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特開2024-145450温調装置、電力装置、温調装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体
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  • 特開-温調装置、電力装置、温調装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145450
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】温調装置、電力装置、温調装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20241004BHJP
   H01M 10/633 20140101ALN20241004BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 B
H01M10/633
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057803
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】生井 邦明
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031CC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】主装置の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に主装置の騒音を抑制する温調装置、電力装置、温調装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】電力装置10に設置される温調装置90では、電力装置10の騒音上限値又は該電力装置10の騒音上限値に応じた温調装置90若しくは該電力装置10の稼働量の上限値が設定される。次に、騒音上限値、又は、稼働量の上限値に基づいて、温調装置90が制御される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調対象の温度を調節する温調装置であって、
該温調装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記温調装置が設置され且つ前記温調対象である主装置から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する、温調装置。
【請求項2】
請求項1記載の温調装置において、
前記騒音量の上限値は、前記主装置が設置される地点又は地域に基づいて定められる、温調装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の温調装置において、
前記騒音量の上限値は、前記温調装置が稼働する時間又は時間帯に基づいて定められる、温調装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の温調装置において、
前記主装置は、筐体と、該筐体の内部に収容された電気動作部と、を有する電力装置であり、
前記温調装置は、前記筐体の内外の空気の流動を促進する起風部をさらに備える、温調装置。
【請求項5】
請求項4記載の温調装置において、
前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、
前記稼働量の上限値は、前記起風部の上限起風量である、温調装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の温調装置において、
熱交換部をさらに備える、温調装置。
【請求項7】
請求項6記載の温調装置において、
前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、
前記稼働量の上限値は、前記熱交換部の上限熱交換量である、温調装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の温調装置において、
前記主装置は、内部に電気動作部を有する電力装置であり、
前記電力装置は、
前記電気動作部と電気的に接続され、外部の電源が接続される外部接続部と、
前記電気動作部と電気的に接続され、内部の蓄電部が接続される内部接続部と、
を有する、温調装置。
【請求項9】
請求項8記載の温調装置において、
前記電気動作部の温度を調節する第1温調部と、
前記蓄電部の温度を調節する第2温調部と、
をさらに備える、温調装置。
【請求項10】
請求項9記載の温調装置において、
前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、
前記稼働量の上限値である前記第1温調部の上限温調量は、前記電気動作部の温度、又は、前記電気動作部が配置される空間の温度に基づき変更される、温調装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の温調装置において、
前記温調装置の前記稼働量の上限値は、前記制御部が前記第1温調部及び前記第2温調部の各々を制御するためのデューティの目標値である、温調装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の温調装置において、
前記制御部は、前記騒音量の上限値が第1騒音閾値以下であるときに、前記第1温調部の動作を制限する、温調装置。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載の温調装置において、
前記制御部は、前記騒音量の上限値が第2騒音閾値以下であるときに、前記第2温調部の動作を制限する、温調装置。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか1項に記載の温調装置において、
前記電力装置は、複数の前記蓄電部を有し、
前記温調装置は、複数の前記蓄電部の温度を調節する複数の前記第2温調部をさらに備え、
前記制御部は、前記騒音量の上限値が第3騒音閾値以下であるときに、複数の前記第2温調部のうち、電力の入出力が可能な蓄電部に対応する第2温調部のみ動作させる、温調装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の温調装置が設置され、前記温調装置によって温度が調節される、電力装置。
【請求項16】
温調対象の温度を調節する温調装置の制御方法であって、
温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値を設定する第1ステップと、
該主装置の騒音量の上限値、又は、前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する第2ステップと、
を含む、温調装置の制御方法。
【請求項17】
