IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

特開2024-145378ネットワーク装置及びモデル学習方法
<>
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図1
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図2
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図3
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図4
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図5
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図6
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図7
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図8
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図9
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図10
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図11
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図12
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図13
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図14
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図15
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図16
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図17
  • 特開-ネットワーク装置及びモデル学習方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145378
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ネットワーク装置及びモデル学習方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/16 20220101AFI20241004BHJP
   H04L 41/5025 20220101ALI20241004BHJP
   H04L 41/5067 20220101ALI20241004BHJP
【FI】
H04L41/16
H04L41/5025
H04L41/5067
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057701
(22)【出願日】2023-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/RAN制御高度化技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 弘平
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 克典
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 力哉
(72)【発明者】
【氏名】新田 拓哉
(57)【要約】
【課題】品質情報を精度良く推定することを可能とするネットワーク装置及びモデル学習方法を提供する。
【解決手段】ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から端末装置における第1パケットの第1バッファ残量を算出するバッファ算出部と、算出した第1バッファ残量と、ネットワークにおける第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、端末装置における第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成するモデル学習部と、を有する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第1パケットの第1バッファ残量を算出するバッファ算出部と、
算出した前記第1バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、前記端末装置における前記第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成するモデル学習部と、を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1パケットは、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して配信される動画データを構成するパケットであり、
前記第1品質情報は、前記端末装置における前記動画データについてのQoE(Quality of Experience)を示す情報である、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記キャプチャ装置から送信された前記第1パケットを取得するパケット取得部を有し、
前記バッファ算出部は、前記パケット取得部における前記第1パケットの取得状況から前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項4】
請求項3において、さらに、
前記パケット取得部における前記第1パケットの取得状況から前記第1通信状態情報を算出する通信分析部を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記キャプチャ装置は、前記キャプチャ装置における前記第1パケットの取得状況から前記第1通信状態情報を生成し、さらに、
前記キャプチャ装置から送信された前記第1通信状態情報を取得する情報取得部を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記バッファ算出部は、
前記キャプチャ装置における前記第1パケットの取得状況から前記第1パケットのトラフィック量の推移状態を判定し、
判定した前記推移状態に応じて、前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記バッファ算出部は、前記推移状態が前記第1パケットのバースト送信が行われていることを示す第1推移状態であると判定した場合、前記推移状態が前記第1推移状態になってからの前記第1パケットのトラフィック量についての第1累積値を前記第1バッファ残量として算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記バッファ算出部は、前記推移状態が前記第1推移状態であると判定した後、前記推移状態が、前記バースト送信が行われていないことを示し、かつ、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対する前記第1パケットの送信が制限されていないことを示す第2推移状態に変化したと判定した場合、前記推移状態が前記第1推移状態であった時間帯における前記第1パケットのトラフィック量についての第2累積値を、前記第1バッファ残量として算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記バッファ算出部は、
前記推移状態が前記第2推移状態であった時間帯における単位時間あたりの前記第1パケットのトラフィック量についての平均値を算出し、
前記推移状態が前記第2推移状態であると判定した後、前記推移状態が、前記バースト送信が行われていないことを示し、かつ、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対する前記第1パケットの送信が制限されていることを示す第3推移状態に変化した判定した場合、前記第2累積値と、前記平均値と、前記推移状態が前記第3推移状態になってからの経過時間と、前記推移状態が前記第3推移状態になってからの前記第1パケットのトラフィック量の第3累積値とから、前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記バッファ算出部は、前記ネットワークを介して前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して送信された第2パケットの前記キャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第2パケットの第2バッファ残量を算出し、さらに、
算出した前記第2バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第2パケットの通信状態を示す第2通信状態情報との入力に伴って、前記学習モデルから出力される第2品質情報を取得する情報推定部と、
取得した前記第2品質情報を出力する情報出力部と、を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項11】
ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第1パケットの第1バッファ残量を算出し、
