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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145338
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241004BHJP
   B60N 2/879 20180101ALI20241004BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G09F9/00 312
B60N2/879
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057643
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 想真
(72)【発明者】
【氏名】榎本 千紘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】笠井 和善
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
5G435
【Fターム(参考)】
3B084DD07
3B087DC10
5G435BB05
5G435EE02
5G435EE10
5G435EE13
5G435EE20
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】ディスプレイサイズの自由度が向上する表示装置を提供する。
【解決手段】
座席に搭載される表示装置である。当該表示装置は、可撓性のディスプレイと、ディスプレイの巻き取りが可能なリールと、ディスプレイを支持する支持部と、ディスプレイ及び支持部を収納できる収納部と、を有する。また、当該表示装置は、ディスプレイと、支持部と、が所定の収納部に収納される収納状態と、座席に着座する使用者を囲うようにディスプレイ及び支持部が展開される展開状態とに変形可能に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に搭載される表示装置であって、
可撓性のディスプレイと、
前記ディスプレイの巻き取りが可能なリールと、
前記ディスプレイを支持する支持部と、
前記ディスプレイ及び前記支持部を収納できる収納部と、
を有し、
前記ディスプレイと前記支持部とが前記収納部に収納される収納状態と、前記座席に着座する使用者を囲うように前記ディスプレイ及び前記支持部が展開される展開状態とに変形可能である、
表示装置。
【請求項2】
前記リールを回転させる駆動部を更に備え、
前記収納部は、前記ディスプレイの少なくとも一部と、前記支持部と、前記リールと、前記駆動部とを収納する筐体であり、
前記収納状態から前記展開状態へ移行する際に、前記駆動部は、前記リールを回転させることにより、前記リールから前記ディスプレイを送り出す、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記支持部は、湾曲した複数のフレームで構成され、
前記複数のフレームは、前記収納状態から前記展開状態へ移行する際に、延伸するように展開される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記座席のヘッドレストと一体に形成され、
前記収納状態から前記展開状態に移行する際に、前記支持部及び前記ディスプレイは、前記ヘッドレストの側面部から展開される、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記座席のヘッドレストの左右にそれぞれ備えられ、
前記収納状態において、前記ディスプレイの左右の領域がそれぞれ前記筐体内の前記リールに巻き取られ、
前記収納状態から前記展開状態に移行する際に、前記ディスプレイは、前記筐体から送り出された後、前記ヘッドレストと前記筐体との接続部を回転軸として前記使用者の上方を旋回して前方へ降下する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記展開状態において、前記ディスプレイは、前記使用者の正面と側面に配置される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記展開状態において、前記ディスプレイが曲面に形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内の座席に簡単な構造により設け、後部座席等の乗員の邪魔とならない設置状態とすることができるようにすることを目的とした車載用表示装置が提案されていた(例えば、特許文献1)。この技術では、車室内の座席のヘッドレストの一部に、上方に開口部を有する表示装置用の収納空間を設ける。この収納空間内に収納可能な表示装置と、この表示装置を一端側に保持し基端部が前記収納空間内の一部に軸支される支軸上に設けられる揺動アームとを設ける。この揺動アームの前記支軸回りでの揺動動作によって、前記表示装置を、収納空間内での収納位置とヘッドレストの側方に引き出すことにより座席の背面側から視認可能な視認位置とに姿勢変更可能に構成する。また、揺動アームを支軸回りで揺動駆動する電動モーターを含む電動駆動部を、必要に応じてヘッドレスト内部に設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-138642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドレストに表示装置を搭載する場合、一般的に表示領域の大きさが制限される。
