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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145377
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20241004BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20241004BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q1/06
A61K8/31
A61K8/89
A61K8/37
A61K8/81
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057700
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】三井 大輔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC862
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD662
4C083BB12
4C083BB21
4C083CC13
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 乾燥感のなさ、ツヤ感、密着性及び化粧持ちが十分でありながら、着色ムラが抑制されたティント効果を十分得ることができる水中油型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】 水中油型乳化化粧料は、油性成分及び水性成分を含み、油性成分の含有量が、水中油型乳化化粧料の全量を基準として30質量%以上であり、油性成分として、(A)25℃で液状である下記A群及びB群の油剤並びに25℃でペースト状である油剤からなる群より選択される少なくとも一種の油剤と、(B)融点が40℃以上である脂肪族アルコールと、を含有し、水性成分として、(C)水溶性増粘剤と、(D)水溶性染料と、を含有し、(C)成分が、ポリアクリル酸アミド共重合体を含むものである。
A群:重質流動イソパラフィン、水添ポリデセン
B群:25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるシリコーン油、25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるエステル油
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性成分及び水性成分を含む水中油型乳化化粧料であって、
前記油性成分の含有量が、前記水中油型乳化化粧料の全量を基準として30質量%以上であり、
前記油性成分として、(A)25℃で液状である下記A群及びB群の油剤並びに25℃でペースト状である油剤からなる群より選択される少なくとも一種の油剤と、(B)融点が40℃以上である脂肪族アルコールと、を含有し、
前記水性成分として、(C)水溶性増粘剤と、(D)水溶性染料と、を含有し、
前記(C)成分が、ポリアクリル酸アミド共重合体を含む、水中油型乳化化粧料。
A群:重質流動イソパラフィン、水添ポリデセン
B群:25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるシリコーン油、25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるエステル油
【請求項2】
前記(A)成分の含有量が、前記水中油型乳化化粧料の全量を基準として10~40質量%である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記ポリアクリル酸アミド共重合体が、アクリロイルジメチルタウリン塩を共重合成分として含む、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
口唇化粧料である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅及びグロスなどの口唇化粧料は、ツヤ感、密着性及び化粧持ちなどの特性に優れている点で油性化粧料が多用されている。油性化粧料は油性成分と色材とから構成されており、上記特性や所望の使用感を得るために、油性成分として固形油、ペースト状油若しくは高粘度油、及び液状油などの性状が異なる油剤が配合されている(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。
【0003】
一方で、口唇化粧料には水性化粧料も利用されており、この場合、水溶性の有効成分の配合が可能であることや、塗りやすさや軽い塗布感といった使用感の調整がしやすい等の利点がある(例えば、下記特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-75119号公報
【特許文献2】特開2009-256339号公報
【特許文献3】特表2013-537214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水溶性の成分として染料を配合した水性化粧料は、皮膚の染色によるティント効果によって着色を持続させることができる。しかしながら、水性化粧料は、唇が乾燥しやすく、ツヤのある仕上がり、密着性及び化粧持ちが得られにくい。これらの特性を両立する観点から本発明者は水溶性染料と油性成分とを配合した水中油型乳化化粧料について検討を行ったところ、着色ムラが目立つ場合やティント効果が得られにくくなる場合があることが判明した。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、乾燥感のなさ、ツヤ感、密着性及び化粧持ちが十分でありながら、着色ムラが抑制されたティント効果を十分得ることができる水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、以下の発明を提供する。
