(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145349
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電気錠
(51)【国際特許分類】
E05B 47/06 20060101AFI20241004BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E05B47/06 A
E05B65/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057658
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松浦 大輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勉
(57)【要約】
【課題】省スペース化を促すことができる電気錠を提供する。
【解決手段】電気錠1は、ケース10と、ラッチ21と、ラッチ受部材70と、ソレノイド50と、駆動位置伝達機構部60と、を備える。駆動位置伝達機構部60は、ステー63と、ラッチ受部材70の施錠位置と解錠位置を切り替え可能な切替部材62と、を有する。切替部材62は、ステー63の配置に基づき第1方向と異なる第2方向に位置を変え、当該第2方向の位置に基づき、ソレノイド50の通電時にラッチ受部材70を施錠位置とする通電時施錠パターンと、ソレノイド50の通電時にラッチ受部材70を解錠位置とする通電時解錠パターンとに切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに対して相対的に進退可能なラッチと、
前記ラッチの後退を規制する施錠位置、および前記ラッチの後退を許容する解錠位置に変位可能なラッチ受部材と、
通電および非通電により駆動位置が切替られる駆動源と、
前記駆動源の前記駆動位置を前記ラッチ受部材に伝達して、前記施錠位置と前記解錠位置とを切り替える駆動位置伝達機構部と、を備え、
前記駆動位置伝達機構部は、
前記ケースの内部において配置を変更可能なステーと、
前記駆動源の前記駆動位置に基づき第1方向に位置を変えることで、前記ラッチ受部材の前記施錠位置と前記解錠位置を切り替え可能な切替部材と、を有し、
前記切替部材は、前記ステーの配置に基づき前記第1方向と異なる第2方向に位置を変え、当該第2方向の位置に基づき、前記駆動源の通電時に前記ラッチ受部材を前記施錠位置とする通電時施錠パターンと、前記駆動源の通電時に前記ラッチ受部材を前記解錠位置とする通電時解錠パターンとに切り替える、
電気錠。
【請求項2】
前記駆動位置伝達機構部は、
前記切替部材に接続され、前記切替部材と共に前記第1方向に移動することで前記ラッチ受部材に接触して、前記ラッチ受部材の前記施錠位置と前記解錠位置とを切り替える解錠用部材を有する、
請求項1に記載の電気錠。
【請求項3】
前記解錠用部材は、
前記切替部材の前記第2方向の位置に基づき、前記切替部材と一体に前記第1方向に移動する形態と、前記切替部材に対して自由状態となり前記切替部材を前記第1方向に移動可能とする形態に切り替えられる、
請求項2に記載の電気錠。
【請求項4】
前記切替部材は、
前記第2方向の位置に基づき前記解錠用部材が自由状態となった場合に、前記ラッチ受部材に接触し、前記第1方向に移動することで前記ラッチ受部材の前記施錠位置と前記解錠位置とを切り替える、
請求項3に記載の電気錠。
【請求項5】
前記ラッチ受部材は、前記解錠用部材の接触位置と、前記切替部材の接触位置とを頂部を境に異なる傾斜部位とする山部を有する、
請求項4に記載の電気錠。
【請求項6】
前記ステーは、前記ケースに取り付けられる状態操作部材に対する係合状態を変えることで、前記切替部材の前記第2方向の位置を設定する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気錠。
【請求項7】
前記駆動位置伝達機構部は、
前記駆動源と前記切替部材の間を接続して前記第2方向に延在し、前記駆動源の前記駆動位置に基づき傾斜することで、前記切替部材の前記第1方向の位置を変えるリンク部材を有し、
前記切替部材は、前記リンク部材と相対的に前記第2方向の位置を変更可能である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気錠。
【請求項8】
前記ケースは、前記ラッチ受部材、前記駆動源、および前記駆動位置伝達機構部を内部に収容すると共に、前記駆動源の動作を制御する制御盤を内部に備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気錠。
【請求項9】
前記制御盤は、前記ケースの外部に設けられる管理部に通信可能に接続され、
前記管理部により前記駆動源を制御する状態と、前記制御盤により前記駆動源を制御する状態とに切り替え可能なスイッチを有する、
請求項8に記載の電気錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気錠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソレノイドに対する通電および通電停止を切り替えることにより、施錠および解錠を行う電気錠が知られている。この種の電気錠は、ソレノイドの通電時に施錠する通電時施錠パターンと、ソレノイドの通電時に解錠する通電時解錠パターンを選択できる機能を有するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンに切り替え可能な電気錠が開示されている。この電気錠は、複数の部材(第一切替部材、第二リンク材、テコ板等)を斜めに接続して、第二ストッパを回動させることで、通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンを切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンの切替のために、斜めに複数の部材を接続した機構を設けると、電気錠のスペースを大きくとることになる。
【0006】
本開示は、簡単な構成によって通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンを切り替え可能とすることで、省スペース化を促すことができる電気錠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、ケースと、前記ケースに対して相対的に進退可能なラッチと、前記ラッチの後退を規制する施錠位置、および前記ラッチの後退を許容する解錠位置に変位可能なラッチ受部材と、通電および非通電により駆動位置が切替られる駆動源と、前記駆動源の前記駆動位置を前記ラッチ受部材に伝達して、前記施錠位置と前記解錠位置とを切り替える駆動位置伝達機構部と、を備え、前記駆動位置伝達機構部は、前記ケースの内部において配置を変更可能なステーと、前記駆動源の前記駆動位置に基づき第1方向に位置を変えることで、前記ラッチ受部材の前記施錠位置と前記解錠位置を切り替え可能な切替部材と、を有し、前記切替部材は、前記ステーの配置に基づき前記第1方向と異なる第2方向に位置を変え、当該第2方向の位置に基づき、前記駆動源の通電時に前記ラッチ受部材を施錠位置とする通電時施錠パターンと、前記駆動源の通電時に前記ラッチ受部材を前記解錠位置とする通電時解錠パターンとに切り替える、電気錠が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、簡単な構成によって通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンを切り替え可能とすることで、省スペース化を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る電気錠の施錠状態を概略的に示す側面断面図である。