算出した前記第1バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、前記端末装置における前記第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成する、
ことを特徴とするモデル学習方法。
【請求項12】
請求項11において、さらに、
前記ネットワークを介して前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して送信された第2パケットの前記キャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第2パケットの第2バッファ残量を算出し、
算出した前記第2バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第2パケットの通信状態を示す第2通信状態情報との入力に伴って、前記学習モデルから出力される第2品質情報を取得し、
取得した前記第2品質情報を出力する、
ことを特徴とするモデル学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置及びモデル学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して端末装置に動画を配信する動画配信システム(以下、単に動画配信システムとも呼ぶ)では、例えば、ネットワークにおける遅延時間やパケットロス率等の通信状態を示す情報(以下、通信状態情報とも呼ぶ)と、端末装置における動画の品質を示す情報(以下、品質情報とも呼ぶ)との相関から、品質情報に与える影響が大きいと判断可能な通信状態情報を特定する。そして、動画配信システムでは、例えば、特定した通信状態情報を説明変数として学習することによって、品質情報を推定可能な学習モデル(以下、単に学習モデルとも呼ぶ)を生成する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/044065号
【特許文献2】国際公開第2022/097229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような動画配信システムでは、例えば、ネットワークにおいて通信状態情報の変化が発生したタイミングと、発生した変化が品質情報に影響を与えるタイミングとの間にタイムラグがある場合がある。そのため、動画配信システムでは、例えば、上記のような学習モデルを用いる場合であっても、品質情報を精度良く推定することができない場合がある。
【0005】
そこで、一つの側面では、本発明は、品質情報を精度良く推定することを可能とするネットワーク装置及びモデル学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の一態様では、ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第1パケットの第1バッファ残量を算出するバッファ算出部と、算出した前記第1バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、前記端末装置における前記第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成するモデル学習部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面によれば、品質情報を精度良く推定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、動画配信システム10の構成について説明する図である。
図2図2は、動画配信システム10の構成について説明する図である。
図3図3は、情報処理装置1のハードウエア構成を説明する図である。
図4図4は、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能について説明する図である。
図5図5は、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能について説明する図である。
図6図6は、第1の実施の形態における学習処理の概略を説明するフローチャート図である。
図7図7は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図8図8は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図9図9は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図10図10は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図11図11は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図12図12は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。
図13図13は、品質情報132の具体例について説明する図である。
図14図14は、通信状態情報133の具体例について説明する図である。
図15図15は、パケット取得量波形の具体例について説明する図である。
図16図16は、バッファ残量134の具体例について説明する図である。
図17図17は、教師データDTの具体例について説明する図である。
図18図18は、第1の実施の形態における推定処理について説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることができる。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることができる。
【0010】
[第1の実施の形態における動画配信システムの構成]
初めに、動画配信システム10の構成について説明を行う。図1及び図2は、動画配信システム10の構成について説明する図である。
【0011】
動画配信システム10は、図1に示すように、例えば、情報処理装置1(以下、ネットワーク装置1とも呼ぶ)と、動画配信装置2(以下、アプリケーション装置2とも呼ぶ)と、キャプチャ装置3と、端末装置4aと、端末装置4bと、端末装置4cとを有する。以下、端末装置4a、端末装置4b及び端末装置4cを総称して単に端末装置4とも呼ぶ。また、以下、動画配信システム10が3台の端末装置4を有する場合について説明を行うが、動画配信システム10は、例えば、3台以外の台数の端末装置4を有するものであってよい。
【0012】
動画配信装置2は、例えば、物理マシンや仮想マシンであり、ネットワークNWを介して動画を配信する装置である。
【0013】
端末装置4は、例えば、動画を閲覧する利用者(以下、単に利用者とも呼ぶ)が利用するPC(Personal Computer)やスマートフォン等の端末であり、ネットワークNWを介して動画配信装置2から配信された動画を出力画面(図示せず)に出力する。具体的に、端末装置4は、例えば、ネットワークNWを介して動画配信装置2から連続的に送信されるパケット(動画を構成するパケット)を受信して出力装置に出力する。
【0014】
キャプチャ装置3は、例えば、動画配信装置2から送信されたパケットを取得する。具体的に、キャプチャ装置3は、例えば、動画配信装置2から送信されたパケットを複製し、複製したパケットを情報処理装置1に送信する。
【0015】
ネットワークNWは、例えば、インターネット網INを含むネットワークである。具体的に、ネットワークNWでは、例えば、動画配信装置2と端末装置4との間の少なくとも一部が有線によって接続される。また、ネットワークNWでは、例えば、動画配信装置2と端末装置4との間の少なくとも一部が無線によって接続される。なお、ここでの無線は、例えば、第5世代移動体通信システム(5G:5th Generation Mobile Communication System)の通信規格に従って接続されるものであってよい。
【0016】
さらに具体的に、ネットワークNWは、図2に示すように、例えば、コアネットワーク(CN:Core Network)5と無線アクセスネットワーク(Radio Access Network)6とを含むものであってよい。そして、コアネットワーク5は、例えば、インターネット網IN及び無線アクセスネットワーク6と有線によって接続されるものであってよい。また、無線アクセスネットワーク6は、例えば、各端末装置4と無線によって接続されるものであってよい。さらに、キャプチャ装置3は、例えば、コアネットワーク5と無線アクセスネットワーク6との間に設置されるものであってよい。
【0017】
情報処理装置1は、例えば、物理マシンや仮想マシンであり、キャプチャ装置3におけるパケットの取得状況に基づいて生成した教師データを学習することによって学習モデルを生成する処理(以下、学習処理とも呼ぶ)を行う。
【0018】
具体的に、情報処理装置1は、例えば、ネットワークNWを介して動画配信装置2から端末装置4に対して送信されたパケット(以下、第1パケットとも呼ぶ)の取得状況から端末装置4における第1パケットのバッファ残量(以下、第1バッファ残量とも呼ぶ)を算出(推定)する。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した第1バッファ残量と、ネットワークNWにおける第1パケットの通信状態を示す通信状態情報(以下、第1通信状態情報とも呼ぶ)と、端末装置4における第1パケットの出力に関する品質を示す品質情報(以下、第1品質情報とも呼ぶ)とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成する。通信状態情報は、例えば、ネットワークNWにおけるパケットの送受信についての遅延時間やパケットロス率等のKPI(Key Performance Indicator)である。また、品質情報は、例えば、端末装置4におけるQoE(Quality of Experience)である。