請求項16記載の温調装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17記載のプログラムを記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調装置、電力装置、温調装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、収容装置(主装置)が開示されている。収容装置は、複数のスロット、制御装置及び空調装置を備える。複数のスロットには、モバイルバッテリ(蓄電部)が着脱可能に収容される。制御装置及び空調装置は、収容装置の内部に収容されている。制御装置には、冷却ファンが隣接して設けられている。冷却ファンは、制御装置内の空気を吸引する。収容装置の内部において、複数のスロットと空調装置との間には、起風用ファンが配置されている。起風用ファンは、複数のスロット内の空気と、冷却ファンからの空気とを吸引して空調装置に流す。空調装置は、起風用ファンから送られた空気と、外気との間で熱交換を行うことにより、収容装置内の空気の温度を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主装置は、利用者の利便性の観点から、屋外を含む様々な場所に置かれることが望まれる。しかしながら、主装置の設置場所及び時間帯によっては、各ファン及び空調装置の作動音が騒音となることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、温調対象の温度を調節する温調装置であって、前記温調装置は、該温調装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記温調装置が設置され且つ前記温調対象である主装置から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する。
【0007】
本発明の第2の態様は、前記温調装置が設置され、前記温調装置によって温度が調節される、電力装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、温調対象の温度を調節する温調装置の制御方法であって、前記制御方法は、温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値を設定する第1ステップと、前記該主装置の騒音量の上限値、又は、前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する第2ステップと、を含む。
【0009】
本発明の第4の態様は、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0010】
本発明の第5の態様は、前記プログラムを記憶する記憶媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される主装置の騒音量の上限値、又は、主装置の騒音量の上限値に応じた温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値が設定される。これにより、主装置の各部に対する騒音抑制方法を知らなくても、主装置の騒音量の上限値、又は、温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づき、温調装置を制御することで、主装置の騒音量を該騒音量の上限値以下に抑制することができる。この結果、主装置の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に主装置の騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る電力装置の正面図である。
図2図2は、図1の電力装置の断面図である。
図3図3は、温調装置を含む電力装置の回路構成図である。
図4図4は、図3のテーブルの一例を示す図である。
図5図5は、温調装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係る電力装置10(主装置)の正面図である。
【0014】
電力装置10は、例えば、屋外に設置される。電力装置10は、筐体22を有する。筐体22の形状は、矩形状である。筐体22は、複数のスロット28を有する。複数のスロット28の各々は、筐体22の正面30に開口している。複数のスロット28には、バッテリ32(蓄電部)が着脱可能である。ユーザは、複数のスロット28に対してバッテリ32を着脱することができる。
【0015】
筐体22には、少なくとも1つのバッテリ32が装着されていればよい。筐体22が複数のバッテリ32を装着可能である場合、複数のバッテリ32のうち、少なくとも1つのバッテリ32が筐体22に対して着脱可能であればよい。バッテリ32は、別途の作業工具等を用いることなく、筐体22に対して着脱可能であることがより好ましい。つまり、バッテリ32は、作業工具等を用いなくても、筐体22に対して着脱可能に構成されている。また、「筐体22(電力装置10)に対して着脱」には、筐体22に対してバッテリ32を装着する場合と、筐体22に対してバッテリ32を離脱させる場合とが含まれる。以下の説明では、筐体22に対して、複数のバッテリ32が着脱可能である場合について説明する。
【0016】
従って、バッテリ32は、筐体22に対して着脱可能なモバイルバッテリである。バッテリ32の形状は、略直方体状である。バッテリ32は、充放電可能なモバイルバッテリである。バッテリ32は、例えば、着脱式のリチウムイオンバッテリのバッテリパックが好適である。
【0017】
筐体22の正面30において、複数のスロット28の上方には、操作パネル34が設けられている。操作パネル34は、例えば、タッチパネルである。操作パネル34には、バッテリ32の残容量等の各種の情報が表示可能である。ユーザは、操作パネル34を操作して、各種の指示を入力することができる。
【0018】
筐体22の正面30において、複数のスロット28の上方には、吸気口35が設けられている。吸気口35は、外気を筐体22の内部に取り込む。
【0019】
筐体22には、上下方向に4個のスロット28が設けられている。また、筐体22には、左右方向に3個のスロット28が設けられている。従って、筐体22には、合計で12個のスロット28が設けられている。なお、本実施形態では、12個のスロット28の全てにバッテリ32が装着されていなくてもよい。図1では、12個のスロット28の全てにバッテリ32が装着されている場合が図示されている。
【0020】
図2は、筐体22の断面図である。
【0021】
筐体22の内部は、水平方向に延びる仕切板36によって2つの室に区画されている。筐体22の内部のうち、仕切板36よりも上側の室は、第1室38(空間)である。仕切板36よりも下側の室は、第2室40である。筐体22の後部には開閉扉46が設けられている。ユーザが開閉扉46を開くことで、第1室38及び第2室40が外部に露出する。開閉扉46における第1室38と向かい合う部分には、排気口47が形成されている。
【0022】
第1室38には、インバータ50(電気動作部)、DC/DCコンバータ52(電気動作部)、制御ボックス54及びファン55(起風部、第1温調部)が配置されている。ファン55が駆動することで、第1室38の内部に気流が発生する。すなわち、筐体22の外部から吸気口35を介して第1室38に空気(外気)が取り込まれる。取り込まれた空気は、矢印で示すように、第1室38の内部で、前方から後方に流れる。後方に流れた空気は、ファン55から排気口47を介して筐体22の外部に排気される。
