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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145446
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】交通安全支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057796
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】味村 嘉崇
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA21
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF24
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】交通参加者の挙動が突然変化する場合に、交通参加者に対するリスク通知を速やかに行うことが可能な交通安全支援システムを提供する。
【解決手段】交通安全支援システムは、複数の交通参加者の将来の挙動を予測するサーバ装置と、サーバ装置の予測結果に基づいて、複数の交通参加者に対する通知を行う通知装置と、を備える。通知装置は、第2の交通参加者72と共に移動する携帯端末14を含む。携帯端末14は、サーバ装置から第1の交通参加者71の将来の軌道Xを受信し、第2の交通参加者72の速度ベクトルVを算出し、第1の交通参加者71の将来の軌道Xと第2の交通参加者72の速度ベクトルVとに基づいて、第1の交通参加者71と第2の交通参加者72との間にリスクが発生するか否かを判定し、リスクが発生すると判定した場合に、第2の交通参加者72に対して、リスクに関する通知であるリスク通知を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象交通エリアに存在する複数の交通参加者に関する情報を取得する取得装置と、
前記取得装置が取得した前記複数の交通参加者に関する情報に基づいて、前記複数の交通参加者の将来の挙動を予測するサーバ装置と、
前記サーバ装置の予測結果に基づいて、前記複数の交通参加者に対する通知を行う通知装置と、を備えた交通安全支援システムであって、
前記複数の交通参加者は、第1の交通参加者及び第2の交通参加者を含み、
前記サーバ装置は、前記第1の交通参加者の将来の軌道を推定し、
前記通知装置は、前記第2の交通参加者と共に移動する携帯端末を含み、
前記携帯端末は、
前記サーバ装置から前記第1の交通参加者の将来の軌道を受信し、
前記携帯端末に内蔵された端末センサの検出結果に基づいて、前記第2の交通参加者の速度ベクトルを算出し、
前記第1の交通参加者の将来の軌道と前記第2の交通参加者の速度ベクトルとに基づいて、前記第1の交通参加者と前記第2の交通参加者との間にリスクが発生するか否かを判定し、
前記リスクが発生すると判定した場合に、前記第2の交通参加者に対して、前記リスクに関する通知であるリスク通知を行う交通安全支援システム。
【請求項2】
前記端末センサは、前記第2の交通参加者の加速度を検出する加速度センサと、前記第2の交通参加者の角速度を検出するジャイロセンサと、を含み、
前記携帯端末は、前記加速度センサが検出した加速度及び前記ジャイロセンサが検出した角速度に基づいて、前記第2の交通参加者の速度ベクトルを算出する請求項1に記載の交通安全支援システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記対象交通エリア内の複数の特徴点を示す複数のノードに関する情報と、前記複数のノードを結ぶ複数のリンクに関する情報と、を含む地図情報を記憶し、
前記複数のリンクに沿った前記第1の交通参加者の将来の軌道を推定する請求項1又は2に記載の交通安全支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記第2の交通参加者の速度ベクトルが前記第1の交通参加者の将来の軌道と重なる場合に、前記リスクが発生すると判定する請求項1又は2に記載の交通安全支援システム。
【請求項5】
前記リスク通知は、前記第1の交通参加者の位置を示す画像と、前記第2の交通参加者の位置を示す画像と、を含む請求項1又は2に記載の交通安全支援システム。
【請求項6】
前記交通参加者は、前記第2の交通参加者と同一の道路領域に存在する第3の交通参加者を更に含み、
前記リスク通知は、前記第3の交通参加者の位置を示す画像を更に含む請求項5に記載の交通安全支援システム。
【請求項7】
前記リスク通知は、前記第2の交通参加者の速度ベクトルの方向を示す画像を更に含む請求項5に記載の交通安全支援システム。
【請求項8】
前記リスク通知は、前記リスクが発生する地点を示す画像を更に含む請求項5に記載の交通安全支援システム。
【請求項9】
前記第1の交通参加者は、自動車であり、
前記第2の交通参加者は、歩行者又は自転車であり、
前記携帯端末は、
前記サーバ装置から前記自動車の将来の軌道を受信し、
前記携帯端末に内蔵された端末センサの検出結果に基づいて、前記歩行者又は前記自転車の速度ベクトルを算出し、
