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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145341
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】外気供給装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 13/00 20060101AFI20241004BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20241004BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20241004BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241004BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G21C13/00 500
G21F9/36 541A
G21C13/00 300
F24F11/77
F24F7/003
F24F7/06 Q
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057647
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】定木 啓
(72)【発明者】
【氏名】藤原 寛明
(72)【発明者】
【氏名】隈元 一善
(72)【発明者】
【氏名】山中 智弘
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE01
3L056BF06
3L058BE08
3L058BG03
3L260AA20
3L260AB15
3L260BA32
3L260CA35
3L260EA07
3L260FA07
3L260FC02
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】建屋への粒子の流入を抑制する。
【解決手段】外気供給装置300は、建屋110内に外気を供給する供給流路(第1流路310、第2流路320、330)と、フィルタ340を経由することなく供給流路によって建屋110内に外気を供給する第1供給状態と、フィルタ340を経由して供給流路によって建屋110内に外気を供給する第2供給状態とを、所定の条件に応じて切り換え可能とする切換部372と、第1供給状態において供給流路を通じて供給される外気の流量と、第2供給状態において供給流路を通じて供給される外気の流量との差が所定範囲内となるように、建屋110内に供給される外気の流量を調整する流量調整部374と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内に外気を供給する供給流路と、
フィルタを経由することなく前記供給流路によって前記建屋内に外気を供給する第1供給状態と、前記フィルタを経由して前記供給流路によって前記建屋内に外気を供給する第2供給状態とを、所定の条件に応じて切り換え可能とする切換部と、
前記第1供給状態において前記供給流路を通じて供給される外気の流量と、前記第2供給状態において前記供給流路を通じて供給される外気の流量との差が所定範囲内となるように、前記建屋内に供給される前記外気の流量を調整する流量調整部と、
を備える、外気供給装置。
【請求項2】
前記供給流路に前記フィルタを着脱する着脱機構を備え、
前記切換部は、
前記着脱機構を制御し、前記供給流路から前記フィルタを取り外して前記第1供給状態とし、
前記着脱機構を制御し、前記供給流路に前記フィルタを取り付けて前記第2供給状態とする、請求項1に記載の外気供給装置。
【請求項3】
前記供給流路は、
前記フィルタが設けられない第1流路と、
前記フィルタが設けられる第2流路と、
を有し、
前記切換部は、
前記建屋に接続される流路を前記第1流路に切り換えて前記第1供給状態とし、
前記建屋に接続される流路を前記第2流路に切り換えて前記第2供給状態とする、請求項1に記載の外気供給装置。
【請求項4】
前記供給流路に設けられたブロワを備え、
前記流量調整部は、
前記ブロワの出力を制御し、前記第2供給状態における前記ブロワの出力を、前記第1供給状態における前記ブロワの出力よりも大きくする、請求項1または2に記載の外気供給装置。
【請求項5】
前記供給流路の流路断面積を変更する変更機構を備え、
前記流量調整部は、
前記変更機構を制御し、前記第2供給状態における前記供給流路の流路断面積を、前記第1供給状態における前記供給流路の流路断面積よりも大きくする、請求項1または2に記載の外気供給装置。
【請求項6】
