(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145458
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20241004BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057817
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中込 正
(72)【発明者】
【氏名】田見 憲一朗
(72)【発明者】
【氏名】種子田 大幸
(72)【発明者】
【氏名】大迫 智弥
(72)【発明者】
【氏名】吉川 諒
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い駐車装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る駐車装置は、車両を載置可能な複数のパレットと、前記複数のパレットを昇降移動させるパレット駆動部と、前記複数のパレットに各々設置され、対応するパレットの傾きを検出して前記パレットの傾きを示す検出信号を出力する検出部と前記検出信号を送信する送信部とを含む、検出装置と、前記検出信号の伝送を中継する複数の中継部と、前記検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて前記パレット駆動部を制御する制御部と、を備え、前記パレット駆動部による駆動対象のパレットが決定されると、前記駆動対象のパレットに設置された検出装置から前記制御部への検出信号の送信経路が決定され、前記送信経路は、前記複数の中継部のうち少なくとも一つを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置可能な複数のパレットと、
前記複数のパレットを昇降移動させるパレット駆動部と、
前記複数のパレットに各々設置され、対応するパレットの傾きを検出して前記パレットの傾きを示す検出信号を出力する検出部と前記検出信号を送信する送信部とを含む、検出装置と、
前記検出信号の伝送を中継する複数の中継部と、
前記検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて前記パレット駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記パレット駆動部による駆動対象のパレットが決定されると、前記駆動対象のパレットに設置された検出装置から前記制御部への検出信号の送信経路が決定され、
前記送信経路は、前記複数の中継部のうち少なくとも一つを含む、駐車装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの中継装置は、前記複数のパレットの各々と前記制御部との関係に基づいて決定される、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記複数のパレットの各々と前記制御部との関係は、前記複数のパレットの各々と前記制御部との位置関係である、請求項2に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記複数のパレットの各々と前記制御部との関係は、前記複数のパレットの各々と前記制御部との通信強度である、請求項2に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記複数のパレットの各々と前記制御部との関係は、前記複数のパレットの各々と前記制御部との位置関係、及び前記複数のパレットの各々と前記制御部との通信強度である、請求項2に記載の駐車装置。
【請求項6】
前記複数の中継部のうちの少なくとも一つは、前記複数のパレットの設置される検出装置の何れかに設けられる、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項7】
前記複数の中継部のうちの少なくとも一つは、前記複数のパレット以外の定位置にそれぞれ設けられる、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項8】
前記複数のパレットの各々は、第1グループ又は前記第1グループとは異なる第2グループに属し、
前記第1グループには二つ以上のパレットが属し、
前記第2グループには二つ以上のパレットが属し、
前記複数の中継部のうちの一つの第1中継部は、前記第1グループに属するパレットのうちの一つのパレットに設置されて、前記第1グループに属する残りのパレットのうちの前記駆動対象のパレットに設置された検出装置から前記制御部への検出信号の送信経路である第1送信経路に含まれ、
残りの中継部のうちの一つの第2中継部は、前記第2グループに属するパレットのうちの一つのパレットに設置されて、前記第2グループに属する残りのパレットのうちの前記駆動対象のパレットに設置された検出装置から前記制御部への検出信号の送信経路である第2送信経路に含まれる、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項9】
前記第1中継部と前記第2中継部とは互いに通信可能である、請求項8に記載の駐車装置。
【請求項10】
前記第2中継部は、前記第1送信経路に含まれる、請求項9に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一実施形態は、自動車などの車両を駐車するための駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車装置として、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、いわゆる多段式駐車装置が知られている。多段式駐車装置では、パレットを上下方向に昇降させ、または左右方向に横行させることにより、入出庫口に移動したパレットに車両を入出庫させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-126835号公報
