(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145399
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】グリーンシートおよび造粒粉
(51)【国際特許分類】
C04B 35/634 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
C04B35/634 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057724
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 康二
(57)【要約】
【課題】セラミックスを含むシートの熱伝導性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】ここで開示されるグリーンシート100は、複数の顆粒112を含んでおり、顆粒112は、セラミックス粉末14と、熱可塑性アクリル樹脂とを含む。セラミックス粉末14は、SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および、SEM観察に基づく平均長径が5μm以上である。そして、SEM画像に基づく顆粒112の平均粒子径が10μm以上70μm以下である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顆粒を含むグリーンシートであって、
前記顆粒は、セラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含み、
前記セラミックス粉末は、
SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および
SEM観察に基づく平均長径が5μm以上であり、
SEM画像に基づく前記顆粒の平均粒子径が10μm以上70μm以下である、
グリーンシート。
【請求項2】
断面SEM画像に基づく前記顆粒の平均アスペクト比が1以上2以下である、請求項1に記載のグリーンシート。
【請求項3】
理論密度比((実測密度/理論密度)×100)が98%以上である、請求項1に記載のグリーンシート。
【請求項4】
前記セラミックス粉末と前記熱可塑性アクリル樹脂との合計を100vol%としたとき、前記セラミックス粉末の割合が40vol%以上70vol%以下である、請求項1に記載のグリーンシート。
【請求項5】
厚み方向における熱伝導率が3W/m・K以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のグリーンシート。
【請求項6】
複数の顆粒を有するセラミックス造粒粉であって、
前記顆粒はセラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含み、
前記セラミックス粉末は、
SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および
SEM観察に基づく平均長径が5μm以上であり、
前記顆粒のSEM画像に基づく平均粒子径が10μm以上70μm以下である、
セラミックス造粒粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリーンシートおよびそのグリーンシートに用いられる造粒粉に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを効率的に利用するために、電力用半導体素子(いわゆるパワーデバイス)が不可欠な存在となっている。一般に、パワーデバイスの高密度化に伴い、パワーデバイスの発熱量が増大する。かかる発熱により、パワーデバイスや、かかるパワーデバイスの周囲の部材に不具合が生じ得るため、熱を周囲に放熱する技術が求められる。例えば、特許文献1には、緻密な窒化物セラミック粉末を含むシート状組成物(グリーンシート)を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アスペクト比(長径/短径)の高いセラミックス粉末を使用したグリーンシートでは、例えば、セラミックス粉末の配向性等の影響により、熱伝導性が不十分になる場合がある。特許文献1に開示の技術では、このような制御の検討までは至っておらず、改良の余地がある。
【0005】
本開示は、セラミックスを含むシートの熱伝導性を向上させる技術を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示により、ここで開示される技術の一態様としてグリーンシートが提供される。ここで開示されるグリーンシートの一態様は、複数の顆粒を含むグリーンシートであって、上記顆粒は、セラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含む。上記セラミックス粉末は、SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および、SEM観察に基づく平均長径が5μm以上である。そして、SEM画像に基づく上記顆粒の平均粒子径が10μm以上70μm以下である。