【0023】
第2室40には、複数のスロット28が配置されている。複数のスロット28の各々は、筐体22の正面30から後方に向かって、斜め下方向に傾斜して延びている。複数のスロット28の各々の後部には、ファン56(起風部、第2温調部)、DC/DCコンバータ58及びスロット側基板60が配置されている。ファン56は、スロット28の内部に気流を発生させることで、スロット28の内外の空気の流動を促進させる。ファン56が駆動することで、矢印で示すように、ファン56を介して、スロット28の内部に空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、スロット28の後部から前方に流れる。前方に流れた空気は、スロット28の開口から筐体22の外部に排気される。
【0024】
なお、複数のDC/DCコンバータ58は、第1室38にまとめて配置されてもよい。この場合、複数のDC/DCコンバータ58は、例えば、第1室38における吸気口35の近傍に配置される。また、複数のDC/DCコンバータ58及び複数のスロット側基板60の双方が第1室38に配置されてもよい。
【0025】
仕切板36と、筐体22の底板44との間には、フレーム62が配設されている。フレーム62は、上下方向に延びている。フレーム62は、複数のスロット28を第2室40の内部に固定する。
【0026】
開閉扉46における第2室40と向かい合う部分には、クーラ57(熱交換部)が設けられている。クーラ57は、ケース59と、2つのファン61、63と、熱交換器64とを有する。
【0027】
ケース59は、開閉扉46を挟むように設けられている。ケース59の内部は、開閉扉46によって、2つの内部空間(第2室40側の内部空間51、筐体22の外側の内部空間53)に区画される。ケース59の内部には、2つのファン61、63及び熱交換器64が収容されている。熱交換器64は、開閉扉46に取り付けられている。熱交換器64は、上下方向に延びている。ファン61は、ケース59における第2室40側の内部空間51に配置されている。ファン61は、熱交換器64の下部に配置されている。ファン63は、ケース59における筐体22の外側の内部空間53に配置されている。ファン63は、熱交換器64の上部に配置されている。
【0028】
ケース59のうち、第2室40の部分には、吸気口65と排気口67とが形成されている。吸気口65と排気口67とは、上下方向に間隔を空けて形成されている。吸気口65は、熱交換器64の上部と向かい合うように、ケース59に形成されている。排気口67は、ファン61と向かい合うように、ケース59に形成されている。
【0029】
ケース59のうち、筐体22の外側の部分には、吸気口69と排気口71とが形成されている。吸気口69と排気口71とは、上下方向に間隔を空けて形成されている。吸気口69は、熱交換器64の下部と向かい合うように、ケース59に形成されている。排気口71は、ファン63と向かい合うように、ケース59に形成されている。
【0030】
ファン61が駆動すると、第2室40内の空気は、吸気口65を介して、内部空間51に取り込まれる。内部空間51に取り込まれた空気は、矢印で示すように、熱交換器64に沿って下方向に流れる。下方に流れた空気は、排気口67を介して第2室40に排気される。
【0031】
ファン63が駆動すると、筐体22外の空気(外気)は、吸気口69を介して、内部空間53に取り込まれる。内部空間53に取り込まれた空気は、矢印で示すように、熱交換器64に沿って上方向に流れる。上方に流れた空気は、排気口71を介してケース59の外部に排気される。
【0032】
熱交換器64は、不図示のコンプレッサを含む。熱交換器64は、内部空間51を流れる空気(第2室40から取り込んだ空気)と、内部空間53を流れる空気(外気)との間で熱交換を行う。第2室40では、複数のバッテリ32、複数のDC/DCコンバータ58及び複数のスロット側基板60が動作して発熱することで、第2室40の空気が相対的に高温になる。熱交換器64は、第2室40から内部空間51に取り込まれた空気の熱を奪取する。熱交換器64は、奪取した熱を内部空間53に流れる空気(外気)に移動させる。これにより、内部空間51を流れる空気が冷却される。冷却された空気が排気口67を介して第2室40に排気されることで、第2室40内の温度が調節される。
【0033】
図3は、電力装置10の回路構成図である。電力装置10は、インバータ50、DC/DCコンバータ52、制御ボックス54、操作パネル34、スピーカ66、複数のスロット28及び温度センサ80を備える。上記のように、複数のスロット28の各々には、ファン56、DC/DCコンバータ58及びスロット側基板60が設けられている。制御ボックス54は、筐体制御基板68(制御部)及び通信部74を有する。筐体制御基板68は、メモリ76(記憶媒体)を有する。メモリ76には、後述するテーブル78が格納されている。
【0034】
インバータ50は、コネクタ等の外部接続部81を介して、筐体22の外部(例えば、外部の電力系統)と電気的に接続されている。インバータ50には、クーラ57に電力を供給するための電源ユニット83が接続されている。電源ユニット83は、クーラ57に電力を供給することで、クーラ57(ファン61、63、熱交換器64)を駆動させる。複数のDC/DCコンバータ52、58及び電源ユニット83は、インバータ50に対して、電気的に並列に接続されている。外部接続部81から複数のDC/DCコンバータ52、58及びクーラ57までの箇所は、相対的に高電圧の回路部分(高電圧回路82)である。なお、図3では、高電圧回路82の配線が太線で図示されている。
【0035】
高電圧回路82のうち、外部接続部81からインバータ50までの部分には、交流電力が流通する。すなわち、筐体22の外部から電力(外部電力)の供給を受ける場合には、外部接続部81を介して、インバータ50に相対的に高電圧の交流電力が供給される。インバータ50は、交流電力を相対的に高電圧の直流電力に変換する。変換された直流電力は、複数のDC/DCコンバータ52、58及び電源ユニット83に供給される。複数のDC/DCコンバータ52、58は、相対的に高電圧の直流電圧を、低電圧の直流電圧に変換する。
【0036】
バッテリ32は、コネクタ84を有する。スロット28は、バッテリ32のコネクタ84に嵌合可能なコネクタ86(内部接続部)を有する。バッテリ32がスロット28に装着されている場合、バッテリ32のコネクタ84とスロット28のコネクタ86とが接続される。複数のスロット28の各々にバッテリ32が装着されている場合、複数のDC/DCコンバータ58の各々は、変換した低電圧の直流電圧をバッテリ32に出力可能である。これにより、バッテリ32は、外部電力の供給を受けて蓄電(充電)される。
【0037】
筐体22から外部に電力を出力する場合、複数のスロット28の各々に設けられたDC/DCコンバータ58は、バッテリ32の直流電圧(バッテリ電圧)を、相対的に高電圧の直流電圧に変換する。インバータ50は、複数のDC/DCコンバータ58から供給される直流電力を交流電力に変換する。変換された交流電力は、外部接続部81を介して、外部に出力される。
