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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145381
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/196 20060101AFI20241004BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20241004BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20241004BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241004BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G08B13/196
G08B25/00 510M
G08B25/08 A
G06F21/32
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057704
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】長澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
(72)【発明者】
【氏名】藤江 聡明
【テーマコード(参考)】
5C054
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC01
5C054FC12
5C054HA19
5C084AA02
5C084AA13
5C084CC02
5C084CC17
5C084DD11
5C084DD21
5C084EE03
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB74
5C087DD05
5C087DD24
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】暗所等の撮影環境が悪い状態で利用者の顔が撮像された場合に、なりすましによる認証がされ難い監視システムを提供する。
【解決手段】監視システム1は、監視エリアへの侵入を監視する監視システム1であって、監視エリアに配置され、侵入を検知するセンサ30と、登録者の登録顔画像をあらかじめ記憶する記憶部13と、利用者の顔を撮像して入力顔画像を取得する撮像部15と、登録顔画像と入力顔画像とを照合して利用者を認証する認証手段23と、センサからの検知信号が取得されてから所定の保留時間の間に利用者の認証が成功しない場合に、監視エリアへの侵入異常と判定する判定手段25を有し、認証手段23は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定し、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合、判定手段25によって侵入異常と判定されることを抑制するための抑制処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアへの侵入を監視する監視システムであって、
前記監視エリアに配置され、前記侵入を検知するセンサと、
登録者の登録顔画像をあらかじめ記憶する記憶部と、
利用者の顔を撮像して入力顔画像を取得する撮像部と、
前記登録顔画像と前記入力顔画像とを照合して利用者を認証する認証手段と、
前記センサからの検知信号が取得されてから所定の保留時間の間に利用者の認証が成功しない場合に、前記監視エリアへの侵入異常と判定する判定手段と、を有し、
前記認証手段は、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定し、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合、前記判定手段によって前記侵入異常と判定されることを抑制するための抑制処理を実行する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記認証手段は、前記入力顔画像の輝度分布に基づいて、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記利用者の顔を撮像するときの照度を検出する照度検出手段を更に有し、
前記認証手段は、前記照度に基づいて、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記認証手段は、
前記入力顔画像と前記登録顔画像との類似度を示す類似度パラメータを求め、
前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、前記認証の成功に至っていない状態、かつ、前記類似度パラメータが所定の抑制閾値以上であることを条件として、前記抑制処理を実行する、請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記認証手段は、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、利用者の顔を検知したことを条件として、前記抑制処理を実行する、請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記抑制処理は、前記保留時間を延長する延長処理、又は前記監視エリアへの侵入異常と判定することを所定時間だけ待機する待機処理を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記認証手段は、前記入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、利用者の認証が成功に至っていない場合、照明環境を制御することを指示する照明制御ガイダンス信号を出力する、請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを用いて住居等の施設への侵入を監視し、侵入があった場合に警備センタに通報する警備装置が知られている。このような警備装置では、各種認証方式により認証対象者があらかじめ登録された人物であるか否かを判定して、警備装置の警備状態を設定する。
