(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145361
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20241004BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057681
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】今若 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】笠澄 研一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 圭司
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA16
2H199DA26
2H199DA42
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA08
2H249CA22
(57)【要約】
【課題】ホログラム素子から出射される画像光に生じたノイズを目立たないようにすることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、第1ホログラム素子41と、第2ホログラム素子42とを有する導光体30と、導光体30に画像光を出射する画像光出射部50と、を備える。また、第1ホログラム素子41は、導光体30の内部を伝播する画像光を回折した第1画像光を第2ホログラム素子42に向けて出射するための複数の第1セル41aを有する。また、第2ホログラム素子42は、導光体30の内部を伝播する第1画像光を回折した第2画像光を出射するための複数の第2セル42aを有する。そして、複数の第1セル41aの配置は、複数の第2セル42aの配置と異なる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ホログラム素子と、第2ホログラム素子とを有する導光体と、
前記導光体に画像光を出射する画像光出射部と、を備え、
前記第1ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記画像光を回折した第1画像光を前記第2ホログラム素子に向けて出射するための複数の第1セルを有し、
前記第2ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記第1画像光を回折した第2画像光を出射するための複数の第2セルを有し、
前記複数の第1セルの配置は、前記複数の第2セルの配置と異なる
表示装置。
【請求項2】
前記複数の第1セルの大きさと、前記複数の第2セルの大きさとは、それぞれが互いに異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の第2セルの大きさは、前記複数の第1セルの大きさよりも大きい
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の第1セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第2セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の第1セル、及び、前記複数の第2セルのそれぞれは、多角形状をなし、
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルとは同一の形状であり、
前記複数の第1セルのそれぞれにおける第1辺の長さは、前記第1辺に対応した前記複数の第2セルのそれぞれにおける第2辺の長さの整数倍とならない
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1ホログラム素子、及び、前記第2ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1ホログラム素子、及び、前記第2ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる
請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記導光体は、第3ホログラム素子を有し、
前記第1ホログラム素子は、前記画像光出射部が出射した画像光が入射する入射ホログラム素子であり、
前記第2ホログラム素子は、前記第1ホログラム素子が出射した前記第1画像光を回折し、前記第3ホログラム素子に前記第2画像光を出射する折返ホログラム素子であり、
前記第3ホログラム素子は、入射した前記第2画像光を回折し、第3画像光を出射する出射ホログラム素子であり、
前記第3ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記第2画像光を回折した前記第3画像光を出射するための複数の第3セルを有し、
前記複数の第1セルの配置と、前記複数の第2セルの配置と、前記複数の第3セルの配置とは、それぞれが異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の第1セルの大きさと、前記複数の第2セルの大きさと、前記複数の第3セルの大きさとは、それぞれが互いに異なる
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルと、前記複数の第3セルとは、この並び順で次第に大きさが大きくなる
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の第1セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第2セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第3セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である
請求項9又は10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の第1セル、前記複数の第2セル、及び、前記複数の第3セルのそれぞれは、多角形状をなし、
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルと、前記複数の第3セルとは同一の形状であり、
前記複数の第1セルにおける第1辺の長さは、前記第1辺に対応する前記複数の第2セルにおける第2辺の長さの整数倍とならず、
前記複数の第1セルにおける前記第1辺の長さは、前記第1辺に対応する前記複数の第3セルにおける第3辺の長さの整数倍とならず、
