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特開2024-145432電力装置の終了方法、プログラム、記憶媒体及び電力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145432
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電力装置の終了方法、プログラム、記憶媒体及び電力装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/60 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01F23/60 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057776
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】生井 邦明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013AA04
2F013AB03
2F013BB04
2F013CA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気動作部と電力装置の外部との遮断に伴ってデータが消去されることを確実に回避する。
【解決手段】電力装置10の終了方法では、設置面42から所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、各筐体22内で準備処理が実行される。準備処理が完了したことを取得したときに、又は、所定高さ位置に水位が到達したことを取得してから所定時間が経過したことを取得したときに、終了指令が生成される。終了指令に基づき、各筐体22内では、終了処理が実行される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力装置の設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理ステップと、
前記第1処理ステップで前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得してから所定時間が経過したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する生成ステップと、
前記終了指令を受けたときに、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理ステップと、
を含む、電力装置の終了方法。
【請求項2】
請求項1記載の電力装置の終了方法において、
前記電力装置は、互いに通信線を介して接続されると共に、別個独立に形成される複数の筐体を有し、
前記取得ステップで複数の前記筐体のうちの一の筐体の設置面から前記所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、前記第1処理ステップで、複数の前記筐体のうちの他の筐体を終了するための準備処理を実行する、電力装置の終了方法。
【請求項3】
請求項2記載の電力装置の終了方法において、
前記他の筐体は、前記通信線による通信経路上において、前記一の筐体よりも末端側に位置する筐体である、電力装置の終了方法。
【請求項4】
請求項3記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体の各々は、
蓄電装置と、
前記蓄電装置と電気的に接続される電気動作部と、
前記電気動作部と前記筐体の外部とを電気的に接続又は遮断する断接部と、
前記蓄電装置、前記電気動作部及び前記断接部を制御する内部制御部と、
前記筐体に関わるデータを一時的に記憶する揮発性記憶部と、
浸水検知部と、
を収容し、
前記蓄電装置、前記電気動作部、前記断接部、前記内部制御部及び前記揮発性記憶部は、前記筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、
前記一の筐体は、前記通信線を介して、複数の前記筐体を統括的に制御する統括筐体であり、
前記他の筐体は、前記統括筐体によって制御される連結筐体であり、
前記統括筐体は、複数の前記筐体を統括的に制御するための統括制御部と、不揮発性記憶部とをさらに収容し、
前記統括制御部及び前記不揮発性記憶部は、前記統括筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、
前記取得ステップでは、複数の前記筐体のうちの少なくとも1つの筐体において、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知したときに、前記内部制御部から前記統括制御部に前記筐体の浸水が通知され、
前記第1処理ステップでは、
前記統括制御部から複数の前記筐体の前記内部制御部に、前記浸水の通知と前記不揮発性記憶部への前記データの記憶の指示とを示す準備指令が送信され、
前記準備指令を受信した後、前記内部制御部が前記準備処理として前記揮発性記憶部に記憶されている前記データを前記不揮発性記憶部に記憶し、又は、前記電力装置と通信可能に設置された外部装置に送信し、
前記生成ステップでは、複数の前記筐体の前記揮発性記憶部に記憶されている前記データが前記不揮発性記憶部に全て記憶されたときに、又は、前記外部装置に全て送信されたときに、前記統括制御部が前記終了指令を生成して複数の前記筐体の前記内部制御部に送信し、
前記第2処理ステップでは、前記終了指令を受信した後、前記内部制御部が前記断接部を制御することで、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断する、電力装置の終了方法。
【請求項5】
請求項4記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体の各々は、前記所定高さ位置よりも上方に配置された計時部をさらに収容し、
前記計時部は、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知するか、又は、前記内部制御部が前記統括制御部から前記準備指令を受信したときに、計時を開始し、
前記第2処理ステップでは、前記内部制御部が前記統括制御部から前記終了指令を受信していない場合でも、前記内部制御部は、前記計時部が計時を開始してから前記所定時間が経過することで、前記終了指令があったとみなして前記断接部を制御し、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断する、電力装置の終了方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体は、前記通信経路上で一列に連結され、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信を行う、電力装置の終了方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力装置の終了方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記憶する記憶媒体。
【請求項9】
設置面に設置される電力装置であって、
前記設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する水位取得部と、
前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを前記水位取得部が取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理部と、
前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを取得してから所定時間が経過したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する終了指令生成部と、
前記終了指令に基づいて、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理部と、