【0003】
特許文献1には、入退管理システムにおける利用者の認証において、顔認証を用いるものであって、取得された入力顔画像とあらかじめ登録されている顔画像とを照合する場合、照合端末装置の周辺の明るさ情報を取得し、取得した明るさ情報に基づき、認証用閾値を変更する技術が記載される。特許文献1に記載される技術では、照合端末装置の周辺の明るさ情報に基づき、認証用閾値を変更することで、精度が高い人物認証を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-176304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、照合端末装置の周辺の明るさ情報に基づき、認証用閾値を一律に変更するので、照合端末装置の周辺が暗いときに認証閾値が下げられ、なりすましによる認証がされ易くおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない状態で利用者の顔が撮像された場合に、監視エリアへの侵入があったと誤って判定することを抑制可能な監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る監視システムは、監視エリアへの侵入を監視する監視システムであって、監視エリアに配置され、侵入を検知するセンサと、登録者の登録顔画像をあらかじめ記憶する記憶部と、利用者の顔を撮像して入力顔画像を取得する撮像部と、登録顔画像と入力顔画像とを照合して利用者を認証する認証手段と、センサからの検知信号が取得されてから所定の保留時間の間に利用者の認証が成功しない場合に、監視エリアへの侵入異常と判定する判定手段とを有し、認証手段は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定し、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合、判定手段によって侵入異常と判定されることを抑制するための抑制処理を実行する。
【0008】
さらに、本発明に係る監視システムでは、認証手段は、入力顔画像の輝度分布に基づいて、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る監視システムは、利用者の顔を撮像するときの照度を検出する照度検出手段を更に有し、認証手段は、照度に基づいて、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であるか否かを判定することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る監視システムでは、認証手段は、入力顔画像と登録顔画像との類似度を示す類似度パラメータを求め、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、認証の成功に至っていない状態、かつ、類似度パラメータが所定の抑制閾値以上であることを条件として、抑制処理を実行することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る監視システムでは、認証手段は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、利用者の顔を検知したことを条件として、抑制処理を実行することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る監視システムでは、抑制処理は、保留時間を延長する延長処理、又は監視エリアへの侵入異常と判定することを所定時間だけ待機する待機処理を含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る監視システムでは、認証手段は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合において、利用者の認証が成功に至っていない場合、照明環境を制御することを指示する照明制御ガイダンス信号を出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る監視システムは、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない状態で利用者の顔が撮像された場合に、監視エリアへの侵入があったと誤って判定することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る監視システム1の機能ブロック図である。
図2】(A)は登録者情報テーブル131のデータ構造を示す図であり、(B)はセンサ情報テーブル132のデータ構造を示す図である。
図3】監視システム1の警備装置10によって実行される監視処理の流れを示すフロー図である。
図4図3に示すS109の処理のより詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る監視システムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1は、実施形態に係る監視システム1の機能ブロック図である。監視システム1は、監視エリアへの侵入(侵入異常)を監視する。監視エリアは、例えば、住居、商業施設、事務所、及び公共施設等の施設の建造物である。監視エリアは、建造物の外周又は建造物が建てられている土地を含んでもよい。監視システム1は、警備装置10、複数の監視センサ30、警備センタ装置40及び通信端末50を有する。監視センサ30は、警備装置10と通信可能に接続される。警備センタ装置40及び通信端末50は、ネットワーク60を介して警備装置10と通信可能に接続される。