前記複数の第2セルにおける前記第2辺の長さは、前記第2辺に対応する前記複数の第3セルにおける前記第3辺の長さの整数倍とならない
請求項9又は10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1ホログラム素子、前記第2ホログラム素子、及び、前記第3ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる
請求項9又は10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1ホログラム素子、前記第2ホログラム素子、及び、前記第3ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる
請求項9又は10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、導光板内に複数のホログラム素子を有するヘッドアップディスプレイ用の導光板が知られている。例えば、特許文献1には、第1導光板及び第2導光板、並びに、第1導光板に設けられた第1偏向ユニット及び第2導光板に設けられた第2偏向ユニットを備えた光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に大面積の偏向ユニット(ホログラム素子)を作製する場合、ホログラム素子を微小な領域に分割し、各領域を順次露光することで、大面積のホログラム素子を得ることができている。このため、特許文献1の光学装置では、ホログラム素子を大面積化する場合、各領域が接する境界線において、光の位相段差及び光強度の揺らぎが生じてしまう。このような、ホログラム素子を用いた場合、ホログラム素子から出射された画像光に線状のノイズが生じてしまうという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、ホログラム素子から出射される画像光に生じたノイズを目立たないようにすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、第1ホログラム素子と、第2ホログラム素子とを有する導光体と、前記導光体に画像光を出射する画像光出射部と、を備え、前記第1ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記画像光を回折した第1画像光を前記第2ホログラム素子に向けて出射するための複数の第1セルを有し、前記第2ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記第1画像光を回折した第2画像光を出射するための複数の第2セルを有し、前記複数の第1セルの配置は、前記複数の第2セルの配置と異なる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の表示装置等によれば、ホログラム素子から出射される画像光に生じたノイズを目立たないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態に係る表示装置が設置される車両の一例を示す模式図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態に係る表示装置及び車両を側方から見た場合を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る表示装置を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る表示装置とホログラム素子のセルとを示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る別のホログラム素子のセルを示す図である。
【
図6】
図6は、ホログラム素子のセルの大きさと、透光部材に投影された虚像との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、比較例のホログラム素子を用いた場合の虚像と、実施の形態に係る表示装置を用いた場合の虚像とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
また、以下の実施の形態において、矩形状、略平行及びX軸方向等の表現を用いている。例えば、矩形状、略平行及びX軸方向は、完全に矩形、平行及びX軸方向であることを意味するだけでなく、実質的に矩形、平行及びX軸方向である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、矩形、平行及びX軸方向は、本開示による効果を奏し得る範囲において矩形、略平行及びX軸方向という意味である。他の「状」、「略」及び「方向」を用いた表現がある場合についても同様である。
【0013】
(実施の形態)
<構成>
まず、
図1A~
図3を用いて、表示装置1の構成について説明する。
図1Aは、実施の形態に係る表示装置1が設置される車両2の一例を示す模式図である。
図1Bは、実施の形態に係る表示装置1及び車両2を側方から見た場合を示す模式図である。
図2は、実施の形態に係る表示装置1を示す斜視図である。
図3は、実施の形態に係る表示装置1を示す図である。
図3の(a)は表示装置1の正面図、
図3の(b)は
図3の(a)のB-B線における表示装置1の断面図、
図3の(c)は
図3の(a)のC-C線における表示装置1の断面図である。
【0014】
図1A及び
図1Bに示すように、表示装置1は、光反射体に画像光を出射させて反射させることで、人の目に画像光を入射させることができる。例えば、表示装置1を車両2に用いた場合、表示装置1は、透光部材としてのフロントウインド3に出射した画像光を反射させることで、人の目に画像光を入射させることができる。この場合、表示装置1が画像光を出射することで、画像光に示される画像を透光部材に投影させることで、画像に対応する虚像を透光部材に表示させることができる。画像光は、画像を示す光であり、フロントウインド3の前方に虚像を表示させる光である。画像は、静止画像又は動画像であり、数字、文字及び図形等を示した画像である。
【0015】
図1B及び
図2に示すように、表示装置1は、画像光出射部50と、導光体30とを備える。
【0016】
画像光出射部50は、導光体30に画像光を出射する画像生成装置である。画像光出射部50が矩形状の画像を示す画像光を出射することで、画像光が導光体30を介してフロントウインド3に投影される。これにより、ユーザに虚像が認識される。
【0017】
このような画像光出射部50は、複数のエミッタと、複数のダイクロイックミラーと、集光レンズと、ミラーと、出射面とを有する。
【0018】