【特許文献2】特開平4-319184号公報
【特許文献3】特開2020-002553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多段式駐車装置におけるパレットの昇降動作は、主に、パレットに設置された吊チェーンの巻き上げ、または巻き下げによって行われる。このようなパレットの昇降時、複数の吊チェーンの同期誤差などによりパレットの水平姿勢が維持できずにパレットが傾く虞がある。パレットが傾いた状態でパレットの昇降動作が実行されると、パレットが装置を損傷させたり、パレットに載置された車両が傾いて車両、装置またはその双方が損傷したりする可能性がある。車両、装置またはその双方の損傷を防止するため、パレットの傾きが大きい場合にパレットの移動を停止させることがある。この場合、パレットの移動を制御する制御装置の位置とパレットの位置とが離れていると、パレットから制御装置に送信されるパレットの傾き異常を知らせる信号が制御装置に届かないことがある。また、パレット上に載置された車両などの障害物により、パレットから制御装置に送信されるパレットの傾き異常を知らせる信号が遮られ、該信号が制御装置に届かないことがある。
【0005】
本開示の一実施形態は、上記問題に鑑み、信頼性の高い駐車装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る駐車装置は、車両を載置可能な複数のパレットと、前記複数のパレットを昇降移動させるパレット駆動部と、前記複数のパレットに各々設置され、対応するパレットの傾きを検出して前記パレットの傾きを示す検出信号を出力する検出部と前記検出信号を送信する送信部とを含む、検出装置と、前記検出信号の伝送を中継する複数の中継部と、前記検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて前記パレット駆動部を制御する制御部と、を備え、前記パレット駆動部による駆動対象のパレットが決定されると、前記駆動対象のパレットに設置された検出装置から前記制御部への検出信号の送信経路が決定され、前記送信経路は、前記複数の中継部のうち少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、信頼性の高い駐車装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な側面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な正面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な正面図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る駐車装置における、検出装置から制御装置への信号の送信経路を説明するための概略図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る駐車装置において、中継器の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な側面図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す模式的な正面図である。
【
図14】本開示の一実施形態に係る検出装置の制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、b、A、Bなど)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0010】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0011】
また、本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αはA乃至Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0012】
<第1実施形態>
[駐車装置100の構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示す模式的な側面図である。
図2は、本開示の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示す模式的な正面図である。
図1及び
図2では、本開示の一実施形態に係る駐車装置100の主たる構成を示す。本明細書では、駐車装置100の入出庫口がある面を正面とし、その反対側を背面として説明する。駐車装置100の正面から背面に向かう方向、または駐車装置100の背面から正面に向かう方向(すなわち、車両Vが駐車装置100に入出庫する方向)を前後方向として説明する。
【0013】
駐車装置100は、複数の車両Vが駐車可能である立体駐車装置である。駐車装置100は、支柱102と、支柱102間に架設される梁103とによって主に構成される骨格構造を有し、1台分の車両Vが収容可能な区画化された複数の車両載置領域を有する。駐車装置100には、車両Vを載置するパレット104が設置されている。
【0014】
本実施形態において、駐車装置100は、一例として、車両Vが積み重なる上下方向(昇降方向)に4段、車両Vが並置される左右方向(水平方向)に4連の駐車領域を有する。駐車装置100では、車両Vを昇降し、または横行するための予備的空間を必要とする。予備的空間を除くと、駐車装置100は、最大14台の車両Vを駐車し、収容することができる。すなわち、駐車装置100は、PS1~PS14で示す14個の車両載置領域を有する。車両Vが載置されるパレット104は、各車両載置領域に設置されている。
【0015】
本実施形態の駐車装置100は、
図1及び
図2に示された構造に限定されない。駐車装置100は、上下方向に4段未満または5段以上の構造を有していてもよく、左右方向に4連未満または5連以上の構造を有していてもよい。
【0016】
