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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145340
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20241004BHJP
   G21F 3/00 20060101ALI20241004BHJP
   G21C 19/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G21F9/36 541A
G21F3/00 P
G21C19/02 020
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057646
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】定木 啓
(72)【発明者】
【氏名】隈元 一善
(72)【発明者】
【氏名】山中 智弘
(57)【要約】
【課題】貯蔵室内の複数の観察箇所を簡易な構成で観察する。
【解決手段】貯蔵設備100は、放射性物質を貯蔵する貯蔵室SRを有する建屋110と、建屋110における貯蔵室SRを構成する壁(第1の側壁118)と、壁(第1の側壁118)を貫通する貫通孔310と、貫通孔310に挿通されて貯蔵室SRの内部まで延在し、貯蔵室SRの外部から貯蔵室SRの内部における複数の観察箇所まで撮像装置を案内可能とするガイド部320と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を貯蔵する貯蔵室を有する建屋と、
前記建屋における前記貯蔵室を構成する壁と、
前記壁を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に挿通されて前記貯蔵室の内部まで延在し、前記貯蔵室の外部から前記貯蔵室の内部における複数の観察箇所まで撮像装置を案内可能とするガイド部と、
を備える、貯蔵設備。
【請求項2】
前記観察箇所を撮像する際の前記撮像装置の撮像方向は、前記ガイド部によって案内される前記撮像装置の移動方向と交差する、請求項1に記載の貯蔵設備。
【請求項3】
前記建屋は、
前記貯蔵室の上面を構成する上壁と、
前記貯蔵室の側面を構成する側壁と、
前記貯蔵室の底面を構成する底壁と、
を有し、
前記上壁から垂下され、内部に前記放射性物質を収容する筒形状の収納管を複数備え、
前記貫通孔は、前記側壁に形成され、
前記ガイド部は、前記複数の収納管の下端と前記底壁との間に設けられる、請求項1または2に記載の貯蔵設備。
【請求項4】
前記複数の収納管は、略水平方向に配列されており、
前記ガイド部は、
前記貫通孔に挿通される挿通管と、
前記挿通管に連続し、前記複数の収納管の配列方向に沿って略水平方向に延在するガイド管と、
前記ガイド管に形成された1または複数の開口と、
を有する、請求項3に記載の貯蔵設備。
【請求項5】
略水平方向に配列された前記複数の収納管のグループを、前記配列方向と直交する方向に複数備え、
前記ガイド部は、前記ガイド管を複数有し、
前記複数のガイド管は、複数の前記グループそれぞれに対応して設けられる、請求項4に記載の貯蔵設備。
【請求項6】
前記貫通孔は、
前記貯蔵室の外部側に形成される外部開口と、
前記外部開口と鉛直方向の位置を異にして、前記貯蔵室の内部側に形成される内部開口と、
前記外部開口および前記内部開口に連通され、前記外部開口側から前記内部開口側に向かって傾斜する傾斜部と、
を有する、請求項3に記載の貯蔵設備。
【請求項7】
前記貫通孔は、
前記外部開口から略水平方向に延在する第1延在部と、
前記内部開口から略水平方向に延在する第2延在部と、
を有し、
前記傾斜部は、前記第1延在部と前記第2延在部とに連通され、
前記側壁内における前記第1延在部と略等しい高さであって、前記第1延在部よりも前記貯蔵室の内部側に設けられ、前記側壁の材質よりも密度が大きい第1遮蔽板と、
前記側壁内における前記第2延在部と略等しい高さであって、前記第2延在部よりも前記貯蔵室の外部側に設けられ、前記側壁の材質よりも密度が大きい第2遮蔽板と、
を備える、請求項6に記載の貯蔵設備。
【請求項8】
前記内部開口は、前記外部開口の下方に位置する、請求項7に記載の貯蔵設備。
【請求項9】
