(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145351
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ラジアル磁気軸受、圧縮機、及び冷凍機
(51)【国際特許分類】
F16C 32/04 20060101AFI20241004BHJP
H02K 7/09 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16C32/04 Z
H02K7/09
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057661
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】田上 剣汰
(72)【発明者】
【氏名】戸成 辰也
(72)【発明者】
【氏名】付 裕
【テーマコード(参考)】
3J102
5H607
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA28
3J102DA03
3J102DA09
3J102DA30
3J102GA06
5H607GG01
5H607GG02
5H607GG17
(57)【要約】
【課題】占積率を向上できるラジアル磁気軸受を提供する。
【解決手段】ラジアル磁気軸受20は、複数のティース50のうちの1つのティース50に巻回される第1コイル31と、複数のティース50のうちの、第1コイル31が巻回されるティース50とは別の1つのティース50に巻回される第2コイル32と、を備える。第1コイル31の一部分と第2コイル32の一部分とは、複数のスロット60のうちの同一の所定のスロット60に配置される。所定のスロット60において、第2コイル32は、径方向において第1コイル31よりも内側に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体(12)を支持するラジアル磁気軸受(20)であって、
筒状のヨーク(40)と、
前記ヨーク(40)の径方向において、前記ヨーク(40)から内側に突出し、前記ヨーク(40)の周方向において離隔して設けられる複数のティース(50)と、
前記複数のティース(50)と前記ヨーク(40)とによって囲まれ、前記径方向において内側に向けて開口する複数のスロット(60)と、
前記複数のティース(50)のうちの1つのティース(50)に巻回される第1コイル(31)と、
前記複数のティース(50)のうちの、前記第1コイル(31)が巻回されるティース(50)とは別の1つのティース(50)に巻回される第2コイル(32)と、を備え、
前記第1コイル(31)の一部分と前記第2コイル(32)の一部分とは、前記複数のスロット(60)のうちの同一の所定のスロット(60)に配置され、
前記所定のスロット(60)において、前記第2コイル(32)の一部分は、前記径方向において前記第1コイル(31)の一部分よりも内側に配置される
ラジアル磁気軸受。
【請求項2】
前記複数のティース(50)は、
第1ティース(51)と、
前記第1ティース(51)から、前記周方向における第1周方向(CD1)に離隔して設けられる第2ティース(52)と、
前記第2ティース(52)から前記第1周方向(CD1)に離隔して設けられる第3ティース(53)と、
前記第3ティース(53)から前記第1周方向(CD1)に離隔して設けられる第4ティース(54)と、を有し、
前記複数のスロット(60)は、
前記ヨーク(40)、前記第1ティース(51)、及び前記第2ティース(52)によって囲まれる第1スロット(61)と、
前記ヨーク(40)、前記第2ティース(52)、及び前記第3ティース(53)によって囲まれる第2スロット(62)と、
前記ヨーク(40)、前記第3ティース(53)、及び前記第4ティース(54)によって囲まれる第3スロット(63)と、を有し、
前記第1コイル(31)は、前記第2ティース(52)に巻回され、
前記第2コイル(32)は、前記第3ティース(53)に巻回され、
前記第1コイル(31)は、前記第1スロット(61)に配置される第1部分(31A)、及び前記第2スロット(62)に配置される第2部分(31B)を有し、
前記第2コイル(32)は、前記第2スロット(62)に配置される第3部分(32A)、及び前記第3スロット(63)に配置される第4部分(32B)を有し、
前記第2スロット(62)において、前記第3部分(32A)は、前記径方向において前記第2部分(31B)よりも内側に配置される
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項3】
前記複数のティース(50)は、前記第4ティース(54)から前記第1周方向(CD1)に離隔して設けられる第5ティース(55)を有し、
前記複数のスロット(60)は、前記ヨーク(40)、前記第4ティース(54)、及び前記第5ティース(55)によって囲まれる第4スロット(64)を有し、
前記第4ティース(54)に巻回される第3コイル(33)を備え、
前記第3コイル(33)は、前記第3スロット(63)に配置される第5部分(33A)、及び前記第4スロット(64)に配置される第6部分(33B)を有し、
前記第3スロット(63)において、前記第5部分(33A)は、前記径方向において前記第4部分(32B)よりも外側に配置される
請求項2に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項4】
前記複数のティース(50)は、前記第4ティース(54)から前記第1周方向(CD1)に離隔して設けられる第5ティース(55)を有し、
前記複数のスロット(60)は、前記ヨーク(40)、前記第4ティース(54)、及び前記第5ティース(55)によって囲まれる第4スロット(64)を有し、
前記第4ティース(54)に巻回される第3コイル(33)を備え、
前記第3コイル(33)は、前記第3スロット(63)に配置される第5部分(33A)、及び前記第4スロット(64)に配置される第6部分(33B)を有し、
前記第3スロット(63)において、前記第5部分(33A)は、前記径方向において前記第4部分(32B)よりも内側に配置される
請求項2に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項5】
前記第1コイル(31)及び前記第2コイル(32)は、電気的に接続される
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項6】
前記径方向において、前記所定のスロットにおいて前記第1コイル(31)の一部分と前記第2コイル(32)の一部分との間に配置される絶縁部材(85)を備える
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項7】
前記複数のティース(50)は、コイル(30)が巻回されるコイル巻回部(86)と、前記径方向において前記コイル巻回部(86)よりも内側に位置するコイル抑制部(87)と、を有し、
前記周方向における前記コイル抑制部(87)の寸法(Z1)は、前記周方向における前記コイル巻回部(86)の寸法(Z2)よりも大きい
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項8】
前記所定のスロット(60)において、前記所定のスロット(60)を囲む前記複数のティース(50)のうちの1つのティース(50)の側面から、他の1つのティース(50)の側面まで、前記周方向にわたって配置されるコイル位置決部材(88)を備え、
前記コイル位置決部材(88)は、前記径方向において前記第1コイル(31)及び前記第2コイル(32)よりも内側に位置する
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項9】
前記第2コイル(32)の巻回数は、前記第1コイル(31)の巻回数と等しい
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項10】
前記所定のスロット(60)は、前記第1コイル(31)の一部分が配置される第1領域(A1)と、前記第2コイル(32)の一部分が配置される第2領域(A2)と、を有し、
前記径方向において、前記第2領域(A2)の寸法(X2)は、前記第1領域(A1)の寸法(X1)よりも大きい
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項11】
前記所定のスロット(60)は、前記第1コイル(31)の一部分が配置される第1領域(A1)と、前記第2コイル(32)の一部分が配置される第2領域(A2)と、を有し、
前記周方向において、前記第2領域(A2)の寸法(Y2)は、前記第1領域(A1)の寸法(Y1)よりも小さい
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項12】
前記所定のスロット(60)は、前記第1コイル(31)の一部分が配置される第1領域(A1)と、前記第2コイル(32)の一部分が配置される第2領域(A2)と、を有し、
前記ヨーク(40)の軸方向から見て、前記第2領域(A2)の面積は、前記第1領域(A1)の面積と等しい
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項13】
前記ヨーク(40)の軸方向に直交する第1方向(D1)において、前記第1コイル(31)が巻回されるティース(50)に対向するティース(50)に巻回される第1追加コイル(71)と、
前記軸方向に直交する第2方向(D2)において、前記第2コイル(32)が巻回されるティース(50)と対向するティース(50)に巻回される第2追加コイル(72)と、を備え、
前記ラジアル磁気軸受(20)は、
前記第1コイル(31)及び前記第2コイル(32)を有する第1コイルグループ(G1)と、
前記第1追加コイル(71)及び前記第2追加コイル(72)を有する第2コイルグループ(G2)と、を備える
請求項1に記載のラジアル磁気軸受。
【請求項14】
圧縮機(10)であって、
前記回転体(12)と、
請求項1から13のいずれか一項に記載の前記ラジアル磁気軸受(20)と、を備える
圧縮機。
【請求項15】
冷凍機(1)であって、