【
図2】
図1の電気錠の解錠状態かつドアノブを回転操作していない場合を概略的に示す側面断面図である。
【
図3】
図1の電気錠の解錠状態かつドアノブが回転操作した場合を概略的に示す側面断面図である。
【
図4】ケースに状態操作プレートを装着した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5(A)は、状態操作プレートとレバーの係合状態を示す斜視図である。
図5(B)は、状態操作プレートとステーおよびレバーの係合状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、駆動位置伝達機構部による通電時解錠パターンの非通電時を示す説明図である。
図6(B)は、駆動位置伝達機構部による通電時解錠パターンの通電時を示す説明図である。
【
図7】
図7(A)は、駆動位置伝達機構部による通電時施錠パターンの非通電時を示す説明図である。
図7(B)は、駆動位置伝達機構部による通電時施錠パターンの通電時を示す説明図である。
【
図8】アンチパニックが発動する場合の動作を示す説明図である。
【
図9】アンチパニックが非発動の場合の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
まず、
図1~
図3を参照して、実施形態に係る電気錠1の基本的な構成および動作について説明する。
図1は、実施形態に係る電気錠1の施錠状態を概略的に示す側面断面図である。
図2は、
図1の電気錠1の解錠状態かつドアノブを回転操作していない場合を概略的に示す側面断面図である。
図3は、
図1の電気錠1の解錠状態かつドアノブが回転操作した場合を概略的に示す側面断面図である。
【0012】
なお、以下の説明では、
図1~
図3に示す矢印方向の表記に基づき、電気錠1の幅方向(ラッチ21の移動方向)をX軸方向ともいい、電気錠1の厚み方向(奥行方向)をY軸方向ともいい、電気錠1の鉛直方向をZ軸方向ともいう。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、相互に直交している。また、X軸正方向は、ラッチ21がケース10から突出する方向であり、X軸負方向は、ラッチ21がケース10に引き込まれる方向である。Y軸正方向は、
図1の紙面の奥側に向かう方向であり、Y軸負方向は、
図1の紙面の手前側に向かう方向である。Z軸正方向は、鉛直方向上側(紙面の上側)に向かう方向であり、Z軸負方向は、鉛直方向下側(紙面の下側)に向かう方向である。
【0013】
実施形態に係る電気錠1は、ケース10と、ラッチ機構部20と、ドアノブ機構部30と、物理施錠機構部40と、ソレノイド50と、駆動位置伝達機構部60と、ラッチ受部材70と、アンチパニック機構部80と、制御盤90と、を含む。
【0014】
ケース10は、Y軸方向の厚みが薄い直方体(箱状)に形成され、ドア2の内部に収納される。具体的には、ケース10は、ドア2の厚み方向に直交する側面断面視(
図1参照)で、X軸正方向に第1長辺10a、X軸負方向に第2長辺10b、Z軸正方向に第1短辺10c、およびZ軸負方向に第2短辺10dを有する長方形状に形成される。また、ケース10は、第1長辺10a、第2長辺10b、第1短辺10cおよび第2短辺10dの内側に一対のケースプレート10eを有する(
図1~
図3では、一対のケースプレート10eのうちY軸負方向側のケースプレート10eを省略している)。ケース10は、例えば、厚み方向の中間位置で2つの凹部材に分割可能に構成され得る。
【0015】
さらに、電気錠1は、ドア2のドア面を囲う四方の側辺のうちX軸正方向の側辺であるドア側壁2wにケース10を取り付けるための取付プレート11を備える。取付プレート11は、ケース10の第1長辺10aのX軸正方向側に対して、適宜の固定手段(ネジ止め、溶着等)を用いて固定される。
【0016】
ケース10の第1長辺10a、取付プレート11およびドア側壁2wの各々は、ラッチ機構部20のラッチ21を進退可能に挿通させる共通の口部12を有している。
【0017】
ラッチ機構部20は、ケース10、取付プレート11およびドア側壁2wに対して相対的に進退するラッチ21を備える。また、ラッチ機構部20は、ラッチ21に取り付けられるラッチプレート22と、ラッチ21に装着されるコイルバネ23と、を含む。
【0018】
ラッチ21は、ケース10の鉛直方向(Z軸方向)の略中間位置において、X軸方向に沿って移動(進退)可能に設置される。ラッチ21は、コイルバネ23によりX軸正方向に付勢されており、ドアノブを回転操作していない待機状態で、ドア側壁2wから突出している。ラッチ21は、X軸正方向側に設けられるブロック部211と、ブロック部211からX軸負方向に延出するシャフト部212と、を有する。
【0019】
ブロック部211は、側面視において長方形状に形成され、またY軸方向に厚みを有する中実状の部位である。ブロック部211は、待機状態で、ドア側壁2wよりもX軸正方向に位置している。図示しない部屋のドア枠をドア2が閉めている場合に(ドア2の閉状態で)、待機状態のブロック部211はドア枠に設けられた穴部に収容される。ドア枠に対してドア2が開いている場合に(ドア2の開状態で)、待機状態のブロック部211はドア2の外部に露出される。
【0020】
電気錠1の平面断面視で、ブロック部211のY軸正方向の面(不図示)は、X軸方向に沿って直線状に延在している。その一方で、ブロック部211のY軸負方向の面211sは、X軸方向に傾斜して延在している。これにより、開状態のドア2をY軸負方向に閉じる場合には、部屋のドア枠に面211sが当たることで、ラッチ21(ブロック部211)を面211sに沿ってX軸負方向に後退させる。後退時にブロック部211が穴部に入り込むと、ラッチ21がX軸正方向に移動して待機状態に復帰する。一方、閉状態のドア2についてドアノブを回さずにY軸正方向に引っ張ると、待機状態のブロック部211のY軸正方向の面がフレームの穴部の面に当たり、ドア2が開くことを規制する。
【0021】
シャフト部212は、中実の丸棒状に形成され、ブロック部211のX軸負方向の端面211eに連結される。シャフト部212は、ケース10のケースプレート10eに連設された支持片13を挿通することで、支持片13に対してX軸方向にスライド自在に支持される。シャフト部212のX軸負方向の延出端部には、ラッチピン213が装着されている。ラッチピン213は、シャフト部212からラッチプレート22側(Y軸正方向側)に突出して、ラッチプレート22のガイド長孔222に挿入されている。
【0022】