【0038】
DC/DCコンバータ52は、相対的に高電圧の直流電圧を、低電圧の直流電圧に変換する。DC/DCコンバータ52は、変換した低電圧の直流電圧を複数のスロット側基板60及び制御ボックス54に供給する。複数のスロット側基板60の各々は、DC/DCコンバータ52からの電圧の供給を受けて駆動する。
【0039】
複数のDC/DCコンバータ58からバッテリ32までの箇所と、DC/DCコンバータ52から制御ボックス54、複数のスロット側基板60及び複数のファン56までの箇所とは、低電圧回路88を構成する。低電圧回路88は、筐体22の内部において、相対的に低電圧の回路部分である。なお、図3において、低電圧回路88の配線は、細線で図示されている。
【0040】
以下の説明では、電力装置10がバッテリ32に電力を充電する充電器である場合について説明する。なお、本実施形態では、電力装置10がバッテリ32の電力を外部に出力する給電器として機能可能である。
【0041】
制御ボックス54において、筐体制御基板68は、DC/DCコンバータ52から供給される直流電圧によって駆動する。
【0042】
筐体制御基板68は、筐体22に搭載されるECU(電子制御装置)である。筐体制御基板68は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ(processor)を含み構成され得るコンピュータである。すなわち、筐体制御基板68は、処理回路(processing circuitry)によって構成され得る。筐体制御基板68は、メモリ76に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の機能を実現する。
【0043】
なお、筐体制御基板68の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。また、筐体制御基板68の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって構成されてもよい。
【0044】
メモリ76は、揮発性メモリ(不図示)と不揮発性メモリ(不図示)とによって構成され得る。揮発性メモリとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)等が挙げられ得る。この揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用され、処理又は演算に必要なデータ等を一時的に記憶する。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用され、プログラム、テーブル、マップ等を記憶する。メモリ76の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0045】
筐体制御基板68は、筐体22の内部に配置された各部を制御する。具体的には、筐体制御基板68は、複数のスロット側基板60との間で信号の送受信を行う。筐体制御基板68は、インバータ50、DC/DCコンバータ52、ファン55、複数のスロット側基板60及び電源ユニット83に制御信号を供給する。また、筐体制御基板68は、温度センサ80の検知結果を取得する。筐体制御基板68は、通信部74を介して、筐体22の外部との間で、信号又は情報の送受信が可能である。筐体制御基板68は、スピーカ66を介して筐体22の外部に音を出力させることが可能である。筐体制御基板68は、ユーザによる操作パネル34の操作結果を受け付ける。
【0046】
複数のスロット側基板60の各々は、筐体制御基板68からの制御信号に基づき、DC/DCコンバータ58及びファン56を制御する。ファン56が駆動した場合、スロット28の内部に気流が発生するので、スロット28に装着されたバッテリ32を所望の温度に調整可能である。
【0047】
また、複数のスロット側基板60の各々は、バッテリ32から該バッテリ32の情報を取得する。スロット側基板60は、取得したバッテリ32の情報を筐体制御基板68に出力する。筐体制御基板68は、入力されたバッテリ32の情報をメモリ76に記憶可能である。
【0048】
ファン55は、筐体制御基板68からの制御信号に基づき駆動することで、第1室38内に空気を流通させる。これにより、第1室38内の温度が調節される。
【0049】
電源ユニット83は、筐体制御基板68からの制御信号に基づき、クーラ57に電力を供給する。クーラ57は、電源ユニット83からの電力供給を受けて駆動する。クーラ57が駆動することで、第2室40内の温度が調節される。
【0050】
温度センサ80は、第1室38に配置されたインバータ50又はDC/DCコンバータ52の温度を逐次検出する。あるいは、温度センサ80は、第1室38の温度を逐次検出する。そのため、温度センサ80は、例えば、第1室38(図2参照)における吸気口35の近傍に配置されている。温度センサ80は、検出結果を筐体制御基板68に逐次出力する。
【0051】
なお、温度センサ80は、インバータ50又はDC/DCコンバータ52の温度、あるいは、第1室38の温度を検出できればよい。そのため、温度センサ80は、第1室38の内部に設置されてもよい。あるいは、筐体22の正面30における吸気口35(の近傍)の位置に配置されてもよい。この場合、温度センサ80は、筐体22の外部の温度(外気温)を検出している。但し、外気は、吸気口35を介して第1室38に導入されるので、温度センサ80が検出する外気温を、第1室38の温度として代替することも可能である。
【0052】
ファン55、複数のファン56、クーラ57、複数のスロット側基板60、筐体制御基板68、温度センサ80及び電源ユニット83は、電力装置10の温度(筐体22の内部の温度)を調節するための温調装置90を構成する。すなわち、電力装置10には、温調装置90が設置されている。
【0053】
図1に示すように、電力装置10は、任意の設置場所に設置されている。任意の設置場所は、例えば、屋外である。電力装置10は、ユーザの利便性の観点から、屋外を含む様々な場所に置かれることが望まれる。但し、電力装置10が設置される場所(以下、電力装置10の設置場所ともいう。)及び時間帯によっては、電力装置10及び温調装置90の作動音が騒音となる可能性がある。
【0054】
電力装置10において騒音源となり得る構成要素は、ファン55、複数のファン56及びクーラ57である。すなわち、ファン55が駆動したときに、ファン55の作動音が電力装置10の外部に放散される騒音となる。また、複数のファン56が駆動したときに、複数のファン56の作動音が電力装置10の外部に放散される騒音となる。さらに、クーラ57が稼働したときに、クーラ57のファン61、63の作動音と、熱交換器64を構成するコンプレッサの作動音とが、電力装置10の外部に放散される騒音となる。
【0055】
また、インバータ50、DC/DCコンバータ52、複数のDC/DCコンバータ58及び電源ユニット83は、不図示の自己冷却用のファンを有する。これらのファンが駆動すると、各ファンの作動音が発生する。これらの作動音が電力装置10の外部に放散されると騒音になる。従って、これらのファンも騒音源となる。但し、これらのファンは、筐体制御基板68から直接制御することはできない。筐体制御基板68がインバータ50、DC/DCコンバータ52、複数のDC/DCコンバータ58及び電源ユニット83を制御することで、各ファンの駆動が制御される。