を備える、電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力装置の終了方法、プログラム、記憶媒体及び電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリパック(蓄電装置)が開示されている。バッテリパックは、ケース、バッテリ本体及び検知部を有する。バッテリ本体は、ケースの内部に収容されている。検知部は、ケースの底部に配置されている。検知部は、ケースの内部に浸入した液体を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-50032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ交換機等の電力装置は、筐体を備える。筐体は、複数の蓄電装置を着脱可能に収容する。筐体内には、電気動作部、制御部及び揮発性記憶部が配置されている。電気動作部は、複数の蓄電装置と筐体の外部とを電気的に接続する。電気動作部は、複数の蓄電装置と筐体の外部との間で電力の入出力を行う。制御部は、電気動作部及び複数の蓄電装置を制御する。揮発性記憶部には、電力装置に関するデータが一時的に記憶される。
【0005】
電力装置が屋外に設置される場合、降水、河川の氾濫、設置場所の状況等によって、筐体が浸水する可能性がある。筐体が浸水した場合、感電及び短絡等を回避するため、遮断機等の断接部を用いて、電気動作部と筐体の外部との電気的接続を遮断する必要がある。しかしながら、筐体が浸水したときに即座に遮断すると、制御部で扱われているデータ、揮発性記憶部に一時的に記憶されているデータ等が消去される。データが消去されることで、電力装置を再稼働したときに、該電力装置の稼働に不具合が発生すると共に、電力装置に関するデータの取得に不具合が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、電力装置の設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する取得ステップと、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理ステップと、前記第1処理ステップで前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得してから所定時間が経過したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する生成ステップと、前記終了指令を受けたときに、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理ステップと、を含む、電力装置の終了方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記終了方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記プログラムを記憶する記憶媒体である。
【0010】
本発明の第4の態様は、設置面に設置される電力装置であって、前記電力装置は、前記設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する水位取得部と、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを前記水位取得部が取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理部と、前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを取得してから所定時間が経過したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する終了指令生成部と、前記終了指令に基づいて、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定高さ位置に水位が到達したことを取得した後、電力装置を終了するための準備処理が実行される。準備処理が完了したことを取得したときに、又は、所定高さ位置に水位が到達してから所定時間が経過したときに、電力装置を終了するための終了指令が生成される。生成された終了指令に基づき、電力装置を終了するための終了処理が実行される。このように、本発明では、浸水によって緊急に遮断する必要があっても、準備処理の完了後に、終了処理が実行される。これにより、確保すべきデータを確実に記憶した後に遮断することが可能となる。この結果、電気動作部と電力装置の外部との遮断に伴ってデータが消去されることを確実に回避することができる。また、終了処理の実行前にデータが記憶されることで、電力装置を再稼働したときの稼働の不具合、電力装置に関わるデータの取得の不具合等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る電力装置の正面図である。
図2図2は、図1の筐体の断面図である。
図3図3は、図1の統括電力装置(統括筐体)の回路構成図である。
図4図4は、図1の連結電力装置(連結筐体)の回路構成図である。
図5図5A及び図5Bは、浸水検知部の回路図である。
図6図6は、電力装置の動作の終了方法を示すフローチャートである。
図7図7は、電力装置の動作の終了方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係る電力装置10の正面図である。
【0014】
電力装置10は、例えば、屋外に設置される。電力装置10は、複数の充放電装置12を備える。複数の充放電装置12は、一列に並んで屋外に設置される。複数の充放電装置12は、1つの通信線14を介して、信号又は情報の送受信が可能である。すなわち、複数の充放電装置12は、1つの通信線14を介して、通信接続可能に連結されている。複数の充放電装置12は、通信線14による通信経路16上に一列に配置されている。複数の充放電装置12は、デイジーチェーン方式により、信号又は情報の送受信を行う。複数の充放電装置12のうち、中央の充放電装置12は、全ての充放電装置12を統括的に制御する充放電装置である。中央の充放電装置12と通信経路16の末端との間に配置されている複数の他の充放電装置12は、中央の充放電装置12によって制御される充放電装置である。
【0015】
以下の説明では、中央の充放電装置12を統括電力装置18と呼称する場合がある。また、複数の充放電装置12のうち、統括電力装置18以外の他の充放電装置12(統括電力装置18よりも通信経路16の末端側の充放電装置12)を連結電力装置20と呼称する場合がある。
【0016】
複数の充放電装置12の各々は、同じ形状の筐体22を有する。電力装置10では、複数の筐体22が該電力装置10の設置場所に一列に設置される。筐体22の形状は、矩形状である。以下の説明では、統括電力装置18の筐体22を統括筐体24と呼称する場合がある。また、複数の連結電力装置20の筐体22を連結筐体26と呼称する場合がある。
【0017】
複数の筐体22の各々は、複数のスロット28を有する。複数のスロット28の各々は、筐体22の正面30に開口している。複数のスロット28には、バッテリ32(蓄電部、蓄電装置)が着脱可能である。ユーザは、複数のスロット28に対してバッテリ32を着脱することができる。
【0018】
複数の筐体22の各々には、少なくとも1つのバッテリ32が装着されていればよい。筐体22が複数のバッテリ32を装着可能である場合、複数のバッテリ32のうち、少なくとも1つのバッテリ32が筐体22に対して着脱可能であればよい。バッテリ32は、別途の作業工具等を用いることなく、筐体22に対して着脱可能であることがより好ましい。つまり、バッテリ32は、作業工具等を用いなくても、筐体22に対して着脱可能に構成されている。また、「筐体22(電力装置10)に対して着脱」には、筐体22に対してバッテリ32を装着する場合と、筐体22に対してバッテリ32を離脱させる場合とが含まれる。以下の説明では、筐体22に対して、複数のバッテリ32が着脱可能である場合について説明する。
【0019】
従って、バッテリ32は、複数の筐体22に対して着脱可能なモバイルバッテリである。バッテリ32の形状は、略直方体状である。バッテリ32は、充放電可能なモバイルバッテリである。バッテリ32は、例えば、着脱式のリチウムイオンバッテリのバッテリパックが好適である。
【0020】