シャフト部212においてブロック部211寄り(X軸正方向側)の外周面には、コイルバネ23が装着されている。コイルバネ23の一端は、ブロック部211のX軸負方向の端面211eに接触し、コイルバネ23の他端は、支持片13の座面に接触している。コイルバネ23は、支持片13の座面からX軸正方向に向かってブロック部211を弾力的に押圧する。このコイルバネ23により、ラッチ21は、ケース10内においてX軸正方向に定常的に付勢されている。
【0023】
ラッチ機構部20のラッチプレート22は、シャフト部212のX軸負方向側の延出端部に重なっている。また、ラッチプレート22は、シャフト部212のY軸正方向側に隣接して配置される。このラッチプレート22は、X軸負方向に向かってラッチ21を引っ張り可能であると共に、ラッチ21を独立してスライド可能としている。具体的には、ラッチプレート22は、プレート体221と、プレート体221を厚み方向(Y軸方向)に貫通するガイド長孔222と、プレート体221に連結される第1ピン223および第2ピン224と、を有する。
【0024】
プレート体221は、シャフト部212に重なる位置からX軸負方向に延在すると共に、シャフト部212を基点にZ軸方向両側(上側および下側)に短く延在している。プレート体221は、Z軸方向の中間位置にガイド長孔222を有する。また、プレート体221は、ガイド長孔222のZ軸方向上側に第1ピン223を連結している一方で、ガイド長孔222のZ軸方向下側に第2ピン224を連結している。
【0025】
ガイド長孔222は、プレート体221内においてX軸方向に長く形成されている。ラッチ21が待機状態にある場合に、ラッチピン213はガイド長孔222のX軸正方向の端部に配置される。ラッチ21がラッチプレート22と相対的に後退する際(X軸負方向に移動する際)に、ラッチピン213はガイド長孔222内でX軸負方向の端部に向かって移動する。ラッチ21がラッチプレート22と相対的に後退する場合とは、例えば、ラッチ21がドア枠により内側に押された場合である。
【0026】
第1ピン223は、プレート体221に連結され、当該プレート体221のY軸方向の両側面に突出している。各第1ピン223には、後記のアンチパニック機構部80の一対のガイド部材82が回転可能に連結される。また、Y軸正方向側(
図1の紙面奥側)に突出する第1ピン223は、ケース10のケースプレート10eに形成された一対のガイド溝14の一方に挿入されている。一対のガイド溝14は、X軸方向に沿って相互に平行に延在している。第1ピン223(ラッチプレート22)は、ガイド溝14によってX軸方向の移動が案内される。
【0027】
第2ピン224は、ラッチプレート22に連結され、当該ラッチプレート22のY軸正方向側(
図1の紙面奥側)に突出している。第2ピン224は、一対のガイド溝14の他方に挿入されている。第2ピン224(ラッチプレート22)は、ガイド溝14によってX軸方向の移動が案内される。また、ラッチプレート22からガイド溝14までの間の第2ピン224には、ドアノブ機構部30のドアフック33が接触している。
【0028】
ドアノブ機構部30は、ラッチ機構部20のラッチプレート22よりもZ軸方向下側に設けられている。このドアノブ機構部30は、操作者がドア2を開閉する際にドアノブを回転操作する操作力をラッチ機構部20に伝達する。ドアノブ機構部30は、ノブ本体31と、ノブ本体31を軸支する軸支部32と、ノブ本体31に追従して回転するドアフック33と、を含む。
【0029】
ノブ本体31は、ドア2からY軸方向両側にそれぞれ突出する図示しないドアノブを有する。
図1に図示しているノブ本体31の断面部分は、ドアノブに連結されてドアノブの回転操作に基づいて回転する軸部である。
【0030】
軸支部32は、ノブ本体31の軸部に嵌合する嵌合筒部321と、嵌合筒部321を回転自在に収容する収容筒322と、を有する。嵌合筒部321にはドアフック33が連結されている。これにより、ドアノブ機構部30は、操作者によるノブ本体31(ドアノブ)の回転操作に基づき、嵌合筒部321およびドアフック33を収容筒322に対して相対回転させる。
【0031】
ドアフック33は、軸支部32の嵌合筒部321からラッチ機構部20のラッチプレート22に向かって延出し、第2ピン224に引っ掛かっている。具体的には、ドアフック33は、ラッチ21の待機状態で、X軸正方向かつZ軸正方向に湾曲しながら延びる板状に形成されている。
【0032】
ドアフック33のZ軸正方向の突出端は鋭角に形成され、この突出端のX軸負方向側に直線状の接触辺331を有する。接触辺331は、ドアフック33が軸支部32を基点に回転しても、第2ピン224と定常的に接触している。これにより、ドアノブ機構部30は、操作者によるノブ本体31(ドアノブ)の回転操作により
図1の時計回りに回転し、ラッチプレート22およびラッチ21をX軸負方向に移動させる。その一方で、操作者がノブ本体31から手を離すと、コイルバネ23の付勢によりラッチ21およびラッチプレート22がX軸正方向に移動する。ラッチプレート22のX軸正方向への移動力を受けることで、ドアフック33およびノブ本体31も元の待機位置(回転操作前の周方向位置)に復帰する。
【0033】
また、電気錠1の物理施錠機構部40は、図示しない物理キーにより施錠および解錠を行う機構部である。実施形態に係る物理施錠機構部40は、X軸負方向かつラッチ機構部20よりも上側(Z軸正方向側)に設置されている。なお、電気錠1は、物理施錠機構部40の設置位置について、特に限定されるものではなく、また物理施錠機構部40を備えない構成でもよい。
【0034】
物理施錠機構部40は、キーシリンダ41と、カム構造体42とを含む。キーシリンダ41は、シリンダ本体411と、当該シリンダ本体411を円弧状に囲うシリンダフレーム412と、を備える。そして、シリンダ本体411は、ドア2の外側に物理キーが差し込まれる差込口(不図示)と、内部において差し込まれた物理キーの一致および不一致を照合する照合部(不図示)と、外周面に連設された噛合歯群411tと、を有する。シリンダ本体411は、照合部における物理キーの一致に基づき、シリンダフレーム412と相対的に回転し、これに連れて噛合歯群411tを
図1の時計回りに回転させる。
【0035】
カム構造体42は、回転プレート421と、回転プレート421の周方向の一部に設けられキーシリンダ41の噛合歯群411tに噛み合うラック422と、回転プレート421の周方向の他部に設けられる突出部423と、を有する。回転プレート421は、ケース10のケースプレート10eに連結された軸支ピン15に対して回転自在に軸支されている。軸支ピン15には、トーションバネ43が装着されており、このトーションバネ43は、カム構造体42の回転位置が初期位置(
図1に示すラック422がZ軸正方向にある位置)となるように弾力的に付勢している。これにより、カム構造体42は、物理キーによりシリンダ本体411が回転して噛合歯群411tからラック422に回転力が伝達されると回転する。その一方で、物理キーがシリンダ本体411から離脱すると、カム構造体42は、トーションバネ43の付勢により、シリンダ本体411と共に初期位置に復帰する。
【0036】