複数のエミッタのそれぞれは、互いに異なり、所定の波長帯域の光である光線を出射する。複数のダイクロイックミラーのそれぞれは、エミッタが出射する光線上に配置され、所定の波長帯域の光線を反射させ、他の波長帯域の光線を透過させることができる。集光レンズは、ダイクロイックミラーを介して出射された光線を複数のミラーに対して集光するレンズである。出射面は、マイクロレンズアレイ等のスクリーン、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の液晶表示素子であり、ミラー側から複数の波長帯域の光線が照射されることで、透過した光を画像光として導光体30へ向けて出射することができる。
【0019】
導光体30は、画像光が示す画像をユーザに表示するホログラム導光板である。導光体30は、光透過性を有し、画像光出射部50が出射した画像光に示される画像をX軸方向及びY軸方向に引き延ばして出射することができる。導光体30は、画像光出射部50及びフロントウインド3と対向するように配置されている。
【0020】
導光体30には、入射面31aと、出射面31bとが形成されている。
【0021】
入射面31aは、画像光出射部50の出射面と対向するように配置されている。入射面31aには、画像光出射部50の出射面から出射された画像光が入射する。入射面31aは、矩形状をなした導光体30の裏面の一部である。裏面は、導光体30の出射面31bと反対側の面である。
【0022】
出射面31bは、入射面31aから入射した画像光であり、導光体30の内部を伝搬した画像光をフロントウインド3に向けて出射する。出射面31bは、フロントウインド3と対向し、フロントウインド3と所定距離離れている。出射面31bは、導光体30の表面の一部である。
【0023】
図3及び
図4に示すように、導光体30は、光透過性を有する導光部31と、複数のホログラム素子40とを有している。
【0024】
導光部31には、画像光出射部50と対向する入射面31aが形成されている。入射面31aは、画像光出射部50と対向する面であり、導光部31の裏面における一部の面である。また、導光部31には、フロントウインド3と対向するように出射面31bが形成されている。出射面31bは導光部31の表面における一部の面である。
【0025】
導光部31は、例えば、ガラス及び樹脂材料等の光透過性を有する材料で構成されている。
【0026】
導光部31の内部には、複数のホログラム素子40が内包されている。
図3に示すように、複数のホログラム素子40は、導光部31の中を伝搬する光を回折して出射する光透過型の光学素子である。複数のホログラム素子40は、導光部31の入射面31a及び出射面31bと略平行な姿勢で、導光部31に内包される。複数のホログラム素子40は、光透過性を有する材料で構成されている。
【0027】
このような複数のホログラム素子40は、第1ホログラム素子41と、第2ホログラム素子42と、第3ホログラム素子43とを含んでいる。
【0028】
第1ホログラム素子41及び第2ホログラム素子42は、X軸方向に沿って並んで配置されている。第2ホログラム素子42及び第3ホログラム素子43は、Y軸方向に沿って並んで配置されている。また、第1ホログラム素子41は、Z軸方向に沿って見た場合に導光体30の入射面31aと重なり、かつ、導光体30のZ軸マイナス方向側に配置された画像光出射部50の出射面と重なるように配置されている。
【0029】
第1ホログラム素子41は、画像光出射部50が出射した画像光が入射する入射ホログラム素子である。第1ホログラム素子41は、画像光出射部50の出射面から出射されたZ軸プラス方向に沿って進む画像光が入射し、入射した画像光を第2ホログラム素子42へ向けて出射する。具体的には、第1ホログラム素子41は、画像光出射部50の画像光であって、入射面31aから入射した画像光を偏向させた第1画像光(偏向光)を第2ホログラム素子42に向けて出射する。より具体的には、第1ホログラム素子41は、導光体30に入射した画像光が導光体30内を伝搬する際に、第1ホログラム素子41の回折効率に応じて画像光を回折によって偏向することで、X軸プラス方向に沿って伝搬する第1画像光として出射する。第1ホログラム素子41で回折によって偏向された第1画像光は、第2ホログラム素子42に入射する。
【0030】
第2ホログラム素子42は、第1ホログラム素子41のX軸プラス方向側であり、第1ホログラム素子41の光出射側に配置され、かつ、第3ホログラム素子43のY軸プラス方向側であり、第3ホログラム素子43の光入射側に配置されている。
【0031】
第2ホログラム素子42は、X軸方向に沿って長尺であり、第1ホログラム素子41が出射した第1画像光を回折し、第3ホログラム素子43に第2画像光を出射する折返ホログラム素子である。
【0032】
第2ホログラム素子42には、第1ホログラム素子41から出射された第1画像光が入射する。第2ホログラム素子42は、第1ホログラム素子41が回折によって偏向した第1画像光をさらに回折によって偏向することで、偏向させた第2画像光(偏向光)を出射する。具体的には、第2ホログラム素子42は、第1ホログラム素子41を透過した第1画像光が入射(透過)するたびに、入射した第1画像光をさらに回折によって偏向させた第2画像光を第3ホログラム素子43に向けて出射する。より具体的には、第2ホログラム素子42は、第2ホログラム素子42に入射した第1画像光がX軸プラス方向に沿って導光体30内を伝搬する際に、第2ホログラム素子42の回折効率に応じて第1画像光をさらに回折によって偏向する。このとき、第2ホログラム素子42は、第1画像光の画像をX軸方向に沿って引き延ばす。これにより、第2ホログラム素子42は、X軸方向に沿って引き延ばされた第2画像光をY軸マイナス方向に沿って出射する。第2ホログラム素子42で回折によって偏向された第2画像光は、第3ホログラム素子43に入射する。
【0033】
第3ホログラム素子43は、第2ホログラム素子42よりも、Y軸マイナス方向側であり、第2ホログラム素子42の光出射側に配置されている。また、第3ホログラム素子43は、導光体30の出射面31bと重なりかつ対向するように配置されている。
【0034】
第3ホログラム素子43は、Z軸方向に沿って見た場合に矩形状をなした出射ホログラム素子である。
【0035】