【0008】
[1] 油性成分及び水性成分を含む水中油型乳化化粧料であって、前記油性成分の含有量が、前記水中油型乳化化粧料の全量を基準として30質量%以上であり、前記油性成分として、(A)25℃で液状である下記A群及びB群の油剤並びに25℃でペースト状である油剤からなる群より選択される少なくとも一種の油剤と、(B)融点が40℃以上である脂肪族アルコールと、を含有し、前記水性成分として、(C)水溶性増粘剤と、(D)水溶性染料と、を含有し、前記(C)成分が、ポリアクリル酸アミド共重合体を含む、水中油型乳化化粧料。
A群:重質流動イソパラフィン、水添ポリデセン
B群:25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるシリコーン油、25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるエステル油
[2] 前記(A)成分の含有量が、前記水中油型乳化化粧料の全量を基準として10~40質量%である、上記[1]に記載の水中油型乳化化粧料。
[3] 前記ポリアクリル酸アミド共重合体が、アクリロイルジメチルタウリン塩を共重合成分として含む、上記[1]又は[2]に記載の水中油型乳化化粧料。
[4] 口唇化粧料である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乾燥感のなさ、ツヤ感、密着性及び化粧持ちが十分でありながら、着色ムラが抑制されたティント効果を十分得ることができる水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、油性成分及び水性成分を含み、油性成分として、(A)25℃で液状である下記A群及びB群の油剤並びに25℃でペースト状である油剤からなる群より選択される少なくとも一種の油剤((A)成分という場合もある)と、(B)融点が40℃以上である脂肪族アルコール((B)成分という場合もある)とを含有し、水性成分として、(C)水溶性増粘剤((C)成分という場合もある)と、(D)水溶性染料((D)成分という場合もある)とを含有する。
A群:重質流動イソパラフィン、水添ポリデセン
B群:25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるシリコーン油、25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるエステル油
なお、(A)成分及び(B)成分は、水中油型乳化化粧料の油相に含まれていてもよく、(C)成分及び(D)成分は、水中油型乳化化粧料の水相に含まれていてもよい。
【0011】
本明細書において、ペースト状とは、レオメーター(レオテック社製)で測定される25℃の硬度(測定条件:感圧軸の先端形状が直径5mmの円盤状、針入速度2cm/分、針入度3mm)が0.1N~10Nであることを指す。
【0012】
本明細書において油剤の25℃における粘度は、25℃の試料について、ブルックフィールド型粘度計(BM型)又はブルックフィールド型粘度計(BH型)を用いて、下記の条件で測定した値を意味する。
250~2500mPa・s:BM型、ローターNo.2、回転数12rpm
1000~10000mPa・s:BM型、ローターNo.3、回転数12rpm
5000~50000mPa・s:BM型、ローターNo.4、回転数12rpm
50000~400000mPa・s:BH型、ローターNo.7、回転数10rpm
【0013】
本明細書において脂肪族アルコールの融点とは、以下の方法によって測定される数値を指す。
試料を約5mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れる。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「DSC7020」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)中に設置する。電気冷却ユニット「Polyscience」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて、窒素ガス流量30~35mL/minのもと、試料及び基準試料を-10℃で1分間保持した後、昇温速度10℃/minで0℃から120℃まで昇温させ、降温条件-10℃/minで120℃から-10℃まで降温させ、-10℃で5分間保持した後に再び昇温速度10℃/minで-10℃から120℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得る。このときの2回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点とする。
【0014】
(A)成分として用いることができる25℃でペースト状である油剤としては、ダイマー酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、シア脂などの油脂類、トリステアリン、トリベヘニン等のグリセリン脂肪酸エステル、水添ヤシ油などの硬化油、ワセリン等が挙げられる。本実施形態の水中油型乳化化粧料は、植物由来及び経時安定性の観点から、(A)成分としてダイマー酸エステルを含むことができる。
【0015】
ダイマー酸エステルとしては、2分子の不飽和脂肪酸の重合によって得られるダイマー酸のエステルを用いることができる。不飽和脂肪酸としてはリノール酸、リノレン酸、オレイン酸などが挙げられる。また、かかるダイマー酸のエステル部分としては、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコール、ダイマージリノレイルアルコール等の不飽和アルコール2分子が重合したダイマージオール、フィトステロール等から誘導できるもの、及びヒマシ油などが挙げられる。具体的には、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスステアリル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0016】