【0056】
また、電力装置10が設置される場所(電力装置10が設置される地点、電力装置10が設置される地域)によっては、法規によって、騒音の上限値(騒音規制値)が定められている場合がある。さらに、法規によって、電力装置10を含む各種の騒音源が稼働する時間又は時間帯に応じて、騒音規制値が定められている場合がある。従って、騒音規制値を考慮して、電力装置10の動作を適切に設定することが好ましい。また、電力装置10が法規の対象に含まれていない場合であっても、該電力装置10が設置される場所の環境又は状況を考慮して、電力装置10の動作を適切に設定することが好ましい。
【0057】
本実施形態では、メモリ76にテーブル78が格納されている。テーブル78には、騒音規制値に対応する電力装置10の騒音量の上限の目標値(騒音上限値)と、騒音上限値に応じた、ファン55、複数のファン56及びクーラ57の稼働量の上限値とが格納されている。
【0058】
図4は、テーブル78の具体的内容を示す図である。テーブル78には、5種類の騒音上限値(65dB以上、60dB、55dB、50dB、45dB)が設定されている。騒音上限値は、騒音規制値以下の騒音値であればよい。従って、騒音規制値が騒音上限値に設定されてもよい。
【0059】
テーブル78には、騒音上限値毎のファン55、複数のファン56及びクーラ57の稼働量の上限値が定められている。図4に示すように、テーブル78では、騒音上限値が小さくなる程、ファン55、複数のファン56及びクーラ57の稼働量の上限値が低く設定される(上限値が制限される)。
【0060】
具体的には、複数のファン56の各々については、騒音上限値に応じた稼働量の上限値がデューティの目標値で定められている。騒音上限値が65dB以上及び60dBでは、複数のファン56の各々について、デューティの目標値が100%に定められている。また、騒音上限値が55dB以下(55dB、50dB及び45dB以下)では、複数のファン56の各々について、デューティの目標値が60%に定められている。すなわち、騒音上限値が大きければ、相対的に大きな騒音が許容されるので、複数のファン56の各々のデューティが大きくてもよい。騒音上限値が小さければ、騒音を小さくする必要があるため、複数のファン56の各々のデューティを小さくしなければならない。
【0061】
クーラ57については、騒音上限値に応じた稼働量の上限値がクーラ57のオン(デューティ:100%)又はオフ(デューティ:0%)で定められている。騒音上限値が65dB以上、60dB及び55dBでは、クーラ57がオンされる。また、騒音上限値が50dB以下(50dB及び45dB以下)では、クーラ57がオフされる。すなわち、騒音上限値が大きければ、相対的に大きな騒音が許容されるので、クーラ57をオンしてもよい。騒音上限値が小さければ、騒音を小さくする必要があるため、クーラ57をオフさせる。
【0062】
バッテリ充電可能数は、電力装置10において、充電が可能なバッテリ32の数である。すなわち、複数のスロット28に装着されている複数のバッテリ32のうち、充電対象のバッテリ32の数がバッテリ充電可能数となる。従って、満充電のバッテリ32がスロット28に装着されている場合、当該バッテリ32は、バッテリ充電可能数のバッテリ32としてカウントされない。
【0063】
スロット28に装着されたバッテリ32を充電するときには、DC/DCコンバータ58が稼働するので、該DC/DCコンバータ58に内蔵されているファンが騒音源となる。また、スロット28に装着されたバッテリ32を充電すると、充電によってバッテリ32が発熱する。該スロット28に設けられたファン56は、スロット28に送風することで、該バッテリ32を冷却する。従って、ファン56も騒音源となる。
【0064】
特に、複数のDC/DCコンバータ58が第1室38に配置された場合、該各DC/DCコンバータ58のファンの作動音が吸気口35及び排気口47を介して外部に放散され、騒音となる。この場合、複数のDC/DCコンバータ58のファンの騒音は、複数のファン56の騒音よりも相対的に大きくなるので、無視することができない。
【0065】
従って、バッテリ充電可能数は、充電対象のバッテリ32に応じたDC/DCコンバータ58の数又はファン56の数である。そのため、バッテリ充電可能数は、バッテリ32を充電するときに稼働するDC/DCコンバータ58の数である。あるいは、バッテリ充電可能数は、バッテリ32を充電するときに動作するファン56の数である。
【0066】
なお、満充電のバッテリ32が装着されているスロット28のDC/DCコンバータ58及びファン56は、該バッテリ32が満充電であるため、駆動しない。また、バッテリ32が装着されていないスロット28のDC/DCコンバータ58及びファン56は、スロット28にバッテリ32が装着されていないので、駆動する必要がない。従って、これらのDC/DCコンバータ58及びファン56は、バッテリ充電可能数にカウントされたバッテリ32に対応するDC/DCコンバータ58及びファン56ではない。
【0067】
テーブル78において、バッテリ充電可能数は、騒音上限値に応じた上限値が所定の個数で定められている。騒音上限値が65dB以上、60dB、55dB及び50dBでは、バッテリ充電可能数が12に定められている。また、騒音上限値が45dB以下では、バッテリ充電可能数が6個に定められている。すなわち、騒音上限値が大きければ、複数のDC/DCコンバータ58及び複数のファン56について、相対的に大きな騒音が許容されるので、バッテリ充電可能数を大きくしてもよい。騒音上限値が小さければ、複数のDC/DCコンバータ58及び複数のファン56の騒音を小さくする必要があるため、バッテリ充電可能数を小さくする。
【0068】
ファン55については、騒音上限値に応じた稼働量の上限値がデューティの目標値で定められている。騒音上限値が大きければ、相対的に大きな騒音が許容されるので、ファン55のデューティの目標値が大きく設定されている。騒音上限値が小さければ、騒音を小さくする必要があるため、ファン55のデューティの目標値が小さく設定されている。
【0069】
また、ファン55については、第1室38に配置されるインバータ50又はDC/DCコンバータ52の温度、あるいは、第1室38の温度に応じて、騒音上限値に応じた稼働量の上限値であるデューティの目標値が変更されている。具体的には、該温度が高くなるほど、ファン55のデューティの目標値が低く設定される(目標値が制限される)。すなわち、上記のように、インバータ50、DC/DCコンバータ52及び電源ユニット83の各々は、ファンを内蔵する(有する)。筐体制御基板68は、インバータ50、DC/DCコンバータ52及び電源ユニット83をそれぞれ制御することで、各ファンを独自(独立)に制御することができる。この場合、上記の温度が相対的に高温になると、各ファンの回転数(騒音値)が大きくなる。従って、ファン55のデューティの目標値を小さくしなければ、騒音上限値以下に抑えることができない。
【0070】