【0019】
また、情報処理装置1は、例えば、学習処理において生成した学習モデルを用いることによって、ネットワークNWにおける品質情報を推定する処理(以下、推定処理とも呼ぶ)を行う。
【0020】
具体的に、情報処理装置1は、例えば、学習処理における場合と同様に、ネットワークNWを介して動画配信装置2から端末装置4に対して送信されたパケット(以下、第2パケットとも呼ぶ)の取得状況から端末装置4における第2パケットのバッファ残量(以下、第2バッファ残量とも呼ぶ)を算出する。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した第2バッファ残量と、ネットワークNWにおける第2パケットの通信状態を示す通信状態情報(以下、第2通信状態情報とも呼ぶ)との入力に伴って学習モデルから出力される品質情報(以下、第2品質情報とも呼ぶ)を取得する。その後、情報処理装置1は、例えば、取得した第2品質情報を出力する。
【0021】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、品質情報を推定可能な学習モデルを生成する際に、通信状態情報及び品質情報に加えて、端末装置4におけるパケットのバッファ残量についても含む教師データを用いて学習を行う。
【0022】
これにより、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、ネットワークにおいて通信状態が変化するタイミングと、発生した変化が品質情報に影響を与えるタイミングとの間におけるタイムラグを反映した推定結果を出力する学習モデルを生成することが可能になる。そのため、情報処理装置1は、生成した学習モデルを用いることで、例えば、QoE等の品質情報を精度良く推定することが可能になる。
【0023】
なお、以下、学習処理及び推定処理が同一の情報処理装置(情報処理装置1)において行われる場合について説明を行うが、これに限られない。具体的に、学習処理及び推定処理のそれぞれは、例えば、異なる情報処理装置において行われるものであってもよい。
【0024】
[情報処理装置のハードウエア構成]
次に、各情報処理装置1のハードウエア構成について説明を行う。図3は、情報処理装置1のハードウエア構成を説明する図である。
【0025】
情報処理装置1は、図3に示すように、例えば、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、通信装置(I/Oインタフェース)103と、記憶装置104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0026】
記憶装置104は、例えば、学習処理及び推定処理を行うためのプログラム110を記憶するプログラム格納領域(図示せず)を有する。また、記憶装置104は、例えば、学習処理及び推定処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶部130(以下、情報格納領域130とも呼ぶ)を有する。なお、記憶装置104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0027】
CPU101は、例えば、記憶装置104からメモリ102にロードされたプログラム110を実行して学習処理及び推定処理を行う。
【0028】
また、通信装置103は、例えば、キャプチャ装置3との通信を行う。
【0029】
[第1の実施の形態における情報処理装置の機能]
次に、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能について説明を行う。図4及び図5は、第1の実施の形態における情報処理装置1の機能について説明する図である。
【0030】
情報処理装置1は、図4に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラム110とが有機的に協働することにより、パケット取得部111と、情報取得部112と、通信分析部113と、バッファ算出部114と、データ生成部115と、モデル学習部116と、情報推定部117と、情報利用部118とを含む各種機能を実現する。
【0031】
また、情報格納領域130には、図5に示すように、例えば、パケット131と、品質情報132と、通信状態情報133と、バッファ残量134と、教師データDTと、学習モデルMDとを記憶する。
【0032】
初めに、学習処理における機能について説明を行う。
【0033】
パケット取得部111は、例えば、キャプチャ装置3から送信されたパケット(キャプチャ装置3によってキャプチャされたパケット)を受信する。そして、パケット取得部111は、例えば、受信したパケットのうち、動画配信装置2から送信されたパケット131を抽出して取得する。その後、パケット取得部111は、例えば、取得したパケット131を情報格納領域130に記憶する。具体的に、パケット取得部111は、例えば、取得したパケット131を、各パケット131の送信先の端末装置4と各パケット131が送受信されるセッションとが識別可能な状態で情報格納領域130に記憶する。
【0034】
さらに具体的に、パケット取得部111は、例えば、キャプチャ装置3から送信されたパケットごとに、各パケットのIP(Internet Protocol)ヘッダに含まれる送信元IPアドレスと各パケットのTCP(Transmission Control Protocol)ヘッダに含まれる送信元ポート番号との組合せから、各パケットが動画配信装置2から送信されたパケット131であるか否かを判定する。また、パケット取得部111は、例えば、動画配信装置2から送信されたと判定したパケット131ごとに、各パケット131のIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスと各パケット131のTCPヘッダに含まれる宛先ポートとの組合せから、各パケット131の送信先の端末装置4と各パケット131が送受信されるセッションとを特定する。そして、パケット取得部111は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、動画配信装置2から送信されたと判定したパケット131を情報格納領域130に記憶する。
【0035】
情報取得部112は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、各端末装置4から送信された各セッションについての品質情報132を取得する。具体的に、情報取得部112は、例えば、各利用者が各利用者の端末装置4を介して入力した品質情報132を取得する。そして、情報取得部112は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、取得した品質情報132を情報格納領域130に記憶する。
【0036】
通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、パケット取得部111によるパケット131の取得状況から通信状態情報133を生成する。そして、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、生成した通信状態情報133を情報格納領域130に記憶する。
【0037】
具体的に、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、パケット取得部111が取得したパケット131の単位時間ごとのトラフィック量(以下、トラフィック量133aとも呼ぶ)を、通信状態情報133として算出するものであってよい。
【0038】
また、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、パケット取得部111が取得したパケット131が動画配信装置2から送信されてキャプチャ装置3を通過したタイミングと、各パケット131の受信確認応答(ACK:ACKnowledgement)が端末装置4から送信されてキャプチャ装置3を通過したタイミングとの間の時間(以下、応答所要時間とも呼ぶ)を算出するものであってよい。そして、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、算出した応答所要時間から予め定められた閾値を減算した時間(以下、遅延時間とも呼ぶ)を、通信状態情報133として算出するものであってよい。
【0039】
また、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、動画配信装置2から送信されてキャプチャ装置3を通過したパケット131のうち、受信確認応答がキャプチャ装置3を通過しなかったパケット131の割合(以下、パケットロス率とも呼ぶ)を算出するものであってよい。そして、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、算出した割合を、通信状態情報133として算出するものであってよい。
【0040】
バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、通信分析部113が生成した通信状態情報133から、端末装置4におけるバッファ残量134を算出する。そして、バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、算出したバッファ残量134を情報格納領域130に記憶する。
