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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014539
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240125BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240125BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240125BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N1/00 E
H04N1/00 127A
B41J29/38 204
B41J29/38 201
B41J29/46 Z
G03G21/00 390
G03G21/00 384
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117443
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴史
(72)【発明者】
【氏名】三角 典子
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2H270KA55
2H270KA59
2H270KA61
2H270LA53
2H270LA60
2H270LA70
2H270LA75
2H270MB09
2H270MF17
2H270NB02
2H270NB06
2H270NB09
2H270NC06
2H270ND04
2H270ND11
2H270ND12
2H270PA60
2H270PA61
2H270PB08
2H270PB13
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB46
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC58
5C062AC65
5C062AD05
(57)【要約】
【課題】画像形成装置および消耗品を対象とする契約の締結の有無に応じて、画像形成装置の使用できる機能を変更できる。
【解決手段】画像形成装置(1)のコントローラ(61)は、本体メモリ(62)に記憶する第1種別情報が、本体契約を締結している場合に使用可能な専用の本体であることを表しているかを判定する第1判定処理と、消耗品メモリ(42)に記憶する第2種別情報が、消耗品契約を締結している場合に使用可能な専用の消耗品であることを表しているかを判定する第2判定処理と、第1判定処理で判定した第1種別情報と、第2判定処理で判定した第2種別情報と、の組み合わせにより画像形成装置(1)で使用できる機能を切り替える切り替え処理と、を実行するように構成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
本体と、
前記本体が、前記画像形成装置を対象とする本体契約が締結されている場合に使用可能な専用の本体であるか、または、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であるかを表す第1種別情報を記憶する本体メモリと、
前記本体に装着された消耗品が、前記画像形成装置を対象とする消耗品契約が締結されている場合に使用可能な専用の消耗品であるか、または、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であるかを表す第2種別情報を記憶する消耗品メモリを備える消耗品と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表しているかを判定する第1判定処理と、
前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表しているかを判定する第2判定処理と、
前記第1判定処理で判定した前記第1種別情報と、前記第2判定処理で判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより前記画像形成装置で使用できる機能を切り替える切り替え処理と、
を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1判定処理の後に、前記第2判定処理を実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体メモリは、
前記第1種別情報または前記第2種別情報に応じて前記画像形成装置で使用できる機能を切り替えるために設定された切り替え条件を表す条件情報を記憶する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体メモリは、
前記画像形成装置を対象とする前記消耗品契約を締結している状態であるか、または、前記消耗品契約を締結していない状態であるかを表す契約情報を記憶し、
前記コントローラは、
前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表しているかを判定する契約判定処理と、
前記契約判定処理にて、前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表していると判定された場合、前記切り替え条件を満たすかを判定する第3判定処理と、を実行する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、前記切り替え処理を実行する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記切り替え処理は、
前記画像形成装置で使用できる機能を制限する処理を含む、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記切り替え処理にて、前記印刷部で使用できる印刷機能を切り替える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
スキャナ部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記切り替え処理にて、前記スキャナ部で使用できるスキャナ機能を切り替える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
通信インタフェースと、
前記通信インタフェースを介して行うファックス送信機能と、
前記通信インタフェースを介して行うファックス受信機能と、
をさらに備え、
前記コントローラは、
前記切り替え処理にて、前記ファックス送信機能または前記ファックス受信機能の少なくとも一部を切り替える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
通信インタフェースをさらに備え、
前記本体メモリは、
前記通信インタフェースを介した外部の通信装置との通信が切断されたオフライン中に印刷可能な枚数を記憶する枚数記憶部を有し、
前記切り替え条件は、
前記オフライン中に印刷可能な前記枚数に達することを含む、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
通信インタフェースをさらに備え、
前記切り替え条件は、
前記通信インタフェースを介して外部の通信装置から受信した印刷停止指示であることを含む、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記コントローラは、タイマを有し、
前記本体メモリは、
前記消耗品契約と前記本体契約の契約開始から契約期間満了までの契約期間を記憶する期間記憶部を有し、
前記切り替え条件は、
前記タイマで前記消耗品契約と前記本体契約のいずれかの契約期間完了を検知したことを含む、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項13】
印刷部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、
前記切り替え処理にて、前記印刷部で使用できる印刷機能を利用不可とする、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項14】
印刷部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であることを表わしていると判定された場合であり、前記第2判定処理にて、前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、
前記切り替え処理にて、前記印刷部の印刷機能を利用不可とする、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記コントローラは、
前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であることを表わしていると判定された場合であり、前記第2判定処理にて、前記第2種別情報が、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、
前記切り替え処理にて、前記印刷部の前記印刷機能を利用可能とする、
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
情報を報知する報知部を備え、
前記本体メモリは、
前記第1種別情報または前記第2種別情報に応じて、前記画像形成装置で使用できる機能が切り替えられる可能性があることを予告するために設定された予告条件を表す予告条件情報を記憶し、
前記コントローラは、
前記契約判定処理にて、前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表していると判定された場合、前記予告条件を満たすかを判定する第4判定処理と、
前記第4判定処理にて、前記予告条件を満たすと判定された場合、前記第1判定処理で判定した前記第1種別情報と、前記第2判定処理で判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより、前記画像形成装置で使用できる機能が切り替えられる可能性があることを前記報知部を介して予告する予告処理と、
を実行する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記コントローラは、
前記切り替え処理を実行した後に、前記切り替え条件を満たすかを判定する第5判定処理と、
前記第5判定処理にて、前記切り替え条件を満たさないと判定された場合、前記画像形成装置で使用できる機能を、前記切り替え処理の前の前記画像形成装置で使用できる機能に戻す、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項18】
通信インタフェースをさらに備え、
前記コントローラは、
外部の通信装置から、前記通信インタフェースを介して、前記本体契約が締結された通知を受信した場合、
前記第1種別情報を、前記本体契約が締結されている場合に使用可能な前記専用の本体であることを表す情報として前記本体メモリに記憶する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項19】
通信インタフェースをさらに備え、
前記コントローラは、
外部の通信装置から、前記通信インタフェースを介して、前記消耗品契約が締結された通知を受信した場合、
前記契約情報を、前記画像形成装置を対象とする前記消耗品契約を締結している状態であることを表す情報として前記本体メモリに記憶する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項20】
画像形成装置を制御する制御方法であって、
前記画像形成装置は、
本体と、
前記本体が、前記画像形成装置を対象とする本体契約が締結されている場合に使用可能な専用の本体であるか、または、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であるかを表す第1種別情報を記憶する本体メモリと、
前記本体に装着された消耗品が、前記画像形成装置を対象とする消耗品契約が締結されている場合に使用可能な専用の消耗品であるか、または、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であるかを表す第2種別情報を記憶する消耗品メモリを備える消耗品と、
コントローラと、
を備えており、
前記コントローラは、
