(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145334
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】鋳造品の管理システム
(51)【国際特許分類】
B22D 46/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057636
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(72)【発明者】
【氏名】杉野 剛大
(57)【要約】
【課題】鋳造品の不良に対する対策の決定に利用可能な情報を出力できる技術を提供する。
【解決手段】鋳造品の管理システムは、検査された鋳造品の不良に関する情報を入力端末から取得する取得部と、取得部が取得した不良に関する情報と、鋳造品が製造された時期に関する情報とを関連付けて記憶するデータベースと、データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移を出力する出力部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査された鋳造品の不良に関する情報を入力端末から取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記不良に関する情報と、前記鋳造品が製造された時期に関する情報とを関連付けて記憶するデータベースと、
前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移を出力する出力部と、
を備える、
鋳造品の管理システム。
【請求項2】
前記不良に関する情報は、前記鋳造品における前記不良の位置に関する情報を含む、
請求項1に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項3】
前記鋳造品の外観を前記入力端末に表示させる端末表示部を更に備え、
前記取得部は、前記不良の位置に関する情報として、前記入力端末に表示された前記鋳造品上に指定された前記不良の位置を取得する、
請求項2に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項4】
前記出力部は、前記鋳造品の外観と前記不良の位置を含む映像を出力する、
請求項2又は3に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項5】
前記映像は、前記鋳造品が製造された時期に関する情報に基づいた順番で表示される複数の静止画像を含む、
請求項4に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項6】
前記データベースは、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報と、前記不良の位置に関する情報とを関連付けて記憶し、
前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良の位置の時系列の推移とともに、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報とを出力する、
請求項2に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項7】
前記データベースは、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記不良に関する情報とを関連付けて記憶し、
前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移とともに、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報とを出力する、
請求項1に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項8】
前記製造工程は、前記鋳造品の不良に対する対策によって変更される、
請求項6又は7に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項9】
前記不良に関する情報は、前記鋳造品は不良を含まないことを示す情報、前記鋳造品は修繕が可能な不良を含むことを示す情報、及び、前記鋳造品は、修繕が不可能な不良を含むことを示す情報のうち一つを含む、
請求項1~3の何れか一項に記載の鋳造品の管理システム。
【請求項10】
前記データベースは、前記取得部が取得した前記不良に関する情報と、前記鋳造品が製造された時期に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報とを関連付けて記憶し、
前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移とともに、前記鋳造品の仕様に関する情報を出力する、
