(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014542
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240125BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20240125BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240125BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20240125BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/02 A
A23L2/02 B
A23L2/52
C12G3/04
C12G3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117447
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 深保子
(72)【発明者】
【氏名】四元 祐子
(72)【発明者】
【氏名】須藤 僚也
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
【Fターム(参考)】
4B115LG02
4B115LG03
4B115LH11
4B115LP02
4B115MA03
4B117LC03
4B117LC14
4B117LG02
4B117LG05
4B117LK04
4B117LK08
4B117LK09
4B117LL01
4B117LL02
(57)【要約】
【課題】本発明は、ワクシー感(油脂様の好ましい官能特性を指し、飲料香味に複雑さ及び/又は奥行きをもたらす官能特性)が向上した飲料、及びその製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することによって、前記飲料におけるワクシー感を向上させることができる。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする前記飲料。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【請求項2】
飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選ばれる、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料の製造方法。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【請求項4】
飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選ばれる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料におけるワクシー感の向上方法。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【請求項6】
飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選択される、請求項5に記載の向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクシー感が向上した飲料、及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の多様な嗜好に応えるべく、多くの種類の飲料やその製造方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、高甘味度天然甘味料の苦いオフノートが低減された飲料において、カプリル酸、カプロン酸、及び酪酸の組合せと、デカナール、ノナナール、及び2-メチル-ブチルアルデヒドからなる群から選択される少なくとも1種類のアルデヒドが、口当たりを改善することが記載されている。また、特許文献2には、エキス分が3.5w/v%未満であり、アルコール度数が9%未満であるアルコール飲料において、オクタン酸エチルを含有させることにより、味の厚みを増強できることが記載されている。
【0004】
しかし、飲料において、オクタン酸エチルと特定の脂肪酸をそれぞれ特定濃度で含有させることによって、飲料を飲用した際のワクシー感を向上させることができることはこれまでに知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-115363号公報
【特許文献2】特開2021-078408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ワクシー感(油脂様の好ましい官能特性を指し、飲料香味に複雑さ及び/又は奥行きをもたらす官能特性)が向上した飲料、及びその製造方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、様々な方法を鋭意検討する中で、飲料において、オクタン酸エチルと特定の脂肪酸をそれぞれ特定濃度で含有させることによって、飲料を飲用した際のワクシー感を向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする前記飲料;
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