前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表しているかを判定する第1判定ステップと、
前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表しているかを判定する第2判定ステップと、
前記第1判定ステップで判定した前記第1種別情報と、前記第2判定ステップで判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより前記画像形成装置で使用できる機能を切り替える切り替えステップと、
を実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置を利用するユーザに対して定額印刷サービスが広く提供されている。定額印刷サービスは、サブスクリプションサービスとも呼ばれる。例えば、特許文献1には、定額印刷サービスの利用に関する契約が締結された契約機である画像形成装置において、予め定められた期間中、予め設定された枚数までなら、一定の利用料金で印刷が許可されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/120199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなサブスクリプションサービスにおいて、印刷機能、スキャン機能、ファックス送信機能、ファックス受信機能などの複数の機能を有する画像形成装置を対象とする契約がある。画像形成装置を対象とする本体契約が締結されている場合に使用可能な専用の本体であるか、または、本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であるかに応じて、画像形成装置の使用できる機能を変更したいという要望がある。また、画像形成装置を対象とする消耗品契約が締結されている場合に使用可能な専用の消耗品であるか、または、消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であるかに応じて、画像形成装置の使用できる機能を変更したいという要望もある。
【0005】
本開示は、上述の問題点を鑑みたものであり、画像形成装置および消耗品を対象とする契約の締結の有無に応じて、画像形成装置の使用できる機能を変更できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本開示の第1の態様の画像形成装置は、画像形成装置であって、本体と、前記本体が、前記画像形成装置を対象とする本体契約が締結されている場合に使用可能な専用の本体であるか、または、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であるかを表す第1種別情報を記憶する本体メモリと、前記本体に装着された消耗品が、前記画像形成装置を対象とする消耗品契約が締結されている場合に使用可能な専用の消耗品であるか、または、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であるかを表す第2種別情報を記憶する消耗品メモリを備える消耗品と、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表しているかを判定する第1判定処理と、前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表しているかを判定する第2判定処理と、前記第1判定処理で判定した前記第1種別情報と、前記第2判定処理で判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより前記画像形成装置で使用できる機能を切り替える切り替え処理と、を実行するものである。
【0007】
第2態様は、第1の態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第1判定処理の後に、前記第2判定処理を実行する、するようにしてもよい。
【0008】
第3の態様の画像形成装置は、第1の態様の画像形成装置であって、前記本体メモリは、前記第1種別情報または前記第2種別情報に応じて前記画像形成装置で使用できる機能を切り替えるために設定された切り替え条件を表す条件情報を記憶するようにしてもよい。
【0009】
第4の態様は、第3の態様の画像形成装置であって、前記本体メモリは、前記画像形成装置を対象とする前記消耗品契約を締結している状態であるか、または、前記消耗品契約を締結していない状態であるかを表す契約情報を記憶し、前記コントローラは、前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表しているかを判定する契約判定処理と、前記契約判定処理にて、前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表していると判定された場合、前記切り替え条件を満たすかを判定する第3判定処理と、を実行するようにしてもよい。
【0010】
第5の態様は、第4の態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、前記切り替え処理を実行するようにしてもよい。
【0011】
第6の態様は、第1の態様の画像形成装置であって、前記切り替え処理は、前記画像形成装置で使用できる機能を制限する処理を含むようにしてもよい。
【0012】
第7の態様は、第1の態様の画像形成装置であって、印刷部をさらに備え、前記コントローラは、前記切り替え処理にて、前記印刷部で使用できる印刷機能を切り替えるようにしてもよい。
【0013】
第8の態様は、第1の態様の画像形成装置であって、スキャナ部をさらに備え、前記コントローラは、前記切り替え処理にて、前記スキャナ部で使用できるスキャナ機能を切り替えるようにしてもよい。
【0014】
第9の態様は、第1の態様の画像形成装置であって、通信インタフェースと、前記通信インタフェースを介して行うファックス送信機能と、前記通信インタフェースを介して行うファックス受信機能と、をさらに備え、前記コントローラは、前記切り替え処理にて、前記ファックス送信機能または前記ファックス受信機能の少なくとも一部を切り替えるようにしてもよい。
【0015】
第10の態様は、第3の態様の画像形成装置であって、通信インタフェースをさらに備え、前記本体メモリは、前記通信インタフェースを介した外部の通信装置との通信が切断されたオフライン中に印刷可能な枚数を記憶する枚数記憶部を有し、前記切り替え条件は、前記オフライン中に印刷可能な前記枚数に達することを含むようにしてもよい。
【0016】
第11の態様は、第3の態様の画像形成装置であって、通信インタフェースをさらに備え、前記切り替え条件は、前記通信インタフェースを介して外部の通信装置から受信した印刷停止指示であることを含むようにしてもよい。
【0017】
第12の態様は、第3の態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、タイマを有し、前記本体メモリは、前記消耗品契約と前記本体契約の契約開始から契約期間満了までの契約期間を記憶する期間記憶部を有し、前記切り替え条件は、前記タイマで前記消耗品契約と前記本体契約のいずれかの契約期間完了を検知したことを含むようにしてもよい。
【0018】
第13の態様は、第5の態様の画像形成装置であって、印刷部をさらに備え、前記コントローラは、前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、前記切り替え処理にて、前記印刷部で使用できる印刷機能を利用不可とするようにしてもよい。
【0019】
第14の態様は、第5の態様の画像形成装置であって、印刷部をさらに備え、前記コントローラは、前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であることを表わしていると判定された場合であり、前記第2判定処理にて、前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、前記切り替え処理にて、前記印刷部の印刷機能を利用不可とするようにしてもよい。
【0020】
第15の態様は、第14の態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第1判定処理にて、前記第1種別情報が、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であることを表わしていると判定された場合であり、前記第2判定処理にて、前記第2種別情報が、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であることを表していると判定された場合であり、前記第3判定処理にて、前記切り替え条件を満たすと判定された場合、前記切り替え処理にて、前記印刷部の前記印刷機能を利用可能とするようにしてもよい。
【0021】
第16の態様は、第5の態様の画像形成装置であって、情報を報知する報知部を備え、前記本体メモリは、前記第1種別情報または前記第2種別情報に応じて、前記画像形成装置で使用できる機能が切り替えられる可能性があることを予告するために設定された予告条件を表す予告条件情報を記憶し、前記コントローラは、前記契約判定処理にて、前記契約情報が、前記消耗品契約を締結している状態であることを表していると判定された場合、前記予告条件を満たすかを判定する第4判定処理と、前記第4判定処理にて、前記予告条件を満たすと判定された場合、前記第1判定処理で判定した前記第1種別情報と、前記第2判定処理で判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより、前記画像形成装置で使用できる機能が切り替えられる可能性があることを前記報知部を介して予告する予告処理と、を実行するようにしてもよい。
【0022】
第17の態様は、第5の態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記切り替え処理を実行した後に、前記切り替え条件を満たすかを判定する第5判定処理と、前記第5判定処理にて、前記切り替え条件を満たさないと判定された場合、前記画像形成装置で使用できる機能を、前記切り替え処理の前の前記画像形成装置で使用できる機能に戻すようにしてもよい。
【0023】
第18の態様は、第1の態様の画像形成装置であって、通信インタフェースをさらに備え、前記コントローラは、外部の通信装置から、前記通信インタフェースを介して、前記本体契約が締結された通知を受信した場合、前記第1種別情報を、前記本体契約が締結されている場合に使用可能な前記専用の本体であることを表す情報として前記本体メモリに記憶するようにしてもよい。
【0024】
第19の態様は、第4の態様の画像形成装置であって、通信インタフェースをさらに備え、前記コントローラは、外部の通信装置から、前記通信インタフェースを介して、前記消耗品契約が締結された通知を受信した場合、前記契約情報を、前記画像形成装置を対象とする前記消耗品契約を締結している状態であることを表す情報として前記本体メモリに記憶するようにしてもよい。
【0025】
第20の態様の制御方法は、画像形成装置を制御する制御方法であって、前記画像形成装置は、本体と、前記本体が、前記画像形成装置を対象とする本体契約が締結されている場合に使用可能な専用の本体であるか、または、前記本体契約の締結に関わらず使用可能な通常の本体であるかを表す第1種別情報を記憶する本体メモリと、前記本体に装着された消耗品が、前記画像形成装置を対象とする消耗品契約が締結されている場合に使用可能な専用の消耗品であるか、または、前記消耗品契約の締結に関わらず使用可能な通常の消耗品であるかを表す第2種別情報を記憶する消耗品メモリを備える消耗品と、コントローラと、を備えており、前記コントローラは、前記第1種別情報が、前記本体契約を締結している場合に使用可能な前記専用の本体であることを表しているかを判定する第1判定ステップと、前記第2種別情報が、前記消耗品契約を締結している場合に使用可能な前記専用の消耗品であることを表しているかを判定する第2判定ステップと、前記第1判定ステップで判定した前記第1種別情報と、前記第2判定ステップで判定した前記第2種別情報と、の組み合わせにより前記画像形成装置で使用できる機能を切り替える切り替えステップと、を実行するものである。
【発明の効果】
【0026】
第1の態様の画像形成装置、または、第20の態様の制御方法によれば、コントローラは、第1判定処理で判定した第1種別情報と、第2判定処理で判定した第2種別情報と、の組み合わせにより画像形成装置で使用できる機能を切り替えることができる。これにより、画像形成装置の本体が、本体契約を締結している場合に使用可能な専用の本体であるか、また、本体に装着された消耗品が契約を締結しているときに使用可能な専用の消耗品であるかに応じて使用できる機能を変更できる。つまり、画像形成装置および消耗品を対象とする契約の締結の有無に応じて画像形成装置の使用できる機能を変更できる。