請求項9に記載の鋳造品の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋳造品の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鋳造欠陥の原因及び対策を推論する装置を開示する。この装置は、鋳造条件を用いることなしに、内部もしくは表面に発生する空孔又は割れ、表面状態の不良、及び、寸法又は形状不良などの欠陥の少なくとも1つについて、計算機を利用して、原因及び対策を推論する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、不良が発生した時点の状況から対策を提供することができるものの、より効果的な対策を提供するためには改善の余地がある。本開示は、鋳造品の不良に対する対策の決定に利用可能な情報を出力できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鋳造品の管理システムは、検査された鋳造品の不良に関する情報を入力端末から取得する取得部と、取得部が取得した不良に関する情報と、鋳造品が製造された時期に関する情報とを関連付けて記憶するデータベースと、データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、鋳造品の不良に対する対策の決定に利用可能な情報を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、鋳造品の管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、入力端末に出力される画面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一つの例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
【
図4】
図4は、別の例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
【
図5】
図5は、更に別の例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の概要]
最初に、本開示の実施形態の概要を説明する。
【0009】
(条項1) 検査された鋳造品の不良に関する情報を入力端末から取得する取得部と、前記取得部が取得した前記不良に関する情報と、前記鋳造品が製造された時期に関する情報とを関連付けて記憶するデータベースと、前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移を出力する出力部と、を備える、鋳造品の管理システム。
【0010】
条項1に係る鋳造品の管理システムにおいては、鋳造品の不良に関する情報と鋳造品が製造された時期に関する情報とが関連付けられてデータベースに記憶される。そして、出力部によってデータベースが参照され、不良に関する情報の時系列の推移が出力される。不良に関する情報の時系列の推移は、不良の発生状況及び傾向を含むため、不良対策の優先順位の判断に利用され得る。よって、管理システムは、鋳造品の不良に対する対策の決定に利用可能な情報を出力できる。
【0011】
(条項2) 条項1に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記不良に関する情報は、前記鋳造品における前記不良の位置に関する情報を含んでもよい。条項2に記載の鋳造品の管理システムは、鋳造品の不良の位置の変化を確認可能な情報を出力できる。
【0012】
(条項3) 条項2に記載の鋳造品の管理システムは、前記鋳造品の外観を前記入力端末に表示させる端末表示部を更に備え、前記取得部は、前記不良の位置に関する情報として、前記入力端末に表示された前記鋳造品上に指定された前記不良の位置を取得してもよい。条項3に記載の鋳造品の管理システムは、作業者に鋳造品の不良の位置を直感的に入力させることができる。
【0013】
(条項4) 条項2又は3に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記出力部は、前記鋳造品の外観と前記不良の位置を含む映像を出力してもよい。条項4に記載の鋳造品の管理システムは、鋳造品の不良の位置の変化を視覚的に確認可能な情報を出力できる。
【0014】
(条項5) 条項4に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記映像は、前記鋳造品が製造された時期に関する情報に基づいた順番で表示される複数の静止画像を含んでもよい。条項5に記載の鋳造品の管理システムは、鋳造品の不良の位置の変化を直感的に把握可能な情報を出力できる。
【0015】
(条項6) 条項2~5の何れか一項に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記データベースは、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報と、前記不良の位置に関する情報とを関連付けて記憶し、前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良の位置の時系列の推移とともに、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報とを出力してもよい。条項6に記載の鋳造品の管理システムは、所定の仕様の鋳造品において製造工程の変更に応じた鋳造品の不良の位置の変化を確認可能な情報を出力できる。
【0016】