前記建屋は、放射性物質を貯蔵する貯蔵設備の建屋である、請求項1から3のいずれか1項に記載の外気供給装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記外気に含まれる粒子が所定量以上であることである、請求項1から3のいずれか1項に記載の外気供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電プラント等で発生する廃液等の放射性廃棄物に対し、ガラス固化処理が施されている。ガラス固化処理は、放射性廃棄物をガラスとともに溶融した後、冷却してガラス固化体とする処理である。ガラス固化体は、内部に貯蔵室を有するコンクリート製の建屋に貯蔵される。
【0003】
ガラス固化体は、放射性物質の崩壊熱によって発熱する。このため、ガラス固化体が所定温度以下に維持されるように、所定流量の外気を常時建屋に供給し、外気によってガラス固化体を空冷する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-166092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外気には、火山灰、花粉、黄砂等の粒子が含まれる場合がある。この場合、外気の供給に伴って、建屋内に粒子が流入してしまうという問題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、建屋への粒子の流入を抑制することが可能な外気供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る外気供給装置は、建屋内に外気を供給する供給流路と、フィルタを経由することなく供給流路によって建屋内に外気を供給する第1供給状態と、フィルタを経由して供給流路によって建屋内に外気を供給する第2供給状態とを、所定の条件に応じて切り換え可能とする切換部と、第1供給状態において供給流路を通じて供給される外気の流量と、第2供給状態において供給流路を通じて供給される外気の流量との差が所定範囲内となるように、建屋内に供給される外気の流量を調整する流量調整部と、を備える。
【0008】
また、供給流路にフィルタを着脱する着脱機構を備え、切換部は、着脱機構を制御し、供給流路からフィルタを取り外して第1供給状態とし、着脱機構を制御し、供給流路にフィルタを取り付けて第2供給状態としてもよい。
【0009】
また、供給流路は、フィルタが設けられない第1流路と、フィルタが設けられる第2流路と、を有し、切換部は、建屋に接続される流路を第1流路に切り換えて第1供給状態とし、建屋に接続される流路を第2流路に切り換えて第2供給状態としてもよい。
【0010】
また、供給流路に設けられたブロワを備え、流量調整部は、ブロワの出力を制御し、第2供給状態におけるブロワの出力を、第1供給状態におけるブロワの出力よりも大きくしてもよい。
【0011】
また、供給流路の流路断面積を変更する変更機構を備え、流量調整部は、変更機構を制御し、第2供給状態における供給流路の流路断面積を、第1供給状態における供給流路の流路断面積よりも大きくしてもよい。
【0012】
また、建屋は、放射性物質を貯蔵する貯蔵設備の建屋であってもよい。
【0013】
所定の条件は、外気に含まれる粒子が所定量以上であることであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、建屋への粒子の流入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る貯蔵設備の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る外気供給装置を説明する図である。
図3図3は、制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、通常運転処理を説明する図である。
図5図5は、非通常運転処理を説明する図である。
図6図6は、第1の変形例に係る外気供給装置を説明する図である。
図7図7は、第2の変形例に係る外気供給装置を説明する図である。
図8図8は、第3の変形例に係る外気供給装置を説明する図である。
図9図9は、第4の変形例に係る外気供給装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
[貯蔵設備100]
図1は、本実施形態に係る貯蔵設備100の概略構成を示す断面図である。貯蔵設備100は、例えば、放射性物質を貯蔵する。放射性物質は、例えば、ガラス固化体である。ガラス固化体は、放射性廃棄物をガラスとともに溶融した後、冷却して固化したものである。また、本実施形態に係る貯蔵設備100は、内部に外気を通過させることで、放射性物質を空冷する。
【0018】
図1に示すように、貯蔵設備100は、建屋110と、収納管210とを備える。図1では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
【0019】
建屋110は、内部に貯蔵室SRを有するコンクリート建造物である。建屋110は、下部が地中に埋設されるように建造される。
【0020】
建屋110は、上壁112と、底壁114と、第1の側壁116、118と、2つの第2の側壁120と、下部プレナム板130と、上部プレナム板132と、通風管140と、遮蔽壁150と、突出部160と、上流外壁162と、遮蔽壁170と、床部180と、下流外壁182、184とを備える。