駐車装置100では、パレット104を上下方向に昇降及び左右方向に水平移動させることで、目的とするパレット104を入出庫口へ移動させて車両Vの出し入れを行う。
【0017】
図1及び
図2に示す駐車装置100は、1段~4段のパレット104を昇降させる方式であるが、駐車装置100は、このような方式に限られない。例えば、駐車装置100のパレット104が存在しない1段に、2段~4段のパレット104を昇降させる方式、駐車装置100の1段のパレット104を地下ピットに沈みこませて、2段~4段のパレット104を1段に降下させる方式、1段~3段のパレット104を前後方向にスライドさせて、2段~4段のパレット104を1段に降下させる方式、またはこれらを組み合わせた方式など、本実施形態に係る駐車装置100は、様々な方式を適用することができる。
【0018】
図1に示すように、パレット104には、車両Vの背面側への移動を防止する車止め105が設けられてもよい。車止め105は、パレット104において、車両Vの進行方向の駐車領域を定める。車止め105は、パレット104の背面側に設けられる。車止め105の高さは、車両Vの車高よりも低い。車止め105は、車両Vの後輪の背面側への動きを抑制し、車両Vがパレット104外にはみ出ることを防止する。車両Vがフロント側から駐車装置100に入庫する場合、車止め105は車両Vの前輪の動きを抑制してもよい。
【0019】
パレット104は、昇降機106により支柱102に沿って昇降可能に設けられている。また、パレット104は、水平方向(
図1における奥行き方向、
図2における左右方向)に沿って移動可能に設けられている。パレット104は、水平方向に平行に設けられる水平ガイドレール(図示せず)に沿って移動してもよい。骨格構造の中でパレット104は、複数の車両Vを縦方向に積み重ねたとき、車両同士が干渉しない程度の間隔を空けて設けられている。
【0020】
駐車装置100は、操作盤220により操作される。操作盤220は、駐車装置100の外側に設けられている。一例として、
図1に示すように、駐車装置100の入出庫口(図右側下部)の近くの支柱102に操作盤220が取り付けられていてもよい。
【0021】
操作盤220は、駐車装置100を制御する制御装置200と有線または無線にて通信を行う。制御装置200は、複数のパレット104の昇降動作などの駐車装置100のあらゆる動作を制御する。
図1では、車両Vの後方に制御装置200を備える例を示している。
【0022】
駐車装置100の1段(地上段)は、車両Vの入出庫口を有する。図示はしないが、駐車装置100入出庫口には、ゲートが設置されてもよい。ゲートは、車両Vの出庫時には、パレット104が入出庫口まで移動されると開放され、車両Vを出庫した後に操作盤220でゲートを閉める操作がなされることによって閉じられる。車両Vの入庫時には、操作盤220でゲートを開ける操作がなされることで開放され、車両Vを入庫した後に操作盤220を操作することによって閉じられる。ゲートを閉じることにより、通常は駐車装置100内への人の進入を防止する。この場合、ゲートを閉扉する際の安全性を確保するため、ゲートの閉扉方向の所定領域における物体(人や物)を検知するようにセンサが取り付けられてもよい。このようなセンサは、駐車装置100の入出庫口(図右側下部)の近くの支柱102、ゲートなどに取り付けられてもよい。また、図示はしないが、利用者に対し、ゲートの閉扉や開扉を報知する報知部が設けられてもよい。
【0023】
駐車装置100は、パレット104の昇降時におけるパレット104の傾きを検知する検出装置210を備える。本実施形態において、検出装置210は、各パレット104の車両Vが載置される面(表面)の裏側面(裏面)に取り付けられる。しかしながら、検出装置210が配置される位置は、各パレット104の裏面に限定されるわけではない。検出装置210は、各パレット104の表面に配置されてもよい。この場合、検出装置210は、車両Vに接触しない位置に配置される。例えば、検出装置210がパレット104の表面に配置される場合、車止め105よりも後側に配置されてもよい。検出装置210は、対応するパレット104の傾きを検出し、その傾き検出結果を制御装置200に送信する。
【0024】
図3は、本開示の一実施形態に係る駐車装置100の概略構成を示すブロック図である。駐車装置100は、制御装置200、検出装置210、操作盤220、パレット駆動装置230、及びパレット104を備える。
【0025】
制御装置200は、通信部202、記憶部204及び制御部206を備える。
【0026】
通信部202は、制御部206の制御に基づき、検出装置210、操作盤220、パレット駆動装置230、及び外部装置などとデータや信号の送受信を行う。通信部202は、無線でデータや信号を送受信する。また、制御装置200が有線で他の装置と接続されている場合、該装置と有線でデータや信号を送受信してもよい。
【0027】
記憶部204は、論理記憶領域であり、CPU内部の記憶領域、主記憶装置、二次記憶装置などのメモリである。記憶部204は、RAM、ROMなどの記憶装置を含む。記憶部204は、各種機能を制御装置200において実現させるプログラム等を記憶する。
【0028】
制御部206は、CPU(Central Processing Unit)である。制御部206は、記憶部204に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、各種機能を制御装置200において実現させる。
【0029】
制御部206は、パレット駆動装置230に対し、パレット104の駆動に関する指示信号を送信する。制御部206は、利用者により操作盤220が操作されると、操作盤220から受信した情報に基づいてパレット104の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置230に送信する。さらに制御部206は、各パレット104に配置される検出装置210から、対応するパレット104の傾きを示す検出信号(傾き検出結果)を受信し、受信した検出信号に基づいて所定の制御を実行する。例えば、制御部206は、検出信号に基づいてパレット104の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置230に送信する。
