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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145365
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20241004BHJP
   A61B 5/0285 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/0285 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057686
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】高橋 諒太
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AC21
4C017AC28
4C038KK07
4C038KL05
4C038KL07
4C038KY00
(57)【要約】
【課題】 使用者の体内水分バランス状態の評価結果を提供することができるトイレシステムにおいて、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができるトイレシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、を備え、前記体内水分バランス評価部は、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価するようになっていることを特徴とするトイレシステムである。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、
前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、
を備え、
前記体内水分バランス評価部は、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価するようになっている
ことを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
前記所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が一旦安定状態になった、という条件である
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件である
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記所定の条件とは、前記使用者が前記便座に所定の着座時間を超えて着座していて、且つ、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件である
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記体内水分バランス状態とは、前記使用者の前記血流情報の変化と相関する、血液中の水分量、及び/または、血液中の電解質濃度、に関する状態である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項6】
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、過去において評価された体内水分バランス状態と、の比較結果を出力可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のトイレシステム。
【請求項7】
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、所定の閾値と、の比較結果を出力可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のトイレシステム。
【請求項8】
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部が前記所定の条件を満たす時間帯について前記所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価しない場合には、前記使用者の体内水分バランス状態を出力しない
ことを特徴とする請求項5に記載のトイレシステム。
【請求項9】
前記測定センサは、前記便座に設けられ、前記使用者の脚部に向けて光を照射して反射光を検知する光学センサである
ことを特徴とする請求項5に記載のトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の健康指標の1つとして、体内水分バランス状態の評価結果、を提供することができるトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、便座に着座したトイレの使用者の血流情報を測定し、当該測定結果に基づいて健康指標を算出して出力する(例えば表示端末に表示させる)システムを開示している。
【0003】
特許文献2は、2箇所の部位の血流量を同時に計測することで、事前のキャリブレーションを必要とせずに、人の体調を推定することができるシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-68396号公報
【特許文献2】特開2017-99846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、便座に着座したトイレの使用者の血流状態から、当該使用者の複数の健康指標を算出(判定、診断)することができる。
【0006】
具体的には、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)に基づいて、使用者の太腿部裏側の皮膚内の血流状態を測定できるレーザセンサを便座に取り付け、当該レーザセンサの出力信号にフーリエ変換等を施すことによって、脈波、血流量、心拍数、等の複数の健康指標を算出することができる。
【0007】
図6は、レーザセンサの出力信号の一例である。これは、レーザドップラー血流計測法による信号であって、皮膚血液灌流(末梢血流)の振動を示している。
【0008】
図7は、図6のような信号をウェーブレット変換したグラフの一例である。周波数領域A(0.0095~0.021Hz)に、血管内皮の神経原性活動が現われ、周波数領域B(0.021~0.052Hz)に、血管壁の神経原性活動が現われ、周波数領域C(0.052~0.145Hz)に、血管平滑筋の神経原性活動が現われ、周波数領域D(0.145~0.6Hz)に、呼吸活動が現われ、周波数領域E(0.6~2Hz)に、心拍活動が現われる。
【0009】
ここで、ある程度の正確性(信頼性)を伴う健康指標を算出するために必要とされるレーザセンサの出力信号の量、すなわち、レーザセンサによる測定時間は、健康指標毎に異なる。
【0010】
例えば、「心拍数」については、10秒(の測定時間)に対応する出力波形信号から、ある程度の正確性(信頼性)を伴う算出値を得ることができる。一方、「血管年齢」や「ストレス状態(リラックスレベル)」についてある程度の正確性(信頼性)を伴う算出値を得るためには、30秒~60秒(の測定時間)に対応する出力波形信号を用いることが要求される。
【0011】
本発明は、種々の健康指標の内、体内水分バランス状態に着目する。体内水分バランス状態とは、血液中の水分量、及び/または、血液中の電解質濃度、に関する状態(指標)である。それらは、それぞれ、呼吸や心拍に関する血液情報信号及びその変化(ターゲットの複数の周波数成分の信号強度及びその変化)と相関する。従って、当該信号強度及びその変化に基づいて、体内水分バランス状態(血液中の水分及び/または電解質の濃度)を推定して評価することができる。
【0012】
そして、本件発明者は、このような体内水分バランス状態を評価する際に、所定の条件を満たす時間帯の測定結果を所定の合計時間に至るまで集積させて活用することが、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した結果の提供につながることを知見した。
【0013】
より具体的には、当該所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が一旦安定状態になった、という条件であり得る(この場合、一旦安定状態になってから所定の合計時間に至るまで連続する時間帯の測定データが活用され得る)。
