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  • 特開-チャンバー内撮影装置 図1
  • 特開-チャンバー内撮影装置 図2
  • 特開-チャンバー内撮影装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145436
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】チャンバー内撮影装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
E21D9/087 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057782
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中原 拓
(72)【発明者】
【氏名】國富 武
(72)【発明者】
【氏名】武藤 竜也
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054AC05
2D054BA03
2D054CA00
2D054GA81
2D054GA93
(57)【要約】
【課題】チャンバー内の土砂の状態を観察することができるチャンバー内撮影装置を提供する。
【解決手段】トンネル掘削機のカッターヘッドと隔壁32の間のチャンバー10内に挿入されるチャンバー内撮影装置4は、隔壁32からチャンバー10内へ突出する挿入管5と、挿入管5の先端に設けられたカメラ7と、カメラ7を覆うように挿入管5の先端に取り付けられた透明なカバー8を含む。例えば、カバー8は、カメラ7の周囲に位置する筒状部81と、カメラ7を挟んで挿入管5と反対側に位置するドーム部82を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削機のカッターヘッドと隔壁の間のチャンバー内に挿入されるチャンバー内撮影装置であって、
前記隔壁から前記チャンバー内へ突出する挿入管と、
前記挿入管の先端に設けられたカメラと、
前記カメラを覆うように前記挿入管の先端に取り付けられた透明なカバーと、
を備える、チャンバー内撮影装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記カメラの周囲に位置する筒状部と、前記カメラを挟んで前記挿入管と反対側に位置するドーム部を有する、請求項1に記載のチャンバー内撮影装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記チャンバー内撮影装置の前記チャンバー内への挿入中に前記カバーに沿って流動する土砂を撮影する、請求項1または2に記載のチャンバー内撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機に用いられるチャンバー内撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地山を掘削するカッターヘッドが掘削機本体に回転可能に支持されたトンネル掘削機が知られている。掘削機本体は、筒状の胴体と、胴体の前側開口を閉塞する隔壁を含む。
【0003】
例えば、特許文献1には、カッターヘッドと隔壁の間のチャンバー内でカッターヘッドを撮影可能な水中撮影装置が開示されている。この水中撮影装置は、チャンバー内に挿入されるものであり、隔壁からチャンバー内へ突出する挿入管(特許文献1では「カバー部」と称呼)と、挿入管内に配置されたカメラと、挿入管の先端に取り付けられた透明な風船を含む。
【0004】
風船は、水中撮影装置をチャンバー内に挿入する際は挿入管内に収納されている。挿入管の先端がカッターヘッドに近づけられた後に風船内に清水が注入されると、風船が膨らんでカッターヘッドに当接する。この状態で、カメラが挿入管から進出させられ、そのカメラによってカッターヘッドが清水および風船を介して撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-56340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トンネル掘削機においては、チャンバー内の土砂の状態を観察したいという要望がある。特許文献1の水中撮影装置は、撮影対象であるカッターヘッドに風船を膨らませて当接させるものであり、チャンバー内の土砂の状態を観察することを目的とするものではない。
【0007】
そこで、本発明は、チャンバー内の土砂の状態を観察することができるチャンバー内撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トンネル掘削機のカッターヘッドと隔壁の間のチャンバー内に挿入されるチャンバー内撮影装置であって、前記隔壁から前記チャンバー内へ突出する挿入管と、前記挿入管の先端に設けられたカメラと、前記カメラを覆うように前記挿入管の先端に取り付けられた透明なカバーと、を備える、チャンバー内撮影装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チャンバー内の土砂の状態を観察することができるチャンバー内撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るチャンバー内撮影装置が装備されたトンネル掘削機の断面図である。
図2図1の要部の拡大図である。
図3】前記チャンバー内撮影装置を前記トンネル掘削機へ装備する直前の状態を示す、前記チャンバー内撮影装置および前記トンネル掘削機の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明の一実施形態に係るチャンバー内撮影装置4が装備されたトンネル掘削機1を示す。トンネル掘削機1は、例えば内部でセグメントを組み立てるシールド掘進機である。なお、図1では、トンネル掘削機1が土圧式であるが、トンネル掘削機1は泥水式であってもよい。
【0012】
