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特開2024-145427緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145427
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラム
(51)【国際特許分類】
   D06F 34/30 20200101AFI20241004BHJP
   D06F 33/52 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 33/70 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 33/74 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 34/00 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 34/06 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 34/08 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 34/14 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 34/28 20200101ALI20241004BHJP
   D06F 39/14 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
D06F34/30
D06F33/52
D06F33/70
D06F33/74
D06F34/00
D06F34/06
D06F34/08
D06F34/14
D06F34/28
D06F39/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057769
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 利隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 英新
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA05
3B165AB22
3B165AE03
3B165AE04
3B165AE05
3B165AE07
3B165BA40
3B165BA48
3B165BA69
3B165CA01
3B165CA11
3B165CA15
3B165CB01
3B165CB31
3B165DW01
3B165DW03
3B165DW04
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW03
3B165EW04
3B165EW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA25
3B165GH04
3B165JM02
3B165JM03
3B167AA02
3B167AA05
3B167AB22
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA40
3B167BA48
3B167BA69
3B167HA11
3B167HA21
3B167HA31
3B167HA54
3B167HA56
3B167KA52
3B167LA23
3B167LA38
3B167LC25
3B167LD01
3B167LG03
(57)【要約】
【課題】緊急停止用の操作ボタンをランドリー機器の前面に配置して、そのボタン操作で緊急停止を可能とする緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器は、緊急事態発生時にランドリー機器の動作を緊急停止するための緊急停止ボタンを前記ランドリー機器の前面に配置し、前記緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を制御装置にて受信し、前記割込み信号を受信した制御装置は緊急停止処理として、洗濯槽の駆動手段を停止し、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除し、ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態発生時にランドリー機器の動作を緊急停止するための緊急停止ボタンを前記ランドリー機器の前面に配置し、
前記緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を制御装置にて受信し、
前記割込み信号を受信した制御装置は緊急停止処理として、
洗濯槽の駆動手段を停止し、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除し、
ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開することを特徴とする緊急停止機能を有するランドリー機器。
【請求項2】