ダイマー酸エステルは、化粧料に一般的に用いられているものであれば特に限定されず使用することができる。ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)としては「Plandool-G」(日本精化株式会社製、商品名)を、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)としては「Plandool-H」(日本精化株式会社製、商品名)を、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスステアリルとしては「LUSPLAN DA-DD-IS」(日本精化株式会社製、商品名)を、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油としては「リソカスタDA-L」(高級アルコール工業社製、商品名)等の市販品を用いることができる。
【0017】
(A)成分として用いることができる25℃で液状であるA群の油剤としては、化粧料に一般的に用いられているものであれば特に限定されず使用することができる。
【0018】
重質流動イソパラフィンは、高粘度の炭化水素油であり、イソブテンとn-ブテンの共重合体において、末端の二重結合も含め水素添加した側鎖を有する飽和タイプの長鎖状炭化水素の混合物を用いることができる。また、重質流動イソパラフィンは、パールリーム18、パールリーム24、パールリーム46(以上、日油社製、商品名)などの市販品を用いることができる。
【0019】
重質流動イソパラフィンは、25℃における粘度が、10000~100000mPa・sであってもよく、25000~90000mPa・sであってもよい。
【0020】
水添ポリデセンは、PIONEIR GEL 12 PAO(Hansen & Rosenthal KG社製、商品名)などの市販品を用いることができる。
【0021】
水添ポリデセンは、25℃における粘度が、5000~400000mPa・sであってもよく、10000~200000mPa・sであってもよい。
【0022】
(A)成分として用いることができる25℃で液状であるB群の油剤のうち25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるシリコーン油としては、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油が挙げられる。また、25℃における粘度が2000~400000mPa・sであるエステル油としては、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油が挙げられる。
【0023】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、経時安定性の観点から、(A)成分として重質流動イソパラフィンを含むことができる。
【0024】
(A)成分は、ツヤ感の観点から、屈折率が1.48~1.50であってもよい。
【0025】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ツヤ感、密着性、乾燥感のなさ、及び化粧持ちを向上させる観点から、(A)成分は、重質流動イソパラフィン及びダイマー酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上の油剤であってもよい。
【0026】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における(A)成分の含有量は、ティント効果及び経時安定性を確保しつつ、ツヤ感、密着性、乾燥感のなさ、及び化粧持ちを向上させる観点から、水中油型乳化化粧料全量を基準として、10~40質量%であってもよく、15~35質量%であってもよく、20~30質量%であってもよい。
【0027】
ツヤ感、密着性、乾燥感のなさ、及び化粧持ちを向上させる観点から、(A)成分の含有量は、油性成分全量を基準として、15~93質量%であってもよく、20~90質量%であってもよい。
【0028】
(B)成分である融点が40℃以上である脂肪族アルコールとしては、炭素数13~22の脂肪族炭化水素基を有する1価のアルコールを用いることができる。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、飽和、不飽和のいずれであってもよい。(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
(B)成分の具体例として、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びオレイルアルコールなどが挙げられる。ツヤ感、密着性、乾燥感のなさ、及び化粧持ちを向上させる観点から、(B)成分は、炭素数14~22の直鎖飽和炭化水素基を有するアルコールであってもよく、このようなアルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、ツヤ感、密着性、乾燥感のなさ、及び化粧持ちを向上させる観点から、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのうち1種以上を用いてもよく、経時安定性、密着性、及び使用性の観点から、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを併用してもよい。ステアリルアルコールとベヘニルアルコールとを併用する場合、配合比[ステアリルアルコール:ベヘニルアルコール]は質量比で9:1~1:9であってもよく、8:2~4:6であってもよく、6:4~5:5であってもよい。