第3ホログラム素子43には、第2ホログラム素子42から出射された第2画像光が入射する。第3ホログラム素子43は、第2ホログラム素子42が回折によって偏向した第2画像光をさらに回折によって偏向することで、偏向させた第3画像光(偏向光)を導光体30の外部へ出射する。具体的には、第3ホログラム素子43は、第2ホログラム素子42を透過した第2画像光が入射(透過)するたびに、入射した第2画像光をさらに回折によって偏向させた第3画像光を所定の出射角をもって出射する。より具体的には、第3ホログラム素子43は、第2ホログラム素子42が回折によって偏向した第2画像光がY軸マイナス方向に沿って導光体30内を伝搬する際に、第3ホログラム素子43の回折効率に応じて第2画像光をさらに回折によって偏向する。このとき、第3ホログラム素子43は、X軸方向に沿って引き延ばされた第2画像光の画像をさらに略Y軸方向に沿って引き延ばす。これにより、第3ホログラム素子43は、X軸方向及び略Y軸方向に沿って引き延ばされた第3画像光を、所定の出射角をもって導光体30の外部へ出射させる。つまり、第3ホログラム素子43は、第2ホログラム素子42が出射した第2画像光をさらに略Y軸方向に引き延ばすことで、X軸方向及びY軸方向に拡大した第3画像光を所定の出射角をもって出射する。本実施の形態では、第3ホログラム素子43は、第3画像光をフロントウインド3に向くようにZ軸プラス方向に出射する。
【0036】
ここで、所定の出射角は、第3ホログラム素子43の出射面から出射される第3画像光の出射角であり、第3ホログラム素子43の出射面の法線に対して出射する光の角度である。
【0037】
また、第3ホログラム素子43は、第3画像光の出射角が異なるように、出射する第3画像光を発散させてもよい。第3ホログラム素子43は、入射する第2画像光を回折によって偏向させる際に、第3ホログラム素子43上の位置(部分)によって出射角を異ならせてもよい。これにより、第3ホログラム素子43は、第3ホログラム素子43が回折によって偏向した第3画像光のうちの一部の第3画像光の出射角をそれぞれ異ならせることができる。
【0038】
次に、
図4及び
図5を用いて、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42、及び第3ホログラム素子43の具体的な構成について説明する。
【0039】
図4は、実施の形態に係る表示装置1とホログラム素子40のセルとを示す図である。
図5は、実施の形態に係る別のホログラム素子のセルを示す図である。
【0040】
図4に示すように、第1ホログラム素子41は、導光体30の内部を伝播する画像光を回折して偏向した第1画像光を第2ホログラム素子42に向けて出射するための複数の第1セル41aを有している。第2ホログラム素子42は、導光体30の内部を伝播する第1画像光を回折して偏向した第2画像光を出射するための複数の第2セル42aを有している。第3ホログラム素子43は、導光体30の内部を伝播する第2画像光を回折して偏向した第3画像光を出射するための複数の第3セル43aを有している。
【0041】
本実施の形態では、複数の第1セル41aのそれぞれは同一の大きさ及び形状であり、複数の第2セル42aのそれぞれは同一の大きさ及び形状であり、複数の第3セル43aのそれぞれは同一の大きさ及び形状である。また、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aと、複数の第3セル43aとは同一の形状である。また、複数の第1セル41a、複数の第2セル42a、及び、複数の第3セル43aのそれぞれは、多角形状をなしている。
図4では、複数の第1セル41a、複数の第2セル42a、及び、複数の第3セル43aのそれぞれが略矩形状をなしている場合を例示している。
【0042】
複数の第1セル41aの配置と、複数の第2セル42aの配置と、複数の第3セル43aの配置とは、それぞれが異なっている。なお、複数の第1セル41aの配置と、複数の第2セル42aの配置と、複数の第3セル43aの配置との3つのうちの、2つが異なるだけでもよい。配置が異なるとは、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aと、複数の第3セル43aとの配列又は位置が異なることであり、各ホログラム素子40を重ねて見た場合に、隣り合う2つのセルが接する境界が各ホログラム素子40ごとに異なること意味する。
【0043】
複数の第1セル41aと複数の第2セル42aと複数の第3セル43aとの配置をそれぞれが異ならせる場合、以下の例示を用いることができる。
【0044】
例えば、複数の第1セル41aの大きさと、複数の第2セル42aの大きさと、複数の第3セル43aの大きさとは、それぞれが互いに異なっていてもよい。なお、複数の第1セル41aの大きさと、複数の第2セル42aの大きさと、複数の第3セル43aの大きさとの3つのうちの、2つが異なっているだけでもよい。
【0045】
例えば、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aと、複数の第3セル43aとは、この並び順で次第に大きさが大きくなってもよい。つまり、画像光出射部50が出射した画像光が入射する入射側に近いホログラム素子ほど、セルの大きさが小さくなってもよい。なお、複数の第1セル41aの大きさが、複数の第2セル42aの大きさ、又は、複数の第3セル43aの大きさよりも小さいだけでもよく、複数の第2セル42aの大きさが、複数の第3セル43aの大きさよりも小さいだけでもよい。
【0046】
例えば、複数の第1セル41aにおける第1辺の長さ(h1、w1)は、第1辺に対応する複数の第2セル42aにおける第2辺の長さ(h2、w2)の整数倍とならなくてもよい。また、複数の第1セル41aにおける第1辺の長さ(h1、w1)は、第1辺に対応する複数の第3セル43aにおける第3辺の長さ(h3、w3)の整数倍とならなくてもよい。つまり、h1≠n*h2、h2≠n*h3、h1≠n*h3、w1≠m*w2、w2≠m*w3、w1≠m*w3を満たす。ここで、n、mは、自然数である。また、複数の第2セル42aにおける第2辺の長さ(h2、w2)は、第2辺に対応する複数の第3セル43aにおける第3辺の長さ(h3、w3)の整数倍とならなくてもよい。これにより、複数の第1セル41aの大きさと、複数の第2セル42aの大きさと、複数の第3セル43aの大きさとを異ならせることができる。
【0047】
例えば、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42、及び、第3ホログラム素子43のうちの少なくとも1以上のホログラム素子において、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれていてもよい。複数の第1セル41aにおいて、大きさの異なる2種類以上の第1セル41aが含まれていてもよい。また、複数の第2セル42aにおいて、大きさの異なる2種類以上の第2セル42aが含まれていてもよい。また、複数の第3セル43aにおいて、大きさの異なる2種類以上の第3セル43aが含まれていてもよい。例えば、