【0018】
警備装置10は、監視エリアの内部に配置される。例えば、警備装置10は、監視エリアである建造物の内部に配置される。警備装置10は、施設の利用者の操作に応じて監視エリアを監視し、監視エリアへの侵入であると疑われるような異常が検知された場合に、警備センタ装置40に通報する。警備装置10は、インタフェース部11、通信部12、記憶部13、操作部14、撮像部15、表示部16、音声出力部17、照明部18、照度センサ19及び処理部20を有する。
【0019】
インタフェース部11は、警備装置10を監視センサ30と通信可能にするための構成であり、インタフェース回路を備える。インタフェース回路は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等の通信インタフェース回路である。インタフェース回路は、HD-SDI(High Definition Serial Digital Interface)等の画像伝送インタフェース回路でもよい。インタフェース部11は、監視センサ30から供給されたデータを処理部20に供給する。
【0020】
通信部12は、警備装置10を警備センタ装置40及び通信端末50と通信可能にするための構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信インタフェース回路は、例えば、有線LAN、無線LAN、LTE(Long Term Evolution)等の通信インタフェース回路である。通信部12は、警備センタ装置40及び通信端末50から受信されたデータを処理部20に供給するとともに、処理部20から供給されたデータを警備センタ装置40又は通信端末50に送信する。
【0021】
記憶部13は、データ及びプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部13は、処理部20による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部13にインストールされる。
【0022】
記憶部13は、データとして、現在の警備モードを示す警備モード情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、利用者の認証に使用される認証基準を示す認証基準情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、例えば1分である保留時間を示す保留時間情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、保留時間よりも長い時間である変更保留時間を示す変更保留時間情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、保留時間の延長を判断するときに使用される抑制閾値を示す抑制閾値情報を記憶する。抑制閾値情報に対応する抑制閾値は、認証基準情報に対応する認証基準よりも小さい値である。また、記憶部13は、登録者情報テーブル131及びセンサ情報テーブル132を記憶する。
【0023】
操作部14は、警備装置10に対する利用者の操作を受け付けるための構成であり、例えばキーパッドを備える。操作部14は、利用者の操作に応じた信号を生成して処理部20に供給する。
【0024】
撮像部15は、警備装置10の周辺を撮像するための構成であり、カメラを備える。カメラは、受光面に結像させるための結像光学系と、受光面に二次元に配列され、入射した光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)センサ等の光電変換素子と、光電変換素子の出力に基づいて画像を生成する画像生成回路とを備える。撮像部15は、利用者の顔を撮像して画像を取得し、取得した画像を入力顔画像として処理部20に供給する。なお、撮像部15は、外部接続のカメラから撮像画像を取得する手段として構成してもよい。
【0025】
表示部16は、画像を表示するための構成であり、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備える。表示部16は、処理部20から供給された信号に基づいて画像を生成して表示する。
【0026】
音声出力部17は、音声を出力するための構成であり、スピーカを備える。音声出力部17は、処理部20から供給された信号に基づいて音声を出力する。
【0027】
照明部18は、利用者の顔を照射するための構成であり、LED発光装置等の発光装置を備える。照明部18は、処理部20から供給された信号に基づいて光を出射する。
【0028】
照度センサ19は、警備装置10の周辺の明るさを検知するための構成である。照度センサ19は、入射した光量に応じた電流を出力するフォトダイオード等の受光素子と、受光素子の出力に基づいた信号を生成する信号生成回路とを有する。照度センサ19は、撮像部15が利用者の顔を撮像するときに生成された信号を、利用者の顔を撮像するときの照度を示す信号として処理部20に供給する。
【0029】
処理部20は、警備装置10の動作を統括的に制御する構成であり、一つ又は複数のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部20は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部20は、記憶部13に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、処理部20は、処理が適切に実行されるように、警備装置10の各構成の動作を制御する。
【0030】