【0021】
上壁112は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する壁である。上壁112は、例えば、建屋110の周囲の地面と略同一の高さに設置される。
【0022】
底壁114は、上壁112の下方に設けられる。底壁114は、略水平方向に延在する壁である。底壁114は、上壁112と略平行に設けられる。
【0023】
第1の側壁116、118は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在する壁である。
【0024】
第1の側壁116は、上壁112から略鉛直下方に立設する。第1の側壁116の頂部116aは、底壁114と離隔する。頂部116aと底壁114との間には、空隙116bが形成される。
【0025】
第1の側壁118は、底壁114から略鉛直上方に立設する。第1の側壁118の頂部118aは、上壁112と離隔する。頂部118aと上壁112との間には、空隙118bが形成される。
【0026】
第2の側壁120は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびX方向)に延在する壁である。第2の側壁120の上端部は、上壁112に接続される。第2の側壁120の下端部は、底壁114に接続される。
【0027】
上壁112、底壁114、第1の側壁116、118、および、第2の側壁120によって区画された空間が貯蔵室SRとして機能する。
【0028】
下部プレナム板130は、貯蔵室SRに設けられる。下部プレナム板130は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する板である。下部プレナム板130は、第1の側壁116、118、第2の側壁120に固定される。下部プレナム板130と底壁114との間には、下部プレナム部BPが形成される。下部プレナム部BPは、貯蔵室SRにおける最下部に設けられる空間である。下部プレナム部BPには、空隙116bが連通される。
【0029】
上部プレナム板132は、貯蔵室SRにおける下部プレナム板130の略鉛直上方に設けられる。上部プレナム板132は、略水平方向(図1中、X方向およびY方向)に延在する板である。上部プレナム板132は、下部プレナム板130と略平行に設けられる。上部プレナム板132は、第1の側壁116、118、第2の側壁120に固定される。上部プレナム板132と上壁112との間には、上部プレナム部UPが形成される。上部プレナム部UPは、貯蔵室SRにおける最上部に設けられる空間である。上部プレナム部UPには、空隙118bが連通される。
【0030】
通風管140は、円筒形状の直管である。通風管140は、軸方向が略鉛直方向となるように、下部プレナム板130および上部プレナム板132を貫通し、下部プレナム板130および上部プレナム板132によって支持される。通風管140の上端に形成された開口は、上部プレナム部UPに配され、通風管140の下端に形成された開口は、下部プレナム部BPに配される。通風管140は、下部プレナム部BPと上部プレナム部UPとを連通する。通風管140は、例えば、図1中、X方向に20本、Y方向に7本、合計140本、配される。
【0031】
収納管210は、円筒形状の直管である。収納管210の下端は封止されており、収納管210の内部にはガラス固化体が収納される。収納管210の上端は、不図示のプラグによって封止される。収納管210の外径は、通風管140の内径よりも小さい。収納管210は、通風管140内に設けられるように、上壁112に垂下される。したがって、通風管140と収納管210との間に空間が形成される。
【0032】
遮蔽壁150は、底壁114における貯蔵室SRの外部に位置する箇所から略鉛直上方に立設する壁である。遮蔽壁150は、第1の側壁116と対向する対向面152を有する。遮蔽壁150の対向面152と、第1の側壁116との間には、流路R3が形成される。流路R3は、空隙116bを通じて、下部プレナム部BPに連通される。遮蔽壁150の頂部150aは、第1の側壁116の頂部116aよりも上方に位置する。
【0033】
また、本実施形態において、遮蔽壁150内には、収容空間154が形成される。収容空間154には、後述する外気供給装置のブロワ350が収容される。また、対向面152には、収容空間154と、流路R3とを連通する入口開口154aが形成される。入口開口154aには、外気供給装置の第2流路330が接続される。
【0034】
突出部160は、第1の側壁116から貯蔵室SRの外部に突出する。突出部160の下面160aの一部は、遮蔽壁150の頂部150aと対向する。突出部160の下面160aと遮蔽壁150の頂部150aとの間に形成される流路R2は、流路R3に連続する。突出部160の突出面160bは、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在する面である。突出面160bは、上流外壁162と対向する。
【0035】