【0007】
かかる構成のグリーンシートでは、グリーンシート中に顆粒が存在しており、当該顆粒は、アスペクト比が2以上かつ平均長径が5μm以上のセラミックス粉末を有している。このようなセラミックス粉末は熱伝導性に優れており、当該セラミックス粉末が顆粒中に配置されていることで、熱伝導性により優れたグリーンシートが実現される。
【0008】
ここで開示されるグリーンシートの一態様では、断面SEM画像に基づく上記顆粒の平均アスペクト比が1以上2以下である。かかる構成では、顆粒は略球状を有しており、グリーンシート中で潰れていない。換言すれば、顆粒に含まれるセラミックス粉末が所定の方向に配向されず、セラミックス粉末がランダムに配向されている。そのため、かかる構成のグリーンシートは、シートのいずれの方向に対しても熱伝導性が良好になる。
【0009】
ここで開示されるグリーンシートの一態様では、理論密度比((実測密度/理論密度)×100)が98%以上である。これにより、セラミックス粉末同士の繋がりが良好になり、熱伝導性がさらに向上する。
【0010】
ここで開示されるグリーンシートの一態様では、上記セラミックス粉末と上記熱可塑性アクリル樹脂との合計を100vol%としたとき、上記セラミックス粉末の割合が40vol%以上70vol%以下である。これにより、セラミックス粉末と熱可塑性アクリル樹脂との比率が良好となり、熱伝導性と成形安定性とが良好になり得る。
【0011】
ここで開示されるグリーンシートの一態様では、厚み方向における熱伝導率が3W/m・K以上である。ここで開示されるグリーンシートは、厚み方向における熱伝導率に優れている。
【0012】
本開示により、ここで開示される技術の一態様としてセラミックス造粒粉が提供される。ここで開示されるセラミックス造粒粉は、複数の顆粒を有しており、上記顆粒はセラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含む。上記セラミックス粉末は、SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、およびSEM観察に基づく平均長径が5μm以上である。そして、上記顆粒のSEM画像に基づく平均粒子径が10μm以上70μm以下である。このようなセラミックス造粒粉を原料粉末とすることで、グリーンシートに優れた熱伝導性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るセラミックス造粒粉を示す模式図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るグリーンシート示す模式図である。
【
図3】
図3は、乾式粉末圧延法を用いて一実施形態に係るグリーンシートを製造する方法を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、例3におけるグリーンシートの断面SEM画像である。
【
図5】
図5は、例6におけるグリーンシートの断面SEM画像である。
【
図6】
図6は、例2におけるグリーンシートの破断面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ここに開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、本明細書により教示されている技術内容と、当該分野における当業者の一般的な技術常識とに基づいて理解することができる。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において数値範囲を「A~B(ここでA、Bは任意の数値)」と記載している場合は、「A以上B以下」を意味すると共に、「Aを超えてB未満」、「Aを超えてB以下」、および「A以上B未満」の意味を包含する。
【0015】
<セラミックス造粒粉>
図1は、一実施形態に係るセラミックス造粒粉を示す模式図である。セラミックス造粒粉10は、複数の顆粒12を含む。顆粒12は、無機フィラーとしてセラミックス粉末14と、バインダとして熱可塑性アクリル樹脂(図示せず)を含む。また、顆粒12は、さらに、可塑剤等のその他の添加剤を含み得る。顆粒12は、セラミックス粉末14の粒子同士が熱可塑性アクリル樹脂により結着し、凝集して構成され得る。
【0016】
セラミックス造粒粉10は、例えば、グリーンシートの材料として使用され得る。セラミックス造粒粉10をシート状に成形することで、後述するグリーンシートが作成される。セラミックス造粒粉10は、シート状に成形する際に潰れにくいため、顆粒の状態を保ったまま(即ち、顆粒12に含まれるセラミックス粉末の配向性がランダムのまま)グリーンシートを成形することができる。これにより、熱伝導性に優れたグリーンシートが実現される。
【0017】
顆粒12の形状は、特に限定されないが、球状または略球状であることが好ましい。本明細書において、「球状」や「略球状」は、全体として概ね球体(ボール)と見なせる形態であることを示し、楕円状、多角体状、円盤球状等を包含する。本明細書において「球状」とは、平均アスペクト比が1.0であることをいう。また、本明細書において「略球状」とは、平均アスペクト比が1.0を超えて2.0未満、好ましくは1.5以下であることをいう。