【0014】
あるいは、当該所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件であり得る(この場合、安定状態を維持している時間帯の測定データが所定の合計時間に至るまで集積されて(不連続の場合、繋ぎ合わされて)活用され得る)。
【0015】
あるいは、当該所定の条件とは、前記使用者が前記便座に所定の着座時間を超えて着座していて、且つ、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件であり得る(この場合、例えば、最初の安定状態の判別の代替として所定の着座時間経過の判別が用いられた後、安定状態を維持している時間帯の測定データが所定の合計時間に至るまで集積されて(不連続の場合、繋ぎ合わされて)活用され得る)。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、使用者の体内水分バランス状態の評価結果を提供することができるトイレシステムにおいて、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができるトイレシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、を備え、前記体内水分バランス評価部は、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価するようになっていることを特徴とするトイレシステムである。
【0018】
本発明によれば、体内水分バランス状態の評価にとって適切な「所定の条件」及び「所定の時間」を設定することにより、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0019】
当該所定の時間とは、30秒~120秒の間の時間であって、30秒~60秒の間の時間が好ましく、より好ましくは45秒である。
【0020】
当該所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号(例えば、脈波を表すように処理された信号が用いられる)が一旦安定状態になった(すなわち、例えば、使用者の脈波が一旦安定状態になった)、という条件であり得る(この場合、一旦安定状態になってから所定の合計時間に至るまで連続する時間帯の測定データが活用され得る)。
【0021】
これによれば、安定判別用信号が安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0022】
あるいは、当該所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号(例えば、脈波を表すように処理された信号が用いられる)が安定状態を維持している(すなわち、例えば、使用者の脈波が安定状態を維持している)、という条件であり得る(この場合、安定状態を維持している時間帯の測定データが所定の合計時間に至るまで集積されて(不連続の場合、繋ぎ合わされて)活用され得る)。
【0023】
これによれば、安定判別用信号が最初に安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得ることに加えて、例えばトイレ使用中の使用者の「いきみ」や他の「体動」に起因して安定判別用信号が再び安定状態から逸脱する場合にそのような時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態を更に正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0024】
あるいは、当該所定の条件とは、前記使用者が前記便座に所定の着座時間を超えて着座していて、且つ、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号(例えば、脈波を表すように処理された信号が用いられる)が安定状態を維持している(すなわち、例えば、使用者の脈波が安定状態を維持している)、という条件であり得る(この場合、例えば、最初の安定状態の判別の代替として所定の着座時間経過の判別が用いられた後、安定状態を維持している時間帯の測定データが所定の合計時間に至るまで集積されて(不連続の場合、繋ぎ合わされて)活用され得る)。
【0025】
これによれば、例えば、安定判別用信号が最初に安定状態になることの判別に代えて、所定の着座時間経過の判別が用いられるため、信号状態判別のルーチン(プログラム)が簡素化され得る。
【0026】
なお、体内水分バランス状態とは、一般に、使用者の血流情報の変化と相関する、血液中の水分量、及び/または、血液中の電解質濃度、に関する状態である。
【0027】
また、本発明において、前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、過去において評価された体内水分バランス状態と、の比較結果を出力可能であることが好ましい。
【0028】
これによれば、本発明のトイレシステムの使用者は、日常生活の中でトイレを使用する度毎に、過去の体内水分バランス状態との比較結果を参照しながら、現在時点の体内水分バランス状態を把握することができる。
【0029】
また、本発明において、前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、所定の閾値と、の比較結果を出力可能であることが好ましい。
【0030】
これによれば、本発明のトイレシステムの使用者は、日常生活の中でトイレを使用する度毎に、直感的に現在時点の体内水分バランス状態の良否を把握することができる。例えば、体内水分バランス状態は、60~80を適正範囲とする0~100のスコア値として評価され得る(0~59、81~100は、不良を意味する)。
【0031】
また、本発明において、前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部が前記所定の条件を満たす時間帯について前記所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価しない場合には、前記使用者の体内水分バランス状態を出力しないことが好ましい。
【0032】
これによれば、使用者の実際の体内水分バランス状態を正しく反映していない可能性が高い評価結果が正しく反映するものとして出力されることが効果的に抑制され得る。
【0033】
また、本発明において、前記測定センサは、前記便座に設けられ、前記使用者の脚部に向けて光を照射して反射光を検知する光学センサであり得る。
【0034】
あるいは、本発明において、前記測定センサは、前記便座に着座した使用者の人差し指に嵌められて、当該使用者の指に向けて光を照射して反射光を検知する光学センサであり得る。
【0035】
また、本発明は、方法のカテゴリーにおいても、本願による保護対象である。
【0036】
すなわち、本発明の一態様による方法は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、を備えたトイレシステムを用いて体内水分バランス状態の評価結果を提供する方法であって、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価する工程、を備えたことを特徴とする方法である。
【0037】
また、本発明は、プログラムのカテゴリーにおいても、本願による保護対象である。
【0038】
すなわち、本発明の一態様によるプログラムは、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、を備えたトイレシステムを用いて体内水分バランス状態の評価結果を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価する工程、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、体内水分バランス状態の評価にとって適切な「所定の条件」及び「所定の時間」を設定することにより、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係るトイレシステムの概略斜視図である。
図2図1のトイレシステムの便座の分解斜視図である。