筐体制御基板68は、外部から通信部74を介して、電力装置10が設置される場所、現在時刻等の情報を取得する。また、筐体制御基板68は、インバータ50又はDC/DCコンバータ52の温度、あるいは、第1室38の温度を、温度センサ80から取得する。
【0071】
筐体制御基板68は、取得した電力装置10の設置場所及び現在時刻等の情報から、騒音上限値を設定する。筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じた複数のファン56のデューティの目標値を設定する。また、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じたクーラ57のオン又はオフを決定する。さらに、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じたバッテリ充電可能数を設定する。また、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値及び温度センサ80が検出した温度に応じて、ファン55のデューティの目標値を設定する。
【0072】
筐体制御基板68は、決定(設定)した内容に従って、ファン55、複数のファン56及び電源ユニット83(クーラ57)を制御する。
【0073】
本実施形態に係る電力装置10は、以上のように構成される。次に、電力装置10の動作について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、主として、筐体制御基板68(図3参照)が騒音上限値等に基づいて温調装置90を制御する場合について説明する。
【0074】
ステップS1において、筐体制御基板68は、外部から通信部74を介して、電力装置10の設置場所、現在時刻等の情報を取得する。また、筐体制御基板68は、温度センサ80の検出結果(例えば、第1室38の温度)を取得する。
【0075】
ステップS2(第1ステップ)において、筐体制御基板68は、ステップS1で取得した電力装置10の設置場所及び現在時刻等の情報から、騒音上限値を設定する。
【0076】
ステップS3(第1ステップ)において、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じた複数のファン56のデューティの目標値を設定する。また、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値及び該温度に応じたファン55のデューティの目標値を設定する。
【0077】
ステップS4(第1ステップ)において、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じたクーラのオン又はオフを決定する。
【0078】
ステップS5(第1ステップ)において、筐体制御基板68は、テーブル78を参照して、騒音上限値に応じたバッテリ充電可能数を設定する。
【0079】
ステップS6(第2ステップ)において、筐体制御基板68は、ステップS3~S5で決定又は設定した内容に従って、ファン55、複数のファン56及び電源ユニット83(クーラ57)を制御する。
【0080】
ステップS7において、筐体制御基板68は、ステップS1~S6の処理を繰り返すかどうかを判定する。
【0081】
騒音上限値等に基づいて温調装置90を制御する場合(ステップS7:YES)、筐体制御基板68は、ステップS1に戻り、ステップS1~S6を繰り返し実行する。
【0082】
温調装置90を含む電力装置10の動作を停止する場合(ステップS7:NO)、筐体制御基板68は、ステップS8に進む。ステップS8において、筐体制御基板68は、温調装置90を含む電力装置10の動作を停止させる。具体的には、筐体制御基板68は、ファン55、複数のファン56及び電源ユニット83の動作を停止させることで、温調装置90の動作を停止させる。また、筐体制御基板68は、インバータ50、DC/DCコンバータ52及び複数のDC/DCコンバータ58の動作を停止させることで、電力装置10の動作を停止させる。
【0083】
なお、本実施形態では、電力装置10が設置される地点又は電力装置10が設置される場所の情報については、電力装置10の設置時に操作パネル34を操作して入力してもよい。あるいは、通信部74を介して、電力装置10の外部から取得してもよい。また、電力装置10にGPS等の位置情報取得装置を搭載させ、電力装置10自らが、該電力装置10が設置される地点、又は、電力装置10が設置される場所の情報を取得してもよい。この場合、電力装置10が自動的に取得するので、ユーザの手間が省ける。さらに、電力装置10の設置場所の情報、現在時刻を元に、外部のコンピュータにて騒音上限値を定め、定められた騒音上限値を通信部74を介して取得してもよい。
【0084】
また、本実施形態では、電力装置10が充電器である場合について説明した。電力装置10が給電器である場合であっても、上記の説明を適用可能である。
【0085】
本実施形態は、以下の効果を有する。
【0086】
図2図5に示すように、温調装置90が設置された電力装置10(主装置)から該電力装置10の外部に放散される電力装置10の騒音量の上限値(騒音上限値)、又は、騒音上限値に応じた温調装置90若しくは該電力装置10の稼働量の上限値が設定される。これにより、電力装置10の各部に対する騒音抑制方法を知らなくても、騒音上限値、又は、温調装置90若しくは該電力装置10の稼働量の上限値に基づき、温調装置90を制御することで、電力装置10の騒音量を該騒音上限値以下に抑制することができる。この結果、電力装置10の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に電力装置10の騒音を抑制することができる。
【0087】
電力装置10が設置される地点又は地域に基づいて、騒音上限値が定められる。これにより、法規等によって定められている該地点又は該地域の騒音規制値を騒音上限値として定めることができる。この結果、電力装置10の騒音を適切に抑制することができる。
【0088】
温調装置90が稼働する時間又は時間帯に基づいて、騒音上限値が定められる。これにより、法規等によって定められている該時間又は該時間帯の騒音規制値を騒音上限値として定めることができる。この結果、電力装置10の騒音を適切に抑制することができる。また、時間又は時間帯によって騒音規制値が異なる環境に対しても、騒音上限値が適宜変更されるので、使い勝手がよい。
【0089】
図2及び図3に示すように、ファン55及び複数のファン56(起風部)が筐体22の内外の空気の流動を促進する。これにより、筐体22の内部に収容されたバッテリ32(蓄電部)とインバータ50及びDC/DCコンバータ52(電気動作部)とが動作して発熱している場合に、バッテリ32とインバータ50及びDC/DCコンバータ52とを含む筐体22の内部の温度を適切に調節することができる。
【0090】
図4に示すように、温調装置90の稼働量の上限値がファン55、56のデューティの目標値(上限起風量)である。すなわち、ファン55、56が作動したときに、該ファン55、56の作動音が電力装置10から外部に放散される騒音となる。そのため、ファン55、56のデューティの目標値(上限起風量)に基づいて温調装置90を制御することで、筐体22の内部の温度を調節しつつ、電力装置10の騒音を抑制することができる。