処理部20は、取得手段21、計時手段22、認証手段23、受付手段24、判定手段25、設定手段26及び通報手段27を機能ブロックとして有する。これらの機能ブロックは、処理部20によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、警備装置10に実装されたファームウェアでもよい。
【0031】
複数の監視センサ30は、単にセンサとも称され、監視エリアに配置され、監視エリアへの侵入を検知する。複数の監視センサ30は、監視エリアへの侵入であると疑われるような監視エリアの異常を検知し、異常を検知したことを示す検知信号を警備装置10に出力する。検知信号は、監視センサ30のセンサIDを含む。例えば、監視センサ30は、監視エリアの異常として、建造物のドア又は窓等の開閉部の動作を検知するマグネットセンサである。監視センサ30は、赤外線の受光量の変化に基づいて、監視エリアの異常として監視エリアの内部の移動物体を検知する赤外線センサでもよい。監視センサ30は、撮像画像とあらかじめ記憶された背景画像との差分信号に基づいて、監視エリアの異常として監視エリアの内部の移動物体を検知する画像センサでもよい。
【0032】
警備センタ装置40は、警備員が常駐する警備センタに配置されるサーバ又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。警備センタ装置40は、警備装置10からの通報を受信する。警備センタ装置40は、通報が受信されると、通報の内容を表示すること等により、警備センタに常駐する警備員に通報の内容を報知する。
【0033】
通信端末50は、利用者が保有するスマートフォン又は携帯電話等の情報処理端末である。通信端末50は、警備装置10を操作するための所定の入力信号を警備装置10に送信する。
【0034】
図2(A)は、記憶部13に記憶され、登録者に関する情報を管理する登録者情報テーブル131のデータ構造を示す図である。登録者は、施設の利用者のうち、警備装置10を操作する者としてあらかじめ登録された者である。登録者情報テーブル131は、登録者ID、登録顔画像、通知先等を相互に関連付けて記憶する。
【0035】
登録者IDは、登録者を一意に識別する情報であり、例えば任意の文字列である。登録顔画像は、登録者の顔の画像である。通知先は、警備装置10による通知の宛先となる、登録者が保有する通信端末を識別する情報である。通知先は、例えば、プッシュ通知を送信するためのデバイストークン又はメッセージを送信するためのメールアドレス若しくは電話番号である。登録者情報テーブル131のデータは、警備装置10の管理者によってあらかじめ設定される。
【0036】
図2(B)は、記憶部13に記憶され、監視センサ30に関する情報を管理するセンサ情報テーブル132のデータ構造を示す図である。センサ情報テーブル132は、センサID、保留時間設定等を相互に関連付けて記憶する。
【0037】
センサIDは、監視センサ30を一意に識別する情報であり、例えば任意の文字列である。保留時間設定は、各監視センサ30に保留時間が設定されているか否かを示す情報である。保留時間は、監視センサ30が検知信号を出力してから、警備装置10が警備センタ装置40への通報を保留する時間である。保留時間が設定されていない監視センサ30が検知信号を出力した場合、警備装置10は、監視エリアへの侵入があった旨をただちに警備センタ装置40に通報する。保留時間が設定されている監視センサ30が検知信号を出力した場合、警備装置10は、記憶部13に記憶される保留時間情報に対応する保留時間だけ通報を保留してから、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報する。
【0038】
なお、警備装置10は、監視センサ30によって検知されてから保留時間の間に、異常の検知を取り消す、すなわちキャンセルする異常キャンセル操作がされた場合、保留時間が経過した後も、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報しない。
【0039】
警備装置10は、外出警備モード、在宅警備モード、部分警備モード及び解除モードのうちのいずれか1つの警備モードに設定される。外出警備モード、在宅警備モード及び部分警備モードでは、警備装置10は、監視エリアへの侵入を監視する。一方、解除モードでは、警備装置10は、監視エリアへの侵入を監視しない。
【0040】
例えば、監視エリアが登録者の住居である場合、登録者は、住居から外出するときに警備装置10を外出警備モードに設定し、帰宅したときに外出警備モードを解除して警備装置10を解除モードに設定する。警備装置10は監視エリアの内部に配置されるため、登録者が帰宅してから警備装置10を解除モードに設定するまでの間に、監視センサ30は、登録者が帰宅したことを監視エリアへの進入として検知する。警備装置10は、監視エリアへの侵入があったと判定されて警備センタ装置40に通報されることがないように、監視センサ30が進入を検知してから登録者が外出警備モードを解除するまでの標準的な時間としてあらかじめ設定された保留時間だけ通報を保留する。登録者が監視センサ30によって検知されてから保留時間の間に外出警備モードが解除された場合には、通報は行われない。
【0041】
また、在宅警備モードでは、警備装置10は、ドア及び窓等の開閉部の動作を検知するマグネットセンサ等の建造物の外周部分のセンサでのみ監視エリアである建造物の内部への侵入を監視し、監視エリアである建造物の内部での異常を監視しない。部分警備モードでは、警備装置10は、建造物の内部の一部の区画のセンサでのみで侵入を監視する。例えば、監視エリアである建造物が2階建ての住宅であり、利用者の寝室が建造物の2階部分である場合、部分警備モードでは、警備装置10は、建造物の2階部分の監視を解除し、建造物の外周部分及び1階部分を監視する。
【0042】