上流外壁162は、遮蔽壁150の頂部150aから略鉛直上方に延在した壁である。上流外壁162と、突出部160の突出面160bとの間に流路R1が形成される。また、流路R1は、流路R2に連続する。流路R1は、上流外壁162に形成された入口開口162aに連通される。
【0036】
流路R1と、流路R2とは、略直角に交差し、流路R2と流路R3とは、略直角に交差する。つまり、上流外壁162、突出部160、遮蔽壁150、および、第1の側壁116によってラビリンス構造が形成される。ラビリンス構造は、外気を蛇行させて通過させるが、直進する放射線を遮断する構造である。
【0037】
遮蔽壁170は、上壁112における貯蔵室SRの外部に位置する箇所から略鉛直下方に立設する壁である。遮蔽壁170は、第1の側壁118と対向する対向面172を有する。遮蔽壁170の対向面172と、第1の側壁118との間には、流路R4が形成される。流路R4は、空隙118bを通じて、上部プレナム部UPに連通される。遮蔽壁170の頂部170aは、第1の側壁118の頂部118aよりも下方に位置する。
【0038】
床部180は、第1の側壁118から貯蔵室SRの外部に延在し、下流外壁182に接続される。床部180は、略水平方向に延在する。床部180の上面180aの一部は、遮蔽壁170の頂部170aと対向する。床部180の上面180aと遮蔽壁170の頂部170aとの間に形成される流路R5は、流路R4に連続する。
【0039】
下流外壁182は、略鉛直方向(図1中、Z方向およびY方向)に延在した壁である。下流外壁184は、上壁112の上面における遮蔽壁170の設置箇所に対応する箇所から略鉛直上方に立設する壁である。下流外壁182と、下流外壁184とは、略平行に設けられる。下流外壁182と下流外壁184との間に流路R6が形成される。流路R6は、流路R5に連続する。流路R5は、下流外壁182に形成された出口開口182aに連通される。
【0040】
流路R4と、流路R5とは、略直角に交差し、流路R5と流路R6とは、略直角に交差する。つまり、第1の側壁118、遮蔽壁170、床部180、および、下流外壁182によってラビリンス構造が形成される。
【0041】
続いて、貯蔵設備100内における外気の流れについて説明する。後述する外気供給装置によって入口開口162aから供給された外気は、流路R1、流路R2、流路R3を通過し、空隙116bを通じて下部プレナム部BPに供給される。下部プレナム部BPに供給された外気は、通風管140の下端に形成された開口を通じて、通風管140内を通過し、通風管140の上端に形成された開口を通じて、上部プレナム部UPに排気される。外気は、通風管140を通過する過程で、収納管210内のガラス固化体と熱交換される。これにより、外気が加熱され、ガラス固化体が冷却される。上部プレナム部UPに排気された、加熱された外気は、空隙118bを通じて、流路R4に排気される。そして、加熱された外気は、流路R5、流路R6を通過し、出口開口182aを通じて、貯蔵設備100外へ排気される。
【0042】
[外気供給装置300]
図2は、本実施形態に係る外気供給装置300を説明する図である。外気供給装置300は、貯蔵設備100の建屋110に外気を供給する。図2に示すように、外気供給装置300は、第1流路310と、第2流路320、330と、フィルタ340と、差圧センサ342a、342bと、ブロワ350と、検知部360と、制御装置370とを含む。図2において、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0043】
第1流路310(供給流路)は、貯蔵設備100の建屋110内に外気を供給する流路である。第1流路310は、フィルタ340が設けられない流路である。第1流路310の入口は、外気に曝される。第1流路310の出口は、建屋110の入口開口162aに連通される。第1流路310には、第1開閉弁312が設けられる。第1開閉弁312は、第1流路310を開閉する。
【0044】
第2流路320、330は、第1流路310とは異なる流路である。第2流路320、330は、建屋110内に外気を供給する流路である。本実施形態において、第2流路320、330は、後述する検知部360によって火山灰の降灰が検知された場合に、建屋110内に外気を供給する。
【0045】
第2流路320の入口は、外気に曝される。第2流路320の出口は、建屋110の入口開口162aに連通される。
【0046】
第2流路320(供給流路)には、複数のフィルタ枠322が設けられる。複数のフィルタ枠322のうちの少なくとも1つのフィルタ枠322には、フィルタ340が装着される。
【0047】
差圧センサ342aは、第2流路320におけるフィルタ340の前後の差圧を測定する。差圧センサ342aの測定値が所定値以上となった場合に、フィルタ340における火山灰の付着量が所定量以上となったと判定され、空いているフィルタ枠322に新たなフィルタ340が装着される。また、この場合、火山灰が付着したフィルタ340は、フィルタ枠322から取り外され、洗浄される。
【0048】