図3図1のトイレシステムの要部を示す概略ブロック図である。
図4図1のトイレシステムのレーザセンサの構成を概略的に示す図である。
図5図4のレーザセンサの測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図である。
図6】レーザセンサの測定信号を示すグラフの一例である。
図7】レーザセンサの測定信号をウェーブレット変換したグラフの一例である。
図8】脈波信号の時間経過を示すグラフの一例である。
図9図1のトイレシステムの第1動作例を示すフローチャートである。
図10図1のトイレシステムの第2動作例を示すフローチャートである。
図11図1のトイレシステムの第3動作例を示すフローチャートである。
図12図1のトイレシステムの第4動作例を示すフローチャートである。
図13図1のトイレシステムの第5動作例を示すフローチャートである。
図14図1のトイレシステムの第6動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(構成)
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトイレシステム10の概略斜視図であり、図2は、図1のトイレシステム10の便座20の分解斜視図であり、図3は、図1のトイレシステム10の要部を示す概略ブロック図である。
【0042】
本実施形態のトイレシステム10は、図1乃至図3に示すように、便座20と、本体部12と、便蓋14と、を備えている。便座20と便蓋14とは、それぞれ、本体部12に対して回動可能に軸支されている。
【0043】
便座20には、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサとして、レーザセンサ40が設けられ、着座センサとして、静電式センサ50が設けられている。また、便座20には、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出部60(具体的には例えばマイクロプロセッサ)が設けられている。
【0044】
便座20は、開口部20aを有する。本実施形態では、便座20の中央部にO字型の開口部20aが形成されている。便座20の開口部は、O字型に限ることなく、U字型などでもよい。便座20の外縁は、便器4の外形形状に沿って湾曲して形成されている。便座20は、一般的に、不透明な樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)によって形成され、使用者が着座する着座面21と、着座面21とは反対側の底面25と、を有している。
【0045】
着座面21は、便座20が便器4の上面4bに載置された状態で上向きに露出する面であり、使用者が着座する面である。底面25は、便座20を下げた状態で便器4の上面4bと対面する面である。また、便座20は、ほぼ全体が厚く形成された厚肉部22からなっており、レーザセンサ40に対応する位置において局所的に、厚肉部22よりも薄く薄肉部23が形成されている。
【0046】
図2に示されるように、便座20の内部に、着座面21を加熱ないし保温するヒータ線30(ヒータの一例)及び断熱材32が設けられている。ヒータ線30は、本体部12内に設けられた便座暖房ユニット12bによって制御されるようになっており、レーザセンサ40、静電式センサ50、及び、健康指標算出部60と干渉しないように、便座20の内部に張り巡らされている。断熱材32は、ヒータ線30、レーザセンサ40、静電式センサ50、及び、健康指標算出部60の下方側に配置されている。
【0047】
薄肉部23は、レーザセンサ40から照射される照射光と、着座面21に着座した使用者から反射される反射光と、が透過可能な厚さとなっている。薄肉部23の厚さは、レーザセンサ40の照射光及び反射光の強度、並びに、便座20の耐久性等により設定され、例えば0.5mm~1.0mm程度である。
【0048】
本明細書において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側」及び「右側」とは、それぞれ、開いた便蓋14に背を向けて便座20に座った使用者から見た方向を示している。
【0049】
図2に示すように、薄肉部23は、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の左側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方左側に位置するようになっている。これにより、薄肉部23は、便座20に着座した使用者の左太腿の裏側に対面(当接)するようになっている。
【0050】
薄肉部23は、レーザセンサ40が便座20に着座した使用者の血流情報を検知できる範囲で、可及的に小さく形成されており、例えば直径12mm以下(好ましくは、8mm以下)の円形となっている。
【0051】
レーザセンサ40は、便座20の内部において、薄肉部23の裏面側に配設されている。レーザセンサ40は、使用者の左太腿の裏側に向けて赤外照射光を照射し、皮膚下血管内の血流状態に応じて反射される反射光(赤血球によるドップラシフトを生じた散乱光)を検知する反射型のセンサである。図4は、レーザセンサ40の構成を概略的に示す図である。
【0052】
一方、図1及び図2に示すように、静電式センサ50が、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の右側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方右側に位置するようになっている。これにより、静電式センサ50は、着座センサの一例として、便座20に着座した使用者の右太腿の裏側に対面(当接)した際に、当該着座状態を検知できるようになっている。
【0053】
健康指標算出部60は、本実施形態では便座20の前方端の近傍位置(レーザセンサ40に比較的近い位置)に配置されており、レーザセンサ40の出力信号を処理して比較的ノイズに強い信号に変換するようになっている。具体的には、健康指標算出部60は、レーザセンサ40の測定結果に基づいて、便座20に着座した使用者の健康指標(具体的には、例えば、脈拍数、脈拍変動、血流量など)を算出し、当該算出結果に対応する信号を制御部70を介して通信部75に送信するようになっている。図5は、レーザセンサ40の測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図であり、図6は、レーザセンサ40の測定信号を示すグラフの一例であり、図7は、レーザセンサ40の測定信号をウェーブレット変換したグラフの一例である。
【0054】
制御部70及び通信部75は、本体部12内に設けられている。健康指標算出部60も、便座20内の代わりに、本体部12内に設けられてもよい。健康指標算出部60が本体部12内に設けられる場合、制御部70とは別個に設けられてもよいし、あるいは、制御部70の一部として一体化されて設けられてもよい。
【0055】
更に、健康指標算出部60及び制御部70は、本体部12内ではなく、通信部75を介して通信される外部機器内や外部ネットワーク内(例えばクラウド内)に設けられても(構築されても)よい。
【0056】
図1に戻って、本体部12は、便器4のボウル部よりも後方に位置して、便器4の上面4bに取付けられている。本体部12の内部に、便座20と便蓋14との開閉作動を制御する開閉ユニット12a、便座20の温度を制御する便座暖房ユニット12b、人体局部の洗浄を行う洗浄ユニット12c、及び、臭気成分を低減する脱臭ユニット12d、が内蔵されている。各ユニット12a~12dは、制御部70によって統括的に制御されるようになっている。本実施形態の制御部70は、静電式センサ50にも接続されている。
【0057】
そして、本実施形態の制御部70は、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を出力するための通信部75(健康指標出力部の一例)に接続されている。通信部75は、算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信するようになっている。そして、便座20に着座した使用者は、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにより、各種の健康指標(脈拍数などのバイタルサイン等)を確認することができるようになっている。