【0091】
図2及び図3に示すように、温調装置90がクーラ57(熱交換部)を備えることで、筐体22の内部の温度を容易且つ効果的に調節することができる。
【0092】
図4に示すように、温調装置90の稼働量の上限値がクーラ57のオン又はオフ(上限熱交換量)である。すなわち、クーラ57が作動したときに、該クーラ57の作動音が電力装置10から外部に放散される騒音となる。そのため、クーラ57のオン又はオフに基づいて温調装置90を制御することで、筐体22の内部の温度を調節しつつ、電力装置10の騒音を抑制することができる。
【0093】
図2及び図3に示すように、電力装置10に温調装置90が設置されているため、バッテリ32、インバータ50及びDC/DCコンバータ52の各温度を適切に調節することができる。
【0094】
図2及び図3に示すように、ファン55(第1温調部)がインバータ50及びDC/DCコンバータ52の各温度を調節すると共に、複数のファン56(第2温調部)が複数のバッテリ32の温度を調節する。これにより、バッテリ32、インバータ50及びDC/DCコンバータ52を含む電力装置10の温度を適切に且つ効率よく調節することができる。
【0095】
図2図4に示すように、インバータ50及びDC/DCコンバータ52の温度、又は、該インバータ50及びDC/DCコンバータ52が配置される第1室38(空間)の温度に基づいて、ファン55のデューティの目標値(上限温調量)が変更される。すなわち、ファン55が作動したときに、該ファン55の作動音が電力装置10から外部に放散される騒音となる。そのため、変更したデューティの目標値に基づいて温調装置90を制御することで、インバータ50及びDC/DCコンバータ52の温度、又は、第1室38の温度を調節しつつ、電力装置10の騒音を抑制することができる。
【0096】
図2図4に示すように、温調装置90の稼働量の上限値がファン55、56の各々のデューティの目標値である。これにより、該目標値に基づいてファン55、56の各々を制御することで、バッテリ32、インバータ50及びDC/DCコンバータ52の各温度を精度よく調節することができる。
【0097】
図4に示すように、電力装置10の騒音上限値が第1騒音閾値以下であるときに、ファン55の動作が制限される。これにより、第1騒音閾値を騒音上限値に設定することで、電力装置10の騒音量を騒音上限値以下に低減することが可能となる。
【0098】
電力装置10の騒音上限値が第2騒音閾値以下であるときに、ファン56の動作が制限される。これにより、第2騒音閾値を騒音上限値に設定することで、電力装置10の騒音量を騒音上限値以下に低減することが可能となる。
【0099】
電力装置10の騒音量目標値が第3騒音閾値以下であるときに、電力の入出力が可能なバッテリ32に対応するファン56のみ動作させる。従って、電力の入出力が不能なバッテリ32(例えば、満充電のバッテリ32)に対応するファン56については、動作が制限される。これにより、第3騒音閾値を騒音上限値に設定することで、電力装置10の騒音量を騒音上限値以下に低減することが可能となる。
【0100】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0101】
(付記1)
温調対象(10)の温度を調節する温調装置(90)であって、前記温調装置は、該温調装置を制御する制御部(68)を備え、前記制御部は、前記温調装置が設置され且つ前記温調対象である主装置(10)から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する。
【0102】
この構成によれば、温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される主装置の騒音量の上限値、又は、主装置の騒音量の上限値に応じた温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値が設定される。これにより、主装置の各部に対する騒音抑制方法を知らなくても、主装置の騒音量の上限値、又は、温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づき、温調装置を制御することで、主装置の騒音量を該騒音量の上限値以下に抑制することができる。この結果、主装置の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に主装置の騒音を抑制することができる。
【0103】
(付記2)
付記1に記載の温調装置において、前記騒音量の上限値は、前記主装置が設置される地点又は地域に基づいて定められてもよい。
【0104】
この構成によれば、主装置が設置される地点又は地域に基づいて、騒音量の上限値が定められる。これにより、法規等によって定められている該地点又は該地域の騒音規制値に対応して、騒音量の上限値を定めることができる。この結果、主装置の騒音を適切に抑制することができる。
【0105】
(付記3)
付記1又は2に記載の温調装置において、前記騒音量の上限値は、前記温調装置が稼働する時間又は時間帯に基づいて定められてもよい。
【0106】
この構成によれば、温調装置が稼働する時間又は時間帯に基づいて、騒音量の上限値が定められる。これにより、法規等によって定められている該時間又は該時間帯の騒音規制値に対応して、騒音量の上限値を定めることができる。この結果、主装置の騒音を適切に抑制することができる。また、時間又は時間帯によって騒音規制値が異なる環境に対しても、騒音上限値が適宜変更されるので、使い勝手がよい。
【0107】
(付記4)
付記1~3のいずれかに記載の温調装置において、前記主装置は、筐体(22)と、該筐体の内部に収容された電気動作部(50、52)と、を有する電力装置(10)であり、前記温調装置は、前記筐体の内外の空気の流動を促進する起風部(55、56)をさらに備えてもよい。
【0108】
この構成によれば、起風部が筐体の内外の空気の流動を促進する。これにより、筐体の内部に収容された電気動作部が動作して発熱している場合に、該電気動作部を含む筐体の内部の温度を適切に調節することができる。
【0109】
(付記5)
付記4に記載の温調装置において、前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、前記稼働量の上限値は、前記起風部の上限起風量であってもよい。
【0110】
この構成によれば、温調装置の稼働量の上限値が起風部の上限起風量である。すなわち、起風部が作動したときに、該起風部の作動音が主装置から外部に放散される騒音となる。そのため、起風部の上限起風量に基づいて温調装置を制御することで、筐体の内部の温度を調節しつつ、主装置の騒音を抑制することができる。
【0111】
(付記6)
付記4又は5に記載の温調装置において、前記温調装置は、熱交換部(57)をさらに備えてもよい。
【0112】
この構成によれば、温調装置が熱交換部を備えることで、筐体の内部の温度を容易且つ効果的に調節することができる。
【0113】
(付記7)
付記6に記載の温調装置において、前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、前記稼働量の上限値は、前記熱交換部の上限熱交換量であってもよい。