第2流路320における、フィルタ340の下流側には、第2開閉弁326が設けられる。つまり、第2開閉弁326は、第2流路320における、フィルタ340と、第2流路320の出口との間に設けられる。第2開閉弁326は、第2流路320を開閉する。
【0049】
第2流路330の入口は、外気に曝される。第2流路330の出口は、建屋110の入口開口154aに連通される。
【0050】
第2流路330(供給流路)には、複数のフィルタ枠332が設けられる。複数のフィルタ枠332のうちの少なくとも1つのフィルタ枠332には、フィルタ340が装着される。
【0051】
差圧センサ342bは、第2流路330におけるフィルタ340の前後の差圧を測定する。差圧センサ342bの測定値が所定値以上となった場合に、第2流路330に設けられたフィルタ340における火山灰の付着量が所定量以上となったと判定され、空いているフィルタ枠332に新たなフィルタ340が装着される。また、この場合、火山灰が付着したフィルタ340は、フィルタ枠332から取り外され、洗浄される。
【0052】
ブロワ350は、第2流路330におけるフィルタ340の下流側に設けられる。つまり、ブロワ350は、第2流路330におけるフィルタ340と、第2流路330の出口(第2流路330における入口開口154aとの連通箇所)との間に設けられる。ブロワ350の吸入側は、第2流路330におけるフィルタ340側に接続される。ブロワ350の吐出側は、第2流路330における出口側に接続される。ブロワ350は、外気を入口開口154aに送気する。
【0053】
検知部360は、火山灰の降灰を検知する。
【0054】
制御装置370は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。制御装置370は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。制御装置370は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して外気供給装置300全体を管理および制御する。
【0055】
本実施形態において、制御装置370は、切換部372および流量調整部374として機能する。
【0056】
切換部372は、第1供給状態と、第2供給状態とを、所定の条件に応じて切り換える。本実施形態において、第1供給状態は、フィルタ340を経由することなく、第1流路310によって建屋110内に外気を供給する状態である。第2供給状態は、フィルタ340を経由して、第2流路320、330によって建屋110内に外気を供給する状態である。本実施形態において、切換部372は、第1開閉弁312、第2開閉弁326、および、ブロワ350を制御して、第1供給状態と、第2供給状態とを切り換える。また、本実施形態において、所定の条件は、検知部360による検知結果である。
【0057】
流量調整部374は、ブロワ350の出力を制御する。
【0058】
図3は、制御装置370による処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、制御装置370は、判定処理S110、通常運転処理S120、非通常運転処理S130を行う。なお、本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって、制御装置370による処理が繰り返し遂行される。以下、制御装置370による各処理について説明する。
【0059】
[判定処理S110]
制御装置370は、検知部360によって火山灰の降灰が検知されたか否かを判定する。その結果、火山灰の降灰は検知されていないと判定した場合(S110におけるNO)、制御装置370は、通常運転処理S120に処理を移す。一方、火山灰の降灰が検知されたと判定した場合(S110におけるYES)、制御装置370は、非通常運転処理S130に処理を移す。
【0060】
[通常運転処理S120]
図4は、通常運転処理S120を説明する図である。図4において、実線の矢印は、外気の流れを示す。図4において、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0061】
通常運転処理S120は、切換部372が大気の供給状態を第1供給状態とする処理である。通常運転処理S120において、切換部372は、第1開閉弁312を開いて、第2開閉弁326を閉じる。また、ブロワ350が動作している場合、切換部372は、ブロワ350の動作を停止する。こうして、切換部372は、建屋110に接続される流路を第1流路310に切り換えて第1供給状態とする。
【0062】
これにより、外気は、第1流路310を通じて、自動的に建屋110に供給される。
【0063】
[非通常運転処理S130]
図5は、非通常運転処理S130を説明する図である。図5において、実線の矢印は、外気の流れを示す。図5において、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0064】
