(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145433
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車載装置及び識別方法
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20241004BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241004BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241004BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241004BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20241004BHJP
【FI】
B60W40/08
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057779
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久木元 修
(72)【発明者】
【氏名】白石 春樹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 晃央
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗則
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241CD12
3D241CD15
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA12Z
3D241DB02Z
3D241DD03Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181CC04
5H181CC27
5H181DD07
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】顔画像を用いたドライバの個人識別をより確実に実行すること。
【解決手段】実施形態に係る車載装置は、車両のドライバを識別するための処理を行うコントローラを備える。コントローラは、車両の速度条件が満たされたことを検知する。コントローラは、速度条件が満たされたことを検知した場合、車両に搭載されたカメラによって速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバに送信してサーバに車両のドライバを識別することを要求する。コントローラは、受信した識別結果を基に、車両のドライバを識別する情報をメモリに格納する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバを識別するための処理を行うコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記車両の速度条件が満たされたことを検知し、
前記速度条件が満たされたことを検知した場合、前記車両に搭載されたカメラによって前記速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバに送信して前記サーバに前記車両のドライバを識別することを要求し、
受信した識別結果を基に、前記車両のドライバを識別する情報をメモリに格納する
車載装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記車両のACCがONになった後、前記車両が閾値以上の速度で前進した場合に、前記速度条件が満たされたことを検知する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記車両のACCがONになった後、前記車両が後退した後に、前記車両が閾値以上の速度で前進した場合に、前記速度条件が満たされたことを検知する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
時刻に対応付けて前記車両のドライバを識別する情報を前記メモリに格納し、
前記車両のドライバの識別ができなかった第1の時刻には、前記第1の時刻より未来の第2の時刻に識別された前記車両のドライバの識別情報を対応付ける
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記車両のドライバの識別ができなかった場合、前記車両を管理するシステムから、前記車両のドライバを識別する情報を取得する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項6】
車両のドライバを識別するための処理を行うコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記車両の速度条件が満たされたことを検知し、
前記速度条件が満たされたことを検知した場合、前記車両に搭載されたカメラによって前記速度条件が満たされた後に撮像された画像からドライバを識別し、
前記ドライバを識別した情報をメモリに格納する
車載装置。