請求項14に記載の前記圧縮機(10)を備える
冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラジアル磁気軸受、圧縮機、及び冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体を非接触で支持するラジアル磁気軸受が知られている。特許文献1には、ヨークと、ティースと、ヨークとティースとによって囲まれるスロットと、第1コイルと、第2コイルとを備えるラジアル磁気軸受の一例が開示される。特許文献1のラジアル磁気軸受では、第1コイルの一部分と第2コイルの一部分とが、同一のスロットに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラジアル磁気軸受は、スロットの断面積に対するスロットを通過するコイルの素線の総断面積の割合である占積率が高い方が好ましい。従来のラジアル磁気軸受では、同一のスロット内において、第1コイルの一部分と第2コイルの一部分とが周方向において配置されるため、第1コイルの一部分と第2コイルの一部分との間に隙間が生じ易い。ヨークの周方向において第1コイルの一部分と第2コイルの一部分との間が生じると、隙間がスロット内に位置するため、占積率が低下する虞がある。
【0005】
本開示では、占積率を向上できるラジアル磁気軸受、圧縮機、及び冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する第1観点のラジアル磁気軸受は、回転体を支持するラジアル磁気軸受であって、筒状のヨークと、前記ヨークの径方向において、前記ヨークから内側に突出し、前記ヨークの周方向において離隔して設けられる複数のティースと、前記複数のティースと前記ヨークとによって囲まれ、前記径方向において内側に向けて開口する複数のスロットと、前記複数のティースのうちの1つのティースに巻回される第1コイルと、前記複数のティースのうちの、前記第1コイルが巻回されるティースとは別の1つのティースに巻回される第2コイルと、を備え、前記第1コイルの一部分と前記第2コイルの一部分とは、前記複数のスロットのうちの同一の所定のスロットに配置され、前記所定のスロットにおいて、前記第2コイルの一部分は、前記径方向において前記第1コイルの一部分よりも内側に配置される。
【0007】
この構成によれば、所定のスロットにおいて、第2コイルの一部分が第1コイルの一部分よりも径方向内側に配置されるため、第1コイルの一部分を構成する素線を、従来よりも所定のスロットの周方向に数多く配置できる。また、第2コイルの一部分を構成する素線を、従来よりも所定のスロットの周方向に数多く配置できる。ラジアル磁気軸受は、従来よりも所定のスロットの周方向に数多くの素線を配置することによって所定のスロットに隙間が生じることを抑制するように所定のスロットにコイルの素線を配置できるため、占積率を向上できる。
【0008】
第2観点のラジアル磁気軸受は、第1観点のラジアル磁気軸受であって、前記複数のティースは、第1ティースと、前記第1ティースから、前記周方向における第1周方向に離隔して設けられる第2ティースと、前記第2ティースから前記第1周方向に離隔して設けられる第3ティースと、前記第3ティースから前記第1周方向に離隔して設けられる第4ティースと、を有し、前記複数のスロットは、前記ヨーク、前記第1ティース、及び前記第2ティースによって囲まれる第1スロットと、前記ヨーク、前記第2ティース、及び前記第3ティースによって囲まれる第2スロットと、前記ヨーク、前記第3ティース、及び前記第4ティースによって囲まれる第3スロットと、を有し、前記第1コイルは、前記第2ティースに巻回され、前記第2コイルは、前記第3ティースに巻回され、前記第1コイルは、前記第1スロットに配置される第1部分、及び前記第2スロットに配置される第2部分を有し、前記第2コイルは、前記第2スロットに配置される第3部分、及び前記第3スロットに配置される第4部分を有し、前記第2スロットにおいて、前記第3部分は、前記径方向において前記第2部分よりも内側に配置される。この構成によれば、第2スロットにおいて、第1コイルの第2部分を配置した後に、第2コイルの第3部分を配置できるため、第2スロットにおける占積率が向上するように、第2スロットにコイルの素線を好適に配置できる。
【0009】
第3観点のラジアル磁気軸受は、第2観点のラジアル磁気軸受であって、前記複数のティースは、前記第4ティースから前記第1周方向に離隔して設けられる第5ティースを有し、前記複数のスロットは、前記ヨーク、前記第4ティース、及び前記第5ティースによって囲まれる第4スロットを有し、前記第4ティースに巻回される第3コイルを備え、前記第3コイルは、前記第3スロットに配置される第5部分、及び前記第4スロットに配置される第6部分を有し、前記第3スロットにおいて、前記第5部分は、前記径方向において前記第4部分よりも外側に配置される。この構成によれば、第2コイルが、第1コイル及び第3コイルよりも径方向内側に位置するため、第2コイルを第3ティースに好適に巻回できる。
【0010】
第4観点のラジアル磁気軸受は、第2観点のラジアル磁気軸受であって、前記複数のティースは、前記第4ティースから前記第1周方向に離隔して設けられる第5ティースを有し、前記複数のスロットは、前記ヨーク、前記第4ティース、及び前記第5ティースによって囲まれる第4スロットを有し、前記第4ティースに巻回される第3コイルを備え、前記第3コイルは、前記第3スロットに配置される第5部分、及び前記第4スロットに配置される第6部分を有し、前記第3スロットにおいて、前記第5部分は、前記径方向において前記第4部分よりも内側に配置される。この構成によれば、第2コイルが、径方向内側への第1コイルの移動を抑制し、第3コイルが、径方向内側への第2コイルの移動を抑制できる。
【0011】
第5観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第4観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記第1コイル及び前記第2コイルは、電気的に接続される。この構成によれば、第1コイル及び第2コイルが電気的に接続されるため、第1コイル及び第2コイルが発生する電磁力を同時に制御できる。
【0012】
第6観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第5観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記径方向において、前記所定のスロットにおいて前記第1コイルの一部分と前記第2コイルの一部分との間に配置される絶縁部材を備える。この構成によれば、所定のスロットにおいて、第1コイル及び第2コイルを好適に絶縁できる。
【0013】
第7観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第6観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記複数のティースは、コイルが巻回されるコイル巻回部と、前記径方向において前記コイル巻回部よりも内側に位置するコイル抑制部と、を有し、前記周方向における前記コイル抑制部の寸法は、前記周方向における前記コイル巻回部の寸法よりも大きい。この構成によれば、コイル抑制部によって、径方向内側へのティースに巻回されるコイルの移動を抑制できる。
【0014】
第8観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第7観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記所定のスロットにおいて、前記所定のスロットを囲む前記複数のティースのうちの1つのティースの側面から、他の1つのティースの側面まで、前記周方向にわたって配置されるコイル位置決部材を備え、前記コイル位置決部材は、前記径方向において前記第1コイル及び前記第2コイルよりも内側に位置する。この構成によれば、コイル位置決部材によって、所定のスロットにおいて、ティースに対する径方向内側への第1コイル及び第2コイルの移動を規制できる。
【0015】
第9観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第8観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記第2コイルの巻回数は、前記第1コイルの巻回数と等しい。この構成によれば、第2コイルの巻回数が第1コイルの巻回数と等しいため、第1コイル及び第2コイルが発生する電磁力を等しくできる。
【0016】
第10観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第9観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記所定のスロットは、前記第1コイルの一部分が配置される第1領域と、前記第2コイルの一部分が配置される第2領域と、を有し、前記径方向において、前記第2領域の寸法は、前記第1領域の寸法よりも大きい。この構成によれば、第2コイルの一部分を構成する素線の数を、第1コイルの一部分を構成する素線の数と同じ数にし易い。
【0017】
第11観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第10観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記所定のスロットは、前記第1コイルの一部分が配置される第1領域と、前記第2コイルの一部分が配置される第2領域と、を有し、前記周方向において、前記第2領域の寸法は、前記第1領域の寸法よりも小さい。この構成によれば、第2コイルの一部分を、周方向における寸法が第1領域の寸法よりも小さい第2領域に配置できる。
【0018】
第12観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第11観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記所定のスロットは、前記第1コイルの一部分が配置される第1領域と、前記第2コイルの一部分が配置される第2領域と、を有し、前記ヨークの軸方向から見て、前記第2領域の面積は、前記第1領域の面積と等しい。この構成によれば、第2コイルの一部分を構成する素線の数を、第1コイルの一部分を構成する素線の数と同じ数にし易い。