【0058】
また、本実施形態の制御部70は、着座判定部として、静電式センサ50の測定結果に基づいて、使用者が着座面21に座っているか否かを判定するようになっている。
【0059】
また、本実施形態の制御部70は、信号安定判定部として、レーザセンサ40の測定信号を処理して得られる(例えば健康指標算出部60によって算出される)脈波信号(安定判別用信号の一例、図8参照)が一旦安定状態になったか否か(すなわち、使用者の脈波が一旦安定状態になったか否か)を判別するようになっている。
【0060】
具体的には、本実施形態の制御部70は、脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間について、例えばその変動が±10%以内(第1変動範囲)に収束した場合に、一旦安定状態になったと判定するようになっている。
ここで、着座面に着座してから安定状態に至るまで、脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間の変動は減少する。すなわち、安定状態における脈波信号の1周期分相当の時間の第1変動範囲(±10%以内)は、着座から安定状態に至るまでの脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間よりも小さくて、すなわち、(安定的変動状態に対応する)脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間の第2変動範囲(±100%以内)よりも小さい。このため、制御部70は、脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間の変動が、第2変動範囲よりも小さい第1変動範囲になると、安定状態になったと判定するようになっているとも言い得る。
【0061】
更に、本実施形態の制御部70は、脈波信号が一旦安定状態になったと判定した後で、信号安定維持判定部として、脈波信号がそのような安定状態を維持しているか否かを判別するようになっている。
【0062】
具体的には、本実施形態の制御部70は、脈波信号のある極小値から極大値を経て次の極小値に至るまでの1周期分相当の時間について、例えばその変動が再び±10%を超えた場合に、安定状態の維持が途切れたと判定するようになっている。
【0063】
また、本実施形態のトイレシステム10は、制御部70と連動して脈波信号が安定状態を維持している時間(不連続な場合、各時間帯ごとの継続時間)を測定するタイマー95を有している。
【0064】
前述した通り、ある程度の正確性(信頼性)を伴う健康指標を算出するために必要とされるレーザセンサ40の出力信号の量、すなわち、レーザセンサ40による測定時間は、健康指標毎に異なる。
【0065】
本実施形態のトイレシステム10は、「体内水分バランス状態」について、例えば30秒(以上)の測定時間に相当する安定的な出力波形信号を得た場合に、ある程度の正確性(信頼性)を伴う算出値が得られる、という設計思想に基づいている。
【0066】
すなわち、本実施形態の制御部70は、静電式センサ50の測定結果及びタイマー95の測定結果に基づいて、脈波信号が安定状態を維持している継続時間(途中に中断時間がある場合には累積時間)が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上となったか否かを判定するようになっている。
【0067】
更に、本実施形態のタイマー95は、静電式センサ50と連動して、一旦着座した後に離座した場合の離座状態継続時間を測定できるようになっている。
【0068】
そして、後述する第1動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(0)使用者の脈波信号が安定状態に至る前に、使用者が離座する場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の出力を停止させるようになっており、
(1)使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上となった場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっており、
(2)使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に使用者が離座する場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の出力を停止させるようになっている。
【0069】
更に、後述する第2動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(3)使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に、使用者が一時的に(例えば15秒以下)離座して再び着座する場合には、一時的に離座していた時間帯の測定データを除外し、脈波信号が安定状態となってからの着座時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上に累積された場合に、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっている。
【0070】
更に、後述する第3動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(4)使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に、脈波信号が一時的に不安定になる場合には、当該一時的に不安定になっていた時間帯の測定データを除外し、脈波信号が安定状態となっていた時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上に累積された場合に、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっている。
【0071】
更に、後述する第4動作例~第6動作例のために、本実施形態の制御部70は、信号安定推定部として、タイマー95の測定結果に基づいて、脈波信号が一旦安定状態になったであろうと推定される安定推定時間(例えば着座判定後45秒に設定される)が経過したか否かを判定するようになっている。
【0072】
そして、後述する第4動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(0’)使用者の着座判定後に安定推定時間が経過する前に、使用者が離座する場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の出力を停止させるようになっており、
(1’)使用者の着座判定後に安定推定時間が経過した後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上となった場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっており、
(2’)使用者の着座判定後に安定推定時間が経過した後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に使用者が離座する場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の出力を停止させるようになっている。
【0073】
更に、後述する第5動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(3’)使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に、使用者が一時的に(例えば15秒以下)離座して再び着座する場合には、一時的に離座していた時間帯の測定データを除外し、脈波信号が安定状態となってからの着座時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上に累積された場合に、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっている。
【0074】
更に、後述する第6動作例においては、制御部70は、前記判別結果に基づいて、