センサ情報テーブル132のデータは、警備装置10の管理者によってあらかじめ設定される。特に、保留時間設定のデータは、各監視センサ30が配置される場所に基づいて設定される。例えば、監視エリアが登録者の住居である場合、登録者が帰宅した際に最初に登録者を検知する監視センサ30には保留時間が設定され、他の監視センサ30には保留時間が設定されない。保留時間が設定される監視センサ30の例は、玄関のドアの開閉を検知するマグネットセンサである。保留時間が設定されない監視センサ30の例は、窓の開閉を検知するマグネットセンサ、移動物体を検知する赤外線センサ等である。
【0043】
図3は、監視システム1の警備装置10によって実行される監視処理の流れを示すフロー図である。監視処理は、記憶部13に記憶されたプログラムに基づいて、処理部20が警備装置10の各構成と協働することにより実現される。
【0044】
まず、取得手段21は、現在の警備モードを取得する(S101)。取得手段21は、記憶部13に記憶される警備モード情報に対応する警備モードを現在の警備モードとして取得する。次いで、取得手段21は、S101の処理で取得した現在の警備モードが解除モードであるか否かを判定する(S102)。
【0045】
まず、取得手段21は、現在の警備モードが解除モードでないと判定する(S102-NO)と、インタフェース部11を介して、監視センサ30から出力された検知信号を取得したか否かを判定する(S103)。
【0046】
次いで、取得手段21によって検知信号を取得した判定される(S103-YES)と、計時手段22は、検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されているか否かを判定する(S104)。計時手段22は、センサ情報テーブル132を参照し、検知信号に含まれるセンサIDの保留時間設定が「あり」に設定されている場合に、保留時間が設定されていると判定する。
【0047】
検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されている場合(S104-YES)、計時手段22は、保留時間の計時を開始する(S105)。例えば、計時手段22は、検知信号が取得された時刻を保留時間の開始時刻として記憶部13に記憶する。
【0048】
次いで、受付手段24は、利用者による、警備モードを変更する変更操作を受け付ける(S106)。現在の警備モードが外出警備モードである場合、受付手段24は、警備モードを解除するか否かを示す情報を表示部16に表示して、変更操作を受け付ける。また、現在の警備モードが在宅警備モード又は部分警備モードである場合、警備モードを解除するか否かを示す情報、及び異常の検知をキャンセルする否かを示す情報を表示部16に表示して、変更操作を受け付ける。なお、受付手段24は、監視エリアにおける警備モードを設定する変更操作以外の操作も受け付け可能である。
【0049】
次いで、判定手段25は、操作部14に対する変更操作が受け付けられたか否かを判定する(S107)。判定手段25は、操作部14から解除操作又はキャンセル操作に対応する信号が供給された場合に、変更操作が受け付けられたと判定する。
【0050】
変更操作が受け付けられていない場合(S107-NO)、計時手段22は、S105の処理で記憶された開始時刻から、あらかじめ設定された長さの保留時間が経過しているか否かを判定する(S108)。
【0051】
保留時間が経過していない場合(S108-NO)、監視処理はS106に戻り、受付手段24は再び変更操作を受け付ける。受付手段24は、保留時間が経過するか、又は変更を受け付けるまで、変更操作を繰り返し受け付ける。
【0052】
変更操作を受け付けた場合(S107-YES)、認証手段23は、登録者情報テーブル131に記憶される登録顔画像と撮像部15によって取得された入力顔画像とを照合して利用者を認証する(S109)。利用者による変更操作が入力されると、撮像部15等を制御して利用者の顔を撮像させ、利用者の顔を含む入力顔画像を取得させる。認証手段23は、登録者情報テーブル131に記憶された各登録顔画像と取得された入力顔画像とを照合して利用者を認証する。なお、認証方法はこれに限らず、認証手段23は、登録顔画像および入力顔画像における顔領域から抽出された眼や鼻などの複数の特徴点について、両画像間で対応する特徴点同士の位置関係の一致度合いに基づき利用者を認証してもよい。S109の処理では、認証手段23は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合、警備モードを設定する操作の内容に応じて、判定手段25によって侵入があったと判定されることを抑制するための抑制処理を実行する。
【0053】
次いで、認証手段23は、認証が成功したか否かを判定する(S110)。
【0054】
認証が成功していない場合(S110-NO)、計時手段22は、S105の処理で記憶された開始時刻から、あらかじめ設定された長さの保留時間が経過しているか否かを判定する(S111)。
【0055】
保留時間が経過していない場合(S111-NO)、監視処理はS109に戻り、認証手段23は再び利用者を認証する。認証手段23は、保留時間が経過するか、又は認証が成功するまで、繰り返し利用者を認証する。
【0056】
利用者の認証が成功した場合(S110-YES)、判定手段25は、監視エリアへの侵入がなかったと判定する(S112)。判定手段25は、監視センサ30からの検知信号が取得されてから保留時間の間に、変更操作が受け付けられ且つ利用者の認証が成功した場合に、監視エリアへの侵入がなかったと判定する。判定手段25は、検知信号が取得されてから保留時間の間に、変更操作が受け付けられず、又は変更操作が受け付けられたが利用者の認証が成功しなかった場合に、監視エリアへの侵入があったと判定する。
【0057】
