(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145379
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、発泡用組成物、発泡体、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/08 20060101AFI20241004BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20241004BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C08J9/08 CER
C08J3/22 CEZ
C09K3/00 111B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057702
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000206901
【氏名又は名称】大塚化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 傑稔
(72)【発明者】
【氏名】安丸 千秋
【テーマコード(参考)】
4F070
4F074
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AA15
4F070AC16
4F070AC42
4F070AC43
4F070AC75
4F070AC94
4F070AD06
4F070AE09
4F070AE12
4F070AE27
4F070FB04
4F070FC09
4F074AA18
4F074AA20
4F074AA24
4F074AD10
4F074AD11
4F074AG06
4F074AG11
4F074BA03
4F074CA26
4F074DA24
4F074DA32
4F074DA35
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる発泡剤組成物を提供することである。
【解決手段】ステアリン酸金属塩が展着処理され、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を含む、発泡剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤組成物であって、
ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び
滑剤を含む、発泡剤組成物。
【請求項2】
前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種のステアリン酸金属塩である、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項3】
前記滑剤は、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオレフィンワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤である、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項4】
発泡剤樹脂組成物であって、
ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、
滑剤、及び
樹脂を含む、発泡剤樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂は、ポリオレフィンである、請求項4に記載の発泡剤樹脂組成物。
【請求項6】
発泡剤組成物の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項7】
発泡剤樹脂組成物の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項8】
発泡剤樹脂組成物の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項9】
発泡剤樹脂組成物の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項10】
発泡剤樹脂組成物の製造方法であって、
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項11】
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)請求項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項12】
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)請求項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項13】
前記工程(3)の前記脂肪酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂は、夫々、請求項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に含まれる前記重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂と同一の成分である、請求項12に記載の発泡用組成物の製造方法。
【請求項14】
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程
(4)請求項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、製造方法。
【請求項15】
前記工程(3)の前記脂肪酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂は、夫々、請求項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に含まれる前記重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂と同一の成分である、請求項14に記載の発泡用組成物の製造方法。
【請求項16】
発泡体の製造方法であって、
(5)請求項11~15の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡用組成物を発泡させる工程、を含む、製造方法。
【請求項17】
請求項11~15の何れか一項に記載の製造方法で製造された、発泡用組成物。
【請求項18】
請求項16に記載の製造方法で製造された、発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、発泡用組成物、発泡体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発泡剤として、重炭酸塩をポリマー等の添加剤で表面コーティングし、機能化した重炭酸塩を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性に優れた発泡体を得ることができる発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、あるいは発泡用組成物を提供することである。
【0005】
本発明の目的は、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性に優れた発泡体を提供することである。
【0006】
本発明の目的は、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性に優れた発泡体を得ることができる発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、あるいは発泡用組成物の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性に優れた発泡体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ステアリン酸金属塩を展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を含む発泡剤組成物を用いて発泡させた発泡体が、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性が優れていることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下に示す発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、発泡用組成物、発泡体、及びそれらの製造方法を提供する。
【0010】
項1.
発泡剤組成物であって、
ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び
滑剤を含む、発泡剤組成物。
【0011】
項2.
前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種のステアリン酸金属塩である、前記項1に記載の発泡剤組成物。
【0012】
項3.
前記滑剤は、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオレフィンワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤である、前記項1に記載の発泡剤組成物。
【0013】
項4.
発泡剤樹脂組成物であって、
ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、
滑剤、及び
樹脂を含む、発泡剤樹脂組成物。
【0014】
項5.
前記樹脂は、ポリオレフィンである、前記項4に記載の発泡剤樹脂組成物。
【0015】
項6.
発泡剤組成物の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を混合する工程、を含む、製造方法。
【0016】
項7.
発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【0017】
項8.
発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【0018】
項9.
発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法であって、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合する工程、を含む、製造方法。
【0019】
項10.
発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法であって、
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹を混合する工程、を含む、製造方法。
【0020】
項11.