(4’)使用者の着座判定後に安定推定時間が経過した後、当該脈波信号が安定状態を維持している継続時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)に至る前に、脈波信号が一時的に不安定になる場合には、当該一時的に不安定になっていた時間帯の測定データを除外し、脈波信号が安定状態となっていた時間が例えば30秒(「所定の合計時間」の一例)以上に累積された場合に、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」を出力させるようになっている。
【0075】
本実施形態では、算出されて出力される使用者の「体内水分バランス状態」は、トイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信される。これにより、便座20に着座した使用者は、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにより、「体内水分バランス状態」を確認することができるようになっている。
【0076】
ここで、本実施形態では、健康指標算出部60(体内水分バランス評価部の一例)によって直近に評価された「体内水分バランス状態」と、過去において評価された「体内水分バランス状態」と、の比較結果を出力可能である。
【0077】
更に、本実施形態では、健康指標算出部60(体内水分バランス評価部の一例)によって直近に評価された「体内水分バランス状態」と、所定の閾値と、の比較結果を出力可能である。具体的には、「体内水分バランス状態」は、60~80を適正範囲とする0~100のスコア値として評価され得る(0~59、81~100は、不良を意味する)。
【0078】
(第1動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図9を用いて第1動作例を説明する。図9を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0079】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの判別を開始する(STEP12)。当該判別を支援するべく、健康指標算出部60が、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の脈波信号を生成(算出)する。
【0080】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前に(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0081】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前であって(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0082】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0083】
使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後(STEP12でYES)、タイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、例えば30秒(必要時間:第1動作例では「所定の合計時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0084】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に30秒(必要時間)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0085】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に30秒(必要時間)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP21でNO)、30秒(必要時間)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0086】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、30秒(必要時間)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0087】
(第1動作例:効果)
以上のような第1動作例によれば、脈波信号(安定判別用信号の一例)が安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0088】
(第2動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図10を用いて第2動作例を説明する。図10を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0089】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの判別を開始する(STEP12)。当該判別を支援するべく、健康指標算出部60が、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の脈波信号を生成(算出)する。
【0090】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前に(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0091】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前であって(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0092】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0093】
使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後(STEP12でYES)、タイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、最初は例えば30秒である必要時間(後述するように、「所定の合計時間」-「累積時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0094】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP24)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算される(STEP25)。
【0095】
一方で、離座状態継続時間の測定が開始され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0096】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP21でNO)、必要時間(最初は例えば30秒)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0097】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP25で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP26)、タイマー95による経過時間の計測が再開される(STEP13に戻る)。
【0098】
(第2動作例:効果)
以上のような第2動作例によれば、脈波信号(安定判別用信号の一例)が最初に安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得ることに加えて、例えばトイレ使用中の使用者の「体動」に起因して一時的に使用者が離座する場合にそのような時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態を更に正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0099】
