(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145443
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】剃刀
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20241004BHJP
B26B 21/52 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B26B21/14 B
B26B21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057793
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】土屋 俊晃
(57)【要約】
【課題】シェービング中の意図せずにヘッドが外れてしまうという事態を可及的に回避すること。
【解決手段】本開示に係る剃刀1は、平板形状のホルダ10と、剃刀刃21を有し、ホルダ10の前側の側面10Fに係止されているヘッド20と、操作部30と、を備え、ホルダ10の前側の側面10Fに、ヘッド20を着脱可能に連結する連結孔11が設けられており、ホルダ10の後側の側面10Bに貫通孔13が形成されており、操作部30は、貫通孔13に挿入されるボタン部31と、ホルダ10の内部においてボタン部31に接続されており、ボタン部31が押下されると連結孔11に連結されているヘッド20を押し出す押出機構32と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状のホルダと、
剃刀刃を有し、前記ホルダの前側の側面に係止されているヘッドと、
操作部と、を備え、
前記ホルダの前側の側面に、前記ヘッドを着脱可能に連結する連結孔が設けられており、
前記ホルダの後側の側面に貫通孔が形成されており、
前記操作部は、
前記貫通孔に挿入されるボタン部と、
前記ホルダの内部において前記ボタン部に接続されており、前記ボタン部が押下されると前記連結孔に連結されている前記ヘッドを押し出す押出機構と、を有する、剃刀。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記ホルダの縦方向において前記連結孔から最も離れた位置に形成されている、請求項1に記載の剃刀。
【請求項3】
前記ボタン部は、前記ホルダの後側の側面から突出していない、請求項1に記載の剃刀。
【請求項4】
前記押出機構は、
前記ボタン部に接続されている部材と、
前記部材の内部に配置されているバネと、を有し、
前記ボタン部に対する押下が解除されると、前記操作部は、前記バネの弾性力により元の位置に戻る、請求項1に記載の剃刀。
【請求項5】
前記ホルダにおいて、縦方向の長さと横方向の長さとの比は、1:1.2~1:2.8の範囲内にあり、厚みと前記縦方向の長さとの比は、1:1.0~1:8.0の範囲内にある、請求項1に記載の剃刀。
【請求項6】
前記ホルダの後側から見ると、前記ボタン部の厚み方向の長さと横方向の長さとの比は、1:1.2~1:2.5の範囲内にある、請求項1に記載の剃刀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、剃刀に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、替刃(ヘッド)を脱着するためのボタンが刃体付近に配置されている剃刀が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6250367号
【特許文献2】特開2022-156973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の剃刀では、使用者が押しやすいようにホルダの面からボタンが飛び出している。したがって、従来の剃刀では、シェービング中に、使用者が誤ってボタンに触れてしまい、意図せずヘッドが外れてしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
そこで、本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、シェービング中の意図せずにヘッドが外れてしまうという事態を可及的に回避することができる剃刀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の特徴は、剃刀であって、平板形状のホルダと、剃刀刃を有し、前記ホルダの前側の側面に係止されているヘッドと、操作部と、を備え、前記ホルダの前側の側面に、前記ヘッドを着脱可能に連結する連結孔が設けられており、前記ホルダの後側の側面に貫通孔が形成されており、前記操作部は、前記貫通孔に挿入されるボタン部と、前記ホルダの内部において前記ボタン部に接続されており、前記ボタン部が押下されると前記連結孔に連結されている前記ヘッドを押し出す押出機構と、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シェービング中の意図せずにヘッドが外れてしまうという事態を可及的に回避することができる剃刀を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る剃刀1の全体構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る剃刀1の内部の構成の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す剃刀1を右側Rから見た図の一例である。