突出部423は、回転プレート421からX軸正方向に突出している。突出部423は、シリンダ本体411が初期位置にある状態で、ラッチ21のX軸負方向への移動(後退)を規制する部材であるラッチ受部材70のZ軸正方向側に位置している。この状態では、突出部423は、ラッチ受部材70から離れた位置に待機している。物理キーによりシリンダ本体411が回転して、噛合歯群411tおよびラック422を介してカム構造体42が
図1の反時計回りに回転すると、突出部423がラッチ受部材70に接触して、ラッチ受部材70を
図1の時計回りに回転させる。電気錠1は、ラッチ受部材70の回転により、当該ラッチ受部材70がX軸方向と平行になる解錠位置に変位することで、解錠する。
【0037】
また、ソレノイド50および駆動位置伝達機構部60は、電気錠1において、ラッチ受部材70の施錠位置および解錠位置を電気的に操作する部分を構成している。ソレノイド50は、ケース10内の上側(Z軸正方向側)、かつ物理施錠機構部40のX軸正方向側に配置されている。ソレノイド50は、リード線91を介して制御盤90に接続されており、制御盤90からの電力の供給(通電)および電力の遮断(非通電)に基づいて動作する駆動源である。なお、駆動源は、ソレノイド50に限定されず、電力に基づき駆動位置を移動させる種々の機器(例えば、モータ、シリンダ等)を採用してよい。
【0038】
詳細には、ソレノイド50は、磁気回路を内部に有するソレノイド本体51と、ソレノイド本体51の内外を延在して磁気回路の磁気に基づき進退して駆動位置を切り替えるプランジャ52と、を含む。実施形態においてソレノイド本体51およびプランジャ52は、X軸方向と平行になる姿勢で設置されている。
【0039】
プランジャ52は、ソレノイド本体51からX軸負方向に突出している。プランジャ52のX軸負方向の突出端には、孔部52hが設けられ、この孔部52hには、駆動位置伝達機構部60のリンクピン611が挿入されている。また、実施形態に係るソレノイド50は、非通電時にプランジャ52をX軸負方向に突出させた第1駆動位置に配置する一方で、通電時にプランジャ52をX軸正方向に引き込んだ第2駆動位置に配置する。なお、
図1はソレノイド50の非通電時において第1駆動位置に位置するプランジャ52を示しており、
図2はソレノイド50の通電時において第2駆動位置に位置するプランジャ52を示している。
【0040】
駆動位置伝達機構部60は、プランジャ52の駆動位置に基づき、ラッチ21の施錠状態であるX軸負方向への移動の規制と、ラッチ21の解錠状態であるX軸負方向への移動の許容と、を切り替える機構部である。この駆動位置伝達機構部60は、プランジャ52の駆動位置を伝達する複数の部材を組み合わせて構成される。具体的には、駆動位置伝達機構部60は、リンク部材61と、切替部材62と、ステー63と、解錠用部材64と、連結部材65と、を含む。
【0041】
リンク部材61は、駆動位置伝達機構部60においてプランジャ52に接続され、プランジャ52の駆動位置を直接受けるプレート状の部品である。リンク部材61は、ソレノイド50の非通電時に、Z軸方向に沿って延在している。リンク部材61は、Z軸方向の略中間位置において、ケース10のケースプレート10eに連結された軸支ピン16に回転自在に軸支されている。リンク部材61は、プランジャ52の孔部52hに挿入されるリンクピン611を、軸支ピン16よりも上側(Z軸正方向側)に連結している。また、リンク部材61は、切替部材62のリンクピン611が挿入される長孔612を、軸支ピン16の下側(Z軸負方向側)に有している。
【0042】
ソレノイド50の通電に基づきプランジャ52が引き込まれた場合に、リンクピン611がX軸正方向に移動する(
図2も参照)。これに連れてリンク部材61が軸支ピン16を基点に
図1の反時計回りに回転し、長孔612を有するZ軸負方向側の端部をX軸負方向に移動させる。
【0043】
切替部材62は、リンク部材61のZ軸負方向側の端部の移動に基づいて、X軸方向(第1方向)に移動して位置を変えることが可能なプレート状の部品である。また、切替部材62は、ステー63のZ軸方向の配置に基づき、Z軸方向(第1方向と異なる第2方向)の位置を変更可能に構成されている。切替部材62は、プレート体621と、プレート体621からY軸負方向側に突出して長孔612に挿入されるリンクピン622と、プレート体621からY軸正方向側に突出して解錠用部材64に接続される接続ピン(不図示)と、を含む。また、切替部材62には、連結部材65を介してステー63が連結されている。
【0044】
切替部材62は、ステー63によりZ軸方向の位置が変更されることで、解錠用部材64がラッチ受部材70に接触可能な状態と、切替部材62自体がラッチ受部材70に接触可能な状態と、に切り替える。これにより、駆動位置伝達機構部60は、ソレノイド50の非通電時に施錠状態となり、通電時に解錠状態となる通電時解錠パターンと、ソレノイド50の非通電時に解錠状態となり、通電時に施錠状態となる通電時施錠パターンと、を切り替える。なお、
図1~
図3では、通電時解錠パターンを示している。
【0045】
ステー63は、クランク状に形成された部品であり、X軸負方向の一端部に連結軸ピン631を有すると共に、Z軸方向に延在する中間位置に長孔632を有する。連結軸ピン631には、切替部材62および連結部材65が装着される。切替部材62は、ステー63および連結部材65に対してX軸方向に相対移動可能に保持される。
【0046】
ステー63の長孔632には、ケース10のケースプレート10eに固定されたガイド突起17が挿入される。これにより、ステー63は、ガイド突起17に対する長孔632の摺動下にZ軸方向に変位し、この変位に連れて切替部材62および連結部材65を一体にZ軸方向に移動させる。また、ステー63のX軸正方向の一端部633は、ケース10の第1長辺10aに装着される状態操作プレート111に係合する。
【0047】
図4は、ケース10に状態操作プレート111を装着した状態を示す斜視図である。状態操作プレート111は、矩形状の平板に形成され、取付プレート11においてラッチ21よりも上側(Z軸正方向側)に設けられた配置用孔11hに収容される状態操作部材である。状態操作プレート111は、ケース10の第1長辺10aに対して、図示しない取付手段(ネジ止め等)により離脱可能に取り付けられる。これにより、電気錠1の管理者は、状態操作プレート111を取り外すことで、駆動位置伝達機構部60およびアンチパニック機構部80をケース10の外側から操作できる。
【0048】
図1に戻り、取付状態において、状態操作プレート111のX軸正方向側は、ドア側壁2wの連通孔2hが対向する一方で、状態操作プレート111のX軸負方向は、第1長辺10aの窓10awを介してケース10内を臨んでいる。状態操作プレート111は、X軸負方向側の面にX軸負方向に短く突出する凸部112を有している。
【0049】
図5(A)は、状態操作プレート111とレバー81の第1係合状態を示す斜視図である。
図5(B)は、状態操作プレート111とステー63の係合状態、およびレバー81の第2係合状態を示す斜視図である。凸部112は、駆動位置伝達機構部60のステー63、およびアンチパニック機構部80のレバー81を引っ掛けて、その位置を維持させることができる。ステー63が凸部112の上面に引っ掛かることで、当該ステー63、切替部材62および連結部材65がZ軸正方向の位置(通電時解錠パターンの位置)に配置される。逆に、ステー63が凸部112の下面に引っ掛かることで、当該ステー63、切替部材62および連結部材65がZ軸負方向の位置(通電時施錠パターンの位置)に配置される。