図5の(a)、(b)に示すように、大きい矩形のセルと小さい矩形のセルとを組み合わせることで、ホログラム素子を構成してもよい。
【0048】
例えば、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42、及び、第3ホログラム素子43のうちの少なくとも1以上のホログラム素子において、形状の異なる2種類以上のセルが含まれていてもよい。つまり、複数の第1セル41aにおいて、形状の異なる2種類以上の第1セル41aが含まれていてもよい。また、複数の第2セル42aにおいて、形状の異なる2種類以上の第2セル42aが含まれていてもよい。また、複数の第3セル43aにおいて、形状の異なる2種類以上の第3セル43aが含まれていてもよい。例えば、正方形のセルと長方形のセルとを組み合わせることで、ホログラム素子を構成してもよい。
【0049】
このような構成のため、複数の第1セル41aの配置と、複数の第2セル42aの配置と、複数の第3セル43aの配置とをそれぞれ異ならせることができる。このため、出射面31bから出射された第3画像光において、複数の第1セル41aのうちの隣り合う2つの第1セル41aが接する境界で発生した第1画像光内のノイズと、複数の第2セル42aのうちの隣り合う2つの第2セル42aが接する境界で発生した第2画像光内のノイズと、複数の第3セル43aのうちの隣り合う2つの第3セル43aが接する境界で発生した第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。
【0050】
次に、
図6及び
図7を用いて虚像の見え方について説明する。
【0051】
図6は、ホログラム素子のセルの大きさと、透光部材に投影された虚像との関係を示す図である。
図7は、比較例のホログラム素子を用いた場合の虚像と、実施の形態に係る表示装置1を用いた場合の虚像とを示す図である。
図7の(a)では、比較例としての、第1ホログラム素子、第2ホログラム素子及び第3ホログラム素子を用いた場合に、透光部材に投影される虚像の見え方を示している。
図7の(b)では、実施の形態に係る表示装置1の第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42及び第3ホログラム素子43を用いた場合に、透光部材に投影される虚像の見え方を示している。
【0052】
図6の(a)、(b)に示すように、セルの大きさが異なると、透光部材に投影される虚像の見え方が異なることが判っている。
【0053】
例えば、
図6の(a)ではホログラム素子にセルサイズが大きいセルを使用しており、
図6の(b)ではホログラム素子にセルサイズが小さいセルを使用している場合を例示している。
【0054】
図6の(a)のセルサイズが大きい複数のセルで構成されたホログラム素子を用いた表示装置では、透光部材に虚像が投影されると、黒色の目的像と、目的像の周辺に見えるように、ドットのハッチングで示した複数のノイズである多重像とが透光部材に表示されてしまう。
【0055】
図6の(b)のセルサイズが小さい複数のセルで構成されたホログラム素子を用いた表示装置では、透光部材に虚像が投影されると、黒色の目的像と、目的像から遠くに見えるように、ドットのハッチングで示した複数のノイズが透光部材に表示されてしまう。
【0056】
このように、セルのサイズによってノイズの見え方が異なる。
【0057】
図7の(a)では、第1ホログラム素子、第2ホログラム素子及び第3ホログラム素子のそれぞれのセルが同一の配置となるように構成されている。この場合、第1ホログラム素子から出射された第1画像光には、目的像1とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ1とから構成される観察像1が示される。また、第2ホログラム素子から出射された第2画像光には、目的像2とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ2とから構成される観察像2が示される。また、第3ホログラム素子から出射された第3画像光には、目的像3とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ3とから構成される観察像3が示される。ノイズ1~3は、目的像1~3に対してそれぞれが同じ位置に形成されている。このため、透光部材に投影される虚像には、それぞれの観察像1~3が1つに重なった目的像と、低輝度のノイズ1~3が1つに重なった、ドットのハッチングで示すノイズが示される。この場合、透光部材に投影された虚像のノイズは、高輝度となり、目的像との区別がつき難くなり、目的像の視認性を損ねてしまう恐れがある。
【0058】
図7の(b)では、ノイズが重ならないように、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42及び第3ホログラム素子43のそれぞれにおける、複数の第1セル41aの配置と、複数の第2セル42aの配置と、複数の第3セル43aの配置とをそれぞれ異ならせている。この場合、第1ホログラム素子41から出射された第1画像光には、目的像1とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ1とから構成される観察像1が示される。また、第2ホログラム素子42から出射された第2画像光には、目的像2とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ2とから構成される観察像2が示される。また、第3ホログラム素子43から出射された第3画像光には、目的像3とドットのハッチングで示す低輝度のノイズ3とから構成される観察像3が示される。ノイズ1~3は、目的像1~3に対してそれぞれが異なる位置に形成されている。このため、透光部材に投影される虚像には、それぞれの観察像1~3が1つに重なった目的像と、バラバラに配置されたノイズ1~3が示される。この場合、透光部材に投影された虚像のノイズ1~3は殆ど重なっていないため、低輝度のノイズ1~3が目的像の周辺に薄っすらと形成されるだけであり、目的像を正しく認識することができ、目的像の視認性を損ね難くなっている。
【0059】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示装置1の作用効果について説明する。
【0060】
上述したように、本実施の形態に係る表示装置1は、第1ホログラム素子41と、第2ホログラム素子42とを有する導光体30と、導光体30に画像光を出射する画像光出射部50と、を備える。また、第1ホログラム素子41は、導光体30の内部を伝播する画像光を回折した第1画像光を第2ホログラム素子42に向けて出射するための複数の第1セル41aを有する。また、第2ホログラム素子42は、導光体30の内部を伝播する第1画像光を回折した第2画像光を出射するための複数の第2セル42aを有する。そして、複数の第1セル41aの配置は、複数の第2セル42aの配置と異なる。