【0027】
第2の態様の画像形成装置によれば、第1判定処理の後に、第2判定処理を実行するため、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無を確実に判定することができる。
【0028】
第3の態様の画像形成装置によれば、本体メモリは、第1種別情報または第2種別情報に応じて画像形成装置で使用できる機能を切り替えるために設定された切り替え条件を記憶する。これにより、コントローラは、画像形成装置で使用できる機能を切り替えるために設定された切り替え条件を満たすかの判定をすることができる。
【0029】
第4の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、画像形成装置を対象とする消耗品契約を締結している状態である場合に、画像形成装置で使用できる機能を切り替えるために設定された切り替え条件を満たすかを判定する。これにより、画像形成装置を対象とする消耗品契約を締結している状態である場合に限り、切り替え条件を満たすかを判定することができる。
【0030】
第5の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、切り替え条件を満たすと判定された場合、切り替え処理を実行する。これにより、コントローラは、切り替え条件を満たすと判定された場合、画像形成装置で使用できる機能を変更することができる。
【0031】
第6の態様の画像形成装置によれば、切り替え処理は、画像形成装置で使用できる機能を制限する処理を含むため、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて使用できる機能を制限することができる。
【0032】
第7の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて、印刷部で使用できる印刷機能を切り替えて、変更することができる。
【0033】
第8の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて、スキャナ部で使用できるスキャナ機能を切り替えて、変更することができる。
【0034】
第9の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて、通信インタフェースを介して行うファックス送信機能またはファックス受信機能の少なくとも一部を切り替えて、変更することができる。
【0035】
第10の態様の画像形成装置によれば、切り替え条件は、オフライン中に印刷可能な枚数に達することを含む。これにより、オフライン中に印刷した枚数が印刷可能な枚数に達したときに、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて印刷機能を停止するように切り替えることができる。
【0036】
第11の態様の画像形成装置によれば、切り替え条件は、通信インタフェースを介して外部の通信装置から受信した印刷停止指示であることを含む。これにより、コントローラは、通信インタフェースを介して外部の通信装置から印刷停止指示を受信したときに、コントローラは、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて印刷機能を停止するように切り替えることができる。
【0037】
第12の態様の画像形成装置によれば、切り替え条件は、タイマで消耗品契約と本体契約のいずれかの契約期間完了を検知したことを含む。これにより、タイマで消耗品契約と本体契約のいずれかの契約期間完了を検知したときに、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて使用できる機能を変更することができる。
【0038】
第13の態様の画像形成装置によれば、第1種別情報が、専用の本体であることを表しており、切り替え条件を満たしていると判定された場合は、コントローラは、印刷部で使用できる印刷機能を利用不可とするように切り替える。これにより、画像形成装置の所有権が事業者に属する場合には、切り替え条件を満たしたときに、コントローラは、専用の消耗品及び通常の消耗品による印刷機能を停止することができる。
【0039】
第14の態様の画像形成装置によれば、第1種別情報が、通常の本体であることを表わしており、第2種別情報が、専用の消耗品であることを表わしている場合に、切り替え条件を満たしている場合は、コントローラは、印刷機能を利用不可とする。これにより、画像形成装置の所有権がユーザに属する場合は、切り替え条件を満たしたときに、コントローラは、専用の消耗品による印刷機能を停止することができる。
【0040】
第15の態様の画像形成装置によれば、第1種別情報が、通常の本体であることを表わしており、第2種別情報が、通常の消耗品であることを表わしている場合に、切り替え条件を満たしている場合は、コントローラは、印刷機能を利用可能とする。これにより、画像形成装置の所有権がユーザに属する場合は、切り替え条件を満たしたときに、コントローラは、通常の消耗品による印刷機能を継続して利用可能とすることができる。
【0041】
第16の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、消耗品契約を締結している状態で、予告条件を満たす場合に、画像形成装置を対象とする本体契約の締結の有無に応じて使用できる機能が切り替えられる可能性があることを予告することができる。ユーザは、画像形成装置の使用できる機能が切り替えられる可能性があることを確認することができ、画像形成装置の使用できる機能が切り替えられることを回避することが可能となる。
【0042】
第17の態様の画像形成装置によれば、画像形成装置の有する機能を切り替える切り替え条件が解除された場合には、画像形成装置の使用できる機能を切り替え処理の前の状態に戻すことができる。これにより、ユーザは、画像形成装置を通常通りに使用することが可能となる。
【0043】
第18の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、外部の通信装置から、通信インタフェースを介して、本体契約が締結された通知を受信した場合、第1種別情報を、専用の本体であることを表す情報として本体メモリに記憶する。これにより、販売会社の倉庫などにおいて、外部の通信装置から、通信インタフェースを介して、本体契約が締結された通知を画像形成装置に送信することにより、画像形成装置の所有権は事業者に属するように設定することができる。その結果、工場出荷時において、画像形成装置の所有権がユーザに属するように予め設定することが可能となり、販売会社の倉庫などにおける在庫製品の共通化を図ることができる。
【0044】
第19の態様の画像形成装置によれば、コントローラは、外部の通信装置から、通信インタフェースを介して、消耗品契約が締結された通知を受信した場合、契約情報を、消耗品契約を締結している状態であることを表す情報として本体メモリに記憶する。これにより、販売会社の倉庫などにおいて、外部の通信装置から、通信インタフェースを介して、消耗品契約が締結された通知を画像形成装置に送信することにより、契約情報を、消耗品契約を締結している状態に設定することができる。その結果、工場出荷時において、契約情報を、消耗品契約を締結していない状態に予め設定することが可能となり、販売会社の倉庫などにおける在庫製品の共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本開示の実施形態1における画像形成システムの全体概略構成を示すブロック図である。
図2】トナーカートリッジが有するトナーメモリに記憶される情報の一例を説明するブロック図である。
図3】本体メモリに記憶される情報の一例を説明するブロック図である。
図4】複合機が実行する契約状態更新処理の一例を示すフローチャートである。
図5】複合機が実行する複合機で使用できる複数の機能を切り替える切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
図6】切り替え判定テーブルの一例を示す図である。
図7】予告モード設定テーブルの一例を示す図である。
図8】予告内容設定テーブルの一例を示す図である。
図9】制限モード設定テーブルの一例を示す図である。
図10】制限内容設定テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について図1図10を参照しつつ説明する。本実施形態では、一例として、画像形成装置は、印刷機能と、スキャナ機能と、ファックス送受信機能とを含む複数の機能を有する、いわゆる複合機(MFP:Multi Function Printer)である。印刷機能は、レーザープリンタで構成されている場合について説明する。
【0047】
[画像形成システムの概要]
図1は、本実施形態の画像形成システム100の全体概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成システム100は、複合機1と、サーバ8と、ユーザ端末9と、配送管理サーバ5とを含む。
【0048】
複合機1は、複合機1に対する後述の「本体契約」や後述の「消耗品契約」などの契約の締結により提供されるサービスを実現するための装置である。また、複合機1は、契約の対象となる装置であるともいえる。以下では、ユーザが指定した、または、事業者からユーザに提供された、契約の対象となる複合機1を「契約対象機」とも称する。
【0049】
例えば、ユーザは、事業者と「契約」の一例である「本体契約」を締結する。これにより、ユーザは、事業者から提供された契約専用の本体10を、例えば、毎月定額で使用することができるサービスが提供される。従って、ユーザが事業者と「本体契約」を締結した場合は、複合機1の所有権は事業者に属する。一方、ユーザが複合機1を購入して、事業者と「本体契約」を締結していない場合は、複合機1の所有権はユーザに属する。
【0050】
また、例えば、ユーザは、事業者と「契約」の一例である「消耗品契約」を締結する。これにより、ユーザは、契約専用の消耗品を、例えば、毎月定額で使用することができる。これらの契約の締結は、サービスを提供する事業者と、ユーザとの間で、サービスの利用期間、利用料金などが取り決められた上で、事業者がユーザにサービスを提供することを事業者とユーザが了承することである。
【0051】
すなわち、本実施形態の複合機1では、「消耗品契約」が締結された後、複合機1は、締結した契約の内容に基づく契約専用の消耗品を使用した印刷(以下、「契約印刷」と称することもある。)を実行することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態の複合機1では、「本体契約」が締結された後、ユーザは、締結した契約の内容に基づく契約専用の本体10の使用が可能となる。つまり、「本体契約」が締結された後、ユーザは、契約が締結された複合機1の使用が可能となる。
【0053】
また、ユーザは、「本体契約」を締結した場合は、同時に、「消耗品契約」も締結する場合がある。ユーザは、「本体契約」と「消耗品契約」とを締結することによって、契約専用の本体10の複合機1で、契約専用の消耗品を使用した契約印刷を行うことが可能となる。
【0054】
[配送管理サーバ5]
配送管理サーバ5は、販売会社が管理するサーバである。販売会社は、工場から出荷された複合機1を一旦、倉庫に保管して、量販店などからの注文に応じて、複合機1を倉庫から配送する配送サービスを行う会社である。配送管理サーバ5は、販売会社に設置されている。配送管理サーバ5は、ネットワークNTを介して、倉庫に保管された複合機1と通信可能な外部の装置である。配送管理サーバ5は、CPUなどのプロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するための通信インタフェースと、を有している(図示省略)。
【0055】
[ユーザ端末9]
ユーザが利用するユーザ端末9は、サーバ8と通信して、契約の締結、解除、および、その他の手続を実行するための装置である。ユーザ端末9としては、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン等、標準的な通信機能を備えた情報処理端末が採用され得る。また、ユーザはユーザ端末9を介して、複合機1に印刷指示をして、契約専用の消耗品を使用した任意の枚数の印刷を行ってもよい。画像形成システム100を構成するユーザ端末9、サーバ8、および複合機1は、インターネットなどのネットワークNTを介して、互いに通信することができる。