【0019】
第13観点のラジアル磁気軸受は、第1観点から第12観点のいずれか1つのラジアル磁気軸受であって、前記ヨークの軸方向に直交する第1方向において、前記第1コイルが巻回されるティースに対向するティースに巻回される第1追加コイルと、前記軸方向に直交する第2方向において、前記第2コイルが巻回されるティースと対向するティースに巻回される第2追加コイルと、を備え、前記ラジアル磁気軸受は、前記第1コイル及び前記第2コイルを有する第1コイルグループと、前記第1追加コイル及び前記第2追加コイルを有する第2コイルグループと、を備える。この構成によれば、第1コイルグループと第2コイルグループとが対向するため、第1コイルグループの電磁力と第2コイルグループの電磁力とによって、回転体を好適に支持できる。
【0020】
第14観点の圧縮機は、圧縮機であって、前記回転体と、第1観点から第13観点のいずれか1つの前記ラジアル磁気軸受と、を備える。この構成によれば、ラジアル磁気軸受の占積率が向上することによって、第1コイル及び第2コイルが好適に電磁力を発生できるため、ラジアル磁気軸受が回転体を好適に非接触で支持できる。回転体がラジアル磁気軸受によって非接触で支持されることによって回転体の摩擦損失を大幅に低減できるため、本構成の圧縮機は、圧縮機の高効率化を可能にする。
【0021】
第15観点の冷凍機は、冷凍機であって、第14観点の前記圧縮機を備える。この構成によれば、圧縮機によって好適に冷媒を圧縮できるため、エネルギー効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態の冷凍機の構成を例示する模式図である。
【
図2】
図1のラジアル磁気軸受の構成を例示する断面図である。
【
図3】
図2の複数のコイルが発生させる磁束を示す模式図である。
【
図4】
図2の第1コイルグループの構成を例示する模式図である。
【
図5】
図2のラジアル磁気軸受の構成を例示する部分断面図である。
【
図6】第2実施形態のラジアル磁気軸受の構成を例示する断面図である。
【
図7】変形例の第1コイルグループの構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1から
図5を参照して、第1実施形態に係る冷凍機1、圧縮機10、及びラジアル磁気軸受20について説明する。
【0024】
<冷凍機>
図1に示されるように、冷凍機1は、冷媒が循環する冷媒回路2を有する。冷凍機1の一例は、ターボ冷凍機である。冷媒回路2は、第1経路2A及び第2経路2Bを有する。冷凍機1は、圧縮機10を備える。圧縮機10は、第1経路2Aと第2経路2Bとの間に設けられる。
【0025】
<圧縮機>
圧縮機10は、冷媒回路2を循環する冷媒ガスを圧縮するように冷媒回路2に設けられる。圧縮機10の一例は、ターボ圧縮機である。圧縮機10は、例えば、ケース11を備える。ケース11は、羽根車室S1と電動機室S2とを区分けする壁部11Aを有する。
【0026】
圧縮機10は、回転体12と、ラジアル磁気軸受20と、を備える。回転体12は、例えば、回転軸心R1を有する回転軸である。回転体12は、ケース11に対して回転軸心R1まわりに回転するように構成される。回転体12は、羽根車室S1及び電動機室S2にわたって、ケース11に配置される。回転体12は、回転軸心R1まわりに回転する円盤部12Aを有する。
【0027】
圧縮機10は、例えば、羽根車13を備える。羽根車13は、羽根車室S1に配置される。羽根車13は、外径が略円錐形状となるように複数の羽根を有する。羽根車13は、回転体12の一端部に設けられる。回転体12が回転軸心R1まわりに回転することによって、羽根車13は、回転軸心R1まわりに回転する。
【0028】
羽根車13及び羽根車室S1は、圧縮機構を構成する。羽根車室S1には、第1経路2Aを通じて冷媒ガスが流れ込む。冷媒ガスは、羽根車13によって、流体の冷媒に圧縮される。羽根車室S1において圧縮された冷媒は、第2経路2Bを通じて羽根車室S1から外部へ流れ出る。
【0029】
圧縮機10は、例えば、モータ14を備える。モータ14は、電磁力によって回転体12を回転させるように構成される。モータ14は、電動機室S2に配置される。モータ14は、回転子14A及び固定子14Bを有する。回転子14Aは、回転体12に取り付けられる。固定子14Bは、圧縮機10のケース11の内周壁に取り付けられる。
【0030】
ラジアル磁気軸受20は、回転軸に取り付けられるラジアル磁気軸受ロータを含む回転体12を支持する。ラジアル磁気軸受20は、回転体12を電磁力によって非接触で支持するように構成される。ラジアル磁気軸受20は、モータ14と別に設けられる。ラジアル磁気軸受20は、電動機室S2に配置される。
【0031】
ラジアル磁気軸受20は、第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bを有する。第1ラジアル電磁石20Aは、回転体12の一端部に配置され、第2ラジアル電磁石20Bは、回転体12の他端部に配置される。第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bに流れる電流が制御されることによって、第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bの電磁力が制御される。第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bの電磁力によって、回転軸心R1に垂直な方向における回転体12の位置、及びケース11に対する回転体12の傾きが制御される。
【0032】
圧縮機10は、例えば、スラスト磁気軸受15を備える。スラスト磁気軸受15は、円盤部12Aを電磁力によって非接触で支持するように構成される。スラスト磁気軸受15は、電動機室S2に配置される。
【0033】
スラスト磁気軸受15は、第1スラスト電磁石15A及び第2スラスト電磁石15Bを有する。第1スラスト電磁石15A及び第2スラスト電磁石15Bは、回転軸心R1に平行な方向において、円盤部12Aを挟むように配置される。第1スラスト電磁石15A及び第2スラスト電磁石15Bに流れる電流が制御されることによって、第1スラスト電磁石15A及び第2スラスト電磁石15Bの電磁力が制御される。第1スラスト電磁石15A及び第2スラスト電磁石15Bの電磁力が制御されることによって、円盤部12Aを介して、回転軸心R1に平行な方向における回転体12の位置が制御される。
【0034】
圧縮機10は、例えば、第1タッチダウン軸受16A及び第2タッチダウン軸受16Bを備える。第1タッチダウン軸受16A及び第2タッチダウン軸受16Bは、電動機室S2に配置される。第1タッチダウン軸受16Aは、回転体12の一端部に設けられ、第2タッチダウン軸受16Bは、回転体12の他端部に設けられる。第1タッチダウン軸受16A及び第2タッチダウン軸受16Bは、ラジアル磁気軸受20が回転体12を支持しない場合に、回転体12に接触することによって回転体12を支持する。
【0035】
圧縮機10は、例えば、電源部17及び制御部18を備える。電源部17及び制御部18は、ケース11の内部に設けられてもよく、ケース11の外部に設けられてもよい。電源部17は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)アンプによって構成されている。電源部17は、ラジアル磁気軸受20、スラスト磁気軸受15及びモータ14に電圧を供給する。
【0036】
制御部18は、例えば、CPUなどの演算処理部や、演算処理部を動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどの記憶部などによって構成されている。制御部18は、各種センサの出力に基づいて、電源部17からラジアル磁気軸受20及びスラスト磁気軸受15への電力の供給を制御する。各種センサは、例えば、ケース11内における回転体12の位置を検出する位置センサである。各種センサは、ケース11内に配置され、回転軸心R1に平行な方向における回転体12の位置、回転軸心R1に垂直な方向における回転体12の位置、及びケース11に対する回転体12の傾きを検出する。
【0037】
<ラジアル磁気軸受>
図2に示されるように、ラジアル磁気軸受20は、電磁力を発生させる複数のコイル30を有する。ラジアル磁気軸受20は、複数のコイル30が発生させる電磁力によって、回転体12を非接触で支持する。ラジアル磁気軸受20は、筒状のヨーク40と、複数のティース50と、複数のスロット60と、第1コイル31と、第2コイル32と、を備える。ラジアル磁気軸受20は、第3コイル33を備える。複数のコイル30、ヨーク40、複数のティース50、及び複数のスロット60は、第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bを構成する。
図2は、第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bのうちの一方を例示する。第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bのうちの他方も、第1ラジアル電磁石20A及び第2ラジアル電磁石20Bのうちの一方と同様に構成される。
【0038】
<ヨーク>
ヨーク40は、磁性材料によって構成される。ヨーク40は、例えば、積層鋼板、アモルファス、またはパーメンジュールによって構成される。ヨーク40は、回転軸心R1と一致する中心軸心C1を有する。以下の説明において、「軸方向」は、ヨーク40の軸方向である。ヨーク40の軸方向は、中心軸心C1と平行な方向である。「径方向」は、ヨーク40の径方向である。ヨーク40の径方向は、中心軸心C1と直交する方向である。「周方向」は、ヨーク40の周方向である。ヨーク40の周方向は、中心軸心C1を中心とする方向である。
【0039】
<複数のティース>