【0061】
従来では、第1ホログラム素子における複数の第1セルの配置と、第2ホログラム素子における複数の第2セルの配置とが同一のため、隣り合う2つの第1セルが接する境界で発生した画像光と、隣り合う2つの第2セルが接する境界で発生した画像光との位相段差及び強度の揺らぎによるノイズが重ね合ってしまうことがある。この場合、表示装置が表示媒体に画像光を投影した場合、高輝度のノイズが投影されてしまうことがある。
【0062】
そこで、本実施の形態によれば、第1ホログラム素子41における複数の第1セル41aの配置と、第2ホログラム素子42における複数の第2セル42aの配置が異なるため、複数の第1セル41aのうちの隣り合う2つの第1セル41aが接する境界で発生した第1画像光内のノイズと、複数の第2セル42aのうちの隣り合う2つの第2セル42aが接する境界で発生した第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。つまり、第1ホログラム素子41が出射した第1画像光と、第2ホログラム素子42が出射した第2画像光とにおける位相段差及び強度の揺らぎによるノイズが重ね合い難くなる。
【0063】
したがって、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41aの大きさと、複数の第2セル42aの大きさとは、それぞれが互いに異なる。
【0065】
これによれば、第1ホログラム素子41を構成する隣り合う2つの第1セル41aが接する境界で発生した第1画像光内のノイズと、第2ホログラム素子42を構成する隣り合う2つの第2セル42aが接する境界で発生した第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第2セル42aの大きさは、複数の第1セル41aの大きさよりも大きい。
【0067】
これによれば、第2ホログラム素子42を製造する際に、露光に要する時間の増大を抑制することができる。特に、本実施の形態では、第2ホログラム素子42が第1ホログラム素子41よりも大きいため、第2ホログラム素子42の製造時間が増大することを抑制することができる。
【0068】
また、複数の第2セル42aの大きさが複数の第1セル41aの大きさよりも大きいため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41aのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である。そして、複数の第2セル42aのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である。
【0070】
これによれば、第1ホログラム素子41を構成する複数の第1セル41aのそれぞれを同一の大きさ及び形状にすることができるため、第1ホログラム素子41を容易に製造することができる。また、第2ホログラム素子42を構成する複数の第2セル42aのそれぞれを同一の大きさ及び形状にすることができるため、第2ホログラム素子42も容易に製造することができる。
【0071】
また、複数の第1セル41aの大きさと複数の第2セル42aの大きさとが異なるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41a、及び、複数の第2セル42aのそれぞれは、多角形状をなしている。また、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aとは同一の形状である。そして、複数の第1セル41aのそれぞれにおける第1辺の長さは、第1辺に対応した複数の第2セル42aのそれぞれにおける第2辺の長さの整数倍とならない。
【0073】
このように、第1辺の長さと第2辺の長さとが整数倍とならないようにすることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0074】
また、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置とが異なるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1ホログラム素子41、及び、第2ホログラム素子42のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる。
【0076】
このように、大きさの異なる2種類以上のセルを用いることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0077】
また、1以上のホログラム素子に大きさの異なる2種類以上のセルが含まれるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1ホログラム素子41、及び、第2ホログラム素子42のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる。
【0079】
このように、形状の異なる2種類以上のセルを用いることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0080】
また、1以上のホログラム素子に形状の異なる2種類以上のセルが含まれるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、導光体30は、第3ホログラム素子43を有する。また、第1ホログラム素子41は、画像光出射部50が出射した画像光が入射する入射ホログラム素子である。また、第2ホログラム素子42は、第1ホログラム素子41が出射した第1画像光を回折し、第3ホログラム素子43に第2画像光を出射する折返ホログラム素子である。また、第3ホログラム素子43は、入射した第2画像光を回折し、第3画像光を出射する出射ホログラム素子である。また、第3ホログラム素子43は、導光体30の内部を伝播する第2画像光を回折した第3画像光を出射するための複数の第3セル43aを有する。そして、複数の第1セル41aの配置と、複数の第2セル42aの配置と、複数の第3セル43aの配置とは、それぞれが異なる。
【0082】