トンネル掘削機1は、地山を掘削するカッターヘッド2と、カッターヘッド2を回転可能に支持する掘削機本体3を含む。掘削機本体3は、筒状の胴体31と、胴体31の前側開口を閉塞する隔壁32を含む。隔壁32とカッターヘッド2との間にはチャンバー10が形成されている。
【0013】
本実施形態では、掘削機本体3が、カッターヘッド2を、旋回ベアリング23、カッタードラム22および複数の支柱21を介して回転可能に支持する。また、掘削機本体3は、カッターヘッド2を回転させる旋回モータ24を含む。
【0014】
カッタードラム22は環状であり、このカッタードラム22が複数の支柱21によってカッターヘッド2と連結されている。本実施形態では、カッタードラム22が隔壁32をリング状の外側隔壁33と円盤状の内側隔壁34とに分断するように設けられている。
【0015】
本実施形態では、外側隔壁33にバルブ36付のガイド管35が設けられており、このガイド管35を利用してチャンバー内撮影装置4がチャンバー10内に挿入される。つまり、チャンバー内撮影装置4は外側隔壁33の前方でチャンバー10内を撮影する。ただし、ガイド管35が内側隔壁34に設けられ、チャンバー内撮影装置4が内側隔壁34の前方でチャンバー10内を撮影してもよい。
【0016】
図2に示すように、チャンバー内撮影装置4は、外側隔壁33からチャンバー10内へ突出する挿入管5と、挿入管5の先端にプラグ6を介して設けられたカメラ7と、カメラ7を覆うように挿入管5の先端に取り付けられた透明なカバー8を含む。また、図示は省略するが、カバー8内には照明も設けられる。あるいは、カメラ7として照明一体型のカメラを用いてもよい。
【0017】
挿入管5は例えば鋼材からなり、カバー8は例えばガラスまたは樹脂(例えば、アクリル樹脂などの汎用熱可塑性プラスチック、またはポリカーボネートなどの汎用エンジニアリングプラスチック)からなる。カメラ7は、例えば、広角カメラや360°カメラである。本実施形態では、カバー8が、カメラ7の周囲に位置する筒状部81と、カメラ7を挟んで挿入管5と反対側に位置するドーム部82を有する。筒状部81は挿入管5と同軸上に配置され、ドーム部82の形状は例えば半球状である。
【0018】
次に、チャンバー10が土砂で満たされている状態でのチャンバー内撮影装置4の使用方法を説明する。図3に示すように、チャンバー内撮影装置4をトンネル掘削機1に装備する前は、ガイド管35に設けられたバルブ36が閉じられている。また、ガイド管35の末端には、バルブ36を開いたときのチャンバー内撮影装置4とガイド管35の間からの液漏れを防止するために、リング37が設けられており、このリング37の内周面にO-リングなどのシール部材が保持されている。
【0019】
まず、ガイド管35の末端にチャンバー内撮影装置4を挿入する。その状態でバルブ36を開いてチャンバー内撮影装置4をガイド管35を通じてチャンバー10内へ押し込む。このときの押し込みにはジャッキなどが用いられる。これにより、図2に示すようにチャンバー内撮影装置4がチャンバー10内に挿入される。
【0020】
カメラ7は、チャンバー内撮影装置4がチャンバー10内に挿入された後にチャンバー10内の土砂を撮影してもよいが、チャンバー内撮影装置4のチャンバー10内への挿入中にカバー8に沿って流動する土砂を撮影することが望ましい。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のチャンバー内撮影装置4では、挿入管5の先端にカメラ7が設けられ、そのカメラ7が透明なカバー8で覆われているので、チャンバー内撮影装置4をチャンバー10内に挿入するだけでチャンバー10内の土砂の状態を観察することができる。これにより、掘削状況を正確に把握することができ、掘削トラブルの予防や掘削進捗の向上に寄与し得る。
【0022】
しかも、本実施形態では、カバー8が筒状部81とドーム部82を有するため、チャンバー内撮影装置4を土砂中に滑らかに挿入することができる。
【0023】
さらに、上述したように、カメラ7がチャンバー内撮影装置4のチャンバー10内への挿入中にカバー8に沿って流動する土砂を撮影すれば、土砂の流動映像から、土砂の性状を把握することができる。土砂の性状としては、例えば、チャンバー10内で土砂とシェービングクリーム状の気泡が混合されるときに、その気泡混合土砂中の気泡の割合などである。
【0024】
<変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0025】
例えば、チャンバー内撮影装置4は、チャンバー10内に土砂がなく、チャンバー10内が圧気状態またはフリーエア状態の場合にも使用可能である。この場合、チャンバー内撮影装置4でカッターヘッド2を撮影して点検することができる。
【0026】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、トンネル掘削機のカッターヘッドと隔壁の間のチャンバー内に挿入されるチャンバー内撮影装置であって、前記隔壁から前記チャンバー内へ突出する挿入管と、前記挿入管の先端に設けられたカメラと、前記カメラを覆うように前記挿入管の先端に取り付けられた透明なカバーと、を備える、チャンバー内撮影装置を提供する。
【0027】
上記の構成によれば、挿入管の先端にカメラが設けられ、そのカメラが透明なカバーで覆われているので、チャンバー内撮影装置をチャンバー内に挿入するだけでチャンバー内の土砂の状態を観察することができる。
【0028】
第2の態様として、第1の態様において、前記カバーは、前記カメラの周囲に位置する筒状部と、前記カメラを挟んで前記挿入管と反対側に位置するドーム部を有してもよい。この構成によれば、チャンバー内撮影装置を土砂中に滑らかに挿入することができる。
【0029】
第3の態様として、第1または第2の態様において、前記カメラは、前記チャンバー内撮影装置の前記チャンバー内への挿入中に前記カバーに沿って流動する土砂を撮影してもよい。この構成によれば、土砂の流動映像から、土砂の性状を把握することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 トンネル掘削機
10 チャンバー
2 カッターヘッド
32 隔壁
4 チャンバー内撮影装置
5 挿入管
7 カメラ
8 カバー
図1
図2
図3