緊急事態発生時にランドリー機器の動作を緊急停止するための緊急停止ボタンを前記ランドリー機器の前面に配置し、
前記緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を制御装置にて受信し、
前記割込み信号を受信した制御装置は緊急停止処理として、
洗濯槽の駆動手段を停止すると共に、排水弁を開いて前記洗濯槽内の水が安全水位まで下がったことを条件に、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除し、
ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開することを特徴とする緊急停止機能を有するランドリー機器。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ロック解除された前記開閉扉を開き、緊急停止作業後の第2設定時間内に再開用ボタンが押下されると、停止した工程から再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急停止機能を有するランドリー機器。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ロック解除した前記開閉扉を開き、第2設定時間が経過した場合は運転を終了することを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急停止機能を有するランドリー機器。
【請求項5】
緊急停止機能を有するランドリー機器を制御する制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記ランドリー機器の前面に配置した緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を受信する工程と、
洗濯槽の駆動手段を停止し、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除する工程と、
ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開する工程と、
を有することを特徴とするランドリー機器の緊急停止プログラム。
【請求項6】
緊急停止機能を有するランドリー機器を制御する制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記ランドリー機器の前面に配置した緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を受信する工程と、
洗濯槽の駆動手段を停止すると共に、排水弁を開いて前記洗濯槽内の水が安全水位まで下がったことを条件に、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除する工程と、
ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開する工程と、
有することを特徴とするランドリー機器の緊急停止プログラム。
【請求項7】
前記ロック解除された前記開閉扉を開き、緊急停止作業後の第2設定時間内に再開用ボタンが押下されると、停止した工程から再開する工程を更に有することを特徴とする請求項5又は6に記載のランドリー機器の緊急停止プログラム。
【請求項8】
前記ロック解除した前記開閉扉を開き、第2設定時間が経過した場合は運転を終了する工程を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のランドリー機器の緊急停止プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コインランドリー店舗に設置されるランドリー機器には、その動作中に緊急停止(一時停止とも言う)する機能が備わっている。例えば、洗濯物のポケットに携帯電話を入れたままでランドリー機器を動作させたとか、或いは洗濯物を入れ忘れて(靴下の片方が袋又は籠に残っていた)ランドリー機器を動作させたとか、或いは子供が洗濯物に隠れた状態でランドリー機器を動作させたとか等の原因で、ランドリー機器を一時停止することがある。
【0003】
そのような事態が発生した場合、利用者はコインランドリー店舗のオーナーに電話を掛けて、一時停止用の隠しボタンの場所や操作方法を確認することで対処していた。このため、ランドリー機器の緊急停止に多くの時間が費やされていた。
また、家庭用の洗濯機では、必要に応じ運転を一時停止可能とし、運転を一時停止したとき所定時間経過すると、自動的に継続運転を再開する技術が提案されている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-239286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、緊急停止用の操作ボタンをランドリー機器の前面に配置して、そのボタン操作で緊急停止を可能とする緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器は、緊急事態発生時にランドリー機器の動作を緊急停止するための緊急停止ボタンを前記ランドリー機器の前面に配置し、前記緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を制御装置にて受信し、前記割込み信号を受信した制御装置は緊急停止処理として、洗濯槽の駆動手段を停止し、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除し、ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開することを特徴とする。