これによれば、第1ホログラム素子41における複数の第1セル41aの配置と、第2ホログラム素子42における複数の第2セル42aの配置と、第3ホログラム素子43における複数の第3セル43aの配置とが異なる。このため、複数の第1セル41aのうちの隣り合う2つの第1セル41aが接する境界で発生した第1画像光内のノイズと、複数の第2セル42aのうちの隣り合う2つの第2セル42aが接する境界で発生した第2画像光内のノイズと、複数の第3セル43aのうちの隣り合う2つの第3セル43aが接する境界で発生した第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。つまり、第1ホログラム素子41が出射した第1画像光と、第2ホログラム素子42が出射した第2画像光と、第3ホログラム素子43が出射した第3画像光とにおける位相段差及び強度の揺らぎによるノイズが重ね合い難くなる。
【0083】
したがって、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41aの大きさと、複数の第2セル42aの大きさと、複数の第3セル43aの大きさとは、それぞれが互いに異なる。
【0085】
これによれば、第1ホログラム素子41を構成する隣り合う2つの第1セル41aが接する境界で発生した第1画像光内のノイズと、第2ホログラム素子42を構成する隣り合う2つの第2セル42aが接する境界で発生した第2画像光内のノイズと、第3ホログラム素子43を構成する隣り合う2つの第3セル43aが接する境界で発生した第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aと、複数の第3セル43aとは、この並び順で次第に大きさが大きくなる。
【0087】
これによれば、第2ホログラム素子42及び第3ホログラム素子43を製造する際に、露光に要する時間の増大を抑制することができる。特に、本実施の形態では、第2ホログラム素子42が第1ホログラム素子41よりも大きいため、第2ホログラム素子42の製造時間が増大すること、第3ホログラム素子43が第2ホログラム素子42及び第1ホログラム素子41よりも大きいため、第3ホログラム素子43の製造時間が増大することを抑制することができる。
【0088】
また、複数の第1セル41a、複数の第2セル42a、及び複数の第3セル43aの並びの順で次第に大きくなるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズと第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41aのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である。また、複数の第2セル42aのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である。そして、複数の第3セル43aのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である。
【0090】
これによれば、第1ホログラム素子41を構成する複数の第1セル41aのそれぞれを同一の大きさ及び形状にすることができるため、第1ホログラム素子41を容易に製造することができる。また、第2ホログラム素子42を構成する複数の第2セル42aのそれぞれを同一の大きさ及び形状にすることができるため、第2ホログラム素子42も容易に製造することができる。また、第3ホログラム素子43を構成する複数の第3セル43aのそれぞれを同一の大きさ及び形状にすることができるため、第3ホログラム素子43も容易に製造することができる。
【0091】
また、複数の第1セル41aの大きさと複数の第2セル42aの大きさと複数の第3セル43aの大きさとが異なるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズと第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0092】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の第1セル41a、複数の第2セル42a、及び、複数の第3セル43aのそれぞれは、多角形状をなす。また、複数の第1セル41aと、複数の第2セル42aと、複数の第3セル43aとは同一の形状である。また、複数の第1セル41aにおける第1辺の長さ(h1、w1)は、第1辺に対応する複数の第2セル42aにおける第2辺の長さ(h2、w2)の整数倍とならない。また、複数の第1セル41aにおける第1辺の長さ(h1、w1)は、第1辺に対応する複数の第3セル43aにおける第3辺の長さ(h3、w3)の整数倍とならない。そして、複数の第2セル42aにおける第2辺の長さ(h2、w2)は、第2辺に対応する複数の第3セル43aにおける第3辺の長さ(h3、w3)の整数倍とならない。
【0093】
このように、第1辺の長さと第2辺の長さと第3辺の長さとが整数倍とならないようにすることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置と複数の第3セル43aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0094】
また、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置と複数の第3セル43aの配置とが異なるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズと第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0095】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42、及び、第3ホログラム素子43のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる。
【0096】
このように、大きさの異なる2種類以上のセルを用いることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置と複数の第3セル43aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0097】
また、1以上のホログラム素子に大きさの異なる2種類以上のセルが含まれるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズと第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0098】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1ホログラム素子41、第2ホログラム素子42、及び、第3ホログラム素子43のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる。