【0005】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室内の座席に搭載される表示装置について、表示領域の大きさの自由度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の技術は以下の構成を採用した。即ち、本開示に係る技術の一側面としての表示装置は、座席に搭載される表示装置である。当該表示装置は、可撓性のディスプレイと、ディスプレイの巻き取りが可能なリールと、ディスプレイを支持する支持部と、ディスプレイ及び支持部を収納できる収納部と、を有する。また、当該表示装置は、ディスプレイと、支持部と、が所定の収納部に収納される収納状態と、座席に着座する使用者を囲うようにディスプレイ及び支持部が展開される展開状態とに変形可能に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車室内の座席に搭載される表示装置について、表示領域の大きさの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る表示装置の収納状態における概略図である。
図2図2は、実施形態1に係る表示装置の移行状態を説明するための概略図である。
図3図3は、実施形態1に係る表示装置の展開状態における概略図である。
図4図4は、実施形態1に係る表示装置の動作のフローチャートである。
図5図5は、実施形態1の変形例1に係る表示装置の収納状態における概略図である。
図6図6は、実施形態1の変形例1に係る表示装置の展開状態における概略図である。
図7図7は、実施形態2に係る表示装置の収納状態における概略図である。
図8図8は、実施形態2に係る表示装置の移行状態を説明するための概略図である。
図9図9は、実施形態2に係る表示装置の展開状態における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0010】
<実施形態1>
図1は、収納状態の表示装置1を備える座席2を前側から眺めた状態の概略構造を示している。図2は、実施形態に係る表示装置1が、収納状態から展開状態に移行する際の移行状態を説明するための概略図である。図3は、実施形態に係る表示装置1の展開状態における概略図であり、後側から座席2を視ている。座席2は、例えば自動車である車両の車室内に設置される。また、座席2は、ヘッドレスト21と、背面22と、座面23とを含んでいる。本実施形態では、座席2は、例えば助手席や後部座席のような、運転者以外の搭乗者用が着座する座席として用いられる。また、本実施形態では、座席2に着座する使用者に対し自席から展開されるように、座席2には表示装置1が設けられている。便宜上、図1において矢印で示すように、表示装置1が備えられる座席2のヘッドレスト21側を上側、座面23側を下側とする。さらに、表示装置1が備えられる座席2に、使用者が背中を背もたれ(背面22)にもたせかけて着座した際の、使用者の腹側を前側、使用者の背面側を後側、使用者の右側を右側、使用者の左側を左側、とする。なお、上側、下側、前側、後側、右側、左側とは表示装置の各要素における相対的な位置関係を示すものに過ぎない。
【0011】
本実施形態における表示装置1は、ディスプレイ11を展開又は収容する動作を行う。この際、図1に示す、ディスプレイ11が収容された状態を収納状態とし、図3に示す、展開動作が完了し使用者がディスプレイ11を視認可能な状態を展開状態とする。また、収納状態と展開状態の2つの形態をそれぞれに移行する途中の状態を移行状態とする。動作は、例えば使用者が行う操作によって開始される。以下では、図1図2及び図3を用いて、本実施形態に係る表示装置1の、収納状態、移行状態、展開状態の3つの態様について説明する。
【0012】
[装置構成]
本実施形態において、表示装置1は、筐体10と、ディスプレイ11と、リール12と、モーター13と、フレーム14とを含む。筐体10は、ディスプレイ11と、リール12と、モーター13と、フレーム14とを収容可能な所定の収容部である。また、表示装置1は、制御装置17及び入力装置18を更に備えていてもよい。
【0013】
本実施形態では、表示装置1の筐体10は、座席2のヘッドレスト21と一体に形成されている。表示装置1は、収納状態から展開状態への移行状態において、ヘッドレスト21の右側の側面部である右側面21Rから、使用者の頭部を囲うように、ディスプレイ11を展開する。但し、表示装置1を搭載する位置や向きは一例であり、例えば、筐体10をヘッドレスト21以外の座席2の任意の部分に設けた態様や、ディスプレイ11がヘッドレスト21の左側面から展開されるような態様でもよい。
【0014】
ディスプレイ11は、映像や文字情報を表示する表示領域である。例えば、ディスプレイ11は、有機EL(Organic Electroluminescence)の一種である曲面OLED(Organic Light Emitting Diode)で形成されてもよい。曲面OLEDは、可撓性を有する