統括筐体24の正面30において、複数のスロット28の上方には、操作パネル34が設けられている。すなわち、操作パネル34は、統括筐体24のみに設けられている。複数の連結筐体26には、操作パネル34が設けられていない。操作パネル34は、例えば、タッチパネルである。操作パネル34には、バッテリ32の残容量等の各種の情報が表示可能である。ユーザは、操作パネル34を操作して、各種の指示を入力することができる。
【0021】
複数の筐体22の各々には、上下方向に4個のスロット28が設けられている。また、複数の筐体22の各々には、左右方向に3個のスロット28が設けられている。従って、1つの筐体22には、合計で12個のスロット28が設けられている。なお、本実施形態では、1つの筐体22について、12個のスロット28の全てにバッテリ32が装着されていなくてもよい。図1では、複数の筐体22の各々において、12個のスロット28のうち、10個のスロット28にバッテリ32が装着されている場合が図示されている。
【0022】
図2は、筐体22の断面図である。図2は、電力装置10を構成する全ての筐体22に共通する構成が図示されている。
【0023】
筐体22の内部は、水平方向に延びる仕切板36によって2つの室に区画されている。筐体22の内部のうち、仕切板36よりも上側の室は、第1室38である。仕切板36よりも下側の室は、第2室40である。また、電力装置10(を構成する各筐体22)は、設置面42に設置されている。筐体22において、設置面42から所定の高さ位置には、底板44が配置されている。すなわち、底板44は、設置面42に接触する筐体22の接地面(底面)よりも所定の高さだけ上方に位置する。第2室40は、筐体22の内部のうち、仕切板36と底板44との間の内部空間である。筐体22の後部には開閉扉46が設けられている。ユーザが開閉扉46を開くことで、第1室38及び第2室40が外部に露出する。
【0024】
第1室38には、トリッピングユニット48(断接部)、インバータ50(電気動作部)、DC/DCコンバータ52(電気動作部)及び制御ボックス54が配置されている。
【0025】
第2室40には、複数のスロット28が配置されている。複数のスロット28の各々は、筐体22の正面30から後方に向かって、斜め下方向に傾斜して延びている。複数のスロット28の各々の後部には、ファン56、DC/DCコンバータ58(電気動作部)及びスロット側基板60が配置されている。ファン56は、スロット28の内部に気流を発生させることで、スロット28の内外の空気の流動を促進させる。
【0026】
仕切板36と底板44との間には、フレーム62が配設されている。フレーム62は、上下方向に延びている。フレーム62は、複数のスロット28を第2室40の内部に固定する。
【0027】
底板44の上面において、前側(正面30側)及び後側には、浸水検知センサ64がそれぞれ配置されている。2つの浸水検知センサ64は、設置面42から所定高さ位置に配置されている。底板44には、不図示の連通孔が形成されている。連通孔は、第2室40と筐体22の外部とを連通させる。降水、河川の氾濫等があると、設置面42から水位が上昇する。水位が底板44の高さ位置よりも高くなると、水が連通孔を介して第2室40に浸入する。水が第2室40に浸入することで、筐体22が浸水(被水)する。
【0028】
2つの浸水検知センサ64の各々は、降水、河川の氾濫、設置場所の状況等によって、所定高さ位置(浸水検知センサ64の設置位置)にまで筐体22が被水(浸水)した場合、所定高さ位置にまで水位が到達したことを検知する。所定高さ位置は、筐体22内において、電気によって動作する構成要素に関わる部分よりも下方の位置に設定される。図2では、最も下側のスロット28の下端よりも低い位置に、所定高さ位置が設定される。なお、所定高さ位置は、例えば、200mmに設定される。すなわち、2つの浸水検知センサ64は、設置面42から200mmの高さに設置される。また、所定高さ位置は、電力装置10の設置場所の状況等に応じて、適宜変更してもよい。
【0029】
図3は、統括電力装置18の回路構成図である。統括電力装置18は、トリッピングユニット48、インバータ50、DC/DCコンバータ52、制御ボックス54、操作パネル34、スピーカ66、2つの浸水検知センサ64及び複数のスロット28を備える。上記のように、複数のスロット28の各々には、ファン56、DC/DCコンバータ58及びスロット側基板60が設けられている。制御ボックス54は、筐体制御基板68(内部制御部)、統括制御基板70(統括制御部)及び2つの通信部72、74を有する。筐体制御基板68は、RAM76(揮発性記憶部)及びタイマ78(計時部)を有する。統括制御基板70は、ROM80(不揮発性記憶部)を有する。
【0030】
トリッピングユニット48は、統括筐体24の外部と電気的に接続されている。インバータ50は、トリッピングユニット48と電気的に接続されている。複数のDC/DCコンバータ52、58は、インバータ50に対して、電気的に並列に接続されている。統括筐体24の外部から複数のDC/DCコンバータ52、58までの箇所は、相対的に高電圧の回路部分(高電圧回路82)である。なお、図3では、高電圧回路82の配線が太線で図示されている。
【0031】
トリッピングユニット48は、高電圧遮断器である。所定の閾値を超える過大な電圧が高電圧回路82に発生した場合、トリッピングユニット48は、統括筐体24の外部とインバータ50との間の導通を遮断する。これにより、統括筐体24が適切に保護される。
【0032】
高電圧回路82のうち、トリッピングユニット48からインバータ50までの部分には、交流電力が流通する。すなわち、統括筐体24の外部から電力(外部電力)の供給を受ける場合には、トリッピングユニット48を介して、インバータ50に相対的に高電圧の交流電力が供給される。インバータ50は、交流電力を相対的に高電圧の直流電力に変換する。変換された直流電力は、複数のDC/DCコンバータ52、58に供給される。複数のDC/DCコンバータ52、58は、相対的に高電圧の直流電圧を、低電圧の直流電圧に変換する。
【0033】
バッテリ32は、コネクタ84を有する。スロット28は、バッテリ32のコネクタ84に嵌合可能なコネクタ86を有する。バッテリ32がスロット28に装着されている場合、バッテリ32のコネクタ84とスロット28のコネクタ86とが接続される。複数のスロット28の各々にバッテリ32が装着されている場合、複数のDC/DCコンバータ58の各々は、変換した低電圧の直流電圧をバッテリ32に出力可能である。これにより、バッテリ32は、外部電力の供給を受けて蓄電(充電)される。
【0034】
筐体22から外部に電力を出力する場合、複数のスロット28の各々に設けられたDC/DCコンバータ58は、バッテリ32の直流電圧(バッテリ電圧)を、相対的に高電圧の直流電圧に変換する。インバータ50は、複数のDC/DCコンバータ58から供給される直流電力を交流電力に変換する。変換された交流電力は、トリッピングユニット48を介して、外部に出力される。
【0035】
DC/DCコンバータ52は、相対的に高電圧の直流電圧を、低電圧の直流電圧に変換する。DC/DCコンバータ52は、変換した低電圧の直流電圧を複数のスロット側基板60及び制御ボックス54に供給する。複数のスロット側基板60の各々は、DC/DCコンバータ52からの電圧の供給を受けて駆動する。
【0036】
複数のDC/DCコンバータ58からバッテリ32までの箇所と、DC/DCコンバータ52から制御ボックス54、複数のスロット側基板60及び複数のファン56までの箇所とは、低電圧回路88を構成する。低電圧回路88は、筐体22の内部において、相対的に低電圧の回路部分である。なお、図3において、低電圧回路88の配線は、細線で図示されている。
【0037】
以下の説明では、統括電力装置18及び連結電力装置20がバッテリ32に電力を充電する充電器である場合について説明する。なお、本実施形態では、統括電力装置18及び連結電力装置20がバッテリ32の電力を外部に出力する給電器として機能可能である。
【0038】
制御ボックス54において、筐体制御基板68及び統括制御基板70は、DC/DCコンバータ52から供給される直流電圧によって駆動する。
【0039】