【0099】
このように、形状の異なる2種類以上のセルを用いることで、複数の第1セル41aの配置と複数の第2セル42aの配置と複数の第3セル43aの配置とを容易に異ならせることができる。
【0100】
また、1以上のホログラム素子に形状の異なる2種類以上のセルが含まれるため、第1画像光内のノイズと第2画像光内のノイズと第3画像光内のノイズとが重なり合い難くなる。このため、表示装置1は、ノイズを目立たないようにした画像光を出射することができる。
【0101】
(他の実施の形態等)
以上、本開示に係る表示装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0102】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0103】
(付記1)
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した表示装置の特徴を示す。
【0104】
<技術1>
第1ホログラム素子と、第2ホログラム素子とを有する導光体と、
前記導光体に画像光を出射する画像光出射部と、を備え、
前記第1ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記画像光を回折した第1画像光を前記第2ホログラム素子に向けて出射するための複数の第1セルを有し、
前記第2ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記第1画像光を回折した第2画像光を出射するための複数の第2セルを有し、
前記複数の第1セルの配置は、前記複数の第2セルの配置と異なる
表示装置。
【0105】
<技術2>
前記複数の第1セルの大きさと、前記複数の第2セルの大きさとは、それぞれが互いに異なる
技術1に記載の表示装置。
【0106】
<技術3>
前記複数の第2セルの大きさは、前記複数の第1セルの大きさよりも大きい
技術2に記載の表示装置。
【0107】
<技術4>
前記複数の第1セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第2セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である
技術2又は3に記載の表示装置。
【0108】
<技術5>
前記複数の第1セル、及び、前記複数の第2セルのそれぞれは、多角形状をなし、
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルとは同一の形状であり、
前記複数の第1セルのそれぞれにおける第1辺の長さは、前記第1辺に対応した前記複数の第2セルのそれぞれにおける第2辺の長さの整数倍とならない
技術2~4のいずれか1つに記載の表示装置。
【0109】
<技術6>
前記第1ホログラム素子、及び、前記第2ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる
技術2~5のいずれか1つに記載の表示装置。
【0110】
<技術7>
前記第1ホログラム素子、及び、前記第2ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる
技術2~6のいずれか1つに記載の表示装置。
【0111】
<技術8>
前記導光体は、第3ホログラム素子を有し、
前記第1ホログラム素子は、前記画像光出射部が出射した画像光が入射する入射ホログラム素子であり、
前記第2ホログラム素子は、前記第1ホログラム素子が出射した前記第1画像光を回折し、前記第3ホログラム素子に前記第2画像光を出射する折返ホログラム素子であり、
前記第3ホログラム素子は、入射した前記第2画像光を回折し、第3画像光を出射する出射ホログラム素子であり、
前記第3ホログラム素子は、前記導光体の内部を伝播する前記第2画像光を回折した前記第3画像光を出射するための複数の第3セルを有し、
前記複数の第1セルの配置と、前記複数の第2セルの配置と、前記複数の第3セルの配置とは、それぞれが異なる
技術1に記載の表示装置。
【0112】
<技術9>
前記複数の第1セルの大きさと、前記複数の第2セルの大きさと、前記複数の第3セルの大きさとは、それぞれが互いに異なる
技術8に記載の表示装置。
【0113】
<技術10>
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルと、前記複数の第3セルとは、この並び順で次第に大きさが大きくなる
技術9に記載の表示装置。
【0114】
<技術11>
前記複数の第1セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第2セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状であり、
前記複数の第3セルのそれぞれは、同一の大きさ及び形状である
技術9又は10に記載の表示装置。
【0115】
<技術12>
前記複数の第1セル、前記複数の第2セル、及び、前記複数の第3セルのそれぞれは、多角形状をなし、
前記複数の第1セルと、前記複数の第2セルと、前記複数の第3セルとは同一の形状であり、
前記複数の第1セルにおける第1辺の長さは、前記第1辺に対応する前記複数の第2セルにおける第2辺の長さの整数倍とならず、
前記複数の第1セルにおける前記第1辺の長さは、前記第1辺に対応する前記複数の第3セルにおける第3辺の長さの整数倍とならず、
前記複数の第2セルにおける前記第2辺の長さは、前記第2辺に対応する前記複数の第3セルにおける前記第3辺の長さの整数倍とならない
技術9~11のいずれか1つに記載の表示装置。
【0116】
<技術13>
前記第1ホログラム素子、前記第2ホログラム素子、及び、前記第3ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、大きさの異なる2種類以上のセルが含まれる
技術9~12のいずれか1つに記載の表示装置。
【0117】
<技術14>
前記第1ホログラム素子、前記第2ホログラム素子、及び、前記第3ホログラム素子のうちの少なくとも1以上のホログラム素子には、形状の異なる2種類以上のセルが含まれる
技術9~13のいずれか1つに記載の表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示は、車両のヘッドアップディスプレイ装置等の表示装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 表示装置
30 導光体
41 第1ホログラム素子
41a 第1セル
42a 第2セル
42 第2ホログラム素子
43 第3ホログラム素子
43a 第3セル
50 画像光出射部