ディスプレイである。したがって、ディスプレイ11は、その表示面を曲面とすることができる。本実施形態では、ディスプレイ11は継ぎ目のない一枚の矩形のシート状に形成されている。ディスプレイ11において、短辺の一方は、固定部12Eにおいて、筐体10内のリール12と接続されている。また、短辺の他方は、固定部141Eにおいてフレーム14の先端側と接続されている。そして、ディスプレイ11は、収納状態においてはリール12に巻き取られ、展開状態への移行状態においては筐体10から外に送り出される。また、展開状態において、ディスプレイ11は、所定の情報を使用者に対し表示する。所定の情報は、例えば、ナビゲーション機能に関する情報、再生機能に関する情報、エアコン調節機能に関する情報、エンターテイメントコンテンツなどである。但し、ディスプレイ11の態様は一例であり、例えば、電子ペーパーやフレキシブル液晶等の他の可撓性を有するディスプレイ素材を用いてもよい。また、ディスプレイ11を複数枚のディスプレイをつなぎ合わせて形成しても構わない。
【0015】
リール12は、筐体10に収容されている。図1においては、リール12は、ロール状に巻かれたディスプレイ11の中心に位置している。また、リール12は、ディスプレイ11を巻き取り可能に形成されている。例えば、リール12は、軸を中心に回転するローラー部(内筒部分)を含んでいてもよい。ローラー部は、モーター13から力の伝達を受けて周方向に回転する。なお、リール12は、ディスプレイ11を収容する外筒部分を更に含んでいてもよい。また、リール12は、ディスプレイ11の長手方向における一端を固定する固定部12Eを有する。固定部12Eは、リール12の外周に、リール12の軸方向に沿って設けられている。また、固定部12Eは、ディスプレイ11の長手方向における一端を、短手方向に沿って固定している。そして、リール12は、ローラー部が回転する方向に応じて、ディスプレイ11を筐体10の外に送り出したり、ディスプレイ11を巻き取ったりすることができる。なお、ディスプレイ11の長手方向における他端は、フレーム14の先端又は先端付近に設けられる固定部141Eに固定される。便宜上、周方向のうち、ディスプレイ11を巻き取る方向を「巻取方向」、ディスプレイ11を送り出す方向を「展開方向」とも呼ぶ。展開状態においては、例えば、リール12からディスプレイ11が限界まで送り出されるようにしてもよい。このとき、ディスプレイ11の一部は、筐体10の内部に存在してもよい。このとき、筐体10の内部に存在する部分は、リール12がディスプレイ11を送り出すためのベゼル部であることが好ましい。
【0016】
モーター13は、リール12を駆動する駆動部である。モーター13は、例えば、ステッピングモーター、サーボモーターなどであってもよい。リール12を回転させることで、ディスプレイ11の送り出し及び巻き取りの動作を行う。本実施形態では、図3に示すように、モーター13は、回転力を出力するシャフトにギア131を備える。また、ギア131は、リール12のローラー部が有するギア121と係合しており、モーター13の駆動力をリール12に伝える。また、リール12が回転することにより、ディスプレイ11の送り出し及び巻き取りがなされると共に、フレーム14は伸縮する。ここで、ディスプレイ11は所定の程度以上の剛性を持っているものとする。所定の程度とは、移行状態において、モーター13が動作することでリール12が展開方向に回転することによりディスプレイ11が送り出されたときに、ディスプレイ11が屈曲することなくフレーム14を引き出せる程度、且つリール12が巻取方向に回転することによりディスプレイ11が巻き取られたときに、ディスプレイ11が破断することなくフレーム14を追従させ収納させる程度である。なお、モーター13とリール12との間の動力伝達機構等の態様は一例であり、ギアに代えて摩擦車やベルト等を用いてもよい。また、リール12とモーター13とが一体になった態様や、モーター13を設けず、上述のリール12から手動でディスプレイ11及びフレーム14を引き出す態様等でもよい。
【0017】
本実施形態では、ディスプレイ11の支持部であるフレーム14は、平面視上、同一の曲率で湾曲した複数のフレームによって形成されている。図2に示すように、フレーム14は、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144の湾曲した4つのフレームと、ヘッドレスト21に固定された固定フレーム145によって構成されている。なお、フレーム14を構成する部材の数は特に限定されない。また、フレーム14を構成する各フレームは、横断面がコの字状であり、溝側が使用者側に向くように配置される。フレーム14の溝側には、ディスプレイ11が設けられる。フレーム14は、いわゆるスライドレールのように伸縮する。すなわち、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144、固定フレーム145は、入れ子状に収容できるように、順に横断面が大きくなっている。よって、収納状態では、図1に示すように、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144の4つのフレームは固定フレーム145の内部に収納される。また、収容するフレームの溝に沿って、収容されるフレームはスライド可能に連結されている。なお、隣り合うフレームの間にはベアリングやローラー等の摩擦軽減部材を備えていてもよい。また、抜け落ちを防止するために、隣り合うフレーム同士の端部には、互いに係合する抜落防止部を設けてもよい。これにより、図2における移行状態では、矢印M1方向へテレスコピック構造のように展開可能である。そして、展開状態では、図3のように、座席2に着座する使用者の頭部を囲うようにフレーム14が展開される。