【0041】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、通信分析部113が生成した通信状態情報133に含まれるトラフィック量133aから、端末装置4ごとであってセッションごとのトラフィック量133aをそれぞれ特定する。そして、バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、特定したトラフィック量133aからバッファ残量134を算出する。
【0042】
さらに具体的に、バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、トラフィック量133aの推移状態(例えば、トラフィック量133aの時系列変化を示す波形)を特定する。そして、バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、特定した推移状態に応じてバッファ残量134を算出する。
【0043】
データ生成部115は、例えば、情報取得部112が取得した品質情報132と、通信分析部113が生成した通信状態情報133と、バッファ算出部114が算出したバッファ残量134とをそれぞれ含む複数の教師データDTを生成する。そして、データ生成部115は、例えば、生成した複数の教師データDTを情報格納領域130に記憶する。
【0044】
具体的に、データ生成部115は、例えば、同一の端末装置4及び同一のセッションに対応し、かつ、同一のタイミングにおける各状態を示す品質情報132と通信状態情報133とバッファ残量134とが同一の教師データDTに含まれるように、複数の教師データDTの生成を行う。
【0045】
データ学習部116は、例えば、データ生成部115が生成した複数の教師データDTを学習することによって学習モデルMDを生成する。そして、モデル学習部116は、例えば、生成した学習モデルMDを情報格納領域130に記憶する。
【0046】
次に、推定処理における機能について説明を行う。
【0047】
パケット取得部111は、例えば、キャプチャ装置3から送信された新たなパケットのうち、動画配信装置2から送信された新たなパケット131を抽出して取得する。そして、パケット取得部111は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、取得した新たなパケット131を情報格納領域130に記憶する。
【0048】
通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、パケット取得部111による新たなパケット131の取得状況から新たな通信状態情報133を生成する。そして、通信分析部113は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、生成した新たな通信状態情報133を情報格納領域130に記憶する。
【0049】
バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、通信分析部113が生成した新たな通信状態情報133から、端末装置4における新たなバッファ残量134を算出する。そして、バッファ算出部114は、例えば、端末装置4ごとであってセッションごとに、算出した新たなバッファ残量134を情報格納領域130に記憶する。
【0050】
情報推定部117は、例えば、通信分析部113が生成した新たな通信状態情報133と、バッファ算出部114が算出した新たなバッファ残量134とを学習モデルMDに入力する。そして、情報推定部117は、例えば、学習モデルMDから出力された新たな品質情報132を取得する。
【0051】
具体的に、情報推定部117は、例えば、同一の端末装置4及び同一のセッションに対応し、かつ、同一のタイミングにおける各状態を示す新たな通信状態情報133と新たなバッファ残量134とを学習モデルMDに入力する。
【0052】
情報利用部118は、例えば、情報推定部117が取得した新たな品質情報132に基づいて、動画配信システム10に含まれる各ネットワーク機器(図示せず)を制御する。
【0053】
具体的に、情報利用部118は、例えば、情報推定部117が取得した品質情報132が予め定められた品質条件(以下、単に品質条件とも呼ぶ)を満たしていない場合、品質情報132が品質条件を満たすように、動画配信システム10に含まれる各ネットワーク機器(例えば、図2に示す無線アクセスネットワーク6)の各種設定を変更するものであってよい。
【0054】
また、情報利用部118は、例えば、情報推定部117が取得した新たな品質情報132を、情報処理装置1の管理者(以下、単に管理者とも呼ぶ)が閲覧する操作端末(図示せず)に出力する。
【0055】
[第1の実施の形態における学習処理の概略]
次に、第1の実施の形態の概略について説明する。図6は、第1の実施の形態における学習処理の概略を説明するフローチャート図である。
【0056】
情報処理装置1は、図6に示すように、例えば、ネットワークNWを介して動画配信装置2から端末装置4に対して送信されたパケット131の取得状況から、端末装置4におけるパケット131のバッファ残量134を算出する(S1)。
【0057】
そして、情報処理装置1は、例えば、S1の処理において算出したバッファ残量134と、ネットワークNWにおけるパケット131の通信状態を示す通信状態情報133と、端末装置4におけるパケット131の出力に関する品質を示す品質情報132とを含む教師データDTを学習することによって学習モデルMDを生成する(S2)。
【0058】
これにより、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、ネットワークNWにおいて通信状態が変化するタイミングと、発生した変化が品質情報132に影響を与えるタイミングとの間におけるタイムラグを反映した推定結果を出力する学習モデルMDを生成することが可能になる。そのため、情報処理装置1は、生成した学習モデルMDを用いることで、例えば、QoE等の品質情報132を精度良く推定することが可能になる。
【0059】
[第1の実施の形態における学習処理の詳細]
次に、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明する。図7から図12は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明するフローチャート図である。また、図13から図17は、第1の実施の形態における学習処理の詳細について説明する図である。
【0060】
[パケット取得処理]
初めに、学習処理のうち、キャプチャ装置3によってキャプチャされたパケット131を取得する処理(以下、パケット取得処理とも呼ぶ)について説明を行う。図7は、パケット取得処理について説明するフローチャート図である。
【0061】
パケット取得部111は、図7に示すように、例えば、キャプチャ装置3から送信されたパケットを受信するまで待機する(S11のNO)。
【0062】
そして、キャプチャ装置3から送信されたパケットを受信した場合(S11のYES)、パケット取得部111は、例えば、受信したパケットが動画配信装置2から送信されたパケット131であるか否かを判定する(S12)。
【0063】
具体的に、パケット取得部111は、例えば、S11の処理で受信したパケットのIPヘッダに含まれる送信元IPアドレスとTCPヘッダに含まれる送信元ポート番号との組合せが、動画配信装置2に対応するIPアドレスとポート番号との組合せであるか否かを判定する。
【0064】
その結果、S11の処理で受信したパケットが動画配信装置2から送信されたパケット131であると判定した場合(S12のYES)、パケット取得部111は、例えば、S11の処理で受信したパケット131の送信先である端末装置4と、S11の処理で受信したパケット131の送受信が行われるセッションとを特定する(S13)。
【0065】
具体的に、パケット取得部111は、例えば、S11の処理で受信したパケット131のIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスとTCPヘッダに含まれる宛先ポート番号との組合せに対応する端末装置4とセッションとを特定する。
【0066】
そして、パケット取得部111は、例えば、S11の処理で受信したパケット131を、S13の処理で特定した端末装置4及びセッションのそれぞれの識別情報と対応付けて情報格納領域130に記憶する(S14)。
【0067】
一方、S11の処理で受信したパケットが動画配信装置2から送信されたパケット131でないと判定した場合(S12のNO)、パケット取得部111は、例えば、S13の処理及びS14の処理を行わない。
【0068】
[情報取得処理]
次に、学習処理のうち、品質情報132を取得する処理(以下、情報取得処理とも呼ぶ)について説明を行う。図8は、情報取得処理について説明するフローチャート図である。
【0069】
情報取得部112は、図8に示すように、例えば、端末装置4から送信された品質情報132を受信するまで待機する(S21のNO)。
【0070】
具体的に、情報取得部112は、例えば、利用者が端末装置4を介して端末装置4ごとであってセッションごとの品質情報132を入力するまで待機する。
【0071】
そして、端末装置4から送信された品質情報132を受信した場合(S21のYES)、情報取得部112は、例えば、受信した品質情報132を情報格納領域130に記憶する(S22)。
【0072】
具体的に、情報取得部112は、例えば、S21の処理で受信した品質情報132を、S21の処理で受信した品質情報132が送信された端末装置4及びセッションのそれぞれの識別情報と対応付けて情報格納領域130に記憶する。以下、品質情報132の具体例について説明を行う。
【0073】
[品質情報の具体例]