【請求項7】
車両のドライバを識別するための処理を行うコントローラを備えた車載装置によって実行される識別方法であって、
前記車両の速度条件が満たされたことを検知し、
前記速度条件が満たされたことを検知した場合、前記車両に搭載されたカメラによって前記速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバに送信して前記サーバに前記車両のドライバを識別することを要求し、
受信した識別結果を基に、前記車両のドライバを識別する情報をメモリに格納する
識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバを識別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドライバの顔画像を撮像し、顔画像に対して画像認識処理を行う技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、事業者向けのドライブレコーダにおいて、車両データとドライバとを紐付けることを目的として、ACCがONになった際にドライバの顔画像の撮像を試み、撮像された顔画像を使ってドライバの個人識別を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には、顔画像を用いたドライバの個人識別ができない場合があるという問題がある。
【0006】
ここで、車両内に備えられたカメラであって、運転席に着座したドライバの顔があることが想定される定位置を向いたカメラを用いて顔画像を撮像し、撮像された顔画像を用いてドライバの個人識別を行う場合を考える。なお、ドライバの個人識別を行うためには、ドライバの顔がはっきりと写った顔画像が必要であるものとする。
【0007】
ドライバは、車両の運行準備が進行している間に、ACCをONにする操作を行う場合がある。運行準備には、ドライバ又はドライバ以外の人物による荷物の積み下ろし、ドライバによるシートベルの装着等が含まれる。
【0008】
ACCがONになった直後にカメラによる画像の撮像を実行した際に、撮像された画像には、ドライバの顔がはっきりと写らないことがあり得る。これは、ドライバが運転席に着座せずに、又は着座した状態で体を大きく動かしながら運行準備を進めている場合があるためである。また、運行準備が進行している間は、ドライバとは異なる荷物の積み下ろしを行っている人物が画像に写ってしまうこともあり得る。
【0009】
このように、従来の技術では、個人識別に利用可能な程度にドライバの顔がはっきりと写った顔画像が得られず、顔画像を用いたドライバの個人識別ができない場合がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顔画像を用いたドライバの個人識別をより確実に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係る車載装置は、車両のドライバを識別するための処理を行うコントローラを備える。コントローラは、車両の速度条件が満たされたことを検知する。コントローラは、速度条件が満たされたことを検知した場合、車両に搭載されたカメラによって速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバに送信してサーバに車両のドライバを識別することを要求する。コントローラは、受信した識別結果を基に、車両のドライバを識別する情報をメモリに格納する。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、顔画像を用いたドライバの個人識別をより確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る認証システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、コントローラの機能を説明する機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、コントローラの機能を説明する機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、顔画像を用いた識別処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、顔画像を用いない識別処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る車載装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係るサーバの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る車載装置及び識別方法について詳細に説明する。本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1を用いて、認証システムの構成を説明する。
図1は、実施形態に係る認証システムの構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、認証システム1は、車両2及びサーバ20を有する。また、車両2は、車載装置10を備える。
【0017】