【
図4】
図4は、
図1に示す剃刀1の下側Dから見た図の一例である。
【
図5】
図5は、
図1に示す剃刀1の後側Bから見た図の一例である。
【
図6】
図6は、「横持ち」を説明するための図である。
【
図7】
図7は、「つまみ持ち」を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る剃刀1の全体構成の一例を示す斜視図であり、
図2は、一実施形態に係る剃刀1の内部の構成の一例を説明するための図であり、
図3は、
図2に示す剃刀1を右側Rから見た図の一例であり、
図4は、
図1に示す剃刀1の下側Dから見た図の一例であり、
図5は、
図1に示す剃刀1の後側Bから見た図の一例であり、
図6は、「横持ち」を説明するための図であり、
図7は、「つまみ持ち」を説明するための図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る剃刀1は、縦方向(前後方向)Vと、横方向Wと、厚み方向Hとを有する。また、本実施形態に係る剃刀1は、縦方向Vに沿って前側F及び後側Bを有しており、横方向Wに沿って左側L及び右側Rを有しており、厚み方向Hに沿って上側U及び下側Dを有している。
【0012】
本実施形態では、ヘッド20が係止される側を前側Fとするケースを例にして説明するが、本発明は、ヘッド20が係止される側を後側Bとするケースにも適用可能である。同様に、本実施形態では、
図1に示すように、上側U及び下側Dを定義して説明するが、本発明は、上側U及び下側Dの定義が
図1と反対のケースにも適用可能である。
【0013】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る剃刀1は、ホルダ10と、ヘッド20と、操作部30とを有している。
【0014】
図1に示すように、ホルダ10は、平面形状を有している。ホルダ10は、ABS樹脂やエラストマー樹脂等によって構成されていてもよい。
【0015】
図1及び
図2に示すように、ヘッド20は、ホルダ10の前側Fの側面10Fに係止されており、剃刀刃21を有している。例えば、ヘッド20は、複数枚の剃刀刃21を有していてもよい。また、かかる剃刀1が、ヘッド20を変えるタイプの剃刀である場合、ヘッド20は、替刃と呼ばれてもよい。
【0016】
図4及び
図5に示すように、ホルダ10において、縦方向Vの長さV1と横方向Wの長さW1との比は、1:1.2~1:2.8の範囲内にあり、厚みH2と縦方向Vの長さV1との比は、1:1.0~1:8.0の範囲内にあるように構成されていてもよい。なお、厚みH2と縦方向Vの長さV1との比は、1:1.5~1:8.0の範囲内にあるように構成されていることがより好ましい。
【0017】
本発明者にて各種サイズのホルダ10を試作して使用テストを行った結果、これらの比に設定することでホルダ10が持ちやすく、剃刀1の使用に適していることが確認され、逆にこれらの比から外れる場合は「横持ち」がしにくくなる等の不具合を感じることが確認された。
【0018】
すなわち、ホルダ10において、横方向Wの長さW1は、縦方向Vの長さV1よりも長い。また、ホルダ10において、縦方向Vの長さV1は、厚みH2以上である。
【0019】
例えば、ホルダ10における縦方向Vの長さV1は、24~80mmであってもよい。また、ホルダ10における横方向Wの長さW1は、30~160mmであってもよい。また、ホルダ10における厚み方向Hの長さ(高さ)H1は、10~60mmであってもよい。
【0020】
かかる構成によれば、ホルダ10が、横長形状であり且つ平板形状であるため、使用者が、ホルダ10に対して容易に「横持ち」及び「つかみ持ち」を行うことができる。
【0021】
ここで、「横持ち」は、例えば、
図6に示すように、使用者が左手でホルダ10を持つ場合、親指をホルダ10の上側Uの面に置き、人差し指をホルダ10の後側Bの側面10Bに置き、中指をホルダ10の下側Dの面に置くことで、ホルダ10を保持する持ち方である。ここで、使用者は、更に、薬指や小指をホルダ10の下側Dの面においてもよい。なお、使用者が「横持ち」を行う場合、人差し指の手のひら側の全体をホルダ10の後側Bの側面10Bに沿わせることもでき、使用時の安定感を高めることができる。
【0022】
一方、「つまみ持ち」は、例えば、
図7に示すように、使用者が左手でホルダ10を持つ場合、人差し指と中指と薬指とをホルダ10の上側Uの面に置き、親指をホルダ10の下側Dの面に置くことで、ホルダ10を保持する持ち方である。
【0023】