(条項7) 条項1~6の何れか一項に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記データベースは、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報と、前記不良に関する情報とを関連付けて記憶し、前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移とともに、前記鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報と、前記製造工程の変更の内容に関する情報とを出力してもよい。条項7に記載の鋳造品の管理システムは、製造工程の変更に応じた鋳造品の不良の変化を確認可能な情報を出力できる。
【0017】
(条項8) 条項6又は7に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記製造工程は、前記不良に対する対策によって変更されてもよい。条項8に記載の鋳造品の管理システムは、対策前後における鋳造品の不良の変化を確認可能な情報を出力できる。
【0018】
(条項9) 条項1~8の何れか一項に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記不良に関する情報は、前記鋳造品は不良を含まないことを示す情報、前記鋳造品は修繕が可能な不良を含むことを示す情報、及び、前記鋳造品は修繕が不可能な不良を含むことを示す情報のうち一つを含んでもよい。条項9に記載の鋳造品の管理システムは、不良を含まない鋳造品、修繕が可能な不良を含む鋳造品、及び、修繕が不可能な不良を含む鋳造品の各々の量的な変化を確認可能な情報を出力できる。
【0019】
(条項10) 条項1~9の何れか一項に記載の鋳造品の管理システムにおいて、前記データベースは、前記取得部が取得した前記不良に関する情報と、前記鋳造品が製造された時期に関する情報と、前記鋳造品の仕様に関する情報とを関連付けて記憶し、前記出力部は、前記データベースを参照して、前記不良に関する情報の時系列の推移とともに、前記鋳造品の仕様に関する情報を出力してもよい。条項10に記載の鋳造品の管理システムは、所定の仕様の鋳造品において製造工程の変更に応じた鋳造品の不良の変化を確認可能な情報を出力できる。
【0020】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
図1は、鋳造品の管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示される鋳造品の管理システム1は、鋳造品の検査結果を管理する管理システムである。管理システムにおいては、検査を行う作業員がデータを入力し、システムの管理者が入力されたデータを活用する。鋳造品の管理システム1は、取得部10、データベース20、及び出力部30を備える。一例において、鋳造品の管理システム1は、端末表示部16を備える。鋳造品の管理システム1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置(記憶媒体の一例)、ハードディスクなどの補助記憶装置(記憶媒体の一例)などを含む通常のコンピュータシステム又はPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。
【0022】
取得部10は、検査された鋳造品の不良に関する情報を入力端末2から取得する。入力端末2は、例えば、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイスである。入力端末2は、鋳造品の管理システム1に接続された別のコンピュータシステム、タブレット端末、又は鋳造品の検査システムであってもよい。本実施形態では、取得部10は、鋳造品の不良に関する情報と鋳造品が製造された時期に関する情報とを関連付けて取得する。取得部10は、鋳造品の仕様に関する情報、及び作業者に関する情報を取得してもよい。
【0023】
本実施形態では、鋳造品の不良に関する情報は、不良の種類に関する情報、及び不良の位置に関する情報を含む。一例において、不良の種類に関する情報は、砂噛み、型落ち、ぐいち(型ずれ)、欠け、押込、湯廻り、打痕、割れ、引け、吹かれ(きらい)、湯境、ショット、スラグ、すくわれ、身食い、焼き付き、仕上げ、及び中子など不良の種類のうち、少なくとも一つの情報を含む。不良の種類に関する情報は、社外、社内、及び社内の特定の工程など、不良が発生した組織に関する情報を含んでいてもよい。
【0024】
不良の位置に関する情報は、鋳造品における不良の位置を示す情報である。一例において、取得部10は、鋳造品の外観に対応した不良の位置を取得する。鋳造品の不良に関する情報は、更に、鋳造品は不良を含まないことを示す情報、鋳造品は修繕が可能な不良を含むことを示す情報、及び鋳造品は修繕が不可能な不良を含むことを示す情報のうち一つを含んでもよい。鋳造品は不良を含まないことを示す情報は、鋳造品の不良に関する情報を含まないことであってもよい。
【0025】
鋳造品が製造された時期に関する情報は、一例において、鋳造品が製造された時刻、鋳造品のロット番号、及び鋳造品が検査された時刻のうち少なくとも一つの情報を含む。例えば、鋳造品の製造、鋳造品の検査、及び不良に関する情報の取得が連続的に実行される場合には、鋳造品のロット番号又は鋳造品が検査された時刻から鋳造品が製造された時刻が推定されるので、鋳造品のロット番号及び鋳造品が検査された時刻は、鋳造品が製造された時期に関する情報として記憶され得る。