【0050】
一方、解錠用部材64は、切替部材62と共にX軸方向に移動することでラッチ受部材70に接触して、ラッチ受部材70の施錠位置と解錠位置とを切り替える。この解錠用部材64は、切替部材62が通電時解錠パターンの位置に配置された場合に、当該切替部材62と一体にX軸方向に移動し、切替部材62が通電時施錠パターンの位置に配置された場合に、切替部材62の移動に追従しない構成となっている。
【0051】
解錠用部材64は、プレート体641と、このプレート体641からY軸負方向に突出してラッチ受部材70に接触可能な接触ピン642と、を有する。プレート体641は、切替部材62のY軸正方向に突出する接続ピンを挿通するための挿通孔64hを有する。挿通孔64hは、切替部材62の接続ピンが通電時解錠パターンの位置に配置された場合に、接続ピンと解錠用部材64を一体に移動可能とする一方で、切替部材62の接続ピンがZ軸方向下側に位置した場合に、解錠用部材64に対して接続ピンを自由状態とする。
【0052】
ラッチ受部材70は、プレート状の部品であり、ケース10内において概ねX軸方向に延在するように設置される。ラッチ受部材70は、
図1に示すようにX軸方向に対して傾斜した位置と、
図2に示すようにX軸方向に対して平行な位置とに切り替え可能に設置される。そして、ラッチ受部材70は、X軸方向に傾斜した位置でラッチ21のX軸負方向の移動を規制して施錠状態とする(以下、傾斜した位置を施錠位置ともいう)。その一方で、ラッチ受部材70は、X軸方向に平行な位置でラッチ21のX軸負方向の移動を許容して解錠状態とする(以下、平行な位置を解錠位置ともいう)。すなわち、ラッチ受部材70は、施錠位置と解錠位置とを変位可能である。
【0053】
詳細には、ラッチ受部材70は、プレート体71と、プレート体71のX軸負方向に設けられるガイドピン72と、プレート体71を弾力的に支持するトーションバネ73と、を含む。
【0054】
プレート体71は、X軸方向に比較的長く(例えばラッチ21のシャフト部212の軸方向長さよりも長く)延在している。プレート体71は、X軸方向の略中間位置に軸受孔71hを有する。軸受孔71hには、ケース10のケースプレート10eに連結された軸支ピン18が挿入される。プレート体71は、軸支ピン18により回転自在に軸支される。また、トーションバネ73は、軸支ピン18に装着されると共に支持片13に一端が固定される。これにより、トーションバネ73は、軸支ピン19に軸支されたラッチ受部材70のX軸正方向側を弾力的に支持している。
【0055】
プレート体71において軸受孔71hよりもX軸正方向側は、上辺が傾斜することで、先細りとなる第1端部711に形成されている。ラッチ受部材70の施錠位置において、第1端部711の端面が、ブロック部211のX軸負方向側の端面211eに接触可能となっている。ラッチ受部材70は、この第1端部711によりブロック部211(すなわちラッチ21)のX軸負方向への移動を規制する。
【0056】
軸支ピン18を挟んだ第1端部711の反対位置には、第2端部712が設けられる。第2端部712は、2つの円弧部位を有し、Z軸負方向側の円弧部位にガイドピン72を有する。ガイドピン72は、プレート体71を基点にY軸方向両側に突出している。また、第2端部712は、Z軸正方向側の円弧部位を凸片713としている。この凸片713は、物理施錠機構部40(カム構造体42)の突出部423に接触可能に構成されている。すなわち、電気錠1は、カム構造体42の突出部423により凸片713を下側に押圧することで、施錠位置のラッチ受部材70を解錠位置に切り替えることができる。
【0057】
また、プレート体71の中間位置(軸受孔71hよりも多少X軸負方向側)かつ上辺(Z軸正方向側の辺)には、上記した駆動位置伝達機構部60から力を受ける山部714が設けられている。この山部714の頂部を境として、X軸正方向側の傾斜部位の近傍位置には、上記の解錠用部材64の接触ピン642が配置されている。ラッチ受部材70は、接触ピン642から山部714に力を受けない状態では施錠位置に配置される一方で、接触ピン642からX軸負方向に向かう力を山部714が受けることで解錠位置に移動する(
図2も参照)。また、山部714の頂部を境として、X軸負方向側の傾斜部位の上方には、上記の切替部材62の下端が配置されている。
【0058】
さらに、電気錠1は、プレート体71のZ軸負方向の近傍位置に、施解錠検出センサ75を備えている。この施解錠検出センサ75は、ラッチ受部材70の下辺に検出子を接触させており、ラッチ受部材70の施錠位置および解錠位置を検出する。制御盤90は、リード線91を介して施解錠検出センサ75の信号を受信することで、電気錠1の施錠状態および解錠状態を認識できる。
【0059】
制御盤90は、ケース10内において各構成が設置されていないスペースに取り付けられる。
図1の例では、制御盤90は、ケース10のX軸正方向側かつZ軸負方向側に取り付けられる。この制御盤90は、制御チップ92と、制御主体切替用のスイッチ93と、インタフェース94と、外部通信部95と、を有する。
【0060】
インタフェース94は、電気錠1の各構成に対して複数のリード線91を介して接続されている。また、インタフェース94は、図示しない外部配線を介して、電気錠1の外部に設けられた電源(不図示)に接続されている。例えば、インタフェース94は、ケース10の内部において、上記のソレノイド50および施解錠検出センサ75の他に、ドア2の開閉を検出する開閉検出センサ96に接続されている。開閉検出センサ96は、ケース10の第1長辺10aに設置され、ドア枠に設けられた図示しないマグネットの磁界を検出可能に構成されている。すなわち、開閉検出センサ96は、マグネットの磁界の変化に基づき、ドア2の開閉を検出し、制御盤90にその情報を送信する。
【0061】
外部通信部95は、図示しない外部配線を介してドア2の開閉、施錠および解錠を管理する図示しない管理部(メイン制御盤)に通信可能に接続される。メイン制御盤とは、建物又は施設等に設けられた複数の電気錠を統括して制御する装置である。ただし、実施形態に係る制御盤90は、管理部からの指令に基づき施錠および解錠を行う構成と、制御盤90自体の制御により自動的に施錠および解錠を行う構成とを切り替え可能としている。このため、制御主体切替用のスイッチ93をオフ状態にすると、制御盤90は、制御チップ92を休眠状態として、管理部によってソレノイド50を制御する。その一方で、スイッチ93をオン状態にすると、制御盤90は、管理部を非接続状態として(あるいは管理部との通信を制限して)、制御チップ92によってソレノイド50を制御する。
【0062】
そして、制御チップ92は、操作者の施錠/解錠の操作、ラッチ受部材70の施錠位置/解錠位置、およびドア2の開閉状態を認識することで、ソレノイド50等の動作を制御する。制御チップ92は、特に限定されず例えば、FPGAやASIC等のICチップを適用できる。あるいは、制御盤90は、プロセッサ、メモリ等を有するコンピュータを適用してもよい。
【0063】