車載装置10は、例えばドライブレコーダである。車載装置10は、ネットワークを介してサーバ20とデータの通信を行うことができる。また、車載装置10は、カメラにより車両2の車室内の画像を撮像することができる。
【0018】
認証システム1は、車両2のドライバの顔画像を用いた認証処理を行う。車載装置10は、単独で認証処理を行ってもよいし、サーバ20と連携して認証処理を行ってもよい。
【0019】
例えば、認証処理は、車両2に搭乗しているドライバが、車両2の使用を許可されたドライバであるか否かを確認する処理である。認証処理を実行するためには、車両2のドライバを識別する情報が必要である。
【0020】
本実施形態では、ドライバを識別する情報が得られることは、そのドライバが車両2の使用を許可されたドライバであることを意味するものであってもよい。その場合、ドライバが識別されることと、ドライバが認証されることは同意である。
【0021】
車載装置10は、ドライバを識別する情報(以下、識別情報)を保持しておき、車両2の運行データを収集し、収集した運行データと識別情報とを対応付けて記憶する。運行データには、車両2の速度の変化、移動したルート、車載カメラによって撮像された画像等が含まれる。
【0022】
車両2は、例えば事業所で使用される。また、複数のユーザ(例えば、事業所の従業員)が車両2のドライバになり得る。また、各ユーザには、識別情報としてあらかじめIDが設定されているものとする。
【0023】
なお、車載装置10は、ドライバの識別情報が得られなかった場合、ドライバを不明としたまま運行データを収集してもよい。
【0024】
図2を用いて、車載装置10の構成を説明する。
図2は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、車載装置10は、カメラ11、車速センサ12、通信部13、コントローラ14、メモリ15、及びインタフェース16を有する。
【0026】
カメラ11は、車両2の運転席の方向を向いた状態で車両2の車室内に設置される。ドライバが運転席に着座している場合、カメラ11はドライバの顔の画像を撮像することができる。
【0027】
車速センサ12は、車両2の速度を取得するためのセンサである。車速センサ12は、加速度を計測することで車両2の速度を取得してもよいし、GPS(Global Positioning System)等から得られる位置情報を基に速度を取得してもよい。なお、車載装置10は、車速センサ12を用いることなく、車両2のECU(Electronic Control Unit)等から速度を取得してもよい。
【0028】
通信部13は、他の装置との間でデータの通信を行うための装置である。通信部13は、例えば無線による通信が可能な車載用の通信モジュールである。
【0029】
コントローラ14は、メモリ15に記憶されたプログラムを読み出して実行する。コントローラ14は、マイコン、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、SoC(System on a Chip)等である。
【0030】
コントローラ14は、単一のプロセッサであってもよい。コントローラ14は、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、コントローラ14は、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有するマルチコア構成であってもよい。
【0031】
メモリ15は、フラッシュメモリ等の記憶媒体である。メモリ15は、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)として機能する。
【0032】
インタフェース16は、車載装置10に含まれる各装置間でデータの入出力を行うためのインタフェースである。
【0033】
図3を用いて、コントローラ14の機能構成を説明する。
図3は、コントローラの機能を説明する機能ブロック図である。コントローラ14は、プログラムを実行することにより、
図3に示す各部の処理を実現する。
【0034】
図3に示すように、コントローラ14は、取得部141、検知部142、撮像制御部143及び識別部144を有する。
【0035】
取得部141は、車両2の速度を取得する。取得部141は、速度を車速センサ12から取得してもよいし、車両2から取得してもよい。
【0036】
検知部142は、速度条件が満たされたことを検知する。速度条件は、車両2が走行したことを示す条件である。
【0037】
例えば、検知部142は、車両2のACCがONになった後、車両2が閾値(例えば、10km/h)以上の速度で前進した場合に、速度条件が満たされたことを検知する。また、検知部142は、車両2が閾値以上の速度で一定時間(例えば3秒)以上前進した場合に、速度条件が満たされたことを検知してもよい。
【0038】
速度条件が満たされた場合、車載装置10、運行準備が終わり、ドライバが安定した姿勢で運転席に着座しているとみなす。また、この後説明する識別処理は、速度条件が満たされたことが検知されたことをトリガとして実行される。
【0039】
これにより、車載装置10は、運転席に着座したドライバの顔画像であって、識別処理に適した顔画像をより確実に得ることができる。
【0040】