【0056】
ユーザ端末9は、ユーザの各種入力操作を受け付けるための入力インタフェースと、サーバ8と通信するための通信インタフェースと、を有している。ユーザは、ユーザ端末9を介して入力操作を行うことによって、サーバ8に「消耗品契約」の契約対象機を登録する。例えば、ユーザは自分の識別情報と、「消耗品契約」の契約対象機としたい複合機1の識別情報とを、ユーザ端末9に入力する。ユーザ端末9は入力を受け付けると、サーバ8に対して入力された情報を送信する。
【0057】
[サーバ8]
サーバ8は、複合機1とネットワークNTを介して通信する外部の装置であって、複合機1の稼働状態を管理する管理装置の一例である。本実施形態では、サーバ8は事業者が管理するサーバである。図1に示すように、サーバ8は、サーバ制御部81と、サーバメモリ82と、通信インタフェース83と、タイマ84と、を備えている。サーバ制御部81と、サーバメモリ82と、通信インタフェース83と、タイマ84とは、バス85を介して互いに接続されている。サーバ制御部81は、サーバ8を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)である。サーバメモリ82は、サーバ8の動作に必要なデータを記憶する記憶装置である。
【0058】
サーバ制御部81は、複合機1から受信した通知またはリクエストに応じて、サーバメモリ82が記憶している登録テーブルを更新する。「登録テーブル」とは、ユーザにより、または、サーバ8により、契約対象機に指定された複合機1を識別する装置IDとユーザ名、および、ユーザを識別するユーザIDと対応付けて登録したデータテーブルである。つまり、登録テーブルはユーザと契約対象機である複合機1とを紐づける情報を含む。また、「登録テーブル」とは、契約対象機それぞれに対して契約中か否かを表すデータでもある。
【0059】
サーバメモリ82は、領域821と、領域822とを有する。サーバメモリ82は領域821に装置情報を記憶する。サーバメモリ82は領域822に登録テーブルを記憶する。なお、各領域821、822は書き替え可能な領域である。装置情報とは、複合機1に関する種々の情報をまとめたデータである。装置情報は、複合機1の1台ごとに分けて記憶される。装置情報は少なくとも、複合機1を識別する装置IDを含んでいる。他にも、装置情報は、複合機1が印刷した印刷物の累計枚数と、複合機1が契約印刷で印刷した印刷物の累計枚数とを含むようにしてもよい。
【0060】
通信インタフェース83は、ユーザ端末9、配送管理サーバ5、および複合機1と通信するための有線インタフェースまたは無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。サーバ制御部81は、通信インタフェース83を介して各種データ、通知、および要求を複合機1から受信する。また、サーバ制御部81は、通信インタフェース83を介して各種データ、通知、および要求を複合機1へ送信する。
【0061】
例えば、サーバ制御部81は、通信インタフェース83を介して複合機1から、装置IDと、印刷物の累計枚数と、契約印刷で印刷した印刷物の累計枚数とを受信する。そして、サーバ制御部81は、受信した装置IDと、各累計枚数とを対応付けて、複合機1の装置情報としてサーバメモリ82の領域821に記憶させてもよい。
【0062】
[複合機1]
図1に示すように、複合機1は、コントローラ61と、本体メモリ62と、通信インタフェース63と、ディスプレイ64と、操作部65と、印刷部66と、スキャナ部67と、ファクシミリ及び電話通信部68と、カートリッジ通信部71とを備えている。コントローラ61と、本体メモリ62と、通信インタフェース63と、ディスプレイ64と、操作部65と、印刷部66と、スキャナ部67と、ファクシミリ及び電話通信部68と、カートリッジ通信部71とは、バス72を介して互いに接続されている。
【0063】
また、複合機1は、トナーカートリッジ4がドラムカートリッジ20に装着された状態で、ドラムカートリッジ20と共に、本体10に脱着可能に装着されている。ドラムカートリッジ20は、画像形成を行うために使用される部品として、不図時の感光体ドラムを有している。また、ドラムカートリッジ20は、ドラムメモリ22を有していてもよい。ドラムメモリ22は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。ドラムメモリ22は、例えばフラッシュROM(Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標,Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。
【0064】
ドラムメモリ22は、ドラムカートリッジ20の感光体ドラムに関する情報を記憶していてもよい。ドラムメモリ22はドラムIDを記憶していてもよい。ドラムメモリ22はドラム寿命情報を記憶していてもよい。ドラムIDは、個々のドラムカートリッジ20を識別するための固有のシリアルナンバーである。ドラム寿命情報は、感光体ドラムの寿命を表す情報である。
【0065】
また、図2に示すように、トナーカートリッジ4は、消耗品メモリの一例としてのトナーメモリ42を有する。トナーメモリ42は、トナーカートリッジ4の外表面に配置される。トナーメモリ42は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリ、例えば、フラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。
【0066】
トナーメモリ42は、トナーカートリッジ4に関する情報を記憶するために、第1領域421と、第2領域422と、第3領域423と、を有している。トナーメモリ42は第1領域421にトナーIDを記憶している。トナーメモリ42は第2領域422に第2種別情報を記憶している。トナーメモリ42は第3領域423にトナー残量情報を記憶している。なお、第3領域423は、データの書き替えが可能であってよい。
【0067】
トナーIDは、例えば、個々のトナーカートリッジ4を識別するための固有のシリアルナンバーである。なお、トナーIDには、各トナーカートリッジ4の色を表す情報が含まれていてもよい。
【0068】
第2種別情報は、トナーカートリッジ4の種別を表す情報である。本実施形態において、トナーカートリッジ4の種別は2種類存在する。1つは、契約対象機でのみ使用可能な専用の消耗品の一例としての「専用カートリッジ」である。もう1つは、契約対象機でない複合機1でも使用可能な通常の消耗品の一例としての「通常カートリッジ」である。なお、第2種別情報は、トナーIDに含まれていてもよい。すなわち、トナーIDは、個々のトナーカートリッジ4を識別する情報であると同時に、個々のトナーカートリッジ4の種別が何であるかを表す情報であってよい。
【0069】
トナー残量情報は、トナーカートリッジ4のトナーの残量を表す情報である。トナーの残量は、一例として、満杯から空までの複数の段階に対応する値で構成され、満杯から空までの複数の段階のうち、トナー残量に対応する値が第3領域423に記憶されている。トナーメモリ42が記憶するトナーの残量の各段階は、上述の値に基づいて、「FULL」~「EMPTY」等の文字列であってもよいし、「100%」~「0%」などの数値であってもよいし、文字列と数値を組み合わせた情報であってもよい。
【0070】
カートリッジ通信部71は、例えば、端子などであり、本体10に装着されたドラムカートリッジ20のドラムメモリ22と、ドラムカートリッジ20と共に本体10に装着されたトナーカートリッジ4のトナーメモリ42と、のそれぞれに電気的に接続される。
【0071】
コントローラ61は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)を有する。また、コントローラ61は、タイマ69を有しており、時間の計測が可能に構成されている。コントローラ61は、種々の処理を実行することによって、複合機1の印刷機能と、スキャナ機能と、ファックス送受信機能とを含む複数の機能の使用を可能とする。
【0072】
なお、コントローラ61は、CPU等のプロセッサを備えてもよい。この場合、本体メモリ62に印刷機能と、スキャナ機能と、ファックス送受信機能とを含む複数の機能を実現する制御プログラムが記憶されていてもよい。そして、コントローラ61のプロセッサが、本体メモリ62が記憶する制御プログラムにしたがって動作することにより、複合機1における印刷機能と、スキャナ機能と、ファックス送受信機能とを含む複数の機能の使用が実現されてもよい。
【0073】
また、コントローラ61自体が、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていてもよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを利用してもよい。
【0074】
また、制御プログラムは、制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してコンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0075】
ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ4が本体10に装着されると、ドラムメモリ22およびトナーメモリ42は、カートリッジ通信部71を介して、コントローラ61と電気的に接続される。コントローラ61は、カートリッジ通信部71を介してドラムメモリ22およびトナーメモリ42からの情報の読出処理を実行することが可能となる。また、コントローラ61は、カートリッジ通信部71を介して、ドラムメモリ22およびトナーメモリ42への情報の書き込み処理と書き替え処理との少なくとも一方を実行することが可能となる。
【0076】
本体メモリ62は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。本体メモリ62は、例えばフラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。図3に示すように、本体メモリ62は、種々の情報を記憶する領域621~領域628を有している。本体メモリ62は、領域621にトナー情報を記憶している。
【0077】
トナー情報は、複合機1に装着された個々のトナーカートリッジ4に関する情報である。例えば、トナー情報は、あるトナーメモリ42から読み出されたトナーIDに、同一のトナーメモリ42から読み出された第2種別情報およびトナー残量情報を対応付けたデータであってよい。そして、本体メモリ62は領域621に、このように対応付けたデータをトナーカートリッジ4毎に記憶してよい。
【0078】
また、本体メモリ62は、領域622に装置IDを記憶している。装置IDは、複合機1を識別するための識別情報である。装置IDは、例えば複合機1のシリアルナンバーであってもよい。
【0079】
また、本体メモリ62は、領域623に契約情報を記憶している。契約情報は、「契約モード」と「通常モード」との2種類のモードのいずれかであることとする。「契約モード」は、複合機1を対象とする「消耗品契約」を締結している状態であることを表わす。「通常モード」は、複合機1を対象とする消耗品契約を締結していない状態であるか、「消耗品契約」が解除済であることを表わす。複合機1の工場からの出荷時には、領域623には初期値として、「通常モード」に対応する値が格納されている。コントローラ61は「契約情報」を適宜書き替える。
【0080】
また、本体メモリ62は、領域624に第1種別情報を記憶している。第1種別情報は、複合機1の種別を表す情報である。本実施形態において、複合機1の種別は2種類存在する。1つは、「本体契約」が締結されている場合に使用可能な専用の本体の一例としての「専用本体」である。もう1つは、「本体契約」が締結されておらず、または、「本体契約」の締結に関わらず使用可能な通常の本体の一例としての「通常本体」である。
【0081】
コントローラ61は、第1種別情報を適宜書き換える。複合機1の工場からの出荷時には、領域624には、初期値として「通常本体」に対応する値が記憶されている。なお、第1種別情報は、装置IDに含まれてもよい。すなわち、装置IDは、個々の複合機1を識別する情報であると同時に、個々の複合機1の種別が何であるかを表す情報であってもよい。
【0082】