ティース50には、コイル30が巻回される。複数のティース50の数は、複数のコイル30の数に応じて設定される。本実施形態では、複数のティース50は、16個のティース50を有する。複数のティース50は、磁性材料によって構成される。複数のティース50は、例えば、積層鋼板、アモルファス、またはパーメンジュールによって構成される。複数のティース50は、ヨーク40の内周面から径方向内側に突出するように、ヨーク40と一体に形成される。複数のティース50は、ヨーク40の径方向において、ヨーク40から内側に突出し、ヨーク40の周方向において離隔して設けられる。
【0040】
複数のティース50は、第1ティース51と、第2ティース52と、第3ティース53と、第4ティース54と、を有する。第2ティース52は、第1ティース51から、周方向における第1周方向CD1に離隔して設けられる。第3ティース53は、第2ティース52から第1周方向CD1に離隔して設けられる。第4ティース54は、第3ティース53から第1周方向CD1に離隔して設けられる。複数のティース50は、第5ティース55を有する。第5ティース55は、第4ティース54から第1周方向CD1に離隔して設けられる。複数のティース50は、例えば、第6ティース56を有する。第6ティース56は、第5ティース55から第1周方向CD1に離隔して設けられる。
【0041】
<複数のスロット>
スロット60には、複数のコイル30が配置される。本実施形態では、スロット60には、2個のコイル30が配置される。複数のスロット60のそれぞれは、複数のティース50とヨーク40とによって囲まれ、径方向において内側に向けて開口する。複数のスロット60の数は、例えば、複数のティース50の数と同じである。本実施形態では、複数のスロット60は16個のスロット60を有する。複数のスロット60は、径方向外側から径方向内側に向かう程、周方向における幅が小さくなるように構成される。
【0042】
複数のスロット60は、第1スロット61と、第2スロット62と、第3スロット63と、を有する。第1スロット61は、ヨーク40、第1ティース51、及び第2ティース52によって囲まれる。第2スロット62は、ヨーク40、第2ティース52、及び第3ティース53によって囲まれる。第3スロット63は、ヨーク40、第3ティース53、及び第4ティース54によって囲まれる。複数のスロット60は、第4スロット64を有する。第4スロット64は、ヨーク40、第4ティース54、及び第5ティース55によって囲まれる。複数のスロット60は、例えば、第5スロット65を有する。第5スロット65は、ヨーク40、第5ティース55、及び第6ティース56によって囲まれる。
【0043】
<複数のコイル>
複数のコイル30は、通電により回転体12を非接触で支持するための電磁力を発生させるように構成される。コイル30は、2個のスロット60を通過するように、ティース50に巻回される。複数のコイル30は、素線30Aによって構成される。素線30Aは、例えば、電線である。コイル30は、素線30Aがティース50に集中巻されることによって構成される。
【0044】
複数のコイル30のうちの1つのコイル30は、例えば、複数のティース50のうちの1つのティース50に巻回される素線30Aによって構成される。本実施形態では、複数のコイル30は、16個のコイル30を有する。複数のコイル30は、例えば、第1コイル31、第2コイル32、第3コイル33、及び第4コイル34を有する。
【0045】
第1コイル31は、複数のティース50のうちの1つのティース50に巻回される。第1コイル31は、第2ティース52に巻回される。第1コイル31は、第1スロット61に配置される第1部分31A、及び第2スロット62に配置される第2部分31Bを有する。本実施形態では、第1コイル31の第1部分31Aは、周方向において第1コイル31の第2部分31Bと第2ティース52を介して重なる位置に配置される。
【0046】
第2コイル32は、複数のティース50のうちの、第1コイル31が巻回されるティース50とは別の1つのティース50に巻回される。第2コイル32は、第3ティース53に巻回される。第2コイル32は、第2スロット62に配置される第3部分32A、及び第3スロット63に配置される第4部分32Bを有する。本実施形態では、第2コイル32の第3部分32Aは、周方向において第2コイル32の第4部分32Bと第3ティース53を介して重なる位置に配置される。
【0047】
第1コイル31の一部分と第2コイル32の一部分とは、複数のスロット60のうちの同一の所定のスロット60に配置される。所定のスロット60において、第2コイル32の一部分は、径方向において第1コイル31の一部分よりも内側に配置される。第1コイル31の一部分と第2コイル32の一部分とが配置される所定のスロット60は、例えば、第2スロット62である。第2スロット62において、第3部分32Aは、径方向において第2部分31Bよりも内側に配置される。
【0048】
第3コイル33は、複数のティース50のうちの、第1コイル31及び第2コイル32が巻回されるティース50とは別の1つのティース50に巻回される。第3コイル33は、第4ティース54に巻回される。第3コイル33は、第3スロット63に配置される第5部分33A、及び第4スロット64に配置される第6部分33Bを有する。本実施形態では、第3コイル33の第5部分33Aは、周方向において第3コイル33の第6部分33Bと第4ティース54を介して重なる位置に配置される。
【0049】
第2コイル32の一部分と第3コイル33の一部分とは、複数のスロット60のうちの同一のスロット60に配置される。スロット60において、第3コイル33の一部分は、径方向において第2コイル32の一部分よりも外側に配置される。第2コイル32の一部分と第3コイル33の一部分とが配置されるスロット60は、例えば、第3スロット63である。第3スロット63において、第5部分33Aは、径方向において第4部分32Bよりも外側に配置される。
【0050】
第4コイル34は、例えば、複数のティース50のうちの、第1コイル31、第2コイル32、及び第3コイル33が巻回されるティース50とは別の1つのティース50に巻回される。第4コイル34は、例えば、第5ティース55に巻回される。第4コイル34は、例えば、第4スロット64に配置される第7部分34A、及び第5スロット65に配置される第8部分34Bを有する。本実施形態では、第4コイル34の第7部分34Aは、周方向において第4コイル34の第8部分34Bと第5ティース55を介して重なる位置に配置される。
【0051】
第3コイル33の一部分と第4コイル34の一部分とは、複数のスロット60のうちの同一のスロット60に配置される。スロット60において、第4コイル34の一部分は、径方向において第3コイル33の一部分よりも内側に配置される。第3コイル33の一部分と第4コイル34の一部分とが配置されるスロット60は、例えば、第4スロット64である。第4スロット64において、第7部分34Aは、径方向において第6部分33Bよりも内側に配置される。
【0052】
本実施形態では、ラジアル磁気軸受20は、第1追加コイル71と、第2追加コイル72と、を備える。ラジアル磁気軸受20は、例えば、第3追加コイル73と、第4追加コイル74と、を備える。複数のコイル30は、第1追加コイル71、第2追加コイル72、第3追加コイル73、及び第4追加コイル74を有する。
【0053】
第1追加コイル71は、ヨーク40の軸方向に直交する第1方向D1において、第1コイル31が巻回されるティース50に対向するティース50に巻回される。第1追加コイル71が巻回されるティース50は、例えば、第1方向D1において、第2ティース52に対向するティース50である。第2追加コイル72は、軸方向に直交する第2方向D2において、第2コイル32が巻回されるティース50と対向するティース50に巻回される。第2追加コイル72が巻回されるティース50は、例えば、第2方向D2において、第3ティース53に対向するティース50である。第3追加コイル73は、軸方向に直交する第3方向D3において、第3コイル33が巻回されるティース50と対向するティース50に巻回される。第3追加コイル73が巻回されるティース50は、例えば、第3方向D3において、第4ティース54に対向するティース50である。第4追加コイル74は、軸方向に直交する第4方向D4において、第4コイル34が巻回されるティース50と対向するティース50に巻回される。第4追加コイル74が巻回されるティース50は、例えば、第4方向D4において、第5ティース55に対向するティース50である。
【0054】
図2の例では、ラジアル磁気軸受20の通電時に、スロット60に配置されるコイル30の一部分を流れる電流の方向が、2つの記号によって示されている。第1コイル31の第1部分31Aに記載されている記号は、電流が、紙面奥から紙面手前に向かう方向に流れていることを示している。第1コイル31の第2部分31Bに記載されている記号は、電流が、紙面手前から紙面奥に向かう方向に流れていることを示している。
図3及び
図6においても、スロット60に配置されるコイル30の一部分を流れる電流の方向が、
図2と同じ記号によって示されている。
【0055】
<複数のコイルグループ>
図3に示されるように、ラジアル磁気軸受20は、電磁力を発生させる複数のコイル30を有する複数のコイルグループCGを備える。コイルグループCGは、複数のコイル30が電気的に直列に接続されている。複数のコイルグループCGは、4つのコイルグループCGを有する。4つのコイルグループCGは、周方向において90°ごとに並んで配置される。
【0056】
本実施形態では、ラジアル磁気軸受20は、第1コイルグループG1と、第2コイルグループG2と、を備える。第2コイルグループG2は、径方向において第1コイルグループG1と対向する。本実施形態では、ラジアル磁気軸受20は、第3コイルグループG3と、第4コイルグループG4と、を備える。第4コイルグループG4は、径方向において第3コイルグループG3と対向する。
【0057】
コイルグループCGは、1または複数のコイル30を有する。コイルグループCGが有するコイル30の数は、例えば、複数のコイル30の数を、複数のコイルグループCGの数で除した数に設定される。本実施形態では、複数のコイル30が16個のコイル30を有するため、コイルグループCGは、4個のコイル30を有する。複数のコイル30が8個のコイル30を有する場合、コイルグループCGは、2個のコイル30を有してもよい。複数のコイル30が32個のコイル30を有する場合、コイルグループCGは、8個のコイル30を有してもよい。
【0058】
