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特開2024-145457燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法
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  • 特開-燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145457
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20241004BHJP
   F23G 5/033 20060101ALI20241004BHJP
   F23B 99/00 20060101ALI20241004BHJP
   B65G 65/42 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65G65/40 C
F23G5/033 A
F23B99/00
B65G65/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057816
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】植田 優也
【テーマコード(参考)】
3F075
3K046
3K065
【Fターム(参考)】
3F075AA07
3F075BA02
3F075BB01
3F075CA03
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB02
3F075CB06
3F075CB12
3F075CC01
3F075CC08
3K046AA02
3K046AA07
3K046AA17
3K046EA01
3K046EA05
3K046FA06
3K065AA23
3K065AB01
3K065AC17
3K065AC20
3K065BA03
3K065BA06
3K065CA02
(57)【要約】
【課題】燃料供給装置の異常発生時における固体燃料の発火を防止するとともに、保護回路が作動するまでのタイムラグを短縮化することができる燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置の保護システムであって、燃料供給装置20の保護システムは、固体燃料を搬送するベルト25を備え、固体燃料を供給する燃料供給装置と、ベルト上の固体燃料の高さを検出する高さ検出部91と、固体燃料の供給量を計測する計測部70と、高さ検出部の検出結果及び計測部の計測結果に基づいて燃料供給装置を制御する制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置の保護システムであって、
固体燃料を搬送するベルトを備え、前記固体燃料を供給する燃料供給装置と、
前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する高さ検出部と、
前記固体燃料の供給量を計測する計測部と、
前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御部と
を備える燃料供給装置の保護システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記所定条件を満たさないと判断した場合に、前記燃料供給装置を停止させる停止部と
を備える請求項1に記載の燃料供給装置の保護システム。
【請求項3】
前記計測部は、前記ベルト上の所定区間の前記固体燃料の重量を計測する重量計測部である請求項1に記載の燃料供給装置の保護システム。
【請求項4】
前記計測部は、前記ベルト上の前記固体燃料の体積を計測する体積計測部であり、
前記制御部は、前記体積計測部によって計測された前記ベルト上の前記固体燃料の体積から重量を演算する演算部を備える請求項1に記載の燃料供給装置の保護システム。
【請求項5】
前記燃料供給装置は、前記固体燃料が貯留されたバンカと接続され、
前記計測部は、前記バンカに貯留された前記固体燃料の単位時間当たりの重量変化を計測する重量計測部である請求項1に記載の燃料供給装置の保護システム。
【請求項6】
前記燃料供給装置は、前記固体燃料が貯留された貯留部と接続され、
前記計測部は、前記貯留部に貯留された前記固体燃料の単位時間当たりの体積変化を計測する貯留高さ計測部であり、
前記制御部は、前記貯留高さ計測部によって計測された単位時間当たりの体積変化から重量を演算する演算部を備える請求項1に記載の燃料供給装置の保護システム。
【請求項7】
請求項1に記載の燃料供給装置の保護システムと、
前記燃料供給装置から供給される前記固体燃料を粉砕する粉砕機と
を備える固体燃料粉砕装置。
【請求項8】
前記粉砕機内部において前記固体燃料を搬送するための搬送用ガスを前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部を備え、
前記制御部は、
前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記所定条件を満たさないと判断した場合に、前記粉砕機へ供給される前記搬送用ガスの温度を低減するよう前記搬送用ガス供給部を制御する搬送用ガス供給制御部とを備える請求項7に記載の固体燃料粉砕装置。
【請求項9】
請求項7に記載の固体燃料粉砕装置と、
前記固体燃料粉砕装置で粉砕した前記固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと
を備えるボイラシステム。
【請求項10】
固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置を保護する方法であって、
固体燃料を搬送するベルトを備えた燃料供給装置によって、前記固体燃料を供給する供給工程と、
前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する検出工程と、
前記固体燃料の供給量を計測する計測工程と、
前記検出工程による検出結果及び前記計測工程による計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御工程と
を有する燃料供給装置を保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス燃料や石炭等の固体燃料は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、粉砕テーブルへ投入された固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行なわれる。
【0003】
ミルへ供給される固体燃料は、固体燃料が貯留されたバンカからダウンスパウトを介して給炭機へ供給され、所定量の固体燃料が給炭機からミルへ供給される。ここで、例えば、燃料供給路上で異常が発生し、ミルへ所定量の固体燃料が供給されない場合は、一旦、ミルへの燃料供給を停止するとともに、ミル内に残留した固体燃料の着火や高温の一次空気のバンカへの逆流を防止するためにミルへの熱空気の供給を停止し、一次空気温度を低減する必要がある。
【0004】
特許文献1には、給炭機からミルへの燃料供給に関する異常検知について、ダウンスパウト内を通過する固体燃料がフローモニタの検出部に接触した際に発生する擦過音を検出するフローモニタから情報を取得し、給炭機内のベルトを駆動するための電動モータの電流値やパドルスイッチの検知結果と併せて、ミルへの固体燃料の供給有無を判断することが開示されている。また、固体燃料がミルへ供給されていないと判定された場合には、ベルトの移動停止警報が発生され、給炭機及びミルは停止する。