【0030】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における(B)成分の含有量は、密着性、着色ムラの抑制、乾燥感のなさ、ティント効果及び経時安定性を確保しやすくする観点から、水中油型乳化化粧料全量を基準として、0.5~3.5質量%であってもよく、0.7~3.0質量%であってもよく、0.8~2.5質量%であってもよい。
【0031】
密着性、着色ムラの抑制、乾燥感のなさ、ティント効果及び経時安定性を確保しやすくする観点から、(B)成分の含有量は、油性成分全量を基準として、1.5~10質量%であってもよく、2.0~7.0質量%であってもよい。
【0032】
密着性、着色ムラの抑制、乾燥感のなさ、ティント効果及び経時安定性を確保しやすくする観点から、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の割合[(B)/(A)]は、0.02~1であってもよく、0.04~0.2であってもよい。
【0033】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、上述した(A)成分及び(B)成分以外の油性成分を含むことができる。
【0034】
油性成分としては、例えば、(A)成分以外の油脂、ロウ類、(A)成分以外の炭化水素、(A)成分以外のエステル油、(B)成分以外の高級アルコール、高級脂肪酸、(A)成分以外のシリコーン油、油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
油脂としては、硬化ヒマシ油、水添ホホバ油、パーム油、モクロウ等の固形油脂、及び、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ツバキ油、ナタネ油、アマニ油、トリグリセリン等の液状油脂が挙げられる。
【0036】
ロウ類としては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ヒマワリ種子ロウ、ヌカロウ、鯨ロウ、ラノリン等が挙げられる。
【0037】
炭化水素としては、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、セレシン、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ミネラルオイル等が挙げられる。
【0038】
エステル油としては、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリエチルヘキサノイン、等が挙げられる。
【0039】
高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられる。
【0040】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられる。
【0041】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、乾燥感のなさ、ツヤ感及び化粧持ちの観点から、油性成分の含有量が、水中油型乳化化粧料の全量を基準として、25質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。また、油性成分の含有量は、ティント効果及び経時安定性の観点から、水中油型乳化化粧料の全量を基準として、75質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。更に、油性成分の含有量は、乾燥感のなさ、ツヤ感及び化粧持ちを十分としつつ、ティント効果及び経時安定性をさらに向上させる観点から、水中油型乳化化粧料の全量を基準として、25~60質量%であってもよい。
【0042】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、乾燥感のなさの観点から、揮発性油剤の含有量が、水中油型乳化化粧料の全量を基準として、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
【0043】
揮発性油剤は、1気圧(101.325kPa)における沸点が250℃以下であってもよく、210℃以下であってもよく、200℃以下であってもよい。
【0044】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、着色ムラ(ムラづき)を少なくする観点から、シリコーン油の含有量が、水中油型乳化化粧料の全量を基準として、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
【0045】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、乾燥感のなさ、ツヤ感、密着性及び化粧持ちを十分満たしつつ、着色ムラが抑制されたティント効果を十分得る観点から、(C)水溶性増粘剤として、ポリアクリル酸アミド共重合体を含む。
【0046】
ポリアクリル酸アミド共重合体は、経時安定性、及び着色ムラが抑制されたティント効果が得られやすくなる観点から、アクリロイルジメチルタウリン塩を共重合成分として含んでいてもよい。このようなポリアクリル酸アミド共重合体としては、例えば、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー等が挙げられる。
【0047】
ポリアクリル酸アミド共重合体は市販品を用いることもできる。例えば、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの市販品としては、SEPINOV EMT10、SIMULGEL NS(以上、SEPPIC社製)等が挙げられる。また、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの市販品としては、SIMULGEL EG(SEPPIC社製)等が挙げられる。(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーの市販品としては、Aristoflex AVC(Clariant社製)等、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマーの市販品としては、Aristoflex HMB(Clariant社製)等が挙げられる。