前記自動車の将来の軌道と前記歩行者又は前記自転車の速度ベクトルとに基づいて、前記自動車と前記歩行者又は前記自転車との間に前記リスクが発生するか否かを判定し、
前記リスクが発生すると判定した場合に、前記歩行者又は前記自転車の運転者に対して、前記リスク通知を行う請求項1又は2に記載の交通安全支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通安全支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中の脆弱な立場にある人々に配慮し、このような人々に持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。その実現に向けて、予防安全技術に関する開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の交通参加者(車両)の間のリスクを判定し、その判定結果に基づいて交通参加者に対してリスクに関する通知(以下、「リスク通知」と称する)を行うサーバ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-71328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、サーバ装置は、交通参加者のセンサ等が検出した交通参加者の挙動に関する情報に基づいて、複数の交通参加者の間のリスクを判定している。その関係で、交通参加者に対してリスク通知を行うためには、交通参加者からサーバ装置へと交通参加者の挙動に関する情報を送信し、交通参加者から送信された情報に基づいてサーバ装置がリスクの判定を行い、サーバ装置から交通参加者へとリスクに関する情報を送信する必要がある。つまり、交通参加者に対してリスク通知を行うためには、サーバ装置と交通参加者との間で複数回にわたって情報の送受信を行う必要がある。そのため、交通参加者の挙動が突然変化する場合(例えば、自転車や歩行者が突然進行方向を変更する場合)に、交通参加者に対するリスク通知に遅延が生じてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、交通参加者の挙動が突然変化する場合に、交通参加者に対するリスク通知を速やかに行うことが可能な交通安全支援システムを提供することを課題とする。延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、対象交通エリア(A)に存在する複数の交通参加者(2~5)に関する情報を取得する取得装置(12~15)と、前記取得装置が取得した前記複数の交通参加者に関する情報に基づいて、前記複数の交通参加者の将来の挙動を予測するサーバ装置(18)と、前記サーバ装置の予測結果に基づいて、前記複数の交通参加者に対する通知を行う通知装置(12~15)と、を備えた交通安全支援システム(1)であって、前記複数の交通参加者は、第1の交通参加者(71)及び第2の交通参加者(72)を含み、前記サーバ装置は、前記第1の交通参加者の将来の軌道(X)を推定し、前記通知装置は、前記第2の交通参加者と共に移動する携帯端末(14)を含み、前記携帯端末は、前記サーバ装置から前記第1の交通参加者の将来の軌道を受信し、前記携帯端末に内蔵された端末センサの検出結果に基づいて、前記第2の交通参加者の速度ベクトル(V)を算出し、前記第1の交通参加者の将来の軌道と前記第2の交通参加者の速度ベクトルとに基づいて、前記第1の交通参加者と前記第2の交通参加者との間にリスクが発生するか否かを判定し、前記リスクが発生すると判定した場合に、前記第2の交通参加者に対して、前記リスクに関する通知であるリスク通知を行う。
【0008】
この態様によれば、携帯端末は、サーバ装置から予め受信しておいた第1の交通参加者の将来の軌道と、自ら算出した第2の交通参加者の速度ベクトルとに基づいて、第1の交通参加者と第2の交通参加者との間にリスクが発生するか否かを判定することができる。これにより、第2の交通参加者の挙動が突然変化する場合(例えば、自転車や歩行者が突然進路を変更する場合)に、第2の交通参加者に対するリスク通知を速やかに行うことができる。延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0009】
上記の態様において、前記端末センサは、前記第2の交通参加者の加速度を検出する加速度センサ(41A)と、前記第2の交通参加者の角速度を検出するジャイロセンサ(41B)と、を含み、前記携帯端末は、前記加速度センサが検出した加速度及び前記ジャイロセンサが検出した角速度に基づいて、前記第2の交通参加者の速度ベクトルを算出しても良い。
【0010】
この態様によれば、第2の交通参加者と共に移動する携帯端末が加速度センサとジャイロセンサとを用いて第2の交通参加者の速度ベクトルを算出することになる。そのため、サーバ装置がGNSS信号を用いて第2の交通参加者の速度ベクトルを算出するような場合と比較して、第2の交通参加者の速度ベクトルを精度良く算出することができる。
【0011】
上記の態様において、前記サーバ装置は、前記対象交通エリア内の複数の特徴点を示す複数のノード(N)に関する情報と、前記複数のノードを結ぶ複数のリンク(L)に関する情報と、を含む地図情報を記憶し、前記複数のリンクに沿った前記第1の交通参加者の将来の軌道を推定しても良い。