前記ガイド部における前記複数の観察箇所の近傍にそれぞれ設けられ、前記観察箇所を示す識別子を備える、請求項1または2に記載の貯蔵設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電プラント等で発生する廃液等の放射性廃棄物に対し、ガラス固化処理が施されている。ガラス固化処理は、放射性廃棄物をガラスとともに溶融した後、冷却してガラス固化体とする処理である。ガラス固化体は、筒形状の収納管に収納されて、コンクリート製の建屋の内部に形成された貯蔵室に貯蔵される(例えば、特許文献1)。
【0003】
貯蔵室内は放射線量が高いため、作業員の立ち入りが困難である。このため、従来、カメラを備えた自走式ロボットを貯蔵室内の観察箇所まで移動させて、観察箇所を観察していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-166092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記自走式ロボットを用いた従来技術では、放射線による自走式ロボットの破損を抑制するために、自走式ロボットの上部に30t程度の遮蔽バルジを載置する必要があった。このため、自走式ロボットの設置に大変な労力を要していた。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、貯蔵室内の複数の観察箇所を簡易な構成で観察することが可能な貯蔵設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る貯蔵設備は、放射性物質を貯蔵する貯蔵室を有する建屋と、建屋における貯蔵室を構成する壁と、壁を貫通する貫通孔と、貫通孔に挿通されて貯蔵室の内部まで延在し、貯蔵室の外部から貯蔵室の内部における複数の観察箇所まで撮像装置を案内可能とするガイド部と、を備える。
【0008】
また、観察箇所を撮像する際の撮像装置の撮像方向は、ガイド部によって案内される撮像装置の移動方向と交差してもよい。
【0009】
また、建屋は、貯蔵室の上面を構成する上壁と、貯蔵室の側面を構成する側壁と、貯蔵室の底面を構成する底壁と、を有し、上壁から垂下され、内部に放射性物質を収容する筒形状の収納管を複数備え、貫通孔は、側壁に形成され、ガイド部は、複数の収納管の下端と底壁との間に設けられてもよい。
【0010】
また、複数の収納管は、略水平方向に配列されており、ガイド部は、貫通孔に挿通される挿通管と、挿通管に連続し、複数の収納管の配列方向に沿って略水平方向に延在するガイド管と、ガイド管に形成された1または複数の開口と、を有してもよい。
【0011】
また、略水平方向に配列された複数の収納管のグループを、配列方向と直交する方向に複数備え、ガイド部は、ガイド管を複数有し、複数のガイド管は、複数のグループそれぞれに対応して設けられてもよい。
【0012】
また、貫通孔は、貯蔵室の外部側に形成される外部開口と、外部開口と鉛直方向の位置を異にして、貯蔵室の内部側に形成される内部開口と、外部開口および内部開口に連通され、外部開口側から内部開口側に向かって傾斜する傾斜部と、を有してもよい。
【0013】
また、貫通孔は、外部開口から略水平方向に延在する第1延在部と、内部開口から略水平方向に延在する第2延在部と、を有し、傾斜部は、第1延在部と第2延在部とに連通され、側壁内における第1延在部と略等しい高さであって、第1延在部よりも貯蔵室の内部側に設けられ、側壁の材質よりも密度が大きい第1遮蔽板と、側壁内における第2延在部と略等しい高さであって、第2延在部よりも貯蔵室の外部側に設けられ、側壁の材質よりも密度が大きい第2遮蔽板と、を備えてもよい。
【0014】
また、内部開口は、外部開口の下方に位置してもよい。
【0015】
また、ガイド部における複数の観察箇所の近傍にそれぞれ設けられ、観察箇所を示す識別子を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、貯蔵室内の複数の観察箇所を簡易な構成で観察することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係る貯蔵設備の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係るガイド部、貫通孔、第1遮蔽板、および、第2遮蔽板を説明する図である。
図3図3は、本実施形態に係るガイド部を説明する図である。
図4図4は、本実施形態に係る観察装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
[貯蔵設備100]
図1は、本実施形態に係る貯蔵設備100の概略構成を示す断面図である。貯蔵設備100は、例えば、放射性物質を貯蔵する。放射性物質は、例えば、ガラス固化体である。ガラス固化体は、放射性廃棄物をガラスとともに溶融した後、冷却して固化したものである。また、本実施形態に係る貯蔵設備100は、内部に外気を通過させることで、放射性物質を空冷する。