他の実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器は、緊急事態発生時にランドリー機器の動作を緊急停止するための緊急停止ボタンを前記ランドリー機器の前面に配置し、前記緊急停止ボタンの長押しによる割込み信号を制御装置にて受信し、前記割込み信号を受信した制御装置は緊急停止処理として、洗濯槽の駆動手段を停止すると共に、排水弁を開いて前記洗濯槽内の水が安全水位まで下がったことを条件に、前記ランドリー機器の前面に設けられる開閉扉の扉ロックを解除し、ロック解除された前記開閉扉が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るランドリー機器を前方から見た図である。
図2】実施形態のランドリー機器の操作パネル部の詳細な構成を示す図である。
図3】実施形態のランドリー機器の内部構成を示した模式図である。
図4】ランドリー機器を側面から見た断面図で、ドラム回転機構の概略を示す図である。
図5】実施形態のランドリー機器を制御する制御装置の構成を示す図である。
図6】実施形態のランドリー機器を制御する制御装置における緊急停止制御の動作手順を示す第1フローチャートである。
図7】実施形態のランドリー機器を制御する制御装置における緊急停止制御の動作手順を示す第2フローチャートである。
図8】実施形態の料金/残り時間の表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態のランドリー機器の前方から見た図である。図1において、ランドリー機器10は、立法体の形状をしており、洗濯容量に応じて異なる高さを有している。例えば、大型機の洗濯容量は35kg、乾燥容量は26kgである。また、中型機の洗濯容量は27kg、乾燥容量は18kgである。また、小型機の洗濯容量は11kg、乾燥容量は15kgである。図1では、小型ランドリー機器(サイズS)を例示している。ランドリー機器10は、内部に設けられる洗濯槽(図3を参照)に洗濯物の投入する開閉扉20を有する洗濯増部30と、複数の非接触型の操作選択スイッチや各種の表示ランプを有する操作パネル部40を有している。
【0009】
開閉扉20には、ハンドル25が設けられており、ハンドル25には洗濯乾燥又は洗濯又は乾燥のランドリー動作が行われている間、開閉扉20をロックする扉ロック機構(不図示)が設けられている。また、開閉扉20の中央およびその周辺部は、半透明なガラスで構成され透けており、ランドリー動作中の内部が見えるようになっている。洗濯槽部30の右上には、利用料金の支払う料金投入口35が設けられている。ここでは、料金投入口35を例示しているが、クレジットカード決済や電子マネー決済の機構を設けても良い。
【0010】
図2は、ランドリー機器の操作パネル部の詳細な構成を示している。操作パネル部40は、複数のコースボタン(洗濯乾燥ボタン100、110、洗濯ボタン120、乾燥ボタン130)が設けられている。その上方には、各コースボタン100~130に対向してその利用料金、稼働時間、容量が表示されている。
例えば、洗濯乾燥ボタン100は、容量11kg、利用料金1200円、洗濯乾燥時間60分であることが表示されている。同様に、洗濯乾燥ボタン110は、容量6kg、利用料金1000円、洗濯乾燥時間50分であることが表示されている。洗濯ボタン120は、洗濯容量15kg、利用料金800円、洗濯時間30分であることが表示されている。乾燥ボタン110は、乾燥容量11kg、利用料金100円、乾燥時間10分であることが表示されている。これらの部材は、ランドリー機器が稼働中は、選択されたコースランプが表示され、他のコースボタンは見え難く又は見えないように表示制御される。
【0011】
操作パネル部40の左側には、ランドリー機器10の一時停止又は稼働状態を表示する弓形のフリッカーランプ140が設けられている。更にその左側には、「音声ナビ」ボタン150、「ドラム洗浄」ボタン160、「緊急停止」ボタン170が設けられている。
「音声ナビ」ボタン150は、ランドリー動作の各工程の終了等のアナウンスを音声で希望する際に押下される。「ドラム洗浄」ボタン160は、ランドリー機器10の利用開始前に洗濯槽の洗浄を希望する際に押下される。これらのボタンは利用者の希望に応じて適宜押下される。本実施形態では、この「緊急停止」ボタン170」ボタン170を例えば3秒間長押しすることで、後述する緊急停止処理が開始される。つまり、利用者(ユーザー)に「緊急停止」ボタンであること、および3秒以上の長押し操作であることを明示することで、緊急停止処理を迅速に行えるようになっている。
【0012】
操作パネル部40の右側には、乾燥時の乾燥温度設定ボタン(低温、中温、高温)180が設けられている。その下には、料金/残り時間の表示部190が設けられている。本実施形態では、フリッカーランプ140および料金/残り時間の表示部190に緊急停止状態であることを表示できるようになっている。