【0018】
各フレームの態様はあくまでも例であり、例えば、各フレームは、ディスプレイ11の上下の縁に沿うように形成される2つのレールを支柱で繋いだラダー型のフレーム等でもよい。フレーム14は、移行状態においてディスプレイ11をガイドでき、且つ展開状態においてディスプレイ11を支えられる構造であればよい。
【0019】
また、図3に示すように、筐体10がローラー15を備えていてもよい。ローラー15は、フレーム14に沿ってディスプレイ11が送り出されるようにガイドするガイド部である。例えば、ローラー15は、リール12と平行な回転軸を中心に周方向へ回転する円柱状の部材である。また、ローラー15は、固定フレーム145の溝側且つリール12よりもヘッドレスト21の右側面21R寄りに配置される。そして、ディスプレイ11は、ローラー15とフレーム14との間を通過するように、固定部12Eと固定部141Eとに接続される。但し、ローラー15を用いる態様は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、表示装置1は、ローラー15以外のガイド部を備えていてもよいし、ガイド部を備えていなくてもよい。
【0020】
図1に示す制御装置17は、例えば、プロセッサ171と記憶装置172とを含むMPU(Micro Controller Unit)等のコンピュータである。プロセッサ171は、マイク
ロプロセッサ、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置である。プロセッサ
171は、モーター13及び入力装置18と電気的に接続される。また、プロセッサ171は、入力装置18からの入力信号に応じて、モーター13を動作させるための信号を出力する。記憶装置172は、主記憶装置及び補助記憶装置の少なくとも何れかを含む。記憶装置172は、ディスプレイ11の状態を記憶するようにしてもよい。入力装置18は、例えばコントローラーやスイッチ、タッチパネル、カメラ、マイク等である。入力装置18は、使用者の操作を受け付け、操作に応じた信号を制御装置17へ出力する。コントローラーは、センターコンソールやドアの内張り、アームレスト、前席のヘッドレスト等の使用者の手に届きやすい位置に設置されているのが好ましい。また、例えば、ディスプレイ11がタッチパネルを備え、展開状態においては、タッチパネルがタッチ操作による使用者の入力を受け付けてもよい。また、表示装置1は、カメラやマイク等を備え、アイトラッキング、ジェスチャー、音声認識等の方法で使用者の入力を受け付けてもよい。また、使用者が所持するスマートフォンなどの通信機器を、有線又は無線で通信可能に制御
装置17と接続し、入力装置18として使用可能としてもよい。
【0021】
[動作]
次に、実施形態に係る表示装置1の動作について説明する。但し、本実施形態の表示装置1の動作は、以下の方法に限定されるものではない。以下では、図1図2及び図3を参照しながら、図4のフローチャートに基づいて表示装置1の動作を説明する。図4に示す処理は、例えば表示装置1がアクセサリー電源又はイグニッション電源から給電を受けている間、繰り返し実行されるものとする。また、本実施形態では、表示装置1は、1つのスイッチ等を入力装置18として展開及び収納の指示を受け付けるものとする。
【0022】
表示装置1の制御装置17は、動作を指示する入力を受けたか判断する(図4:S1)。本ステップでは、制御装置17のプロセッサ171は、入力装置18に対する動作指示の入力を検知する。なお、表示装置1に対する動作を要求する操作が入力装置18に対してなされた場合、入力装置18は、動作の要求を示す信号を制御装置17へ出力する。このようにすることで、使用者が使用者自身の意思で表示装置1を図1に示す収納状態から図3に示す展開状態へ、又は、図3に示す展開状態から図1に示す収納状態へ移行させることができる。
【0023】
動作指示が入力されたと判断された場合(S1:YES)、表示装置1の制御装置17は、現在(本処理時点)の表示装置1の状態が「収納状態」であるか判断する(図4:S2)。本ステップでは、プロセッサ171は、例えば記憶装置172が記憶しているディスプレイ11の状態に基づいて判断する。
【0024】
収納状態であると判断された場合(S2:YES)、駆動部がリール12を展開方向へ駆動させる(図4:S3)。本ステップでは、表示装置1の制御装置17から、本実施形態の駆動部であるモーター13へ、リール12が展開方向へ回転するようにモーター13を動かす信号が送られる。モーター13によってリール12が回転する。また、リール12の回転により、ディスプレイ11が送り出され、ディスプレイ11と連動して、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、及び第4フレーム144の4つのフレームが、ヘッドレスト21に固定された固定フレーム145から図2に示す矢印M1方向へ展開される。制御装置17は、ディスプレイ11が予め定められた大きさに展開されるまでS3の処理を実行する。ディスプレイ11が送り出された大きさ及び巻き取られた大きさは、例えばモーター13の回転量を出力するエンコーダーを用いて検知することができる。このように動作することで、使用者の頭部を囲うように使用者の正面と側面にディスプレイ11が配置される。なお、ディスプレイ11は、展開状態において必ずしも使用者の側面まで延在していなくてもよい。すなわち、ディスプレイ11は、例えば展開状態において使用者の正面を中心に配置される任意の大きさの表示部であってもよい。この場合は、ディスプレイ11は、リール12がディスプレイ11を送り出すためのベゼル部の大きさが適宜調整される。
