(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014536
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】粉掛けシステム
(51)【国際特許分類】
A23P 20/12 20160101AFI20240125BHJP
A21C 9/04 20060101ALI20240125BHJP
A23G 3/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A23P20/12
A21C9/04
A23G3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117439
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】591006391
【氏名又は名称】古河工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】古河 博
【テーマコード(参考)】
4B014
4B031
4B048
【Fターム(参考)】
4B014GP19
4B014GT00
4B031CA20
4B031CB08
4B048PE09
4B048PN07
4B048PN20
4B048PN25
(57)【要約】
【課題】ブラシ車のブラシ毛により粉類を保持させて、上側位置から下側位置に粉類を運び、搬送されている菓子類に粉類をふりかける。
【解決手段】搬送手段4A,4B,4Cによって、菓子類である菓子類が間隔を開けて搬送される菓子類に粉類をふりかける粉掛けシステムである。回転軸2A回りに多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置される円筒状のブラシ部2Bが設けられているブラシ車2と、ブラシ車2が下部出口に設けられ上部投入口3aより粉類が投入されるホッパー3と、ブラシ車2の上側部分に対して設けられブラシ部2Bに一部が挿入され円周方向において粉類が入り込む隙間を形成する補助プレート5と、ブラシ車2の下側部分に対して設けられブラシ部2Bのブラシ毛を円周方向において震わせる軸状部材11とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって、間隔を開けて搬送される菓子類に粉類をふりかける粉掛けシステムであって、
回転軸回りに、可撓性を有する多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置されている円筒状のブラシ部が設けられているブラシ車と、
前記ブラシ車が下部出口に回転可能に設けられ上部投入口より粉類が投入されるホッパーと、
前記ブラシ車の上側部分に対して設けられ前記ブラシ車のブラシ毛に一部が挿入され円周方向において前記粉類が入り込む隙間を形成する補助プレートと、
前記ブラシ車の下側部分に対して設けられ前記ブラシ車のブラシ毛を円周方向において震わせる軸状部材と、を備えることを特徴とする粉掛けシステム。
【請求項2】
前記補助プレートは、前記ブラシ部内への挿入深さを調整可能に設けられている、請求項1記載の粉掛けシステム。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記ホッパーの下側に位置する部分と、その部分の搬送方向前後に位置する2つの部分とを有し、前記ホッパーの下側に位置する部分については、搬送速度を調整可能になっている、請求項1記載の粉掛けシステム。
【請求項4】
前記軸状部材の下側には、前記粉類の落下方向を案内する筒状のガイド部材が設けられている、請求項1記載の粉掛けシステム。
【請求項5】
前記ガイド部材は、搬送方向上流側の第1部材と下流側の第2部材を組み合わせて筒状に形成されるものであり、
前記第1及び第2部材の、搬送方向の間隔が調整可能となっている、請求項4記載の粉掛けシステム。
【請求項6】
前記ガイド部材の上流側に設けられ前記菓子類の通過を検出する検出センサと、
前記検出センサよりの信号を受け、前記菓子類の搬送方向の長さに対応する設定時間だけ前記ブラシ車を回転させる制御手段と、を備える、請求項1記載の粉掛けシステム。
【請求項7】