第1コイルグループG1は、第1コイル31及び第2コイル32を有する。第1コイルグループG1は、第3コイル33及び第4コイル34を有する。第2コイルグループG2は、第1追加コイル71及び第2追加コイル72を有する。第2コイルグループG2は、第3追加コイル73及び第4追加コイル74を有する。第3コイルグループG3は、周方向において並ぶティース50に巻回される4個のコイル30を有する。第4コイルグループG4は、周方向において並ぶティース50に巻回される4個のコイル30を有する。
【0059】
<ラジアル磁気軸受の動作>
図3には、ラジアル磁気軸受20の通電時に、複数のコイル30が発生させる磁束が破線によって例示される。ラジアル磁気軸受20が通電されると、隣り合うティース50ごとに、S極またはN極となる。例えば、第1コイル31が巻回される第2ティース52は、S極となり、第2コイル32が巻回される第3ティース53は、N極となる。例えば、第3コイル33が巻回される第4ティース54は、S極となり、第4コイル34が巻回される第5ティース55は、N極となる。
【0060】
回転体12は、複数のコイル30が発生させる磁束によって発生する電磁力によって、ラジアル磁気軸受20と非接触に支持される。コイルグループCGは、回転体12を引き付けるように、電磁力を発生する。第1コイルグループG1及び第2コイルグループG2の電磁力が、径方向において回転体12に作用することによって、回転体12が第1コイルグループG1及び第2コイルグループG2の間において非接触に支持される。第3コイルグループG3及び第4コイルグループG4の電磁力が、径方向において回転体12に作用することによって、回転体12が第3コイルグループG3及び第4コイルグループG4の間において非接触に支持される。4つのコイルグループCGの電磁力が制御されることによって、ラジアル磁気軸受20は、回転体12を軸方向に垂直な方向において支持できる。
【0061】
<複数のコイルの接続>
図4は、第1コイルグループG1を径方向内側から見た場合の模式図である。第2コイルグループG2、第3コイルグループG3、及び第4コイルグループG4も、第1コイルグループG1と同様に構成されてもよい。
図4に示されるように、同じコイルグループCGのコイル30は、電気的に直列に接続される。第1コイル31及び第2コイル32は、電気的に接続される。本実施形態では、第1コイル31、第2コイル32、第3コイル33、及び第4コイル34は、電気的に接続される。
【0062】
複数のコイル30は、第1端部80、第2端部81、第1結線部82、第2結線部83、及び第3結線部84を備える。第1端部80及び第2端部81は、電源部17と電気的に接続される。第1結線部82は、第1コイル31の素線30Aと、第2コイル32の素線30Aとを電気的に接続する。第2結線部83は、第2コイル32の素線30Aと、第3コイル33の素線30Aとを電気的に接続する。第3結線部84は、第3コイル33の素線30Aと、第4コイル34の素線30Aとを電気的に接続する。第1結線部82、第2結線部83、及び第3結線部84は、スロット60の外部に配置される。
【0063】
第1コイル31を構成する素線30Aの一端部は、第1スロット61からスロット60外に延び、第1コイル31を構成する素線30Aの他端部は、第2スロット62からスロット60外に延びる。第1コイル31を構成する素線30Aの一端部は、第1結線部82と電気的に接続される。第1コイル31を構成する素線30Aの他端部は、電源部17と電気的に接続される。第1コイル31を構成する素線30Aの他端部は、例えば、第1端部80である。
【0064】
第2コイル32を構成する素線30Aの一端部は、第2スロット62からスロット60外に延び、第2コイル32を構成する素線30Aの他端部は、第3スロット63からスロット60外に延びる。第2コイル32を構成する素線30Aの一端部は、例えば、第1結線部82と電気的に接続される。第2コイル32を構成する素線30Aの他端部は、例えば、第2結線部83と電気的に接続される。
【0065】
第3コイル33を構成する素線30Aの一端部は、第3スロット63からスロット60外に延び、第3コイル33を構成する素線30Aの他端部は、第4スロット64からスロット60外に延びる。第3コイル33を構成する素線30Aの一端部は、例えば、第2結線部83と接続される。第3コイル33を構成する素線30Aの他端部は、例えば、第3結線部84と接続される。
【0066】
第4コイル34を構成する素線30Aの一端部は、第4スロット64からスロット60外に延び、第4コイル34を構成する素線30Aの他端部は、第5スロット65からスロット60外に延びる。第4コイル34を構成する素線30Aの一端部は、電源部17と電気的に接続される。第4コイル34を構成する素線30Aの一端部は、例えば、第2端部81である。第4コイル34を構成する素線30Aの他端部は、例えば、第3結線部84と接続される。
【0067】
<第1領域及び第2領域>
図5は、ラジアル磁気軸受20を、ヨーク40の軸方向から見た部分拡大図である。
図5では、第1スロット61に配置される素線30Aが省略されている。
図5に示されるように、スロット60は、コイル30の一部分が配置される第1領域A1と、第1領域A1に一部分が配置されるコイル30と隣り合うコイル30の一部分が配置される第2領域A2と、を有する。第2領域A2は、第1領域A1の径方向内側に位置する。ヨーク40の軸方向から見て、第2領域A2の面積は、第1領域A1の面積と等しい。本実施形態では、コイル30の素線30Aがスロット60の第1領域A1に配置される場合、素線30Aは、コイル30の素線30Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第1領域A1に配置される。コイル30の素線30Aがスロット60の第2領域A2に配置される場合、コイル30の素線30Aは、コイル30の素線30Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に配置される。
【0068】
所定のスロット60は、第1コイル31の一部分が配置される第1領域A1と、第2コイル32の一部分が配置される第2領域A2と、を有する。所定のスロット60は、例えば、第2スロット62である。第2スロット62の第1領域A1には、第1コイル31の第2部分31Bが配置され、第2スロット62の第2領域A2には、第2コイル32の第3部分32Aが配置される。
【0069】
第1コイル31の第1部分31Aは、スロット60の第1領域A1に配置され、第1コイル31の第2部分31Bは、第1部分31Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第1領域A1に配置される。第1コイル31の第1部分31Aは、第1スロット61の第1領域A1に配置され、第1コイル31の第2部分31Bは、第2スロット62の第1領域A1に配置される。第2コイル32の第3部分32Aは、スロット60の第2領域A2に配置され、第2コイル32の第4部分32Bは、第3部分32Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に配置される。第2コイル32の第3部分32Aは、第2スロット62の第2領域A2に配置され、第2コイル32の第4部分32Bは、第3スロット63の第2領域A2に配置される。
【0070】
第1領域A1及び第2領域A2は、例えば、径方向に延びる領域である。本実施形態では、第1領域A1は、例えば、スロット60の径方向において、絶縁部材85から、ヨーク40の内周面までの領域である。本実施形態では、第2領域A2は、例えば、スロット60の径方向において、コイル位置決部材88の外周面から、絶縁部材85までの領域である。
【0071】
径方向において、第2領域A2の寸法X2は、第1領域A1の寸法X1よりも大きい。径方向における第1領域A1の寸法X1は、例えば、第1領域A1において周方向におけるティース50の側面に沿う寸法である。径方向における第2領域A2の寸法X2は、例えば、第2領域A2において周方向におけるティース50の側面に沿う寸法である。
【0072】
第1領域A1及び第2領域A2は、例えば、周方向に延びる領域である。第1領域A1及び第2領域A2は、例えば、周方向において、スロット60を囲む2個のティース50の一方から他方までの間の領域である。周方向において、第2領域A2の寸法Y2は、第1領域A1の寸法Y1よりも小さい。周方向における第1領域A1の寸法Y1は、例えば、第1領域A1の径方向外側の寸法である。周方向における第1領域A1の寸法Y1は、例えば、周方向において、スロット60におけるヨーク40の内周面の寸法である。周方向における第2領域A2の寸法Y2は、例えば、第2領域A2の径方向外側の寸法である。周方向における第2領域A2の寸法Y2は、例えば、周方向において、スロット60に配置される絶縁部材85の寸法である。
【0073】
複数のコイル30のうちの1つコイル30の巻回数は、他のコイル30の巻回数と等しい。第2コイル32の巻回数は、第1コイル31の巻回数と等しい。第3コイル33の巻回数は、第1コイル31の巻回数と等しく、第4コイル34の巻回数は、第1コイル31の巻回数と等しい。
【0074】
複数のコイル30の素線30Aは、軸方向から見た断面積が略同一となるように構成される。複数のコイル30のうちの1つコイル30の巻回数は、他のコイル30の巻回数と等しいため、第2領域A2に配置される素線30Aの数は、第1領域A1に配置される素線30Aの数と等しい。第2領域A2における占積率は、第1領域A1における占積率と等しい。占積率は、軸方向から見て、スロット60の断面積に対するスロット60を通過するコイル30の素線30Aの総断面積の割合として定義される。第1領域A1における占積率は、軸方向から見て、第1領域A1の面積に対する第1領域A1を通過するコイル30の素線30Aの総断面積の割合として定義される。第2領域A2における占積率は、軸方向から見て、第2領域A2の面積に対する第2領域A2を通過するコイル30の素線30Aの総断面積の割合として定義される。
【0075】
<絶縁部材>