(2)飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選ばれる、上記(1)に記載の飲料;
(3)1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料の製造方法;
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
(4)飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選ばれる、上記(3)に記載の製造方法;
(5)1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料におけるワクシー感の向上方法;
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
(6)飲料が、非炭酸非アルコール飲料、非炭酸アルコール飲料、炭酸入り非アルコール飲料、及び、炭酸入りアルコール飲料からなる群から選ばれる、上記(5)に記載の向上方法;
等に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワクシー感が向上した飲料、及びその製造方法等を提供することを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、
[1]1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする前記飲料(以下、「本発明の飲料」とも表示する。);
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
[2]1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも表示する。);
[3]1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料におけるワクシー感の向上方法(以下、「本発明のワクシー感の向上方法」とも表示する。);
等を含む。
なお、本明細書において、「酪酸」、「カプリル酸」、「イソ吉草酸」、及び、「デカン酸」から選択される1種又は2種以上(例えば1種、2種、3種又は4種)という様々な態様を包含する概念として、「特定の脂肪酸」と表示する場合がある。
【0011】
(オクタン酸エチル)
オクタン酸エチルとは、エステルの1種であり、CH3(CH2)6COOC2H5で表される。
【0012】
本発明におけるオクタン酸エチルの使用量としては、飲料中のオクタン酸エチル濃度で1ppm以上である限り特に制限されないが、3ppm以上や、10ppm以上であることが挙げられる。
飲料中のオクタン酸エチル濃度の上限としては特に制限されないが、例えば5000ppm以下や、10000ppm以下が挙げられる。
【0013】
本発明におけるオクタン酸エチルは、市販品を用いることができる。オクタン酸エチルとしては、オクタン酸エチルのみを用いてもよいし、オクタン酸エチル含有組成物を用いてもよい。
【0014】
本発明において、飲料中のオクタン酸エチル濃度は、例えば、オクタン酸エチル又はオクタン酸エチル含有組成物を飲料に含有させる量を調整することにより調整することができる。
【0015】
本発明の飲料中のオクタン酸エチル濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0016】
(特定の脂肪酸)
本発明の飲料は、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有していることに加えて、以下の(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たしている。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【0017】
上記の「(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件」としては、(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件である限り特に制限されないが、(A)~(D)のうち少なくとも2つの条件、(A)~(D)のうち少なくとも3つの条件、(A)~(D)のうち2つの条件、(A)~(D)のうち3つの条件、及び、(A)~(D)のすべての条件が挙げられる。
上記の「(A)~(D)のうち2つの条件」として、具体的には、「(A)及び(B)」、「(A)及び(C)」、「(A)及び(D)」、「(B)及び(C)」、「(B)及び(D)」、及び、「(C)及び(D)」の条件が挙げられる。
上記の(A)~(D)のうち3つの条件として、具体的には、「(A)、(B)及び(C)」、「(A)、(B)及び(D)」、「(A)、(C)及び(D)」、及び、「(B)、(C)及び(D)」)の条件が挙げられる。
【0018】
(酪酸)
本発明が条件(A)を満たしている場合の、本発明における酪酸の使用量としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、飲料中の酪酸濃度で90ppb以上が挙げられ、ワクシー感のより高い向上効果を得る観点から、好ましくは3000ppb以上が挙げられる。
飲料中の酪酸濃度の上限としては、例えば10000ppb未満又は9000ppb以下又は8000ppb以下又は7000ppb以下が挙げられ、有機酸による不快臭を抑制する観点から、好ましくは6000ppb以下が挙げられる。