【0048】
ポリアクリル酸アミド共重合体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
本実施形態の水中油型乳化化粧料におけるポリアクリル酸アミド共重合体の含有量は、経時安定性、及び着色ムラが抑制されたティント効果が得られやすくなる観点から、水中油型乳化化粧料全量を基準として、0.3~2.0質量%であってもよく、0.4~1.8質量%であってもよく、0.5~1.6質量%であってもよい。
【0050】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、本願発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリアクリル酸アミド共重合体以外の水溶性増粘剤を配合してもよい。例えば、多糖類系増粘剤、粘土鉱物、セルロース系増粘剤を用いることができる。
【0051】
(D)水溶性染料としては、水又は水溶性溶媒に可溶であり、着色することできる天然若しくは合成の有機化合物を用いることができる。
【0052】
水溶性染料としては、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等の有機化合物、カルミン酸等の水溶性色素が挙げられる。
【0053】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における水溶性染料の含有量は、水中油型乳化化粧料全量を基準として、0.01~1.5質量%であってもよく、0.03~1.2質量%であってもよく、0.05~0.8質量%であってもよい。
【0054】
また、水溶性染料の含有量は、水中油型乳化化粧料に含まれる色材(水溶性染料以外の色材(例えば顔料等)も含む)全量100質量部に対して、10質量部以上であってもよく、13質量部以上であってもよく、15質量部以上であってもよい。
【0055】
また、水溶性染料の含有量は、乾燥感のなさ、ツヤ感、密着性及び化粧持ちと、着色ムラが抑制されたティント効果とを高水準で両立させる観点から、油性成分100質量部に対して、0.01~5.0質量部であってもよく、0.1~1.0質量部であってもよく、0.4~0.9質量部であってもよい。
【0056】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における水の含有量は、使用性の観点から、水中油型乳化化粧料全量を基準として、10質量%以上であってもよく、ティント効果の観点から、12~35質量%であってもよく、15~32質量%であってもよい。
【0057】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は水溶性溶媒を含有していてもよい。水溶性溶媒としては、低級アルコール、多価アルコールが挙げられる。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコールとしては、アルカンジオール、グリセリン等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は(E)界面活性剤((E)成分という場合もある)を含んでいてもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における(E)成分の含有量は、水中油型乳化化粧料全量を基準として、1~8質量%であってもよく、1.5~6.5質量%であってもよく、2~4.5質量%であってもよい。
【0060】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、ムラづきの抑制、及び経時安定性の観点から、HLBが2~6の界面活性剤(E1)((E1)成分という場合もある)と、HLBが10~18の界面活性剤(E2)((E2)成分という場合もある)とを含有することができる。この場合、乳化安定性の観点から、(E1)成分と(E2)成分との質量比[(E1)/(E2)]は3/1~1/3であってもよく、2/1~1/2であってもよい。
【0061】
HLB値は、「乳化・可溶化の技術」工学図書(株)(昭59-5-20)8~12頁に記載の計算式に基づいて求めることができる。
【0062】
(E1)成分としては、ステアリン酸グリセリル(HLB3)等のグリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸ソルビタン(HLB4.7)、セスキステアリン酸ソルビタン(HLB4.2)等のソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸PEG-2(HLB4.0)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0063】
(E2)成分としては、PEG-40水添ヒマシ油(HLB12.5)、PEG-60水添ヒマシ油(HLB14)などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)(HLB15)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(HLB14.9)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(HLB:11.5)などのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB14)、ステアリン酸PEG-15グリセリル(HLB13.5)、イソステアリン酸PEG-10グリセリル(HLB10)、イソステアリン酸PEG-30グリセリル(HLB15)、イソステアリン酸PEG-60グリセリル(HLB16)などのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ラウリン酸PEG-12(HLB13.7)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ヤシ脂肪酸ソルビタン(HLB12)などのソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB12)などのポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0064】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は粉体成分を含有することができる。