【0025】
S2において収納状態でないと判断された場合(S2:NO)、制御装置17は、現在の表示装置1の状態が「展開状態」であるか判断する(図4:S4)。本ステップにおいても、プロセッサ171は、例えば記憶装置172が記憶しているディスプレイ11の状態に基づいて判断する。
【0026】
展開状態であると判断された場合(S4:YES)、駆動部がリール12を巻取方向へ駆動させる(図4:S5)。本ステップでは、表示装置1の制御装置17から、本実施形態の駆動部であるモーター13へ、リール12が巻取方向へ回転するようにモーター13を動かす信号が送られる。ディスプレイ11が矢印M1の反対方向へ巻き取られると、これに追従してフレーム14も筐体10内へ収納される。
【0027】
S3及びS5の後、S1において動作指示の入力がないと判断された場合(S1:NO)、並びにS4において展開状態でないと判断された場合(S4:NO)は、図4の処理を終了する。S4において展開状態でないと判断された場合とは、表示装置1が移行状態にある場合である。なお、S2においては、移行状態であって駆動部がリール12を巻取方向へ駆動させているときも、S3の処理を実行すると判断してもよい。同様に、S4においては、移行状態であって駆動部がリール12を展開方向へ駆動させているときも、S5の処理を実行すると判断してもよい。
【0028】
[作用・効果]
本実施形態における収納状態では、ヘッドレスト21と筐体10が一体となっており、ヘッドレスト21内部に表示装置1の動作機構が設けられている。そのため、収納状態においては、使用者及び他の同乗者は表示装置1を視認できないため、車内空間の美観を損なわないようなっている。また、運転者からも視認できないため、運転者の視界を阻害することはない。
【0029】
本実施形態における展開状態では、使用者に対して、使用者の希望する所定の情報が表示される。本実施形態では、ディスプレイ11は継ぎ目のない曲面ディスプレイとして形成されるため、使用者が所定の情報を視聴する際には臨場感や没入感が向上する。また、表示装置1が設けられた座席2に着座した使用者は、他の同乗者とは別の内容を閲覧でき、パーソナルな空間を確保できる。また、表示装置1は使用者の頭部の周囲に展開されるため、例えばバックミラーを介した運転者の視界を阻害することが低減される。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る表示装置1によれば、収納状態においては運転者の視界を遮らず、車室内の美観やデザインの意匠を邪魔しない。また、展開状態においては、ヘッドレストのサイズに依存しない広い表示領域を、使用者を囲うように提供できるため、ディスプレイサイズの自由度を向上させ、更に臨場感や没入感を向上させた映像体験を、パーソナルな環境下で提供することができる。
【0031】
[実施形態1の変形例1]
[装置構成]
図5は、実施形態1の変形例1に係る表示装置1Aの収納状態における概略図である。図6は、実施形態1の変形例1に係る表示装置1Aの展開状態における概略図である。図5及び図6の何れも、前側から座席2を視ている。なお、本変形例の説明では、図1から図3で説明した表示装置1との相違点を中心に説明する。また、表示装置1Aを構成する部材のうち、表示装置1と共通する部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は割愛する。
【0032】
本実施形態では、表示装置1Aは2枚のディスプレイを有している。具体的には、表示装置1Aは、筐体10と、ディスプレイ11及びディスプレイ11Aと、リール12及びリール12Aと、モーター13及びモーター13Aと、フレーム14Aとを有する。また、フレーム14Aは、ディスプレイ11及びディスプレイ11Aの両者を支持する。また、ヘッドレスト21は筐体10と一体で形成され、表示装置1が、ヘッドレスト21の右側面21R及び左側面21Lから展開される。なお、1つのモーターが、ギアやベルト等の動力伝達機構を介してリール12及びリール12Aを回転させるようにしてもよい。
【0033】
本変形例では、ディスプレイ11及びディスプレイ11Aの支持部であるフレーム14Aは、湾曲した複数のフレームによって形成されている。図6に示すように、フレーム14Aは、ヘッドレスト21の右側面21Rから展開される第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、及び第4フレーム144と、ヘッドレスト21の左側
面21Lから展開される第1フレーム141A、及び第2フレーム142Aと、筐体10に固定された固定フレーム145Aによって構成されている。収納状態では、図5に示すように、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144、及び第1フレーム141A、第2フレーム142Aの6つのフレームは固定フレーム145A内部に収納される。実施形態1と同様に、右側面21Rから展開される第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144、固定フレーム145Aは、図6における移行状態では、矢印M2方向へテレスコピック構造のように展開可能である。また、左側面21Lから展開される第1フレーム141A、第2フレーム142A、固定フレーム145Aも、この順に内部空間が次第に大きくなるように形成されている。これにより、図6おける移行状態では、矢印M3方向へテレスコピック構造のように展開可能である。