図13は、品質情報132の具体例について説明する図である。具体的に、図13は、情報格納領域130に蓄積された品質情報132の具体例について説明する図である。
【0074】
図13に示す品質情報132は、例えば、各時刻が設定される「時刻」と、各時刻におけるQoEが設定される「QoE」と、各QoEに対応する端末装置4の識別情報が設定される「端末ID」と、各QoEに対応するセッションの識別情報が設定される「セッションID」とを項目として有する。「QoE」には、例えば、品質が高い順に「5」、「4」、「3」、「2」または「1」が設定される。
【0075】
具体的に、図13に示す品質情報132における1行目の情報には、例えば、「時刻」として「12:00:02」が設定され、「QoE」として「5」が設定され、「端末ID」として「T001」が設定され、「セッションID」として「S001」が設定されている。
【0076】
すなわち、図13に示す品質情報132における1行目の情報には、例えば、端末IDがT001である端末装置4におけるセッションIDがS001であるセッションに対応するQoEのうち、12時00分02秒の時点におけるQoEが5であることを示している。
【0077】
また、図13に示す品質情報132における2行目の情報には、例えば、「時刻」として「12:00:05」が設定され、「QoE」として「1」が設定され、「端末ID」として「T002」が設定され、「セッションID」として「S002」が設定されている。
【0078】
すなわち、図13に示す品質情報132における2行目の情報には、例えば、端末IDがT002である端末装置4におけるセッションIDがS002であるセッションに対応するQoEのうち、12時00分05秒の時点におけるQoEが1であることを示している。図13に含まれる他の情報についての説明は省略する。
【0079】
[情報生成処理]
次に、学習処理のうち、通信状態情報133を生成する処理(以下、情報生成処理とも呼ぶ)について説明を行う。図9は、情報生成処理について説明するフローチャート図である。
【0080】
通信分析部113は、図9に示すように、例えば、情報生成タイミングになるまで待機する(S31のNO)。情報生成タイミングは、例えば、1秒ごと等の定期的なタイミングであってよい。
【0081】
そして、情報生成タイミングになった場合(S31のYES)、通信分析部113は、例えば、情報格納領域130に記憶されたパケット131のうち、前回の情報生成タイミング(例えば、1秒前のタイミング)から今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信された各パケット131を用いることによって、通信状態情報133を生成する(S32)。
【0082】
その後、通信分析部113は、例えば、S32の処理で生成した通信状態情報133を情報格納領域130に記憶する(S33)。以下、通信状態情報133の具体例について説明を行う。
【0083】
[通信状態情報の具体例]
図14は、通信状態情報133の具体例について説明する図である。具体的に、図14は、情報格納領域130に蓄積された通信状態情報133の具体例について説明する図である。
【0084】
図14に示す通信状態情報133は、例えば、各端末装置4の識別情報が設定される「端末ID」と、各セッションの識別情報が設定される「セッションID」と、各時刻が設定される「時刻」と、各時刻におけるパケット131の送受信についての遅延時間が設定される「遅延時間」と、各時刻におけるパケット131のパケットロス率が設定される「ロス率」と、各時刻におけるトラフィック量133aが設定される「トラフィック量」とを項目として有する。
【0085】
具体的に、図14に示す通信状態情報133における1行目の情報には、例えば、「端末ID」として「T001」が設定され、「セッションID」として「S001」が設定され、「時刻」として「12:00:01」が設定され、「遅延時間」として「0(s)」が設定され、「ロス率」として「0(%)」が設定され、「トラフィック量」として「5.1(Mbps)」が設定されている。
【0086】
また、図14に示す通信状態情報133における4行目の情報には、例えば、「端末ID」として「T001」が設定され、「セッションID」として「S001」が設定され、「時刻」として「12:00:04」が設定され、「遅延時間」として「2.0(s)」が設定され、「ロス率」として「0.2(%)」が設定され、「トラフィック量」として「2.2(Mbps)」が設定されている。図14に含まれる他の情報についての説明は省略する。
【0087】
[バッファ算出処理]
次に、学習処理のうち、端末装置4におけるバッファ残量134を算出する処理(以下、バッファ算出処理とも呼ぶ)について説明を行う。図10は、バッファ算出処理について説明するフローチャート図である。なお、以下、1台の端末装置4(以下、特定の端末装置4とも呼ぶ)における1つセッション(以下、特定のセッションとも呼ぶ)に対応するバッファ残量134を算出する場合について説明を行う。
【0088】
バッファ算出部114は、図10に示すように、例えば、動画配信装置2から送信されたパケット131をキャプチャ装置3から受信するまで待機する(S41のNO)。
【0089】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、S12の処理及びS13の処理において、パケット取得部111が受信したパケットが動画配信装置2から送信されたパケット131であって、かつ、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するパケット131であると最初に判定されるまで待機する。
【0090】
そして、動画配信装置2から送信されたパケット131をキャプチャ装置3から受信した場合(S41のYES)、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された累積値に0を設定する(S42)。
【0091】
その後、バッファ算出部114は、例えば、バッファ算出タイミングになるまで待機する(S43のNO)。バッファ算出タイミングは、例えば、1秒ごと等の定期的なタイミングであってよい。
【0092】
そして、バッファ算出タイミングになった場合(S43のYES)、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133を参照し、トラフィック量133aについての推移状況を示す波形(以下、トラフィック波形とも呼ぶ)を特定する(S44)。
【0093】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するトラフィック量133aについての推移状況を示すトラフィック波形を特定する。以下、トラフィック波形について説明を行う。
【0094】
[トラフィック波形の具体例]
図15は、トラフィック波形の具体例について説明する図である。図15に示す例において、Wは、トラフィック波形を示すグラフであり、L1は、特定の端末装置4におけるバッファ残量134を示すグラフであり、L2は、特定の端末装置4における品質情報132(QoE)を示すグラフである。
【0095】
動画配信装置2は、特定の端末装置4に対する動画配信を開始する場合、図15に示すように、例えば、最初の時間帯である時間帯T1においてバースト送信を行う。すなわち、動画配信装置2は、例えば、時間帯T1において、特定の端末装置4における動画の再生開始時間を早める必要性から、動画の再生開始後よりも多くのパケット131を特定の端末装置4に対して送信する。一方、特定の端末装置4は、この場合、例えば、動画の再生を開始せずに待機する。
【0096】
すなわち、時間帯T1は、図15に示すように、例えば、特定の端末装置4における動画の再生が開始される前の時間帯であり、特定の端末装置4におけるバッファ残量134が増加する時間帯である。
【0097】
その後、動画配信装置2は、例えば、時間帯T2においてバースト送信時よりも少ない量のパケット131の送信を特定の端末装置4に対して行う。そして、特定の端末装置4は、この場合、例えば、動画の再生を開始する。
【0098】
すなわち、時間帯T2は、図15に示すように、例えば、特定の端末装置4における動画の再生が開始される時間帯であり、特定の端末装置4におけるバッファ残量134の増減が他の時間帯(例えば、時間帯T1や時間帯T3)よりも抑えられる時間帯である。
【0099】
また、時間帯T2は、例えば、動画配信装置2から動画の再生に必要な十分なパケット131が送信され、かつ、バッファ残量134が十分に確保されている時間帯である。そのため、時間帯T2は、例えば、特定の端末装置4における他の時間帯(例えば、時間帯T3)よりもQoEが高くなる時間帯である。
【0100】
続いて、例えば、時間帯T3においてネットワークNWの輻輳等によって特定の端末装置4に送信されるパケット131の量が減少した場合、特定の端末装置4は、バッファに格納されたパケット131を用いながら動画の再生を継続する。そして、例えば、バッファ残量134が閾値以下(例えば、0)になった場合、特定の端末装置4では、動画の再生が中断(停止)する。
【0101】
すなわち、時間帯T3は、図15に示すように、例えば、特定の端末装置4におけるバッファ残量134が減少する時間帯である。また、時間帯T3は、例えば、バッファ残量134が閾値以下になった場合、特定の端末装置4におけるQoEが低下する時間帯である。
【0102】
その後、動画配信装置2は、例えば、時間帯T4において特定の端末装置4に対するバースト送信を再度行う。
【0103】
すなわち、時間帯T4は、図15に示すように、例えば、特定の端末装置4におけるバッファ残量134が再度増加する時間帯である。
【0104】