また、本体メモリ62は、領域625に第1枚数カウンタを記憶している。第1枚数カウンタは、複合機1における印刷枚数の累計である。また、本体メモリ62は、領域626に第2枚数カウンタを記憶している。第2枚数カウンタは、複合機1が契約印刷で印刷した印刷物の枚数を示す。第2枚数カウンタは、複合機1が契約モードから通常モードに移行する度に0にカウントリセットされてもよいし、今まで複合機1において契約に基づく印刷で印刷された印刷物の枚数の累計であってもよい。以降、特段の記載がない限り、第2枚数カウンタの値は契約印刷で印刷された印刷物の枚数の累計であることとする。
【0083】
また、本体メモリ62は、領域627に条件情報を記憶している。条件情報は、複合機1が有する複数の機能の使用を制限するために予め設定された複数の「制限条件B」を含んでいる(図9参照)。また、本体メモリ62は、領域627に、後述の制限モード設定テーブル95(図9参照)を記憶している。
【0084】
制限モード設定テーブル95は、複数の制限条件Bと、複合機1の本体契約の有無と、の組み合わせに対応付けられた、複合機1が有する複数の機能の使用を制限する「制限モード」を格納している。「制限モード」は、「制限1」、「制限2」、「制限3」、「制限4」、「制限5」、および「制限6」の制限モードを含む。各制限モードには、2つ以上の制限条件Bが同時に成立した際に、成立した制限条件Bに対応する2つ以上の「制限モード」から1つの「制限モード」を選択する選択順位を表す「レベル1」、「レベル2」、および「レベル3」が付されている。「制限モード」を選択する選択順位は、「レベル1」、「レベル2」、および「レベル3」の順に高くなる。
【0085】
また、本体メモリ62は、領域627に、後述の制限内容設定テーブル96(図10参照)を記憶している。制限内容設定テーブル96は、各制限モードに対する複合機1の複数の機能の制限内容を格納している。
【0086】
また、本体メモリ62は、領域628に予告条件情報を記憶している。予告条件情報は、予め設定された複数の「予告条件A」を含んでいる(図7参照)。複数の「予告条件A」は、複数の制限モードのそれぞれに対して、複合機1の使用できる機能が制限される可能性がある旨をディスプレイ64に予告表示するための条件である。また、本体メモリ62は、領域628に、後述の予告モード設定テーブル92(図7参照)を記憶している。
【0087】
予告モード設定テーブル92は、複数の予告条件Aと、複合機1の本体契約の有無と、の組み合わせに対応付けられた、複合機1の使用できる機能が制限される可能性がある旨を予告する「予告モード」を格納している。「予告モード」は、「予告1」、「予告2」、「予告3」、「予告4」、「予告5」、および「予告6」の予告モードを含む。また、本体メモリ62は、領域628に、後述の予告内容設定テーブル93(図8参照)を記憶している。予告内容設定テーブル93は、各予告モードに対する予告内容を格納している。
【0088】
また、本体メモリ62は、枚数記憶部629を有している。枚数記憶部629は、複合機1がネットワークNTへのオフライン継続中において、契約印刷によって印刷可能な印刷物の枚数を記憶している。また、本体メモリ62は、期間記憶部630を有している。期間記憶部630は、「消耗品契約」と「本体契約」のそれぞれの契約開始日時と契約終了日時との情報を含む契約期間情報を記憶している。
【0089】
通信インタフェース63は、ユーザ端末9、サーバ8、および配送管理サーバ5と通信するための有線インタフェースまたは無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。また、通信インタフェース63は、電話回線にも接続されている。コントローラ61は、通信インタフェース63を介して各種データ、通知、および要求をサーバ8、配送管理サーバ5等から受信する。また、コントローラ61は、通信インタフェース63を介して各種データ、通知、および要求をサーバ8へ送信する。
【0090】
ディスプレイ64は、例えば液晶ディスプレイである。操作部65は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部65を操作することによって、種々の指示を複合機1に入力可能である。尚、操作部65は、ディスプレイ64の画面上に一体的に配置されたタッチパネルによって構成されてもよい。
【0091】
印刷部66は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送する。印刷部66は、搬送される用紙に対してドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ4によるレーザープリンタ方式により画像を印刷する。従って、複合機1は、印刷部66を使用できる印刷機能を有する。尚、トナーカートリッジ4には、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのそれぞれのトナーカートリッジ4が含まれる。しかし、以下、特に断らない限り、それらを区別せずに単に「トナーカートリッジ4」と表記して説明する。
【0092】
スキャナ部67は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読み取り対象物である原稿を読み取る。その後、複合機1は、スキャナ部67で読み取った画像を表すスキャンデータを生成する。従って、複合機1は、スキャナ部67を使用できるスキャナ機能を有する。
【0093】
ファクシミリ及び電話通信部68は、通信インタフェース63を介して、電話回線に接続される。ファクシミリ及び電話通信部68は、外部の通信先装置との間でファクシミリ信号としての画像データの送信、受信、および、所望の通話先との音声通信を行う。従って、複合機1は、ファックス送信機能とファックス受信機能とを有する。
【0094】
[契約状態更新処理]
次に、販売会社の倉庫等において、複合機1のコントローラ61が実行する契約状態更新処理の一例について図4に基づいて説明する。図4は、複合機1のコントローラ61が実行する契約状態更新処理の一例を示すフローチャートである。図4にフローチャートで示されるプログラムは、予め本体メモリ62に記憶されている。
【0095】
複合機1が工場から出荷されて、販売会社の倉庫等に保管された際には、本体メモリ62の領域623に記憶される契約情報は、「通常モード」を表すように設定されている。また、本体メモリ62の領域623に記憶される契約情報は、「通常の本体」を表すように設定されている。つまり、複合機1が工場から出荷されて、販売会社の倉庫等に配送された時点では、複合機1の契約情報は、「通常モード」かつ「通常の本体」を表している。
【0096】
以下で説明する契約状態更新処理は、複合機1が販売会社の倉庫等に配送されてから倉庫等で実行される処理である。また、倉庫等からユーザに納品する際に実行される処理である。
【0097】
コントローラ61は、電源がオンに設定されると待機画面をディスプレイ64に表示する。そして、コントローラ61は、待機画面において、操作部65を介して契約状態更新処理の実行を指示されると、図4にフローチャートで示す契約状態更新処理のプログラムを起動して、ステップS11の処理に進む。
【0098】
図4に示すように、複合機1のコントローラ61は、先ず、操作部65を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたかを判定する(S11)。そして、コントローラ61は、操作部65を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたと判定した場合は(S11:YES)、S12の処理に進む。
【0099】
S12において、コントローラ61は、本体メモリ62の領域624に記憶される第1種別情報を読み出す。そして、コントローラ61は、第1種別情報を「通常の本体」から「専用の本体」を表すように変更設定した後、再度、第1種別情報を領域624に記憶する(S12)。
【0100】
続いて、S13において、コントローラ61は、本体メモリ62の領域623に記憶される契約情報を読み出す。そして、コントローラ61は、契約情報を「通常モード」から「契約モード」を表すように変更設定した後、再度、契約情報を領域623に記憶する(S13)。その後、コントローラ61は、契約状態更新処理を終了する。
【0101】
これにより、販売会社の倉庫などに保管された複合機1を「本体契約」及び「消耗品契約」を締結したユーザに配送可能な製品として設定することができる。その結果、全ての複合機1の工場出荷時において、第1種別情報を「通常の本体」を表すように設定できる。また、契約情報を「通常モード」を表すように設定することができる。これにより、工場から出荷される複合機1の製品の共通化を図ることができる。
【0102】
また、第1種別情報が「専用の本体」を表すように設定されるため、複合機1の所有権が、事業者に属するように設定される。また、契約情報が「契約モード」を表すように設定される。これにより、複合機1は、専用カートリッジのトナーカートリッジ4を用いた契約印刷を行うことができるように設定される。
【0103】
なお、契約状態更新処理は、複合機1の工場出荷前に、コントローラ61によって実行されるようにしてもよい。そして、コントローラ61は、操作部65を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたと判定した場合は(S11:YES)、ステップS12およびステップS13の処理を実行するようにしてもよい。つまり、複合機1を「本体契約」及び「消耗品契約」を締結したユーザに配送可能な複合機1として設定した後、販売会社へ出荷してもよい。
【0104】
一方、S11において、コントローラ61は、操作部65を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されていないと判定した場合は(S11:NO)、S14の処理に進む。S14において、コントローラ61は、操作部65を介して「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたかを判定する(S14)。
【0105】
そして、コントローラ61は、操作部65を介して「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたと判定した場合は(S14:YES)、S13の処理に進む。コントローラ61は、S13の処理を実行した後、契約状態更新処理を終了する。
【0106】
これにより、販売会社の倉庫などに保管された複合機1を「消耗品契約」を締結したユーザに配送可能な製品として設定することができる。その結果、全ての複合機1の工場出荷時において、第1種別情報を「通常の本体」を表すように設定し、契約情報を「通常モード」を表すように設定することができ、工場から出荷される複合機1の製品の共通化を図ることができる。また、第1種別情報が「通常の本体」を表すように設定されているため、複合機1の所有権は、この複合機1を購入したユーザに属することとなる。また、契約情報が「契約モード」を表すように設定されるため、複合機1は、専用カートリッジのトナーカートリッジ4を用いた契約印刷を行うことができるように設定される。
【0107】
なお、契約状態更新処理は、複合機1の工場出荷前に、コントローラ61によって実行されるようにしてもよい。そして、コントローラ61は、操作部65を介して「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されたと判定した場合は(S14:YES)、ステップS13の処理を実行するようにしてもよい。つまり、複合機1を「消耗品契約」を締結したユーザに配送可能な複合機1として設定した後、販売会社へ出荷してもよい。
【0108】
一方、S14において、コントローラ61は、操作部65を介して「消耗品契約」が設定された旨の指示が入力されていないと判定した場合は(S14:NO)、本体メモリ62に記憶する契約情報と契約情報とを変更しないと判断する。つまり、複合機1はユーザとの契約を締結していない無契約の複合機1となる。その後、コントローラ61は、契約状態更新処理を終了する。
【0109】
以上の契約状態更新処理により、販売会社の倉庫などに保管された複合機1を工場から出荷された状態でユーザに配送可能な製品として設定することができ、工場から出荷される複合機1の製品の共通化を図ることができる。また、複合機1の所有権は、この複合機1を購入したユーザに属することとなる。複合機1は、専用カートリッジのトナーカートリッジ4を用いた印刷契約を行うことができない。
【0110】
[切り替え処理]