また、例えば、検知部142は、車両2のACCがONになった後、車両2が後退し、その後車両2が閾値以上の速度で前進した場合に、速度条件が満たされたことを検知する。これは、車両2の後退時と前進時では、ドライバの顔の向きが異なる場合があるためである。後退時はドライバが後ろを向いている可能性があり、カメラ11が顔画像を撮像できない場合がある。
【0041】
撮像制御部143は、カメラ11を制御し、カメラ11に画像を撮像させる。撮像制御部143は、車両2のACCがONになった後は、一定時間間隔(例えば、1秒間隔)でカメラ11に画像を撮像させてもよいし、検知部142によって速度条件が満たされたことが検知されたタイミングでカメラ11に画像を撮像させてもよい。
【0042】
識別部144は、ドライバの識別情報を得る処理である識別処理を実行する。識別部144は、速度条件が満たされたことを検知部142が検知した場合、カメラ11によって撮像された画像を用いて、識別処理を行う。例えば、識別部144は、速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバ20に送信して、サーバ20に車両2のドライバを識別することを要求する。
【0043】
また、識別部144は、識別した結果を基に、車両2のドライバの識別情報をメモリ15に格納する。
【0044】
これにより、車載装置10は、ドライバの識別情報と走行データとを紐付けることができる。
【0045】
図4を用いて、サーバ20の構成を説明する。
図4は、実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
【0046】
図4に示すように、サーバ20は、通信部23、コントローラ24、メモリ25、及びインタフェース26を有する。
【0047】
通信部23は、他の装置との間でデータの通信を行うための装置である。通信部23は、NIC(Network Interface Card)である。
【0048】
コントローラ24は、メモリ25に記憶されたプログラムを読み出して実行する。コントローラ24は、マイコン、CPU、DSP、FPGA、GPU、SoC等である。
【0049】
コントローラ24は、単一のプロセッサであってもよい。コントローラ24は、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、コントローラ24は、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有するマルチコア構成であってもよい。
【0050】
メモリ25は、フラッシュメモリ等の記憶媒体である。メモリ25は、ROM又はRAMとして機能する。
【0051】
インタフェース26は、サーバ20に含まれる各装置間でデータの入出力を行うためのインタフェースである。
【0052】
図5を用いて、コントローラ24の機能構成を説明する。
図5は、コントローラの機能を説明する機能ブロック図である。コントローラ24は、プログラムを実行することにより、
図3に示す各部の処理を実現する。
【0053】
図3に示すように、コントローラ24は、特定部241及び提供部242を有する。
【0054】
特定部241は、車載装置10からの要求に応じて、車両2のドライバの識別情報を特定する。特定部241は、車載装置10から受信した画像を用いて識別情報を特定する。また、特定部241は、画像を用いた識別情報の特定ができない場合は、画像以外の情報を用いて識別情報を特定する。なお、特定部241は、ドライバが不明であることを特定してもよい。
【0055】
なお、特定部241と同等の機能が、車載装置10に備えられていてもよい。その場合、車載装置10はサーバ20と連携することなく単独でドライバの識別情報を得ることができる。
【0056】
提供部242は、ドライバの識別結果を提供する。提供部242は、特定部241によって特定されたドライバの識別情報を車載装置10に通知する。また、提供部242は、ドライバが不明であることを車載装置10に通知してもよい。
【0057】
図6を用いて、車載装置10とサーバ20とが連携する場合の処理の流れを説明する。
図6は、顔画像を用いた識別処理の流れを示すシーケンス図である。
【0058】
図6に示すように、車両2のACCがONになった後(ステップS101)、車載装置10は、速度条件が充足されたことを検知した場合(ステップS102)、ドライバの顔画像の撮像を試みる。
【0059】
車載装置10は、顔画像の撮像に成功した場合(ステップS103)、顔画像を用いた個人識別をサーバ20に要求する(ステップS104)。なお、個人識別は、ドライバの識別情報を得ることである。
【0060】
このとき、車載装置10は、速度条件が満たされたことを検知した場合、カメラ11によって速度条件が満たされた後に撮像された画像、又は画像から抽出された情報をサーバ20に送信し、サーバ20に車両2のドライバを識別することを要求する。
【0061】
車載装置10は、特に画像処理に関する部分をサーバ20に実行させることで、処理を高速化し、また、コンピュータリソースを節約することができる。
【0062】
サーバ20は、顔画像を用いて個人識別を実行する(ステップS105)。例えば、サーバ20は、あらかじめ登録されたユーザの顔画像の特徴と、車載装置10から得られた顔画像の特徴との類似度が閾値以上である場合、そのユーザのIDをドライバの識別情報に設定する。