ラジアル磁気軸受20は、径方向において、スロット60の第1領域A1に配置される素線30Aと、スロット60の第2領域A2に配置される素線30Aとの間に配置される絶縁部材85を備える。絶縁部材85は、径方向において、所定のスロット60において第1コイル31の一部分と第2コイル32の一部分との間に配置される。絶縁部材85は、第2スロット62において、第1コイル31の第2部分31Bと第2コイル32の第3部分32Aとの間に、周方向にわたって配置される。絶縁部材85は、例えば、全てのスロット60に配置される。絶縁部材85は、例えば、絶縁紙である。絶縁部材85は、例えば、スロット60において、第1領域A1と第2領域A2とを区画する。
【0076】
<コイル巻回部及びコイル抑制部>
複数のティース50は、コイル30が巻回されるコイル巻回部86と、径方向においてコイル巻回部86よりも内側に位置するコイル抑制部87と、を有する。周方向におけるコイル抑制部87の寸法Z1は、周方向におけるコイル巻回部86の寸法Z2よりも大きい。
【0077】
コイル抑制部87は、例えば、ティース50の側面から第1周方向CD1に突出する第1凸部87Aと、ティース50の側面から第1周方向CD1とは反対の方向に突出する第2凸部87Bとを有する。径方向から見て、第1凸部87A及び第2凸部87Bは、コイル30と重なるように配置される。
【0078】
<コイル位置決部材>
ラジアル磁気軸受20は、コイル位置決部材88を備える。コイル位置決部材88は、所定のスロット60において、所定のスロット60を囲む複数のティース50のうちの1つのティース50の側面から、他の1つのティース50の側面まで、周方向にわたって配置される。コイル位置決部材88は、例えば、全てのスロット60に配置される。第2スロット62に配置されるコイル位置決部材88は、例えば、第2ティース52の側面から第3ティース53の側面まで、周方向にわたって配置される。
【0079】
コイル位置決部材88は、径方向においてコイル30よりも内側に位置する。径方向から見て、コイル位置決部材88は、コイル30と重なるように配置される。コイル位置決部材88は、径方向において第1コイル31及び第2コイル32よりも内側に位置する。径方向から見て、コイル位置決部材88は、第1コイル31及び第2コイル32と重なるように配置される。径方向において、コイル位置決部材88は、所定のスロット60を囲む一方のティース50の第1凸部87Aと、所定のスロット60を囲む他方のティース50の第2凸部87Bとに重なるように配置される。
【0080】
コイル位置決部材88は、スロット60の形状に合わせて、径方向外側から径方向内側に向かう程、周方向における幅が小さくなるように構成される。コイル位置決部材88は、スロット60の開口を塞ぐようにスロット60に配置される。コイル位置決部材88は、例えば、楔である。
【0081】
<コイルの形成方法>
図3から
図5を参照して、本実施形態におけるコイル30の形成方法を説明する。本実施形態のコイル30の形成方法は、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、第5工程、及び第6工程を有する。
【0082】
第1工程は、素線30Aによってコイル30が仮形成される工程である。第1工程において、素線30Aがティース50の形状に対応する木型に巻回されることによって、コイル30は、仮形成される。コイル30の仮形成後、木型は、コイル30から抜き取られる。
【0083】
第2工程は、第1領域A1に配置されるコイル30がティース50に巻回される工程である。第2工程において、第1領域A1に配置されるコイル30がスロット60の開口から挿入されて、ティース50に巻回される。
【0084】
第3工程は、第1領域A1に配置されるコイル30の素線30Aが第1領域A1に並べられることによって、第1領域A1に配置されるコイル30が再形成される工程である。第3工程において、第1領域A1に配置されるコイル30の素線30Aは、第1工程において仮形成された形状から解されて、第1領域A1の形状に基づいて並べられる。
【0085】
第4工程は、第2領域A2に配置されるコイル30がティース50に巻回される工程である。第4工程において、第2領域A2に配置されるコイル30がスロット60の開口から挿入されて、ティース50に巻回される。
【0086】
第5工程は、第2領域A2に配置されるコイル30の素線30Aが第2領域A2に並べられることによって、第2領域A2に配置されるコイル30が再形成される工程である。第5工程において、第2領域A2に配置されるコイル30の素線30Aは、第1工程において仮形成された形状から解されて、第2領域A2の形状に基づいて並べられる。
【0087】
第6工程は、コイル30を電気的に接続する工程である。第6工程において、コイルグループCGごとに、複数のコイル30が電気的に接続される。
【0088】
第4工程において第2領域A2に配置されるコイル30がティース50に巻回される前に、絶縁部材85がスロット60に配置されてもよい。第6工程の後に、スロット60にコイル位置決部材88が配置されてもよい。コイル位置決部材88は、例えば、スロット60に軸方向から挿入される。
【0089】
第1工程において、コイル30は、第3工程または第5工程における形成後の素線30Aの配置に基づいて仮構成されてもよい。コイル30は、例えば、第3工程または第5工程において素線30Aを解して並べ易いように、第1工程において仮形成される。形成後の素線30Aの配置に基づいて仮形成されることによって、第3工程または第5工程において素線30Aが並べられる際に、素線30Aに不要なテンションがかかることを抑制できる。
【0090】
コイル30の形成方法では、第1工程において仮形成されたコイル30が、第3工程または第5工程において再形成されることによって、スロット60に配置される。コイル30は、第3工程または第5工程においてスロット60に配置された後に、コイル30の素線30Aが並べられるため、コイル30は、第1工程においてスロット60の開口の形状に基づいて仮形成されてもよい。スロット60の開口の形状に基づいてコイル30が仮形成されることによって、スロット60の開口の形状に関わらず、仮形成したコイル30をティース50に巻回し易い。
【0091】
<作用>
従来のようにスロット60において、2個のコイル30の一部分が周方向に並んで配置される場合、周方向において、2個のコイル30の間に隙間が発生し易い。ラジアル磁気軸受20では、スロット60において、2個のコイル30の一部分が径方向に並んで配置される。スロット60において、スロット60の径方向外側に一部分が配置されるコイル30の素線30Aを並べた後に、スロット60の径方向内側に一部分が配置されるコイル30の素線30Aを並べることができる。本実施形態のラジアル磁気軸受20では、スロット60において、2個のコイル30の一部分が径方向に並ぶため、従来の例に比べてスロット60において、周方向における隙間が発生し難い。
【0092】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)ラジアル磁気軸受20は、ヨーク40と、複数のティース50と、複数のスロット60と、第1コイル31と、第2コイル32と、を備える。第1コイル31の一部分と第2コイル32の一部分とは、複数のスロット60のうちの同一の所定のスロット60に配置される。所定のスロット60において、第2コイル32の一部分は、径方向において第1コイル31の一部分よりも内側に配置される。
【0093】
この構成によれば、所定のスロット60において第2コイル32の一部分が第1コイル31の一部分よりも径方向内側に配置されるため、第1コイル31の素線30Aを並べた後に、第2コイル32の素線30Aを並べることができる。第1コイル31の素線30Aを並べることによって、第1コイル31の一部分を構成する素線30Aを、従来よりも所定のスロット60の第1領域A1に数多く配置できる。また、第2コイル32の素線30Aを並べることによって、第2コイル32の一部分を構成する素線30Aを、従来よりも所定のスロット60の第2領域A2に数多く配置できる。ラジアル磁気軸受20は、所定のスロット60に隙間が生じることを抑制するように所定のスロット60にコイル30の素線30Aを数多く配置できるため、占積率を向上できる。
【0094】
従来のように、隣り合うティースのそれぞれに巻回されるコイルが、スロットで周方向において隣り合うラジアル磁気軸受の場合、スロット内に隙間が発生する。具体的には、スロット内において、1つのティースに巻かれるコイルの一部分と、他のティースに巻かれるコイルの一部分との間に、周方向において隙間が発生する。本実施形態のラジアル磁気軸受20では、スロット60において、第1領域A1に配置されるコイル30に対して、隙間を設けずに第2領域A2にコイル30を配置できる。このため、スロット60内において隙間を実質的に無くすことができる。このようにして、ラジアル磁気軸受20の占有率を高めることができる。
【0095】
コイル30の素線30Aをティース50に巻回すると、周方向におけるティース50の側面において、素線30Aが湾曲する場合がある。コイル30が膨れるように素線30Aが湾曲することによって、ティース50の側面から素線30Aが離れてしまう虞がある。ティース50の側面から素線30Aが離れるとティース50と素線30Aとの間に隙間が発生するため、占積率が低下する。ティース50が軸方向に大型化すると、ティース50の側面における素線30Aの湾曲が大きくなるため、ティース50が軸方向に大型化する程、ティース50と素線30Aとの間の隙間は大きくなる傾向がある。ラジアル磁気軸受20は、第2コイル32の一部分が径方向において第1コイル31の一部分よりも内側に配置されるため、素線30Aを並べる際に素線30Aの湾曲を抑制するように素線30Aを並べ易い。素線30Aの湾曲を抑制することによって、ティース50と素線30Aとの間の隙間の発生を抑制するように所定のスロット60に素線30Aを配置できる。ラジアル磁気軸受20は、ラジアル磁気軸受20の大型化によってティース50が軸方向に大型化しても、占積率の低下を抑制できる。
【0096】
コイル30をティース50に巻回する場合、コイル30の素線30Aは、スロット60の開口から径方向外側に向かって挿入されるため、素線30Aの周方向における位置は調整が難しい。所定のスロット60において複数のコイル30が周方向に並んで配置される場合、複数のコイル30の絶縁状態を維持しつつ、周方向における素線30Aの位置を調整することは難い。ラジアル磁気軸受20は、所定のスロット60において第1コイル31及び第2コイル32が径方向に並ぶため、第1コイル31配置した後に、絶縁状態を維持しつつ、第2コイル32を好適に配置できる。