【0020】
図1に示すように、貯蔵設備100は、建屋110と、収納管210とを備える。図1をはじめとする以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
【0021】
建屋110は、内部に貯蔵室SRを有するコンクリート建造物である。建屋110は、下部が地中に埋設されるように建造される。
【0022】
建屋110は、上壁112と、底壁114と、第1の側壁116、118と、2つの第2の側壁120と、下部プレナム板130と、上部プレナム板132と、通風管140と、遮蔽壁150と、突出部160と、上流外壁162と、遮蔽壁170と、床部180と、下流外壁182、184と、貫通孔310と、ガイド部320とを含む。
【0023】
上壁112は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する壁である。上壁112は、例えば、建屋110の周囲の地面と略同一の高さに設置される。
【0024】
底壁114は、上壁112の下方に設けられる。底壁114は、略水平方向に延在する壁である。底壁114は、上壁112と略平行に設けられる。
【0025】
第1の側壁116、118は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在する壁である。
【0026】
第1の側壁116は、上壁112から略鉛直下方に立設する。第1の側壁116の頂部116aは、底壁114と離隔する。頂部116aと底壁114との間には、空隙116bが形成される。
【0027】
第1の側壁118は、底壁114から略鉛直上方に立設する。第1の側壁118の頂部118aは、上壁112と離隔する。頂部118aと上壁112との間には、空隙118bが形成される。
【0028】
第2の側壁120は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびX方向)に延在する壁である。第2の側壁120の上端部は、上壁112に接続される。第2の側壁120の下端部は、底壁114に接続される。
【0029】
上壁112、底壁114、第1の側壁116、118、および、第2の側壁120によって区画された空間が貯蔵室SRとして機能する。つまり、上壁112は、貯蔵室SRの上面を構成する。底壁114は、貯蔵室SRの底面を構成する。第1の側壁116、118、および、第2の側壁120は、貯蔵室SRの側面を構成する。
【0030】
下部プレナム板130は、貯蔵室SRに設けられる。下部プレナム板130は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する板である。下部プレナム板130は、第1の側壁116、118、第2の側壁120に固定される。下部プレナム板130と底壁114との間には、下部プレナム部BPが形成される。下部プレナム部BPは、貯蔵室SRにおける最下部に設けられる空間である。下部プレナム部BPには、空隙116bが連通される。
【0031】
上部プレナム板132は、貯蔵室SRにおける下部プレナム板130の略鉛直上方に設けられる。上部プレナム板132は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する板である。上部プレナム板132は、下部プレナム板130と略平行に設けられる。上部プレナム板132は、第1の側壁116、118、第2の側壁120に固定される。上部プレナム板132と上壁112との間には、上部プレナム部UPが形成される。上部プレナム部UPは、貯蔵室SRにおける最上部に設けられる空間である。上部プレナム部UPには、空隙118bが連通される。
【0032】
通風管140は、円筒形状の直管である。通風管140は、軸方向が略鉛直方向となるように、下部プレナム板130および上部プレナム板132を貫通し、下部プレナム板130および上部プレナム板132によって支持される。通風管140の上端に形成された開口は、上部プレナム部UPに配され、通風管140の下端に形成された開口は、下部プレナム部BPに配される。通風管140は、下部プレナム部BPと上部プレナム部UPとを連通する。通風管140は、例えば、図1中、X方向に20本、Y方向に7本、合計140本、配される。
【0033】