続いて、動画配信装置2は、例えば、時間帯T5においてバースト送信時よりも少ない量のパケット131の送信を特定の端末装置4に対して再度行う。そして、特定の端末装置4は、この場合、例えば、動画の再生を再開する。
【0105】
すなわち、時間帯T5は、図15に示すように、例えば、特定の端末装置4におけるQoEが回復する時間帯である。
【0106】
ここで、トラフィック波形は、図15に示すように、例えば、ネットワークNWの通信状態等に応じて変化する。具体的に、バースト送信が行われている時間帯(例えば、時間帯T1及び時間帯T4)の波形は、例えば、バースト送信が行われていない時間帯の波形よりもトラフィック量133aが多くなる。また、バースト送信が行われていない時間帯のうち、ネットワークNWの輻輳等によってパケット131の送信が制限されていない時間帯(例えば、時間帯T2や時間帯T4)の波形は、パルス状の波形になる。一方、バースト送信が行われていない時間帯のうち、ネットワークNWの輻輳等によってパケット131の送信が制限されている時間帯(例えば、時間帯T3)の波形は、例えば、パルス状でない波形(パルスが潰れている状態の波形)になる。
【0107】
そのため、バッファ算出部114は、例えば、図15に示す波形W1aや波形W1bのように、トラフィック波形がパルス状の波形でなく、かつ、トラフィック量133aが予め定められた閾値よりも多い場合、バースト送信が行われていると判定する。また、バッファ算出部114は、例えば、図15に示す波形W2aや波形W2bのように、トラフィック波形がパルス状の波形である場合、バースト送信が行われておらず、かつ、パケット131の送信が制限されていないと判定する。さらに、バッファ算出部114は、例えば、図15に示す波形W3aのように、トラフィック波形がパルス状の波形でなく、かつ、トラフィック量133aが予め定められた閾値よりも少ない場合、バースト送信が行われておらず、かつ、パケット131の送信が制限されていると判定する。
【0108】
そして、バッファ算出部114は、例えば、トラフィック波形の判定結果に応じて、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するバッファ残量134の算出を行う。
【0109】
以下、波形W1aや波形W1bのように、バースト送信が行われている時間帯の波形を第1波形とも呼ぶ。また、以下、波形W2aや波形W2bのように、バースト送信が行われていない時間帯のうち、パケット131の送信が制限されていない時間帯の波形を第2波形とも呼ぶ。また、以下、波形W3aのように、バースト送信が行われていない時間帯のうち、パケット131の送信が制限されている時間帯の波形を第3波形とも呼ぶ。
【0110】
さらに、以下、バースト送信が行われている時間帯におけるパケット131のトラフィック量133aについての推移状態を第1推移状態とも呼ぶ。また、以下、バースト送信が行われていない時間帯のうち、パケット131の送信が制限されていない時間帯におけるパケット131のトラフィック量133aについての推移状態を第2推移状態とも呼ぶ。また、以下、バースト送信が行われていない時間帯のうち、パケット131の送信が制限されている時間帯におけるパケット131のトラフィック量133aについての推移状態を第3推移状態とも呼ぶ。
【0111】
図8に戻り、S44の処理で特定した波形が第1波形である場合(S45のYES)、バッファ算出部114は、例えば、前回のバッファ算出タイミングから今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信されたパケット131のトラフィック量133aを、情報格納領域130に記憶された累積値に加算する(S46)。
【0112】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133を参照し、前回のバッファ算出タイミングから今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信されたパケット131のトラフィック量133aを算出する。そして、バッファ算出部114は、例えば、算出したトラフィック量133aを累積値に加算する。
【0113】
そして、バッファ算出部114は、例えば、S44の処理で算出した累積値をバッファ残量134として情報格納領域130に記憶する(S47)。その後、バッファ算出部114は、例えば、S43以降の処理を再度行う。
【0114】
すなわち、S44の処理で特定した波形が第1波形である場合、特定の端末装置4では、例えば、動画の再生が行われない。そのため、特定の端末装置4では、この場合、例えば、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するバッファ残量134が減少しないと判断することが可能である。
【0115】
したがって、バッファ算出部114は、この場合、例えば、前回のバッファ算出タイミングから今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信されたパケット131のトラフィック量133aの累積値をバッファ残量134として算出する。
【0116】
一方、S44の処理で特定した波形が第1波形でない場合(S45のNO)、バッファ算出部114は、図11に示すように、例えば、情報格納領域130に記憶された累積値を安定時のバッファ残量134(以下、安定時バッファ残量134aとも呼ぶ)として特定する(S51)。
【0117】
そして、S44の処理で特定した波形が第2波形である場合(S52のYES)、バッファ算出部114は、例えば、所定時間帯(例えば、直近の時間帯)におけるパケット131のトラフィック量133aから、単位時間あたりのパケット131のトラフィック量133aの平均値(以下、単に平均値とも呼ぶ)を算出する(S53)。ここでの単位時間は、例えば、連続する2つのバッファ算出タイミングの間の時間であってよい。
【0118】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133を参照し、所定時間帯におけるパケット131のトラフィック量133aを算出するものであってよい。そして、バッファ算出部114は、例えば、算出したトラフィック量133aを、所定時間帯に含まれる単位時間の数で除算することによって平均値を算出するものであってよい。
【0119】
なお、S53の処理で算出される平均値は、例えば、動画配信装置2から特定の端末装置4に対して配信される動画の動画レートに対応する。
【0120】
その後、バッファ算出部114は、例えば、S51の処理で算出した安定時バッファ残量134aをバッファ残量134として情報格納領域130に記憶する(S54)。そして、バッファ算出部114は、例えば、S43以降の処理を再度行う。
【0121】
すなわち、S44の処理で特定した波形が第2波形である場合、特定の端末装置4では、例えば、動画配信装置2から送信されるパケット131の量と、動画の再生に要するパケット131の量とが釣り合っていると判断することが可能である。そのため、特定の端末装置4では、この場合、例えば、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するバッファ残量134の増減が抑制されると判断することが可能である。
【0122】
したがって、バッファ算出部114は、この場合、例えば、トラフィック波形が第1波形であった時間帯(トラフィック波形が第2波形になる前の時間帯)におけるパケット131のトラフィック量133aの累積値をバッファ残量134として算出する。
【0123】
一方、S44の処理で特定した波形が第2波形でない場合(S52のNO)、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された累積値に0を設定する(S55)。
【0124】
そして、S44の処理で特定した波形が第3波形である場合(S56のYES)、バッファ算出部114は、例えば、前回のバッファ算出タイミングから今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信されたパケット131のトラフィック量133aを、情報格納領域130に記憶された累積値に加算する(S57)。
【0125】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133を参照し、前回のバッファ算出タイミングから今回の情報生成タイミングまでの間にキャプチャ装置3から送信されたパケット131のトラフィック量133aを算出する。そして、バッファ算出部114は、例えば、算出したトラフィック量133aを累積値に加算する。
【0126】
その後、バッファ算出部114は、例えば、S51の処理で特定した安定時バッファ残量134aと、S57の処理で算出した累積値と、S53の処理で算出した平均値と、S44の処理で特定した波形が第3波形になってからの経過時間とからバッファ残量134を算出し、算出したバッファ残量134を情報格納領域130に記憶する(S58)。そして、バッファ算出部114は、例えば、S43以降の処理を再度行う。
【0127】
具体的に、バッファ算出部114は、例えば、S53の処理で算出した平均値と、S44の処理で特定した波形が第3波形になってからの経過時間とを乗算することによって第1の値を算出する。そして、バッファ算出部114は、例えば、S57の処理で算出した累積値から第1の値を減算することによって第2の値を算出する。さらに、バッファ算出部114は、例えば、第2の値とS51の処理で特定した安定時バッファ残量134aとを加算することによって第3の値を算出する。その後、バッファ算出部114は、例えば、第3の値をバッファ残量134として特定する。
【0128】