次いで、設定手段26は、警備装置10の警備モードをS107の処理に従って変更する(S113)。設定手段26は、S107の処理において、解除操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、解除モードを示す情報に変更する。また、設定手段26は、S107の処理において、キャンセル操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を変更しない。以上で、監視処理は終了する。
【0058】
現在の警備モードが解除モードである場合(S102-YES)、又は検知信号が取得されない場合(S103-NO)、受付手段24は、S106の処理と同様に、警備モードを変更する変更操作を受け付ける(S114)。変更操作が受け付けられていない場合(S115-NO)、処理はS101に戻る。変更操作が受け付けられた場合(S115-NO)、判定手段25は、S107の処理と同様に、操作部14に対する変更操作が受け付けられたか否かを判定する(S115-YES)、認証手段23は、S109の処理と同様に、利用者を認証する(S116)。次いで、認証手段23は、S110の処理と同様に、認証が成功したか否かを判定する(S117)。認証が成功していない場合(S117-NO)、処理はS101に戻る。
【0059】
処理が成功した場合(S117-YES)、設定手段26は、S115の処理に応じて待機時間内に供給される信号に従って警備モードを変更し(S118)、処理はS101に戻る。設定手段26は、外出警備設定操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、外出警備モードを示す情報に変更する。設定手段26は、在宅警備設定操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、在宅警備モードを示す情報に変更する。設定手段26は、部分警備設定操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、部分警備モードを示す情報に変更する。設定手段26は、解除操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、解除モードを示す情報に変更する。なお、S114の処理の後、待機時間内に警備モードを変更する信号を受け取らなかった場合、認証手段23は、警備モードを変更しない。
【0060】
検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されていない場合(S104-NO)、変更操作が受け付けられるまでに保留時間が経過した場合(S108-YES)、又は認証が成功するまでに保留時間が経過した場合(S111-YES)、判定手段25は警告を出力する(S119)。判定手段25は、表示部16に所定の警告を表示するとともに、音声出力部17に所定の警告音を出力させる。
【0061】
次いで、判定手段25は、監視エリアへの侵入があったと判定する(S120)。すなわち、判定手段25は、監視センサ30からの検知信号が取得されてから保留時間の間に変更操作が受け付けられなかった場合、又は検知信号が取得されてから保留時間の間に利用者の認証が成功しなかった場合に、監視エリアへの侵入があったと判定する。
【0062】
次いで、通報手段27は、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報する(S121)。通報手段27は、検知信号を出力した監視センサ30のセンサIDを含む通報信号を生成する。通報手段27は、通信部12を介して、通報信号を警備センタ装置40に送信する。以上で、監視処理は終了する。
【0063】
図4は、図3に示すS109の処理のより詳細な処理の流れを示すフロー図である。
【0064】
まず、認証手段23は、撮像部15が取得した入力顔画像から人物の顔を検知したか否かを判定する(S201)。認証手段23は、例えばフレーム間差分処理又は背景差分処理を利用して、順次撮影された複数の入力画像において輝度値の時間的な変化を有する変化領域を抽出する。認証手段23は、抽出した各変化領域の大きさ、形状等の特徴量に基づいて、人物らしいと考えられる変化領域を人物領域として抽出する。認証手段23は、抽出した人物領域に対してSobelフィルタ等を用いて輝度変化の傾き方向が分かるようにエッジ画素を抽出する。認証手段23は、抽出したエッジ画素から、例えば一般化ハフ変換を用いて、所定の大きさを有する、頭部の輪郭形状を近似した楕円形状のエッジ分布を検出し、そのエッジ分布に囲まれた領域を顔領域として抽出する。なお、認証手段23は、Adaboost識別器等の他の公知の方法を用いて顔領域を抽出してもよい。認証手段23によって人物の顔を検知しないと判定される(S201-NO)と、S109の処理を終了する。
【0065】
認証手段23は、人物の顔を検知したと判定する(S201-YES)と、撮像部15が取得した入力顔画像から顔領域として抽出する(S202)。認証手段23は、S201の処理で抽出した人物の顔らしいと考えられる変化領域を顔領域として抽出する。
【0066】
次いで、認証手段23は、S202の処理で抽出した顔領域から、入力顔画像と登録者情報テーブル131に登録される登録者のそれぞれの登録顔画像との間の類似度を示す類似度パラメータである認証スコアを求める(S203)。認証手段23は、特徴量マッチング技術を用いて、入力画像内の顔領域から、目尻、鼻尖、口角等の各部位の位置又は形状等の特徴に基づいて各部位を検出し、その特徴量を求める。特徴量は、ハールライク(Haar-Like)特徴量及びHOG(Histogram of Oriented Gradient)特徴量等である。求められる特徴量は、登録者情報テーブル131に記憶される特徴量と同一の特徴量である。認証手段23は、入力画像内の顔領域及び登録者情報テーブル131に記憶される登録顔画像から、各部位の位置又は形状等の特徴に基づいて各部位を検出し、各部位のそれぞれの特徴量を求める。認証手段23は、各部位のそれぞれの特徴量と、登録者情報テーブル131に記憶される登録顔画像との類似の程度を求め、求めた類似の程度に重みをつけて合算し、認証スコアを求める。認証手段23は、求めた認証スコアを登録者情報テーブル131に記憶される登録者の登録者IDに関連付けて記憶する。