【0005】
また、特許文献2には、ミル差圧の検出結果とミル電流の検出結果との比を算出して、算出結果がミル負荷に応じて予め設定された上下限値の範囲内の値であるかを比較するミルの運転方式が開示されている。また、本運転方式は、算出したミル差圧とミル電流の比が予め設定された上下限値の範囲内ではない場合に、ミル異常と判定して、警報を発するか又は給炭機からの燃料供給を停止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-134006号公報
【特許文献2】特開昭57-10348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたフローモニタを用いた監視方法では、例えば、固体燃料の経路が部分的に閉塞した場合、非閉塞部を通過する固体燃料の擦過音を検知してしまい保護回路が作動しない虞があった。
【0008】
また、特許文献2に開示されたミル電流を用いた監視方法では、固体燃料の供給量が所定の量よりも低下しても、ミルの粉砕テーブル上に残留する固体燃料の影響により、ミル電流値が下限値以下に変化するまでにはタイムラグが生じる可能性がある。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、燃料供給装置の異常発生時における固体燃料の発火を防止するとともに、保護回路が作動するまでのタイムラグを短縮化することができる燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る燃料供給装置の保護システムは、固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置の保護システムであって、固体燃料を搬送するベルトを備え、前記固体燃料を供給する燃料供給装置と、前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する高さ検出部と、前記固体燃料の供給量を計測する計測部と、前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御部とを備える。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る固体燃料粉砕装置は、上述する燃料供給装置の保護システムと、前記燃料供給装置から供給される前記固体燃料を粉砕する粉砕機とを備える。
【0012】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係るボイラシステムは、上述する固体燃料粉砕装置と、前記固体燃料粉砕装置で粉砕した前記固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラとを備える。
【0013】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る燃料供給装置を保護する方法は、固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置を保護する方法であって、固体燃料を搬送するベルトを備えた燃料供給装置によって、前記固体燃料を供給する供給工程と、前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する検出工程と、前記固体燃料の供給量を計測する計測工程と、前記検出工程による検出結果及び前記計測工程による計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、燃料供給装置から供給される固体燃料の供給量に異常が有り、粉砕機への固体燃料の供給量が閾値よりも少なくなる時間を短縮化することができる。そして、燃料供給装置の異常発生時における固体燃料の発火を防止するとともに、保護回路が作動するまでのタイムラグを短縮化することができ、燃料供給装置を保護することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。
図2図1のボイラシステムに設けられた給炭機の模式的な縦断面図である。
図3図2の給炭機の模式的な側面図である。
図4図2の給炭機に設けられたパドルスイッチを示す模式的な縦断面図である。
図5A】給炭機内部におけるダウンスパウト部近傍の拡大図(正常時)である。
図5B】給炭機内部におけるダウンスパウト部近傍の拡大図(一部閉塞時)である。
図6】本開示の実施形態に係るボイラシステムに設けられた制御装置を示すブロック構成図である。
図7】固体燃料の供給に関する異常検知を行う際のタイミングチャートの例である。
図8】固体燃料の供給に関する異常を検知した際に、保護システムにより行われる制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本開示に係る燃料供給装置の保護システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。また、本実施形態では、上下方向と水平方向で同様な効果を得られるものは、紙面における上下方向が必ずしも鉛直上下方向に限定することなく、例えば鉛直方向に直交する水平方向に対応してもよい。
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るボイラシステム1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0019】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例としてバイオマス燃料や石炭等の固体燃料を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含むボイラシステム1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0020】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕機)10と、バンカ21と、給炭機(燃料供給装置)20と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御装置(制御部)50とを備えている。
【0021】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0022】
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル12と、粉砕ローラ13と、減速機(駆動伝達部)14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ(駆動部)15と、回転式分級機(分級部)16と、給炭管(燃料供給部)17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、給炭管17とを収容する筐体である。
ハウジング11の天井部42の中央部には、給炭管17が取り付けられている。この給炭管17は、バンカ21から給炭機20を介して導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0023】