【0012】
この態様によれば、第1の交通参加者の将来の軌道を正確に推定することができる。そのため、実際の空間上ではリスクが発生しえない状況においてリスク通知が行なわれるのを抑制し、リスク通知に対する信頼性を高めることができる。
【0013】
上記の態様において、前記携帯端末は、前記第2の交通参加者の速度ベクトルが前記第1の交通参加者の将来の軌道と重なる場合に、前記リスクが発生すると判定しても良い。
【0014】
この態様によれば、第1の交通参加者と第2の交通参加者との間にリスクが発生するか否かを精度良く判定することができる。
【0015】
上記の態様において、前記リスク通知は、前記第1の交通参加者の位置を示す画像(81)と、前記第2の交通参加者の位置を示す画像(82)と、を含んでいても良い。
【0016】
この態様によれば、リスク通知によって第1の交通参加者と第2の交通参加者の位置関係を確認することができる。そのため、リスク通知の有用性を高めることができる。
【0017】
上記の態様において、前記交通参加者は、前記第2の交通参加者と同一の道路領域に存在する第3の交通参加者(73)を更に含み、前記リスク通知は、前記第3の交通参加者の位置を示す画像(83)を更に含んでいても良い。
【0018】
この態様によれば、リスク通知によって第2の交通参加者と第3の交通参加者の位置関係を確認することができる。そのため、リスク通知の有用性を更に高めることができる。
【0019】
上記の態様において、前記リスク通知は、前記第2の交通参加者の速度ベクトルの方向を示す画像(84)を更に含んでいても良い。
【0020】
この態様によれば、リスク通知によって第2の交通参加者の移動方向を確認することができる。そのため、リスク通知の有用性を更に高めることができる。
【0021】
上記の態様において、前記リスク通知は、前記リスクが発生する地点を示す画像(85)を更に含んでいても良い。
【0022】
この態様によれば、リスク通知によってリスクが発生する地点を確認することができる。そのため、リスク通知の有用性を更に高めることができる。
【0023】
上記の態様において、前記第1の交通参加者は、自動車であり、前記第2の交通参加者は、歩行者又は自転車であり、前記携帯端末は、前記サーバ装置から前記自動車の将来の軌道を受信し、前記携帯端末に内蔵された端末センサの検出結果に基づいて、前記歩行者又は前記自転車の速度ベクトルを算出し、前記自動車の将来の軌道と前記歩行者又は前記自転車の速度ベクトルとに基づいて、前記自動車と前記歩行者又は前記自転車との間にリスクが発生するか否かを判定し、前記リスクが発生すると判定した場合に、前記歩行者又は前記自転車の運転者に対して、前記リスク通知を行っても良い。
【0024】
自動車は、歩行者や自転車と比べて、急激な方向転換を行いにくい。そのため、自動車の将来の軌道には、急激な変化が起こりにくい。逆に、歩行者や自転車は、自動車と比べて、急激な方向転換を行いやすい。そのため、歩行者や自転車の速度ベクトルには、急激な変化が起こりやすい。上記の態様によれば、携帯端末は、急激な変化が起こりにくい自動車の将来の軌道をサーバ装置から予め取得しておき、急激な変化が起こりやすい歩行者や自転車の速度ベクトルを自ら算出することができる。これにより、自動車と歩行者又は自転車との間にリスクが発生するか否かを正確かつ迅速に判定することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の態様によれば、交通参加者の挙動が突然変化する場合に、交通参加者に対するリスク通知を速やかに行うことが可能な交通安全支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る対象交通エリアを示す模式的な平面図
図2】本発明の一実施形態に係る交通安全支援システムを示す機能構成図
図3】本発明の一実施形態に係る対象交通エリアの要部を示す平面図
図4】本発明の一実施形態に係るリスク通知制御を示すフローチャート
図5】本発明の一実施形態に係るリスク判定を説明するための平面図
図6】本発明の一実施形態に係るリスク通知画面を示す説明図
図7】本発明の一実施形態に係る自動車の将来の軌道を推定する方法を説明するための平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る交通安全支援システム1について説明する。
【0028】
<交通安全支援システム1>
図1は、本発明の一実施形態に係る交通安全支援システム1の適用対象となる交通エリア(以下、「対象交通エリアA」と称する)の一例を示す模式的な平面図である。対象交通エリアAには、複数の交通参加者として、複数の自動車2(例えば、四輪自動車)と、複数の自動二輪車3と、複数の自転車4と、複数の歩行者5と、が存在している。対象交通エリアAには、複数のインフラ設備として、複数の車道6、複数の歩道7、複数の横断歩道8、複数の信号機9等が存在している。なお、複数の歩道7、複数の横断歩道8、及び複数の信号機9は、図1を除いて表示が省略されている。
【0029】
