a、531a、631a、731a 第1吐出口
32 第2通風路
32a 第2吐出口
36、136、236、436、536、636、736 ノズル部
37 ガイド部
130、130a、230、230a 筒体
131 貫通路
137、237、437、537、637 絞り部
O 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11