【0067】
次いで、認証手段23は、S203の処理で求めた認証スコアに基づいて登録者情報テーブル131に登録される登録者の中から候補者を抽出する(S204)。認証手段23は、S203の処理で求められた認証スコアの中で、最も大きい認証スコアに関連付けられて記憶される登録者IDが示す登録者を候補者として抽出する。
【0068】
次いで、認証手段23は、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準を使用して、利用者を認証する(S205)。認証手段23は、S204の処理で抽出された候補者に対応する登録者IDに関連付けられて記憶される認証スコアが、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準以上であることを条件として、利用者を認証する。認証手段23は、S204の処理で抽出された候補者に対応する登録者IDに関連付けられて記憶される認証スコアが、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準未満である場合、利用者を認証しない。
【0069】
次いで、認証手段23は、認証が成功したか否かを判定する(S206)。認証手段23によって認証が成功したと判定される(S206-YES)と、S109の処理は終了する。
【0070】
認証手段23は、認証が失敗したと判定する(S206-NO)と、撮像部15が入力顔画像の輝度分布の良否を示す輝度分布パラメータを求める(S207)。輝度分布パラメータは、取得された入力顔画像の輝度分布を示すパラメータである。輝度分布パラメータは、例えば、入力顔画像の撮影環境が逆光であるか否かを示すパラメータである。この場合、輝度分布パラメータは、S202の処理で抽出された顔領域に含まれる画素の輝度の平均値と、入力顔画像の顔領域以外の領域に含まれる画素の輝度の平均値との差を示す差分値である。他の例では、輝度分布パラメータは、入力顔画像の撮影環境が斜光であるか否かを示すパラメータである。この場合、輝度分布パラメータは、顔領域の右半分に含まれる画素の輝度の平均値と、顔領域の左半分に含まれる画素の輝度の平均値との差を示す差分値である。
【0071】
次いで、認証手段23は、撮像部15が入力顔画像を撮像したときの照明環境の良否を示す照度パラメータを求める(S208)。照度パラメータは、撮像部15の周辺の照明環境の良否、すなわち撮影環境が認証精度を低下させるものであるか否かを示す指標である。照度パラメータは、例えば、入力顔画像を撮像するときの照度である。他の例では、入力顔画像を撮像する前の照度と、入力顔画像を撮像する間の照度との差を示す差分値である。
【0072】
次いで、認証手段23は、S207の処理で求めた輝度分布パラメータ及び/又はS208の処理で求めた照度パラメータに基づいて、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好である否かを判定する(S209)。認証手段23は、S207の処理で求めた輝度分布パラメータ及びS208の処理で求めた照度パラメータと所定の閾値とを比較して、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好である否かを判定する。認証手段23は、S207の処理で求めた輝度分布パラメータ及びS208の処理で求めた照度パラメータの双方が所定の閾値以上である場合、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であると判定する(S209-YES)。認証手段23によって入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であると判定される(S209-YES)と、S109の処理は終了する。また、認証手段23は、S207の処理で求めた輝度分布パラメータ及びS208の処理で求めた照度パラメータの何れか一方が所定の閾値未満である場合、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でないと判定する(S207-NO)。なお、認証手段23は、S207の処理で求めた輝度分布パラメータ及びS208の処理で求めた照度パラメータの何れか一方が所定の閾値以上である場合、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であると判定してもよいし、S207又はS208の何れか一方の処理を省略してもよい。
【0073】
認証手段23は、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でないと判定する(S209-NO)と、保留時間を延長済であるか否かを判定する(S210)。認証手段23によって保留時間を延長済であると判定される(S210-YES)と、S109の処理は終了する。
【0074】
認証手段23は、保留時間を延長済でないと判定する(S210-NO)と、S203の処理で求めた認証スコアが所定の抑制閾値以上であるか否かを判定する(S211)。認証手段23は、S203の処理で求めた認証スコアと、記憶部13に記憶される抑制閾値情報に対応する抑制閾値とを比較する。認証手段23は、S203の処理で求めた認証スコアが記憶部13に記憶される抑制閾値情報に対応する抑制閾値以上である場合、認証スコアが所定の抑制閾値以上であると判定する(S211-YES)。認証手段23は、S203の処理で求めた認証スコアが記憶部13に記憶される抑制閾値情報に対応する抑制閾値未満である場合、認証スコアが所定の抑制閾値未満であると判定する(S211-NO)。認証手段23によって認証スコアが所定の抑制閾値未満であると判定される(S211-NO)と、S109の処理は終了する。