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、給炭管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。給炭管17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間に挟み込んで粉砕する。
【0024】
固体燃料が給炭管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)100aから導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
粉砕テーブル12の外周には、一次空気流路100aから流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
また、本開示に係るミル10は、一次空気通風機31によって加圧された一次空気をミル10内に吹き込むことで、粉砕された固体燃料を乾燥しつつ、火炉210まで搬送する、いわゆる加圧式のミルである。このため、ハウジング11内の圧力が、外部(大気)の圧力よりも高い圧力となっている。
【0025】
粉砕ローラ13は、給炭管17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0026】
粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。給炭管17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
【0027】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動・変位可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置(粉砕荷重付与部)49が設けられている。押圧装置49は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に粉砕荷重を付与する。粉砕荷重は、例えば、ミル10の外部に設置された油圧装置(図示省略)から供給される作動油の圧力により作動する油圧シリンダ(図示省略)によって与えられる。また、粉砕荷重は、ばね(図示省略)の反発力によって与えられてもよい。
【0028】
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。
【0029】
回転式分級機(分級部)16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転式分級機16は、制御装置50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に給炭管17の周りを回転する。
なお、分級部としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0030】
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から燃料供給路(微粉燃料供給管)100bへ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
【0031】
給炭管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、給炭管17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の中央部に供給する。給炭管17の上端には、給炭機20が接続されており、固体燃料が供給される。
【0032】
給炭機20は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部24によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部24の途中には、バンカ21からの固体燃料の排出状態を切り替える弁(コールゲート、図示省略)を設けてもよい。また、ダウンスパウト部24の途中には、バンカ21からの固体燃料が通過する際の擦過音を検知し、固体燃料の供給状態を監視するフローモニタ(図示省略)を設けてもよい。給炭機20は、搬送部22と、給炭機モータ23とを備える。搬送部22は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部24の下端部から排出される固体燃料を、給炭機モータ23の駆動力によって給炭管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、制御装置50からの信号によって、例えば、搬送部22のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
【0033】
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機20やバンカ21よりも圧力が高くなっている。バンカ21と給炭機20を接続するダウンスパウト部24の内部は、燃料が積層状態となっている。この固体燃料層により、ミル10からバンカ21に向けて、一次空気と微粉燃料が逆流を抑制するためのシール性(マテリアルシール)を確保している。
【0034】
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0035】
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御装置50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0036】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御装置50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0037】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御装置50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、例えば、ガス再循環通風機(図示省略)によってボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路100aからハウジング11の内部へ送風する一次空気中の酸素濃度を調整してもよい。一次空気中の酸素濃度を調整することによって、例えば、着火性の高い(着火しやすい)固体燃料を使用する場合、ミル10からバーナ220に至るまでの経路において、固体燃料が着火することを抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータを、制御装置50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路100aからハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から燃料供給路100bへ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口一次空気温度)や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の温度(ミル出口一次空気温度)を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、固体燃料の性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却されるため、ミル入口の一次空気温度は、例えば常温から約300度程度、ミル出口の一次空気温度は、例えば常温から約90度程度となる。