次に、上記のように構成された複合機1において、コントローラ61が実行する複合機1で使用できる複数の機能を切り替える切り替え処理の一例について図5図10に基づいて説明する。図5は、複合機1のコントローラ61が実行する複合機1で使用できる複数の機能を切り替える切り替え処理の一例を示すフローチャートである。図5にフローチャートで示されるプログラムは、予め本体メモリ62に記憶されている。また、コントローラ61は、電源がオンに設定されると、図5にフローチャートで示す切り替え処理のプログラムを数分~数時間毎に起動して、ステップS21の処理に進む。
【0111】
なお、コントローラ61は、電源がオンに設定されたときに限らず、外部から通信インタフェース63を介して切り替え処理の実行指示を受信したときに、切り替え処理のプログラムを起動して、ステップS21の処理に進むようにしてもよい。また、コントローラ61は、電源のオン・オフに限らず一定時間毎に、例えば、数百ミリ秒毎に、切り替え処理のプログラムを起動して、ステップS21の処理に進むようにしてもよい。
【0112】
尚、図6に示す切り替え判定テーブル91は、本体メモリ62に予め記憶されている。図7に示す予告モード設定テーブル92と、図8に示す予告内容設定テーブル93と、図9に示す制限モード設定テーブル95と、図10に示す制限内容設定テーブル96とは、本体メモリ62に予め記憶されている。
【0113】
図5に示すように、複合機1のコントローラ61は、先ず、図6に示す切り替え判定テーブル91に基づいて、消耗品契約に基づく切り替え判定が必要かを判定する(S21)。図6に示すように、切り替え判定テーブル91は、「本体契約締結中」と、「本体契約無し」と、「消耗品契約締結中」と、「消耗品契約無し」とを含む情報を格納している。
【0114】
「本体契約締結中」は、「本体契約」を締結していることを表わしている。「本体契約無し」は、「本体契約」を締結していないことを表わしている。「消耗品契約締結中」は、「消耗品契約」を締結していることを表わしている。「消耗品契約無し」は、「消耗品契約」を締結していないことを表わしている。また、「消耗品契約締結中」と「消耗品契約無し」とのそれぞれには、装着されているトナーカートリッジ4の種別を表す「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」とを表す情報が含まれている。
【0115】
例えば、「本体契約締結中」と「消耗品契約締結中」との組み合わせに該当する場合は、コントローラ61は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、S21での切り替え判定が必要であると判定する。また、「本体契約無し」と「消耗品契約締結中」との組み合わせに該当する場合は、コントローラ61は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、S21での切り替え判定が必要であると判定する。
【0116】
また、「本体契約締結中」と「消耗品契約無し」との組み合わせに該当する場合は、コントローラ61は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、S21での切り替え判定が必要でないと判定する。また、「本体契約無し」と「消耗品契約無し」との組み合わせに該当する場合は、コントローラ61は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、S21での切り替え判定が必要でないと判定する。
【0117】
つまり、コントローラ61は、「消耗品契約締結中」の場合、つまり「消耗品契約」を締結している場合は、S21での切り替え判定が必要であると判定する。また、コントローラ61は、「消耗品契約無し」の場合、つまり、「消耗品契約」を締結していない場合は、S21での切り替え判定が必要でないと判定する。
【0118】
従って、S21において、コントローラ61は、先ず、本体メモリ62の領域624から第1種別情報を読み出す。そして、コントローラ61は、第1種別情報が「専用の本体」であることを表わしているかを判定する(第1判定処理)。そして、コントローラ61は、第1種別情報が「専用の本体」であることを表わしている場合は、切り替え判定テーブル91の「本体契約締結中」であるとする。また、コントローラ61は、第1種別情報が「通常の本体」であることを表わしている場合は、切り替え判定テーブル91の「本体契約無し」であるとする。
【0119】
また、コントローラ61は、第1判定処理の後に、本体メモリ62の領域621からトナー情報の「第2種別情報」を読み出す。そして、コントローラ61は、第2種別情報が「専用カートリッジ」であることを表わしているかを判定する(第2判定処理)。そして、コントローラ61は、第2種別情報が「専用カートリッジ」であることを表わしている場合は、切り替え判定テーブル91の「専用カートリッジ」であるとする。また、コントローラ61は、第2種別情報が「通常カートリッジ」であることを表わしている場合は、切り替え判定テーブル91の「通常カートリッジ」であるとする。なお、コントローラ61による第1判定処理と第2判定処理との判定順はこれに限るものではない。すなわち、コントローラ61は、第2判定処理を実行した後、第1判定処理を実行してもよい。
【0120】
また、コントローラ61は、本体メモリ62の領域623から契約情報を読み出す。そして、コントローラ61は、契約情報が「契約モード」であることを表わしているかを判定する。そして、コントローラ61は、契約情報が「通常モード」を表している場合、つまり、複合機1を対象とする消耗品契約を締結していない場合は、切り替え判定テーブル91の「消耗品契約無し」であるとする。そして、コントローラ61は、切り替え判定テーブル91の「消耗品契約無し」の場合は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、切り替え判定が必要でないと判定する(S21:NO)。その後、コントローラ61は、切り替え処理を終了する。
【0121】
一方、コントローラ61は、契約情報が「契約モード」を表している場合、つまり、複合機1を対象とする「消耗品契約」が締結されている場合は、切り替え判定テーブル91の「消耗品契約締結中」であるとする。そして、コントローラ61は、切り替え判定テーブル91の「消耗品契約締結中」の場合は、トナーカートリッジ4の種別が「専用カートリッジ」と「通常カートリッジ」のいずれであっても、切り替え判定が必要であると判定する(S21:YES)。そして、コントローラ61は、S22の処理に進む。
【0122】
S22において、コントローラ61は、図7に示す予告モード設定テーブル92の予告条件Aのいずれかが成立したかを判定する(S22)。図7に示すように、予告モード設定テーブル92は、「本体契約締結中」と、「本体契約無し」と、「予告条件A」とを含む情報を格納している。
【0123】
また、「予告条件A」には、「条件A1」と、「条件A2」と、「条件A3」と表わす情報が含まれている。条件A1、条件A2、および条件A3は以下のとおりである。
・条件A1:オフライン継続中の印刷可能な枚数の100枚前
・条件A2:サーバからの印刷停止指示の3日前
・条件A3:内部時計で契約期間完了の3日前
各条件について、以下、より詳細に説明する。
【0124】
条件A1は、通信インタフェース63を介した外部の通信装置、例えばサーバ8との通信が切断されたオフライン継続中に契約印刷により印刷した印刷枚数が、オフライン中に印刷可能な枚数の例えば100枚前になった場合である。具体的には、コントローラ61は、本体メモリ62の枚数記憶部629からオフライン中に印刷可能な枚数を読み出す。そして、コントローラ61は、オフラインを検出した時点から、本体メモリ62の領域626に記憶される第2枚数カウンタのカウント値を読み出し、条件A1が成立するかを判定する。
【0125】
条件A2は、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷停止指示を受信する、例えば3日前になった場合である。例えば、コントローラ61は、本体契約または消耗品契約の利用料金の納付期限が過ぎても、ユーザが利用料金を支払わなかったときに、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷停止指示を受ける。ここで、本体契約または消耗品契約の利用料金の納付期限は契約時に本体メモリ62に記憶されている。コントローラ61は、内部時計としてのタイマ69で日時情報を読み出す。そして、コントローラ61は、本体メモリ62から本体契約または消耗品契約の利用料金の納付期限を読み出し、条件A2が成立するかを判定する。
【0126】
条件A3は、内部時計としてのタイマ69で「本体契約」または「消耗品契約」の契約期間完了の、例えば3日前になった場合である。コントローラ61は、本体メモリ62の期間記憶部630から「本体契約」と「消耗品契約」のそれぞれの契約終了日時の情報を読み出し、条件A3が成立するかを判定する。
【0127】
そして、コントローラ61は、予告モード設定テーブル92の予告条件Aのいずれも成立しないと判定した場合は(S22:NO)、再度S22の処理を実行する。一方、コントローラ61は、予告モード設定テーブル92の予告条件Aのいずれかが成立したと判定した場合は(S22:YES)、S23の処理に進む。
【0128】
S23において、コントローラ61は、第1種別情報とS22において成立した予告条件により予告モードを取得する。具体的には、まず、コントローラ61は、本体メモリ62の領域624から第1種別情報を読み出す。そして、コントローラ61は、第1種別情報が「専用本体」であることを表わしている場合は、「本体契約」が締結されている状態であると判定する。そして、コントローラ61は、S22において成立した条件A1、条件A2、および条件A3の何れかとの組み合わせにより、予告モードを読み出して、本体メモリ62に記憶する(S23)。例えば、「本体契約締結中」と「条件A1」との組み合わせに該当する場合は、コントローラは、S23において、予告1の予告モードを読み出す。
【0129】
また、コントローラ61は、第1種別情報が「通常の本体」であることを表わしている場合は、「本体契約」が締結されていない状態であると判定する。そして、コントローラ61は、S23において成立した条件A1、条件A2、および条件A3の何れかとの組み合わせにより、予告モードを読み出して、本体メモリ62に記憶する(S23)。例えば、「本体契約無し」と「条件A1」との組み合わせに該当する場合は、コントローラは、S22において、予告2の予告モードを読み出す。
【0130】
ここで、図7に示す予告1、予告2、予告3、予告4、予告5、および予告6について、図8を用いて詳細に説明する。図8は、予告内容設定テーブル93の一例を示す図である。図8に示すように、予告内容設定テーブル93は、「予告モード」と「予告内容」とを含む情報により構成されている。また、「予告モード」には、予告1、予告2、予告3、予告4、予告5、および予告6の予告モードを表す情報が含まれている。「予告内容」には、予告1、予告2、予告3、予告4、予告5、および予告6の予告モードのそれぞれに対応する予告内容の情報が含まれている。
【0131】
予告1、予告2、予告3、予告4、予告5、および予告6の予告モードのそれぞれに対応する予告内容の情報は、以下の通りである。
・予告1、予告3、予告5:本体が使用できなくなる可能性があります。詳細はダッシュボードを確認してください。
・予告2、予告4、予告6:専用カートリッジが利用不可となる可能性があります。詳細はダッシュボードを確認してください。
なお、「ダッシュボード」とは、ユーザ個別対応用のウェブページのことである。
【0132】
続いて、S24において、コントローラ61は、本体メモリ62からS23で記憶した予告モードを読み出し、図8に示す予告内容設定テーブル93の予告モードとする。そして、コントローラ61は、この予告モードに対応する「予告内容」を予告内容設定テーブル93から読み出して、本体メモリ62に記憶する(S24)。
【0133】
例えば、本体メモリ62から読み出した予告モードが「予告1」である場合は、コントローラ61は、予告内容設定テーブル93から予告1に対応する「本体が使用できなくなる可能性があります。詳細はダッシュボードを確認してください。」を読み出す。そして、コントローラ61は、読み出した予告内容を本体メモリ62に記憶する。また、本体メモリ62から読み出した予告モードが「予告2」である場合は、コントローラ61は、予告内容設定テーブル93から予告2に対応する「専用カートリッジが利用不可となる可能性があります。詳細はダッシュボードを確認してください。」を読み出す。そして、コントローラ61は、読み出した予告内容を本体メモリ62に記憶する。