収納管210は、筒形状の直管である。収納管210は、例えば、円筒形状である。収納管210の下端は封止されており、収納管210の内部にはガラス固化体が収納される。収納管210の上端は、不図示のプラグによって封止される。収納管210の外径は、通風管140の内径よりも小さい。収納管210は、通風管140内に設けられるように、上壁112に垂下される。したがって、通風管140と収納管210との間に空間が形成される。また、収納管210は、通風管140と同様に、例えば、図1中、X方向に20本、Y方向に7本、合計140本、配される。つまり、貯蔵設備100は、略水平方向(図1中、X方向)に配列された複数の収納管210のグループを、配列方向(図1中、X方向)と直交する方向(図1中、Y方向)に複数備える。
【0034】
遮蔽壁150は、底壁114における貯蔵室SRの外部に位置する箇所から略鉛直上方に立設する壁である。遮蔽壁150は、第1の側壁116と対向する対向面152を有する。遮蔽壁150の対向面152と、第1の側壁116との間には、流路R3が形成される。流路R3は、空隙116bを通じて、下部プレナム部BPに連通される。遮蔽壁150の頂部150aは、第1の側壁116の頂部116aよりも上方に位置する。
【0035】
突出部160は、第1の側壁116から貯蔵室SRの外部に突出する。突出部160の下面160aの一部は、遮蔽壁150の頂部150aと対向する。突出部160の下面160aと遮蔽壁150の頂部150aとの間に形成される流路R2は、流路R3に連続する。突出部160の突出面160bは、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在する面である。突出面160bは、上流外壁162と対向する。
【0036】
上流外壁162は、遮蔽壁150の頂部150aから略鉛直上方に延在した壁である。上流外壁162と、突出部160の突出面160bとの間に流路R1が形成される。また、流路R1は、流路R2に連続する。流路R1は、上流外壁162に形成された入口開口162aに連通される。
【0037】
流路R1と、流路R2とは、略直角に交差し、流路R2と流路R3とは、略直角に交差する。つまり、上流外壁162、突出部160、遮蔽壁150、および、第1の側壁116によってラビリンス構造が形成される。ラビリンス構造は、外気を蛇行させて通過させるが、直進する放射線を遮断する構造である。
【0038】
遮蔽壁170は、上壁112における貯蔵室SRの外部に位置する箇所から略鉛直下方に立設する壁である。遮蔽壁170は、第1の側壁118と対向する対向面172を有する。遮蔽壁170の対向面172と、第1の側壁118との間には、流路R4が形成される。流路R4は、空隙118bを通じて、上部プレナム部UPに連通される。遮蔽壁170の頂部170aは、第1の側壁118の頂部118aよりも下方に位置する。
【0039】
床部180は、第1の側壁118から貯蔵室SRの外部に延在し、下流外壁182に接続される。床部180は、略水平方向に延在する。床部180の上面180aの一部は、遮蔽壁170の頂部170aと対向する。床部180の上面180aと遮蔽壁170の頂部170aとの間に形成される流路R5は、流路R4に連続する。
【0040】
下流外壁182は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在した壁である。また、本実施形態において、第1の側壁118と下流外壁182との間には、収容空間186が形成される。収容空間186には、後述する観察装置500が収容される。
【0041】
下流外壁184は、上壁112の上面における遮蔽壁170の設置箇所に対応する箇所から略鉛直上方に立設する壁である。下流外壁182と、下流外壁184とは、略平行に設けられる。下流外壁182と下流外壁184との間に流路R6が形成される。流路R6は、流路R5に連続する。流路R5は、下流外壁182に形成された出口開口182aに連通される。
【0042】
流路R4と、流路R5とは、略直角に交差し、流路R5と流路R6とは、略直角に交差する。つまり、第1の側壁118、遮蔽壁170、床部180、および、下流外壁182によってラビリンス構造が形成される。
【0043】
続いて、貯蔵設備100内における外気の流れについて説明する。入口開口162aから供給された外気は、流路R1、流路R2、流路R3を通過し、空隙116bを通じて下部プレナム部BPに供給される。下部プレナム部BPに供給された外気は、通風管140の下端に形成された開口を通じて、通風管140内を通過し、通風管140の上端に形成された開口を通じて、上部プレナム部UPに排気される。外気は、通風管140を通過する過程で、収納管210内のガラス固化体と熱交換される。これにより、外気が加熱され、ガラス固化体が冷却される。上部プレナム部UPに排気された、加熱された外気は、空隙118bを通じて、流路R4に排気される。そして、加熱された外気は、流路R5、流路R6を通過し、出口開口182aを通じて、貯蔵設備100外へ排気される。