また、ホルダ10における厚みH2は、10~40mmであってもよい。なお、ホルダ10における厚みH2が10mm未満である場合、使用時の感触が悪くなり、使用時の安定感が不足するという不具合がある。また、ホルダ10における厚みH2が40mmを超えると、
図6に示すような「横持ち」を行いにくくなってしまうという不具合がある。
【0024】
図5に示すように、ホルダ10は、厚み方向Hの上側Uに凸となる湾曲形状を有していてもよい。すなわち、
図5に示すように、ホルダ10は、下側Dの面全体が窪んでいる形状を有していてもよい。かかる形状によれば、かかる形状を有していないホルダと比べて、使用者が持ちやすい(指当たりが良い)という利点がある。
【0025】
かかる構成によれば、ホルダ10の上側Uの面が凸状に湾曲しているため、「つまみ持ち」において人差し指や中指や薬指等を当てやすくなるという効果を奏することができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ホルダ10の前側Fの側面10Fに、ヘッド20を着脱可能に連結する連結孔11が設けられている。例えば、ホルダ10の前側Fの側面10Fの横方向Wの中央部分に、連結孔11が設けられていてもよい。
【0027】
また、
図2及び
図3に示すように、ホルダ10の後側Bの側面10Bに貫通孔13が形成されている。例えば、ホルダ10の後側Bの側面10Bの横方向Wの中央部分に、貫通孔13が形成されていてもよい。
【0028】
図2及び
図3に示すように、操作部30は、ボタン部31と、押出機構32とを有している。
【0029】
ここで、
図2及び
図3に示すように、ボタン部31は、貫通孔13に挿入される。また、
図2及び
図3に示すように、押出機構32は、ホルダ10の内部においてボタン部31に接続されている。
【0030】
なお、
図3に示すように、押出機構32は、使用者によってボタン部31が押下されると(
図3に示すP参照)、連結孔11に連結されているヘッド20を押し出すように構成されている。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、ヘッド20の接続部20Aが連結孔11に挿入され係止された係止状態において、使用者が、ボタン部31を押圧すると、接続部20Aと連結孔11との係止が解除され、ヘッド20が連結孔11から離脱される。
【0032】
ここで、ホルダ10の後側Bの側面10Bにボタン部31が設けられているため、使用者が、「横持ち」及び「つまみ持ち」を行っている場合に、ボタン部31は、誤って使用者によって押圧されにくい。
【0033】
なお、
図2及び
図3に示すように、貫通孔13は、ホルダ10の縦方向Vにおいて連結孔11から最も離れた位置に形成されていてもよい。
【0034】
かかる構成によれば、縦方向Vに沿ってボタン部31と連結孔11とが最も離れた位置で対向しているため、シンプルな機構にて、使用者によるボタン部31の押圧Pを連結孔11に係止されているヘッド20の接続部20Aに伝達することができる。
【0035】
また、
図2~
図4に示すように、ボタン部31は、ホルダ10の後側Bの側面10Bから突出していないように構成されていてもよい。すなわち、ボタン部31の外表面及びホルダ10の後側Bの側面10Bの外表面が一致するように構成されていてもよい。
【0036】
なお、
図2~
図4では、ボタン部31が、ホルダ10の後側Bの側面10Bと異なる構成であることを示しているため、見方によっては、ボタン部31は、ホルダ10の後側Bの側面10Bから突出しているように見えるかもしれないが、
図2~
図4に示す構成では、ボタン部31は、ホルダ10の後側Bの側面10Bから突出していない。
【0037】
かかる構成によれば、使用者が、かかる剃刀1の使用時に誤ってボタン部31を押してしまいヘッド10が外れる可能性が低くなり、意図した時にだけヘッド20を外すことができる。
【0038】
ここで、
図2及び
図3に示すように、押出機構32は、ボタン部31に接続されている部材32Aと、部材32Aの内部に配置されているバネ32Bとを有していてもよい。かかる場合、ボタン部31に対する押下Pが解除されると、操作部30は、バネ32Bの弾性力により元の位置に戻るように構成されている。
【0039】
なお、
図5に示すように、ホルダ10の後側Bから見ると、ボタン部31の厚み方向Hの長さB1と横方向Wの長さB2との比は、1:1.2~1:2.5の範囲内にあるように構成されていてもよい。
【0040】
かかる構成によれば、使用者が、ボタン部31を押す際、使用者の指先の腹側がボタン部1にフィットしやすいという効果を奏する。
【0041】
本実施形態に係る剃刀1によれば、シェービング中の意図せずにヘッドが外れてしまうという事態を可及的に回避することができる。
【0042】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0043】
1…剃刀
10…ホルダ
10F…ホルダの前側の側面
10B…ホルダの後側の側面
11…連結孔
13…貫通孔
20…ヘッド
21…剃刀刃
30…操作部
31…ボタン部
32…押出機構
32A…部材
32B…バネ