【0039】
制御装置50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御装置50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御装置50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御装置50は、例えば給炭機モータ23へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御装置50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御装置50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度(ミル出口一次空気温度)が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。なお、一次空気の温度の制御は、ミル入口における温度(ミル入口一次空気温度)に対して行ってもよい。
【0040】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0041】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
【0042】
バーナ220は、燃料供給路100bから供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0043】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、ボイラシステム1を構成する。
【0044】
次に、給炭機20の詳細について、図2から図5を用いて説明する。図2は、図1のボイラシステム1に設けられた給炭機20の模式的な縦断面図である。また、図3は、図2の給炭機20の模式的な側面図である。図2及び図3に示すように、給炭機20は、外殻を為す筐体60と、筐体60の内部に配置される搬送部22と、搬送部22へ駆動力を供給する給炭機モータ23と、を備えている。
【0045】
筐体60は、内部に空間を形成している筒状の部材である。筐体60は、内部に形成された空間の上端を規定する天井部61と、空間の下端を規定する底面部62と、空間の側方を規定する側壁部63と、を有している。なお、筐体60は、内部圧力に対する耐圧容器として円筒状であるが、内部圧力に応じて耐久性が確保できれば箱状の形態であってもよい。筐体60は、天井部61にダウンスパウト部24の下端が接続している。また、筐体60は、底面部62に給炭管17の上端が接続している。給炭管17は、鉛直方向に沿って延びる部材であって、下端がミル10の内部に位置している(図1参照)。給炭機20から排出された固体燃料は、給炭管17の内部を流通し、ミル10へ供給される。
【0046】
搬送部22は、ダウンスパウト部24の下端と筐体60の天井部61との接続部分の鉛直下方に配置される。搬送部22は、いわゆるベルト式の搬送装置であって、ベルト25の移動とともに回転する複数のベルトローラを備えている。本実施形態では、このベルトローラには、ベルト25に対して所定の張力を付与している駆動ローラ26及びテイクアップローラ27と、ベルト25にかかる荷重を支持する計量スパンローラ71及び計量ローラ72と、を含んでいる。搬送部22は、給炭機モータ23からの駆動力によって回転する駆動ローラ26と、駆動ローラ26の回転に伴って移動するベルト25と、ベルト25の移動に伴って回転するテイクアップローラ27と、を備えている。駆動ローラ26とテイクアップローラ27とは、所定方向(搬送部22の長手方向)に離間して配置されている。詳細には、駆動ローラ26は、搬送部22の長手方向の一端部に配置され、テイクアップローラ27は、搬送部22の長手方向の他端部に配置されている。ベルト25は、無端状であって、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27によって走行方向が折り返されている。駆動ローラ26とテイクアップローラ27は、所定距離だけ離間して配置されることでベルト25を支持するとともに、ベルト25に対して所定の張力を付与している。
【0047】
駆動ローラ26は、図3に示すように、ベルト25と当接する円柱状の駆動ローラ本体部26aと、駆動ローラ本体部26aの長手方向の両端に設けられ水平方向に延在する駆動ローラ軸部26bを備える。駆動ローラ本体部26aと駆動ローラ軸部26bとは中心軸線が同軸となるように配置されている。各駆動ローラ軸部26bは、筐体60の側壁部63を貫通し、筐体60の外部に突出している。2つの駆動ローラ軸部26bのうちの1つは、筐体60の外部に配置される給炭機モータ23に連結されている。各駆動ローラ軸部26bと側壁部63との間には、駆動ローラ軸部26bを回転可能に支持する軸受26cが設けられている。駆動ローラ26は、給炭機モータ23からの駆動力によって、駆動ローラ本体部26a及び駆動ローラ軸部26bの中心軸線を中心に回転する。駆動ローラ26の回転にともなって、駆動ローラ本体部26aと接触するベルト25が移動する。駆動ローラ26は、給炭管17の上端と筐体60の底面部62との接続部分の鉛直上方に配置されている。
【0048】
テイクアップローラ27は、ベルト25と当接する円柱状のテイクアップローラ本体部27aと、テイクアップローラ本体部27aの長手方向の両端に設けられ水平方向に延在するテイクアップローラ軸部27bを備える。テイクアップローラ本体部27aとテイクアップローラ軸部27bとは中心軸線が同軸となるように配置されている。各テイクアップローラ軸部27bは、軸受を介して筐体60に対して回転可能に支持されている。テイクアップローラ27は、ベルト25の移動に伴って、水平方向に沿って延びる中心軸線を中心に回転する。テイクアップローラ27は、ダウンスパウト部24の下端と筐体60の天井部61との接続部分の鉛直下方に配置されている。
【0049】
また、給炭機20には、ベルト25上の固体燃料の重量を計測する計測装置(計測部)70が設けられている。計測装置70は、2つの計量スパンローラ71と、1つの計量ローラ72と、2つ(一対)のロードセル73(重量計測部)と、を備えている。なお、計測装置70は、制御装置50と双方向に電気通信可能であり、計測装置70によって計測された固体燃料の重量が制御装置50へ送信される。
【0050】
2つの計量スパンローラ71は、駆動ローラ26とテイクアップローラ27との間の領域に設けられている。また、2つの計量スパンローラ71のスパンローラ軸部71bは、搬送部22の長手方向に所定距離(計量スパンL)だけ離間して配置されている。また、2つの計量スパンローラ71は、無端状のベルト25が規定する空間(ベルト25の上面と下面の間)に配置されており、ベルト25の上面(固体燃料が積載される面)をベルト25の下方側から支持している。
【0051】
計量ローラ72は、駆動ローラ26とテイクアップローラ27との間に設けられている。詳細には、2つの計量スパンローラ71同士の離間した所定距離(計量スパンL)の略中央に設けられている。計量ローラ72は、無端状のベルト25が規定する空間(ベルト25の上面と下面の間)に配置されており、ベルト25の上面(固体燃料が積載される面)をベルト25の下方側から支持している。
【0052】