【0030】
制御部206において実行されるプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワークNW経由でダウンロードされてもよい。
【0031】
検出装置210は、各パレット104に設けられて、対応するパレット104の傾きを検出し、傾き検出結果を検出信号として制御装置200に送信する。検出装置210は、検出部212、記憶部214、制御部216及び通信部217を備える。
【0032】
検出部212は、パレット104の傾きを検するセンサである。パレット104の傾きを検出するセンサとしては、ジャイロセンサ、加速度センサ、及び磁気センサが挙げられる。尚、該センサは、パレット104の傾きを検出することができるセンサであればよく、ジャイロセンサ、加速度センサ、及び磁気センサに限定されるわけではない。本実施形態では、一例として、検出部212が9軸のセンサモジュール(3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸磁力センサ)である場合を説明する。検出部212は、検出された対応するパレット104の傾きを示す検出信号を出力する。
【0033】
記憶部214は、論理記憶領域であり、CPU内部の記憶領域、主記憶装置、二次記憶装置などのメモリである。記憶部214は、RAM、ROMなどの記憶装置を含む。記憶部214は、各種機能を検出装置210において実現させるプログラム等を記憶する。また、記憶部214は、各種機能を検出装置210において実現させるためのデータを一時的に記憶することができる。
【0034】
制御部216は、CPUであり、各種機能を検出装置210において実現させる。制御部216は、制御装置200に対し、検出部212から出力された検出信号を送信する。また、制御部216は、制御装置200からの指示信号に基づいて所定の機能を実現することもできる。制御部216において実行されるプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワークNW経由でダウンロードされてもよい。
【0035】
通信部217は、制御部216の制御に基づき、制御装置200とデータや信号の送受信を行う。また、通信部217は、制御部216の制御に基づき、他のパレット104に設置された検出装置210とデータや信号の送受信を行ってもよい。通信部217は、無線でデータや信号を送受信する。通信部217は、検出部212から出力された検出信号を送信する送信部218を含む。また、通信部217は、対応する検出装置210が設置されたパレット104以外の他のパレット104に設置された検出装置210から送信された検出信号の伝送を中継する中継部219を含む。
【0036】
中継部219は、各パレット104に設置された全ての検出装置210の通信部217のうち、少なくとも一つの通信部217に含まれていればよい、また、中継部219は、各パレット104に設置された全ての検出装置210の通信部217に含まれていてもよい。本実施形態では、中継部219が、各パレット104に設置された全ての検出装置210の通信部217に含まれている場合を一例として説明する。
【0037】
操作盤220は、利用者が制御装置200に対して自動操作の指示(パレット104の番号指定など)を入力するユーザインターフェースである。操作盤220は、利用者からの自動操作の指示の入力を受けると、制御装置200に対して自動操作を行うパレット104に関する情報や操作内容に関する情報を送信する。
【0038】
パレット駆動装置230は、制御部206から受信したパレット104の駆動に関する指示信号に基づいてパレット104を駆動する。
【0039】
パレット駆動装置230による駆動対象となるパレットが決定されると、駆動対象となったパレット104の各々に設けられた検出装置210から制御装置200への検出信号(傾き検出結果)の送信経路が決定される。この送信経路には、所定の検出信号を送信する検出装置210以外の検出装置210の通信部217に含まれる中継部219が含まれていてもよい。送信経路に含まれる中継部219は、複数のパレット104の各々と制御装置200との関係に基づいて決定される。
【0040】
本実施形態では、複数のパレット104の各々と制御装置200との関係が、各パレット104に設けられた検出装置210と制御装置200との通信強度である場合を説明する。ここで、検出装置210と制御装置200との通信強度とは、検出装置210の通信部217と制御装置200の通信部202とのRSSI値である。
【0041】
制御装置200の制御部206は、パレット駆動装置230によって駆動され、移動するパレット104から、該パレット104の傾きを示す検出信号を対応する検出装置210から受信する。ここで、移動するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度よりも小さい場合、該パレット104の検出装置210の通信部217から送信された検出信号が、制御装置200の通信部202に届かない虞がある。
【0042】
そのため、移動するパレット104に設けられた検出装置210、即ち、検出部212によって出力された検出信号を送信する検出装置210(以下、送信側検出装置210と呼ぶ)の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度に基づいて、送信側検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器の要否を判定する。中継器とは、送信側検出装置210よりも、制御装置200との通信強度が大きい別の検出装置210である。中継器の通信部217に含まれる中継部219は、送信側検出装置210から制御装置200への検出信号の伝送を中継する。中継器が設置されたパレット104は、移動対象となったパレット104でもよく、移動対象ではない、即ち、移動しないパレット104でもよい。