図2を参照して、交通安全支援システム1は、複数の自動車装置群12(取得装置及び通知装置の一例)と、複数の二輪車装置群13(取得装置及び通知装置の一例)と、複数の自転車端末14(取得装置及び通知装置の一例)と、複数の歩行者端末15(取得装置及び通知装置の一例)と、複数のインフラカメラ16と、信号制御装置17と、サーバ装置18と、を含む。なお、図2において、複数の自動車装置群12、複数の二輪車装置群13、複数の自転車端末14、複数の歩行者端末15、及び複数のインフラカメラ16は、それぞれ1個だけ表示されている。以下、交通安全支援システム1の構成要素について順番に説明する。
【0030】
<自動車装置群12>
各自動車装置群12は、対応する自動車2に設けられ、対応する自動車2と共に移動する。各自動車装置群12は、車載アクチュエータ21と、車載センサ22と、車載ナビゲーション装置23(車載NAVI)と、車載HMI24と、車載制御装置25と、車載通信装置26と、車載端末27と、を有する。各自動車装置群12のうちの車載端末27以外の構成要素は、対応する自動車2の一部を構成している。
【0031】
車載アクチュエータ21は、自動車2に駆動力を付与する駆動装置と、自動車2に制動力を付与するブレーキ装置と、自動車2の車輪を転舵するステアリング装置と、を含む。駆動装置は、内燃機関及び/又は電動モータによって構成されている。
【0032】
車載センサ22は、自動車2に関連する各種の状態を検出する。車載センサ22は、自動車2の外界の状態を検出する外界センサと、自動車2の状態を検出する車両センサと、自動車2の運転者の状態を検出する運転者センサと、を含む。外界センサは、自動車2の周囲に存在する物標(区画線、障害物、他車両等)の画像を撮影する外界カメラと、ミリ波等の電波を用いて自動車2の周囲に存在する物標の位置を検出するレーダと、赤外線等の光を用いて自動車2の周囲に存在する物標の位置を検出するライダ(LiDAR)と、を含む。車両センサは、自動車2の車速を検出する車速センサを含む。運転者センサは、運転者の画像を撮影する運転者カメラと、運転者の生体情報(脈拍、呼吸、皮膚電位等)を検出する生体センサと、を含む。
【0033】
車載ナビゲーション装置23は、自動車2の目的地への経路案内等を行う装置である。車載ナビゲーション装置23は、地図情報を記憶している。車載ナビゲーション装置23は、人工衛星から受信したGNSS信号に基づいて、自動車2の現在位置を特定する。
【0034】
車載HMI24は、自動車2の運転者に対する通知を行う。例えば、車載HMI24は、タッチパネルと、音声出力装置と、を含む。タッチパネルは、運転者に対して各種画面を表示する。音声出力装置は、運転者に対して音声ガイダンスや警告音等を出力する。
【0035】
車載制御装置25は、各種処理を実行するように構成された一又は複数のコンピュータからなる電子制御装置(ECU)である。車載制御装置25は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)と、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)と、を含む。車載制御装置25は、自動車2の各構成要素に接続されており、自動車2の各構成要素を制御する。車載制御装置25は、車載アクチュエータ21を制御することで、自動車2の走行を制御する。車載制御装置25は、車載センサ22の外界センサの検出結果に基づいて、自動車2の周囲に存在する物標を認識する。
【0036】
車載通信装置26は、無線通信ネットワークを介してサーバ装置18に接続されている。車載通信装置26は、車載センサ22が検出した自動車2に関連する各種の状態と、車載ナビゲーション装置23が特定した自動車2の現在位置と、をサーバ装置18に送信する。車載通信装置26は、交通安全支援情報(詳細は後述)をサーバ装置18から受信する。
【0037】
車載端末27は、自動車2の運転者に携帯される携帯端末である。車載端末27は、各種処理を実行するように構成された一又は複数のコンピュータからなる電子制御装置(ECU)である。車載端末27は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)と、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)と、を含む。例えば、車載端末27は、ウェアラブルデバイスやスマートフォンによって構成されている。車載端末27は、無線通信ネットワークを介してサーバ装置18に接続されている。
【0038】
<二輪車装置群13>
各二輪車装置群13は、対応する自動二輪車3に設けられ、対応する自動二輪車3と共に移動する。図2を参照して、各二輪車装置群13は、車載アクチュエータ31と、車載センサ32と、車載ナビゲーション装置33(車載NAVI)と、車載HMI34と、車載制御装置35と、車載通信装置36と、車載端末37と、を有する。各二輪車装置群13のうちの車載端末37以外の構成要素は、対応する自動二輪車3の一部を構成している。各二輪車装置群13の構成要素は、各自動車装置群12の構成要素と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
<自転車端末14>
各自転車端末14は、対応する自転車4の運転者に携帯される携帯端末であり、対応する自転車4と共に移動する。例えば、各自転車端末14は、ウェアラブルデバイスやスマートフォンによって構成されている。
【0040】