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)前記項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、製造方法。
【0021】
項12.
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)前記項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、製造方法。
【0022】
項13.
前記工程(3)の前記脂肪酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂は、夫々、前記項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に含まれる前記重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂と同一の成分である、前記項12に記載の発泡用組成物の製造方法。
【0023】
項14.
発泡用組成物の製造方法であって、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物(MB2)を製造する工程
(4)前記項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、製造方法。
【0024】
項15.
前記工程(3)の前記脂肪酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂は、夫々、前記項7~10の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物に含まれる前記重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、前記滑剤、及び前記樹脂と同一の成分である、前記項14に記載の発泡用組成物の製造方法。
【0025】
項16.
発泡体の製造方法であって、
(5)前記項11~15の何れか一項に記載の製造方法で製造された発泡用組成物を発泡させる工程、を含む、製造方法。
【0026】
項17.
前記項11~15の何れか一項に記載の製造方法で製造された、発泡用組成物。
【0027】
項18.
前記項16に記載の製造方法で製造された、発泡体。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる発泡剤組成物、発泡剤樹脂組成物、発泡用組成物、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ表面平滑性の優れた発泡体、及びそれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明を表す実施の形態は、発明の趣旨がより良く理解出来る説明であり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
【0031】
本明細書において、「含む」及び「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみから成る(consist essentially of)」、及び「のみから成る(consist of)」の何れも包含する概念である。
【0032】
本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、「A以上、B以下」を意味する。
【0033】
本明細書において、一般に、部、%等の表示を使用する。
【0034】
本明細書において、特に断りがない限り、質量部又は質量%(wt%)を表す。
【0035】
1.発泡剤組成物
発泡体は、軽量性、及び断熱性等に優れていることから、自動車外装部品で使用されており、その用途で求められる性能の一つに、水中、又は高湿環境下での優れた表面平滑性がある。
【0036】
従来、重曹系発泡剤で発泡させた発泡体は、重曹系発泡剤由来の成分と水とが反応することで、大量の膨れ(ブリスタ)が発生するため、水中、又は高湿環境下において表面平滑性を維持することができない。
【0037】
一方、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられる発泡剤として、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)が挙げられる。ADCAは、しかし、発泡の際に人体に対して有害なガスが発生するため使用が好ましくないという側面が有る。
【0038】
本発明の発泡剤組成物は、ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を含む。
【0039】
本発明の発泡剤組成物を用いて、樹脂と混合して、発泡させることにより、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0040】
1-1.ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹
本発明の発泡剤組成物は、ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹(炭酸水素ナトリウム)を含む。
【0041】
以下、「St展着重曹」とも記す。
【0042】
St展着重曹は、重曹にステアリン酸金属塩を展着処理したものであって、重曹とステアリン酸金属塩とが化学的に結合した状態や、重曹にステアリン酸金属塩が物理的に付着した状態のものも含む。
【0043】
St展着重曹の製造方法としては、特に限定はなく、例えば、重曹にステアリン酸金属塩を混合し、ミル等で粉砕することで得ることができる。
【0044】
St展着重曹の製造で使用する重曹は、特に限定はなく、市販品を好適に使用することができる。
【0045】
展着処理に用いる脂肪酸金属塩は、特にステアリン酸金属塩が有用である。ステアリン酸金属塩は、特に限定はなく、公知のステアリン酸金属塩を広く使用することが可能である。ステアリン酸金属塩は、好ましくは、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸アルミニウム等を使用し、より好ましくは、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム等であり、更に好ましくは、ステアリン酸カルシウムである。