本明細書において、顆粒12の平均アスペクト比は、SEMの観察画像において、100以上の顆粒12に対し、それぞれ顆粒12に外接する最小の矩形を描いたときの長辺(長径)を短辺(短径)で除した値をアスペクト比(長径/短径)として求め、当該アスペクト比を算術平均した値のことをいう。
【0018】
顆粒12の平均粒子径(D50粒径)は、例えば、10μm以上であって、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、特に好ましくは35μm以上(例えば38μm以上)であり得る。顆粒12の平均粒子径が10μm以上であれば、シート中の顆粒同士のつながりが良くなり熱伝導性が十分に向上する。顆粒12の平均粒子径(D50粒径)は、例えば、70μm以下であって、65μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、45μm以下、または40μm以下であり得る。顆粒12の平均粒子径が70μm以下であれば、シート成形時に顆粒12が潰れることが防止される。これにより、熱伝導性に優れたセラミックスシート(例えば、グリーンシート)を作成することができる。
【0019】
本明細書において、顆粒12の平均粒子径(D50粒径)は、SEMの観察画像に基づく個数基準の粒度分布において、小径側から累積50%に相当する粒子径のことをいう。SEMの観察画像で測定される顆粒12の粒径は、顆粒12の円相当径のことをいう。測定する顆粒12の数は例えば100個(またはそれ以上)である。SEMの観察画像は二値化処理をして円相当径を測定するとよい。また、本明細書において、上記SEMの観察画像に基づく個数基準の粒度分布において、小径側から累積10%に相当する粒子径をD10粒径、小径側から累積90%に相当する粒子径をD90粒径と呼称する。
【0020】
顆粒12のD10粒径は、例えば、3μm以上、10μm以上、15μm以上であり得る。また、顆粒12のD10粒径は、例えば、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、または20μm以下であり得る。
【0021】
顆粒12のD90粒径は、例えば、20μm以上、40μm以上、60μm以上、または75μm以上であり得る。また、顆粒12のD90粒径は、例えば、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下、または80μm以下であり得る。
【0022】
(セラミックス粉末)
顆粒12に含まれるセラミックス粉末14は、無機フィラーとして含まれており、セラミックスシート(グリーンシートおよび焼成後のグリーンシートを含む)に熱伝導の機能を付与する主要な成分である。セラミックス粉末14の粒子の形状は、例えば、板状、針状等の平均アスペクト比(平均長径/平均短径)が高い形状である。セラミックス粉末14の平均アスペクト比は、例えば、2以上であるとよく、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上、特に好ましくは8以上である。また、セラミックス粉末14の平均アスペクト比は8.3以上、9以上、または9.3以上であってよい。セラミックス粉末14の平均アスペクト比が高いことで、セラミックス粉末14の長径が延びる方向への熱伝導率が向上する。セラミックス粉末14の平均アスペクト比の上限は、特に限定されないが、例えば50以下である。平均アスペクト比が高すぎる場合には、顆粒へと造粒するのが困難になり得る。
【0023】
セラミックス粉末14の平均長径は、例えば、5μm以上であるとよく、好ましくは8μm以上である。また、セラミックス粉末14の平均長径は、例えば、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、または28μm以上であり得る。セラミックス粉末14の平均長径が長いほど、セラミックス粉末14の長径が延びる方向への熱伝導率が向上する。セラミックス粉末14の平均長径の上限は特に限定されないが、例えば、50μm以下であり得る。平均長径が長すぎる場合には、顆粒へと造粒するのが困難になり得る。
【0024】
セラミックス粉末14の平均短径は、例えば、0.5μm以上、1μm以上、または2μm以上であり得る。また、セラミックス粉末14の平均短径は、例えば、5μm以下、4μm以下、または3.5μm以下であり得る。
【0025】
本明細書において、セラミックス粉末14の平均長径および平均短径は、SEMの観察画像において、100個以上のセラミックス粉末14を構成するセラミックス粒子に対し、当該セラミックス粒子に外接する最小の矩形を描いたときの長辺を長径、短辺を短径として測定したときの算術平均値のことをいう。また、セラミックス粉末14の平均アスペクト比は、セラミックス粉末14の平均長径を平均短径で除した値(平均長径/平均短径)のことをいう。
【0026】