すなわち、S44の処理で特定した波形が第3波形である場合、特定の端末装置4では、例えば、動画配信装置2から送信されるパケット131の量が動画の再生に要するパケット131の量よりも少ないと判断することが可能である。そのため、特定の端末装置4では、この場合、例えば、特定の端末装置4及び特定のセッションに対応するバッファ残量134が減少すると判断することが可能である。
【0129】
したがって、バッファ算出部114は、この場合、例えば、安定時バッファ残量134(トラフィック波形が第2波形であった時間帯のバッファ残量134)から、特定の端末装置4における動画の再生に伴うバッファ残量134の減少量を減算することによって、バッファ残量134を算出する。以下、バッファ残量134の具体例について説明を行う。
【0130】
[バッファ残量134の具体例]
図16は、バッファ残量134の具体例について説明する図である。具体的に、図16は、情報格納領域130に蓄積されたバッファ残量134の具体例について説明する図である。
【0131】
図16に示すバッファ残量134は、例えば、各端末装置4の識別情報が設定される「端末ID」と、各セッションの識別情報が設定される「セッションID」と、各時刻が設定される「時刻」と、各時刻におけるバッファ残量134が設定される「バッファ残量」とを項目として有する。
【0132】
具体的に、図16に示すバッファ残量134における1行目の情報には、例えば、「端末ID」として「T001」が設定され、「セッションID」として「S001」が設定され、「時刻」として「12:00:01」が設定され、「バッファ残量」として「50.2(MB)」が設定されている。
【0133】
また、図16に示すバッファ残量134における2行目の情報には、例えば、「端末ID」として「T001」が設定され、「セッションID」として「S001」が設定され、「時刻」として「12:00:02」が設定され、「トラフィック量」として「51.1(MB)」が設定されている。図16に含まれる他の情報についての説明は省略する。
【0134】
図11に戻り、S44の処理で特定した波形が第3波形でない場合(S56のNO)、バッファ算出部114は、例えば、バッファ算出処理を終了する。
【0135】
すなわち、バッファ算出部114は、S44の処理で特定した波形が第3波形でないと判定した場合、例えば、動画配信装置2による動画の配信(動画配信装置2から特定の端末装置4に対するパケット131の送信)が終了した判定し、バッファ算出処理を終了する。
【0136】
[学習処理のメイン]
次に、学習処理のメイン処理(以下、単にメイン処理とも呼ぶ)について説明を行う。図12は、メイン処理について説明するフローチャート図である。
【0137】
データ生成部115は、図12に示すように、例えば、学習タイミングになるまで待機する(S61のNO)。学習タイミングは、例えば、管理者が学習モデルMDの生成を行う旨の情報を情報処理装置1に入力したタイミングであってよい。
【0138】
そして、学習タイミングになった場合(S61のYES)、データ生成部115は、例えば、情報格納領域130に記憶された品質情報132と通信状態情報133とバッファ残量134とをそれぞれ含む複数の教師データDTを生成する(S62)。その後、データ生成部115は、例えば、生成した複数の教師データDTを情報格納領域130に記憶する。
【0139】
具体的に、データ生成部115は、例えば、同一の端末装置4及び同一のセッションに対応し、かつ、同一のタイミングにおける各状態を示す品質情報132と通信状態情報133とバッファ残量134とが同一の教師データDTに含まれるように、複数の教師データDTの生成を行う。以下、複数の教師データDTの具体例について説明を行う。
【0140】
[教師データの具体例]
図17は、複数の教師データDTの具体例について説明する図である。具体的に、図17は、情報格納領域130に蓄積された複数の教師データDTの具体例について説明する図である。
【0141】
図17に示す各教師データDTは、例えば、パケット131の送受信の遅延時間が設定される「遅延時間」と、パケット131のロス率が設定される「ロス率」と、パケット131のトラフィック量133aが設定される「トラフィック量」とを項目として有する。また、図17に示す各教師データDTは、例えば、端末装置4におけるQoEが設定される「QoE」と、端末装置4におけるバッファ残量134が設定される「バッファ残量」とを項目として有する。
【0142】
具体的に、図17に示す教師データDTにおける1行目の情報には、例えば、「遅延時間」として「0(s)」が設定され、「ロス率」として「0(%)」が設定され、「トラフィック量」として「5.1(Mbps)」が設定され、「QoE」として「5」が設定され、「バッファ残量」として「50.2(MB)」が設定されている。
【0143】
また、図17に示す教師データDTにおける5行目の情報には、例えば、「遅延時間」として「3.5(s)」が設定され、「ロス率」として「0.5(%)」が設定され、「トラフィック量」として「3.0(Mbps)」が設定され、「QoE」として「1」が設定され、「バッファ残量」として「15.2(MB)」が設定されている。図17に含まれる他の情報についての説明は省略する。
【0144】
図12に戻り、モデル学習部116は、例えば、S62の処理で生成した複数の教師データDTを学習することによって学習モデルMDを生成する(S63)。その後、モデル学習部116は、例えば、生成した学習モデルMDを情報格納領域130に記憶する。
【0145】
[第1の実施の形態における推定処理]
次に、第1の実施の形態における推定処理について説明する。図18は、第1の実施の形態における推定処理について説明するフローチャート図である。
【0146】
情報推定部117は、例えば、推定タイミングになるまで待機する(S71のNO)。推定タイミングは、例えば、管理者が品質情報132の推定を行う旨の情報を情報処理装置1に入力したタイミングであってよい。
【0147】
そして、推定タイミングになった場合(S71のYES)、情報推定部117は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133と、情報格納領域130に記憶されたバッファ残量134とを学習モデルMDに入力する(S72)。
【0148】
具体的に、情報推定部117は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133のうち、品質情報132の推定を行うタイミングに対応する通信状態情報133を取得する。また、情報推定部117は、例えば、情報格納領域130に記憶されたバッファ残量134のうち、品質情報132の推定を行うタイミングに対応するバッファ残量134を取得する。そして、情報推定部117は、例えば、取得した通信状態情報133とバッファ残量134とを学習モデルMDに入力する。
【0149】
さらに具体的に、情報推定部117は、例えば、情報格納領域130に記憶された通信状態情報133のうち、最も新しい通信状態情報133を取得する。また、情報推定部117は、この場合、例えば、情報格納領域130に記憶されたバッファ残量134のうち、最も新しいバッファ残量134を取得する。そして、情報推定部117は、例えば、取得した通信状態情報133とバッファ残量134とを学習モデルMDに入力する。
【0150】
その後、情報推定部117は、例えば、学習モデルMDから出力された品質情報132を取得する(S73)。
【0151】
そして、情報利用部118は、例えば、S73の処理で取得した品質情報132を操作端末(図示せず)に出力する(S74)。
【0152】
また、情報利用部118は、例えば、S73の処理で取得した品質情報132に基づいて、動画配信システム10に含まれる各ネットワーク機器(図示せず)を制御する。
【0153】
このように、本実施の形態における情報処理装置1は、学習処理において、例えば、ネットワークNWを介して動画配信装置2から端末装置4に対して送信された第1パケット131の第1バッファ残量134を算出する。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した第1バッファ残量134と、ネットワークNWにおける第1パケット131の通信状態を示す第1通信状態情報133と、端末装置4における第1パケット131の出力に関する品質を示す第1品質情報132とを含む教師データDTを学習することによって学習モデルMDを生成する。
【0154】
また、情報処理装置1は、推定処理において、例えば、学習処理における場合と同様に、ネットワークNWを介して動画配信装置2から端末装置4に対して送信された第2パケット131の取得状況から端末装置4における第2パケット131の第2バッファ残量134を算出する。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した第2バッファ残量134と、ネットワークNWにおける第2パケット131の通信状態を示す第2通信状態情報133との入力に伴って学習モデルMDから出力される第2品質情報132を取得する。そして、情報処理装置1は、例えば、取得した第2品質情報132を出力する。
【0155】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、品質情報132を推定可能な学習モデルMDを生成する際に、通信状態情報133及び品質情報132に加えて、端末装置4におけるパケット131のバッファ残量134についても含む教師データDTを用いて学習を行う。
【0156】
これにより、本実施の形態における情報処理装置1は、例えば、ネットワークNWにおいて通信状態が変化するタイミングと、発生した変化が品質情報132に影響を与えるタイミングとの間におけるタイムラグを反映した推定結果を出力する学習モデルMDを生成することが可能になる。そのため、情報処理装置1は、例えば、QoE等の品質情報132を精度良く推定することが可能になる。