【0013】
図3は、ランドリー機器10の内部構成を示した模式図である。図4は、ランドリー機器10を側面から見た断面図であり、ドラム回転機構の概略を示す図である。
図3図4に示すように、洗濯槽を構成する外胴200の上側には、被洗濯物の洗い及び濯ぎに用いる水又は温水又は混合のぬるま湯の給水管205が、その下側にには洗濯水を排出する排水管210が接続されている。外胴200は、給水弁205a又は205bおよび給水管205を経由して供給される水又は温水又は混合のぬるま湯を貯留する。また、貯留した水又は温水又は混合のぬるま湯を、排水管210から排水弁210aを経由して外部に排出する。給水管205には、洗剤ポンプA,B,Cも接続されており、種類に応じた洗剤を洗濯槽内に供給することができる。外胴200には、水位を検出する水位センサ215が設けられる。水位センサ215は、その検出データを制御装置400(図5を参照)に出力する。
【0014】
また、外胴200には、ドラム220と開閉扉20の間に設けられるインポート225aに乾燥用の温風を供給する温風供給路225が接続されている、また、外胴200の上面後方に設けられる排気孔230には、温風排出路235が接続されている。温風供給路225には、ガスバーナで構成される加熱ユニット240や入力温度センサ245、不図示の過熱防止装置や安全装置等が設けられる。一方、温風排出路235には、糸などのごみを捕獲するリントフィルタ250、ファン255、逆流防止のチャッキダンパ260、不図示の過熱防止装置等が設けられる。そして、外胴200の上面後方に設けられる排気孔230と温風排出路235と間を接続する排気ダクト265が設けられる。排気ダク265は、内蔵するドラム220の回転動作の振動が外胴200にも伝達されることから、その振動に対応できる構造(例えば、断面蛇腹形状)となっている。
【0015】
乾燥運転において、温風排出路235に設けられるファン255を回転させると、加熱ユニット240により加熱された空気(温風)が温風供給路225に導かれ、外胴200の内部に供給される。これにより、外胴200内で回転するドラム220に投入された洗濯物を乾燥する。この時、湿気を含んだ空気が外胴200の排気孔230から排気ダクト265を経由して温風排出路235に導かれ、外部に排出される。
【0016】
温風排出路235には、出口温度センサ270が配置される。出口温度センサ270は、外胴200から排気ダクト265を経由して温風排出路235に導かれる空気の温度を測定する。そして、出口温度センサ270は、測定データを制御装置400に出力する。
【0017】
図4に示すように、ドラム220は、外胴200に対して所定の隙間を隔てつつ、その開口が外胴200の投入口に一致するように配置される。ドラム220は、後方に向けて延びる回転軸300を有し、この回転軸300が外胴200により支持される。回転軸300の後端には、駆動モータ280等を備える回転駆動部305が接続される。回転駆動部305は、駆動モータ280の回転をプーリとベルトを介して回転軸300に伝達して、ドラム220を回転駆動する。駆動モータ280は、洗濯乾燥の各工程で、インバーター又は減速機により調整された回転速度でドラム220を回転させる。
【0018】
その他、外胴200には、ドラム内部のエアー抜きと、給水のオーバーフローを検出する風管285が設けられる。また、脱水時にドラム220のバランスを検出するバランスセンサ290が設けられる。バランスセンサ290によるバランス検出は、外胴200の中心位置が一定距離移動したことを検出することで実施される。また外胴200の下側には、乾燥時に洗濯物の乾燥状態を判定する洗濯温度センサ295が設けられる。なお、ドラム220の内部構造については、本実施形態と直接関係しないのでその説明は省略する。
【0019】
次に、実施形態に係るランドリー機器の緊急停止プログラムによる緊急停止処理について説明する。
図5は、実施形態に係るランドリー機器の緊急停止制御を実行する制御装置400の構成の構成を示すブロック図である。図6および図7は、制御装置400の緊急停止プログラムによる緊急停止制御の動作手順を示すフローチャートである。制御装置400に内蔵するメモリ(RAM又はROM)410には、緊急停止制御を実行するプログラム420が組み込まれている。また、制御装置400に動作時間等を計測(カウントダウン又はカウントアップ)するタイマー425を内蔵している。
【0020】
まず、コインランドリー店舗に入店した利用者は、使用したい空いているランドリー機器10に移動して、最初に「ドラム洗浄」ボタン160を押下する。すると、制御装置400は、例えば30秒間、ドラム220の洗浄を実行する。ドラム220の洗浄を希望しない場合は、この操作は省略しても良い。
次に、利用者は「音声ナビ」ボタン150を押下して、ランドリー機器10からのアナウンス(動作終了等)を音声出力で可聴できるように設定する。この操作も適宜省略しても良い。
【0021】
設定時間のドラム220の洗浄を終えると、利用者は開閉扉20を開いて、投入口から洗濯物をドラム220に投入する。そして、開閉扉20を閉じて、ハンドル25により開閉扉20をラッチする。さらに、利用者は、洗濯乾燥ボタン100又は110、洗濯ボタン120、乾燥ボタン130の中から利用したいコースボタンを選択(非接触型ボタンであるので手を翳すだけで良い)する。選択したコースは操作入力部を経由して制御装置400に通知される。