【0026】
図2は、入力端末に出力される画面の一例を示す図である。一例において、入力端末2には、製品仕様の入力欄11、製造時期の入力欄12、不良情報の入力欄13、及び作業者名の入力欄14が表示される。入力欄11には、鋳造品の仕様が入力される。一例において、鋳造品の仕様とは、該鋳造製品の型番である。入力欄12には、鋳造品の製造時期に関する情報が入力される。入力欄13には、鋳造品の不良に関する情報が入力される。作業者名の入力欄14には、鋳造品の検査を行った作業者の氏名が入力される。各入力欄11~14には、対応する情報が自動的に入力されてもよい。入力欄13には、上述した不良の種類の一覧が表示されてもよい。作業者は、入力欄13に表示された不良の種類の一覧からから少なくとも一つを選択することによって、不良の種類に関する情報を入力してもよい。製品仕様の入力欄11及び製造時期の入力欄12は、鋳造品に付与された識別子から読み取られた値が入力されてもよい。当該識別子は、例えば、二次元コード、文字、又は記号などである。当該識別子は、刻印又は鋳出しによって鋳造品に対して直接的に付与されてもよく、鋳造品又は該鋳造品の搬送器具に添付された伝票によって鋳造品に対して間接的に付与されてもよい。
【0027】
本実施形態では、入力端末2には、鋳造品の外観15が更に表示される。鋳造品の外観15は、例えば、製品仕様の入力欄11に入力された製品仕様に対応した鋳造品の外観である。鋳造品の外観15は、端末表示部16が入力端末2に出力する鋳造品の外観に関する情報に基づいて表示される。鋳造品の外観15に関する情報は、例えば、鋳造品の写真、又は、鋳造品の二次元モデルもしくは三次元モデルから得られる図形もしくは像である。作業者は、鋳造品の外観15における不良の位置15aを入力端末2に表示された鋳造品の外観15に対して指し示すことによって入力する。不良の位置15aは、複数指定されてもよい。取得部10は、不良の位置に関する情報として、入力端末2に出力された鋳造品の外観15上に指定された不良の位置15aを取得する。鋳造品の外観に関する情報は、データベース20に記憶されていてもよい。この場合、端末表示部16は、データベース20を参照して、鋳造品の外観に関する情報を入力端末2に出力する。
【0028】
データベース20は、鋳造品が製造された時期に関する情報21と、取得部10が取得した不良に関する情報22とを関連付けて記憶する。本実施形態では、データベース20は、時期に関する情報21と、不良に関する情報22と、鋳造品の仕様に関する情報23とを関連付けて記憶する。
【0029】
データベース20は、鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報24と、製造工程の変更の内容に関する情報25とを関連付けて記憶してもよい。製造工程の変更が行われた時期に関する情報24は、一例において、変更が行われた時刻、及び変更が行われてから製造された鋳造品のロット番号の少なくとも一方を含む。製造工程の変更の内容に関する情報25は、方案変更、鋳型の造型条件、鋳造条件などのうち少なくとも一つの情報を含む。鋳型の造型条件は、例えば、鋳物砂に含まれる水分、新砂、微粉、又はベントナイトの量に関する情報、もしくは、スクイズ圧、又は鋳型厚さに関する情報である。鋳造条件は、例えば、接種材添加量、鋳込み速度、又は注湯される溶湯の温度に関する情報である。製造工程の変更の内容に関する情報は、造型機又は造型ラインのメンテナンス及び調整に関する情報を含んでいてもよい。
【0030】
本実施形態では、製造工程は、鋳造品の不良に対する対策によって変更される。対策は、少なくとも一つの不良に対して実施され、該不良を解消することを意図する製造工程の変更である。製造工程の変更の内容が不良に対する対策である場合には、データベース20は、製造工程の変更に関する情報25と、不良に関する情報26とを関連付けて記憶する。不良に関する情報26は、鋳造品の不良に関する情報22、及び鋳造品の製造された時期に関する情報21を含み得る。本実施形態では、データベース20は、鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報24と、製造工程の変更の内容に関する情報25と、不良に関する情報26と、鋳造品の仕様に関する情報27とを関連付けて記憶する。上述のように、不良に関する情報26は、不良の位置に関する情報を含み得る。
【0031】
出力部30は、データベース20を参照して、不良に関する情報の時系列の推移を含む情報31を出力する。不良に関する情報の時系列の推移は、不良に関する情報の時間的な変動を示す情報である。不良に関する情報の時系列の推移は、例えば、鋳造品が製造された時期に関する情報21に基づいた時間順で提示又は表示される不良に関する情報である。本実施形態では、出力部30は、表示端末3に時系列の推移を含む情報31を出力する。一例において、出力部30は、時系列の推移を含む情報31として、鋳造品が製造された時期に応じた鋳造品の不良の推移を視覚的に示す映像を出力する。当該映像は、非言語の情報を含む。当該映像は、静止画像及び動画の少なくとも一方を含む。表示端末3は、例えば、ディスプレイなどの表示デバイスである。表示端末3は、鋳造品の管理システム1に接続された別のコンピュータシステム、又はタブレット端末であってもよい。