【0046】
ステアリン酸金属塩は、前記ステアリン酸金属塩から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらのステアリン酸金属塩を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0047】
展着処理に用いるステアリン酸金属塩の使用量は、展着剤としての効果を発現させることができる使用量であれば、特に限定はなく、重曹とステアリン酸金属塩との総量において、好ましくは、重曹80質量%~99質量%:ステアリン酸金属塩1質量%~20質量%使用し、より好ましくは、重曹90質量%~98質量%:ステアリン酸金属塩2質量%~10質量%の割合で使用する。
【0048】
重曹にステアリン酸金属塩を展着処理させることにより、発泡剤組成物に樹脂を混ぜて発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0049】
St展着重曹のメジアン径は、5μm以下であり、好ましくは、0.5μm~4μmであり、より好ましくは、1μm~3.8μmである。
【0050】
メジアン径はSympatec社製粒度分布測定装置Helos&Rodosを用いて測定することができる。
【0051】
重曹粉砕時に、ステアリン酸金属塩を添加すると、粉砕された重曹の粒子表面にステアリン酸金属塩が展着し、粉砕された重曹の凝集防止効果を発現すると同時に、このSt展着重曹は、常温において、重曹に比べて酸性度が高い化合物(後述)と接触しても、酸分解反応を起こさないという、コーティング処理と同じ効果を発現する。
【0052】
St展着重曹と重曹に比べて酸性度が高い化合物(クエン酸一ナトリウム等)とを混合すると、この混合物を長期貯蔵しても酸分解反応を起こすことなく、貯蔵安定性の高い混合物となる。この混合物を用いて発泡体を製造すると、均一で、微細な気泡で、かつ平滑な発泡体表面を保持した発泡体を得ることができる。
【0053】
St展着重曹のメジアン径を前記範囲に調整することにより、発泡剤組成物に樹脂を混ぜて発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0054】
1-2.滑剤
本発明の発泡剤組成物は、滑剤を含む。
【0055】
滑剤は、特に限定はなく、公知の滑剤を広く使用することが可能である。滑剤は、好ましくは、エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、アルコール系滑剤、高分子系滑剤、シリコーン系滑剤、ワックス類、モンタン酸エステル部分鹸化物、脂肪酸金属塩系滑剤等を使用する。
【0056】
エステル系滑剤は、好ましくは、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル等を使用する。エステル系滑剤は、より好ましくは、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ブチル、ペンタエリストールテトラステアレート、ステアリルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、グリセリンモノラウレート等を使用し、更に好ましくは、ステアリン酸モノグリセリドである。
【0057】
脂肪酸系滑剤は、好ましくは、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等を使用する。脂肪酸系滑剤は、より好ましくは、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸、カプロン酸、バルミチン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等を使用し、更に好ましくは、ステアリン酸、ラウリン酸である。
【0058】
脂肪酸アミド系滑剤は、好ましくは、飽和脂肪酸アミド系滑剤、不飽和脂肪酸アミド系滑剤等を使用する。脂肪酸アミド系滑剤は、より好ましくは、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンステアリン酸アミド、メチレンオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等を使用し、更に好ましくは、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドである。
【0059】
アルコール系滑剤は、好ましくは、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等を使用する。アルコール系滑剤は、より好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等を使用し、更に好ましくは、ステアリルアルコールである。
【0060】
高分子系滑剤は、好ましくは、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物等を使用する。
【0061】
シリコーン系滑剤は、好ましくは、ジメチルポリシロキサン及びその変性物、カルボキシル変性シリコーン、α-メチルスチレン変性シリコーン、α-オレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等を使用する。
【0062】
ワックス類は、好ましくは、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス等)等の石油ワックス、カルナウバロウ、モンタンロウ、カンデリラロウ、微晶ロウ、蜜ロウ、松脂等の天然ロウ状物質等を使用し、より好ましくは、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスである。
【0063】
脂肪酸金属塩系滑剤は、好ましくは、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム等を使用する。