例えば、通電時解錠パターンになっている場合に、制御チップ92は、開閉検出センサ96によりドア2の閉状態を認識すると、ソレノイド50を自動的に非通電とすることで、ラッチ21のX軸負方向への移動を規制する施錠状態とする。一方、制御チップ92は、制御盤90の図示しない認証部に電子キーを近づける等して操作者の解錠操作を認証すると、ソレノイド50に通電することで、ラッチ21のX軸負方向への移動を許容する解錠状態とする。
【0064】
次に、電気錠1の動作(施錠状態、解錠状態、解錠状態でラッチ21を引き込んだ状態)について説明する。通電時解錠パターンの電気錠1は、
図1に示すように、制御盤90がソレノイド50を非通電にすることによって、ラッチ21のX軸負方向の移動を規制する施錠状態となる。詳細には、ソレノイド50は、非通電時に、プランジャ52をX軸負方向に突出した第1駆動位置に配置する。このプランジャ52の突出端に挿入されたリンクピン611により、駆動位置伝達機構部60のリンク部材61は、Z軸方向に略平行な姿勢をとる。
【0065】
これにより、リンク部材61に接続されている切替部材62は、非通電時にX軸正方向側の位置に配置され、この切替部材62の接続ピンに接続されている解錠用部材64もX軸正方向側の位置に配置される。X軸正方向側の位置に配置された解錠用部材64は、ラッチ受部材70の山部714に接触ピン642が軽く接触する程度となる。
【0066】
この状態において、ラッチ受部材70は、支持片13に支持されたトーションバネ73により
図1の反時計回りの回転が抑制され、X軸方向に対して傾斜した姿勢である施錠位置を維持する。施錠位置において、第1端部711はX軸正方向に向かって下側(Z軸負方向側)に傾斜している。これにより、第1端部711の端面が、ラッチ21のブロック部211の端面211eに対向して、ラッチ21のX軸負方向への移動を確実に規制する。
【0067】
そして、通電時解錠パターンの電気錠1は、
図2に示すように、制御盤90がソレノイド50を通電することによって、ラッチ21のX軸負方向の移動を許容する解錠状態とする。詳細には、ソレノイド50は、通電時に、プランジャ52をX軸正方向に引き込んだ第2駆動位置に配置する。このプランジャ52の突出端に挿入されたリンクピン611により、駆動位置伝達機構部60のリンク部材61は、軸支ピン16を基点に
図2の反時計回りに回転し、Z軸方向に対して傾斜した姿勢をとる。
【0068】
これにより、切替部材62は、リンク部材61の傾斜に基づき、通電時にX軸負方向側の位置に配置され、この切替部材62の接続ピンに接続されている解錠用部材64もX軸負方向側の位置に配置される。解錠用部材64がX軸負方向側の位置に配置される際に、接触ピン642は、ラッチ受部材70の山部714をX軸負方向に押圧する。
【0069】
ラッチ受部材70は、接触ピン642のX軸負方向への力を受けると、トーションバネ73を弾性変形させながら、軸支ピン18を基点に
図2の時計回りに回転する。これにより、ラッチ受部材70は、X軸方向に沿って略平行な解錠位置に配置される。ラッチ受部材70の解錠位置では、第1端部711の端面が、ラッチ21のブロック部211の端面211eに対して非対向となり、ラッチ21のX軸負方向への移動を許容した形態となる。
【0070】
解錠状態となった電気錠1は、
図3に示すように、操作者がドアノブを回転操作することで、ラッチ21をケース10内に引き込むことができる。つまり、ドアノブ機構部30において、操作者がドアノブを回転操作すると、ノブ本体31の軸部が回転してこれに連れて嵌合筒部321およびドアフック33が時計回りに回転する。このため、ドアフック33は、接触辺331によりラッチプレート22の第2ピン224をX軸負方向に押圧する。
【0071】
ラッチプレート22は、X軸負方向に移動して、このラッチプレート22のガイド長孔222に挿入されているラッチピン213を引っ張る。これにより、ラッチ21がラッチプレート22と共にX軸負方向に移動(後退)する。解錠状態のラッチ受部材70は、第1端部711がブロック部211からZ軸方向上側に離れていることで、ラッチ21をX軸負方向にスムーズに移動させることができる。このラッチ21のブロック部211がケース10内に挿入されることで、ドア2は、ドア枠に対して開くことが可能となる。
【0072】
次に、電気錠1の駆動位置伝達機構部60による通電時解錠パターンと通電時施錠パターンの切替、および各パターンの動作について
図6および
図7を参照しながら説明する。
図6(A)は、駆動位置伝達機構部60による通電時解錠パターンの非通電時を示す説明図である。
図6(B)は、駆動位置伝達機構部60による通電時解錠パターンの通電時を示す説明図である。
図7(A)は、駆動位置伝達機構部60による通電時施錠パターンの非通電時を示す説明図である。
図7(B)は、駆動位置伝達機構部60による通電時施錠パターンの通電時を示す説明図である。
【0073】
図6(A)に示すように、駆動位置伝達機構部60は、状態操作プレート111の凸部112の上面にステー63の一端部633を引っ掛けることで、通電時解錠パターンを設定できる。すなわち、凸部112に支持されたステー63の配置に応じて、切替部材62および連結部材65がZ軸正方向の位置(第2方向の一端部)にセットされる。切替部材62がZ軸正方向の位置にセットされた場合、解錠用部材64は、切替部材62の接続ピンと挿通孔64hとを接続して、切替部材62と一体にX軸方向(第1方向)に移動可能となる。
【0074】
そして、ソレノイド50は、非通電時に、プランジャ52をX軸負方向に突出することで第1駆動位置に配置する。これにより、リンク部材61は、Z軸方向に略平行となる。リンク部材61の下部に連結される切替部材62は、X軸方向の位置においてX軸正方向側に位置する。解錠用部材64の接触ピン642は、この切替部材62の位置に基づきラッチ受部材70の山部714のX軸正方向側に軽く接触するように(またはラッチ受部材70から僅かに離れるように)配置される。駆動位置伝達機構部60は、接触ピン642からラッチ受部材70に力をかけていないため、ラッチ受部材70がX軸方向に対して傾斜した施錠位置を維持できる。
【0075】
図6(B)に示すように、ソレノイド50は、通電時に、プランジャ52をX軸正方向に引き込むことで第2駆動位置に配置する。これにより、リンク部材61は、Z軸方向に対して傾斜した姿勢となる。切替部材62および解錠用部材64は、X軸負方向側に一体に移動する。そして移動時に、解錠用部材64の接触ピン642は、ラッチ受部材70の山部714のX軸正方向側に接触し、山部714をX軸負方向に移動させる。駆動位置伝達機構部60は、接触ピン642からラッチ受部材70に時計回りの力をかけることになり、ラッチ受部材70を施錠位置から解錠位置に回転させる。これにより、駆動位置伝達機構部60は、ソレノイド50の通電時に、ラッチ受部材70を解錠位置にスムーズに移動させることができる。
【0076】
そして、駆動位置伝達機構部60は、
図7(A)に示すように、状態操作プレート111の凸部112の下面にステー63の一端部633を引っ掛けることで、通電時施錠パターンを設定できる。すなわち、凸部112に支持されたステー63の配置に応じて、切替部材62および連結部材65がZ軸負方向(第2方向の他端部)の位置にセットされる。切替部材62がZ軸負方向の位置にセットされた場合、解錠用部材64は、切替部材62の接続ピンに対して自由状態となり、切替部材62がX軸方向(第1方向)に移動可能となる。