筐体制御基板68及び統括制御基板70の各々は、統括筐体24に搭載されるECU(電子制御装置)である。筐体制御基板68及び統括制御基板70の各々は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ(processor)を含み構成され得るコンピュータである。すなわち、筐体制御基板68及び統括制御基板70の各々は、処理回路(processing circuitry)によって構成され得る。筐体制御基板68は、RAM76に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の機能を実現する。統括制御基板70は、ROM80に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の機能を実現する。
【0040】
なお、筐体制御基板68及び統括制御基板70の各々の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。また、筐体制御基板68及び統括制御基板70の各々の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって構成されてもよい。
【0041】
RAM76は、揮発性メモリである。RAM76は、プロセッサである筐体制御基板68のワーキングメモリとして使用され、処理又は演算に必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0042】
RAM76には、統括電力装置18(統括筐体24)に関わるデータが一時的に記憶される。RAM76には、例えば、バッテリ32の貸借情報、統括筐体24内で実行中の作業がどこまで完了しているのかを示す状態フラグ、筐体22内の不具合を検知した旨を示すフラグ等が記憶される。また、RAM76には、バッテリ32の情報も記憶される。バッテリ32の情報には、バッテリ電圧、バッテリ32の温度、SOC、バッテリ32が放電状態又は充電状態にあることを示す充放電情報等が含まれる。なお、放電状態は、バッテリ32が直流電力を出力している状態(放電中の状態)である。充電状態は、バッテリ32に直流電力が供給されている状態(充電中の状態)である。
【0043】
ROM80は、不揮発性メモリである。ROM80は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリに代えてもよい。ROM80は、保存用のメモリとして使用され、プログラム、テーブル、マップ等を記憶する。
【0044】
筐体制御基板68は、統括筐体24の内部に配置された各部を制御する。具体的には、筐体制御基板68は、複数のスロット側基板60との間で信号の送受信を行う。筐体制御基板68は、インバータ50、DC/DCコンバータ52及び複数のスロット側基板60に制御信号を供給する。また、筐体制御基板68は、2つの浸水検知センサ64の検知結果を取得する。筐体制御基板68は、通信部72を介して、連結筐体26(図1参照)との間で、信号又は情報の送受信が可能である。筐体制御基板68は、スピーカ66を介して統括筐体24の外部に音を出力させることが可能である。
【0045】
筐体制御基板68は、タイマ78(計時部)を有する。タイマ78は、任意の時刻からの計時を行う。
【0046】
複数のスロット側基板60の各々は、筐体制御基板68からの制御信号に基づき、DC/DCコンバータ58及びファン56を制御する。ファン56が駆動した場合、スロット28の内部に気流が発生するので、スロット28に装着されたバッテリ32を所望の温度に調整可能である。
【0047】
また、複数のスロット側基板60の各々は、バッテリ32から該バッテリ32の情報を取得する。スロット側基板60は、取得したバッテリ32の情報を筐体制御基板68に出力する。筐体制御基板68は、入力されたバッテリ32の情報をRAM76に一時的に記憶可能である。
【0048】
統括制御基板70は、筐体制御基板68及び通信部72を介して、複数の連結筐体26に各種の指令を送信する。また、統括制御基板70は、ユーザによる操作パネル34の操作結果を受け付ける。さらに、統括制御基板70は、通信部74を介して、電力装置10の外部(例えば、サーバ等の外部の遠隔装置)との間で、信号又は情報の送受信が可能である。従って、統括制御基板70は、各筐体22の筐体制御基板68から、各筐体22の状況(例えば、筐体22の浸水の有無)を逐次取得することが可能である。
【0049】
図4は、連結電力装置20の回路構成図である。連結電力装置20において、統括電力装置18(図3参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。連結電力装置20は、統括制御基板70、操作パネル34及び通信部74を備えていない点で、統括電力装置18とは異なる。従って、連結電力装置20において、連結筐体26の内部には、該連結筐体26に関わるデータを一時的に記憶するRAM76は設けられるが、ROM80は設けられない。また、図3における上記の統括筐体24の説明において、「統括筐体24」を「連結筐体26」に置き換えることで、連結筐体26の内部に配置された各部の説明となる。
【0050】
図5A及び図5Bは、筐体22の浸水を検知する浸水検知部90の回路構成図である。浸水検知部90は、筐体22の内部に設けられる。浸水検知部90は、浸水検知センサ64と、2つの抵抗器92、94及びコンデンサ96とを有する。2つの抵抗器92、94及びコンデンサ96は、筐体制御基板68に設けられる。2つの抵抗器92、94とコンデンサ96とは、直列回路を構成する。2つの抵抗器92、94とコンデンサ96との直列回路には、直流電圧が供給される。浸水検知センサ64は、不図示のフロート及びシャフトと、マイクロスイッチ98とを有する。マイクロスイッチ98は、抵抗器94及びコンデンサ96の直列回路に対して、電気的に並列に接続されている。
【0051】
浸水検知センサ64では、上下方向に延びるシャフトに筒状のフロートが挿通している。水面がフロートよりも下方である場合、フロートは、シャフトの下端に位置する。この場合、図5Aに示すように、マイクロスイッチ98は、オン状態であり、抵抗器94及びコンデンサ96の直列回路をショートする。この結果、抵抗器94及びコンデンサ96の直列回路の出力電圧Vsは、0Vとなる。すなわち、浸水検知センサ64は、マイクロスイッチ98をオンにして、抵抗器94及びコンデンサ96の直列回路の出力電圧Vsを0Vにすることで、水位が所定高さ位置にまで到達していない旨の検知結果を筐体制御基板68に出力する。
【0052】
また、水面が上昇すると、フロートは、シャフトに沿って上方に変位する。フロートが所定高さ位置に到達すると、図5Bに示すように、マイクロスイッチ98がオフになり、抵抗器94及びコンデンサ96の直列回路の出力電圧Vsが所定の電圧値となる(例えば、Vs=V>0)。すなわち、浸水検知センサ64は、マイクロスイッチ98をオフにして、出力電圧Vsを所定の電圧値にすることで、水位が所定高さ位置にまで到達した旨の検知結果を筐体制御基板68に出力する。筐体制御基板68は、水位が所定高さ位置にまで到達した旨の検知結果に基づき、筐体22が浸水したと判定することができる。
【0053】
図1に示すように、電力装置10は、任意の設置場所に設置されている。任意の設置場所は、例えば、屋外である。電力装置10では、複数の筐体22が一列に設置されている。複数の筐体22の各々には、2つの浸水検知センサ64(図2参照)が配置されている。降水、河川の氾濫、設置場所の状況等によって、電力装置10を構成する複数の筐体22のうち、少なくとも1つの筐体22が浸水した場合、他の筐体22も浸水しているか、又は、浸水する可能性がある。筐体22が浸水することで、感電及び短絡等が発生する可能性がある。そこで、複数の筐体22のうち、少なくとも1つの筐体22が浸水した場合には、感電及び短絡等を回避するため、トリッピングユニット48(図3及び図4参照)を用いて、筐体22の外部とインバータ50との間の電気的接続を遮断する必要がある。つまり、全ての筐体22の動作を終了させる必要がある。
【0054】
本実施形態において、「終了」とは、電力装置10(筐体22)が電気的な動作を行えないように該電力装置10(筐体22)を停止させることをいう。すなわち、「終了」とは、電力装置10(筐体22)への通電を終了することをいう。具体的には、「終了」には、上記のような電気的接続の遮断によって、電源との接続を遮断する(電源を落とす)こと、又は、電気的に終了することが挙げられる。
【0055】