【0032】
図3は、一つの例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
図3の例では、表示端末3には、時系列の推移を含む情報31として、不良を含まない鋳造品、修繕が可能な不良を含む鋳造品、及び修繕が不可能な不良を含む鋳造品の各割合の推移を示すグラフ32,34,36が示される。以下では、不良を含まない鋳造品を「良品」、修繕が可能な不良を含む鋳造品を「手直し品」、修繕が不可能な不良を含む鋳造品を「不良品」と呼ぶ場合がある。表示端末3に示される時系列の推移を含む情報31は、グラフに限定されない。時系列の推移を含む情報31として、所定の期間における良品、手直し品、及び不良品の各数量の推移を示すプロットが示されてもよい。
【0033】
グラフ32は、第1期間における不良品3a、手直し品3b、及び良品3cの割合を示している。本実施形態では、グラフ32とともに、第1期間を示す製造期間33が示される。グラフ34は、第2期間における不良品3d、手直し品3e、及び良品3fの割合を示している。第2期間は、第1期間よりも後の期間である。本実施形態では、グラフ34とともに、第2期間を示す製造期間35が示される。グラフ36は、第3期間における不良品3g、手直し品3h、及び良品3jの割合を示している。第3期間は、第2期間よりも後の期間である。本実施形態では、グラフ36とともに、第3期間を示す製造期間37が示される。本実施形態において、各グラフ32,34,36は、各期間における良品、手直し品、及び不良品の割合を百分率で示す棒グラフである。各グラフ32,34,36は、円グラフ等であってもよい。
【0034】
出力部30は、データベース20を参照して、不良に関する情報の時系列の推移とともに、鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報24と、製造工程の変更の内容に関する情報25とを出力してもよい。
【0035】
本実施形態では、第1期間と第2期間との間において鋳造品の製造工程の第1変更が行われる。第1期間及び第2期間は、第1変更の前後の期間である。一例において、グラフ32とグラフ34との間には、第1変更の時期に関する情報と、第1変更の内容に関する情報とが関連付けられた第1工程変更38が示される。
【0036】
本実施形態では、第1変更は、第1不良への対策である。出力部30は、データベース20を参照して、第1変更の内容に関する情報と、第1不良に関する情報とが関連付けられた推移に関する情報を出力する。第1不良に関する情報は、第1不良を含む鋳造品が製造された時期に関する情報を含み得る。
【0037】
本実施形態では、第2期間と第3期間との間において鋳造品の製造工程の第2変更が行われる。第2期間及び第3期間は、第2変更の前後の期間である。一例において、グラフ34とグラフ36との間には、第2変更の時期に関する情報と、第2変更の内容に関する情報とが関連付けられた第2工程変更39が示される。
【0038】
本実施形態では、第2変更は、第2不良への対策である。出力部30は、データベース20を参照して、第2変更の内容に関する情報と、第2不良に関する情報とが関連付けられた推移に関する情報を出力する。第2不良に関する情報は、第2不良を含む鋳造品が製造された時期に関する情報を含み得る。
【0039】
グラフ32,34及び第1工程変更38によれば、第1工程変更38によって不良品の割合が不良品3aから不良品3dに減少し、良品の割合が良品3cから良品3fに増加した推移が示される。グラフ34,36及び第2工程変更39によれば、第2工程変更39によって不良品の割合が不良品3dから不良品3gに減少し、手直し品の割合が手直し品3eから手直し品3hに減少し、良品の割合が良品3fから良品3jに上昇した推移が示される。この場合には、管理者は、対策後の不良の変化を直感的に理解できる。
【0040】
各グラフ32,34,36とともに、鋳造品の仕様が表示されてもよい。各グラフ32,34,36は、所定の仕様の鋳造品における不良品、手直し品、及び良品の割合の推移を示すグラフであってもよい。各グラフ32,34,36は、全ての仕様の鋳造品における不良品、手直し品、及び良品の割合の推移を示すグラフであってもよい。
【0041】
出力部30は、時系列の推移を含む情報31として、鋳造品の外観と不良の位置とを含む映像を出力してもよい。
図4は、別の例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
図4の例では、表示端末3には、鋳造品が製造された時期に関する情報に基づいた順番で並んだ複数の静止画像が表示される。各静止画像には、不良の位置が示される。各静止画像は、例えば、鋳造品の写真、又は、鋳造品の二次元モデルもしくは三次元モデルから得られる図形もしくは像である。各静止画像は、端末表示部16から入力端末2に出力された鋳造品の外観15、及び作業者が入力した鋳造品の外観15における不良の位置15aであってもよい。
【0042】
図4の表示端末3に示される鋳造品41は、第1期間において製造された複数の鋳造品のうち一つの鋳造品の静止画像である。
図4では、第1期間において製造された別の複数の鋳造品の画像は、図示が省略されている。鋳造品41は、第1期間において製造された鋳造品の外観と、該鋳造品の外観における不良の位置4aを示す。本実施形態では、鋳造品41とともに、鋳造品41の製造時期42が示される。