【0043】
<第1通信パターン>
送信側検出装置210は、検出部212から出力された検出信号基づいて、対応するパレット104の移動を検知すると、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度を取得する。送信側検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度以上である場合、送信側検出装置210の制御部216は、中継器を介さずに、送信側検出装置210と制御装置200との間で信号を直接送受信する直接通信モードを通信モードとして選択する。直接通信モードを以下、第1モードと呼ぶ。
【0044】
第1モードが選択されると、送信側検出装置210の制御部216は、通信部217を介して制御装置200の通信部202に検出信号を直接送信する。
【0045】
<第2通信パターン>
一方、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満である場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との間に少なくとも一つの中継器を介して信号を送受信する無線連動モードを通信モードとして選択する。無線連動モードを以下、第2モードと呼ぶ。
【0046】
第2モードが選択されると、送信側検出装置210の制御部216は、他のパレット104の検出装置210に第2モードで通信を行うことを通知する。さらに、送信側検出装置210の制御部216は、他のパレット104に対応する検出装置210に、各検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする。リクエストに応じて、他のパレット104に対応する検出装置210は、制御装置200と自身との通信強度を、送信側検出装置210の制御部216に送信する。
【0047】
送信側検出装置210の制御部216は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得し、取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。送信側検出装置210の制御部216は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(以下、第1中継器と呼ぶ)に決定する。送信側検出装置210の制御部216は、第1中継器に検出信号を送信する。検出信号を受信した第1中継器は、自身の中継部219により、制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0048】
このように、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御装置200との通信強度がより大きな検出装置210を中継器として機能させることにより、制御装置200は、送信側検出装置210から移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100に載置された車両V及び駐車装置100の損傷を防止することができる。
【0049】
<第3通信パターン>
パレット104の移動とともに、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度は経時的に変化する。また、中継器として機能する検出装置210と制御装置200との通信強度も経時的に変化する。そのため、パレット104の移動方向に応じて、通信モードの切り替え、又は中継器の切り替えが行われてもよい。
【0050】
この場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度を、直前の送信側検出装置210と制御装置200との通信強度の取得から所定時間ごとに取得して、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上であるか否かに応じて、中継器の要否を再度判定する。
【0051】
設定された通信モードが第1モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを第1モードに維持する。
【0052】
一方、設定された通信モードが第1モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合、送信側検出装置210の制御部216は、通信モードを第1モードから第2モードに切り替える。換言すると、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との間で信号を直接送受信する直接通信モードから、送信側検出装置210と制御装置200との間に中継器を介して信号を送受信する無線連動モードに切り替える。
【0053】
この場合、上記第2パターンにおいて説明した工程により、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器を適宜決定し、検出信号を中継器に送信する。
【0054】
設定された通信モードが第2モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合、送信側検出装置210の制御部216は、通信モードを第2モードから第1モードに切り替える。換言すると、パレット104が移動することにより、送信側検出装置210と制御装置200とが直接通信できるようになった場合、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードは、送信側検出装置210と制御装置200との間に中継器を介して信号を送受信する無線連動モードから、送信側検出装置210と制御装置200との間で信号を直接送受信する直接通信モードに切り替わる。
【0055】