複数の筐体22において、RAM76には、筐体制御基板68で扱われているデータ等が一時的に記憶されている。そのため、浸水検知部90(図5A及び図5B参照)が筐体22の浸水を検知した場合に、筐体22の外部とインバータ50との間の電気的接続を直ちに遮断し、筐体22の動作を終了させると、筐体制御基板68で扱われているデータ、RAM76に一時的に記憶されているデータ等が消去される。データが消去されることで、電力装置10を再稼働したときに、該電力装置10の稼働に不具合が発生すると共に、電力装置10に関するデータの取得に不具合が発生する可能性がある。例えば、バッテリ32をユーザに貸し出す場合に、ユーザに対して誤って課金する可能性がある。また、電力装置10が再稼働したときに、電力装置10が規定外の挙動を行う可能性がある。
【0056】
このようなデータの消去を回避するため、本実施形態では、浸水の発生を検知した後、電力装置10の動作を終了するための終了処理を実行する前に、電力装置10の動作を終了するための準備処理を実行する。従って、浸水によって緊急に遮断する必要があっても、準備処理の完了後に、終了処理が実行される。
【0057】
具体的には、複数の筐体22のうち、少なくとも1つの筐体22において、浸水検知部90が筐体22の浸水を検知した場合、該筐体22の筐体制御基板68は、筐体22の浸水の発生を統括制御基板70に通知する。この場合、浸水検知部90は、2つの浸水検知センサ64のうち、少なくとも1つの浸水検知センサ64において、水位が所定高さ位置にまで到達したことを検知したときに、筐体22の浸水を検知する。また、連結筐体26において該連結筐体26の浸水が検知された場合、該連結筐体26の筐体制御基板68は、通信線14を介して、統括筐体24の統括制御基板70に、連結筐体26が浸水した旨を通知する。さらに、統括筐体24において該統括筐体24の浸水が検知された場合、該統括筐体24の筐体制御基板68は、統括制御基板70に、統括筐体24が浸水した旨を直接通知する。
【0058】
統括制御基板70は、筐体22が浸水した旨の通知を受けて、準備指令を生成する。生成した準備指令は、各筐体22の筐体制御基板68に送信される。準備指令は、各筐体22の筐体制御基板68に対して、準備処理の実行を指示するための指令である。準備処理は、終了処理に先立ち、RAM76に一時的に記憶されているデータ(上記のフラグ等)を、統括制御基板70のROM80に記憶するための処理である。また、準備指令は、浸水が発生したことを各筐体22の筐体制御基板68に通知するための情報である。従って、準備指令は、ROM80へのデータの記憶の指示と、浸水の通知とを示す情報である。
【0059】
各筐体22の筐体制御基板68は、準備指令を受けて、浸水が発生したことを把握することができる。また、各筐体22の筐体制御基板68は、準備指令を受けて、準備処理を実行する。準備処理では、筐体制御基板68は、RAM76に記憶されているデータを統括制御基板70に送信する。筐体制御基板68が該データを統括制御基板70に送信することで、筐体制御基板68での準備処理が完了する。
【0060】
統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータをROM80に記憶する。
【0061】
なお、電力装置10の外部に存在し、且つ、通信部74を介して統括制御基板70と通信可能なサーバ等の遠隔装置に設けられた不揮発性記憶部(例えば、ROM)に、各筐体22のRAM76に記憶されているデータを記憶してもよい。この場合、統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータを、通信部74を介して遠隔装置に送信する。あるいは、統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータをROM80に記憶すると共に、通信部74を介して遠隔装置に送信してもよい。遠隔装置は、受信したデータを不揮発性記憶部に記憶する。
【0062】
ROM80に全てのデータを記憶した後、統括制御基板70は、終了処理の実行を指示するための終了指令を生成する。なお、遠隔装置の不揮発性記憶部に全てのデータを記憶する場合には、統括制御基板70は、全てのデータを遠隔装置に送信した後に、終了指令を生成する。あるいは、統括制御基板70は、全てのデータを遠隔装置に送信し、その後、不揮発性記憶部に全てのデータが記憶された旨の通知を遠隔装置から受信したときに、終了指令を生成してもよい。生成された終了指令は、各筐体22の筐体制御基板68に送信される。
【0063】
各筐体22の筐体制御基板68は、終了指令を受けて、終了処理を実行する。
【0064】
終了処理では、筐体制御基板68は、筐体22の外部とインバータ50との電気的接続の遮断を指示するための制御信号をトリッピングユニット48に供給する。トリッピングユニット48は、筐体制御基板68からの制御信号を受けて、筐体22の外部とインバータ50との電気的接続を遮断する。これにより、筐体22の外部からバッテリ32への電力の供給、又は、筐体22から外部への電力の出力が遮断される。
【0065】
また、終了処理では、筐体制御基板68は、インバータ50及び複数のDC/DCコンバータ52、58の動作を停止させる。これにより、制御ボックス54及び複数のスロット側基板60への電力供給が停止する。この結果、筐体22の動作が終了する。
【0066】
筐体制御基板68のタイマ78は、筐体22が浸水したことを検知した時刻から計時を開始してもよい。あるいは、筐体22の浸水を検知した時刻の情報が準備指令に含まれている場合には、タイマ78は、該時刻から計時を開始してもよい。これにより、筐体制御基板68は、何らかの原因で終了指令が受信できない場合でも、タイマ78が該時刻から所定時間計時したときに、終了指令があったものとみなして(終了指令が生成されたものとみなして)、終了処理を実行可能である。なお、何らかの原因には、例えば、連結筐体26よりも先に統括筐体24が動作を終了することで、終了指令を受信できない場合が挙げられる。あるいは、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信が行われるため、通信経路16における上流側の連結筐体26が先に動作を終了することで、通信経路16の末端側の連結筐体26が終了指令を受信できない場合が挙げられる。
【0067】
なお、タイマ78が計時する所定時間は、適宜変更してもよい。すなわち、所定時間は、ROM80へのデータの格納後に終了処理が確実に実行されるような十分に長い時間に設定される。つまり、タイマ78が所定時間計時した時点では、ROM80へのデータの格納は既に完了している。
【0068】
本実施形態に係る電力装置10は、以上のように構成される。次に、電力装置10の動作について、図6及び図7のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、主として、筐体22(図1及び図2参照)の浸水を検知したときの電力装置10の動作の終了方法について説明する。
【0069】
ステップS1(取得ステップ)において、電力装置10(図1参照)を構成する複数の筐体22が動作している場合、各筐体22の筐体制御基板68(図3及び図4参照)は、筐体22内に配置された2つの浸水検知センサ64(図2参照)のうち、少なくとも1つの浸水検知センサ64において、水位が所定高さ位置にまで到達したことを検知したかどうかを判定する。
【0070】
ステップS1において、抵抗器94及びコンデンサ96(図5A参照)の直列回路の出力電圧Vsが0Vである場合(ステップS1:NO)、筐体制御基板68は、ステップS2に進む。ステップS2において、筐体制御基板68は、出力電圧Vsが0Vであるため、水位が所定高さ位置にまで到達しておらず、筐体22が浸水していないと判定する。
【0071】
ステップS3において、筐体制御基板68は、他の筐体22が浸水した旨を含む準備指令が統括制御基板70から通知されたかどうかを判定する。
【0072】
準備指令が通知されていない場合(ステップS3:NO)、筐体制御基板68は、ステップS4に進む。ステップS4において、筐体制御基板68は、タイマ78を0にリセットする。その後、筐体制御基板68は、ステップS1に戻り、ステップS1~S4の処理を繰り返し実行する。従って、全ての筐体22が浸水していない場合、各筐体22の筐体制御基板68は、ステップS1~S4の処理を繰り返し実行する。
【0073】
ステップS1において、抵抗器94及びコンデンサ96(図5B参照)の出力電圧Vsが所定レベルの電圧値となった場合(ステップS1:YES)、筐体制御基板68は、ステップS5(取得ステップ)に進む。ステップS5において、筐体制御基板68は、水位が所定高さ位置に到達し、該筐体制御基板68を収容する筐体22が浸水したと判定する。