【0044】
貫通孔310は、第1の側壁118を貫通する孔である。ガイド部320は、貫通孔310に挿通されて、下部プレナム部BPにおける複数の収納管210の下端と底壁114との間まで延在する。
【0045】
図2は、本実施形態に係る貫通孔310、ガイド部320、第1遮蔽板330、および、第2遮蔽板332を説明する図である。
【0046】
貫通孔310は、第1の側壁118に複数形成されている。複数の貫通孔310には、ガイド部320を構成する複数の挿通管322がそれぞれ挿通される。貫通孔310は、外部開口310aと、内部開口310bと、第1延在部312と、第2延在部314と、傾斜部316とを有する。
【0047】
外部開口310aは、第1の側壁118における貯蔵室SRの外部側に形成された開口である。外部開口310aは、収容空間186に臨む。底壁114から外部開口310aまでの高さは、例えば、1m程度である。観察装置500による観察が行われない間、外部開口310aおよび後述する挿通管322の開口322aは、遮蔽板334によって封止される。遮蔽板334は、上下に移動可能である。遮蔽板334が上方に移動されると、遮蔽板334による外部開口310a、開口322aの封止が解除される。
【0048】
内部開口310bは、第1の側壁118における貯蔵室SRの内部側に形成された開口である。内部開口310bは、外部開口310aよりも下方に位置する。内部開口310bの図2中、Y方向の位置は、外部開口310aと実質的に等しい。
【0049】
第1延在部312は、外部開口310aから略水平方向(図2中、X方向)に延在する部分である。
【0050】
第2延在部314は、内部開口310bから略水平方向(図2中、X方向)に延在する部分である。第2延在部314の図2中、Y方向の位置は、第1延在部312と実質的に等しい。第2延在部314は、後述するガイド管324と同軸である。
【0051】
傾斜部316は、第1延在部312と第2延在部314とに連通される部分である。このため、傾斜部316は、第1延在部312側から第2延在部314側に向かって下方に傾斜する。第1延在部312と傾斜部316との為す角、および、第2延在部314と傾斜部316との為す角は、例えば、120度である。なお、第1延在部312と傾斜部316との間には、屈曲部が形成される。また、第2延在部314と傾斜部316との間には、屈曲部が形成される。
【0052】
第1遮蔽板330は、第1の側壁118内に設けられる。第1遮蔽板330は、第1の側壁118内における第1延在部312と略等しい高さであって、第1延在部312よりも貯蔵室SRの内部側に設けられる。第1遮蔽板330の材質は、第1の側壁118の材質よりも密度が大きい。第1の側壁118がコンクリートで構成される場合、第1遮蔽板330は、例えば、鋼で構成される。
【0053】
第1の側壁118内に第1延在部312が形成されることにより、第1延在部312の長さ(図2中、X方向の長さ)の分だけ、第1の側壁118の厚み(図2中、X方向の長さ)が減少する。このため、外部開口310aにおいて、第1の側壁118が有する放射線の遮蔽力が、第1延在部312の長さ分だけ低下する。そこで、貯蔵設備100は、第1遮蔽板330を備えることにより、第1延在部312によって低下した放射線の遮蔽力を補うことができる。したがって、外部開口310aから外部への放射線の漏出を抑制することが可能となる。
【0054】
なお、第1遮蔽板330は、後述の第2遮蔽板332よりも収容空間186に近い。このため、第1遮蔽板330の鉛直方向(図2中、Z方向)の長さは、後述の第2遮蔽板332よりも大きい。これにより、第1遮蔽板330は、第1遮蔽板330に対して斜め方向から入射される放射線の収容空間186への漏出を防止することができる。
【0055】
第2遮蔽板332は、第1の側壁118内に設けられる。第2遮蔽板332は、第1の側壁118内における第2延在部314と略等しい高さであって、第2延在部314よりも貯蔵室SRの外部側に設けられる。第2遮蔽板332の材質は、第1の側壁118の材質よりも密度が大きい。第1の側壁118がコンクリートで構成される場合、第2遮蔽板332は、例えば、鋼で構成される。
【0056】
第1の側壁118内に第2延在部314が形成されることにより、第2延在部314の長さ(図2中、X方向の長さ)の分だけ、第1の側壁118の厚み(図2中、X方向の長さ)が減少する。このため、第1の側壁118の外側における第2延在部314に対応する箇所において、第1の側壁118が有する放射線の遮蔽力が、第2延在部314の長さ分だけ低下する。そこで、貯蔵設備100は、第2遮蔽板332を備えることにより、第2延在部314によって低下した放射線の遮蔽力を補うことができる。したがって、第1の側壁118から外部への放射線の漏出を抑制することが可能となる。