2つの計量スパンローラ71及び計量ローラ72とベルト25との接触位置(計量スパンローラ71及び計量ローラ72の長手方向に直交する断面では円周上端点)は、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27とベルト25との接触位置(駆動ローラ26及びテイクアップローラ27の長手方向に直交する断面では円周上端点)よりも、わずかに上方に位置している。さらに、計量ローラ72のベルト25との接触位置(長手方向に直交する断面では円周上端点)は、2つの計量スパンローラ71のベルト25との接触位置(長手方向に直交する断面では円周上端点)よりも、わずかに上方に(例えば2mm~10mm)位置している。これにより、2つの計量スパンローラ71とその間に設けた計量ローラ72は、計量スパンLの所定距離間のベルト25の重量と、計量スパンLの所定距離間のベルト25の所定領域内に積載されている固体燃料の重量とを合計した荷重を支持していて、この荷重値は後述するように計量ローラ72を介したロードセル73での計測値となる。
【0053】
ロードセル73は、図2に示すように、上部は筐体60の天井部61から懸架されており、下部は計量ローラ72を回転可能に支持する軸受を介して連結されている。各ロードセル73は、搬送部22の長手方向と直交する方向に、ベルト25の両幅側に配置されており、一対となって、筐体60の天井部61から計量ローラ72を懸架している。これにより、ロードセル73は、計量ローラ72を介して、計量スパンL間の所定領域内のベルト25に積載されている固体燃料の重量を計測することができる。具体的には、ベルト25上に固体燃料が積載されていない場合のロードセル出力を積載重量のゼロ点(風袋重量)として設定することで、ベルト25上に固体燃料が積載されている場合のロードセル出力から、計量スパンL間の所定領域内のベルト25上に積載されている固体燃料の重量を計測することができる。これにより給炭機20への固体燃料の供給状態を検知することができる。また、ベルト25上に積載されている固体燃料の重量とベルト25の移動速度から、ミル10へ供給される固体燃料の量を算出し、給炭機モータ23の回転数を調整することでミル10へ供給される固体燃料の量を制御する。
【0054】
給炭機20には、図2及び図4に示すように、ベルト25上に固体燃料が積載されているか否かを検出するパドルスイッチ(高さ検出部)91が設けられている。パドルスイッチ91は、ベルト25の上方に設けられている。パドルスイッチ91は、板状の部材であって、上端が回動可能に固定されている。また、パドルスイッチ91は、下端がベルト25の上面から所定の距離離間するように配置されている。図4に示すように、ベルト25上の固体燃料がパドルスイッチ91の下端を押し上げることで、ベルト25上に固体燃料が積載されている状態、すなわちON状態であることを検知する。このように、パドルスイッチ91は、ベルト25上に積載される固体燃料の高さを検出する。なお、パドルスイッチ91は、制御装置50と双方向に電気通信可能であり、パドルスイッチ91によって検出された固体燃料の高さが制御装置50へ送信される。
【0055】
図5Aは、給炭機内部におけるダウンスパウト部24近傍の拡大図(正常時)である。図5Bは、給炭機内部におけるダウンスパウト部24近傍の拡大図(一部閉塞時)である。上述の通り、ダウンスパウト部24を介して給炭機20へ供給される固体燃料は、ベルト25上に積載されて、ミル10へ供給される。通常に供給される場合は、図5Aに示すように、ダウンスパウト部24の断面の略全域において、固体燃料がベルト25上を移動する。ここで、固体燃料がバイオマス等の繊維状の物質を含む燃料である場合、ダウンスパウト部24から給炭機20のベルト25上に供給される固体燃料の供給路(ダウンスパウト部24の下端からベルト25の上面との隙間)の断面積が、ダウンスパウト部24の下端に引っ掛かった固体燃料によって部分的に閉塞されてしまう場合がある(図5Bにおける一点鎖線範囲及び破線部)。この場合、パドルスイッチ91によって、ベルト25上に積載される固体燃料の高さの検出結果と実際に供給される燃料の供給量に不整合が生じてしまう。
本実施形態においては、後述の制御により、給炭機20からミル10へ供給される固体燃料の供給量の異常有無を正確に検知する。
【0056】
図6は、本開示の実施形態に係るボイラシステム1に設けられた制御装置50を示すブロック構成図である。制御装置50は、図6に示すように、計測装置70によって計測されたベルト25上の固体燃料の重量の計測結果、及びパドルスイッチ91によって検出されたベルト25上の固体燃料の高さの検出結果を受信する受信部51と、受信部51が受信した検出結果及び計測結果が所定条件を満たすか否かを判断する判断部52と、記憶部53と、判断部52の判断結果に基づいて給炭機20を停止する停止部54と、ミル10への熱空気の供給を停止する粉砕機制御部55とを備えている。
制御装置50は、後述する構成により、給炭機20及びミル10の制御を行う。また、制御装置50は、保護システムの構成要素である。保護システムは、上述の給炭機20、給炭機20が備えるベルト25、計測装置70、パドルスイッチ91及び制御装置50から構成される。
【0057】
受信部51は、計測装置70及びパドルスイッチ91のそれぞれから送信される計測結果又は検出結果を受信する。なお、受信部51は、ボイラシステム1が備えるその他の構成要素の状態量を受信可能であってもよい。
【0058】
判断部52は、計測装置70の計測結果及びパドルスイッチ91の検出結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する。例えば、判断部52が、計測装置70の計測結果が予め定められた閾値以上であり、パドルスイッチ91の検出結果がON状態であると判断した場合、固体燃料が正常に供給されている状態であるため、制御装置50は給炭機20及びミル10の制御に関して現在の制御を継続する。
【0059】
また、判断部52が、計測装置70の計測結果が予め定められた閾値未満であり、かつ、パドルスイッチ91の検出結果がOFF状態であると判断した場合、固体燃料の供給に関する異常が発生している状態(例えば、ダウンスパウト部24で固体燃料の閉塞が発生し、給炭機20のベルト25上へ固体燃料が正常に供給されない状態など。)であるため、制御装置50は停止部54を介して給炭機20を停止させる。給炭機20が停止されると、制御装置50はミル10への熱空気の供給を停止し、一次空気の温度が低下するように制御を行う。
【0060】
記憶部53は、判断部52が判断を行う際に用いる所定条件を記憶している。所定条件は、例えば、各計測結果と比較する際に用いられる予め定められた閾値を記憶している。
【0061】
停止部54は、判断部52が、計測装置70の計測結果が予め定められた閾値未満であり、かつ、パドルスイッチ91の検出結果がOFF状態であると判断した場合に、固体燃料の供給が異常状態であると判断し、停止警報を発信して、給炭機20を停止させる。
【0062】
また、粉砕機制御部55は、判断部52が、計測装置70の計測結果が予め定められた閾値未満であり、かつ、パドルスイッチ91の検出結果がOFF状態であると判断した場合に、ミル10へ供給される搬送用ガスの温度を低減するように、送風部30の運転条件を制御する。具体的には、例えば、熱ガスダンパ30c及び冷ガスダンパ30dの各開度を制御することにより、搬送用ガスの温度を低減する。
【0063】