【0074】
ステップS6において、筐体制御基板68は、タイマ78の計時を開始させる。
【0075】
ステップS7において、筐体制御基板68は、該筐体制御基板68を収容する筐体22が浸水した旨を統括制御基板70に連絡する。
【0076】
ステップS8において、統括制御基板70は、筐体22が浸水した旨の連絡を受けて、準備指令を全ての筐体22の筐体制御基板68に通知する。
【0077】
ステップS9において、筐体制御基板68は、統括制御基板70から準備指令が通知されたかどうかを判定する。
【0078】
準備指令が通知された場合(ステップS9:YES)、筐体制御基板68は、図7のステップS10(第1処理ステップ)に進む。ステップS10において、筐体制御基板68(図3及び図4参照)は、準備指令を受けて、準備処理を実行する。準備処理では、筐体制御基板68は、RAM76に記憶されているデータを統括制御基板70に送信する。統括制御基板70にデータが送信されることで、準備処理が終了する。
【0079】
ステップS11において、統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータをROM80に格納(記憶)する。あるいは、統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータを遠隔装置に送信し、該遠隔装置の不揮発性記憶部に格納(記憶)させる。あるいは、統括制御基板70は、各筐体制御基板68から送信されたデータを、ROM80と、遠隔装置の不揮発性記憶部との双方に格納(記憶)させる。
【0080】
ROM80に全てのデータが格納(記憶)された後、又は、統括制御基板70から全てのデータが遠隔装置に送信された後、ステップS12(生成ステップ)において、統括制御基板70は、終了指令を全ての筐体22の筐体制御基板68に通知する。
【0081】
ステップS13において、筐体制御基板68は、統括制御基板70から終了指令が通知されたかどうかを判定する。
【0082】
終了指令が通知された場合(ステップS13:YES)、筐体制御基板68は、ステップS14(第2処理ステップ)に進む。ステップS14において、筐体制御基板68は、終了指令を受けて、終了処理を実行する。終了処理では、筐体制御基板68は、トリッピングユニット48を制御し、筐体22の外部とインバータ50との電気的接続を遮断する。これにより、筐体22の外部からインバータ50への電力の供給が遮断される。また、終了処理では、筐体制御基板68は、インバータ50及び複数のDC/DCコンバータ52の動作を停止させる。これにより、制御ボックス54及び複数のスロット側基板60への電力供給が停止する。この結果、筐体22の動作が終了する。
【0083】
ステップS13において、終了指令が通知されていない場合(ステップS13:NO)、筐体制御基板68は、ステップS15に進む。ステップS15において、筐体制御基板68は、タイマ78が計時した時間Tが閾値時間Tthを超えたかどうかを判定する。
【0084】
タイマ78が計時した時間Tが閾値時間Tthを超えている場合(T>Tth、ステップS15:YES)、筐体制御基板68は、統括制御基板70から終了指令の通知がなくても、終了指令の通知があったものとみなして、ステップS14の終了処理を実行する。
【0085】
また、時間Tが閾値時間Tthに到達していない場合(T≦Tth、ステップS15:NO)、筐体制御基板68は、終了処理を行うべきではないと判断し、ステップS13の判定処理を繰り返し実行する。
【0086】
なお、図6のステップS3において、筐体制御基板68(図3及び図4参照)を収容する筐体22が浸水していない場合でも、統括制御基板70から準備指令が来た場合(ステップS3:YES)、筐体制御基板68は、ステップS16に進む。ステップS16において、筐体制御基板68は、準備指令の内容から、他の筐体22が浸水したと判断し、タイマ78の計時を開始させる。その後、筐体制御基板68は、図7のステップS10に進み、準備処理を実行する。
【0087】
なお、上記の説明では、統括制御基板70から全ての筐体22の筐体制御基板68に指令(準備指令、終了指令)を送信する場合について説明した。本実施形態では、統括制御基板70から統括筐体24の筐体制御基板68のみに終了指令を送信してもよい。この場合、統括筐体24の筐体制御基板68は、終了指令を受けて、終了処理を実行することで、統括筐体24の動作を終了させる。これにより、統括筐体24と複数の連結筐体26との間では、通信が途絶される。複数の連結筐体26の筐体制御基板68は、通信が途絶していることから、統括筐体24が動作を終了したとみなして(終了指令があったとみなして)、タイマ78が所定時間を計時した後に、終了処理を実行すればよい。
【0088】
本実施形態は、以下の効果を有する。
【0089】
図6及び図7に示すように、本実施形態では、所定高さ位置に水位が到達したことを取得した後、電力装置10を終了するための準備処理が実行される。その後、準備処理が完了したことを取得したときに、又は、所定高さ位置に水位が到達してから所定時間が経過したときに、電力装置10を終了するための終了指令が生成される。次に、生成された終了指令に基づき、電力装置10を終了するための終了処理が実行される。このように、本実施形態では、浸水によって緊急に遮断する必要があっても、準備処理の完了の後に、終了処理が実行される。これにより、確保すべきデータを確実に記憶した後に遮断することが可能となる。この結果、インバータ50(電気動作部)と電力装置10の外部との遮断に伴ってデータが消去されることを確実に回避することができる。終了処理の実行前にデータが記憶されることで、電力装置10を再稼働したときの稼働の不具合、電力装置10に関わるデータの取得の不具合等の発生を抑制することができる。
【0090】
また、複数の筐体22のうちの一の筐体22について、設置面42から所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、他の筐体22では準備処理が実行される。これにより、一の筐体22が浸水していることに対応して、他の筐体22を終了させることが可能となる。
【0091】
図1に示すように、通信線14による通信経路16上において、一の筐体22よりも末端側に他の筐体22が位置する。これにより、一の筐体22との間で通信ができない場合には、他の筐体22で準備処理を開始させることが可能となる。
【0092】
図3図4図6及び図7に示すように、複数の筐体22のうちの少なくとも1つの筐体22の筐体制御基板68(内部制御部)から統括制御基板70(統括制御部)に筐体22の浸水が報知されたときに、統括制御基板70から複数の筐体22の筐体制御基板68に準備指令が送信される。これにより、全ての筐体制御基板68は、準備指令を受けて、RAM76(揮発性記憶部)に記憶されているデータを、ROM80(不揮発性記憶部)、及び、サーバ等の外部の遠隔装置の不揮発性記憶部のうち、少なくともいずれかに記憶することができる。また、複数の筐体22のRAM76に記憶されているデータが、ROM80に全て記憶された後に、又は、遠隔装置に全て送信されたときに、統括制御基板70が終了指令を複数の筐体22の筐体制御基板68に送信する。これにより、全ての筐体制御基板68は、終了指令を受けて、トリッピングユニット48(断接部)を制御することで、インバータ50と筐体22の外部とを遮断することができる。
【0093】
図5A図7に示すように、浸水検知部90が所定高さ位置に水位が到達したことを検知するか、又は、筐体制御基板68が統括制御基板70から準備指令を受信したときに、タイマ78が計時を開始する。これにより、終了指令が来ない場合でも、タイマ78が計時を開始してから所定時間が経過したときに、筐体制御基板68は、終了処理を実行することができる。
【0094】
図1に示すように、複数の筐体22が通信経路16上で一列に連結され、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信を行う。これにより、通信経路16の末端側の筐体22(連結筐体26)は、中央の筐体22(統括筐体24)との間で信号又は情報の送受信ができない場合には、該中央の筐体22が終了処理を行ったと判断し、自ら終了処理を実行することができる。