そのような粉体としては、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。例えば、体質粉体、水溶性染料以外の色材として着色顔料等が挙げられる。体質粉体としては、無機粉体、合成無機粉体、有機粉体、金属セッケン、合成高分子粉体などが挙げられる。より具体的には、ガラス末、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成金雲母(合成マイカ)、カオリン、セリサイト、合成セリサイト、タルク、金雲母、合成雲母、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸亜鉛、ポリエチレン末、ウレタンビーズ、ポリメタクリル酸メチル、オルガノポリシロキサンエラストマー等が挙げられる。着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化チタン、パール顔料(雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、アルミニウムフレーク等)などが挙げられる。これらの粉体は、表面処理が施されていないものであってもよく、使用性や分散性等の向上を目的として、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、金属石鹸、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、アミノ酸化合物等が挙げられる。
【0065】
本実施形態の水中油型乳化化粧料における粉体成分の含有量は、水中油型乳化化粧料全量を基準として、0質量%超20質量%以下であってもよく、0質量%超10質量%以下であってもよく、0質量%超5質量%以下であってもよい。
【0066】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、上述した成分以外の成分を含むことができる。その他の成分としては、通常化粧品に使用される成分、例えば保湿剤などの水性成分、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0067】
保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール(DPG)、グリセリン、1,2-ペンタンジオール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
本実施形態の水中油型乳化化粧料は、クリーム状であってもよく、経時安定性の観点から、25℃における粘度が5000~400000mPa・sであってもよく、10000~300000mPa・sであってもよく、20000~200000mPa・sであってもよい。
【0069】
上記の粘度は、25℃の試料について、ブルックフィールド型粘度計(BM型)又はブルックフィールド型粘度計(BH型)を用いて、下記の条件で測定した値を意味する。
250~2500mPa・s:BM型、ローターNo.2、回転数12rpm
1000~10000mPa・s:BM型、ローターNo.3、回転数12rpm
5000~50000mPa・s:BM型、ローターNo.4、回転数12rpm
50000~400000mPa・s:BH型、ローターNo.7、回転数10rpm
【0070】
本実施形態の水中油型乳化化粧料の用途としては、口紅及びグロスなどの口唇化粧料、チークなどが挙げられる。
【0071】
[水中油型乳化化粧料の製造方法]
本実施形態に係る水中油型乳化化粧料の製造方法としては、例えば、水、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、並びに必要に応じてその他の成分を混合、乳化することにより得ることができる。
【0072】
混合の手順としては、例えば、水、(C)成分及び(D)成分、並びにその他の水性成分を混合して得られる水相に、(A)成分及び(B)成分、並びにその他の油性成分を混合して得られる油相を撹拌しながら混合することで乳化させてもよい。界面活性剤は、油相に混合してもよく、水相に混合してもよく、油相と水相とに分けて混合してもよい。また、粉体成分は、油相に混合してもよく、水相に混合してもよく、油相と水相とに分けて混合してもよい。
【0073】
油相を調製するときの温度は、(B)成分やその他の固形油が溶解する温度であってもよい。水相を調製するときの温度は、室温であってもよい。
【実施例0074】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0075】
[水中油型乳化化粧料の調製]
(実施例1~14及び比較例1~5)
表1~4に示される処方(配合量の数値は化粧料全量を基準とする含有量(質量%)を示す)で、下記の製法にて水中油型乳化化粧料(口紅)を調整した。
【0076】
<製法>
b群の各成分を混合し、80℃に加熱して溶解、均一化し、これを油相とした。次に、a群の各成分を混合し、80℃に加熱し、水相とした。80℃の水相に油相を撹拌しながら添加することで乳化させ、冷却することで水中油型乳化化粧料を得た。
【0077】
得られた水中油型乳化化粧料について、下記の評価方法に基づき各項目の評価を実施した。その結果を表1~4に示す。
【0078】
<化粧料の使用性の評価>