【0022】
制御装置400は、選択したコースに応じた利用料金を料金/時間の表示430を出力して料金/残り時間の表示部190に表示する。例えば、洗濯乾燥ボタン100が選択された場合、利用料金1200円が表示される。利用者は、表示部190に表示される利用料金(例えば、1200円)を料金投入口35から投入する。制御装置400は、料金入力部35aから料金入金を受信すると、扉ロック25aを作動して、開閉扉20が開かないようにハンドル25にロックを掛けて施錠する。
【0023】
制御装置400は、更に排水弁210aを閉じ、給水弁205aおよび又は205bを開いて水又は温水又は混合のぬるま湯を洗濯槽(外胴200とドラム220で構成)に注入する。そして、制御装置400は、洗濯槽内に所定量の水又は温水又は混合のぬるま湯が溜まったことを水位センサ215から受信すると、給水弁205aおよび又は205bを閉じると共に、駆動モータ280を駆動する。駆動モータ280の回転駆動により回転軸300を回転することで、ドラム220を回転させ洗濯工程を開始する。制御装置400は、ランドリー機器10が稼働するとフリッカーランプ表示440を出力してフリッカーランプ140を例えば緑色表示して、利用者に稼働中であることを報知する。
【0024】
ランドリー機器10を稼働した後で、利用者が、例えば洗濯物のポケットに携帯機器を入れたままでドラム220に投入したことに気づき、ランドリー機器10を止めて携帯機器を取り出したいと思った場合、「緊急停止」ボタン170を3秒間以上長押しする。すると、「緊急停止」ボタン170の長押し信号は、割り込み信号405として制御装置400に送信され、受信される(図6のS100)。なお、エラー停止中に「緊急停止」ボタン170を3秒間以上長押しした場合も、同様に緊急停止状態となる。また、洗濯工程に限定されず、乾燥工程中であっても「緊急停止」ボタン170は有効に作用する。これにより、緊急事態発生時、ランドリー機器10に前面に明示されている「緊急停止」ボタン170を長押しするだけで、利用者自身が直ちにランドリー機器10を停止させることが出来る。なお、緊急停止した場合、ハローコールでの通知はしないようにする。
【0025】
制御装置400の緊急停止制御プログラム420は、「緊急停止」ボタン170からの割込み信号405を受信するとの緊急停止動作を開始する。
緊急停止制御プログラム420は、最初に駆動モータ280を停止して、ドラム220の回転を止めて一時停止状態とすると共に、排水弁210aを開く(図6のS110)。この時、風量エラーおよび過熱エラーは発生させない。
ドラム220が完全に停止したならば(図6のS120)、扉ロック25aによる開閉扉20の扉ロックを解除して、開閉扉20をオープン可能とする(図6のS130)。これにより、もしも子供が洗濯増内に隠れていたような場合、直ちに人命救助が可能となる。
【0026】
次に緊急停止制御プログラム420は、洗濯槽内の水(又は温水又はぬるま湯)が安全な水位になるまで排水弁210aから排水する。
ステップS110では、水位に関係なく扉ロック25aを直ちに解除するとしたが、安全水位まで水位が下がったことを条件に扉ドック25aを解除するようにしても良い(S120、S130)。その設定は、任意に切り替え設定出来るよう構成しても良い。
【0027】
次に緊急停止制御プログラム420は、スピーカー(不図示)からエラー音を鳴らすと共に、フリッカーランプ表示440を出力して弓形フリッカーランプ140を赤点滅(例えば、輝度100%)する。これらの動作により、利用者に緊急停止されたことが報知される。更に、例えば制御装置400に内蔵するタイマー425によるカウントダウンを停止する。
更に緊急停止制御プログラム420は、料金投入口35からのコイン投入を禁止する。また、コースランプ表示450を出力して運転中だったコースランプ(例えば、洗濯乾燥コース100)を点滅する。
【0028】
次に緊急停止制御プログラム420は、料金/残り時間の表示部190の表示制御を行う。図8は、表示部190の表示例を示す。最初に、緊急停止を明示するため、図8(a)に示すように「StoP」と残り時間(例えば、55分18秒)とを交互に表示する。
そして、利用者は扉ロックが解除された開閉扉20を開けて(図6のS140のYes)、緊急停止作業を実施する(図7のS150)。例えばドラム220から子供を救い出す、例えばドラム220内の洗濯物から携帯機器を取り出す、例えば入れ忘れの洗濯物をドラム220に入れ直す等々の作業を行う。開閉扉20を開けた場合、図8(b)に示すように料金/残り時間の表示部190には「door」と残り時間(例えば、55分18秒)と交互に表示する。これらの表示により、ランドリー機器の状態が報知できる。
【0029】