各自転車端末14は、端末センサ41と、端末ナビゲーション装置42(端末NAVI)と、端末HMI43と、端末制御装置44と、端末通信装置45と、を有する。
【0041】
端末センサ41は、各自転車端末14に内蔵され、自転車4の状態を検出する。端末センサ41は、自転車4の加速度を検出する加速度センサ41Aと、自転車4の角速度を検出するジャイロセンサ41Bと、を含む。
【0042】
端末ナビゲーション装置42は、地図情報を記憶している。端末ナビゲーション装置42は、人工衛星から受信したGNSS信号に基づいて、自転車4の現在位置を特定する。
【0043】
端末HMI43は、自転車4の運転者に対する通知を行う。例えば、端末HMI43は、タッチパネルと、音声出力装置と、を含む。タッチパネルは、運転者に対して各種画面を表示する。音声出力装置は、運転者に対して音声ガイダンスや警告音等を出力する。
【0044】
端末制御装置44は、各種処理を実行するように構成された一又は複数のコンピュータからなる電子制御装置(ECU)である。端末制御装置44は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)と、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)と、を含む。
【0045】
端末通信装置45は、無線通信ネットワークを介してサーバ装置18に接続されている。端末通信装置45は、端末センサ41が検出した自転車4の状態と、端末ナビゲーション装置42が特定した自転車4の現在位置と、をサーバ装置18に送信する。端末通信装置45は、交通安全支援情報(詳細は後述)をサーバ装置18から受信する。
【0046】
<歩行者端末15>
各歩行者端末15は、対応する歩行者5に携帯される携帯端末であり、対応する歩行者5と共に移動する。例えば、各歩行者端末15は、ウェアラブルデバイスやスマートフォンによって構成されている。
【0047】
各歩行者端末15は、端末センサ51と、端末ナビゲーション装置52(端末NAVI)と、端末HMI53と、端末制御装置54と、端末通信装置55と、を有する。端末センサ51は、歩行者5の加速度を検出する加速度センサ51Aと、歩行者5の角速度を検出するジャイロセンサ51Bと、を含む。各歩行者端末15の構成要素は、各自転車端末14の構成要素と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
<インフラカメラ16>
各インフラカメラ16は、対象交通エリアAに設置されている。各インフラカメラ16は、対象交通エリアA内の複数の交通参加者及び複数のインフラ設備の画像を撮影する。各インフラカメラ16は、無線通信ネットワークを介してサーバ装置18に接続されている。各インフラカメラ16は、撮影した交通参加者及びインフラ設備の画像をサーバ装置18に送信する。
【0049】
<信号制御装置17>
信号制御装置17は、対象交通エリアA内に設置された各信号機9を制御する。信号制御装置17は、対象交通エリアAに設置された各信号機9に関する情報を取得する。信号制御装置17は、無線通信ネットワークを介してサーバ装置18に接続されている。信号制御装置17は、取得した各信号機9に関する情報をサーバ装置18に送信する。
【0050】
<サーバ装置18>
サーバ装置18は、各種処理を実行するように構成された一又は複数のコンピュータからなる電子制御装置(ECU)である。サーバ装置18は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)と、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)と、を含む。サーバ装置18は、クラウド上に構築された仮想サーバによって構成されている。他の実施形態では、サーバ装置18は、交通安全支援システム1の運営会社等に設置される物理サーバによって構成されても良い。
【0051】
サーバ装置18は、データベース部61と、挙動予測部62と、リスク判定部63と、支援情報生成部64と、支援情報送信部65と、を有する。
【0052】
データベース部61は、対象交通エリアAの地図情報(以下、「エリア地図情報」と称する)を記憶している。エリア地図情報は、対象交通エリアA内の各車道6に関する情報(例えば、各車道6の幅や車線数に関する情報)、対象交通エリアA内の各歩道7に関する情報(例えば、各歩道7の幅に関する情報)、対象交通エリアA内の各横断歩道8に関する情報(例えば、各横断歩道8の位置に関する情報)等を含む。
【0053】
挙動予測部62は、各自動車装置群12の車載通信装置26、各二輪車装置群13の車載通信装置36、各自転車端末14の端末通信装置45、各歩行者端末15の端末通信装置55、各インフラカメラ16、及び信号制御装置17から送信される情報と、データベース部61に記憶されたエリア地図情報と、に基づいて、対象交通エリアAの状態(対象交通エリアAに存在する交通参加者の状態を含む)を認識する。挙動予測部62は、対象交通エリアAの状態に基づいて、複数の交通参加者の将来の挙動(例えば、将来の軌道)を予測する。より詳細には、挙動予測部62は、対象交通エリアAの状態に基づいて対象交通エリアAに対応する仮想空間を構築し、この仮想空間上においてシミュレーションを行うことで、複数の交通参加者の将来の挙動を予測する。