【0114】
この構成によれば、温調装置の稼働量の上限値が熱交換部の上限熱交換量である。すなわち、熱交換部が作動したときに、該熱交換部の作動音が主装置から外部に放散される騒音となる。そのため、熱交換部の上限熱交換量に基づいて温調装置を制御することで、筐体の内部の温度を調節しつつ、主装置の騒音を抑制することができる。
【0115】
(付記8)
付記1~7のいずれかに記載の温調装置において、前記主装置は、内部に電気動作部(50、52)を有する電力装置であり、前記電力装置は、前記電気動作部と電気的に接続され、外部の電源が接続される外部接続部(81)と、前記電気動作部と電気的に接続され、内部の蓄電部(32)が接続される内部接続部(86)と、を有してもよい。
【0116】
この構成によれば、電力装置に温調装置が設置されているため、電気動作部及び蓄電部の温度を適切に調節することができる。
【0117】
(付記9)
付記8に記載の温調装置において、前記温調装置は、前記電気動作部の温度を調節する第1温調部(55)と、前記蓄電部の温度を調節する第2温調部(56)と、をさらに備えてもよい。
【0118】
この構成によれば、第1温調部が電気動作部の温度を調節すると共に、第2温調部が蓄電部の温度を調節する。これにより、電気動作部及び蓄電部を含む電力装置の温度を適切に且つ効率よく調節することができる。
【0119】
(付記10)
付記9に記載の温調装置において、前記制御部は、前記温調装置の前記稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御し、前記稼働量の上限値である前記第1温調部の上限温調量は、前記電気動作部の温度、又は、前記電気動作部が配置される空間の温度に基づき変更されてもよい。
【0120】
この構成によれば、電気動作部の温度又は該電気動作部が配置される空間の温度に基づいて、第1温調部の上限温調量が変更される。すなわち、第1温調部が作動したときに、該第1温調部の作動音が主装置から外部に放散される騒音となる。そのため、変更した第1温調部の上限温調量に基づいて温調装置を制御することで、該電気動作部又は該空間の温度を調節しつつ、主装置の騒音を抑制することができる。
【0121】
(付記11)
付記9又は10に記載の温調装置において、前記温調装置の前記稼働量の上限値は、前記制御部が前記第1温調部及び前記第2温調部の各々を制御するためのデューティの目標値であってもよい。
【0122】
この構成によれば、温調装置の稼働量の上限値が第1温調部及び第2温調部の各々のデューティの目標値である。これにより、該目標値に基づいて第1温調部及び第2温調部の各々を制御することで、電気動作部及び蓄電部の各温度を精度よく調節することができる。
【0123】
(付記12)
付記9~11のいずれかに記載の温調装置において、前記制御部は、前記騒音量の上限値が第1騒音閾値以下であるときに、前記第1温調部の動作を制限してもよい。
【0124】
この構成によれば、電力装置の騒音量の上限値が第1騒音閾値以下であるときに、第1温調部の動作が制限される。これにより、第1騒音閾値を騒音規制値に設定することで、主装置の騒音量を騒音規制値以下に低減することが可能となる。
【0125】
(付記13)
付記9~12のいずれかに記載の温調装置において、前記制御部は、前記騒音量の上限値が第2騒音閾値以下であるときに、前記第2温調部の動作を制限してもよい。
【0126】
この構成によれば、電力装置の騒音量の上限値が第2騒音閾値以下であるときに、第2温調部の動作が制限される。これにより、第2騒音閾値を騒音規制値に設定することで、主装置の騒音量を騒音規制値以下に低減することが可能となる。
【0127】
(付記14)
付記9~13のいずれかに記載の温調装置において、前記電力装置は、複数の前記蓄電部を有し、前記温調装置は、複数の前記蓄電部の温度を調節する複数の前記第2温調部をさらに備え、前記制御部は、前記騒音量の上限値が第3騒音閾値以下であるときに、複数の前記第2温調部のうち、電力の入出力が可能な蓄電部に対応する第2温調部のみ動作させてもよい。
【0128】
この構成によれば、電力装置の騒音量の上限値が第3騒音閾値以下であるときに、電力の入出力が可能な蓄電部に対応する第2温調部のみ動作させる。従って、電力の入出力が不能な蓄電部(例えば、満充電の蓄電部)に対応する第2温調部については、動作が制限される。これにより、第3騒音閾値を騒音規制値に設定することで、主装置の騒音量を騒音規制値以下に低減することが可能となる。
【0129】
(付記15)
付記1~14のいずれかに記載の温調装置が設置され、前記温調装置によって温度が調節される、電力装置である。
【0130】
この構成によれば、温調装置が設置された電力装置から該電力装置の外部に放散される電力装置の騒音量の上限値、又は、騒音量の上限値に応じた該温調装置若しくは電力装置の稼働量の上限値が設定される。これにより、電力装置の各部に対する騒音抑制方法を知らなくても、騒音量の上限値、又は、該温調装置若しくは電力装置の稼働量の上限値に基づき、温調装置を制御することで、電力装置の騒音量を上限値以下に抑制することができる。この結果、電力装置の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に電力装置の騒音を抑制することができる。
【0131】
(付記16)
温調対象の温度を調節する温調装置の制御方法であって、前記制御方法は、温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される該主装置の騒音量の上限値、又は、該主装置の騒音量の上限値に応じた前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値を設定する第1ステップ(S2~S5)と、該主装置の騒音量の上限値、又は、前記温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づいて、前記温調装置を制御する第2ステップ(S6)と、を含む。
【0132】
この方法によれば、温調装置が設置された主装置から該主装置の外部に放散される主装置の騒音量の上限値、又は、主装置の騒音量の上限値に応じた温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値が設定される。これにより、主装置の各部に対する騒音抑制方法を知らなくても、主装置の騒音量の上限値、又は、温調装置若しくは該主装置の稼働量の上限値に基づき、温調装置を制御することで、主装置の騒音量を該騒音量の上限値以下に抑制することができる。この結果、主装置の設置場所及び時間帯によらず、容易且つ確実に主装置の騒音を抑制することができる。
【0133】
(付記17)
付記16に記載の温調装置の制御方法をコンピュータ(68)に実行させるためのプログラムである。
【0134】
(付記18)
付記17に記載のプログラムを記憶する記憶媒体(76)である。
【0135】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0136】
10…電力装置(温調対象、主装置)
68…筐体制御基板(制御部、コンピュータ)
76…メモリ(記憶媒体)
90…温調装置
図1
図2
図3
図4
図5