非通常運転処理S130は、切換部372が大気の供給状態を第2供給状態とする処理である。非通常運転処理S130において、切換部372は、第1開閉弁312を閉じて、第2開閉弁326を開く。また、切換部372は、ブロワ350が停止している場合、ブロワ350を動作させる。こうして、切換部372は、建屋110に接続される流路を第2流路320、330に切り換えて第2供給状態とする。
【0065】
これにより、外気は、第2流路320および第2流路330を通じて、建屋110に供給される。
【0066】
なお、この第2供給状態において、外気は、フィルタ340を通過して、建屋110に供給される。このため、フィルタ340において圧力損失が生じる。そうすると、第2流路320、330を通じて建屋110に供給される外気の流量は、第1供給状態(通常運転処理S120)において、第1流路310を通じて建屋110に供給される外気の流量よりも少なくなってしまう。この場合、収納管210の冷却能力が低下してしまうという問題が生じる。
【0067】
そこで、流量調整部374は、第1供給状態において第1流路310を通じて供給される外気の流量と、第2供給状態において第2流路320、330を通じて供給される外気の流量との差が所定範囲内となるように、建屋110内に供給される外気の流量を調整する。所定範囲は、例えば、第1流路310を通じて供給される外気の流量の±10%である。所定範囲は、好ましくは、第1流路310を通じて供給される外気の流量の0%以上、10%以下である。本実施形態において、流量調整部374は、ブロワ350の出力を制御し、第2供給状態におけるブロワ350の出力を、第1供給状態におけるブロワ350の出力よりも大きくする。
【0068】
これにより、非通常運転処理S130においても、通常運転処理S120の場合と同様の流量の外気を建屋110に供給することができる。したがって、火山灰が降灰した場合であっても、外気による収納管210の冷却能力を維持することが可能となる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る外気供給装置300は、火山灰の降灰が検知された場合、フィルタ340が設けられない第1流路310を通じて外気を建屋110に供給する通常運転処理S120を行う。このため、火山灰が降灰していない期間において、電力を消費させずに、外気を建屋110にすることが可能となる。
【0070】
また、外気供給装置300は、火山灰の降灰が検知され場合、通常運転処理S120から、フィルタ340が設けられた第2流路320、330を通じて外気を建屋110に供給する非通常運転処理S130に切り換える。これにより、外気供給装置300は、建屋110への火山灰の流入を抑制することが可能となる。
【0071】
[第1の変形例]
図6は、第1の変形例に係る外気供給装置400を説明する図である。図6に示すように、外気供給装置400は、第1流路310と、第2流路330と、フィルタ340と、差圧センサ342bと、ブロワ350と、検知部360と、制御装置370とを含む。図6において、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、上記外気供給装置300と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
図6に示すように、第1の変形例に係る外気供給装置400は、外気供給装置300と比較して、第2流路320、第2開閉弁326、および、差圧センサ342aを備えない。第1の変形例に係る外気供給装置400は、外気供給装置300と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【0073】
[第2の変形例]
図7は、第2の変形例に係る外気供給装置450を説明する図である。図7に示すように、外気供給装置450は、第1流路310と、第2流路320と、フィルタ340と、差圧センサ342aと、変更機構460と、検知部360と、制御装置370とを含む。図7において、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、上記外気供給装置300と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図7に示すように、第2の変形例に係る外気供給装置450は、外気供給装置300と比較して、第2流路330、差圧センサ342b、および、ブロワ350を備えない。
【0075】
また、第2の変形例に係る外気供給装置450の変更機構460は、共通流路452(供給流路)に設けられる。共通流路452は、第1流路310と入口開口162aとを連通し、また、第2流路320と入口開口162aとを連通する。変更機構460は、共通流路452の流路断面積を変更する。変更機構460は、例えば、ダンパ等の流量調整弁で構成される。
【0076】
第2の変形例において、切換部372は、通常運転処理S120において、第1開閉弁312を開いて、第2開閉弁326を閉じる。また、流量調整部374は、変更機構460の開度を第1開度とする。
【0077】