【0134】
続いて、S25において、コントローラ61は、S24で本体メモリ62に記憶した予告内容を読み出し、ディスプレイ64に表示して、ユーザに予告内容を報知した後(S25)、S26の処理に進む。
【0135】
S26において、コントローラ61は、図9に示す制限モード設定テーブル95の制限条件Bのいずれかが成立したかを判定する(S26)。図9に示すように、制限モード設定テーブル95は、「本体契約締結中」、「本体契約無し」などと、「制限条件B」とを含む情報を格納している。
【0136】
また、「制限条件B」には、「条件B1」と、「条件B2」と、「条件B3」と表わす情報が含まれている。条件B1、条件B2、および条件B3は以下のとおりである。
・条件B1:オフライン継続中の印刷可能な枚数に達した
・条件B2:サーバからの印刷停止指示を受信
・条件B3:内部時計で契約期間完了を検知
各条件について、以下、より詳細に説明する。
【0137】
条件B1は、通信インタフェース63を介した外部の通信装置、例えばサーバ8との通信が切断されたオフライン継続中に契約印刷により印刷した印刷枚数が、オフライン中に印刷可能な枚数に達した場合である。具体的には、コントローラ61は、本体メモリ62の枚数記憶部629からオフライン中に印刷可能な枚数を読み出す。そして、コントローラ61は、オフラインを検出した時点から、本体メモリ62の領域626に記憶される第2枚数カウンタのカウント値を読み出し、条件B1が成立するかを判定する。
【0138】
条件B2は、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷停止指示を受信した場合である。例えば、コントローラ61は、本体契約または消耗品契約の利用料金の納付期限が過ぎても、ユーザが利用料金を支払わなかったときに、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷停止指示を受ける。
【0139】
条件B3は、内部時計としてのタイマ69で「本体契約」または「消耗品契約」の契約期間完了を検知した場合である。コントローラ61は、本体メモリ62の期間記憶部630から「本体契約」と「消耗品契約」のそれぞれの契約終了日時の情報を読み出し、条件B3が成立するかを判定する。
【0140】
そして、コントローラ61は、制限モード設定テーブル95の制限条件Bのいずれも成立しないと判定した場合は(S26:NO)、再度S22の処理を実行する。一方、コントローラ61は、制限モード設定テーブル95の制限条件Bのいずれかが成立したと判定した場合は(S26:YES)、制限条件Bの成立した条件を本体メモリ62に記憶した後、S27の処理に進む。
【0141】
S27において、コントローラ61は、第1種別情報とS26において成立した制限条件により制限モードを取得する。具体的には、先ず、コントローラ61は、本体メモリ62の領域624から第1種別情報を読み出す。そして、コントローラ61は、第1種別情報が「専用本体」であることを表わしている場合は、「本体契約」が締結されている状態であると判定する。そして、コントローラ61は、S26において成立した条件B1、条件B2、および条件B3の何れかとの組み合わせにより、制限モードを読み出して、本体メモリ62に記憶する(S27)。
【0142】
例えば、「本体契約締結中」と「条件B1」との組み合わせに該当する場合は、コントローラは、S27において、制限1(レベル1)の制限モードを読み出す。尚、条件B1、条件B2、および条件B3のうちの複数の条件が成立した場合は、コントローラ61は、「制限1(レベル1)」、「制限3(レベル2)」、または「制限5(レベル3)」のうちのレベルの高い方の制限モードを読み出す。そして、コントローラ61は、読み出した制限モードを本体メモリ62に記憶する(S27)。
【0143】
また、コントローラ61は、第1種別情報が「通常の本体」であることを表わしている場合は、「本体契約」が締結されていない状態であると判定する。そして、コントローラ61は、S26において成立した条件B1、条件B2、および条件B3の何れかとの組み合わせにより、制限モードを読み出して、本体メモリ62に記憶する(S27)。
【0144】
例えば、「本体契約無し」と「条件B1」との組み合わせに該当する場合は、コントローラは、S27において、制限2(レベル1)の制限モードを読み出す。尚、条件B1、条件B2、および条件B3のうちの複数の条件が成立した場合は、コントローラ61は、「制限2(レベル1)」、「制限4(レベル2)」、または「制限6(レベル3)」のうちのレベルの高い方の制限モードを読み出す。そして、コントローラ61は、読み出した制限モードを本体メモリ62に記憶する(S27)。
【0145】
続いて、S28において、コントローラ61は、本体メモリ62からS27で記憶した制限モードを読み出し、図10に示す制限内容設定テーブル96の制限モードとする。図10に示すように、制限内容設定テーブル96は、「制限モード」と、複合機1の機能を表す「利用可能なトナーカートリッジ」、「スキャナ機能」、「ファックス送信機能」、「ファックス受信機能(印刷)」、「ファックス受信機能(メモリ受信)」とを含む情報により構成されている。
【0146】
また、「制限モード」には、制限1、制限2、制限3、制限4、制限5、および制限6の制限モードの情報が含まれている。また、「利用可能なトナーカートリッジ」には、制限1、制限3、制限5に対応して「なし」の制限内容の情報が含まれ、制限2、制限4、制限6に対応して「通常カートリッジ」の制限内容の情報が含まれている。また、「スキャン機能」には、制限1、制限2、制限4、制限6に対応して「利用可能」の情報が含まれ、制限3、制限5に対応して「利用不可」の制限内容の情報が含まれている。
【0147】
また、「ファックス送信機能」には、制限1、制限2、制限4、制限6に対応して「利用可能」の制限内容の情報が含まれ、制限3、制限5に対応して「利用不可」の制限内容の情報が含まれている。また、「ファックス受信機能(印刷)」には、制限1、制限3、制限5に対応して「利用不可」の制限内容の情報が含まれ、制限2、制限4、制限6に対応して「利用可能(通常カートリッジ時)」の制限内容の情報が含まれている。
【0148】
また、「ファックス受信機能(メモリ受信)」には、制限1に対応して「利用不可」、制限2、制限4、制限6に対応して「利用可能」の制限内容の情報が含まれている。また、「ファックス受信機能(メモリ受信)」には、制限3に対応して「利用可能(Pネル表示案内)」の制限内容の情報が含まれ、制限5に対応して「利用不可(強制TELモード)」の制限内容の情報が含まれている。
【0149】
従って、制限1~制限6のそれぞれに対応して、「ファックス送信機能」と、「ファックス受信機能(印刷)」と、「ファックス受信機能(メモリ受信)」と、の少なくとも一部が「利用可能」から「利用不可」に切り替えられる。なお、制限1、制限3、および制限5に対応する「ファックス送信機能」と、「ファックス受信機能(印刷)」と、「ファックス受信機能(メモリ受信)」と、が全て「利用可能」から「利用不可」に切り替えられるようにしてもよい。
【0150】
複合機1の機能を表す「利用可能なトナーカートリッジ」、「スキャナ機能」、「ファックス送信機能」、「ファックス受信機能(印刷)」、「ファックス受信機能(メモリ受信)」の制限内容の情報について、以下、より詳細に説明する。
【0151】
制限内容設定テーブル96の「利用可能なトナーカートリッジ」は、印刷部66で使用できる「印刷機能」であって、専用カートリッジと通常カートリッジとの2種類のトナーカートリッジ4のうちで、印刷に使用できるトナーカートリッジ4の種別を表している。例えば、「利用可能なトナーカートリッジ」が「なし」の場合は、専用カートリッジと通常カートリッジとの両方のトナーカートリッジ4が、印刷に使用できないことを表わしている。つまり、印刷部66で使用できる「印刷機能」を停止するように制限することを表わしている。
【0152】
また、「利用可能なトナーカートリッジ」が「通常カートリッジ」の場合は、通常カートリッジのトナーカートリッジ4だけが、印刷に使用できることを表わしている。つまり、本体10に専用カートリッジのトナーカートリッジ4が装着されている場合は、印刷部66で使用できる「印刷機能」を停止するように制限することを表わしている。
【0153】
また、例えば、制限内容設定テーブル96の「スキャナ機能」が「利用可能」は、スキャナ部67で使用できる「スキャナ機能」を制限しないことを表わしている。つまり、複合機1はスキャナ部67による「スキャナ機能」を使用できることを表わしている。また、制限内容設定テーブル96の「スキャナ機能」が「利用不可」は、スキャナ部67で使用できる「スキャナ機能」を停止するように制限することを表わしている。つまり、複合機1はスキャナ部67による「スキャナ機能」を停止することを表わしている。
【0154】
また、例えば、制限内容設定テーブル96の「ファックス送信機能」が「利用可能」は、ファクシミリ及び電話通信部68を介したファックス送信機能を使用できることを表わしている。また、制限内容設定テーブル96の「ファックス送信機能」が「利用不可」は、ファクシミリ及び電話通信部68を介したファックス送信機能を停止するように制限することを表わしている。つまり、複合機1はファクシミリ及び電話通信部68で使用できる「ファックス送信機能」を停止することを表わしている。
【0155】
また、例えば、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(印刷)」が「利用不可」は、通信インタフェース63を介してファックス受信した画像データの印刷出力を停止するよう制限することを表わしている。また、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(印刷)」が「利用可能(通常カートリッジ時)」は、通常カートリッジのトナーカートリッジ4が装着されている場合、ファックス受信した画像データを印刷出力できることを表わしている。つまり、専用カートリッジのトナーカートリッジ4が装着されている場合、ファックス受信した画像データの印刷出力する「ファックス受信機能」を停止するよう制限することを表わしている。
【0156】
また、例えば、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(メモリ受信)」が「利用可能」は、ファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶して保存することができることを表わしている。また、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(メモリ受信)」が「利用不可」は、通信インタフェース63を介してファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶して保存することを停止するように設定(制限)することを表わしている。
【0157】
また、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(メモリ受信)」が「利用可能(パネル表示案内)」は、ファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶していることをディスプレイ64に表示することを表わしている。また、制限内容設定テーブル96の「ファックス受信機能(メモリ受信)」が「利用不可(強制TELモード)」は、通信インタフェース63を介してファックス受信した場合、ファクシミリ及び電話通信部68により音声通信を行うことを表わしている。つまり、ファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶することを停止(制限)することを表わしている。
【0158】
そして、コントローラ61は、制限モードに対応する「利用可能なトナーカートリッジ」、「スキャナ機能」、「ファックス送信機能」、「ファックス受信機能(印刷)」、「ファックス受信機能(メモリ受信)」の各機能の制限内容を設定する。つまり、コントローラ61は、各機能を、この制限モードに対応する制限内容に切り替える(S28)。
【0159】
従って、S28において、例えば、コントローラ61は、本体メモリ62からS27で記憶した「制限3」の制限モードを読み出した場合は、この「制限3」を図10に示す制限内容設定テーブル96の制限モードとする。そして、図10に示すように、コントローラ61は、「制限3」に対応する「利用可能なトナーカートリッジ」が「なし」であることから、印刷部66で使用できる「印刷機能」を停止するように設定(制限)する。
【0160】