セラミックス粉末14の割合は、セラミックス粉末14と熱可塑性アクリル樹脂との合計を100vol%としたとき、例えば、40vol%以上であって、好ましくは45vol%以上、より好ましくは55vol%以上、さらに好ましくは60vol%以上である。かかる割合が高いほど、熱伝導率が向上し得る。また、セラミックス粉末14の上記割合は、例えば、75vol%以下であって、好ましくは70vol%以下であって、より好ましくは68vol%以下である。セラミックス粉末14の占める割合が高すぎる場合、セラミックス粉末14同士を結着するための熱可塑性アクリル樹脂の量が不十分になり、造粒が困難になり得る。
【0027】
セラミックス粉末14を構成する無機物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウムなどの無機窒化物等が挙げられる。
【0028】
(熱可塑性アクリル樹脂)
熱可塑性アクリル樹脂は、顆粒12においてセラミックス粉末14を結着する成分である。熱可塑性アクリル樹脂の一例として、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマー(単量体全体の50重量%超を占める成分)として含み、当該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含むモノマー混合物が挙げられる。該モノマー混合物は、上記主モノマーおよび上記副モノマーに加えて、任意に、他の共重合成分を含むことができる。これらのモノマーが共重合することによって、所定の機能を有するアクリル系高分子化合物が形成され得る。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。同様に、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを意味する。
【0029】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般式:CH2=C(R1)COOR2で表される化合物を好適に用いることができる。ここで、式中のR1は水素原子またはメチル基を示している。また、R2は炭素原子数が1~20の鎖状アルキル基を示している。R2は、炭素原子数が1~14の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素原子数が1~12の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0030】
副モノマーとしては、アクリル系高分子化合物に架橋点を導入したり、アクリル系高分子化合物の結着性を制御したりする機能を有し、所望のバインダ特性に応じて各種の官能基を含むモノマー成分を用いることができる。かかる官能基は、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等であり得る。副モノマーの量は特に限定されず、グリーンシートに所望の緻密性が実現されるように適宜設計することができる。なお、ここに例示した副モノマー以外の他の共重合成分を含むようにしてもよい。上記モノマー(主モノマーと副モノマーの総量)に占める副モノマーの割合は、所望の架橋度に応じて適宜選択すればよく、例えば、全モノマー成分100質量%に対して、1~10質量%程度とすることができる。また、モノマー混合物を重合する方法は特に制限されず、従来公知の一般的な重合方法(エマルション重合、溶液重合等)を採用することができる。
【0031】
熱可塑性アクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、概ね5千以上(例えば1万以上)とすることができる。また、上記重量平均分子量は、概ね100万以下、典型的には50万以下、例えば30万以下、20万以下、10万以下とすることができる。なお、熱可塑性アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した重量基準の平均分子量を採用し得る。あるいは、メーカーの公称値を採用してもよい。
【0032】
熱可塑性アクリル樹脂は、乾燥処理(例えば、100℃~200℃程度の加熱処理)では分解されず、脱バインダ処理(例えば、200℃~600℃程度の加熱処理)によって分解除去し易いものを好ましく用いることができる。これにより、セラミックス造粒粉10、および、当該造粒粉をシート成形して成るグリーンシート中では、熱可塑性アクリル樹脂がセラミックス粉末14を結着させるように存在し、当該グリーンシートの焼成後には、熱可塑性アクリル樹脂が燃え抜け、焼成後のシートの熱伝導性を妨げないよう構成することができる。
【0033】
また、熱可塑性アクリル樹脂は水溶性であることが好ましい。水溶性であれば、セラミックス造粒粉10の造粒工程において、有機溶媒ではなく水系溶媒を使用することができるため、環境負荷を低減することができる。
【0034】
熱可塑性アクリル樹脂の割合は、セラミックス粉末14と熱可塑性アクリル樹脂との合計を100vol%としたとき、例えば、25vol%以上、30vol%以上、35vol%以上、40vol%以上であり得る。これにより、セラミックス造粒粉を作製し易くなる。また、熱可塑性アクリル樹脂の上記割合は、例えば、60vol%以下であって、好ましくは55vol%以下、より好ましくは50vol%以下である。セラミックス造粒粉10において熱可塑性アクリル樹脂の占める割合が高すぎる場合、セラミックス粉末14の割合が減少し、熱伝導性が不十分になり得る。