【0043】
図4の表示端末3に示される鋳造品43は、第2期間において製造された複数の鋳造品のうち一つの鋳造品の静止画像である。
図4では、第2期間において製造された別の複数の鋳造品の画像は、図示を省略されている。鋳造品43は、第2期間において製造された鋳造品の外観と、該鋳造品の外観における不良の位置4bを示す。本実施形態では、鋳造品43とともに、鋳造品43の製造時期44が示される。
【0044】
図4の表示端末3に示される鋳造品45は、第3期間において製造された複数の鋳造品のうち一つの鋳造品の静止画像である。
図4では、第3期間において製造された別の複数の鋳造品の画像は、図示を省略されている。鋳造品45は、第3期間において製造された鋳造品の外観と、該鋳造品の外観における不良の位置4cを示す。本実施形態では、鋳造品45とともに、鋳造品45の製造時期46が示される。
【0045】
表示端末3には、鋳造品41を含む第1期間において製造された複数の鋳造品の複数の静止画像41n、鋳造品43を含む第2期間において製造された複数の鋳造品の複数の静止画像43n、及び鋳造品45を含む第3期間において製造された複数の鋳造品の複数の静止画像45nが表示される。複数の静止画像41n,43n,45nの各々には、各鋳造品の外観における不良の位置と、各鋳造品の製造時期とが示される。したがって、表示端末3に示される複数の静止画像によれば、各鋳造品が製造された時期に応じて移動する不良の位置の推移が示される。
【0046】
出力部30は、データベース20を参照して、不良に関する情報の時系列の推移とともに、鋳造品の製造工程の変更が行われた時期24に関する情報と、製造工程の変更の内容に関する情報25と、鋳造品の仕様に関する情報27とを出力してもよい。一例において、複数の静止画像41n,43n,45nの各々とともに、鋳造品の製造工程の変更が行われた時期に関する情報24と、製造工程の変更の内容に関する情報25と、鋳造品の仕様に関する情報27とが示される。例えば、複数の静止画像43nとともに、第1工程変更38の後に製造された鋳造品であることを示す情報が表示されてもよい。複数の静止画像45nとともに、第2工程変更39の後に製造された鋳造品であることを示す情報が表示されてもよい。
【0047】
出力部30は、データベース20を参照して、不良に関する情報の時系列の推移を製品ごとに出力してもよい。出力部30は、不良の位置に関する情報によってソートされた、推移に関する情報を出力してもよい。例えば、鋳造品における第1不良の位置と別の鋳造品における第2不良の位置とが類似する場合には、出力部30は、第1不良と第1対策、及び第2不良と第2対策による、第1不良及び第2不良の推移を表示端末3に出力する。一例において、第1不良及び第2不良が湯境である場合には、溶湯が合流する類似の位置に第1不良及び第2不良が発生する。したがって、管理者は、不良の位置に関する情報によってソートされた推移に関する情報を参照して、効率良く不具合対策を行うことができる。
【0048】
図5は、更に別の例示的実施形態に係る表示端末に出力される映像である。
図5の例では、表示端末3には、鋳造品が製造された時期に関する情報に基づいた順番で複数の静止画像47が頁をめくるように連続して表示される。この場合、複数の静止画像47に対応する複数の不良の位置は、鋳造品上を移動するように表示される。
図5の例では、第1期間において製造された複数の鋳造品の不良の位置4aから、第2期間において製造された複数の鋳造品の不良の位置4b、第3期間において製造された複数の鋳造品の不良の位置4cまで、不良の位置が移動するように示される。
【0049】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0050】
取得部10は、鋳造品が製造された時期に関する情報を取得しなくてもよい。この場合、データベース20は、鋳造品が製造された時期に関する情報として、データベース20に記憶された時刻を記憶する。例えば、鋳造品の製造、鋳造品の検査、不良に関する情報の取得、及び不良に関する情報の記憶が連続的に実行される場合には、不良に関する情報がデータベース20に記憶された時刻から鋳造品の製造された時刻が推定されるので、データベース20に記憶された時刻は、鋳造品が製造された時期に関する情報として記憶され得る。
【0051】
出力部30によって出力される鋳造品の外観における不良の位置に関する情報は、動画であってもよい。出力部30が出力する鋳造品の外観に関する情報と不良の位置に関する情報とを示す映像は、コンター図であってもよい。鋳造品の管理システムは、鋳型の管理システムとして用いられてもよい。
【0052】
出力部30によって出力される、不良に関する情報の時系列の推移は、不良に関する情報が不良発見日時を基準に並べられたものであってもよい。出力部30は、製品ごとに、類似位置に類似する不良又は別の不良が発生したか否か判定してもよい。そして、出力部30は、データベース20を参照して、過去の不良対策概要とその結果を表示してもよい。鋳造品の管理システム1の機能は、プログラム又はプログラムを記録した記録媒体によって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…鋳造品の管理システム、2…入力端末、10…取得部、15…鋳造品の外観、16…端末表示部、20…データベース、30…出力部。