(第3動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図11を用いて第3動作例を説明する。図11を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0100】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの判別を開始する(STEP12)。当該判別を支援するべく、健康指標算出部60が、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の脈波信号を生成(算出)する。
【0101】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前に(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0102】
使用者の脈波信号が安定状態に至る前であって(STEP12でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0103】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、使用者の脈波信号が安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0104】
使用者の脈波信号が一旦安定状態に至った後(STEP12でYES)、タイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、最初は例えば30秒である必要時間(後述するように、「所定の合計時間」-「累積時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0105】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP24)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算される(STEP25)。
【0106】
一方で、離座状態継続時間の測定が開始され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0107】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP25で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP26)、タイマー95による経過時間の計測が再開される(STEP13に戻る)。
【0108】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間において(STEP21でNO)、脈波信号が安定状態を維持している場合(STEP31でNO)、必要時間(最初は例えば30秒)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0109】
脈波信号が一旦安定状態に至った後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間において(STEP21でNO)、脈波信号が一時的に不安定になった場合(STEP31でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP32)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算され(STEP33)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP33で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP34)、使用者の脈波信号が再び安定状態に至るのを待つ(STEP12に戻る)。
【0110】
(第3動作例:効果)
以上のような第3動作例によれば、脈波信号(安定判別用信号の一例)が最初に安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得ることに加えて、例えばトイレ使用中の使用者の「いきみ」や他の「体動」に起因して脈波信号(安定判別用信号の一例)が安定状態から逸脱する場合にそのような時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態を更に正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0111】
(第4動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図12を用いて第4動作例を説明する。図12を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0112】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの推定判別を開始する(STEP41~43)。すなわち、タイマー95による経過時間の計測が開始され(STEP41)、脈波信号が一旦安定状態になったであろうと推定される安定推定時間(例えば着座判定後45秒に設定される)が経過したか否かが判別される。
【0113】
安定推定時間が経過する前に(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0114】
安定推定時間が経過する前であって(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0115】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0116】
安定推定時間が経過した後(STEP42でYES)、一旦タイマー95が停止し(STEP43)、新たにタイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、最初は例えば30秒である必要時間(後述するように、「所定の合計時間」-「累積時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0117】
安定推定時間が経過した後に30秒(必要時間)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0118】
安定推定時間が経過した後に30秒(必要時間)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP21でNO)、30秒(必要時間)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0119】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、30秒(必要時間)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0120】
(第4動作例:効果)
以上のような第4動作例によっても、脈波信号(安定判別用信号の一例)が安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態をより正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0121】
また、以上のような第4動作例によれば、脈波信号が最初に安定状態になることの判別に代えて、所定の着座時間経過の判別が用いられるため、信号状態判別のルーチン(プログラム)が簡素化され得る。
【0122】
(第5動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図13を用いて第5動作例を説明する。図13を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0123】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの推定判別を開始する(STEP41~43)。すなわち、タイマー95による経過時間の計測が開始され(STEP41)、脈波信号が一旦安定状態になったであろうと推定される安定推定時間(例えば着座判定後45秒に設定される)が経過したか否かが判別される。
【0124】
安定推定時間が経過する前に(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0125】