前記補助プレートの下側部分には、前記ブラシ車の回転により戻ってくる前記粉類の残部が通過可能である開口が、前記ブラシ車の回転軸方向に沿って設けられている、請求項1記載の粉掛けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸回りに円筒状のブラシ部が設けられているブラシ車を利用した粉掛けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシ車のブラシ毛に、ふりかけ用の粉類をフィーダによって供給し、前記ブラシ車のブラシ毛によって粉類をふりかけるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。前記特許文献1に記載のものは、複数のブラシ車を鉛直軸回りに回転して、ブラシ車の回転により粉類を中心側に搬送し中央部分から下方に落下させて、粉類をふりかけるものである。
【0003】
発明者は、回転軸回りに多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置される円筒状のブラシ部が設けられているブラシ車を、水平方向に延びる回転軸回りに回転し、前記ブラシ車のブラシ毛により上側位置で粉類を取り込み、回転により下側位置に運び、粉類を菓子類にふりかける構造にすれば、搬送させている菓子類に対し、粉類のふりかけを効率よく行えることに着想した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ブラシ車の回転によりブラシ毛でもって上側位置から下側位置に粉類を運び、ふりかける構造にする場合、上側位置でブラシ車のブラシ毛の上に粉類を載せるだけでは、上側位置で粉類を取り込んで下側位置に運んで、下側位置で粉類をうまくふりかけることができない。
【0006】
そこで、発明者は、上側位置において前記ブラシ部のブラシ毛を円周方向において拡げ、その拡げた部分(隙間)に粉類を入れるようにすれば、ブラシ毛の可撓性による保持機能により粉類を上側位置から下側位置にうまく運べ、下側位置でブラシ毛を震わせれば、粉類をブラシ毛による保持を解いてふりかけることができることに着想し、本発明をなした。
【0007】
本発明は、ブラシ車のブラシ毛の可撓性を利用して粉類を保持させることで、上側位置から下側位置に粉類を運び、搬送されている菓子類に粉類をふりかける粉掛けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、搬送手段によって、間隔を開けて搬送される菓子類に粉類をふりかける粉掛けシステムであって、回転軸回りに、可撓性を有する多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置されている円筒状のブラシ部が設けられているブラシ車と、前記ブラシ車が下部出口に回転可能に設けられ上部投入口より粉類が投入されるホッパーと、前記ブラシ車の上側部分に対して設けられ前記ブラシ車のブラシ毛に一部が挿入され円周方向において前記粉類が入り込む隙間を形成する補助プレートと、前記ブラシ車の下側部分に対して設けられ前記ブラシ車のブラシ毛を円周方向において震わせる軸状部材と、を備えることを特徴とする。ここで、粉類には、グラニュウ糖、芥子の実、三温糖などが含まれる。「可撓性を有する多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置されている」とは、回転の際にブラシ毛の可撓性によって粉類を保持できる程度に、通常の状態ではブラシ毛がぎっしりと詰まって設けられているという意味である。
【0009】
このようにすれば、上側位置において補助プレートにてブラシ車のブラシ毛を円周方向において拡げ、その拡げた部分に粉類を取り込み、ブラシ毛の保持機能により粉類が上側位置から下側位置に運ばれ、軸状部材にてブラシ車のブラシ毛を円周方向において震わせることで粉類を落下させ、搬送されている菓子類に粉類がふりかけられる。
【0010】
前記補助プレートを、前記ブラシ部内への挿入深さを調整可能に設ければ、粉類の種類に応じて、ブラシ部内への挿入深さを調整でき、ブラシ毛によって保持される粉類の量が調整される。
【0011】
前記搬送手段は、前記ホッパーの下側に位置する部分と、その部分の搬送方向前後に位置する2つの部分とを有し、前記ホッパーの下側に位置する部分については、搬送速度を調整可能になっているようにすれば、粉類の種類に応じて、ホッパーの下側に位置する部分の搬送速度を調整して、粉類のふりかけ具合を無駄のないように調整できる。
【0012】
前記軸状部材の下側には、前記粉類の落下方向を案内する筒状のガイド部材を設ければ、落下の際に粉類が案内され、飛散が防止される。
【0013】