【0095】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0096】
(付記1)
電力装置(10)の設置面(42)から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する取得ステップ(S1、S5)と、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理ステップ(S10)と、前記第1処理ステップで前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得してから所定時間が経過したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する生成ステップ(S12)と、前記終了指令を受けたときに、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理ステップ(S14)と、を含む、電力装置の終了方法である。
【0097】
この方法によれば、所定高さ位置に水位が到達したことを取得した後、電力装置を終了するための準備処理が実行される。準備処理が完了したことを取得したときに、又は、所定高さ位置に水位が到達してから所定時間が経過したときに、電力装置を終了するための終了指令が生成される。生成された終了指令に基づき、電力装置を終了するための終了処理が実行される。このように、本発明では、浸水によって緊急に遮断する必要があっても、準備処理の完了後に、終了処理が実行される。これにより、確保すべきデータを確実に記憶した後に遮断することが可能となる。この結果、電気動作部と電力装置の外部との遮断に伴ってデータが消去されることを確実に回避することができる。終了処理の実行前にデータが記憶されることで、電力装置を再稼働したときの稼働の不具合、電力装置に関わるデータの取得の不具合等の発生を抑制することができる。
【0098】
(付記2)
付記1に記載の電力装置の終了方法において、前記電力装置は、互いに通信線(14)を介して接続されると共に、別個独立に形成される複数の筐体(22)を有し、前記取得ステップで複数の前記筐体のうちの一の筐体の設置面から前記所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、前記第1処理ステップでは、複数の前記筐体のうちの他の筐体を終了するための準備処理を実行してもよい。
【0099】
この方法によれば、複数の筐体のうちの一の筐体の設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、他の筐体で準備処理が実行される。これにより、一の筐体が浸水していることに対応して、他の筐体を終了させることが可能となる。
【0100】
(付記3)
付記2に記載の電力装置の終了方法において、前記他の筐体は、前記通信線による通信経路(16)上において、前記一の筐体よりも末端側に位置する筐体であればよい。
【0101】
この方法によれば、通信線による通信経路上において、一の筐体よりも末端側に他の筐体が位置する。これにより、一の筐体との間で通信ができない場合でも、他の筐体で終了処理を開始させることが可能となる。
【0102】
(付記4)
付記3に記載の電力装置の終了方法において、複数の前記筐体の各々は、蓄電装置(32)と、前記蓄電装置と電気的に接続される電気動作部(50、52、58)と、前記電気動作部と前記筐体の外部とを電気的に接続又は遮断する断接部(48)と、前記蓄電装置、前記電気動作部及び前記断接部を制御する内部制御部(68)と、前記筐体に関わるデータを一時的に記憶する揮発性記憶部(76)と、浸水検知部(90)と、を収容し、前記蓄電装置、前記電気動作部、前記断接部、前記内部制御部及び前記揮発性記憶部は、前記筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、前記一の筐体は、前記通信線を介して、複数の前記筐体を統括的に制御する統括筐体(24)であり、前記他の筐体は、前記統括筐体によって制御される連結筐体(26)であり、前記統括筐体は、複数の前記筐体を統括的に制御するための統括制御部(70)と、不揮発性記憶部(80)とをさらに収容し、前記統括制御部及び前記不揮発性記憶部は、前記統括筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、前記取得ステップでは、複数の前記筐体のうちの少なくとも1つの筐体において、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知したときに、前記内部制御部から前記統括制御部に前記筐体の浸水が通知され、前記第1処理ステップでは、前記統括制御部から複数の前記筐体の前記内部制御部に、前記浸水の通知と前記不揮発性記憶部への前記データの記憶の指示とを示す準備指令が送信され、前記準備指令を受信した後、前記内部制御部が前記準備処理として前記揮発性記憶部に記憶されている前記データを前記不揮発性記憶部に記憶し、又は、前記電力装置と通信可能に設置された外部装置に送信し、前記生成ステップでは、複数の前記筐体の前記揮発性記憶部に記憶されている前記データが前記不揮発性記憶部に全て記憶されたときに、又は、前記外部装置に全て送信されたときに、前記統括制御部が前記終了指令を生成して複数の前記筐体の前記内部制御部に送信し、前記第2処理ステップでは、前記終了指令を受信した後、前記内部制御部が前記断接部を制御することで、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断してもよい。
【0103】
この方法によれば、複数の筐体のうちの少なくとも1つの筐体の内部制御部から統括制御部に筐体の浸水が報知されたときに、統括制御部から複数の筐体の内部制御部に準備指令が送信される。これにより、全ての内部制御部は、準備指令を受けて、揮発性記憶部に記憶されているデータを、不揮発性記憶部、又は、電力装置と通信可能に設置された外部装置の不揮発性記憶部に記憶することができる。また、複数の筐体の揮発性記憶部に記憶されているデータが不揮発性記憶部に全て記憶された後に、又は、外部装置に全て送信されたときに、統括制御部が終了指令を複数の筐体の内部制御部に送信する。これにより、全ての内部制御部は、終了指令を受けて、断接部を制御することで、電気動作部と筐体の外部とを遮断することができる。
【0104】
(付記5)
付記4に記載の電力装置の終了方法において、複数の前記筐体の各々は、前記所定高さ位置よりも上方に配置された計時部(78)をさらに収容し、前記計時部は、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知するか、又は、前記内部制御部が前記統括制御部から前記準備指令を受信したときに、計時を開始し、前記第2処理ステップでは、前記内部制御部が前記統括制御部から前記終了指令を受信していない場合でも、前記内部制御部は、前記計時部が計時を開始してから前記所定時間が経過することで、前記終了指令があったとみなして前記断接部を制御し、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断してもよい。
【0105】
この方法によれば、浸水検知部が所定高さ位置に水位が到達したことを検知するか、又は、内部制御部が統括制御部から準備指令を受信したときに、計時部が計時を開始する。これにより、内部制御部は、統括制御部から終了指令を受信していない場合でも、計時部が計時を開始してから所定時間が経過することで、終了指令があったとみなして断接部を制御し、電気動作部と筐体の外部とを遮断することができる。
【0106】
(付記6)
付記4又は5に記載の電力装置の終了方法において、複数の前記筐体は、前記通信経路上で一列に連結され、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信を行ってもよい。
【0107】
この方法によれば、複数の筐体が通信経路上で一列に連結され、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信を行う。これにより、通信経路の末端側の筐体は、中央の筐体との間で信号又は情報の送受信ができない場合には、該中央の筐体が終了処理を行ったと判断し、自ら終了処理を実行することができる。
【0108】
(付記7)
付記1~6のいずれかに記載の電力装置の終了方法をコンピュータ(68、70)に実行させるためのプログラムである。