第2の変形例において、切換部372は、非通常運転処理S130において、第1開閉弁312を閉じて、第2開閉弁326を開く。また、流量調整部374は、変更機構460の開度を第2開度とする。第2開度は、第1開度よりも大きい。これにより、第2供給状態における共通流路452の流路断面積を、第1供給状態における共通流路452の流路断面積よりも大きくする。
【0078】
以上説明したように、第2の変形例に係る外気供給装置450は、ブロワ350に代えて、変更機構460を備える。これにより、外気供給装置450は、外気供給装置300と比較して、ブロワ350に要する消費電力を削減することができる。
【0079】
なお、変更機構460は、大気の供給口と第1流路310とを連通し、また、大気の供給口と第2流路320とを連通する共通流路454(供給流路)、または、大気の供給口に設けられてもよい。
【0080】
[第3の変形例]
図8は、第3の変形例に係る外気供給装置500を説明する図である。図8に示すように、第3の変形例に係る外気供給装置500は、供給流路510と、第2流路330と、フィルタ340と、差圧センサ342a、342bと、ブロワ350と、検知部360と、着脱機構520と、制御装置370とを含む。図8において、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、上記外気供給装置300と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
供給流路510は、貯蔵設備100の建屋110内に外気を供給する流路である。供給流路510の入口は、外気に曝される。供給流路510の出口は、建屋110の入口開口162aに連通される。
【0082】
第3の変形例において、供給流路510には、複数のフィルタ枠322が設けられる。複数のフィルタ枠322のうちの少なくとも1つのフィルタ枠322には、フィルタ340が装着される。
【0083】
また、差圧センサ342aは、供給流路510におけるフィルタ340の前後の差圧を測定する。差圧センサ342aの測定値が所定値以上となった場合に、フィルタ340における火山灰の付着量が所定量以上となったと判定され、空いているフィルタ枠322に新たなフィルタ340が装着される。また、この場合、火山灰が付着したフィルタ340は、フィルタ枠322から取り外され、洗浄される。
【0084】
着脱機構520は、供給流路510のフィルタ枠322に対し、フィルタ340を着脱する。
【0085】
第3の変形例において、切換部372は、通常運転処理S120において、着脱機構520を制御し、供給流路510からフィルタ340を取り外して第1供給状態とする。また、切換部372は、非通常運転処理S130において、着脱機構520を制御し、供給流路510にフィルタ340を取り付けて第2供給状態とする。
【0086】
以上説明したように、第3の変形例に係る外気供給装置500は、外気供給装置300と比較して、第1流路310、第1開閉弁312、第2開閉弁326を備えない。第3の変形例に係る外気供給装置500は、外気供給装置300と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【0087】
[第4の変形例]
図9は、第4の変形例に係る外気供給装置550を説明する図である。図9に示すように、第4の変形例に係る外気供給装置550は、供給流路510と、フィルタ340と、差圧センサ342aと、変更機構460と、検知部360と、着脱機構520と、制御装置370とを含む。図9において、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、上記外気供給装置300、450と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
第4の変形例において、変更機構460は、供給流路510におけるフィルタ340と入口開口162aとの間に設けられる。
【0089】
以上説明したように、第4の変形例に係る外気供給装置550は、ブロワ350に代えて、変更機構460を備える。これにより、外気供給装置550は、外気供給装置500と比較して、ブロワ350に要する消費電力を削減することができる。
【0090】
なお、変更機構460は、供給流路510におけるフィルタ340の上流側、または、大気の供給口に設けられてもよい。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上記実施形態において、外気供給装置300によって外気が供給される建屋110が貯蔵設備100の建屋110である場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置300によって外気が供給される建屋は、これに限定されない。建屋は、例えば、製造プラントであってもよい。
【0093】
また、上記実施形態において、ブロワ350が建屋110内に設けられる場合を例に挙げた。しかし、ブロワ350は、建屋110の外に設けられてもよい。
【0094】