【0064】
滑剤は、より好ましくは、エステル系滑剤、ワックス類等を使用し、更に好ましくは、ステアリン酸モノグリセリド、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等を使用し、特に好ましくは、ステアリン酸モノグリセリド、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスがより好ましく、ステアリン酸モノグリセリドを使用する。
【0065】
滑剤は、前記滑剤から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの滑剤を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0066】
発泡剤組成物に、St展着重曹と併せて、滑剤を用いることにより、樹脂を混ぜて発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0067】
発泡剤組成物において、St展着重曹と滑剤との配合割合は、St展着重曹100質量部に対して、滑剤を、好ましくは、0.1質量部~30質量部含有し、より好ましくは、1質量部~20質量部含有する。
【0068】
St展着重曹と滑剤との配合割合を前記範囲に調整することにより、発泡剤組成物に樹脂を混ぜて発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0069】
1-3.その他配合剤
本発明の発泡剤組成物は、前記成分以外に、その目的及び効果を損なわない範囲内で、様々な配合剤を添加しても良い。
【0070】
本発明の目的を害しない範囲内で、例えば、カーボンブラック、無機充填剤、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、酸化亜鉛(ZnO)、架橋助剤、架橋剤、顔料、染料、粘着性付与剤、気泡核剤、悪臭吸着剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、遮光剤、金属不活性剤、消光剤、防曇剤、防黴剤、抗菌剤、防臭剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤、硬化促進剤、希釈材、流動性調整剤、レベリング剤、粘着剤、接着剤、離型剤、潤滑剤、固体潤滑剤、強化剤、相溶化剤、導電剤、アンチブロッキング剤、アンチトラッキング剤、蓄光剤、難燃剤、分散剤等を、適宜選択して配合することができる。
【0071】
配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
【0072】
無機充填材は、特に制限はなく、好ましくは、シリカ;γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al2O3);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイ(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を使用する。
【0073】
無機充填材は、より好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、クレー等を使用する。
【0074】
無機充填材は、前記無機充填材から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの無機充填材を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0075】
2.発泡剤樹脂組成物
本発明の発泡剤樹脂組成物は、ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹(St展着重曹)、滑剤、及び樹脂を含む。
【0076】
本発明の発泡剤樹脂組成物を用い、発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0077】
2-1.樹脂
本発明の発泡剤樹脂組成物は、樹脂を含む。
【0078】
樹脂は、特に限定はなく、公知の樹脂を広く使用することが可能である。樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂等を使用する。
【0079】
熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリエチレン(低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリル樹脂等を使用し、より好ましくは、ポリエチレン(低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等を使用し、更に好ましくは、ポリエチレン(低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン等のポリオレフィンを使用する。
【0080】
樹脂は、前記樹脂から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの樹脂を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0081】
2-2.ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹(St展着重曹)
本発明の発泡剤樹脂組成物は、St展着重曹を含む。
【0082】
St展着重曹は、前記1-1に示す通りである。
【0083】
発泡剤樹脂組成物において、St展着重曹の含有量は、樹脂100質量部に対し、好ましくは、1質量部~50質量部含有し、より好ましくは、5質量部~40質量部含有し、更に好ましくは、10質量部~30質量部含有する。
【0084】
St展着重曹の含有量を前記範囲に調整することにより、発泡剤樹脂組成物を用い、発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0085】
2-3.滑剤
本発明の発泡剤樹脂組成物は、滑剤を含む。
【0086】
滑剤は、前記1-2に示す通りである。