【0063】
そして、サーバ20は、個人識別の結果を車載装置10に通知する(ステップS106)。サーバ20は、設定したユーザのIDをドライバの識別情報として通知する。
【0064】
車載装置10は、通知を受けて、ドライバ情報を登録する(ステップS107)。車載装置10は、ドライバ情報を登録したことをサーバ20に通知する(ステップS108)。
【0065】
図7は、顔画像を用いない識別処理の流れを示すシーケンス図である。ここで、車載装置10は、顔画像を用いた識別処理が実行できない場合がある。その場合、車載装置10は、
図7に示す処理を実行する。
【0066】
例えば、車載装置10において、識別処理に関する機能がオフになっている場合がある。また、識別処理に利用できる程度にドライバの顔がはっきり写った顔画像が得られない場合がある。また、
図6のステップS105で識別情報が得られなかった場合に
図7の処理が実行されてもよい。
【0067】
また、ドライバの識別は、車載装置10が接触又は非接触でICカードを読み取ることによって行われる場合がある。ICカードの読み取りに失敗した場合に、車載装置10は、顔画像を用いない識別処理と同様の処理を実行してもよい。
【0068】
また、サーバ20は、車両2を管理する管理システムから得られる情報を利用して個人識別を行う。管理システムは、例えば車両2を利用するための予約情報を管理する。予約情報には、時間帯ごとの車両2を利用するユーザのIDが含まれる。また、管理システムは、車両2に基本ドライバとして紐付けられたユーザのIDを記憶する。
【0069】
ここでは、管理システムは、サーバ20によって実行されるものとする。なお、管理システムは、サーバ20以外の他の装置によって実行されるものであってもよい。その場合、サーバ20は、管理システムから情報を取得することができるものとする。
【0070】
図7では、顔画像の撮像に失敗した場合(例えば、識別処理に利用できる程度にドライバの顔がはっきり写った顔画像が得られなかった場合)の例を説明する。
【0071】
図7に示すように、車両2のACCがONになった後(ステップS151)、車載装置10は、速度条件が充足されたことを検知した場合(ステップS152)、ドライバの顔画像の撮像を試みる。
【0072】
車載装置10は、顔画像の撮像に失敗した場合(ステップS153)、顔画像によらない個人識別をサーバ20に要求する(ステップS154)。
【0073】
サーバ20は、管理システムから得られる情報に応じて、顔画像によらない個人識別を実行する。
【0074】
管理システムに現在の時間帯の予約情報がある場合、サーバ20は、予約情報に示されるユーザのIDをドライバの識別情報として設定する(ステップS155)。
【0075】
管理システムに現在の時間帯の予約情報がなく、かつ車両2に紐付いた基本ドライバが設定済みである場合、サーバ20は、基本ドライバとして設定されたユーザのIDをドライバの識別情報として設定する(ステップS156)。
【0076】
管理システムに現在の時間帯の予約情報がなく、かつ車両2に紐付いた基本ドライバが設定済みでないでない場合、サーバ20は、ドライバが不明であることを示す値を識別情報として設定する(ステップS157)。
【0077】
そして、サーバ20は、個人識別の結果を車載装置10に通知する(ステップS158)。
【0078】
車載装置10は、通知を受けて、ドライバ情報を登録する(ステップS159)。車載装置10は、ドライバ情報を登録したことをサーバ20に通知する(ステップS160)。
【0079】
このように、車載装置10は、車両2のドライバの識別ができなかった場合、車両2を管理する管理システムから、車両2のドライバを識別する情報を取得することができる。これにより、車載装置10は、例えばドライバの顔がはっきり写った画像が得られなかった場合であっても、ドライバの識別情報を得ることができる。
【0080】
図8を用いて、車載装置10の処理の流れを説明する。
図8は、実施形態に係る車載装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、車両2のACCがONになると(ステップS201)、車載装置10は処理を開始する。
【0081】
車載装置10は、車速センサ12のセンサ値を取得し(ステップS202)、取得したセンサ値を基に、速度条件が充足されたか否かを検知する(ステップS203)。例えば、車載装置10は、車両2が時速10km/h以上の速度で3秒以上の間前進した場合、速度条件が充足されたことを検知する。
【0082】
車載装置10は、速度条件が充足されたことを検知しなかった場合(ステップS203、No)、ステップS202に戻り処理を繰り返す。
【0083】
車載装置10は、速度条件が充足されたことを検知した場合(ステップS203、Yes)、カメラ11を用いてドライバの顔画像を撮像する(ステップS204)。なお、車載装置10は、ステップS203の結果にかかわらず、一定時間間隔で顔画像の撮像を試みてもよい。
【0084】