また、上記実施形態において、切換部372は、火山灰の降灰が検知された場合に、第2供給状態に切り換える場合を例に挙げた。しかし、切換部372は、外気に含まれる粒子の量が所定量以上である場合に、第2供給状態に切り換えてもよい。粒子は、例えば、火山灰、黄砂、花粉等である。また、切換部372は、その他の条件に応じて、第1供給状態と第2供給状態とを切り換えてもよい。例えば、切換部372は、ユーザの操作入力に応じて、第1供給状態と第2供給状態とを切り換えてもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、外気供給装置300が、検知部360および制御装置370を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置300は、検知部360および制御装置370を備えずともよい。この場合、通常運転処理S120において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が開かれ、第2開閉弁326が閉じられる。また、非通常運転処理S130において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が閉じられ、第2開閉弁326が開かれ、ブロワ350の動作が開始される。
【0096】
また、上記第1の変形例において、外気供給装置400が、検知部360および制御装置370を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置400は、検知部360および制御装置370を備えずともよい。この場合、通常運転処理S120において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が開かれる。また、非通常運転処理S130において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が閉じられ、ブロワ350の動作が開始される。
【0097】
また、上記第2の変形例において、外気供給装置450が、検知部360および制御装置370を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置450は、検知部360および制御装置370を備えずともよい。この場合、通常運転処理S120において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が開かれ、変更機構460の開度が第1開度にされる。また、非通常運転処理S130において、ユーザの操作入力に応じて、第1開閉弁312が閉じられ、第2開閉弁326が開かれ、変更機構460の開度が第2開度にされる。
【0098】
また、上記第3の変形例において、外気供給装置500が、検知部360および制御装置370を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置500は、検知部360および制御装置370を備えずともよい。この場合、通常運転処理S120において、ユーザの操作入力に応じて、着脱機構520によりフィルタ340がフィルタ枠322から取り外される。また、非通常運転処理S130において、ユーザの操作入力に応じて、着脱機構520によりフィルタ340がフィルタ枠322に装着され、ブロワ350の動作が開始される。
【0099】
また、上記第4の変形例において、外気供給装置550が、検知部360および制御装置370を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置550は、検知部360および制御装置370を備えずともよい。この場合、通常運転処理S120において、ユーザの操作入力に応じて、着脱機構520によりフィルタ340がフィルタ枠322から取り外され、変更機構460の開度が第1開度にされる。また、非通常運転処理S130において、ユーザの操作入力に応じて、着脱機構520によりフィルタ340がフィルタ枠322に装着され、変更機構460の開度が第2開度にされる。
【0100】
また、上記第2の変形例において、外気供給装置450が変更機構460を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置450は、変更機構460に代えて、ブロワ350を備えてもよい。同様に、上記第4の変形例において、外気供給装置550が変更機構460を備える場合を例に挙げた。しかし、外気供給装置550は、変更機構460に代えて、ブロワ350を備えてもよい。
【0101】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0102】
110 建屋
300 外気供給装置
310 第1流路(供給流路)
320 第2流路(供給流路)
330 第2流路(供給流路)
340 フィルタ
350 ブロワ
372 切換部
374 流量調整部
400 外気供給装置
450 外気供給装置
452 共通流路(供給流路)
454 共通流路(供給流路)
460 変更機構
500 外気供給装置
510 供給流路
520 着脱機構
550 外気供給装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9