【0057】
ガイド部320は、貫通孔310に挿通されて貯蔵室SRの内部まで延在し、貯蔵室SRの外部から貯蔵室SRの内部における複数の観察箇所まで、後述する観察装置500の撮像装置520を案内可能とする。ガイド部320は、挿通管322と、ガイド管324と、開口326とを有する。
【0058】
挿通管322は、貫通孔310に挿通される管である。挿通管322は、例えば、円筒形状の管である。挿通管322の一端には、開口322aが形成される。挿通管322の開口322aは、収容空間186に臨む。挿通管322の他端は、ガイド管324に連続する。挿通管322の外形は、貫通孔310の形状と略等しい。つまり、挿通管322は、開口322aから略水平方向(図2中、X方向)に延在する部分と、ガイド管324に連続し、略水平方向(図2中、X方向)に延在する部分と、これらの部分に連通され、開口322a側からガイド管324側に向かって下方に傾斜する部分とを有する。
【0059】
ガイド管324は、挿通管322と連続して、貯蔵室SR内に配される管である。ガイド管324は、複数の収納管210の配列方向(図2中、X方向)に沿って略水平方向に延在する。ガイド管324は、略水平方向(図2中、X方向)に配列された複数の収納管210のグループそれぞれに対応して設けられる。したがって、本実施形態において、ガイド管324は、図2中、Y方向に7本設けられる。
【0060】
複数の開口326は、ガイド管324に形成される。複数の開口326は、貯蔵室SRの内部における複数の観察箇所に臨む位置にそれぞれ形成される。本実施形態において、観察箇所は、例えば、通風管140および収納管210の下端である。したがって、本実施形態において、複数の開口326は、ガイド管324の上部に形成される。開口326は、例えば、後述するカメラ524および回転機構528のガイド管324内からの脱落を回避可能な大きさである。
【0061】
図3は、本実施形態に係るガイド部320を説明する図である。図3に示すように、ガイド管324は、円筒形状の管である。ガイド管324の内部には、挿通管322を通じて、収容空間186から、撮像装置520が挿通される。
【0062】
撮像装置520は、例えば、ビデオスコープ、ファイバースコープ、ボアスコープである。撮像装置520は、360度先端可動式内視鏡ビデオスコープであってもよい。本実施形態において、撮像装置520は、例えば、ケーブル522と、カメラ524と、照明526と、回転機構528とを備える。ケーブル522の基端は、収容空間186(貯蔵室SRの外部)に設けられる。ケーブル522の先端には、カメラ524、照明526、および、回転機構528が設けられている。カメラ524は、例えば、観察箇所を撮像する。照明526は、カメラ524の近傍に設けられる。照明526は、カメラ524によって撮像される際に点灯される。回転機構528は、カメラ524の向きを変更する。回転機構528は、図3中、X方向を回転軸として、カメラ524を回転させる。
【0063】
撮像装置520の先端は、ガイド管324の延在方向(図3中、X方向)に沿って移動可能である。上記のように、ガイド管324は、複数の収納管210の配列方向(図3中、X方向)に沿って略水平方向に延在する。また、ガイド管324の上部おける、通風管140および収納管210の下端(観察箇所)に臨む位置には、開口326が形成されている。このため、ガイド部320は、撮像装置520を、通風管140および収納管210の下端(観察箇所)まで案内することができる。
【0064】
開口326に到達したカメラ524は、回転機構528によって、鉛直上方(図3中、Z軸方向)を向くように回転される。そして、カメラ524によって通風管140および収納管210の下端が撮像される。つまり、ガイド部320によって案内されるカメラ524の移動方向(図3中、X方向)は、カメラ524の撮像方向(図3中、Z方向)と交差する。
【0065】
識別子328は、ガイド管324の内壁のうち、開口326の近傍にそれぞれ設けられる。識別子328は、開口326に対応する観察箇所を示す情報を表す。識別子328は、カメラ524によって撮像される。
【0066】
貯蔵室SR内は、放射線量が高いため、作業員が立ち入ることができない。このため、カメラ524のみでは、観察箇所を特定できない場合がある。そこで、開口326の近傍に識別子328を備えることにより、観察装置500は、観察箇所の位置と、撮像画像とを関連付けることが可能となる。
【0067】
[観察装置500]