【0034】
第1フレーム141の延伸方向の先端部と、第1フレーム141Aの延伸方向の先端部とは、展開状態において当接又は近接する。このとき、ディスプレイ11とディスプレイ11Aとの継目は、正面を向いた使用者の一般的な視野の範囲外に位置することが好ましい。例えば、第1フレーム141、第2フレーム142、第3フレーム143、第4フレーム144は、使用者の後頭部の真後ろから概ね210度の角度まで展開されるとよい。また、第1フレーム141A、第2フレーム142Aは、使用者の後頭部の真後ろから概ね150度の角度まで展開されるとよい。こうすることで、ディスプレイ11とディスプレイ11Aとの継ぎ目を、使用者の正面から30度程度ずらすことができ、使用者が正面を向いたときにディスプレイの継ぎ目を意識させにくくできる。また、ヘッドレスト21の外に送り出されたディスプレイ11及びディスプレイ11Aの全ての領域に所定の情報を表示できるようにしてもよい。
【0035】
[実施形態1の変形例2]
[装置構成]
表示装置1が設けられる車室が十分な空間を確保できない場合、実施形態1のディスプレイ11と共に、使用者に隣接する車窓にディスプレイを設けてもよい。すなわち、助手席や進行方向を向いた窓際の後部座席の場合、ヘッドレスト21の窓とは反対側の側面から、実施形態1に示したディスプレイ11を展開させる。一方、窓側には、窓の内側にディスプレイを設ける。このように、使用者の視界をできるだけ広くディスプレイで覆うようにしてもよい。この際、窓に設けるディスプレイは透明なディスプレイを用いることで、ディスプレイの不使用時には窓からの風景を見ることも可能とすることができる。
【0036】
<実施形態2>
[装置構成]
図7は、収納状態の実施形態2に係る表示装置1Bを備える座席2を後ろ側から眺めた状態の概略図である。図8は、実施形態2に係る表示装置1Bの移行状態を説明するための概略図である。図9は、実施形態2に係る表示装置1Bの展開状態における概略図であり、前側から座席2を視ている。以下では、図7図8及び図9を用いて、本実施形態に係る表示装置1Bについて説明する。なお、本実施形態の説明では、図1から図3で説明した表示装置1との相違点を中心に説明する。また、表示装置1Bを構成する部材のうち、表示装置1と共通する部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は割愛する。
【0037】
本実施形態において、表示装置1Bは所定の収納部である筐体10を含む。筐体10は、内部機構であるディスプレイ11と、ディスプレイ11が巻かれている左側リール12L及び右側リール12Rと、左側リール12Lを駆動する駆動部である左側モーター13Lと、右側リール12Rを駆動する駆動部である右側モーター13Rとを有している。本実施形態では、筐体10がヘッドレスト21の左右の側方に備えられている。左側フレー
ム14Lがヘッドレスト21の左側に、右側フレーム14Rがヘッドレスト21の右側に備えられており、左側フレーム14Lと右側フレーム14Rとが梁16によって接続されている。これにより、ディスプレイ11は支持部である左側フレーム14Lと右側フレーム14Rと梁16によって支持される。本実施形態では、表示装置1Bは、収納状態から展開状態への移行状態において、左側フレーム14Lが回転装置30によって回転することで筐体10の全体が回転し、表示装置1が使用者の上部から覆うようにディスプレイ11を展開する。なお、梁16は備えていなくてもよい。
【0038】
ディスプレイ11の支持部であるフレーム14は、ヘッドレスト21を挟んで左側に位置する左側フレーム14Lと、ヘッドレスト21を挟んで右側に位置する右側フレーム14Rと、を有する。本実施形態において、左側フレーム14Lと、右側フレーム14Rは、平面視上、矩形の複数のフレームによって形成されている。左側フレーム14Lは、左側第1フレーム141Lと、左側固定フレーム145Lによって構成されている。右側フレーム14Rは、右側第1フレーム141Rと、右側固定フレーム145Rによって構成されている。本実施形態では、左側固定フレーム145L及び右側固定フレーム145Rが筐体10に相当する。また、左側第1フレーム141L及び右側第1フレーム141Rは、筐体10に収納されるフレームといえる。また、左側第1フレーム141L、右側第1フレーム141R、は横断面がコの字状であり、溝側が使用者側に向くように配置される。また、左側固定フレーム145L、右側固定フレーム145Rは後側に開口を有する箱形状である。図8における移行状態では、左側フレーム14L及び右側フレーム14Rは矢印M4方向へテレスコピック構造のように展開可能である。つまり、フレーム14は、いわゆるスライドレールのように直線的に伸縮する。すなわち、左側第1フレーム141Lが左側固定フレーム145Lに収容できるように、また、右側第1フレーム141Rが右側固定フレーム145Rに収容できるように、それぞれ入れ子状に横断面が大きくなっている。また、収容するフレームの溝に沿って、収容されるフレームはスライド可能に連結されている。なお、隣り合うフレームの間にはベアリングやローラー等の摩擦軽減部材を備えていてもよい。また、抜け落ちを防止するために、隣り合うフレーム同士の端部には、互いに係合する抜落防止部を設けてもよい。なお、左側第1フレーム141Lの後側端部とディスプレイ11を、右側第1フレーム141Rの後側端部とディスプレイ11を、それぞれ接続することで、ディスプレイ11の送り出しとフレーム14の展開を連動してもよい。但し、本実施形態のフレーム14の態様は一例であり、これに限られるものではない。