【0035】
(その他の添加剤)
顆粒12は、必要に応じて、上記成分の他、可塑剤、離型剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、増粘剤等の各種添加剤などを含んでもよい。この中でも、可塑剤を含むことが好ましい。
【0036】
(可塑剤)
可塑剤は、主として、上述した熱可塑性アクリル樹脂を構成するポリマーの分子間力を弱め、それぞれの分子を動きやすくすることによって、ポリマーに柔軟性を付与する機能を有する成分である。これにより、顆粒12を成形して作成されるグリーンシートの緻密性向上や加工性向上に寄与し得る。
【0037】
可塑剤としては、乾燥処理(典型的には、100℃~200℃の加熱処理)によっては分解されず、かつ、脱バインダ処理(典型的には、200℃超過600℃以下程度の加熱処理)や600℃超過(例えば1500℃~2500℃)での焼成工程によって分解除去し易いものを好ましく用いることができる。
【0038】
可塑剤として、水溶性可塑剤を好ましく用いることができる。水溶性可塑剤としては、公知の水溶性可塑剤を特に制限なく使用することができるが、例えば、多価アルコール、ポリエーテル等を使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで開示される技術の効果を実現し得る限りは、水溶性可塑剤の種類、平均分子量、その他の性状は特に限定されない。
【0039】
多価アルコールは、3価以上のアルコールであり得る。具体例としては、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。ポリグリセリンは、2以上のグリセリンが重合した構造を有する化合物であり、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルは、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等であり得る。ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、およびポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルは、グリセリンまたはポリグリセリンにオキシアルキレンを付加重合して得られる化合物である。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基であり得る。即ち、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル等が挙げられる。ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等が挙げられる。なお、オキシアルキレン基の繰り返し数は、1以上であるが、特に限定されず、適宜設定することができる。また、ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0041】
グリーンシートの成形性、加工容易性、および緻密性を向上する観点から、上記化合物の中でも、グリセリン系可塑剤を好ましく用いることができる。グリセリン系可塑剤は、グリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、およびポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルを含む。また、グリセリン系可塑剤は、グリーンシートの保存安定性を向上する観点からも、好ましく使用され得る。
【0042】
セラミックス造粒粉10が可塑剤を含む場合には、体積比において、熱可塑性アクリル樹脂:可塑剤の比が、例えば、99:1~70:30、または99:2~90:10となるように設定され得る。
【0043】
[グリーンシート]
ここで開示されるグリーンシートは、上述したセラミックス粉末をシート状に成形することで作成される。ここで開示されるグリーンシートは、例えば、上述したセラミックス粉末を圧縮成形(例えば後述の乾式粉末圧延法等)することによって得られる圧縮成形体である。
図2は、一実施形態に係るグリーンシートを示す模式図である。
図2中の方向Tは、グリーンシート100の厚み方向を示している。
図2に示すように、グリーンシート100は、顆粒112を含んでいる。また、グリーンシートは顆粒112により構成されていてもよい。顆粒112は、上述したセラミックス造粒粉10に含まれる顆粒12と同様の構成であってよく、顆粒112はセラミックス粉末14と、熱可塑性アクリル樹脂とを含んでいる。顆粒12の平均粒子径が70μm以下であることで、顆粒12をシート成形する際に潰れにくくなるため、顆粒112のD10粒径、D50粒径(平均粒子径)、およびD90粒径の範囲は上述した顆粒12と同様であってよい。
【0044】