【0019】
本発明における酪酸は、市販品を用いることができる。酪酸としては、酪酸のみを用いてもよいし、酪酸含有組成物を用いてもよい。
【0020】
本発明において、飲料中の酪酸濃度は、例えば、酪酸又は酪酸含有組成物を飲料に含有させる量を調整することにより調整することができる。
【0021】
本発明の飲料中の酪酸濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0022】
(カプリル酸)
本発明が条件(B)を満たしている場合の、本発明におけるカプリル酸の使用量としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、飲料中のカプリル濃度で2.5ppb以上又は25ppb以上が挙げられ、ワクシー感のより高い向上効果を得る観点から、好ましくは250ppb以上が挙げられる。
飲料中のカプリル濃度の上限としては、例えば2500ppb未満又は2300ppb以下又は2100ppb以下が挙げられ、有機酸による不快臭を抑制する観点から、好ましくは2000ppb以下が挙げられる。
【0023】
本発明におけるカプリル酸は、市販品を用いることができる。カプリル酸としては、カプリル酸のみを用いてもよいし、カプリル酸含有組成物を用いてもよい。
【0024】
本発明において、飲料中のカプリル酸濃度は、例えば、カプリル酸又はカプリル酸含有組成物を飲料に含有させる量を調整することにより調整することができる。
【0025】
本発明の飲料中のカプリル酸濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0026】
(イソ吉草酸)
本発明が条件(C)を満たしている場合の、本発明におけるイソ吉草酸の使用量としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、飲料中のイソ吉草酸濃度で0.03ppb以上又は0.3ppb以上又は3ppb以上が挙げられ、ワクシー感のより高い向上効果を得る観点から、好ましくは50ppb以上が挙げられ、更に好ましくは75ppb以上が挙げられる。
飲料中のイソ吉草酸濃度の上限としては、例えば200ppb未満又は160ppb以下又は120ppb以下が挙げられ、有機酸による不快臭を少なくする観点から、好ましくは100ppb以下が挙げられる。
【0027】
本発明におけるイソ吉草酸は、市販品を用いることができる。イソ吉草酸としては、カプリル酸のみを用いてもよいし、イソ吉草酸含有組成物を用いてもよい。
【0028】
本発明において、飲料中のイソ吉草酸濃度は、例えば、イソ吉草酸又はイソ吉草酸含有組成物を飲料に含有させる量を調整することにより調整することができる。
【0029】
本発明の飲料中のイソ吉草酸濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0030】
(デカン酸)
本発明が条件(D)を満たしている場合の、本発明におけるデカン酸の使用量としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、飲料中のデカン酸濃度で10ppb以上、100ppb以上又は1000ppb以上が挙げられ、ワクシー感のより高い向上効果を得る観点から、好ましくは2000ppb以上が挙げられる。
飲料中のデカン酸濃度の上限としては、例えば20000ppb未満又は16000ppb以下又は12000ppb以下が挙げられ、有機酸による不快臭を抑制する観点から、好ましくは10000ppb以下が挙げられる。
【0031】
本発明におけるデカン酸は、市販品を用いることができる。デカン酸としては、デカン酸のみを用いてもよいし、デカン酸含有組成物を用いてもよい。
【0032】
本発明において、飲料中のデカン酸濃度は、例えば、デカン酸又はデカン酸含有組成物を飲料に含有させる量を調整することにより調整することができる。
【0033】
本発明の飲料中のデカン酸濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0034】
(本発明の飲料)
本発明の飲料としては、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする前記飲料である限り特に制限されない。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【0035】
本発明の飲料は、オクタン酸エチルを1ppm以上含有し、及び、上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすこと以外は、用いる製造原料、製造方法並びに製造条件において、通常の飲料と特に相違する点はない。
【0036】
本発明の飲料は、オクタン酸エチルと特定の脂肪酸を必須成分として含有している。本発明の飲料は、任意成分として、酸味料、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、苦味料、香料、pH調整剤、乳化剤、食物繊維、増粘安定剤、保存料、酸化防止剤、着色成分、乳原料、果汁、野菜汁、ハーブ、ビタミン類、ミネラル類等を含有していてもよい。
【0037】
上記の酸味料としては、クエン酸、リン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸等が挙げられる。
【0038】