【0054】
リスク判定部63は、挙動予測部62が予測した複数の交通参加者の将来の挙動に基づいて、複数の交通参加者の間にリスク(例えば、接触の可能性)が発生するか否かを判定する。例えば、リスク判定部63は、一の交通参加者の将来の軌道が他の交通参加者の将来の軌道と重なる場合に、これらの交通参加者の間にリスクが発生すると判定する。
【0055】
支援情報生成部64は、リスク判定部63の判定結果に基づいて、交通安全支援情報(以下、「支援情報」と略称する)を生成する。支援情報は、リスクの当事者となりうる交通参加者(以下、「リスク当事者」と称する)にリスクの存在を通知するための情報である。支援情報は、リスク当事者に関する情報(例えば、リスク当事者の位置に関する情報)と、リスクの内容に関する情報(例えば、リスクが発生する位置に関する情報)と、を含む。
【0056】
支援情報送信部65は、支援情報生成部64が生成した支援情報を、リスク当事者に送信する。例えば、対象交通エリアA内の1台の自動車2がリスク当事者に含まれている場合、支援情報送信部65は、上記1台の自動車2に設けられた車載通信装置26に支援情報を送信する。これに応じて、上記1台の自動車2に設けられた車載HMI24が上記1台の自動車2の運転者に支援情報を通知する。
【0057】
<交通安全支援システム1の作用>
以上のように、各自動車装置群12(特に、車載センサ22及び車載ナビゲーション装置23)、各二輪車装置群13(特に、車載センサ32及び車載ナビゲーション装置33)、各自転車端末14(特に、端末センサ41及び端末ナビゲーション装置42)、及び、各歩行者端末15(特に、端末センサ51及び端末ナビゲーション装置52)は、対象交通エリアAに存在する複数の交通参加者に関する情報を取得する。サーバ装置18は、これらの装置が取得した複数の交通参加者に関する情報に基づいて、複数の交通参加者の将来の挙動を予測する。各自動車装置群12(特に、車載HMI24)、各二輪車装置群13(特に、車載HMI34)、各自転車端末14(特に、端末HMI43)、及び、各歩行者端末15(特に、端末HMI53)は、サーバ装置18の予測結果に基づいて、複数の交通参加者に対する通知を行う。これにより、交通安全支援システム1は、複数の交通参加者の安全な交通を支援する。
【0058】
なお、交通参加者が乗り物(例えば、自動車2、自動二輪車3、又は自転車4)である場合、交通参加者に対する通知とは、交通参加者の乗員(例えば、運転者)に対する通知を示す。これに対して、交通参加者が人間(例えば、歩行者5)である場合、交通参加者に対する通知とは、交通参加者自身に対する通知を示す。
【0059】
<交通参加者>
図3を参照して、対象交通エリアAに存在する複数の自動車2には、自動車71(第1の交通参加者の一例)が含まれている。自動車71は、車道6を走行している。
【0060】
対象交通エリアAに存在する複数の自転車4には、自転車72(第2の交通参加者の一例)が含まれている。自転車72は、歩道7を走行している。自転車72の運転者Dは、自転車端末14(携帯端末の一例)を携帯している。つまり、自転車端末14は、自転車72と共に移動する。
【0061】
対象交通エリアAに存在する複数の歩行者5には、歩行者73(第3の交通参加者の一例)が含まれている。歩行者73は、歩道7を歩いている。つまり、歩行者73は、自転車72と同一の道路領域に存在している。歩行者73は、歩行者端末15(携帯端末の一例)を携帯している。つまり、歩行者端末15は、歩行者73と共に移動する。
【0062】
<リスク通知制御>
次に、図4を参照しつつ、自転車端末14が実行するリスク通知制御について説明する。リスク通知制御は、自転車72の運転者Dに対して自動車71と自転車72との間のリスクを通知するための制御である。
【0063】
リスク通知制御が開始されると、自転車端末14は、サーバ装置18から所定時間Tにおける自動車71の将来の軌道X(以下、単に「自動車71の将来の軌道X」と称する。)を受信する(ステップST1)。なお、サーバ装置18が自動車71の将来の軌道Xを推定する方法については、後述する。
【0064】
次に、自転車端末14は、自転車72の現在位置Pを特定する(ステップST2)。例えば、自転車端末14は、加速度センサ41Aが検出した自転車72の加速度及びジャイロセンサ41Bが検出した自転車72の角速度に基づいて、自転車72の現在位置Pを特定する。なお、自転車端末14は、端末ナビゲーション装置42が人工衛星から受信したGNSS信号に基づいて、自転車72の現在位置Pを特定しても良い。
【0065】
次に、自転車端末14は、加速度センサ41Aが検出した自転車72の加速度及びジャイロセンサ41Bが検出した自転車72の角速度に基づいて、自転車72の速度ベクトルVを算出する(ステップST3)。自転車72の速度ベクトルVは、大きさ及び方向を有するベクトル量である。自転車72の速度ベクトルVの大きさは、単位時間(例えば、1秒間)当たりに自転車72が進む距離を示す。自転車72の速度ベクトルVの方向は、自転車72の進行方向を示す。
【0066】