【0097】
所定のスロット60において素線30Aを並べることができるため、軸方向から見て、所定のスロット60に隙間なく素線30Aを配置できる。素線30Aの断面積に基づいて巻回数を設定できるため、ラジアル磁気軸受20は、コイル30の巻回数を好適に設定できる。
【0098】
ラジアル磁気軸受20は、所定のスロット60に隙間なく素線30Aを配置できるため、複数のスロット60を通過する素線30Aの数を維持しつつ、ティース50の周方向における幅を大きくできる。ラジアル磁気軸受20は、ティース50を大きくすることによって、複数のスロット60の数を減らすことができるため、設計の自由度が向上する。
【0099】
(1-2)複数のティース50は、第1ティース51と、第2ティース52と、第3ティース53と、第4ティース54と、を有する。複数のスロット60は、第1スロット61と、第2スロット62と、第3スロット63と、を有する。第1コイル31は、第2ティース52に巻回される。第2コイル32は、第3ティース53に巻回される。第1コイル31は、第1部分31A及び第2部分31Bを有する。第2コイル32は、第3部分32A及び第4部分32Bを有する。第2スロット62において、第3部分32Aは、径方向において第2部分31Bよりも内側に配置される。
【0100】
この構成によれば、第2スロット62において、第2コイル32の第3部分32Aよりも径方向外側に第1コイル31の第2部分31Bが配置される。したがって、第2スロット62において、第1コイル31の第2部分31Bの素線30Aを並べた後に、第2コイル32の第3部分32Aの素線30Aを並べることができる。このように第2スロット62内に素線30Aを配置することによって、第2スロット62の占積率が向上するように、素線30Aを好適に配置できる。
【0101】
(1-3)複数のティース50は、第5ティース55を有する。複数のスロット60は、ヨーク40、第4ティース54、及び第5ティース55によって囲まれる第4スロット64を有する。ラジアル磁気軸受20は、第4ティース54に巻回される第3コイル33を備える。第3コイル33は、第5部分33A及び第6部分33Bを有する。第3スロット63において、第5部分33Aは、径方向において第4部分32Bよりも外側に配置される。
【0102】
この構成によれば、第2スロット62において、第1コイル31の第2部分31Bよりも径方向内側に第2コイル32の第3部分32Aが配置される。また、第3スロット63において、第3コイル33の第5部分33Aよりも径方向内側に第2コイル32の第4部分32Bが配置される。複数のコイル30を複数のティース50に配置する際に、第1コイル31を第2ティース52に巻回し、第3コイル33を第4ティース54に巻回した後に、第2コイル32を第3ティース53に巻回できる。第1コイル31及び第3コイル33を配置した後に第2コイル32を配置できるため、ラジアル磁気軸受20は、複数のコイル30を好適に配置できる。
【0103】
(1-4)第1コイル31及び第2コイル32は、電気的に接続される。この構成によれば、第1コイル31及び第2コイル32が電気的に接続されるため、第1コイル31及び第2コイル32の電磁力を同時に制御できる。制御部18が、第1コイル31及び第2コイル32の電磁力を同時に制御することによって、ラジアル磁気軸受20が、回転体12を好適に支持できる。
【0104】
(1-5)ラジアル磁気軸受20は、絶縁部材85を備える。この構成によれば、所定のスロット60において、第1コイル31及び第2コイル32を好適に絶縁できる。絶縁部材85は、所定のスロット60に第1コイル31の素線30Aが並べられた後に、第2スロット62に配置される。第2コイル32の素線30Aは、第2コイル32の第3部分32Aが第2スロット62の開口から径方向に挿入されることによって、絶縁部材85が配置された第2スロット62に配置される。絶縁部材85によって、第1コイル31と第2コイル32との絶縁状態を好適に維持したまま、第2コイル32の素線30Aを所定のスロット60に好適に配置できる。
【0105】
(1-6)複数のティース50は、コイル巻回部86と、コイル抑制部87と、を有する。周方向におけるコイル抑制部87の寸法Z1は、周方向におけるコイル巻回部86の寸法Z2よりも大きい。この構成によれば、コイル抑制部87によって、ティース50に対する径方向内側へのコイル30の移動を抑制できる。したがって、ラジアル磁気軸受20は、コイル30がティース50から脱落し難い。
【0106】
(1-7)ラジアル磁気軸受20は、コイル位置決部材88を備える。コイル位置決部材88は、径方向において第1コイル31及び第2コイル32よりも内側に位置する。この構成によれば、コイル位置決部材88によって、所定のスロット60において、ティース50に対する径方向内側への第1コイル31及び第2コイル32の移動を規制できる。
【0107】
従来のラジアル磁気軸受20では、コイル30をティース50に巻回する際に、径方向におけるティース50に対するコイル30の移動を規制するために、インシュレータが使用される場合がある。ラジアル磁気軸受20は、インシュレータが無くても、コイル位置決部材88によって径方向におけるティース50に対するコイル30の移動を規制できる。ラジアル磁気軸受20は、インシュレータの構成を省略できるため、製造コストを抑制できる。
【0108】
(1-8)第2コイル32の巻回数は、第1コイル31の巻回数と等しい。この構成によれば、第2コイル32の巻回数が第1コイル31の巻回数と等しいため、ラジアル磁気軸受20の通電時に第1コイル31が発生させる電磁力と、第2コイル32が発生させる電磁力とが等しい。第1コイル31が発生させる電磁力と、第2コイル32が発生させる電磁力とが等しいため、制御部18が、ラジアル磁気軸受20を、回転体12を支持するように好適に制御できる。
【0109】
(1-9)所定のスロット60は、第1領域A1と、第2領域A2と、を有する。径方向において、第2領域A2の寸法X2は、第1領域A1の寸法X1よりも大きい。この構成によれば、第2コイル32の一部分を構成する素線30Aの数を、第1コイル31の一部分を構成する素線30Aの数と同じ数にし易い。所定のスロット60は、径方向外側から径方向内側に向かう程、周方向における幅が小さくなるように構成される。したがってラジアル磁気軸受20は、所定のスロット60の形状に応じて、第1領域A1に配置される素線30Aと第2領域A2に配置される素線30Aを好適に配置できる。
【0110】
(1-10)所定のスロット60は、第1領域A1と、第2領域A2と、を有する。周方向において、第2領域A2の寸法Y2は、第1領域A1の寸法Y1よりも小さい。この構成によれば、第2コイル32の一部分を、周方向における寸法Y2が第1領域A1の寸法Y1よりも小さい第2領域A2に配置できる。
【0111】
(1-11)所定のスロット60は、第1領域A1と、第2領域A2と、を有する。ヨーク40の軸方向から見て、第2領域A2の面積は、第1領域A1の面積と等しい。この構成によれば、第2コイル32の一部分を構成する素線30Aの数を、第1コイル31の一部分を構成する素線30Aの数と同じ数にし易い。
【0112】
(1-12)ラジアル磁気軸受20は、第1追加コイル71と、第2追加コイル72と、を備える。ラジアル磁気軸受20は、第1コイルグループG1と、第2コイルグループG2と、を備える。この構成によれば、第1コイル31と第1追加コイル71とが対向し、第2コイル32と第2追加コイル72とが対向するため、第1コイルグループG1と第2コイルグループG2とが好適に対向できる。第1コイルグループG1と第2コイルグループG2とが対向するため、ラジアル磁気軸受20は、第1コイルグループG1の電磁力と第2コイルグループG2の電磁力とによって、好適に回転体12を非接触に支持できる。
【0113】
(1-13)圧縮機10は、回転体12と、ラジアル磁気軸受20と、を備える。この構成によれば、ラジアル磁気軸受20の占積率が向上することによって、第1コイル31及び第2コイル32が好適に電磁力を発生できるため、ラジアル磁気軸受20が回転体12を好適に非接触で支持できる。回転体12がラジアル磁気軸受20によって非接触で支持されることによって、回転体12が接触して支持される場合よりも回転体12の摩擦損失を大幅に低減できる。回転体12の摩擦損失を低減できるため、圧縮機10は、圧縮機10の高効率化を可能にする。
【0114】
(1-14)冷凍機1は、圧縮機10を備える。この構成によれば、圧縮機10によって好適に冷媒を圧縮できるため、エネルギー効率の低下を抑制できる。
【0115】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態に係る冷凍機1、圧縮機10、及びラジアル磁気軸受20について説明する。本実施形態の冷凍機1、圧縮機10、及びラジアル磁気軸受20において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0116】
図6に示されるように、本実施形態では、素線30Aは、径方向に対して傾斜してティース50に巻回される。本実施形態では、コイル30の素線30Aがスロット60の第1領域A1に配置される場合、コイル30の素線30Aは、スロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に配置される。
【0117】
第1コイル31の第1部分31Aは、スロット60の第2領域A2に配置され、第1コイル31の第2部分31Bは、第1部分31Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第1領域A1に配置される。第1コイル31の第1部分31Aは、第1スロット61の第2領域A2に配置され、第1コイル31の第2部分31Bは、第2スロット62の第1領域A1に配置される。第2コイル32の第3部分32Aは、スロット60の第2領域A2に配置され、第2コイル32の第4部分32Bは、第3部分32Aが配置されるスロット60と隣り合うスロット60の第1領域A1に配置される。第2コイル32の第3部分32Aは、第2スロット62の第2領域A2に配置され、第2コイル32の第4部分32Bは、第3スロット63の第1領域A1に配置される。