前記ガイド部材は、搬送方向上流側の第1部材と下流側の第2部材を組み合わせて筒状に形成されるものであり、前記第1及び第2部材の、搬送方向の間隔が調整可能となっていれば、粉類の種類・量に応じて、最適の間隔を調整できる。
【0014】
前記ガイド部材の上流側に設けられ前記菓子類の通過を検出する検出センサと、前記検出センサよりの信号を受け、前記菓子類の搬送方向の長さに対応する設定時間だけ前記ブラシ車を回転させる制御手段と、を備えるようにすれば、菓子類の搬送方向の長さに応じて、落下する粉類を調整し、粉類の無駄な落下を回避できる。
【0015】
前記補助プレートの下側部分には、前記ブラシ車の回転により戻ってくる前記粉類の残部が通過可能である開口が、前記ブラシ車の回転軸方向に沿って設ければ、落下することなく戻ってくる粉類を補助プレートの部分で溜まることを回避できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上側位置においてブラシ車のブラシ毛を円周方向において拡げて粉類を入れ、ブラシ毛の保持機能により上側から下側に運び、下側位置においてブラシ車のブラシ毛を円周方向において震わせることで粉類を落下させるので、搬送されている菓子類に上側から粉類をふりかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る粉掛けシステムの一実施の形態を示す概略図である。
【
図2】ブラシ車と補助プレートの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0019】
図1は本発明に係る粉掛けシステムの一実施の形態を示す概略図である。
【0020】
本発明に係る粉掛けシステムは、搬送手段(例えば、ベルトコンベヤ)によって、間隔を開けて搬送される、菓子類に粉類をふりかけるものである。
【0021】
この粉掛けシステム1は、
図1に示すように、回転軸2A回りに、可撓性を有する多数のブラシ毛が半径方向外方に突出するように密に配置される円筒状のブラシ部2Bが設けられているブラシ車2と、ブラシ車2が下部出口に回転可能に設けられ上部投入口3aより粉類が投入されるホッパー3と、ホッパー3の下部に設けられブラシ車2の略下半分を覆う略円筒状の下部カバー3Aとを備える。このシステム1は、後述するように、ブラシ車2を間欠的に回転させながら、ホッパー3内に上側から投入された粉類を、下部カバー3Aの、軸線方向に延びる下部開口3Aaを通じて、搬送手段4A,4B,4Cによって間隔を開けて搬送される菓子類Aに、搬送手段4B上で粉類をふりかけるようになっている。つまり、菓子類Aの搬送に応じて、ブラシ車2を回転する駆動モータ(図示せず)の回転が制御される。
【0022】
ブラシ車2の上側部分に対して、補助プレート5が設けられている。この補助プレート5は、プレートの下側部分が折り曲げられてブラシ車2のブラシ部2B(ブラシ毛)内に挿入され、ブラシ車2の回転により、ブラシ部2Bに円周方向において粉類が入り込む隙間を形成するようになっている。この隙間は、可撓性を有するブラシ毛の変形により補助プレート5の回転方向下流側に形成される。
【0023】
補助プレート5は、ブラシ部2B内への挿入深さを調整可能に設けられ、前記隙間の大きさ(粉類の保持できる量)を適宜変更できるようになっている。
【0024】
補助プレート5の下側部分には、
図2に示すように、粉類が通過可能である開口5aが ブラシ車2の回転軸方向に沿って設けられ、落下することなく回転により戻ってくる粉類が補助プレート5の上流側に溜まらないようにされている。つまり、回転により戻ってくる粉類は、補助プレート5の上流側から、開口5aを通じて、補助プレート5の下流側に移動し、再度下側位置に運ばれる。
【0025】
また、ブラシ車2の下側部分に対して、ブラシ部2Bの軸線方向全長に亘って断面円形状の軸状部材11が設けられ、ブラシ車2の回転の際に、軸状部材11とブラシ部2Bのブラシ毛との接触により、円周方向においてブラシ毛を震わせ、運ばれてきた粉類を落下させるようになっている。なお、軸状部材11は、下部カバー3Aの下部開口3Aaに対応して、回転軸2Aの軸線と平行になるように取り付けられている。これにより、ブラシ車2の外周部分との接触により円周方向においてブラシ毛を震わせるので、運ばれてきた粉類が下部開口3Aaを通じて落下する。
【0026】
このようにすることで、上側位置においてブラシ部2Bのブラシ毛を円周方向において拡げ、その拡げた部分(隙間)に粉類を入れ、ブラシ毛の可撓性による保持機能により粉類を上側位置から下側位置に運び、下側位置でブラシ毛を震わせ、粉類のブラシ毛による保持を解いてふりかけることができる。