次に、自転車端末14は、ステップST1で受信した自動車71の将来の軌道Xと、ステップST2で特定した自転車72の現在位置Pと、ステップST3で算出した自転車72の速度ベクトルVと、に基づいて、自動車71と自転車72との間にリスク(例えば、接触の可能性)が発生するか否かを判定する(ステップST4)。以下、このステップST4の判定のことを「リスク判定」と称する。リスク判定の詳細は、後述する。
【0067】
自動車71と自転車72との間にリスクが発生すると判定した場合(ステップST4:Yes)、自転車端末14は、自転車72の運転者Dに対して、自動車71と自転車72との間のリスクに関する通知(以下、「リスク通知」と称する)を行う(ステップST5)。リスク通知の詳細は、後述する。
【0068】
自動車71と自転車72との間にリスクが発生しないと判定した場合(ステップST4:No)、自転車端末14は、リスク通知制御の開始時(ステップST1の実行時)から所定時間Tが経過したか否かを判定する(ステップST6)。
【0069】
リスク通知制御の開始時から所定時間Tが経過したと判定した場合(ステップST6:Yes)、自転車端末14は、リスク通知制御を一旦終了し、リスク通知制御をステップST1から再び実行する。
【0070】
リスク通知制御の開始時から所定時間Tが経過していないと判定した場合(ステップST6:No)、自転車端末14は、ステップST2に戻って、ステップST2~ST4の処理を再び実行する。なお、このようにステップST2~ST4の処理が繰り返される場合、ステップST2~ST4の処理が実行される周期(例えば、1秒間)は、所定時間T(例えば、10秒間)よりも十分に短い。言い換えると、自転車端末14がリスク判定を実行する周期は、自転車端末14がサーバ装置18から自動車71の将来の軌道Xを取得する周期よりも、十分に短い。
【0071】
<リスク判定>
次に、図5を参照しつつ、上述のリスク判定(ステップST4)について説明する。
【0072】
自転車端末14は、端末ナビゲーション装置42が記憶する地図情報、端末ナビゲーション装置42が人工衛星から受信するGNSS信号等に基づいて、自転車72の周辺領域の地図(以下、「ローカルマップM」と称する)を作成する。ローカルマップMは、自転車72の周辺領域に存在する複数の道路領域(例えば、車道6及び歩道7)に関する情報と、自転車72の周辺領域に存在する複数の交通参加者(例えば、自動車71、自転車72、及び歩行者73)に関する情報と、を含む。
【0073】
自転車端末14は、ローカルマップM上において、自転車72の現在位置Pを起点とする自転車72の速度ベクトルVを生成する。更に、自転車端末14は、自転車72の現在位置Pを起点とする自転車72の速度ベクトルVが自動車71の将来の軌道Xと重なるか否かを判定する。
【0074】
図5(A)は、自転車72が歩道7に沿って直進している状態を示している。この状態では、自転車72の現在位置Pを起点とする自転車72の速度ベクトルVが自動車71の将来の軌道Xと重なっていない。この場合、自転車端末14は、自動車71と自転車72との間にリスクが発生しないと判定する。
【0075】
図5(B)は、歩道7に沿って直進していた自転車72が突然進行方向を変更し、車道6に飛び出そうとしている状態を示している。自転車72が突然進行方向を変更するのに応じて、自転車72の現在位置Pを起点とする自転車72の速度ベクトルVが自動車71の将来の軌道Xと重なる。この場合、自転車端末14は、自動車71と自転車72との間にリスクが発生すると判定する。
【0076】
<リスク通知>
次に、図6を参照しつつ、上述のリスク通知(ステップST5)について説明する。
【0077】
リスク通知の実行時に、自転車端末14の端末HMI43は、リスク通知画面80を表示する。なお、リスク通知の実行時に、自転車端末14の端末HMI43は、リスク通知画面80を表示するのに加えて、振動を発生させたり、警告音を出力したりしても良い。図6(A)は、リスク通知画面80の第1の例を示し、図6(B)は、リスク通知画面80の第2の例を示す。
【0078】
図6(A)を参照して、第1の例において、リスク通知画面80は、第1のアイコン画像81と、第2のアイコン画像82と、第3のアイコン画像83と、方向画像84と、を含んでいる。第1のアイコン画像81、第2のアイコン画像82、第3のアイコン画像83は、それぞれ、リスク通知の実行時における自動車71、自転車72、及び歩行者73の位置を示している。方向画像84は、リスク通知の実行時における自転車72の速度ベクトルVの方向を示している。方向画像84は、リスク通知画面80に含まれる他の画像(例えば、第1~第3のアイコン画像81~83)よりも目立つ色彩で表示されると良い。
【0079】
図6(B)を参照して、リスク通知画面80の第2の例において、リスク通知画面80は、第1のアイコン画像81と、第2のアイコン画像82と、第3のアイコン画像83と、リスク地点画像85と、を含んでいる。第1のアイコン画像81、第2のアイコン画像82、第3のアイコン画像83は、それぞれ、リスクの発生時における自動車71、自転車72、歩行者73の位置を示している。リスク地点画像85は、リスクが発生する地点を示している。リスク地点画像85は、リスク通知画面80に含まれる他の画像(例えば、第1~第3のアイコン画像81~83)とは異なる色彩で表示されると良い。
【0080】
<自動車71の将来の軌道Xの推定>
次に、図7を参照しつつ、サーバ装置18が自動車71の将来の軌道Xを推定する方法について説明する。