一方、設定された通信モードが第2モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを第2モードに維持する。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、他のパレット104に対応する検出装置210に、各検出装置210と制御装置200との通信強度を再度リクエストする。リクエストに応じて、他のパレット104に対応する検出装置210は、制御装置200と自身との通信強度を、送信側検出装置210の制御部216に送信する。
【0056】
送信側検出装置210の制御部216は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を新たに取得し、新たに取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。送信側検出装置210の制御部216は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(第2中継器)に決定する。このとき、第2中継器は、上述した第1中継器と同一であってもよく、異なっていてもよい。送信側検出装置210の制御部216は、第2中継器に検出信号を送信する。第2中継器は、自身の中継部219から制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0057】
このように、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104が移動している間、一つ以上の他のパレット104に設置された検出装置210を、制御装置200との通信の中継器として使用することができる。
【0058】
<第4通信パターン>
また、送信側検出装置210の制御部216が受信した、他のパレット104に対応する検出装置210と制御装置200との通信強度のなかに所定の通信強度以上の通信強度がない場合がある。このような場合、送信側検出装置210の制御部216は、受信した通信強度のなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(第1中継器)として決定する。送信側検出装置210の制御部216は、第1中継器に検出信号を送信する。
【0059】
第1中継器として機能する検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満の場合、制御装置200は第1中継器から送信された信号を直接受信することができない虞がある。このような場合、第1中継器として機能する検出装置210の制御部216は、他のパレット104に対応する検出装置210に、各検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする。リクエストに応じて、他のパレット104に対応する検出装置210は、制御装置200と自身との通信強度を、第1中継器として機能する検出装置210の制御部216に送信する。
【0060】
第1中継器として機能する検出装置210の制御部216は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得し、取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。第1中継器の制御部216は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210をさらなる中継器(第2中継器)に決定する。即ち、第2中継器は、第1中継器とは異なる。第1中継器の制御部216は、第2中継器に検出信号を送信する。検出信号を受信した第2中継器は、自身の中継部219から制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0061】
尚、取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度がない場合、第1中継器の制御部216は、取得した通信強度のなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210をさらなる中継器(第2中継器)に決定し、第2中継器に検出信号を送信する。第2中継器として機能する検出装置210の制御部216は、第1中継器と同様に、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得し、取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。第2中継器の制御部216は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210をさらなる中継器(第3中継器)に決定する。
【0062】
このように、中継器によって取得された、他のパレット104に対応する検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満の場合、中継器は、取得した通信強度のなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210を新たな中継器として決定し、受信した検出信号を新たな中継器に送信する。新たな中継器の決定は、中継器によって受信された、他のパレット104に対応する検出装置210と制御装置200との通信強度に、所定の通信強度以上の通信強度が含まれるまで継続する。
【0063】
中継器に対応する検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御装置200との通信強度がより大きな検出装置210をさらなる中継器として機能させることにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100に載置された車両V及び駐車装置100の損傷を防止することができる。
【0064】
[検出信号送信フロー]
図4及び
図5は、送信側検出装置210から制御装置200に検出信号を送信する際の、送信側検出装置210の制御部216の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0065】