【0039】
梁16は、左側フレーム14Lの左側第1フレーム141Lと、右側フレーム14Rの右側第1フレーム141Rとを接続している。梁16は、平面視上、湾曲したフレームによって形成されている。当該溝部の使用者側には、ディスプレイ11の抜け落ちを防止し、ディスプレイ11と接続される接続部が形成されていていてもよい。接続部は、ディスプレイ11の上下端部と係合する突起等であってもよいし、ディスプレイ11の上下を挟持する挟持部でであってもよい。図8における移行状態において、梁16は、左側フレーム14L及び右側フレーム14Rが矢印M4方向へ展開される動きに追従し、矢印M4方向へ移動する。この際、左側第1フレーム141Lと右側第1フレーム141Rから梁16が抜け落ちることを防止するために、梁16の両端部には、左側第1フレーム141Lと右側第1フレーム141Rと係合する抜落防止部を設けてもよい。なお、隣り合う左側第1フレーム141L及び右側第1フレーム141Rと、梁16の間にはベアリングやローラー等の摩擦軽減部材を備えていてもよい。また、左側フレーム14L及び右側フレーム14Rが矢印M4の反対方向へ動作し、収納される際には、上述の梁16に形成される接続部とディスプレイ11が係合することによって、ディスプレイ11の動作に連動して、梁16が収納される。但し、梁16とディスプレイ11の係合の態様は一例であり、例えば、ディスプレイ11の裏面を梁16と接続する態様でもよい。なお、梁16を備えない場合は、左側第1フレーム141L及び右側第1フレーム141Rの先端付近に、それ
ぞれディスプレイ11との接続部が形成されていてもよい。
【0040】
ディスプレイ11の中央部は、左側フレーム14Lと右側フレーム14Rにまたがるように、且つ後述の梁16に沿って配置される。また、リール12は、左側リール12Lと、右側リール12Rとを含む。左側フレーム14Lには左側リール12Lが配置され、右側フレーム14Rには右側リール12Rが配置される。また、左側リール12Lは左側フレーム14L内において、ディスプレイ11の長手方向における一端を、短手方向に沿って固定している。右側リール12Rは右側フレーム14R内においてディスプレイ11の長手方向における他端を、短手方向に沿って固定している。
【0041】
モーター13は、左側モーター13Lと、右側モーター13Rとを含む。左側フレーム14Lには、左側モーター13Lが配置され、右側フレーム14Rには右側モーター13Rが配置される。左側モーター13Lは左側リール12Lを、右側モーター13Rは右側リール12Rを駆動する駆動部である。左側リール12L及び右側リール12Rを回転させることで、ディスプレイ11の送り出し及び巻き取りがなされると共に、フレーム14は伸縮する。ディスプレイ11は所定の程度以上の剛性を持っているため、モーター13が動作することでリール12が展開方向に回転することによりディスプレイ11が送り出されたときに、ディスプレイ11が屈曲することなくフレーム14と梁16を引き出せ、且つリール12が巻取方向に回転することによりディスプレイ11が巻き取られたときに、ディスプレイ11が破断することなくフレーム14と梁16とを追従させ収納させられる。
【0042】
表示装置1Bは、左側フレーム14Lに左側ローラーを、右側フレーム14Rに右側ローラーを備えていてもよい。例えば、左側フレーム14Lの内部と当該左側ローラー、及び右側フレーム14Rと当該右側ローラーとの間にディスプレイ11を挟むように用いる態様でローラーを用いてもよい。これによって、左側リール12L及び右側リール12Rから送りだされるディスプレイ11の送りだされる方向をガイドすることができる。但し、ローラーを用いる態様は一例であり、例えば、他のガイド部を備えていてもよい。
【0043】
本実施形態では、表示装置1Bは回転装置30を備える。図9に示すように、筐体10は、回転装置30によって回転可能に構成されている。回転装置30は、左側ヒンジ31Lと、右側ヒンジ31Rと、左側ヒンジ31Lを回動させるためギアによって接続されたモーター32と、を有する。左側ヒンジ31Lは、ヘッドレスト21と左側フレーム14Lとを、軸Cを中心に回動可能に接続している。右側ヒンジ31Rは、ヘッドレスト21と右側フレーム14Rとを、軸Cを中心に回動可能に接続している。すなわち、左側ヒンジ31L及び右側ヒンジ31Rは、軸C上に位置する。モーター32は、例えば、ステッピングモーター、サーボモーターなどであってもよい。
【0044】