グリーンシート100に含まれる顆粒112の形状は、好ましくは球状または略球状である。ここで開示されるセラミックス造粒粉に含まれる顆粒はシート成形時に潰れにくいため、グリーンシート100においても原料の顆粒(成形前の)の形状を概ね維持することができる。そのため、グリーンシート100の断面SEM画像において、顆粒112の平均アスペクト比は、例えば、2以下であって、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下であり得る。これにより、グリーンシート100の熱伝導性が向上する。なお、顆粒112の平均アスペクト比の下限は1以上である。顆粒112の平均アスペクト比は、100個以上の顆粒112のアスペクト比(長径/短径)の算術平均である。顆粒112のアスペクト比の測定方法は、上述した顆粒12のアスペクト比の測定方法と同様である。
【0045】
グリーンシート100に含まれる顆粒112において、セラミックス粉末14の配向性はランダムである。上述した顆粒12の造粒時に、セラミックス粉末14が熱可塑性アクリル樹脂を介し得てランダムに凝集するため、セラミックス造粒粉10に含まれる顆粒12においてもセラミックス粉末14はランダムに配向されており、シート成形後の顆粒112においてもセラミックス粉末14のランダムな配向は維持されている。これは、顆粒12がシート成形時にも潰れにくい性質を有することに由来すると考えられる。顆粒112のセラミックス粉末14がランダムに配向されていることで、シートのいずれの方向においても優れた熱伝導性が実現され得る。
【0046】
本明細書において、「セラミックス粉末がランダムに配向されている」ことは、顆粒の断面のSEM観察画像において、次の条件(1)~(4)の全てを満たすものをいう。
(1)所定の方向に延びる第1の基準線に対し、例えば100個以上のセラミックス粉末の長径がなす鋭角の角度の算術平均が30°~60°(例えば、40°~50°)である。
(2)上記第1の基準線を45°傾けた第2の基準線に対する当該100個以上のセラミックス粉末の長径がなす鋭角の角度の平均が30°~60°(例えば、40°~50°)である。
(3)上記第1の基準線を90°傾けた第3の基準線に対する当該100個以上のセラミックス粉末の長径がなす鋭角の角度の平均が30°~60°(例えば、40°~50°)である。
(4)上記第2の基準線を90°傾けた第4の基準線に対する当該100個以上のセラミックス粉末の長径がなす鋭角の角度の平均が30°~60°(例えば、40°~50°)である。
【0047】
グリーンシート100の厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上、20μm以上、50μm以上、または100μm以上であり得る。また、上記厚みは、例えば3000μm以下、2000μm以下、1000μm以下、または500μm以下であり得る。
【0048】
グリーンシート100は、主成分として顆粒112を含み、顆粒112のみで構成されてもよい。グリーンシート100のうち、顆粒112が占める割合は、例えば、80vol%以上、85vol%以上、90vol%以上、95vol%以上、98vol%以上、または100vol%であり得る。
【0049】
グリーンシート100を100vol%としたとき、グリーンシート100に含まれるセラミックス粉末14の割合は、例えば、40vol%以上であって、好ましくは45vol%以上、より好ましくは55vol%以上、さらに好ましくは60vol%以上である。かかる割合が高いほど、熱伝導率が向上し得る。また、セラミックス粉末14の上記割合は、例えば、75vol%以下であって、好ましくは70vol%以下であって、より好ましくは68vol%以下である。
【0050】
また、グリーンシート100を100vol%としたとき、グリーンシート100に含まれる熱可塑性アクリル樹脂の割合は、例えば、25vol%以上、30vol%以上、35vol%以上、40vol%以上であり得る。これにより、グリーンシート100の形状安定性が向上する。また、熱可塑性アクリル樹脂の上記割合は、例えば、60vol%以下であって、好ましくは55vol%以下、より好ましくは50vol%以下である。
【0051】
グリーンシート100は、空隙が少なく、高密度となるように形成されている。グリーンシート100の理論密度比は、90%以上であって、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上(例えば、99.5%以上)であり得る。ここで、「理論密度比」は、以下の式(1):
理論密度比(%)=(実測密度)/(理論密度)×100 …(1)
で算出される値をいう。式(1)中の「理論密度」とは、グリーンシート100に含まれる各材料の比重と、グリーンシート100に含まれる各材料の体積比とから導き出される値をいう。「実測密度」とは、グリーンシート100を所定の形状(好適には、体積計算が容易な形状、例えば、矩形状の幅広面を有するシート状)に加工した試験片の体積および重量を測定することにより求められる密度をいう。理論密度比が高いほど、空隙が少なく、セラミックス粉末14同士のつながりが良好となるため、熱伝導性が良好になる。