【0081】
車道6が僅かに曲がっている可能性を考慮し、サーバ装置18は、自動車71の将来の軌道Xの横幅が実際の空間上における自動車71の横幅よりも広くなるように、自動車71の将来の軌道Xを推定する。つまり、サーバ装置18が推定する自動車71の将来の軌道Xは、実際の空間上における自動車71の将来の軌道(図示せず)の大枠を示す。
【0082】
前述のように、サーバ装置18のデータベース部61は、エリア地図情報を記憶している。エリア地図情報は、対象交通エリアA内の複数の特徴点(例えば、交差点、曲がり角等)を示す複数のノードNに関する情報と、複数のノードNを結ぶ複数のリンクLに関する情報と、を含んでいる。
【0083】
図7(A)を参照して、サーバ装置18が複数のリンクLから逸脱した自動車71の将来の軌道Xを推定すると、サーバ装置18が推定する自動車71の将来の軌道Xが実際の空間上における車道6から逸脱することがある。このような逸脱が発生すると、実際の空間上ではリスクが発生しえない状況において、自転車72の速度ベクトルVが自動車71の将来の軌道Xと重なってしまい、リスク通知が行なわれる可能性がある。
【0084】
これに対して、図7(B)を参照して、サーバ装置18が複数のリンクLに沿った自動車71の将来の軌道Xを推定すると、サーバ装置18が推定する自動車71の将来の軌道Xが実際の空間上における車道6と合致する。そのため、実際の空間上ではリスクが発生しえない状況においてリスク通知が行なわれるのを抑制し、リスク通知に対する信頼性を高めることができる。
【0085】
<効果>
上述のように、自転車端末14は、急激な変化が起こりにくい自動車71の将来の軌道Xをサーバ装置18から予め受信しておき、急激な変化が起こりやすい自転車72の速度ベクトルVを自ら算出している。これにより、自動車71と自転車72との間にリスクが発生するか否かを正確かつ迅速に判定することができる。これにより、自転車72が突然進行方向を変更する場合(図5(B)参照)に、自転車72の運転者Dに対するリスク通知を速やかに行うことができる。
【0086】
また、上述のように、自転車端末14がローカルマップM上で自動車71と自転車72との間にリスクが発生するか否かを判定している。そのため、サーバ装置18が自動車71と自転車72との間にリスクが発生するか否かを判定し、その判定結果を高周期で自転車端末14に送信する必要が無い。そのため、サーバ装置18の計算負荷を軽減することができる。
【0087】
<変形例>
上記実施形態では、自転車72の速度ベクトルVが自動車71の将来の軌道Xと重なる場合に、自転車端末14は、自動車71と自転車72との間にリスクが発生すると判定している。他の実施形態では、自動車71と自転車72との接触までの距離又は時間が所定の閾値以下となる場合に、自転車端末14は、自動車71と自転車72との間にリスクが発生すると判定しても良い。
【0088】
上記実施形態では、自動車2(自動車71)が第1の交通参加者の一例である。他の実施形態では、自動車2以外の交通参加者(例えば、自動二輪車3、自転車4、又は歩行者5)が第1の交通参加者の一例であっても良い。
【0089】
上記実施形態では、自転車4(自転車72)が第2の交通参加者の一例である。他の実施形態では、歩行者5が第2の交通参加者の一例であっても良いし、自転車4及び歩行者5以外の交通参加者(例えば、自動車2又は自動二輪車3)が第2の交通参加者の一例であっても良い。自動車2が第2の交通参加者の一例である場合、リスク通知は、自動車2のステアリングホイールからの振動の発生を含んでいても良い。
【0090】
上記実施形態では、自動車2、自動二輪車3、自転車4、及び歩行者5が交通参加者の一例である。他の実施形態では、自動車2、自動二輪車3、自転車4、及び歩行者5以外の移動体(例えば、セグウェイ、船舶、航空機等)が交通参加者の一例であっても良い。
【0091】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 :交通安全支援システム
2 :自動車(交通参加者の一例)
3 :自動二輪車(交通参加者の一例)
4 :自転車(交通参加者の一例)
5 :歩行者(交通参加者の一例)
12 :自動車装置群(取得装置及び通知装置の一例)
13 :二輪車装置群(取得装置及び通知装置の一例)
14 :自転車端末(取得装置、通知装置、及び携帯端末の一例)
15 :歩行者端末(取得装置及び通知装置の一例)
18 :サーバ装置
41 :端末センサ
41A :加速度センサ
41B :ジャイロセンサ
71 :自動車(第1の交通参加者の一例)
72 :自転車(第2の交通参加者の一例)
73 :歩行者(第3の交通参加者の一例)
81 :第1のアイコン画像(第1の交通参加者の位置を示す画像の一例)
82 :第2のアイコン画像(第2の交通参加者の位置を示す画像の一例)
83 :第3のアイコン画像(第3の交通参加者の位置を示す画像の一例)
84 :方向画像(第2の交通参加者の速度ベクトルの方向を示す画像の一例)
85 :リスク地点画像(リスクが発生する地点を示す画像の一例)
A :対象交通エリア
L :リンク
N :ノード
V :速度ベクトル
X :将来の軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7