上記の甘味料としては、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖等の二糖、粉末水あめ等の多糖といった結晶性糖類;や、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖;水あめ、異性化液糖(例えば果糖ぶどう糖液糖)等の非結晶性糖類;マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール;スクラロース、ステビア、甘草抽出物、ソーマチン、グリチルリチン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK等の高甘味度甘味料;を挙げることができる。
【0039】
上記の果汁としては、特に制限されず、柑橘類果汁(レモン果汁、グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、ウンシュウミカン果汁、ライム果汁、ユズ果汁、いよかん果汁、なつみかん果汁、はっさく果汁、ポンカン果汁、シークヮーサー果汁、かぼす果汁、スウィーティー果汁等)、リンゴ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、熱帯果実果汁(パイナップル果汁、グァバ果汁、バナナ果汁、マンゴー果汁、アセロラ果汁、ライチ果汁、パパイヤ果汁、パッションフルーツ果汁等)、その他果実の果汁(ウメ果汁、ナシ果汁、アンズ果汁、スモモ果汁、ベリー果汁、キウイフルーツ果汁等)、イチゴ果汁、メロン果汁などが挙げられ、中でも、柑橘類果汁が好ましく挙げられ、中でも、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁がより好ましく挙げられる。これらの果汁は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を用いてもよい。
【0040】
本発明の飲料は、炭酸ガスを含む炭酸飲料であってもよいし、炭酸飲料でなくてもよい。炭酸飲料である場合の炭酸ガスのガス圧としては特に制限されず、例えば、1.7~5.0kgf/cm2、1.9~5.0kgf/cm2、1.7~4.0kgf/cm2、1.9~4.0kgf/cm2などが挙げられる。
【0041】
本発明の飲料の種類としては、特に制限されず、例えば、非アルコール飲料、アルコール飲料などが挙げられる。本明細書において「非アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされない、アルコールが1v/v%未満の飲料を意味する。「非アルコール飲料」のうち、アルコールが全く含まれない、すなわち、アルコール含量が0v/v%である飲料については特に「完全無アルコール飲料」と表現することができる。本明細書における「非アルコール飲料」には、「完全無アルコール飲料」と、「完全無アルコール飲料以外の非アルコール飲料」が含まれる。「非アルコール飲料」は、「完全無アルコール飲料」であってもよいし、「完全無アルコール飲料以外の非アルコール飲料」であってもよい。なお、本明細書において「アルコール」とはエタノールを意味する。
【0042】
本発明における非アルコール飲料としては、非炭酸非アルコール飲料や、炭酸入り非アルコール飲料が挙げられ、より具体的には、非炭酸又は炭酸入りの非アルコールチューハイテイスト飲料、非炭酸又は炭酸入りの非アルコールカクテルテイスト飲料、非炭酸又は炭酸入りの非アルコールワインテイスト飲料(非アルコールサングリア飲料など)、炭酸入りのビールテイスト飲料、その他アルコール飲料との代替性がある、非炭酸又は炭酸入りの非アルコール飲料等が挙げられる。さらに、本発明における非アルコール飲料には、果汁飲料や炭酸飲料などの清涼飲料や、茶飲料等も含まれる。
【0043】
本発明におけるアルコール飲料としては、非炭酸アルコール飲料や、炭酸入りアルコール飲料が挙げられる。
上記の非炭酸アルコール飲料としては、果実酒、蒸留酒、日本酒、ワイン、サングリアなどが挙げられる。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどが挙げられる。蒸留酒に、果実、花、ハーブなどの香気を付与したリキュールやスピリッツなども、蒸留酒に包含される。さらに、これらの非炭酸アルコール飲料を含む非炭酸のカクテル飲料や、これらの非炭酸アルコール飲料を水で希釈した水割り(お湯割りも含む)飲料も、非炭酸アルコール飲料に包含される。
上記の炭酸アルコール飲料としては、上記の非炭酸アルコール飲料を炭酸水で希釈した飲料や、ビール、ビール風味アルコール飲料、スパークリングワインなどが挙げられる。非炭酸アルコール飲料を炭酸水で希釈した飲料としては、チューハイ(サワーも含む)、ハイボール、炭酸入りカクテルなどが挙げられる。
【0044】
本発明の飲料は、容器詰飲料でなくてもよいが、容器詰飲料であることが好ましい。かかる容器としては、ペットボトル、ポリプロピレンボトル、ポリ塩化ビニルボトル等の樹脂ボトル容器;ビン容器;缶容器;等の容器が挙げられる。
【0045】
本発明の飲料は、加熱殺菌処理がなされていなくてもよいが、保存性向上の観点から、加熱殺菌処理がなされていてもよい。加熱殺菌処理の方法や条件としては、容器詰飲料などの飲料に使用される通常の方法や条件を用いることができる。
【0046】
(本発明の製造方法)
本発明の飲料は、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製すること以外は、従来公知の飲料の製造方法にしたがって製造することができる。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【0047】