図4に示すように、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否かを判定する(S401)。対応しているパレット104が移動しているか否かは、検出部212から出力された検出信号に基づき判定することができる。
【0066】
対応しているパレット104が移動していない場合(S401;No)、S401の処理を繰り返す。対応しているパレット104が移動している場合(S401;Yes)、制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度を取得する(S403)。
【0067】
制御部216は、取得した通信強度が所定の通信強度以上であるか否か判定する(S405)。取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合(S405;Yes)、制御部216は、制御装置200との通信モードとして第1モードを選択し(S407)、通信部217を介して検出信号を制御装置200に直接送信する(S409)。
【0068】
その後、制御部216は、直前の送信側検出装置210と制御装置200との通信強度の取得から、即ち、直前のS403の処理から所定時間が経過したか否かを判定する(S411)。所定時間が経過していない場合(S411;No)、制御部216は、S411の処理を繰り返す。ここで、所定時間は予め設定された期間であり、固定であってもよく、利用者によって変更されてもよい。尚、直前のS403の処理からの経過時間は、制御部216によって測定される。
【0069】
所定時間が経過した場合(S411;Yes)、制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否か判定する(S413)。対応するパレット104が移動をしていない、即ち対応するパレット104が移動を停止している場合(S413;No)、制御部216は処理を終了する。
【0070】
対応するパレット104が移動をしている、即ち対応するパレット104が移動を継続している場合(S413;Yes)、制御部216は、S403の処理に戻る。
【0071】
一方、取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合(S405;No)、制御部216は、制御装置200との通信モードとして第2モードを選択する(S415)。
【0072】
図5に示すように、第2モードを選択すると、制御部216は、他の検出装置210に、第2モードで通信を行うことを通知する(S501)。ここで、他の検出装置210とは、送信側検出装置210が設置されているパレット104以外の他のパレット104に設置された検出装置210である。
【0073】
制御部216は、他の検出装置210に、他の検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする(S503)。制御部216は、他の検出装置210から、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得する(S505)。
【0074】
制御部216は、取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度が含まれているか否かを判定する(S507)。取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度が含まれている場合(S507;Yes)、制御部216は、取得した、所定の通信強度以上の通信強度のなかから最大の通信強度に対応する検出装置210を特定する(S509)。
【0075】
制御部216は、S509で特定した検出装置を中継器に指定し、検出信号を送信する(S511)。その後、制御部216は、S411の処理に進む。
【0076】
一方、取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度が含まれていない場合(S507;No)、制御部216は、取得した通信強度のなかから最大の通信強度に対応する検出装置210を特定する(S513)。
【0077】
制御部216は、S513で特定した検出装置を中継器に指定し、検出信号を送信する(S515)。その後、制御部216は、S411の処理に進む。
【0078】
以上が、本実施形態における送信側検出装置210の制御部216によって実行される処理の一例である。
【0079】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る駐車装置について説明する。第2実施形態に係る駐車装置、制御装置、及び検出装置の構成は、上述した第1実施形態に係る駐車装置100、制御装置200、及び検出装置210と同様であるため、詳細な説明は省略する。以下では、第2実施形態に係る駐車装置について、第1実施形態に係る駐車装置100とは異なる点について主に説明する。
【0080】
上記第1実施形態では、送信側検出装置210の制御部216が、対応するパレット104の移動の有無に応じて、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを決定した。本実施形態においては、制御装置200の制御部206が、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを決定する。
【0081】
制御装置200の制御部206は、利用者により操作盤220が操作されると、操作盤220から受信した情報に基づいてパレット104の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置230に送信する。制御部206は、操作盤220から受信した情報に基づいて、移動するパレット104を特定する。
【0082】