【0052】
グリーンシート100の厚み方向Tにおける熱伝導性は、例えば、3W/m・K以上であって、3.1W/m・K以上、3.5W/m・K以上、3.6W/m・K以上、3.8W/m・K以上を実現する。
【0053】
[グリーンシートの製造方法]
ここで開示されるグリーンシートを製造する方法の好適例としては、乾式粉末圧延法(例えばロール成形)が挙げられる。
図3は、乾式粉末圧延法を用いて一実施形態に係るグリーンシートを製造する方法を説明する模式図である。
図3では、上述したセラミックス造粒粉10を用いて上述したグリーンシート100を製造している。乾式粉末圧延法は、セラミックス造粒粉10への圧力が他の方法(例えば、押出成形など)よりも比較的小さいので、より顆粒12が潰れにくく、製造されるグリーンシート100中のセラミックス粉末14の配向性がランダムになり易くなる。
【0054】
乾式粉末圧延装置5は、おおまかにいって、貯留タンク1と、一対のロール2とを備える。貯留タンク1は、グリーンシート100の原料であるセラミックス造粒粉10を貯留する容器である。また、貯留タンク1は、その底部にフィーダー1bを備えており、フィーダー1bの吐出口から一定量のセラミックス造粒粉10を一対のロール2の間に連続的に供給するよう構成されている。フィーダー1bとしては、定量性に優れるものであれば特に限定されず、例えばスクリュー式、振動式、流動式等の各種フィーダーを適宜採用し得る。
【0055】
上記製造方法は、おおまかにいって、原料用意工程、造粒工程、およびシート成形工程を含み得る。原料用意工程および造粒工程は、ここで開示されるセラミックス造粒粉の製造方法でもある。
【0056】
原料用意工程では、グリーンシート100の原料として、セラミックス粉末14および熱可塑性アクリル樹脂を準備する。また、必要に応じて、可塑剤等の各種添加剤を用意する。これらの体積割合等については上述したセラミックス造粒粉10と同様であってよい。
【0057】
造粒工程では、上記原料を用いてセラミックス造粒粉10を作製する。造粒方法は特に限定されず、湿式造粒および乾式造粒のいずれを採用してもよい。造粒方法としては、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等が挙げられる。より微細な原料粉末を扱いやすいという観点からは、スプレードライ法等の湿式造粒法の採用が好ましい。スプレードライ法では、まず、用意した原料の混合物を調製し、該混合物を分散媒中に分散して、原料スラリーを得る。原料の混合方法は特に限定されず、従来公知の撹拌・混合装置を使用することができる。例えば、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等を使用することができる。混合物の分散媒としては、環境負荷を減らす観点から、例えば水が好適例として挙げられる。次いで、スプレードライ装置を用いて、上記原料スラリーを液滴状に噴霧して乾燥させることで、セラミックス造粒粉10を得ることができる。製造される造粒粒子(顆粒)のサイズは、上述した顆粒12の粒子径の範囲と同様である。
【0058】
シート成形工程では、セラミックス造粒粉10をシート状に成形する。具体的には、
図3に示されるように、上記造粒工程で得られたセラミックス造粒粉10を、乾式粉末圧延装置5の貯留タンク1に投入する。セラミックス造粒粉10は、貯留タンク1の底部のフィーダー1bを通って外部に吐出される。そして、吐出されたセラミックス造粒粉10は、一対のロール2の間に供給される。そして、ロール2が回転(
図3中の矢印を参照。)することによって、上記供給されたセラミックス造粒粉10が圧縮されることによって、シート状に成形されて、グリーンシート100が得られる。ここでの温度条件や圧力条件は、原料の種類等によって異なり得るため、特に制限されず、適宜変更され得る。また、ロール2の間の間隔は、グリーンシート100の厚みとして所望される厚みを実現できるように、適宜変更され得る。
【0059】
<グリーンシートの用途>
グリーンシート100の用途は、特に限定されないが、例えば、放熱材料として使用することができる。一例として、発熱部品(例えばパワーデバイス等)と放熱部品(放熱フィン、ヒートシンク、放熱板等)との間に介在させて、あるいは、放熱部品に代えて、発熱部品の放熱を行う放熱シートを作製するためのグリーンシートとして使用することができる。また、上記放熱部品と組み合わせた放熱装置を構成する材料としても使用され得る。
【0060】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:
複数の顆粒を含むグリーンシートであって、
上記顆粒は、セラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含み、
上記セラミックス粉末は、
SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および
SEM観察に基づく平均長径が5μm以上であり、
SEM画像に基づく上記顆粒の平均粒子径が10μm以上70μm以下である、
グリーンシート。