【0077】
そして、ソレノイド50は、非通電時に、プランジャ52を第1駆動位置に配置することで、リンク部材61をZ軸方向に略平行とする。リンク部材61の下部に連結される切替部材62は、Z軸負方向に移動していることで、下端の縁部がラッチ受部材70の山部714に接触するようになる。具体的には、切替部材62の下端の縁部は、ラッチ受部材70の山部714のX軸負方向側を押圧する。これにより、ラッチ受部材70は、軸支ピン18を基点に時計回りに回転して、X軸方向に対して略平行な解錠位置に移動する。
【0078】
図7(B)に示すように、ソレノイド50は、通電時に、プランジャ52をX軸正方向に引き込むことで第2駆動位置に配置する。リンク部材61は、Z軸方向に対して傾斜した姿勢となり、切替部材62をX軸負方向側に移動させる。そして移動に伴って、切替部材62の下端の縁部が、ラッチ受部材70の山部714のX軸負方向側に力をかけない方向に移動する。その結果、ラッチ受部材70が反時計回りに回転することになり、ラッチ受部材70を解錠位置から施錠位置に移動させる。これにより、駆動位置伝達機構部60は、ソレノイド50の通電時に、ラッチ受部材70を施錠位置にスムーズに移動させることができる。
【0079】
図8は、アンチパニックが発動する場合の動作を示す説明図である。
図9は、アンチパニックが非発動の場合の動作を示す説明図である。電気錠1は、例えば、当該電気錠1に電力を供給できない場合(停電時や故障時等)に、ソレノイド50の電気的な駆動位置の変位によらずに、施錠状態から解錠状態に移行できることが好ましい。このため、実施形態に係る電気錠1は、ドアノブの回転操作によって、施錠状態から解錠状態に機械的に切り替えることができるアンチパニック機構部80を搭載している。以下、このアンチパニック機構部80について詳述していく。
【0080】
アンチパニック機構部80は、Y軸方向両側にそれぞれ設けられたドアノブの回転操作について、別々に施錠状態から解錠状態に切り替える構成としている。例えば、アンチパニック機構部80は、Y軸正方向側のドアノブについて解錠状態への移行不能にする一方で、Y軸負方向側のドアノブについて解錠状態へ移行可能にすることができる。このため、アンチパニック機構部80は、ラッチプレート22やラッチ受部材70を間に挟んでY軸正方向側とY軸負方向側の各々に、対称をなす複数の部材を備える。
【0081】
具体的には、アンチパニック機構部80は、一対のレバー81および一対のガイド部材82を含む。一対のレバー81は、ラッチ受部材70の若干上側(Z軸方向上側)、かつ当該ラッチ受部材70を挟んでY軸方向両側に設けられている。一対のガイド部材82も、一対のレバー81と同じY軸方向の位置に配置され、ラッチプレート22の上方かつラッチプレート22を挟んでY軸方向両側に設けられている。
【0082】
各レバー81は、例えば、ラッチ受部材70よりも細長い平板状の部材である。また、各レバー81は、長手方向中間位置に軸受孔811を有する。各レバー81は、ケース10のケースプレート10eに連結された軸支ピン19が軸受孔811に挿入されることで、軸支ピン19を基点に回転可能となっている。
【0083】
各レバー81のX軸正方向側の一端部812は、状態操作プレート111まで延出しており、状態操作プレート111に係合可能となっている。一方、各レバー81のX軸負方向側(一端部812とは反対側)の他端部813は、同じY軸方向の位置にある各ガイド部材82に接触可能となっている。
【0084】
図5(A)に示すように、一端部812が凸部112の上面に引っ掛かる第1係合状態では、レバー81は、X軸方向に対して略平行な姿勢となる(
図8のY軸負方向側のレバー81も参照)。アンチパニック機構部80は、レバー81の略平行な姿勢において他端部813によりガイド部材82を押圧することで、ドアノブの回転操作で施錠状態から解錠状態に移行させるアンチパニックを発動可能な状態となる。
【0085】
逆に、
図5(B)に示すように、一端部812が凸部112の下面に引っ掛かる第2係合状態では、レバー81は、X軸方向に対して傾斜した姿勢となる(
図8のY軸正方向側のレバー81も参照)。そして、アンチパニック機構部80は、レバー81の傾斜した姿勢において他端部813がガイド部材82から離れることで、ドアノブを回転操作しても施錠状態を継続して、アンチパニックを発動不能な状態となる。
【0086】
図8に示すように、レバー81の他端部813は、Z軸方向下側の辺にガイド部材82を押圧する複数(2つ)の押圧用凸部814を有している。各押圧用凸部814は、突出方向に向かって幅狭となるように形成され、その端面においてガイド部材82を押圧する。各押圧用凸部814は、レバー81が第1係合状態となった場合に、各ガイド部材82を下方(Z軸負方向)に押圧することで、各ガイド部材82の姿勢を制御する。
【0087】
一対のガイド部材82は、ラッチプレート22のY軸方向の両側面の第1ピン223にそれぞれ取り付けられるプレート状の部材である。ラッチプレート22の取付状態において、各ガイド部材82は、ラッチプレート22に対して相対的に回転可能である。各ガイド部材82は、第1ピン223を収容する軸受孔821を有し、この軸受孔821を基点としてZ軸方向上側に短く突出してX軸正方向側に屈曲し、X軸正方向に長く延在している。各ガイド部材82のX軸正方向側の突出端は、ラッチ受部材70を軸支する軸支ピン18に近接している。
【0088】
また、各ガイド部材82には、トーションバネ83がそれぞれ装着されている。各トーションバネ83は、その一端がラッチプレート22の突起に接触しており、ラッチ21から離れる姿勢となるように(
図1の時計回りの方向に)、ガイド部材82を弾力的に押し出す弾性部材である。
【0089】
ガイド部材82のZ軸正方向の上辺822は、直線状に延在しており、レバー81の押圧用凸部814が摺動自在に接触する部分を形成している。一方、ガイド部材82のZ軸負方向の下辺823は、ラッチプレート22との連結箇所(X軸負方向)に向かって湾曲しており、ラッチ受部材70のガイドピン72を案内可能なガイド辺を形成している。また、下辺823は、軸受孔821寄り(X軸負方向側)において、Z軸正方向側に窪ませた凹部823aを有する。
【0090】
レバー81が第1係合状態となってガイド部材82を押圧することで、ガイド部材82は、アンチパニックオン姿勢(第1姿勢)となる。アンチパニックオン姿勢において、下辺823は、ラッチプレート22の縁部と共に、X軸方向に平行に延在しており、その間にガイドピン72を沿わせることが可能な案内路を形成する。ガイド部材82がアンチパニックオン姿勢でラッチ受部材70が施錠位置にあり、さらにラッチ21およびラッチプレート22が待機状態にある場合に、ラッチ受部材70のガイドピン72は凹部823aに収容されている。
【0091】
操作者のドアノブの操作に基づき、ラッチプレート22とガイド部材82が一体にX軸負方向に移動すると、ガイドピン72は、凹部823aから下辺823に沿うように抜け出すことでZ軸負方向に移動する。これにより、ラッチ受部材70は、施錠位置から解錠位置(X軸方向に対して略平行)に変位する。すなわち、アンチパニック機構部80は、電気錠1を電気的に解錠することなく、ドアノブの操作で解錠可能とする。