【0087】
発泡剤樹脂組成物において、滑剤の含有量は、樹脂100質量部に対し、好ましくは、0.01質量部~20質量部含有し、より好ましくは、0.05質量部~10質量部含有し、更に好ましくは、0.1質量部~5質量部含有する。
【0088】
滑剤の含有量を前記範囲に調整することにより、発泡剤樹脂組成物を用い、発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0089】
2-4.その他配合剤
本発明の発泡剤樹脂組成物は、前記成分以外に、その目的及び効果を損なわない範囲内で、様々な配合剤を添加しても良い。
【0090】
その他配合剤は、前記1-3に示す通りである。
【0091】
3.発泡剤組成物の製造方法
本発明の発泡剤組成物の製造方法は、
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹(St展着重曹)、及び滑剤を混合する工程、を含む。
【0092】
本発明の製造方法で得られた発泡剤組成物を用いて、樹脂と混合して、発泡させることにより、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0093】
本発明の発泡剤組成物の製造方法としては、特に限定はなく、好ましくは、前記1-1に記載のSt展着重曹と滑剤とを混合する。
【0094】
St展着重曹と滑剤とを混合する方法は、公知の方法で混合することができ、好ましくは、回転ボールミル、振動ミル、遊星ミル、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機、ジェットミル、ハンマーミル等を用いて、湿式、及び乾式のどちらでも行うことができるが、より好ましくは、乾式法である。
【0095】
発泡剤組成物において、St展着重曹と滑剤との配合割合は、好ましくは、前記1-2に示す通りに、調整する。
【0096】
4.発泡剤樹脂組成物の製造方法
本発明の発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法は、St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合する工程を含み、これら各成分を混合する順番は、特に制限はなく、好ましくは、以下の製造方法である。
【0097】
本発明の製造方法で得られた発泡剤樹脂組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0098】
4-1.発泡剤樹脂組成物の製造方法1
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法。
【0099】
発泡剤樹脂組成物の製造方法1は、工程数が少ない観点で、得られる発泡剤樹脂組成物を用いて、発泡させると、好ましく、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0100】
4-2.発泡剤樹脂組成物の製造方法2
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合する工程、を含む、発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法。
【0101】
発泡剤樹脂組成物の製造方法2は、分散性の観点で、得られる発泡剤樹脂組成物を用いて、発泡させると、好ましく、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0102】
4-3.発泡剤樹脂組成物の製造方法3
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合する工程、を含む、発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法。
【0103】
発泡剤樹脂組成物の製造方法3は、分散性の観点で、得られる発泡剤樹脂組成物を用いて、発泡させると、好ましく、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0104】
4-4.発泡剤樹脂組成物の製造方法4
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合する工程、を含む、発泡剤樹脂組成物(MB1)の製造方法。
【0105】
発泡剤樹脂組成物の製造方法4は、分散性の観点で、得られる発泡剤樹脂組成物を用いて、発泡させると、好ましく、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0106】
4-5.製造方法
発泡剤樹脂組成物の製造方法において、St展着重曹と滑剤と樹脂とを、製造方法1~4の各工程に沿って、混合する方法は、公知の混合方法を採用することができる。
【0107】
発泡剤樹脂組成物の製造方法1~4の各工程では、必要に応じて、前記1-3に示すその他の配合剤を配合することができる。
【0108】
混合方法は、好ましくは、回転ボールミル、振動ミル、遊星ミル、ペイントシェーカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機、ジェットミル、ハンマーミル等を用いて、湿式及び乾式のどちらでも行うことができる。
【0109】
発泡剤樹脂組成物において、St展着重曹、滑剤、及び樹脂の配合割合は、好ましくは、前記2-2、及び2-3に示す通りに、調整する。
【0110】
5.発泡用組成物の製造方法
本発明の発泡用組成物の製造方法は、前記発泡剤樹脂組成物の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程を含み、これら各成分を混合する順番は、特に制限はなく、好ましくは、以下の製造方法である。発泡用組成物は、前記発泡剤樹脂組成物、及び重曹に比べて酸性度が高い化合物を含む。
【0111】
本発明の製造方法で得られた発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0112】
5-1.発泡用組成物の製造方法1
(3)前記製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0113】