【0075】
認証手段23は、認証スコアが所定の抑制閾値以上であると判定する(S211-YES)と、保留時間を延長する(S212)。保留時間を延長する延長処理は、判定手段25によって監視エリアへの侵入があったと判定されることを抑制するための抑制処理の一例である。認証手段23は、S105の処理で計時を開始した保留時間の延長を計時手段22に指示する。計時手段22は、認証手段23からの指示に応じて保留時間を延長する。計時手段22は、計時する保留時間を、保留時間情報に対応する保留時間から変更保留時間情報に対応する変更保留時間に変更することで、保留時間を延長する。
【0076】
次いで、認証手段23は、照明環境を制御することを指示する照明制御ガイダンス信号を音声出力部17に出力する(S213)。音声出力部17は、照明制御ガイダンス信号が入力されることに応じて、「照明を調整して下さい」等の音声を出力する。音声出力部17から音声が出力されることに応じて、利用者は、照明部18を調整して照明部18から出射される光の光量を制御する。そして、S109の処理は終了する。
【0077】
入力顔画像の輝度分布が良好であることは、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であることの一例である。また、照度パラメータが良好であることは、入力顔画像を撮像したときの明るさが良好であることの一例である。
【0078】
監視システム1は、利用者の認証が失敗し且つ入力顔画像を撮像したときの明るさが良好でない場合、保留時間を延長するので、監視エリアへの侵入があったと誤って判定することを抑制できる。
【0079】
また、監視システム1は、認証スコアが所定の抑制閾値以上である場合に、保留時間を延長し、認証スコアが所定の抑制閾値未満である場合に、不審者の監視エリアへの侵入の検出漏れを抑制することができる。
【0080】
また、監視システム1は、利用者の顔を検知するまで保留時間を延長せずに、利用者の顔を検知したことを条件として保留時間を延長するので、不審者の監視エリアへの侵入によって保留時間が延長されてしまうことを防止できる。
【0081】
また、監視システム1は、利用者の認証が成功しなかった場合、照明制御ガイダンス信号が入力された音声出力部17が照明を調整する旨の音声を出力するので、監視エリアへの侵入があったと誤って判定することを抑制できる。
【0082】
監視システム1は、異常を検知したことを示す検知信号を取得した場合、認証基準を変更して利用者を認証するが、実施形態に係る監視システムは、検知信号を取得した場合、認証基準を変更せずに利用者を認証してもよい。実施形態に係る監視システムは、検知信号を取得した場合、認証基準を変更せずに利用者を認証することで、なりすましによる認証が更にされ難くすることができる。
【0083】
また、監視システム1は、入力顔画像の輝度分及び入力顔画像を撮像したときの照明環境が良好でない場合、警備モードを設定する操作の内容に応じて、判定手段25によって侵入があったと判定されることを抑制するための抑制処理を実行する。しかしながら、実施形態に係る監視システムは、撮影環境に影響を与える他の条件が良好でない場合に、警備モードを設定する操作の内容に応じて抑制処理を実行してもよい。例えば、強い順光が顔に照射される場合、取得された入力顔画像からの特徴点の抽出が難しくなり、入力顔画像の認証精度が低下するので、実施形態に係る監視システムは、強い順光が顔に照射される場合に、警備モードを設定する操作の内容に応じて抑制処理を実行してもよい。
【0084】
また、監視システム1は、認証スコアが抑制閾値以上である場合に、保留時間を延長するが、実施形態に係る監視システムは、認証スコアが抑制閾値以上であるか否かにかかわらず、保留時間を延長してもよい。
【0085】
また、監視システム1では、音声出力部17は、照明制御ガイダンス信号が入力されることに応じて、照明を調整する旨の音声を出力するが、実施形態に係る監視システムでは、音声出力部17は、照明を調整することを示す音声を出力しなくてもよい。
【0086】
また、監視システム1では、監視エリアへの侵入があったと判定されることを抑制するための抑制処理は、保留時間を延長する延長処理である。実施形態に係る監視システムでは、抑制処理は、延長処理以外の処理であってもよい。抑制処理は、警備センタ装置40への通報を所定時間だけ待機する処理であってもよい。この場合、通報手段27は、判定手段25によって監視エリアへの侵入があったと判定されてから所定時間待機する。通報手段27は、待機している間に利用者の認証が成功した場合には、警備センタ装置40への通報を実行せずに監視処理を終了する。
【0087】
また、登録者情報テーブル131に記憶する登録顔画像として、登録者の顔の画像に限らず、登録用の顔画像から抽出した特徴点からなる顔特徴情報を記憶してもよい。
【0088】
また、利用者に認証に関して、図3に示すように利用者による変更操作を受け付けてから(S106~S107)、利用者の認証を行う(S109)ものについて説明したが、変更操作を受け付ける前に利用者の認証を開始してもよい。この場合、警備装置10に設けられたセンサで警備装置10から所定距離内(例えば、1m以内)で人物を検出すると、撮像部15等を制御して利用者の顔を撮像させ、利用者の顔を含む入力顔画像を取得させて認証を開始する。この時点で認証基準を満たす場合は認証成功とし、認証基準を満たさない場合は、変更操作の受け付けを待ち、操作内容に応じて設定された閾値に基づき認証を行う。
【0089】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 監視システム
13 記憶部
15 撮像部
18 照明部
19 照度センサ
23 認証手段
24 受付手段
25 判定手段
図1
図2
図3
図4