本発明の製造方法としては、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを特徴とする、前記飲料の製造方法である限り特に制限されない。
【0048】
1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製すること方法として、より具体的には、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造に際して、前記飲料の製造原料(例えば、「水」、「オクタン酸エチルを含有する水」、あるいは「これら2種のいずれかの水に、任意成分の一部又は全部をさらに含有させた水」)に、上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように特定の脂肪酸を特定濃度で含有させる方法が挙げられる。あるいは、特定の脂肪酸を、オクタン酸エチルと同時に水等に含有させる方法や、特定の脂肪酸と、オクタン酸エチルとをあらかじめ混合した後、水等に含有させる方法も挙げられる。
【0049】
本発明の製造方法においては、オクタン酸エチルと特定の脂肪酸を必須成分として飲料に含有させる。本発明の製造方法としては、任意成分として、酸味料、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、苦味料、香料、pH調整剤、乳化剤、食物繊維、増粘安定剤、保存料、酸化防止剤、着色成分、乳原料、果汁、野菜汁、ハーブ、ビタミン類、ミネラル類等を飲料に含有させてもよい。
【0050】
本発明の製造方法においては、用いる製造原料を含有する、本発明の飲料を製造し得る限り、製造原料を含有させる順序等は特に制限されない。製造原料が混合されている液を調製した後、容器に充填して密封し、本発明の容器詰飲料を得ることができる。加熱殺菌処理は行わなくてもよいが、保存性向上の観点から、加熱殺菌処理がなされていてもよい。加熱殺菌処理する方法としては、特に制限されず、例えば、高温短時間殺菌法(HTST法)、パストライザー殺菌法、超高温加熱処理法(UHT法)、レトルト殺菌法等を挙げることができる。
【0051】
(本発明のワクシー感の向上方法)
本発明の「ワクシー感の向上方法」としては、1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に下記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製することを含んでいる限り特に制限されない。
(A)飲料中の酪酸濃度が90ppb以上である;
(B)飲料中のカプリル酸濃度が2.5ppb以上である;
(C)飲料中のイソ吉草酸濃度が0.03ppb以上である;
(D)飲料中のデカン酸濃度が10ppb以上である;
【0052】
1ppm以上のオクタン酸エチルを含有する飲料の製造において、更に上記(A)~(D)のうち少なくとも1つの条件を満たすように調製する方法は、上記の(本発明の製造方法)に記載した方法と同様の方法を用いることができる。
【0053】
(ワクシー感の向上)
本明細書において、「ワクシー感」とは、油脂様の好ましい官能特性を指し、飲料香味に複雑さ及び/又は奥行きをもたらす官能特性である。
【0054】
本発明において、「ワクシー感が向上した」飲料とは、オクタン酸エチル濃度が1ppm未満である(好ましくはオクタン酸エチルを含まない)、及び/又は、特定の脂肪酸濃度が上記(A)~(D)に記載の下限濃度未満であること以外は、同種の原料を同じ最終濃度となるように用いて同じ製法で製造した飲料(以下、「コントロール飲料」とも表示する。)と比較して、ワクシー感が向上した飲料を意味する。
【0055】
ある飲料におけるワクシー感が、コントロール飲料と比較してどのようであるか(例えば、向上しているかどうか)は、訓練されたパネルであれば、容易かつ明確に決定することができる。評価の基準や、パネル間の評価のまとめ方は、一般的な方法を用いることができる。ワクシー感を評価するパネルの人数は1名であってもよいが、客観性がより高い評価を得る観点から、パネルの人数の下限を、例えば2名以上、好ましくは4名以上とすることができ、また、評価試験をより簡便に実施する観点から、パネルの人数の上限を、例えば20名以下、10名以下とすることができる。パネルが2名以上の場合の各飲料のワクシー感の評価は、例えば、その飲料のワクシー感についてのパネル全員の評価の平均を採用してもよいし、パネルのうち最も低い評価を採用してもよい。各評価基準に整数の評価点が付与されている場合、パネル全員の評価点の平均値をその飲料のワクシー感の評価として採用してもよいし、パネルのうち最も低い評価点を採用してもよい。前述のように、評価点の平均値を採用する場合は、その平均値の小数第1位又は第2位(好ましくは小数第1位)を四捨五入した値を採用してもよい。なお、パネルが2名以上である場合には、各パネルの評価のばらつきを低減するために、実際の官能評価試験を行う前に、各パネルの評価基準ができるだけ揃うように評価基準を共通化する作業を行っておくことが好ましい。かかる共通化作業としては、ワクシー感の程度が既知の複数種の標準飲料のワクシー感を各パネルで評価した後、その評価点を比較し、各パネルの評価基準に大きな解離が生じないように確認することが挙げられる。また、このような評価基準に関する事前の共通化作業により、各パネルによるワクシー感の評価の標準偏差が0.5以内となるようにしておくことが好ましい。