安定推定時間が経過する前であって(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0126】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0127】
安定推定時間が経過した後(STEP42でYES)、一旦タイマー95が停止し(STEP43)、新たにタイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、最初は例えば30秒である必要時間(後述するように、「所定の合計時間」-「累積時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0128】
安定推定時間が経過した後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP24)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算される(STEP25)。
【0129】
一方で、離座状態継続時間の測定が開始され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0130】
安定推定時間が経過した後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP21でNO)、必要時間(最初は例えば30秒)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0131】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP25で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP26)、タイマー95による経過時間の計測が再開される(STEP13に戻る)。
【0132】
(第5動作例:効果)
以上のような第5動作例によっても、脈波信号(安定判別用信号の一例)が最初に安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得ることに加えて、例えばトイレ使用中の使用者の「体動」に起因して一時的に使用者が離座する場合にそのような時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態を更に正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0133】
また、以上のような第4動作例によれば、脈波信号が最初に安定状態になることの判別に代えて、所定の着座時間経過の判別が用いられるため、信号状態判別のルーチン(プログラム)が簡素化され得る。
【0134】
(第6動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図14を用いて第6動作例を説明する。図14を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0135】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、制御部70が、脈波信号(図8参照)が一旦安定状態になったか否かの推定判別を開始する(STEP41~43)。すなわち、タイマー95による経過時間の計測が開始され(STEP41)、脈波信号が一旦安定状態になったであろうと推定される安定推定時間(例えば着座判定後45秒に設定される)が経過したか否かが判別される。
【0136】
安定推定時間が経過する前に(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP01でYES)、離座状態継続時間が測定され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超えたら(STEP02でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP03)。
【0137】
安定推定時間が経過する前であって(STEP42でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間は(STEP01でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0138】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP01でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP02でNO)、安定推定時間が経過するのを待つ(STEP42に戻る)。
【0139】
安定推定時間が経過した後(STEP42でYES)、一旦タイマー95が停止し(STEP43)、新たにタイマー95による経過時間の計測が開始される(STEP13)。そして、最初は例えば30秒である必要時間(後述するように、「所定の合計時間」-「累積時間」)が経過した場合(STEP14でYES)、通信部75(健康指標出力部)をして、当該30秒分の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果を出力させる(STEP15)。
【0140】
安定推定時間が経過した後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前に(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知する場合には(STEP21でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP24)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算される(STEP25)。
【0141】
一方で、離座状態継続時間の測定が開始され、当該離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下(もっとも、STEP02の所定時間とは異なる値でもよい))を超えたら(STEP22でYES)、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力を停止させる(STEP23)。
【0142】
静電式センサ50が使用者の離座を検知しても(STEP21でYES)、離座状態継続時間が所定時間(例えば15秒以下)を超える前に再び着座が検知されたら(STEP22でNO)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP25で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP26)、タイマー95による経過時間の計測が再開される(STEP13に戻る)。
【0143】
安定推定時間が経過した後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間において(STEP21でNO)、脈波信号が安定状態を維持している場合(STEP31でNO)、必要時間(最初は例えば30秒)が経過するのを待つ(STEP14に戻る)。
【0144】
安定推定時間が経過した後に必要時間(最初は例えば30秒)が経過する前であって(STEP14でNO)、静電式センサ50が使用者の離座を検知しない間において(STEP21でNO)、脈波信号が一時的に不安定になった場合(STEP31でYES)、タイマー95による経過時間の計測が停止され(STEP32)、それまでにタイマー95が計測した時間(脈波信号の安定状態が継続されていた時間)が「累積時間」(最初は0秒である)に加算され(STEP33)、それまでの(最初は例えば30秒であった)必要時間からSTEP33で算出(更新)された累積時間を減算して新たな必要時間とした上で(STEP34)、使用者の脈波信号が再び安定状態に至るのを待つ。図14では、図示の簡略化のために、STEP42に戻るように図示されているが、最初のSTEP42(安定推定時間の経過判別)とは異なり、STEP42のフロー位置にて脈波信号が安定であるか否かが実際に判別される(STEP31と同様の判別工程であるが、YES/NOが逆である)。
【0145】
(第6動作例:効果)