【0118】
本実施形態では、第1コイル31の第1部分31Aは、周方向において第2コイル32の第3部分32Aと第2ティース52を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第1コイル31の第2部分31Bは、周方向において第2コイル32の第4部分32Bと第3ティース53を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第2コイル32の第3部分32Aは、周方向において第3コイル33の第5部分33Aと第3ティース53を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第2コイル32の第4部分32Bは、周方向において第3コイル33の第6部分33Bと第4ティース54を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第3コイル33の第5部分33Aは、周方向において第4コイル34の第7部分34Aと第4ティース54を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第3コイル33の第6部分33Bは、周方向において第4コイル34の第8部分34Bと第5ティース55を介して重なる位置に配置される。本実施形態では、第3スロット63において、第5部分33Aは、径方向において第4部分32Bよりも内側に配置される。
【0119】
<コイルの形成方法>
本実施形態におけるコイル30の形成方法を説明する。
本実施形態のコイル30の形成方法は、第1工程、第7工程、第8工程、第9工程、及び第10工程を有する。本実施形態の第1工程は、第1実施形態の第1工程と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0120】
第7工程は、複数のスロット60の第1領域A1に複数のコイル30の一端部が配置される工程である。第7工程において、全てのスロット60の開口に、コイル30の一端部が挿入されることによって、スロット60の第1領域A1にコイル30の一端部が配置される。第7工程では、コイル30の他端部は、スロット60の開口に挿入されない。
【0121】
第8工程は、複数のスロット60の第2領域A2に複数のコイル30の他端部が配置される工程である。第8工程において、スロット60の第1領域A1にコイル30の一端部が配置される状態において、スロット60と隣り合うスロット60の開口に、コイル30の他端部が挿入される。このようにして、コイル30は、スロット60の第1領域A1に一端部が位置し、スロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に他端部が位置するように配置される。
図6の例では、スロット60と隣り合うスロット60は、スロット60と、第1周方向CD1とは反対の方向に隣り合うスロット60である。
【0122】
第9工程は、コイル30を形成する素線30Aがスロット60に並べられることによって、コイル30が再形成される工程である。第9工程において、第1領域A1及び第2領域A2に素線30Aが並べられることによって、スロット60の第1領域A1及び第2領域A2に素線30Aが配置される。
【0123】
第10工程は、複数のコイル30を電気的に接続する工程である。第10工程において、複数のコイル30の素線30Aが、電気的に接続される。
【0124】
<作用>
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のラジアル磁気軸受20では、コイル30の一端部が所定のスロット60の第1領域A1に配置され、コイル30の他端部が所定のスロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に配置される。所定のスロット60において、第2領域A2に配置されるコイル30が、第1領域A1に配置されるコイル30の径方向内側への移動が抑制される。所定のスロット60の第2領域A2に他端部が配置されるコイル30は、所定のスロット60と隣り合うスロット60の第1領域A1に一端部が配置される。所定のスロット60の第2領域A2に他端部が配置されるコイル30は、所定のスロット60と隣り合うスロット60の第2領域A2に配置されるコイル30によって、径方向内側への移動が抑制される。複数のコイル30は、互いに径方向内側への移動を抑制するため、複数のコイル30を複数のティース50に好適に配置できる。
【0125】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(2)複数のティース50は、第5ティース55を有する。複数のスロット60は、ヨーク40、第4ティース54、及び第5ティース55によって囲まれる第4スロット64を有する。ラジアル磁気軸受20は、第4ティース54に巻回される第3コイル33を備える。第3コイル33は、第5部分33A及び第6部分33Bを有する。第3スロット63において、第5部分33Aは、径方向において第4部分32Bよりも内側に配置される。
【0126】
この構成によれば、第2スロット62において、第2コイル32の第3部分32Aが、径方向内側への第1コイル31の第2部分31Bの移動を抑制する。また、第3スロット63において、第3コイル33の第5部分33Aが、径方向内側への第2コイル32の第4部分32Bの移動を抑制する。このように第1コイル31、第2コイル32、及び第3コイル33が配置されることによって、複数のコイル30が、互いに径方向内側への移動を抑制できる。したがって、複数のコイル30が、複数のティース50から脱落し難い。
【0127】
<変形例>
本開示のラジアル磁気軸受、圧縮機、及び冷凍機は、上記各実施形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0128】
・
図7に示されるように、第1実施形態において、複数のコイル30が、第1結線部82、第2結線部83、及び第3結線部84を備えなくてもよい。本変形例では、第1コイル31、第2コイル32、第3コイル33、及び第4コイル34が、1本の素線30Aによって構成される。本変形例のラジアル磁気軸受20は、コイル30の形成方法において第6工程または第10工程を省略できる。
【0129】
・所定のスロット60において第1コイル31と第2コイル32とが絶縁できれば、ラジアル磁気軸受20から絶縁部材85が省略されてもよい。本変形例では、第1領域A1は、例えば、スロット60の径方向において、第1境界面から、ヨーク40の内周面までの領域である。本変形例では、第2領域A2は、例えば、スロット60の径方向において、コイル位置決部材88の外周面から、第1境界面までの領域である。第1境界面は、例えば、スロット60に配置される2個のコイル30の間において、周方向に沿うように設定される仮想面である。
【0130】
・ラジアル磁気軸受20からコイル位置決部材88が省略されてもよい。本変形例では、第2領域A2は、例えば、スロット60の径方向において、第2境界面から、絶縁部材85までの領域である。第2境界面は、例えば、スロット60に配置される2個のコイル30よりも径方向内側において、周方向に沿うように設定される仮想面である。第2境界面は、スロット60の開口よりも径方向外側に配置される。
【0131】
・複数のティース50から、コイル抑制部87が省略されてもよい。
【0132】
・ラジアル磁気軸受20が回転体12を非接触に支持できれば、第2コイル32の巻回数は、第1コイル31の巻回数と異なってもよい。
【0133】
・1つのティース50に複数のコイル30が巻回されてもよい。1つのティース50に2個のコイル30が巻回される場合、第2領域A2は、例えば、第3領域と、第3領域よりも径方向内側に配置される第4領域と、を有してもよい。例えば、第3領域には、1つのティース50に巻回される2個のコイル30の一方が配置され、第4領域には、1つのティース50に巻回される2個のコイル30の他方が配置される。
【0134】
・ラジアル磁気軸受20は、圧縮機10ではない他の装置やシステムに設けられてもよい。圧縮機10ではない他の装置やシステムは、例えば、送風装置、ポンプ装置、スピンドル等である。
【0135】
・圧縮機10は、複数の羽根車13及び複数の羽根車室S1を備えていてもよい。
【0136】
・圧縮機10は、複数のスラスト磁気軸受15を備えていてもよい。
【0137】
・圧縮機10のスラスト磁気軸受15は、電動機室S2の任意の位置に配置されていてもよい。スラスト磁気軸受15は、例えば、回転軸心R1に平行な方向において、第2タッチダウン軸受16Bと第2ラジアル電磁石20Bとの間、第2ラジアル電磁石20Bとモータ14との間、モータ14と第1ラジアル電磁石20Aとの間、第1ラジアル電磁石20Aと第1タッチダウン軸受16Aとの間、または第1タッチダウン軸受16Aと壁部11Aとの間に配置されていてもよい。
【0138】
・圧縮機10は、冷凍機1ではない他の装置やシステムに設けられてもよい。冷凍機1ではない他の装置やシステムは、例えば、空気調和機、ヒートポンプ装置等である。
【0139】
以上、冷凍機、圧縮機、及びラジアル磁気軸受の実施形態及びその変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された冷凍機、圧縮機、及びラジアル磁気軸受の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0140】
A1…第1領域、A2…第2領域、CD1…第1周方向、D1…第1方向、D2…第2方向、G1…第1コイルグループ、G2…第2コイルグループ、1…冷凍機、10…圧縮機、12…回転体、20…ラジアル磁気軸受、30…コイル、31…第1コイル、31A…第1部分、31B…第2部分、32…第2コイル、32A…第3部分、32B…第4部分、33…第3コイル、33A…第5部分、33B…第6部分、40…ヨーク、50…ティース、51…第1ティース、52…第2ティース、53…第3ティース、54…第4ティース、55…第5ティース、60…スロット、61…第1スロット、62…第2スロット、63…第3スロット、64…第4スロット、71…第1追加コイル、72…第2追加コイル、85…絶縁部材、86…コイル巻回部、87…コイル抑制部、88…コイル位置決部材。