【0056】
ある飲料におけるワクシー感が、コントロール飲料と比較してどのようであるか(例えば、向上しているかどうか)、例えば、後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表1)等を用いた方法と同様の方法、好ましくは、後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表1)等を用いた方法と同じ方法を好適に用いることができる。より具体的には、コントロール飲料におけるワクシー感を基準として、後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表1)でワクシー感が向上している飲料(例えば評価平均点が1点又は2点である飲料)は、ワクシー感が向上した飲料に含まれる。
【0057】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0058】
試験1.[オクタン酸エチルと脂肪酸による効果]
オクタン酸エチルと特定の脂肪酸を容器詰飲料に添加すると、該飲料の香味にどのような影響が生じるかを、以下の実験により調べた。
【0059】
(1.サンプル飲料の調製)
後述の表3に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルと酪酸を炭酸水に添加して混合し、試験例1~7のサンプル飲料を調製した。
なお、オクタン酸エチルのみを炭酸水に添加して混合し、比較例1のサンプル飲料を調製した。
【0060】
後述の表4に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルとカプリル酸を炭酸水に添加して混合し、試験例8~14のサンプル飲料を調製した。
【0061】
後述の表5に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルとイソ吉草酸を炭酸水に添加して混合し、試験例15~21のサンプル飲料を調製した。
【0062】
後述の表6に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルとデカン酸を炭酸水に添加して混合し、試験例22~30のサンプル飲料を調製した。
【0063】
(2.官能評価試験)
前述したように、本明細書において、飲料における「ワクシー感」とは、油脂様の好ましい官能特性を指し、飲料香味に複雑さ及び/又は奥行きをもたらす官能特性である。
得られた試験例1~30及び比較例1のサンプル飲料の「ワクシー感」の程度について、訓練した専門パネル5名によって、以下の表1の評価基準で官能評価試験を行った。表1に記載されているように、比較例(この試験では比較例1)のサンプル飲料における「ワクシー感」を基準とした、試験例サンプルにおけるワクシー感の程度を表1に示すように4段階で評価した。
なお、各試験例サンプルにおける「ワクシー感」の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第1位を四捨五入した値(以下、「評価平均点」とも表示する)を採用した。「ワクシー感」の評価について、評価平均点が2点以(すなわち1点又は2点)下の場合を、「ワクシー感」の評価について本発明の効果があると判定した。
【0064】
【0065】
また、有機酸は濃度が高くなると不快臭が発生することが知られている。そこで、得られた試験例1~30のサンプル飲料の「不快臭」の程度について、訓練した専門パネル5名によって、以下の表2の評価基準で官能評価試験を行った。不快臭は、比較例のサンプル飲料を基準にすることなく、表2に示されているように4段階で評価した。
なお、各試験例サンプルにおける「不快臭」の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第1位を四捨五入した値(以下、「評価平均点」とも表示する)を採用した。「不快臭」の評価について、評価平均点が4点の場合を許容できないと評価し、不快臭の評価が1点又は2点の場合を好ましい飲料と判定した。
【0066】
【0067】
表3~表6の試験例1~30及び比較例1の各サンプル飲料について、ワクシー感の官能評価を行った結果を表3~表6に示す。また、表3~表6の試験例1~30の各サンプル飲料について、不快臭の官能評価を行った結果を表3~表6に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
表3~表6の結果から、飲料において、オクタン酸エチルと脂肪酸を併用することによって、飲料を飲用した際のワクシー感を向上させることができることが示された。
より詳細に述べると、飲料のワクシー感を向上させる観点から、オクタン酸エチルと酪酸を併用した場合は酪酸が90ppb以上であることが好ましく、オクタン酸エチルとカプリル酸を併用した場合はカプリル酸が2.5ppb以上であることが好ましく、オクタン酸エチルとイソ吉草酸を併用した場合はイソ吉草酸が0.03ppb以上であることが好ましく、オクタン酸エチルとデカン酸を併用した場合はデカン酸が10ppb以上であることが好ましいことが示された。
また、飲料の不快臭の程度の低さの観点から、酪酸は6000ppb以下であることが好ましく、カプリル酸は2000ppb以下であることが好ましく、イソ吉草酸は100ppb以下であることが好ましく、デカン酸は10000ppb以下であることが好ましいことが示された。