次に緊急停止制御プログラム420は、緊急停止作業を開始終了してから10分以内であれば(図7のS160のNo)、使用中のコースボタン(例えば、コースボタン100は使用中であれば点滅している)を押下を検出すると(図7のS170のYes)、ランドリー機器10を停止した工程(例えば、洗濯工程)から再スタートさせる(図7のS180)。なお、ここでは、使用中のコースボタンを再開用ボタンとしたが、再開用ボタンを別に設けても良い。再スタートでは、例えば洗濯工程の頭から行っても良いし、停止した状態から再給水してから実行しても良い。また、緊急停止直後(例えば、10秒間)は、コースボタンによる再スタートは無効とする。これは、「緊急停止」ボタン170の長押しした手を離した時、非接触型のコースボタン(100~130のいずれか)が反応し意図しない再スタートが発生しないようにするためである。
【0030】
一方、緊急停止作業が長く掛かった場合、又は緊急停止して開閉扉20を開けたが他のことをしていた場合等では、駆動停止から10分経過すると(図7のS160のYes)、ランドリー機器10の運転を終了する(図7のS190)。この場合、ランドリー機器10の運転回数は+1カウントして管理される。通常状態に戻ると、利用者は最初から操作をやり直すことになる。なお、緊急停止中に停電し、それが復旧した場合は、緊急停止状態を続きから継続する。また、エラー発生している場合は、終了しない。
【0031】
図6のステップS140において、開閉扉20が開かなければ(図6のS140のNo)、設定時間(例えば、1分)が経過すると(図6のS200)、停止した工程から自動的に運転を再開する(図7のS210)。設定時間は、扉ロック25aが解除したタイミングでカウントを開始する。なお、緊急停止後の自動再開機能は、利用者により設定できるようにしても良い。例えば、非常停止時に自動で再開するまでの時間(0分~10分)とした場合、0分設定で自動再開は有効とならない。
なお、再スタート後の洗濯工程、すすぎ工程、乾燥工程、冷却工程は、通常のランドリー機器の動作であるので、その説明は省略する。
【0032】
以上の説明から明らかなように、実施形態に係る緊急停止機能を有するランドリー機器およびランドリー機器の緊急停止プログラムによれば、「緊急停止」ボタン170を利用者(ユーザー)に見えるランドリー機器10の前面に設けたので、緊急事態発生による機器停止を直ちに実施することが出来る。また、「緊急停止」ボタン170が長押しされても、開閉扉20が開かなければ設定時間(例えば1分)が過ぎると自動的に停止状態から再スタートする構成であるので、無人中に悪戯なボタン操作があっても再開することができる。また、ロック解除した開閉扉20を開き、緊急停止作業が開始してから設定時間(例えば、10分)内に再開用ボタンが押下されると、停止した工程から再開することが出来る。また、再開用ボタンが押下されることなく設定時間(例えば、10分)が経過した場合は、運転を終了することが出来る。
【0033】
実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器は、緊急事態発生時にランドリー機器10の動作を緊急停止するための緊急停止ボタン170をランドリー機器10の前面に配置し、緊急停止ボタン170の長押しによる割込み信号405を制御装置400にて受信し、割込み信号405を受信した制御装置400は緊急停止処理として、洗濯槽の駆動手段280を停止し、ランドリー機器10の前面に設けられる開閉扉20の扉ロック25aを解除し、ロック解除された開閉扉20が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開する構成としている。これにより、利用者に見えるランドリー機器10の前面に設けられた「緊急停止」ボタン170の押下による割込み信号によって制御装置400を動作させ、機器停止を直ちに実施することが出来る。また、「緊急停止」ボタン170が長押しされても、開閉扉20が開かなければ設定時間(例えば1分)が過ぎると自動的に停止状態から再スタートする構成であるので、無人中に悪戯なボタン操作があっても再開することができる。
【0034】
実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器は、緊急事態発生時にランドリー機器10の動作を緊急停止するための緊急停止ボタン170をランドリー機器10の前面に配置し、緊急停止ボタン170の長押しによる割込み信号405を制御装置400にて受信し、割込み信号405を受信した制御装置400は緊急停止処理として、洗濯槽の駆動手段280を停止すると共に、排水弁210aを開いて洗濯槽内の水が安全水位まで下がったことを条件に、ランドリー機器10の前面に設けられる開閉扉20の扉ロック25aを解除し、ロック解除された開閉扉20が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合は、停止した工程から運転を再開する構成としている。これにより、利用者に見えるランドリー機器10の前面に設けられた「緊急停止」ボタン170の押下による割込み信号によって制御装置400を動作させ、機器停止を直ちに実施することが出来る。また、「緊急停止」ボタン170が長押しされても、開閉扉20が開かなければ設定時間(例えば1分)が過ぎると自動的に停止状態から再スタートする構成であるので、無人中に悪戯なボタン操作があっても再開することができる。
【0035】