発泡用組成物の製造方法1は、工程数が少ない観点で、得られる発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0114】
5-2.発泡用組成物の製造方法2
(3)前記製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0115】
発泡用組成物の製造方法2において、工程(3)の脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂は、好ましくは、夫々、前記発泡剤樹脂組成物(MB1)に含まれるSt展着重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、滑剤、及び樹脂と同一の成分である。
【0116】
発泡用組成物の製造方法2は、分散性の観点で、得られる発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0117】
5-3.発泡用組成物の製造方法3
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物(MB2)を製造する工程
(4)前記製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)に、工程(3)で製造された混合物(MB2)を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0118】
発泡用組成物の製造方法3において、工程(3)の脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂は、好ましくは、夫々、前記発泡剤樹脂組成物(MB1)に含まれるSt展着重曹に展着処理されるステアリン酸金属塩、滑剤、及び樹脂と同一の成分である。
【0119】
発泡用組成物の製造方法3は、気泡微細化・発泡安定性の観点で、得られる発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0120】
5-4.重曹に比べて酸性度が高い化合物
重曹(炭酸水素ナトリウム、NaHCO3)は、炭酸の酸解離定数がpKa1=6.3(炭酸)、pKa2=10.3であり、水溶液はpH=8.3程度の弱い塩基性を示す。
【0121】
重曹に比べて酸性度が高い化合物は、重曹に比べて酸性度が高い化合物であれば、特に限定はない。
【0122】
重曹に比べて酸性度が高い化合物は、好ましくは、有機酸、有機酸塩等を用いる。
【0123】
有機酸は、好ましくは、マロン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸等を用い、より好ましくは、クエン酸を用いる。
【0124】
有機酸塩は、好ましくは、クエン酸一ナトリウム(NaH2(C3H5O(COO)3))、クエン酸二ナトリウム、酒石酸カリウム、コハク酸二ナトリウム等を用い、より好ましくは、クエン酸一ナトリウムを用いる。
【0125】
重曹に比べて酸性度が高い化合物は、より好ましくは、有機酸塩であり、更に好ましくは、クエン酸一ナトリウムを用いる。
【0126】
重曹に比べて酸性度が高い化合物は、前記重曹に比べて酸性度が高い化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの重曹に比べて酸性度が高い化合物を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0127】
発泡剤樹脂組成物(MB1)に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を添加し(発泡用組成物)、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0128】
発泡用組成物での重曹に比べて酸性度が高い化合物の使用量は、最終の発泡用組成物において、樹脂100質量部に対し、好ましくは、0.005質量部~5質量部の割合、より好ましくは、0.01質量部~3質量部の割合、更に好ましくは、0.05質量部~2質量部の割合となるように調整する。
【0129】
重曹に比べて酸性度が高い化合物の使用量を前記範囲に調整することにより、得られる発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。
【0130】
5-5.脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂
発泡用組成物の製造方法2、及び3では、各工程に沿って、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を添加し、混合する。
【0131】
脂肪酸金属塩は、特に限定はなく、例えば、公知の脂肪酸金属塩を広く使用することが可能である。脂肪酸金属塩は、好ましくは、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム等を使用し、更に好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムである。
【0132】
脂肪酸金属塩は、好ましくは、前記発泡剤樹脂組成物(MB1)に含まれるSt展着重曹に展着処理をされているステアリン酸金属塩と同一成分である。
【0133】
滑剤は、前記1-2に示す通りである。滑剤は、好ましくは、前記発泡剤樹脂組成物(MB1)に含まれる滑剤と同一成分である。
【0134】
樹脂は、前記2-1に示す通りである。樹脂は、好ましくは、前記発泡剤樹脂組成物(MB1)に含まれる樹脂と同一成分である。
【0135】
発泡用組成物において、滑剤、及び樹脂の配合割合は、好ましくは、前記2-3に示す通りに、調整する。
【0136】
発泡用組成物において、脂肪酸金属塩の使用量は、樹脂100質量部に対し、好ましくは、0.0005質量部~5質量部含有し、より好ましくは0.001質量部~2質量部含有し、更に好ましくは、0.005質量部~1質量部含有する。
【0137】
5-6.製造方法