【0092】
一方、レバー81が第2係合状態となってガイド部材82から離れることで、ガイド部材82は、トーションバネ83に押圧されて傾斜したアンチパニックオフ姿勢(第2姿勢)となる。アンチパニックオフ姿勢において、下辺823は、ラッチプレート22の縁部に対して傾斜し、また凹部823aがガイドピン72から離れる。その結果、ガイドピン72は、ガイド部材82に案内不能な状態となる。
【0093】
実施形態に係る電気錠1は、基本的には以上のように構成され、以下、電気錠1のアンチパニック機構部80の動作について説明する。電気錠1の管理者は、状態操作プレート111とレバー81の係合状態を変えることで、アンチパニックの発動および非発動を切り替える。例えば、管理者は、アンチパニックを発動させるY軸方向のレバー81の一端部812を凸部112の上面に引っ掛けるようにして、状態操作プレート111を取付プレート11に固定する。これにより
図8に示すように、レバー81は、第1係合状態を呈し、軸支ピン19を基点に回転してX軸方向に略平行な姿勢となる。なお、
図6では、Y軸負方向側のレバー81のみを第1係合状態とした形態を示している。
【0094】
第1係合状態において、レバー81の各押圧用凸部814は、ガイド部材82を押圧して当該ガイド部材82をアンチパニックオン姿勢とする。ガイド部材82は、アンチパニックオン姿勢において、上辺822および下辺823のX軸正方向側をX軸方向(ラッチ21の進退宝庫言う)に平行とする。そして、施錠位置にあるラッチ受部材70のガイドピン72が、ガイド部材82の凹部823aに収容される。
【0095】
この状態で、電気錠1の操作者がY軸負方向側のドアノブを回転操作すると、ドアノブ機構部30のドアフック33は、ラッチプレート22の第2ピン224をX軸負方向に移動させる力をかける。ラッチプレート22にかかる力は、ガイド部材82にも伝達され、ガイド部材82も一体にX軸負方向に移動しようとする。この際、ガイド部材82は、第1係合状態となったレバー81によりアンチパニックオン姿勢を維持したまま、X軸負方向に移動するようになる。そのため、凹部823aに収容されたガイドピン72は、ガイドピン72の下辺823に沿って凹部823aから抜け出す。これにより、ガイド部材82は、ラッチ受部材70を
図6の時計回りに回転させて、ラッチ受部材70を施錠位置から解錠位置に切り替える。
【0096】
ドアフック33のX軸負方向の移動に伴って、ラッチプレート22およびラッチ21が一体にX軸負方向に移動する。レバー81の押圧用凸部814は、X軸に平行なガイド部材82の上辺822に接触し続けて、ガイド部材82のアンチパニックオン姿勢を継続させる。また、ラッチ受部材70のガイドピン72は、下辺823とラッチプレート22の縁部との間の案内路を相対移動することで、ラッチ受部材70の解錠位置を維持する。これにより、ラッチ受部材70は、ラッチ21のブロック部211をケース10内に円滑に引き込ませることができる。そして、ブロック部211がケース10内に移動することで、操作者は、ドア2を開くことが可能となる。
【0097】
一方、管理者は、アンチパニックを非発動とする場合に、レバー81の一端部812を凸部112の下面に引っ掛けるようにして、状態操作プレート111を取付プレート11に固定する。これにより、
図7に示すように、レバー81は、軸支ピン19を基点に回転して、X軸方向に対して傾斜した第2係合状態となる。
【0098】
第2係合状態において、レバー81の各押圧用凸部814は、ガイド部材82から離れる。そのため、ガイド部材82は、トーションバネ73の押し出しにより
図7の時計回りに回転して、上辺822および下辺823がX軸方向に対して傾斜したアンチパニックオフ姿勢となる。これにより、X軸方向に対して傾斜した施錠位置を維持しているラッチ受部材70のガイドピン72に対して、ガイド部材82の凹部823aが離れた状態となる。
【0099】
この状態で、電気錠1の操作者がドアノブを回転操作しても、施錠位置を維持しているラッチ受部材70の第1端部711にブロック部211の端面211eが接触することになり、ラッチ21のX軸負方向の移動を規制する。アンチパニックオフ姿勢のガイド部材82は、ガイドピン72をガイドしないことで、ラッチ受部材70の変位に影響を与えない状態となっている。そのため、ラッチ受部材70は、ソレノイド50の電気的な駆動によって、施錠位置および解錠位置が切り替えられることになる。
【0100】
以上のように、アンチパニック機構部80が非発動の場合には、ラッチ受部材70は、施錠位置を良好に維持できる。その結果、電気錠1は、ラッチ21のX軸負方向の移動を強固に規制して、操作者のドアノブの回転操作によるドア2の開放を確実に防止できる。
【0101】
なお、本開示の電気錠1は、上記の構成に限定されず、種々の変形例をとり得る。例えば、実施形態に係るソレノイド50は、X軸負方向にプランジャ52を突出させた構成としているが、X軸正方向にプランジャ52を突出させた構成でもよく、あるいはZ軸方向にプランジャを突出させた構成でもよい。実施形態に係るソレノイド50は、通電時にプランジャ52をソレノイド本体51に引き込み、非通電時にプランジャ52を突出させたが、ソレノイド50は逆の動作(通電時にプランジャ52を突出させ、非通電時にプランジャ52を引き込む構成)でもよい。
【0102】
また例えば、アンチパニックを発動するラッチ受部材70、レバー81、ガイド部材82等の形状については、任意に設計してよい。一例として、ガイド部材82は、ガイドピン72を介さずに、ラッチ受部材70のプレート体71に直接接触して、施錠位置および解錠位置を機械的に切り替える構成でもよい。
【0103】
以上のように、電気錠1は、簡単な構成によって通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンを切り替え可能となり、省スペース化を促すことができる。すなわち、駆動位置伝達機構部60は、ステー63および切替部材62の第2方向の位置の変動により、ラッチ受部材70に対して第1方向に移動した際の力の付与の仕方を変えることができる。しかも、駆動位置伝達機構部60は、構成を簡素化することにより、ステー63および切替部材62の配置の変更、ソレノイド50の駆動位置の伝達等を安定化させることができる。そして、通電時施錠パターンおよび通電時解錠パターンを有する電気錠1でも、他の構成の収容スペースを良好に確保することができ、また装置の小型化等を図ることが可能となる。
【0104】
今回開示された実施形態に係る電気錠1は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 電気錠
10 ケース
111 状態操作プレート
21 ラッチ
22 ラッチプレート
50 ソレノイド
60 駆動位置伝達機構部
61 リンク部材
62 切替部材
63 ステー
64 解錠用部材
70 ラッチ受部材
711 第1端部
712 第2端部
714 山部
72 ガイドピン
80 アンチパニック機構部
81 レバー
82 ガイド部材
823 下辺
823a 凹部
83 トーションバネ
90 制御盤
93 スイッチ