また、コントローラ61は、「制限3」に対応する「スキャナ機能」が「利用不可」であることから、スキャナ部67で使用できる「スキャナ機能」を停止するように設定(制限)する。また、コントローラ61は、「制限3」に対応する「ファックス送信機能」が「利用不可」であることから、ファクシミリ及び電話通信部68を介したファックス送信機能を停止するように設定(制限)する。
【0161】
また、コントローラ61は、「制限3」に対応する「ファックス受信機能(印刷)」が「利用不可」であることから、通信インタフェース63を介してファックス受信した画像データの印刷出力を停止するよう設定(制限)する。また、コントローラ61は、「制限3」に対応する「ファックス受信機能(メモリ受信)」が「利用可能(パネル表示案内)」であることから、ファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶して保存するように設定する。
【0162】
また、コントローラ61は、画像データを本体メモリ62に記憶している場合は、ファックス受信した画像データを本体メモリ62に記憶していることをディスプレイ64に表示する。これにより、ユーザは、ユーザ端末9などによって複合機1からファックス受信したメッセージなどの画像データを受け取って、確認することが可能となる。
【0163】
続いて、S29において、コントローラ61は、S28で、印刷部66で使用できる「印刷機能」を制限した場合は、「印刷機能」を制限した内容をディスプレイ64に表示して、ユーザに通知する。また、コントローラ61は、S28で、スキャナ部67で使用できる「スキャナ機能」を制限(停止)した場合は、「スキャナ機能」を制限(停止)したことをディスプレイ64に表示して、ユーザに通知する。
【0164】
また、コントローラ61は、S28で、ファクシミリ及び電話通信部68で使用できる「ファックス送信機能」を制限(停止)した場合は、「ファックス送信機能」を制限(停止)したことをディスプレイ64に表示して、ユーザに通知する。また、コントローラ61は、S28で、ファクシミリ及び電話通信部68で使用できる「ファックス受信機能」を制限(停止など)した場合は、「ファックス受信機能」を制限(停止など)したことをディスプレイ64に表示して、ユーザに通知する(S29)。
【0165】
その後、S30において、コントローラ61は、S26で本体メモリ62に記憶した制限条件Bの成立した条件を読み出し、この成立した制限条件Bが解除されたかを判定する。例えば、コントローラ61は、S26で成立した制限条件Bが条件B1の場合は、通信インタフェース63を介した外部の通信装置、例えばサーバ8との通信が接続されたかを判定する。そして、コントローラ61は、通信インタフェース63を介した外部の通信装置、例えばサーバ8との通信が接続されたと判定した場合は、S26で成立した制限条件Bが解除されたと判定する。
【0166】
また、例えば、コントローラ61は、S26で成立した制限条件Bが条件B2の場合は、ユーザが利用料金を支払って、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷再開指示を受信したかを判定する。そして、コントローラ61は、サーバ8から通信インタフェース63を介して印刷再開指示を受信したと判定した場合は、S26で成立した制限条件Bが解除されたと判定する。
【0167】
また、例えば、コントローラ61は、S26で成立した制限条件Bが条件B3の場合は、サーバ8から通信インタフェース63を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が締結された通知、若しくは、「消耗品契約」が締結された通知を受信したかを判定する。そして、コントローラ61は、サーバ8から通信インタフェース63を介して「本体契約」及び「消耗品契約」が締結された通知、若しくは、「消耗品契約」が締結された通知を受信したと判定した場合は、S26で成立した制限条件Bが解除されたと判定する。
【0168】
そして、コントローラ61は、S26で成立した制限条件Bが解除されていないと判定した場合は(S30:NO)、再度S30の処理を実行する。一方、コントローラ61は、S26で成立した制限条件Bが解除されたと判定した場合は(S30:YES)、S31の処理に進む。
【0169】
S31において、コントローラ61は、S28で設定した印刷部66で使用できる「印刷機能」に設定された制限を解除する。その結果、ユーザは、専用カートリッジおよび通常カートリッジのトナーカートリッジ4を用いた印刷を行うことが可能となる。また、コントローラ61は、S28で設定したスキャナ部67で使用できる「スキャナ機能」に設定された制限を解除する。その結果、ユーザは、スキャナ部67によって読み取り対象物の画像データを得ることが可能となる。
【0170】
また、コントローラ61は、S28で設定したファクシミリ及び電話通信部68で使用できる「ファックス送信機能」と「ファックス受信機能」とのそれぞれに設定された制限を解除する。その結果、ユーザは、外部へのファックス送信および外部からのファックス受信を行うことが可能となる。その後、コントローラ61は、再度、S22以降の処理を実行する。
【0171】
[変形例]
[変形例1]
例えば、図9に示す制限モード設定テーブル95に記憶された「制限1」、「制限2」、「制限3」、「制限4」、「制限5」、および「制限6」の各制限モードに、2つ以上の「制限モード」から1つを選択する選択順位を付さないようにしてもよい。つまり、「制限1」、「制限2」、「制限3」、「制限4」、「制限5」、および「制限6」の各制限モードに、2つ以上の「制限モード」から1つを選択する選択順位を表す「レベル1」、「レベル2」、および「レベル3」を付さないようにしてもよい。
【0172】
そして、図10に示す制限内容設定テーブル96に記憶された各制限モードに対応する複合機1の複数の機能の制限内容のそれぞれに、「制限内容」を選択する選択順位を表す「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、および「レベル4」などを付してもよい。「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、および「レベル4」などは、2つ以上の制限モードが選択された際に、各制限モードに対応する各機能の2つ以上の「制限内容」から1つの「制限内容」を選択する選択順位を表す。「制限内容」を選択する選択順位は、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、および「レベル4」などの順に高くなるようにしてもよい。
【0173】
そして、S27において、条件B1、条件B2、および条件B3のうちの複数の条件が成立した場合は、コントローラ61は、対応する複数の制限モードを読み出して、本体メモリ62に記憶するようにしてもよい。
【0174】
続いて、S28において、コントローラ61は、本体メモリ62からS27で記憶した複数の制限モードを読み出し、各制限モードを図10に示す制限内容設定テーブル96の制限モードとする。そして、コントローラ61は、各制限モードに対応する各機能の2つ以上の「制限内容」に付された「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、および「レベル4」などのうち、最も高いレベルが付された制限内容を、各機能の制限内容として設定してもよい。
【0175】
[変形例2]
本開示の画像形成装置は、複合機1に限られない。画像形成装置は、印刷機能のみを有する装置、例えば、レーザープリンタやインクジェットプリンタであってもよい。
【0176】
[変形例3]
ドラムカートリッジ20は、感光体ドラムと、カートリッジ筐体と、ドラムメモリ22と、帯電器と、現像ローラを有してもよい。カートリッジ筐体には、感光体ドラム、ドラムメモリ22、帯電器及び現像ローラが設けられる。また、トナーカートリッジ4は、カートリッジ筐体及びトナーメモリ42を有するが、現像ローラを有しない。カートリッジ筐体はトナーを収容する。現像ローラの外周面は、ドラムカートリッジ20の内部で感光体ドラムの外周面と接触する。
【0177】
[変形例4]
トナーカートリッジ4は、図示しない2つのカートリッジから構成されていてもよい。トナーカートリッジ4を構成する2つのカートリッジのうち1つ目のカートリッジは、現像ローラを有する。トナーカートリッジ4を構成する2つのカートリッジのうち2つ目のカートリッジは、カートリッジ筐体と、トナーメモリ42と、を有する。カートリッジ筐体はトナーを収容する。
【0178】
[変形例5]
複合機1は、ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ4に代えて、図示しない1つのカートリッジを備えてもよい。1つのカートリッジは、感光体ドラムと、カートリッジ筐体と、メモリと、帯電器と、現像ローラと、を有する。現像ローラの外周面は、1つのカートリッジの内部で感光体ドラムの外周面と接触する。1つのカートリッジのカートリッジ筐体はトナーを収容する。
【0179】
[変形例6]
また、複合機1では、ドラムカートリッジ20とトナーカートリッジ4とが本体10に対して互いに独立して着脱可能であってもよい。
【0180】
[変形例7]
複合機1の印刷部66は、インクジェットプリンタ方式であってもよい。印刷部66がインクジェットプリンタ方式である場合、複合機1の本体10には、ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ4ではなく、インクカートリッジが装着される。なお、複合機1に装着されるインクカートリッジの個数は、特に限定されない。例えば、複合機1には、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色それぞれに対応する、合計4個のインクカートリッジが装着されてよいし、ブラック1色のみが装着されてもよい。
【0181】
インクカートリッジは、インクメモリを内蔵している。インクメモリには、例えば、インクIDと、インク種別情報と、インク残量と、新品フラグと、発注済み情報と、が記憶されている。インクIDは、トナーIDと同様の情報である。インク種別情報は、第2種別情報と同様の情報である。
【0182】
印刷部66がインクジェットプリンタ方式である場合においても、図4図5の処理の流れは同様である。具体的には、印刷部66がインクジェットプリンタ方式である場合、前述の実施形態の説明における「トナーカートリッジ4」、「トナーメモリ42」をそれぞれ、インクカートリッジ、インクメモリ、に読みかえればよい。また、「トナーID」、「第2種別情報」、および「トナー残量情報」をそれぞれ、インクID、インク種別情報、およびインク残量情報に読みかえればよい。印刷部66がインクジェットプリンタ方式である場合も、前記実施形態の複合機1と同様の効果を奏する。
【0183】
[ソフトウェアによる実現例]
複合機1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、複合機1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、複合機1のコントローラ61としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0184】
この場合、複合機1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0185】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、複合機1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して複合機1に供給されてもよい。
【0186】
また、コントローラ61の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。
【0187】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0188】
1 複合機、4 トナーカートリッジ、42 トナーメモリ、61 コントローラ、62 本体メモリ、63 通信インタフェース、64 ディスプレイ、66 印刷部、67 スキャナ部、68 ファクシミリ及び電話通信部、69 タイマ、629 枚数記憶部、630 期間記憶部
図1
図2
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図8
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図10