【0157】
したがって、管理者は、例えば、端末装置4における品質情報132の推定結果を参照することで、端末装置4における品質情報132を向上させるためのネットワーク機器の制御等の適切な対応を行うことが可能になる。
【0158】
なお、上記の例では、同一タイミングにおける品質情報132と通信状態情報133とバッファ残量134とを含む教師データDTを用いることによって学習モデルMDを生成する場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、情報処理装置1は、例えば、同一のタイミング(以下、第1タイミングとも呼ぶ)における通信状態情報133及びバッファ残量134と、第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける品質情報132とを含む教師データDTを用いることによって学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0159】
これにより、情報処理装置1は、推定処理において、例えば、学習モデルMDに入力する通信状態情報133及びバッファ残量134に対応するタイミングよりも後のタイミングにおける品質情報132(すなわち、将来の品質情報132)についての推定を行うことが可能になる。
【0160】
また、上記の例では、情報処理装置1(パケット取得部111)がキャプチャ装置3から送信されたパケット131を取得し、かつ、情報処理装置1(通信分析部113)がパケット131から通信状態情報133を生成する場合について説明を行ったが、これに限られない。
【0161】
具体的に、通信状態情報133は、例えば、パケット131を取得したキャプチャ装置3によって生成されるものであってよい。そして、情報処理装置1(情報取得部112)は、例えば、キャプチャ装置3から送信された通信状態情報133を受信し、受信した通信状態情報133を情報格納領域130に記憶するものであってもよい。
【0162】
これにより、情報処理装置1は、例えば、キャプチャ装置3から送信されたパケット131を記憶することが可能な記憶領域(情報格納領域130)を有する必要がなくなり、運用コストの削減を図ることが可能になる。
【0163】
以上の実施の形態をまとめると、以下の付記のとおりである。
【0164】
(付記1)
ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第1パケットの第1バッファ残量を算出するバッファ算出部と、
算出した前記第1バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、前記端末装置における前記第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成するモデル学習部と、を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0165】
(付記2)
付記1において、
前記第1パケットは、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して配信される動画データを構成するパケットであり、
前記第1品質情報は、前記端末装置における前記動画データについてのQoE(Quality of Experience)を示す情報である、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0166】
(付記3)
付記1において、さらに、
前記キャプチャ装置から送信された前記第1パケットを取得するパケット取得部を有し、
前記バッファ算出部は、前記パケット取得部における前記第1パケットの取得状況から前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0167】
(付記4)
付記3において、さらに、
前記パケット取得部における前記第1パケットの取得状況から前記第1通信状態情報を算出する通信分析部を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0168】
(付記5)
付記1において、
前記キャプチャ装置は、前記キャプチャ装置における前記第1パケットの取得状況から前記第1通信状態情報を生成し、さらに、
前記キャプチャ装置から送信された前記第1通信状態情報を取得する情報取得部を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0169】
(付記6)
付記1において、
前記バッファ算出部は、
前記キャプチャ装置における前記第1パケットの取得状況から前記第1パケットのトラフィック量の推移状態を判定し、
判定した前記推移状態に応じて、前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0170】
(付記7)
付記6において、
前記バッファ算出部は、前記推移状態が前記第1パケットのバースト送信が行われていることを示す第1推移状態であると判定した場合、前記推移状態が前記第1推移状態になってからの前記第1パケットのトラフィック量についての第1累積値を前記第1バッファ残量として算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0171】
(付記8)
付記7において、
前記バッファ算出部は、前記推移状態が前記第1推移状態であると判定した後、前記推移状態が、前記バースト送信が行われていないことを示し、かつ、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対する前記第1パケットの送信が制限されていないことを示す第2推移状態に変化したと判定した場合、前記推移状態が前記第1推移状態であった時間帯における前記第1パケットのトラフィック量についての第2累積値を、前記第1バッファ残量として算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0172】
(付記9)
付記8において、
前記バッファ算出部は、
前記推移状態が前記第2推移状態であった時間帯における単位時間あたりの前記第1パケットのトラフィック量についての平均値を算出し、
前記推移状態が前記第2推移状態であると判定した後、前記推移状態が、前記バースト送信が行われていないことを示し、かつ、前記アプリケーション装置から前記端末装置に対する前記第1パケットの送信が制限されていることを示す第3推移状態に変化した判定した場合、前記第2累積値と、前記平均値と、前記推移状態が前記第3推移状態になってからの経過時間と、前記推移状態が前記第3推移状態になってからの前記第1パケットのトラフィック量の第3累積値とから、前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0173】
(付記10)
付記9において、
前記バッファ算出部は、前記第3累積値から前記平均値と前記経過時間との積を減算した値に対して、前記第2累積値を加算することによって、前記第1バッファ残量を算出する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0174】
(付記11)
付記1において、
前記バッファ算出部は、前記ネットワークを介して前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して送信された第2パケットの前記キャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第2パケットの第2バッファ残量を算出し、さらに、
算出した前記第2バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第2パケットの通信状態を示す第2通信状態情報との入力に伴って、前記学習モデルから出力される第2品質情報を取得する情報推定部と、
取得した前記第2品質情報を出力する情報出力部と、を有する、
ことを特徴とするネットワーク装置。
【0175】
(付記12)
ネットワークを介してアプリケーション装置から端末装置に対して送信された第1パケットのキャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第1パケットの第1バッファ残量を算出し、
算出した前記第1バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第1パケットの通信状態を示す第1通信状態情報と、前記端末装置における前記第1パケットの出力に関する品質を示す第1品質情報とを含む教師データを学習することによって学習モデルを生成する、
ことを特徴とするモデル学習方法。
【0176】
(付記13)
付記12において、さらに、
前記ネットワークを介して前記アプリケーション装置から前記端末装置に対して送信された第2パケットの前記キャプチャ装置における取得状況から前記端末装置における前記第2パケットの第2バッファ残量を算出し、
算出した前記第2バッファ残量と、前記ネットワークにおける前記第2パケットの通信状態を示す第2通信状態情報との入力に伴って、前記学習モデルから出力される第2品質情報を取得し、
取得した前記第2品質情報を出力する、
ことを特徴とするモデル学習方法。
【符号の説明】
【0177】
1:情報処理装置 2:動画配信装置
3:キャプチャ装置 4:端末装置
10:動画配信システム 101:CPU
102:メモリ 103:I/Oインタフェース
104:記憶装置 105:バス
130:情報格納領域 IN:インターネット
NW:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18