発泡用組成物の製造方法において、前記発泡剤樹脂組成物の製造方法で製造された発泡剤樹脂組成物(MB1)と、重曹に比べて酸性度が高い化合物とを、追加的に、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂とを、発泡用組成物の製造方法1~3の各工程に沿って、混合する方法は、公知の混合方法を採用することができる。
【0138】
発泡剤樹脂組成物の製造方法1~3の各工程では、必要に応じて、前記1-3に示すその他の配合剤、前記2-1に示す樹脂を配合することができる。
【0139】
混合方法は、好ましくは、回転ボールミル、振動ミル、遊星ミル、ペイントシェーカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、撹拌機、ジェットミル、ハンマーミル等を用いて、湿式及び乾式のどちらでも行うことができるが、より好ましくは、乾式法である。
【0140】
本発明の発泡用組成物の製造方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0141】
発泡用組成物の製造方法1
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(1)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0142】
発泡用組成物の製造方法2
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(1)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0143】
発泡用組成物の製造方法3
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(4)前記工程(1)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0144】
発泡用組成物の製造方法4
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0145】
発泡用組成物の製造方法5
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0146】
発泡用組成物の製造方法6
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0147】
発泡用組成物の製造方法7
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0148】
発泡用組成物の製造方法8
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0149】
発泡用組成物の製造方法9
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0150】
発泡用組成物の製造方法10
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0151】
発泡用組成物の製造方法11
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、及び、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0152】
発泡用組成物の製造方法12
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合する工程、を含む、発泡用組成物の製造方法。
【0153】
5-7.発泡用組成物
本発明は、本発明の発泡用組成物の製造方法で製造された発泡用組成物を包含する。
【0154】
本発明の発泡用組成物を用いて、発泡させると、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性の優れた発泡体を得ることができる。
【0155】
6.発泡体の製造方法
6-1.製造方法
本発明の発泡体の製造方法は、
(5)前記製造方法で製造された発泡用組成物を発泡させる工程、を含む。
【0156】
工程(5)において、発泡用組成物を発泡させる方法は、公知の方法で発泡させることができ、例えば、発泡用組成物を射出成型により加熱して、発泡を行う。
【0157】
射出成型の成型時の温度条件は、樹脂の種類や物性に応じて適宜決定すれば良く、例えば、射出成型シリンダー温度は140℃~240℃、射出成型機の金型温度は20℃~80℃である。
【0158】
本発明の発泡体の製造方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0159】
発泡体の製造方法1
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(1)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0160】
発泡体の製造方法2
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(1)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0161】
発泡体の製造方法3
(1)St展着重曹、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(4)前記工程(1)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(4)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0162】
発泡体の製造方法4
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0163】
発泡体の製造方法5
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0164】
発泡体の製造方法6
(1)St展着重曹、及び滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(4)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0165】