図4は、本実施形態に係る観察装置500を説明する図である。観察装置500は、収容空間186内に設けられる。観察装置500は、台車510と、グローブボックス512と、撮像装置520と、スライド機構530と、遮蔽板540とを備える。
【0068】
台車510の下部には車輪が設けられている。作業員によって台車510が押されると、車輪が回転し、台車510が移動する。
【0069】
グローブボックス512は、台車510上に載置される。グローブボックス512は、外気と遮断された状況下で作業が可能となるように、内部に手が入れられるよう設計された容器である。グローブボックス512は、例えば、四角い中空形状である。グローブボックス512内には、不図示の手袋が設けられており、グローブボックス512の側面512aには、手袋の入口514が形成される。また、グローブボックス512の側面512aと直交する側面512bには、挿通口516が形成される。挿通口516は、貫通孔310の外部開口310aよりもわずかに大きい。
【0070】
初期状態において、撮像装置520は、グローブボックス512内に収容される。撮像装置520のケーブル522は、巻きまわされてグローブボックス512内に収容される。
【0071】
スライド機構530は、挿通管322の開口322aを封止する遮蔽板334を上下にスライドさせて開閉する。本実施形態において、スライド機構530は、先端532と、移動機構534とを含む。先端532は、略鉛直方向(図4中、Z軸方向)に延在した2本の棒部材と、棒部材の下部において棒部材同士を接続する接続部材とで構成される。先端532は、例えば、U字形状である。先端532は、挿通口516の外側に設けられる。移動機構534は、先端532を上下に移動させる。先端532の2本の棒部材を遮蔽板334の下端に当接させた状態で、移動機構534によって先端532が上方に移動されると、先端532の2本の棒部材によって遮蔽板334が押し上げられ、挿通管322の開口322aが開放される。また、この状態から、移動機構534によって先端532が下方に移動されると、遮蔽板334が落下し、挿通管322の開口322aが閉じられる。
【0072】
遮蔽板540は、グローブボックス512における側面512bに対向する側面512cに設けられる。遮蔽板540は、第1延在部312の中心軸、つまり、外部開口310a(開口322a)の中心軸と交差(例えば、直交)する方向に配置される。それにより、遮蔽板334によって開口322aが開かれた場合においても、遮蔽板540の外方への放射線の漏出を防止することが可能となる。
【0073】
続いて、観察装置500を用いた観察箇所の観察手順について説明する。まず、台車510を移動させて、スライド機構530の先端532を遮蔽板334の下端に当接させる。そして、移動機構534によって先端532を上方に移動させて、先端532によって遮蔽板334を押し上げ、挿通管322の開口322aを開放する。これにより、挿通管322の開口322aと挿通口516とが連通する。つまり、貫通孔310とグローブボックス512内が連通する。そして、挿通管322の開口322aと挿通口516との間の隙間をテープ等でシールする。
【0074】
撮像装置520の先端(カメラ524等)を挿通口516、開口322aを通じて、挿通管322に挿入する。そして、ケーブル522を送り出すことで、撮像装置520の先端を順次移動させる。これにより、撮像装置520の先端は、挿通管322、ガイド管324を通って、観察箇所まで案内される。そして、撮像装置520の先端が観察箇所に到達したら、カメラ524が観察箇所に向くように、回転機構528によってカメラ524が回転され、照明526が点灯されて撮像が開始される。撮像が終了したら、ケーブル522を送り出して、撮像装置520の先端を次の観察箇所まで移動させて撮像を行う。
【0075】
すべての観察箇所の撮像が終了したら、ケーブル522を巻きまわし、撮像装置520の先端を、挿通管322の開口322a、挿通口516を通じて、グローブボックス512に戻す。そして、挿通管322の開口322aと挿通口516との間のシールを取り外し、移動機構534によって先端532を下方に移動する。こうして、遮蔽板334が落下し、挿通管322の開口322aが閉じられる。そして、台車510を、図4中、Y方向に移動させ、スライド機構530の先端532を、他の遮蔽板334の下端に当接させて、他のガイド部320を用いた撮像装置520による観察を開始する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る貯蔵設備100は、貫通孔310およびガイド部320を予め備える。