【0073】
試験2.[オクタン酸エチル濃度による影響]
オクタン酸エチルと特定の脂肪酸を併用する場合に、オクタン酸エチルの濃度を変化させると、飲料の香味にどのような影響が生じるかを、以下の実験により調べた。
【0074】
(1.サンプル飲料の調製)
後述の表7~表11に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルと脂肪酸を炭酸水に添加して混合し、試験例31~50のサンプル飲料を調製した。
なお、後述の表7~表11に示すような濃度となるように、オクタン酸エチルのみを炭酸水に添加して混合し、比較例2~6のサンプル飲料を調製した。
【0075】
(2.官能評価試験)
得られた試験例31~50及び比較例2~6のサンプル飲料の「ワクシー感」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表7~表11に示す。
なお、表7における試験例のサンプル飲料については比較例2のサンプル飲料を比較例とし、表8における試験例のサンプル飲料については比較例3のサンプル飲料を比較例とし、表9における試験例のサンプル飲料については比較例4のサンプル飲料を比較例とし、表10における試験例のサンプル飲料については比較例5のサンプル飲料を比較例とし、表11における試験例のサンプル飲料については比較例6のサンプル飲料を比較例とした。
【0076】
また、試験例31~50のサンプル飲料の「不快臭」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表7~表11に示す。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
表7~表11の結果から、飲料のワクシー感を向上させる観点から、オクタン酸エチルは1ppm以上であることが好ましいことが示された。
【0083】
試験3.[ノンアルコールビールテイスト飲料における、オクタン酸エチルと脂肪酸の併用効果の確認]
オクタン酸エチルと特定の脂肪酸の併用による効果が、ノンアルコールビールテイスト飲料においても生じるかを、以下の実験により調べた。
【0084】
(1.サンプル飲料の調製)
市販のノンアルコールビールテイスト飲料をベースとして用いて、オクタン酸エチルを1ppm、酪酸を90ppbとなるように調製し、試験例51とした。市販のノンアルコールビールテイスト飲料をベースとして用いて、オクタン酸エチルを1ppm、デカン酸を100ppbとなるように調製し、試験例52とした。
一方、市販のノンアルコールビールテイスト飲料そのものを比較例7のサンプル飲料とした。
【0085】
(2.官能評価試験)
試験例51~52及び比較例7のサンプル飲料の「ワクシー感」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表12に示す。
なお、表12における試験例のサンプル飲料については比較例7のサンプル飲料を比較例とした。
【0086】
また、試験例51~52のサンプル飲料の「不快臭」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表12に示す。
【0087】
【0088】
表12の結果から、ノンアルコールビールテイスト飲料において、オクタン酸エチルと脂肪酸をそれぞれ特定の濃度範囲とすることによって、飲料を飲用した際のワクシー感を向上させることができることが示された。
【0089】
試験4.[ノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料における、オクタン酸エチルと脂肪酸の併用効果の確認]
オクタン酸エチルと特定の脂肪酸の併用による効果が、ノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料においても生じるかを、以下の実験により調べた。
【0090】
(1.サンプル飲料の調製)
以下の表13に示すような配合で原材料を炭酸水に混合して、ノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料を調製し、比較例8のサンプル飲料とした。
【0091】
【0092】
比較例8のノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料をベースとして用いて、オクタン酸エチルを1ppm、酪酸を90ppbとなるように調製し、試験例53とした。また、比較例8のノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料をベースとして用いて、オクタン酸エチルを1ppm、デカン酸を100ppbとなるように調製し、試験例54とした。
【0093】
(2.官能評価試験)
試験例53~54及び比較例8のサンプル飲料の「ワクシー感」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表14に示す。
なお、表14における試験例のサンプル飲料については比較例8のサンプル飲料を比較例とした。
【0094】
また、試験例53~54のサンプル飲料の「不快臭」の程度について、上記試験1.と同様の方法で官能評価試験を行った。それらの結果を表14に示す。
【0095】
【0096】
表14の結果から、ノンアルコール果汁チューハイテイスト飲料において、オクタン酸エチルと脂肪酸をそれぞれ特定の濃度範囲とすることによって、飲料を飲用した際のワクシー感を向上させることができることが示された。