発泡体の製造方法7
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0166】
発泡体の製造方法8
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0167】
発泡体の製造方法9
(1)St展着重曹、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、滑剤を混合して、混合物を製造する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(4)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0168】
発泡体の製造方法10
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0169】
発泡体の製造方法11
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、
(3)前記工程(2)で製造された混合物に、重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(3)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0170】
発泡体の製造方法12
(1)滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(2)前記工程(1)で製造された混合物に、St展着重曹を混合して、混合物を混合する工程、
(3)重曹に比べて酸性度が高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂を混合して、混合物を製造する工程、
(4)前記工程(2)で製造された混合物に、前記工程(3)で製造された混合物を混合して、混合物を製造する工程、及び、
(5)前記工程(4)で製造された混合物を発泡させる工程、を含む、発泡体の製造方法。
【0171】
6-2.発泡体
本発明は、本発明の発泡体の製造方法で製造された発泡体を包含する。
【0172】
本発明の発泡体は、水中、又は高湿環境下でも発泡体表面にブリスタの発生が抑えられ、表面平滑性に優れる。
【実施例0173】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明する。
【0174】
本発明がこれらに限定されるものではない。
【0175】
(1)ステアリン酸金属塩で展着処理した、メジアン径が5μm以下の重曹の製造
ステアリン酸カルシウムと重曹(メジアン径21μm)を表1に記載のその割合(質量%)で、ジェットミルを用いて、表1に記載のメジアン径になるように混合粉砕を行い、St展着重曹1~5を得た。メジアン径は、Sympatec社製粒度分布測定装置Helos&Rodosを用いて測定した。
【0176】
【0177】
(2)実施例1~8、及び比較例1~3:発泡剤樹脂組成物の製造
(2-1)実施例1~8:本発明の発泡剤樹脂組成物の製造
表2に記載の各成分をその割合(質量%)で、ミキシングロールにて、7分間、混合し、発泡剤樹脂組成物(MB1)を得た。
【0178】
(2-2)比較例1~3:樹脂組成物の製造
表1に記載の各成分をその割合(質量%)で、前記本発明の発泡体樹脂組成物の製造方法と同一条件にて混合し、樹脂組成物を得た。
【0179】
【0180】
(3)実施例9~16、及び比較例4~6:発泡用組成物、及び発泡体の製造
(3-1)重曹に比べて酸性度の高い化合物、脂肪酸金属塩、滑剤、及び樹脂との混合物の製造
表3に記載の各成分をその割合(質量%)でミキシングロールにて、7分間、混合し、重曹に比べて酸性度の高い化合物(クエン酸一ナトリウム)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸カルシウム)、滑剤(ステアリン酸モノグリセリド)、及び樹脂(低密度ポリエチレン)との混合物(MB2)を得た。
【0181】
【0182】
(3-2)実施例9~16:本発明の発泡用組成物、及び発泡体の製造
表4に記載の各成分のその割合(質量部)でミキシングロールにて、7分間、混合し、発泡用組成物を得た。
【0183】
得られた発泡用組成物をコアバック式射出成型機にて発泡させることで、縦7.8cm×横14.6cm×厚み1.8mmの本発明の発泡体(発泡倍率1.2倍)を得た。
【0184】
(3-3)比較例4~6:樹脂組成物、及び発泡体の製造
表5に記載の各成分のその割合(質量部)で、前記本発明の発泡用組成物の製造方法と同一条件にて混合し、樹脂組成物を得た。
【0185】
得られた樹脂組成物をコアバック式射出成型機にて発泡させることで、縦7.8cm×横14.6cm×厚み1.8mmの本発明には含まれない発泡体(発泡倍率1.2倍)を得た。
【0186】
(3-4)水中浸漬試験
得られた発泡体を、60℃で21日間、水中に浸漬させた後、発泡体表面の5cm×5cm角中のブリスタの個数を目視にて数えた。
【0187】
その結果を表4、及び5に示した。
【0188】
ブリスタの個数が少ない程、水中、又は高湿環境下でも発泡体の表面平滑性が優れている。
【0189】
【0190】
【0191】
本発明の発泡剤樹脂組成物、及び発泡用組成物を発泡させることで製造した発泡体は、水中、又は高湿環境下でもブリスタがほとんど発生せず、表面平滑性に優れている。
【0192】
各成分の詳細
※1:低密度ポリエチレン、MFR値 20
※2:高密度ポリエチレンワックス1、三井化学社製、Excerex 40800T
※3:高密度ポリエチレンワックス2、三井化学社製、207000
※4:ポリプロピレン、日本ポリプロ社製、ノバテックPP BC03BSW
※5:顔料マスターバッチ、レジノカラー工業社製、ブラックPBF-640
本発明の発泡剤組成物は、ステアリン酸金属塩が展着処理され、メジアン径が5μm以下の重曹、及び滑剤を含み、この発泡剤組成物を用い、発泡させることにより、水中、又は高湿環境下でもブリスタの発生が抑えられ、優れた表面平滑性を有する発泡体を得ることができる。