【0027】
粉類をふりかける対象となる菓子類を搬送する搬送手段は、ホッパー3の下側に位置する部分4Bと、その部分の前後に位置する2つの部分4A,4Cとを有し、ホッパー3の下側に位置する部分4Bについては、搬送速度を調整可能になっている。これにより、粉類がふりかけられる際の搬送速度を調整できる。
【0028】
軸状部材11の下側には、粉類の落下方向を案内するガイド部材12が設けられている。このガイド部材12は筒状で、このガイド部材12内を、落下する際に粉類が通過することで、ふりかける際の粉類の飛散が防止される。
【0029】
ガイド部材12は、
図3に示すように、上流側の第1部材13と下流側の第2部材14を組み合わせて筒状に形成されるものであり、それらの間隔が調整可能となっている。部材13,14は、それぞれ、筒状を形成する本体部13a,14aと、本体部13a,14aの上部に設けられホッパー3の支持枠(図示せず)の一部である1対のフレーム16,16(開孔16a,16a)に固定される取付部13b,14bとを有し、一方の取付部14bの取付孔14bb(長孔)となっている。この取付孔14bbを利用して、部材13,14の間隔を調整し、ガイド部材12の、粉類が通過する筒状部の、搬送方向における長さを変更できる。
【0030】
また、ガイド部材12の上流側には、菓子類の通過を検出する検出センサ15が設けられ、検出センサ15よりの信号を受け、予め決定されている菓子類の搬送方向の長さに応じた設定時間だけブラシ車2を回転させ、粉類を落下させるように制御手段(図示せず)によって駆動制御される。これにより余分な粉類の落下が回避される。
【0031】
上記システムによれば、ホッパー3内に上側から投入された粉類はホッパー3内に貯留される。菓子類の搬送の際に、菓子類が下方を通過する際、検出センサ15によって検出され、ブラシ車2が回転させる。
【0032】
この回転により、上側位置において、補助プレート5によってブラシ車2のブラシ毛を円周方向において拡げ、その拡げた部分に粉類が入ることになり、ブラシ毛の、可撓性による保持機能により粉類がブラシ毛の間に保持され、その保持状態で回転により上側位置から下側位置に運ばれる。このとき、ブラシ車2が保持している粉類が、ブラシ車2の回転により周囲に飛散するのが下部カバー3Aによって防止される。
【0033】
下側位置になると、ブラシ車2のブラシ毛に軸状部材11が接触することになり、その接触で円周方向においてブラシ毛を震わせ、保持状態を解いて粉類を落下させる。このとき、ガイド部材12によって案内され、搬送されている菓子類(被搬送物)に粉類が効率よく適量がふりかけられる。なお、ブラシ車2の回転時間は、予め測定されている菓子類の搬送方向長さに基づいて設定され、通過している間だけ、粉類が落下するようになっている。
【0034】
検出センサ15により通過が検出されるごとに、前述したような動作が繰り返され、搬送されてくる菓子類に順に粉類がふりかけられる。
【0035】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
(i)
図4に示すよう、補助プレート5Aの下側部分に複数の切欠き溝部Aaを形成し、ブラシ部2に部分的に粉類が保持され、粉類がふりかけられて、菓子類A上に縞模様が形成されるようにすることもできる。
(ii)軸状部材は、断面円形に限らず、断面楕円形、断面三角形、断面多角形などとすることも可能である。ブラシ部2Bのブラシ毛を円周方向において震わせ、粉類を落下させることができる形状・支持構造であれば、特に制限されない。
(iii)ホッパー3内に、粉類の残量を検出するセンサを設け、残量が設定値以下になった場合に警報を発するようにすることも可能である。
(iv)菓子類を、搬送手段4A,4B,4Cによって2列で搬送する場合にも、同様に適用することができる。
(v)ふりかける粉類の種類や、システム1を設置する場所によっては、ブラシ車2の回転による粉類の飛散が少ない場合があるので、そのような場合には、下部カバー3Aを省略することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 粉掛けシステム
2 ブラシ車
2A 回転軸
2B ブラシ部
3 ホッパー
3a 上部投入口
3A 下部カバー
3Aa 下部開口
4A,4B,4C 部分
5 補助プレート
11 軸状部材
12 ガイド部材
15 検出センサ
16 フレーム
16a 開孔
A 菓子類