なお、本実施形態では、判断部52が、計測装置70の計測結果及びパドルスイッチ91の検出結果に基づいて、給炭機20の燃料供給に関する異常が発生しているか否かを判断しているが、その態様は一意に限定されるものではない。例えば、固体燃料がバイオマス等の繊維状の燃料である場合、ダウンスパウト部24から給炭機20のベルト25上を移動するように供給される固体燃料の供給路が、堆積した固体燃料によって部分的に閉塞され、固体燃料の高さの検出結果と実際に供給される燃料の供給量に不整合が生じることがある。このため、計測装置70の計測結果と所定条件の値との差が大きい場合には、パドルスイッチ91の検出結果がON状態であっても、給炭機20及びミル10に関する異常が有ると判断してもよい。
また、計測装置70の計測結果及びパドルスイッチ91の検出結果のそれぞれに重みづけを行い、計測装置70の計測結果及びパドルスイッチ91の検出結果に基づいて、燃料供給に関する異常の有無を判断する際に、一方の結果を優位に扱うこととしてもよい。
【0064】
上述する制御装置50の構成によって、固体燃料の供給に関する異常発生時に異常を検知し、保護動作を行う保護システムが実現される。
【0065】
図7は、固体燃料の供給に関する異常検知を行う際のタイミングチャートの例である。チャート(a)において、横軸は時間であり、縦軸はパドルスイッチ91のON/OFF状態である。チャート(b)において、横軸は時間であり、縦軸はミルモータ15の電流値である。チャート(c)において、横軸は時間であり、縦軸は計測装置70で計測された固体燃料供給量である。また、図中の(1)の時点は、上述する保護システムによって、パドルスイッチ91の検出結果及び計測装置70で計測された固体燃料の供給量に基づいて異常を検知するタイミングを示し、図中の(2)の時点は、ミルモータ15の電流値により異常を検知するタイミングを示す。
【0066】
図7に示すように、パドルスイッチ91がOFF状態となり、かつ、固体燃料供給量が所定の閾値を下回ったタイミング(図中(1)時点)に対して、ミルモータ15の電流値が所定の閾値を下回ったタイミング(図中(2)時点)は遅れている。
【0067】
固体燃料は、バンカ21から給炭機20を経過してミル10へ供給される。すなわち、ミルモータ15の電流値に基づいて燃料供給に関する異常を検知するよりも、ミル10の上流側に位置する給炭機20においてパドルスイッチ91の出力及び固体燃料の供給量に基づいて固体燃料の供給に関する異常を検知した方が、早いタイミングで異常を検知することができる。このように、固体燃料の供給に関する異常を早期に検知することにより、保護動作を適切に実行することができる。
【0068】
図8は、固体燃料の供給に関する異常を検知した際に、保護システムにより行われる制御のフローチャートである。
まず、ステップS1において、制御装置50は、給炭機20及びミル10の現在の運転を継続するか否かを判断する。制御装置50が運転を継続すると判断した場合(S1:YES)には、ステップS2に進む。制御装置50が運転を継続しないと判断した場合(S1:NO)には、ステップS5に進み、以降の処理が行われる。
【0069】
ステップS2において、制御装置50は、計測装置70で計測された固体燃料の供給量が予め定められた閾値未満であるか否かを判断する。固体燃料の供給量が予め定められた閾値未満ではないと判断された場合(S2:NO)には、ステップS1に戻り、以降の処理を行う。固体燃料の供給量が予め定められた閾値未満であると判断された場合(S2:YES)、ステップS3に進み、以降の処理を行う。
【0070】
ステップS3において、制御装置50は、パドルスイッチ91の出力がON/OFF状態のいずれであるかを判断する。パドルスイッチ91の出力がOFF状態の場合(S3:YES)には、ステップS4に進む。パドルスイッチ91の出力がON状態の場合(S3:NO)には、ステップS1に戻り、以降の処理を行う。
【0071】
ステップS4では、制御装置50は、停止警報を発信する。そして、停止警報を発信した後、ステップS5に進む。
【0072】
ステップS5では、制御装置50は、給炭機20を停止させる。そして、給炭機20を停止した後、ステップS6に進む。
【0073】
ステップS6では、制御装置50は、ミル10を停止させる。そして、本処理を終了する。
以上が、固体燃料の供給に関する異常を検知した際に、保護システムにより行われる制御のフローである。
【0074】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ミルモータ15の電流に基づいて燃料供給に関する異常を検知する場合、異常が発生する前にミル10に供給されて残留している固体燃料が減少して、ミルモータ15の電流値が低下するまでにタイムラグがあり、検知に時間を要していた。このため、保護動作の開始が遅れてしまい、固体燃料が発火する虞があった。
本実施形態では、制御装置50は、給炭機20のベルト25上の固体燃料の高さを検出するパドルスイッチ91の検出結果及び固体燃料の供給量を計測する計測装置70の計測結果に基づいて給炭機20とミル10に対する保護動作を開始する。制御装置50は、ミルモータ15よりも上流側に位置する給炭機20に備えられた計測装置70及びパドルスイッチ91の検出結果に基づいて、燃料供給に関する異常が発生していると判断できる。これにより、ミルモータ15の電流に基づいて異常を検知する場合よりも、燃料供給に関する異常の発生を早期に検知し、異常発生時における保護動作開始のタイムラグを短縮化することができ、燃料供給装置を保護することができる。
【0075】
また、パドルスイッチ91の検出結果のみで欠炭の有無を判断する場合において、固体燃料がバイオマス等の繊維状の物質を含む燃料である場合、ダウンスパウト部24から給炭機20のベルト25上に供給される固体燃料の供給路(ダウンスパウト部24の下端からベルト25の上面との隙間)が、ダウンスパウト部24の下端に引っ掛かった固体燃料によって部分的に閉塞され、パドルスイッチ91による固体燃料の高さの検出結果と実際に供給される燃料の供給量に不整合が生じることがある。本実施形態によれば、パドルスイッチ91の検出結果のみではなく、固体燃料の重量を計測する計測装置70の計測結果とあわせて燃料供給に関して異常が発生していると判断するため、ベルト25上に供給される固体燃料の供給路が部分的に閉塞される場合においても、燃料供給装置から粉砕機へ供給される固体燃料の供給量の異常有無を正確に検知することができる。
【0076】
また、制御装置50は、判断部52と停止部54を備えていてもよい。判断部52は、ベルト25上の固体燃料の高さを検出するパドルスイッチ91の検出結果及び固体燃料の供給量を計測する計測装置70の計測結果に基づいて、燃料供給に関する異常が有ると判断した場合に、停止部54を介して給炭機20を停止させる。給炭機20が停止されると、制御装置50はミル10への熱空気の供給を停止し、一次空気の温度が低下するように制御を行う。これにより、固体燃料の供給量が所定条件を満たしていない場合には、燃料供給装置を停止させ、さらに粉砕機へ供給される一次空気の温度を低減するので、固体燃料の発火などを防止して、燃料供給装置及び粉砕機を保護することができる。
【0077】
(変形例1)
次に、上述の第1実施形態の変形例について、説明する。第1実施形態における計測装置70は、給炭機20のベルト25上における所定区間の固体燃料の重量を計測していたが、本変形例における計測装置は、バンカ21内に貯留された固体燃料の重量を計測する。さらに、制御装置50は、所定期間におけるバンカ21内に貯留された固体燃料の重量の変化量から、給炭機20からミル10へ供給される固体燃料の供給量を演算する。すなわち、制御装置50は、パドルスイッチ91の検出結果及びバンカ21内に貯留された固体燃料の重量の計測結果に基づいて、燃料供給に関する異常が発生している否かを判断する。なお、本変形例における計測装置は、例えば、バンカ内に貯留される固体燃料の重量を計測するためにバンカ21に設置されたロードセル(図示省略)である。