項2:断面SEM画像に基づく上記顆粒の平均アスペクト比が1以上2以下である、項1に記載のグリーンシート。
項3:理論密度比((実測密度/理論密度)×100)が98%以上である、項1または2に記載のグリーンシート。
項4:上記セラミックス粉末と上記熱可塑性アクリル樹脂との合計を100vol%としたとき、上記セラミックス粉末の割合が40vol%以上70vol%以下である、項1~3のいずれか一項に記載のグリーンシート。
項5:厚み方向における熱伝導率が3W/m・K以上である、項1~4のいずれか一項に記載のグリーンシート。
項6:
複数の顆粒を有するセラミックス造粒粉であって、
上記顆粒はセラミックス粉末と、熱可塑性アクリル樹脂とを含み、
上記セラミックス粉末は、
SEM観察に基づく平均アスペクト比が2以上、および
SEM観察に基づく平均長径が5μm以上であり、
上記顆粒のSEM画像に基づく平均粒子径が10μm以上70μm以下である、
セラミックス造粒粉。
【0061】
以下、ここに開示される技術に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明を係る試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0062】
1.各サンプルの作製
無機フィラーとして、板状のアルミナ粉末を準備した。例1~9における板状のアルミナ粉末のSEM画像に基づく平均長径、平均短径、および平均アスペクト比(平均長径/平均短径)は表1に示す通りである。また、バインダとして熱可塑性アクリル樹脂(アロンAS-1800(東亞合成株式会社))、可塑剤としてPEG-1500(三洋化成工業株式会社))を準備した。
【0063】
次に、用意した材料を、同質量の水(分散媒)と共にポットミルに投入し、混合することで造粒用スラリーを調製した。このとき、アルミナ粉末と、水溶性樹脂バインダと、可塑剤との体積比を65:32:3とした。そして、スプレードライ装置を用いてこの造粒用スラリーを噴霧乾燥して、顆粒(造粒粉)を作製した。作製した顆粒のSEM画像に基づく粒度分布を作製し、D10粒径、D50粒径、およびD90粒径を求めた。D10粒径、D50粒径、およびD90粒径を表1に示す。なお、噴霧乾燥における乾燥温度は180~200℃程度であり、造粒粉中に含まれる分散媒の残量はほぼ0vol%であった。その後、作製した造粒粉を用いて、乾式粉末圧延装置を用いて厚さ1mmのグリーンシートを作製した。
【0064】
2.評価
(1)グリーンシート中の顆粒のSEM画像
各例のグリーンシートにおいて、断面SEM画像を取得した。代表例として、例3におけるグリーンシートの断面SEM画像を
図4に示す。また、例6におけるグリーンシートの断面SEM画像を
図5に示す。
図4の画像では、グリーンシート中で顆粒が密に凝集しながらも、顆粒がほとんど潰れていないことがわかる。
図4に示すように、顆粒と顆粒との境がSEM画像において目視で識別できるものを顆粒跡「有」と判定して表1に示した。一方で、
図5の画像では、上下方向に潰れた顆粒が観察され、顆粒と顆粒との境が不鮮明であることがわかる。このように、顆粒と顆粒との境がSEM画像において目視で識別できないものを顆粒跡「無」と判定して表1に示した。
【0065】
また、各例のグリーンシートにおいて破断面のSEM画像を取得した。代表例として、例2におけるグリーンシートの破断面のSEM画像を
図6に示す。
図6の画像から明らかなように、グリーンシート中において、顆粒同士が一体化するのではなく、顆粒の形状を維持したまま存在していることがわかる。
【0066】
(2)グリーンシートの相対密度の評価
各例のグリーンシートから、打ち抜き刃を用いて所定の大きさの試験片を準備し、かかる試験片の寸法を測定した。そして、試験片の重量を測定し、実測密度(g/cm3)を求めた。また、各材料の比重と構成割合から理論密度(g/cm3)を求めた。このとき、分散媒は0gとして計算した。求めた実測密度および理論密度を用いて各例のグリーンシートの理論密度比(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0067】
(3)グリーンシートの熱伝導率の評価
熱伝導率測定装置(LFA 467 HyperFlash(登録商標)(NETZS
CH社))を用いて、装置のマニュアルに従って、各例に係るグリーンシートの厚み方向
における熱伝導率(W/m・K)を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
【0069】
表1に示すように、例えば、顆粒の粒子径(D50)が10μm以上70μm以下の範囲であり、セラミックス粉末(ここでは板状アルミナ)のアスペクト比が2以上であり、セラミックス粉末の平均長径が5μm以上である場合に、熱伝導率に優れたグリーンシートが実現されることがわかる。
【0070】
以上、ここで開示される技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 貯留タンク
1b フィーダー
2 ロール
5 乾式粉末圧延装置
10 セラミックス造粒粉
12、112 顆粒
14 セラミックス粉末
100 グリーンシート