これにより、貯蔵室SRの外部から貯蔵室SRの内部の観察箇所に撮像装置520を容易に送り込むことができる。したがって、貯蔵設備100は、30t程度の遮蔽バルジを載置する従来技術と比較して、貯蔵室SR内の複数の観察箇所を簡易な構成で観察することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係る貯蔵設備100は、撮像装置520を挿通するだけといった簡易な構成で観察箇所を観察できる。したがって、自走式ロボットを用いた従来技術と比較して低コストで観察箇所を観察することが可能となる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば、上記実施形態において、貫通孔310が第1の側壁118に設けられる場合を例に挙げた。しかし、貫通孔310は、建屋110における貯蔵室SRを構成する壁であれば、第1の側壁118以外の壁に形成されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、貫通孔310の内部開口310bが、外部開口310aの下方に位置し、内部開口310bの図2中、Y方向の位置が、外部開口310aと実質的に等しい場合を例に挙げた。しかし、内部開口310bの図2中、Y方向の位置は、外部開口310a異なっていてもよい。
【0081】
また、上記実施形態において、貫通孔310の内部開口310bが、外部開口310aの下方に位置する場合を例に挙げた。しかし、内部開口310bは、外部開口310aと鉛直方向の位置が異なっていればよい。例えば、内部開口310bは、外部開口310aの上方に位置してもよい。また、貫通孔310の内部開口310bは、外部開口310aと水平方向の位置が異なっていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、貫通孔310が、第1延在部312、第2延在部314、傾斜部316を有する場合を例に挙げた。しかし、貫通孔310は、傾斜部316のみを有していてもよい。つまり、挿通管322が、第1の側壁118の外部(収容空間186および貯蔵室SR)で屈曲していてもよい。これにより、第1遮蔽板330、第2遮蔽板332を小型化、もしくは、省略することができる。
【0083】
また、上記実施形態において、ガイド部320が円筒形状のガイド管324を備える場合を例に挙げた。しかし、ガイド部320は、撮像装置520を貯蔵室SRの内部における複数の観察箇所まで案内することができれば構成に限定はない。例えば、ガイド部320は、鉛直断面が半円形状であり、円弧が鉛直下方に配された樋を備えてもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、ガイド部320が収納管210の下端と底壁114との間に設けられる場合を例に挙げた。しかし、ガイド部320は、観察対象の位置に応じて、適宜設けられればよい。
【0085】
また、上記実施形態において、開口326がガイド管324の上部に形成される場合を例に挙げた。しかし、開口326は、観察箇所の位置に応じて、適宜形成されればよい。例えば、開口326は、ガイド管324の下部に形成されてもよい。この場合、開口326は、カメラ524、および、回転機構528よりも小さいとよい。これにより、開口326からカメラ524、および、回転機構528が落下してしまう事態を回避することができる。ガイド管324の下部に開口326を形成することにより、貯蔵室SRの底面(底壁114の上面)に堆積したダストの状況等を観察することができ、メンテナンス要否や、その他の異常等を観察することが可能となる。また、ガイド管324の下部に開口326を形成することにより、ガイド管324に滞留したダストを、開口326からガイド管324外へ落下させることができる。
【0086】
また、上記実施形態において、貫通孔310が、ガイド管324ごとに設けられる場合を例に挙げた。しかし、貯蔵設備100は、1の貫通孔310と、1の挿通管322と、複数のガイド管324とを備えてもよい。この場合、1の挿通管322に複数のガイド管324が連通される。
【0087】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0088】
SR 貯蔵室
100 貯蔵設備
110 建屋
112 上壁
114 底壁
116 第1の側壁
118 第1の側壁
120 第2の側壁
210 収納管
310 貫通孔
310a 外部開口
310b 内部開口
312 第1延在部
314 第2延在部
316 傾斜部
320 ガイド部
322 挿通管
324 ガイド管
326 開口
330 第1遮蔽板
332 第2遮蔽板
520 撮像装置
図1
図2
図3
図4