【0109】
(付記8)
付記7に記載のプログラムを記憶する記憶媒体(76、80)である。
【0110】
(付記9)
設置面に設置される電力装置であって、前記電力装置は、前記設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する水位取得部(90)と、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを前記水位取得部が取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理部(68)と、前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを取得してから所定時間が経過したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する終了指令生成部(70)と、前記終了指令に基づいて、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理部(68)と、を備える。
【0111】
この構成によれば、所定高さ位置に水位が到達したことを取得した後、電力装置を終了するための準備処理が実行される。準備処理が完了したことを取得したときに、又は、所定高さ位置に水位が到達してから所定時間が経過したときに、電力装置を終了するための終了指令が生成される。生成された終了指令に基づき、電力装置を終了するための終了処理が実行される。このように、本発明では、浸水によって緊急に遮断する必要があっても、準備処理の完了後に、終了処理が実行される。これにより、確保すべきデータを確実に記憶した後に遮断することが可能となる。この結果、電気動作部と電力装置の外部との遮断に伴ってデータが消去されることを確実に回避することができる。終了処理の実行前にデータが記憶されることで、電力装置を再稼働したときの稼働の不具合、電力装置に関わるデータの取得の不具合等の発生を抑制することができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0113】
10…電力装置
68…筐体制御基板(第1処理部、第2処理部、内部制御部、コンピュータ)
70…統括制御基板(終了指令生成部、統括制御部、コンピュータ)
76…RAM(記憶媒体)
80…ROM(記憶媒体)
90…浸水検知部(水位取得部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力装置の設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理ステップと、
前記第1処理ステップで前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記取得ステップで前記水位が前記所定高さ位置に到達したことを取得してから所定時間が経過したことを取得したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する生成ステップと、
前記終了指令を受けたときに、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理ステップと、
を含む、電力装置の終了方法。
【請求項2】
請求項1記載の電力装置の終了方法において、
前記電力装置は、互いに通信線を介して接続されると共に、別個独立に形成される複数の筐体を有し、
前記取得ステップで複数の前記筐体のうちの一の筐体の設置面から前記所定高さ位置に水位が到達したことを取得したときに、前記第1処理ステップで、複数の前記筐体のうちの他の筐体を終了するための準備処理を実行する、電力装置の終了方法。
【請求項3】
請求項2記載の電力装置の終了方法において、
前記他の筐体は、前記通信線による通信経路上において、前記一の筐体よりも末端側に位置する筐体である、電力装置の終了方法。
【請求項4】
請求項3記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体の各々は、
蓄電装置と、
前記蓄電装置と電気的に接続される電気動作部と、
前記電気動作部と前記筐体の外部とを電気的に接続又は遮断する断接部と、
前記蓄電装置、前記電気動作部及び前記断接部を制御する内部制御部と、
前記筐体に関わるデータを一時的に記憶する揮発性記憶部と、
浸水検知部と、
を収容し、
前記蓄電装置、前記電気動作部、前記断接部、前記内部制御部及び前記揮発性記憶部は、前記筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、
前記一の筐体は、前記通信線を介して、複数の前記筐体を統括的に制御する統括筐体であり、
前記他の筐体は、前記統括筐体によって制御される連結筐体であり、
前記統括筐体は、複数の前記筐体を統括的に制御するための統括制御部と、不揮発性記憶部とをさらに収容し、
前記統括制御部及び前記不揮発性記憶部は、前記統括筐体の内部において、前記所定高さ位置よりも上方に配置され、
前記取得ステップでは、複数の前記筐体のうちの少なくとも1つの筐体において、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知したときに、前記内部制御部から前記統括制御部に前記筐体の浸水が通知され、
前記第1処理ステップでは、
前記統括制御部から複数の前記筐体の前記内部制御部に、前記浸水の通知と前記不揮発性記憶部への前記データの記憶の指示とを示す準備指令が送信され、
前記準備指令を受信した後、前記内部制御部が前記準備処理として前記揮発性記憶部に記憶されている前記データを前記不揮発性記憶部に記憶し、又は、前記電力装置と通信可能に設置された外部装置に送信し、
前記生成ステップでは、複数の前記筐体の前記揮発性記憶部に記憶されている前記データが前記不揮発性記憶部に全て記憶されたときに、又は、前記外部装置に全て送信されたときに、前記統括制御部が前記終了指令を生成して複数の前記筐体の前記内部制御部に送信し、
前記第2処理ステップでは、前記終了指令を受信した後、前記内部制御部が前記断接部を制御することで、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断する、電力装置の終了方法。
【請求項5】
請求項4記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体の各々は、前記所定高さ位置よりも上方に配置された計時部をさらに収容し、
前記計時部は、前記浸水検知部が前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを検知するか、又は、前記内部制御部が前記統括制御部から前記準備指令を受信したときに、計時を開始し、
前記第2処理ステップでは、前記内部制御部が前記統括制御部から前記終了指令を受信していない場合でも、前記内部制御部は、前記計時部が計時を開始してから前記所定時間が経過することで、前記終了指令があったとみなして前記断接部を制御し、前記電気動作部と前記筐体の外部とを遮断する、電力装置の終了方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の電力装置の終了方法において、
複数の前記筐体は、前記通信経路上で一列に連結され、デイジーチェーン方式で信号又は情報の送受信を行う、電力装置の終了方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の電力装置の終了方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記憶する記憶媒体。
【請求項9】
設置面に設置される電力装置であって、
前記設置面から所定高さ位置に水位が到達したことを取得する水位取得部と、
前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを前記水位取得部が取得したときに、前記電力装置を終了するための準備処理を実行する第1処理部と、
前記準備処理が完了したことを取得したときに、又は、前記所定高さ位置に前記水位が到達したことを取得してから所定時間が経過したときに、前記電力装置を終了するための終了指令を生成する終了指令生成部と、
前記終了指令に基づいて、前記電力装置を終了するための終了処理を実行する第2処理部と、
を備える、電力装置。