以上のような第6動作例によっても、脈波信号(安定判別用信号の一例)が最初に安定状態になるまでの時間帯の測定データが評価対象から排除され得ることに加えて、例えばトイレ使用中の使用者の「いきみ」や他の「体動」に起因して脈波信号(安定判別用信号の一例)が安定状態から逸脱する場合にそのような時間帯の測定データが評価対象から排除され得るため、使用者の実際の体内水分バランス状態を更に正しく反映した評価結果を提供することができる。
【0146】
また、以上のような第6動作例によれば、脈波信号が最初に安定状態になることの判別に代えて、所定の着座時間経過の判別が用いられるため、信号状態判別のルーチン(プログラム)が簡素化され得る。
【0147】
(第1動作例~第6動作例:共通の作用効果)
なお、前述のように、本実施形態では、健康指標算出部60(体内水分バランス評価部の一例)によって直近に評価された「体内水分バランス状態」と、過去において評価された「体内水分バランス状態」と、の比較結果を出力可能である。
【0148】
これにより、本実施形態のトイレシステム10の使用者は、日常生活の中でトイレを使用する度毎に、過去の体内水分バランス状態との比較結果を参照しながら、現在時点の体内水分バランス状態を把握することができる。
【0149】
また、本実施形態では、健康指標算出部60(体内水分バランス評価部の一例)によって直近に評価された「体内水分バランス状態」と、所定の閾値と、の比較結果を出力可能である。
【0150】
これにより、本実施形態のトイレシステム10の使用者は、日常生活の中でトイレを使用する度毎に、直感的に現在時点の体内水分バランス状態の良否を把握することができる。例えば、体内水分バランス状態は、60~80を適正範囲とする0~100のスコア値として評価され得る(0~59、81~100は、不良を意味する)。
【0151】
(第1動作例~第6動作例:変形例)
前述の第1動作例~第6動作例では、STEP03において、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力が停止されるが、これに代えて、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、エラー情報を出力させてもよい。
【0152】
当該エラー情報の出力は、(正しく算出されていない可能性が高い)「体内水分バランス状態」の出力と併せてなされてもよいし、あるいは、当該「体内水分バランス状態」の出力の代わりになされてもよい。
【0153】
同様に、STEP23においても、「体内水分バランス状態」の評価結果の出力が停止されるが、これに代えて、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、エラー情報を出力させてもよい。
【0154】
当該エラー情報の出力は、(正しく算出されていない可能性が高い)「体内水分バランス状態」の出力と併せてなされてもよいし、あるいは、当該「体内水分バランス状態」の出力の代わりになされてもよい。
【0155】
また、STEP15において、必要時間相当分(例えば30秒)の測定データに基づいて算出された「体内水分バランス状態」の評価結果が出力されるが、脈波信号が安定状態を維持している継続時間(途中に中断時間がある場合には累積時間)が必要時間(例えば30秒)よりも長い場合には、それら全ての測定データに基づいて算出された「リラックスレベル」の評価結果が出力されてもよいし、あるいは、「より一層安定状態」である時間帯を必要時間相当分(例えば30秒)だけ選択して、それらの測定データに基づいて算出された「リラックスレベル」の評価結果が出力されてもよい。
【0156】
(プログラムについての補足)
健康指標算出部60、制御部70及び通信部75の各種機能は、対応するプログラムを実行するマイクロコンピュータ等によって実現され得る。当該プログラム、及び、当該プログラムを記憶する記憶媒体も、本願の保護対象である。
【0157】
例えば、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するレーザセンサ40と、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の体内水分バランス状態を評価する健康指標算出部60(体内水分バランス評価部)と、健康指標算出部60によって評価された使用者の体内水分バランス状態を出力する通信部75(体内水分バランス出力部)と、を備えたトイレシステム10を用いて体内水分バランス状態の評価結果を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させたレーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の体内水分バランス状態を評価する工程、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0158】
なお、本願発明は、以下の特徴(発明)を含むものである。
[特徴1]
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の体内水分バランス状態を評価する体内水分バランス評価部と、
前記体内水分バランス評価部によって評価された前記使用者の前記体内水分バランス状態を出力する体内水分バランス出力部と、
を備え、
前記体内水分バランス評価部は、所定の条件を満たす時間帯について所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価するようになっている
ことを特徴とするトイレシステム。
[特徴2]
前記所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が一旦安定状態になった、という条件である
ことを特徴とする特徴1に記載のトイレシステム。
[特徴3]
前記所定の条件とは、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件である
ことを特徴とする特徴1または2に記載のトイレシステム。
[特徴4]
前記所定の条件とは、前記使用者が前記便座に所定の着座時間を超えて着座していて、且つ、前記センサの測定信号に基づく安定判別用信号が安定状態を維持している、という条件である
ことを特徴とする特徴1乃至3のいずれかに記載のトイレシステム。
[特徴5]
前記体内水分バランス状態とは、前記使用者の前記血流情報の変化と相関する、血液中の水分量、及び/または、血液中の電解質濃度、に関する状態である
ことを特徴とする特徴1乃至4のいずれかに記載のトイレシステム。
[特徴6]
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、過去において評価された体内水分バランス状態と、の比較結果を出力可能である
ことを特徴とする特徴1乃至5のいずれかに記載のトイレシステム。
[特徴7]
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部によって直近に評価された体内水分バランス状態と、所定の閾値と、の比較結果を出力可能である
ことを特徴とする特徴1乃至6のいずれかに記載のトイレシステム。
[特徴8]
前記体内水分バランス出力部は、前記体内水分バランス評価部が前記所定の条件を満たす時間帯について前記所定の合計時間に至るまで集積させた前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の前記体内水分バランス状態を評価しない場合には、前記使用者の体内水分バランス状態を出力しない
ことを特徴とする特徴1乃至7のいずれかに記載のトイレシステム。
[特徴9]
前記測定センサは、前記便座に設けられ、前記使用者の脚部に向けて光を照射して反射光を検知する光学センサである
ことを特徴とする特徴1乃至8のいずれかに記載のトイレシステム。
【符号の説明】
【0159】
4 便器
4b 上面
10 トイレシステム
12 本体部
12a 開閉ユニット
12b 便座暖房ユニット
12c 洗浄ユニット
12d 脱臭ユニット
14 便蓋
20 便座
20a 開口部
21 着座面
22 厚肉部
23 薄肉部
25 底面
30 ヒータ線
32 断熱材
40 レーザセンサ
50 静電式センサ
60 健康指標算出部
70 制御部
75 通信部
80 リモコン
80a 表示部
85 外部端末(携帯電話等)
85a 表示部
95 タイマー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14