化粧品評価専門パネル5名に、実施例及び比較例の化粧料をそれぞれチップを用いて唇に塗布してもらい、ツヤ感、密着性、ムラづきのなさ(着色ムラのなさ)、乾燥感のなさ、化粧持ち、ティント(染色)効果の観点から使用性を評価してもらった。なお、使用性の評価は、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良

[判定基準(評点の平均点)]
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0079】
<化粧料の経時安定性>
化粧料をスクリュー管にいれ、25℃で1ヶ月静置した。静置後の化粧料の外観の変化を目視にて確認し、下記の判定基準に従って経時安定性を評価した。
[判定基準]
◎:変化なし
○:わずかな分離(又は色ムラ)が見られる
×:分離が見られる
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
表1~4中、各原料の詳細については下記のとおりである。
水溶性増粘剤A:「SEPINOV EMT 10」(SEPPIC社製、製品名)(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを90質量%含有する混合物)
水溶性増粘剤B:(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
水溶性増粘剤C:(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリルサンベヘネス-25)クロスポリマー
ダイマー酸エステルA:ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/べヘニル)
ダイマー酸エステルB:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
【0085】
また、高級アルコールの融点、油剤の25℃での性状、及び液状である場合の粘度は下記のとおりである。
セテアリルアルコール:融点50℃
ベヘニルアルコール:融点66℃
ステアリルアルコール:融点61℃
オクチルドデカノール:25℃で液状
トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2:25℃における粘度300mPa・s
ダイマー酸エステルA:25℃でペースト状
ダイマー酸エステルB:25℃でペースト状
エチルヘキサン酸セチル:25℃における粘度14mPa・s
重質流動イソパラフィン:25℃における粘度28000mPa・s
【0086】
なお、上記の融点は以下の方法によって測定した。
試料を約5mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「DSC7020」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)中に設置した。電気冷却ユニット「Polyscience」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて、窒素ガス流量30~35mL/minのもと、試料及び基準試料を-10℃で1分間保持した後、昇温速度10℃/minで0℃から120℃まで昇温させ、降温条件-10℃/minで120℃から-10℃まで降温させ、-10℃で5分間保持した後に再び昇温速度10℃/minで-10℃から120℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得た。このときの2回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点とした。なお、ピーク温度が複数ある場合、融解温度が最も高いピーク温度を融点とした。
【0087】
また、油剤の25℃における粘度は、25℃の試料について、ブルックフィールド型粘度計(BM型)又はブルックフィールド型粘度計(BH型)を用いて、下記の条件で測定した。
250mPa・s未満:BM型、ローターNo.1、回転数12rpm、又はBM型、ローターNo.2、回転数12rpm
250~2500mPa・s:BM型、ローターNo.2、回転数12rpm
1000~10000mPa・s:BM型、ローターNo.3、回転数12rpm
5000~50000mPa・s:BM型、ローターNo.4、回転数12rpm
50000~400000mPa・s:BH型、ローターNo.7、回転数10rpm
【0088】
(実施例16:口紅)
(成分) (配合割合(質量%))
1. 水 残余
2. 1,3-BG 10
3. フェノキシエタノール 0.5
4. グリセリン 3
5. クエン酸 適量
6. クエン酸Na 適量
7. 水溶性増粘剤A 0.6
8. キサンタンガム 0.2
9. ペンタンジオール 1
10.赤227 0.04
11.赤104(1) 0.01
12.青1 0.002
13.黄4 0.04
14.赤226 0.9
15.ベンガラ 0.5
16.黄酸化鉄 0.5
17.酸化チタン 0.5
18.グンジョウ 0.1
19.黒酸化鉄 0.3
20.イソステアリン酸PEG-60グリセリル 2.0
21.ステアリン酸グリセリル 2.0
22.セテアリルアルコール 0.9
23.重質流動イソパラフィン 18.0
24.水添ポリデセン混合物 18.0

上記成分の詳細は、以下に示す成分以外はすでに上述したものと同様である。
水添ポリデセン混合物:PIONEIR GEL 12 PAO(Hansen & Rosenthal KG社製、商品名)(水添ポリデセン、水添(スチレン/イソプレン)コポリマー、及びトコフェロールの混合物)
【0089】
<製法>
成分20~24を90℃で加熱混合し、油相とした。次に、成分1~19を90℃に加熱混合し水相とした。水相に油相を撹拌しながら混合することで乳化させ、冷却して、水中油型乳化化粧料を得た。
【0090】
<評価>
得られた口紅について、上記同様の評価を行ったところ、ツヤ感「◎」、密着性「◎」、ムラづきのなさ「◎」、乾燥感のなさ「◎」、化粧持ち「〇」、ティント(染色)効果「〇」、経時安定性「〇」の評価であることが確認された。