【0078】
本変形例によれば、固体燃料の供給経路において、給炭機20よりも更に上流側に位置するバンカ21内に貯留された固体燃料の重量変化に基づいて、燃料供給に関する異常が発生している否かを判断することができるため、第1実施形態よりも更に早期にミル10への燃料供給に関する異常を検知し、保護動作を開始するまでの時間を短縮化することができる。
【0079】
(変形例2)
次に、上述の第1実施形態の変形例について、説明する。第1実施形態における計測装置70は、給炭機20のベルト25上における所定区間の固体燃料の重量を計測していたが、本変形例における計測装置(貯留高さ計測部)は、バンカ21内に貯留された固体燃料の貯留高さを計測する。制御装置50は、本計測装置の計測結果に基づいてバンカ21内に貯留される固体燃料の体積を推定する。さらに、制御装置50は、所定期間におけるバンカ21内に貯留された固体燃料の体積の変化量から、給炭機20からミル10へ供給される固体燃料の供給量を演算する。すなわち、制御装置は、パドルスイッチ91の検出結果及びバンカ21内に貯留された固体燃料の体積変化の計測結果に基づいて、燃料供給に関する異常が発生しているか否かを判断する。なお、本変形例において、計測装置は、例えば、バンカ21内に貯留される固体燃料の貯留高さを計測するためにバンカ21に設置されたレベルセンサ(図示省略)である。
【0080】
本変形例によれば、固体燃料の供給経路において、給炭機20よりも更に上流側に位置するバンカ21内に貯留される固体燃料の体積変化に基づいて、燃料供給に関する異常が発生している否かを判断することができるため、第1実施形態よりも更に早期にミル10への燃料供給に関する異常を検知し、保護動作を開始するまでの時間を短縮化することができる。
【0081】
(変形例3)
さらに、第1実施形態の他の変形例について、説明する。第1実施形態における計測装置70は、給炭機20のベルト25上における所定区間の固体燃料の重量を計測していたが、本変形例における計測装置(体積計測部)は、給炭機20のベルト25上における所定区間の固体燃料の体積を計測する。さらに、制御装置50は、演算部(図示省略)を更に備え、演算部は、ベルト25上の固体燃料の体積に基づいて重量流量を演算する。そして、演算部の演算結果とパドルスイッチ91の検出結果に基づいて、燃料供給に関する異常の有無を判断する。このように、ミル10への燃料供給の異常の有無を判断する場合において、所定区間における固体燃料の重量に代わって体積から算出した重量流量を用いてもよい。なお、本変形例における計測装置は、例えば、バンカ21内に貯留される固体燃料の体積を計測するために給炭機20に設置されたレーザー体積計である。
【0082】
この場合においても、ミルモータ15の電流値に基づいて燃料供給に関する異常を検知するよりも早いタイミングで燃料供給に関する異常を検知することができる。
なお、演算部が重量流量を演算する際において、記憶部53に固体燃料の供給経路の断面積が予め記憶されており、演算部の演算処理に用いられることとしてもよい。また、演算部の演算に用いられる、その他の情報についても記憶部53が記憶していることとしてもよい。
【0083】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
なお、使用する固体燃料は、本開示に限定されず、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)などを用いることができる。さらに、それらの固体燃料を組み合わせて使用してもよい。
【0084】
(付記事項)
上述した実施形態に記載の燃料供給装置の保護システム、固体燃料粉砕装置、ボイラシステム及び燃料供給装置を保護する方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る燃料供給装置の保護システムは、固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置の保護システムであって、固体燃料を搬送するベルト(25)を備え、前記固体燃料を供給する燃料供給装置(20)と、前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する高さ検出部(91)と、前記固体燃料の供給量を計測する計測部(70)と、前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御部(50)とを備える。
【0085】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムよれば、制御部は、燃料供給装置が備えるベルト上の固体燃料の高さを検出する高さ検出部の検出結果及び固体燃料の供給量を計測する計測部の計測結果に基づいて燃料供給装置を制御する。ここで、固体燃料がバイオマス等の繊維状の燃料である場合、固体燃料の供給路の断面積が、堆積した固体燃料によって部分的に閉塞され、固体燃料の高さの検出結果と実際に供給される燃料の供給量に不整合が生じることがある。このため、制御部は、高さ検出部の検出結果だけでなく、計測部の計測結果も考慮して燃料供給装置を制御する。このように、制御部によって、ベルト上の固体燃料の高さ及び固体燃料の供給量に基づいて燃料供給装置が制御されることにより、固体燃料の供給路の断面積が部分的に閉塞される場合においても、燃料供給装置から粉砕機へ供給される固体燃料の供給量をより正確に制御することができる。これにより、燃料供給装置から供給される固体燃料の供給量に異常が有り、粉砕機への固体燃料の供給量が閾値よりも少なくなる時間を短縮化することができる。そして、燃料供給装置の異常発生時における固体燃料の発火を防止するとともに、保護回路が作動するまでのタイムラグを短縮化することができ、燃料供給装置を保護することができる。
なお、固体燃料の供給量とは、例えば、所定区間の固体燃料の重量又は体積流量等に基づく供給量である。
【0086】
本開示の第2態様に係る燃料供給装置の保護システムは、前記第1態様において、前記制御部は、前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する判断部(52)と、前記判断部が前記所定条件を満たさないと判断した場合に、前記燃料供給装置を停止させる停止部(54)とを備える。
【0087】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムによれば、制御部は、高さ検出部の検出結果及び計測部の計測結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する判断部と、燃料供給装置を停止させる停止部とを備える。例えば、高さ検出部によって検出された高さ及び計測部によって計測された固体燃料の供給量のそれぞれが、判断部によって予め定められた閾値未満であると判断された場合、すなわち、粉砕機へ供給される固体燃料の量が不足すると判断された場合、燃料供給装置が停止部によって停止される。これにより、固体燃料の供給量が所定条件を満たしていない場合には、燃料供給装置を停止させるので、燃料供給装置を保護することができる。
【0088】
本開示の第3態様に係る燃料供給装置の保護システムは、前記第1態様又は第2態様において、前記計測部は、前記ベルト上の所定区間の前記固体燃料の重量を計測する重量計測部である。