実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器の制御装置40は、ロック解除された開閉扉20を開き、緊急停止作業後の第2設定時間内に再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されると、停止した工程から再開する構成としている。これにより、ロック解除した開閉扉20を開き、緊急停止作業が開始してから設定時間(例えば、10分)内に再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されると、停止した工程から再開することが出来る。
【0036】
実施形態の緊急停止機能を有するランドリー機器の制御装置40は、ロック解除した開閉扉29を開き、第2設定時間が経過した場合は運転を終了する構成としている。これにより、再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されることなく設定時間(例えば、10分)が経過した場合は、運転を終了することが出来る。
【0037】
実施形態のランドリー機器の緊急停止プログラムは、緊急停止機能を有するランドリー機器10を制御する制御装置400によって実行されるプログラムであって、ランドリー機器10の前面に配置した緊急停止ボタン170の長押しによる割込み信号405を受信する工程(S100)と、洗濯槽の駆動手段280を停止し、ランドリー機器10の前面に設けられる開閉扉20の扉ロック25aを解除する工程(S120)と、ロック解除された開閉扉20が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合(S200のYes)は、停止した工程から運転を再開する工程(S210)と、を有するプログラムである。これにより、利用者に見えるランドリー機器10の前面に設けられた「緊急停止」ボタン170の押下による割込み信号によって制御装置400を動作させ、機器停止を直ちに実施することが出来る。また、「緊急停止」ボタン170が長押しされても、開閉扉20が開かなければ設定時間(例えば1分)が過ぎると自動的に停止状態から再スタートする構成であるので、無人中に悪戯なボタン操作があっても再開することができる。
【0038】
実施形態のランドリー機器の緊急停止プログラムは、緊急停止機能を有するランドリー機器10を制御する制御装置400によって実行されるプログラムであって、ランドリー機器10の前面に配置した緊急停止ボタン170の長押しによる割込み信号405を受信する工程(S100)と、洗濯槽の駆動手段28を停止すると共に、排水弁210aを開いて洗濯槽内の水が安全水位まで下がったことを条件に、ランドリー機器10の前面に設けられる開閉扉20の扉ロック25aを解除する工程(S120)と、ロック解除された開閉扉20が開かなく、且つ第1設定時間が経過した場合(S200のYes)は、停止した工程から運転を再開する工程(S210)と、を有するプログラムである。これにより、利用者に見えるランドリー機器10の前面に設けられた「緊急停止」ボタン170の押下による割込み信号によって制御装置400を動作させ、機器停止を直ちに実施することが出来る。また、「緊急停止」ボタン170が長押しされても、開閉扉20が開かなければ設定時間(例えば1分)が過ぎると自動的に停止状態から再スタートする構成であるので、無人中に悪戯なボタン操作があっても再開することができる。
【0039】
実施形態のランドリー機器の緊急停止プログラムは、ロック解除された開閉扉20を開き、緊急停止作業後の第2設定時間内に再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されると(S150、S160のNo、S170のYes)、停止した工程から再開する工程(S180)を更に有するプログラムである。これにより、ロック解除した開閉扉20を開き、緊急停止作業が開始してから設定時間(例えば、10分)内に再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されると、停止した工程から再開することが出来る。
【0040】
実施形態のランドリー機器の緊急停止プログラムは、ロック解除した開閉扉20を開き、第2設定時間が経過した場合は運転を終了する工程(S160のYes,S190)を有するプログラムである。これにより、再開用ボタン(例えば、使用中のコースボタン100)が押下されることなく設定時間(例えば、10分)が経過した場合は、運転を終わられることが出来る。
【0041】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
10…ランドリー機器、 20…開閉扉、 25…ハンドル
30…洗濯槽部、 35…料金投入口、 40…表示ランプ部
100、110…洗濯乾燥ボタン、 120…洗濯ボタン、 130…乾燥ボタン
140…フリッカーランプ、 150…音声ナビボタン、160…ドラム洗浄ボタン
170…「緊急停止」ボタン、 190…料金/残り時間の表示部
210a…排水弁、 280…駆動モータ、 400…制御装置、 405…割込み信号
410…メモリ、 420…緊急停止制御ボタン、 425…タイマー、
430…料金/残り時間の表示出力、 440…フリッカーランプ表示出力
450…コースランプ表示出力
図1
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図8