表示装置1Bは、左側フレーム14Lの左側第1フレーム141Lと、右側フレーム14Rの右側第1フレーム141Rとは梁16によって接続されている。モーター32は、収納状態から展開状態に移行する際の移行状態において動作する。この際、左側フレーム14Lと右側フレーム14Rとは連動し、使用者を上部から覆うようにディスプレイ11を展開可能となる。移行状態から展開状態に変形する際には、左側フレーム14Lと右側フレーム14Rとは、後側から前側へ矢印M5に沿って、軸Cを中心に旋回する。図9に示す展開状態では、ディスプレイ11は使用者の正面に位置する表示領域11Fと、使用者の左側面に位置する表示領域11Lと、使用者の右側面に位置する表示領域11Rと、を有することとなり、使用者の頭部を囲うようにディスプレイ11が配置される。
【0045】
[動作]
本実施形態における表示装置1Bが、図1に示す制御装置17を更に備えてもよい。以
下では、制御装置17を備えた表示装置1Bにおける、表示装置1Bの動作について説明する。但し、本実施形態の表示装置1Bの動作は、以下の方法に限定されるものではない。以下では、図7図8及び図9を参照しながら、図4のフローチャートに基づいて表示装置1Bの動作を説明する。但し、本実施形態の説明では、上述した表示装置1の動作との相違点であるステップS3及びステップS5を中心に説明する。
【0046】
表示装置1Bの制御装置17に収納状態であると判断された場合(S2:YES)、駆動部は展開方向へ駆動させる(図4:S3)。本ステップでは、表示装置1Bの制御装置17から、本実施形態の駆動部であるモーター13へ、リール12が展開方向へ回転するようにモーター13を動かす信号が送られる。また、リール12の回転により、ディスプレイ11が送りだされ、ディスプレイ11の送り出しに連動して、左側第1フレーム141L及び右側第1フレーム141Rが、固定フレーム145から矢印M4方向へ展開される。この際、梁16はディスプレイ11の裏面に押されるようにして、矢印M4方向へ移動する。制御装置17は、フレーム14が所定の大きさ展開されるまでS3の処理を実行する。所定の大きさとは、ヘッドレスト21と、梁16との間に使用者の頭部が入る空間が確保される程度の大きさである。また、ディスプレイ11が送り出された大きさ及び巻き取られた大きさは、例えばモーター13の回転量を出力するエンコーダーを用いて検知することができる。その後に、図9に示す矢印M5に沿って筐体10は回転する。この際、左側ヒンジ31Lと右側ヒンジ31Rの中心を結ぶ軸Cを軸として、使用者を上部から覆うように、筐体10は回転する。この際、使用者に対するディスプレイ11の遠近は調整可能である。例えば、センサー等によって、筐体10の回転中に使用者の頭部に合わせたサイズを把握し、左側第1フレーム141L及び右側第1フレーム141Rの延伸距離を調整しながら、使用者を上部から覆うように降下してもよい。
【0047】
表示装置1Bの制御装置17に展開状態であると判断された場合(S4:YES)、駆動部は収納方向へ駆動させる(図4:S5)。本ステップでは、まず、表示装置1Bの制御装置17から、矢印M5とは反対方向にモーター32を駆動する信号が送られる。筐体10が後側への回転を動作完了した後に、リール12が巻取方向へ回転するようにモーター13を動かす信号が送られる。ディスプレイ11が矢印M4の反対方向へ巻き取られると、ディスプレイ11の上下縁部が、例えば梁16に設けられた接続部を前側に引っ張る。これによって、梁16が矢印M4とは逆方向に移動し、その動きに追従して左側第1フレーム141Lは左側固定フレーム145Lへ、右側第1フレーム141Rは右側固定フレーム145Rへ収納される。収納状態では、梁16及びディスプレイ11の一部はヘッドレスト21の後部に沿うように収納される。
【0048】
[作用・効果]
本実施形態における収納状態では、ヘッドレスト21を挟んだ左右側に、それぞれ左側フレーム14Lと右側フレーム14Rが設けられ、フレーム14内に表示装置1Bの展開機構が、ヘッドレスト21内部に表示装置1Bの回転装置30が設けられている。そのため、収納状態においては、ヘッドレスト21の後側に梁16が沿うように配置され、使用者及び他の同乗者の邪魔にならない位置に収納されるため、車内空間の美観を損なわないようなっている。また、表示装置1Bは使用者の頭部の周囲に展開されるため、例えばバックミラーを介した運転者の視界を阻害することが低減される。
【0049】
本実施形態における展開状態では、使用者に対して、使用者の希望する所定の情報が表示される。本実施形態では、ディスプレイ11は使用者の正面に位置する表示領域11Fと、使用者の左側面に位置する表示領域11Lと、使用者の右側面に位置する表示領域11Rと、を有し、使用者の頭部を囲うように形成されるため、使用者が所定の情報を視聴する際には臨場感や没入感が向上する。また、表示装置1Bが設けられた座席2に着座した使用者は、他の同乗者とは別の内容を閲覧でき、パーソナルな空間を確保できる。本実
施形態においては、継ぎ目のないディスプレイ11を、使用者の前方から左右に展開することができる。また、展開状態において、使用者の操作に応じてディスプレイ11の送り出し及び巻き取りを可能にして、使用者とディスプレイ11との距離を調整できるようにしてもよい。
【0050】
以上、本開示に係る実施形態1及び実施形態2について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A、1B :表示装置
10 :筐体
11 :ディスプレイ
12 :リール
13 :モーター
14 :フレーム
2 :座席
30 :回転装置
C :軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9