【0089】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムよれば、計測部は、ベルト上の所定区間の固体燃料の重量を計測する重量計測部である。これにより、制御部は、ベルト上の固体燃料の搬送不良を早期に把握することができる。また、粉砕機へ固体燃料を供給するよりも前の時点において固体燃料の供給量が適正量であるかを把握し、燃料供給装置の制御に反映することができる。したがって、固体燃料の供給に関して適切な制御を行うまでのタイムラグを短縮化することができるとともに燃料供給装置を保護することができる。
【0090】
本開示の第4態様に係る燃料供給装置の保護システムは、前記第1態様又は第2態様において、前記計測部は、前記ベルト上の前記固体燃料の体積を計測する体積計測部であり、前記制御部は、前記体積計測部によって計測された前記ベルト上の前記固体燃料の体積から重量を演算する演算部を備える。
【0091】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムよれば、計測部は、前記ベルト上の前記固体燃料の体積を計測する体積計測部であり、制御部は、体積計測部によって計測されたベルト上の前記固体燃料の体積から重量を演算する。これにより、制御部は、ベルト上の固体燃料の搬送不良を早期に把握することができる。また、粉砕機へ固体燃料を供給するよりも前の時点において固体燃料の供給量が適正量であるかを把握し、燃料供給装置の制御に反映することができる。したがって、固体燃料の供給に関して適切な制御を行うまでのタイムラグを短縮化することができるとともに燃料供給装置を保護することができる。
【0092】
本開示の第5態様に係る燃料供給装置の保護システムは、前記第1態様又は第2態様において、前記燃料供給装置は、前記固体燃料が貯留された貯留部(21)と接続され、前記計測部は、前記貯留部に貯留された前記固体燃料の単位時間当たりの重量変化を計測する重量計測部である。
【0093】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムよれば、燃料供給装置は、燃料供給装置が搬送する固体燃料が貯留された貯留部と接続され、計測部は、前記貯留部に貯留された固体燃料の単位時間当たりの重量変化を計測する重量計測部である。これにより、制御部は、粉砕機へ固体燃料を供給するよりも前の時点において固体燃料の供給量が適正量であるかを把握し、燃料供給装置の制御に反映することができる。したがって、固体燃料の供給に関して適切な制御を行うまでのタイムラグを短縮化することができるとともに燃料供給装置を保護することができる。
【0094】
本開示の第6態様に係る燃料供給装置の保護システムは、前記第1態様又は第2態様において、前記燃料供給装置は、前記固体燃料が貯留された貯留部(21)と接続され、前記計測部は、前記貯留部に貯留された前記固体燃料の単位時間当たりの体積変化を計測する貯留高さ計測部であり、前記制御部は、前記貯留高さ計測部によって計測された単位時間当たりの体積変化から重量を演算する演算部を備える。
【0095】
本開示に係る燃料供給装置の保護システムよれば、燃料供給装置は、燃料供給装置が搬送する固体燃料が貯留された貯留部と接続され、計測部は、貯留部に貯留された固体燃料の単位時間当たりの重量変化を計測する重量計測部であり、制御部は、貯留高さ計測部によって計測された単位時間当たりの体積変化から重量を演算する。これにより、制御部は、粉砕機へ固体燃料を供給するよりも前の時点において固体燃料の供給量が適正量であるかを把握し、燃料供給装置の制御に反映することができる。したがって、固体燃料の供給に関して適切な制御を行うまでのタイムラグを短縮化することができるとともに燃料供給装置を保護することができる。
【0096】
本開示の第7態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記第1態様から第4態様のいずれかに記載の燃料供給装置の保護システムと、前記燃料供給装置から供給される前記固体燃料を粉砕する粉砕機(10)とを備える。
【0097】
本開示の第8態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記第7態様において、前記粉砕機内部において前記固体燃料を搬送するための搬送用ガスを前記粉砕機へ供給する搬送用ガス供給部を備え、前記制御部は、前記高さ検出部の検出結果及び前記計測部の計測結果のそれぞれが所定条件を満たすか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記所定条件を満たさないと判断した場合に、前記粉砕機へ供給される前記搬送用ガスの温度を低減するよう前記搬送用ガス供給部を制御する搬送用ガス供給制御部とを備える。
【0098】
本開示に係る燃料供給装置の固体燃料粉砕装置よれば、制御部が備える判断部によって燃料供給装置に異常が発生したと判断された場合において、搬送用ガス供給制御部は、粉砕機へ供給する搬送用ガスの温度を低減するよう搬送用ガス供給部を制御する。これにより、より確実に固体燃料の発火を防止するとともに、搬送用ガスが燃料供給装置へ到達することを防止する。これにより、固体燃料粉砕装置を保護することができる。
【0099】
本開示の第9態様に係るボイラシステムは、前記第7態様又は第8態様において、に記載の固体燃料粉砕装置と、前記固体燃料粉砕装置で粉砕した前記固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラ(200)とを備える。
【0100】
本開示の第10態様に係る燃料供給装置を保護する方法は、固体燃料を粉砕機へ供給する燃料供給装置を保護する方法であって、固体燃料を搬送するベルト(25)を備えた燃料供給装置(20)によって、前記固体燃料を供給する供給工程と、前記ベルト上の前記固体燃料の高さを検出する検出工程と、前記固体燃料の供給量を計測する計測工程と、前記検出工程による検出結果及び前記計測工程による計測結果に基づいて前記燃料供給装置を制御する制御工程とを有する。
【符号の説明】
【0101】
1 :ボイラシステム
10 :ミル(粉砕機)
11 :ハウジング
12 :粉砕テーブル
13 :粉砕ローラ
14 :減速機
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :給炭管(燃料供給部)
18 :分級機モータ
19 :出口ポート
20 :給炭機(燃料供給装置)
21 :バンカ
22 :搬送部
23 :給炭機モータ
24 :ダウンスパウト部
25 :ベルト
26 :駆動ローラ
26a :駆動ローラ本体部
26b :駆動ローラ軸部
26c :軸受
27 :テイクアップローラ
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
32 :押込通風機
34 :熱交換器
40 :状態検出部
45 :ジャーナルヘッド
47 :支持アーム
48 :支持軸
49 :押圧装置
50 :制御装置(制御部)
51 :受信部
52 :判断部
53 :記憶部
54 :停止部
60 :筐体
61 :天井部
62 :底面部
63 :側壁部
70 :計測装置
71 :計量スパンローラ
72 :計量ローラ
73 :ロードセル
91 :パドルスイッチ
100 :固体燃料粉砕装置
100a :一次空気流路
100b :燃料供給路
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8