車載装置10は、顔画像の撮像に成功したか否かを判定する(ステップS205)。例えば、車載装置10は、画像認識エンジンを実行し、撮像した画像に人物の顔が写っている確率を計算する。車載装置10は、計算によって得られた確率が閾値以上であれば、顔画像の撮像に成功したと判定する。また、車載装置10は、計算によって得られた確率が閾値未満であれば、顔画像の撮像に成功しなかったと判定する。
【0085】
車載装置10は、顔画像の撮像に成功した場合(ステップS205、Yes)、サーバ20に顔画像を送信し、認証を要求する(ステップS206)。車載装置10は、顔画像の代わりに、画像認識エンジンによって抽出した顔画像の特徴量をサーバ20に送信してもよい。
【0086】
車載装置10は、顔画像の撮像に成功しなかった場合(ステップS205、No)、サーバ20に顔画像を送信せずに、認証を要求する(ステップS207)。
【0087】
その後、車載装置10は、サーバ20から識別結果を受信し、識別結果に基づきドライバ情報をメモリ15に登録し(ステップS208)、処理を終了する。
【0088】
図9を用いて、サーバ20の処理の流れを説明する。
図9は、実施形態に係るサーバの処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、サーバ20は、車載装置10から識別要求を受信すると(ステップS301)処理を開始する。
【0089】
サーバ20は、車載装置10から顔画像を受信している場合(ステップS302、Yes)、顔画像を用いてドライバを識別する(ステップS303)。
【0090】
サーバ20は、車載装置10から顔画像を受信していない場合(ステップS302、No)、顔画像を用いずにドライバを識別する。
【0091】
サーバ20は、管理システムに現在時刻の車両2の予約情報がある場合(ステップS304、Yes)、予約情報を基にドライバを識別する(ステップS305)。
【0092】
サーバ20は、管理システムに現在時刻の車両2の予約情報がなく(ステップS304、No)、基本ドライバが設定済みである場合(ステップS306、Yes)、基本ドライバを基にドライバを識別する(ステップS307)。
【0093】
サーバ20は、基本ドライバが設定済みでない場合(ステップS306、No)、ドライバを不明に設定する(ステップS308)。
【0094】
なお、ステップS303、ステップS305、ステップS307では、サーバ20は、ユーザのIDをドライバの識別情報に設定する。一方、ステップS308では、サーバ20は、ドライバが不明であることを示す値をドライバの識別情報に設定する。
【0095】
その後、サーバ20は、識別結果を車載装置10に送信し(ステップS309)、処理を終了する。
【0096】
車載装置10は、サーバ20から識別結果を受け取った後、受け取った時刻に対応付けて車両2のドライバを識別する情報をメモリ15に格納する。そして、車載装置10は、受け取った時刻以降の運行データを、ドライバの識別情報に対応付けてメモリ15に格納する。
【0097】
ここで、車載装置10は、ドライバが不明であるという識別結果を受け取った場合、ドライバの識別情報を対応付けることなく、受け取った時刻以降に収集した運行データをメモリ15に格納しておく。
【0098】
その後、車載装置10は、識別処理をさらに行い、ドライバが不明であるという識別結果を受け取った時刻よりも未来の時刻にドライバが識別できた場合、メモリ15に格納済みの運行データにドライバの識別情報を対応付けることができる。
【0099】
これまで説明してきたように、車載装置10は、検知部142及び識別部144を有する。検知部142は、車両2の速度条件が満たされたことを検知する。識別部144は、速度条件が満たされたことを検知した場合、車両2に搭載されたカメラ11によって速度条件が満たされた後に撮像された画像をサーバ20に送信してサーバ20に車両2のドライバを識別することを要求する。識別部144は、受信した識別結果を基に、車両2のドライバを識別する情報をメモリ15に格納する。
【0100】
車載装置10は、運行準備が進行しているときを避けてドライバの顔画像を撮像することで、はっきりとドライバの顔が写った画像が得られる可能性を高めることができる。その結果、車載装置10によれば、顔画像を用いたドライバの個人識別をより確実に実行することができる。
【0101】
なお、車載装置10は、ドライバの識別情報と運行データを対応付けてメモリ15に格納する。これにより、車載装置10は、例えば車両2を利用して業務を行ったユーザの日報の作成、及び管理者による業務の管理を支援することができる。
【0102】
なお、サーバ20で個人識別を行うこととしたが車載装置10側で行うようにしてもよい。この場合、例えば車載装置10は、サーバ20の特定部241と同等の機能を有する。すなわち、車載装置10のコントローラ14は、速度条件が満たされたことを検知した場合、車両2に搭載されたカメラ11によって速度条件が満たされた後に撮像された画像からドライバを識別する。
【0103】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 認証システム
2 車両
10 車載装置
11 カメラ
12 車速センサ
13、23 通信部
14、24 コントローラ
15、25 メモリ
16、26 インタフェース
20 サーバ
141 取得部
142 検知部
143 撮像制御部
144 識別部
241 特定部
242 提供部