制御部206は、移動するパレット104に設置された検出装置210に対し、該検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする。以下、移動するパレット104に設置された検出装置210を送信側検出装置210と呼ぶ。制御部206は、一つ以上の送信側検出装置210と制御装置200との通信強度を取得する。
【0083】
制御部206は、取得した通信強度が所定の通信強度以上であるか否か判定する。取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第1モードを選択する。
【0084】
一方、取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御部206は所定の通信強度未満の通信強度に対応する送信側検出装置210を特定して、該送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第2モードを選択する。
【0085】
第2モードが選択されると、制御部206は、他のパレット104の検出装置210に第2モードで通信を行うことを通知する。さらに、制御部206は、他のパレット104に対応する検出装置210に、各検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする。
【0086】
制御部206は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得し、取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。制御部206は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(以下、第1中継器と呼ぶ)に決定する。制御部206は、決定された第1中継器を示す情報を送信側検出装置210に送信する。
【0087】
送信側検出装置210の制御部216は、受信した第1中継器を示す情報に基づいて、第1中継器として機能する検出装置210を特定することができる。送信側検出装置210の制御部216は、第1中継器に検出信号を送信する。検出信号を受信した第1中継器は、自身の中継部219から制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0088】
パレット104の移動とともに、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度は経時的に変化する。また、中継器として機能する検出装置210と制御装置200との通信強度も経時的に変化する。そのため、パレット104の移動方向に応じて、通信モードの切り替え、又は中継器の切り替えが行われてもよい。
【0089】
この場合、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度を、直前の送信側検出装置210と送信側検出装置210との通信強度の取得から所定時間ごとに取得して、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上であるか否かに応じて、中継器の要否を再度判定する。
【0090】
設定された通信モードが第1モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを第1モードに維持する。
【0091】
一方、設定された通信モードが第1モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御部206は、通信モードを第1モードから第2モードに切り替える。換言すると、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との間で信号を直接送受信する直接通信モードから、送信側検出装置210と制御装置200との間に中継器を介して信号を送受信する無線連動モードに切り替える。
【0092】
この場合、上述した第1実施形態において説明した送信側検出装置210の制御部216による処理と同様に、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器を適宜決定し、検出信号を中継器に送信する。
【0093】
設定された通信モードが第2モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合、制御部206は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを第2モードから第1モードに切り替える。換言すると、パレット104が移動することにより、送信側検出装置210と制御装置200とが直接通信できるようになった場合、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードは、送信側検出装置210と制御装置200との間に中継器を介して信号を送受信する無線連動モードから、送信側検出装置210と制御装置200との間で信号を直接送受信する直接通信モードに切り替わる。
【0094】
一方、設定された通信モードが第2モードであり、新たに取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御部206は、他の検出装置210に、各検出装置210と制御装置200との通信強度を再度リクエストする。制御部206は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得する。
【0095】
制御部206は、新たに取得した他の検出装置210と制御装置200との通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。制御部206は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(第2中継器)に決定する。このとき、第2中継器は、上述した第1中継器と同一であってもよく、異なっていてもよい。制御部206は、送信側検出装置210に第2中継器を示す情報を送信する。
【0096】
送信側検出装置210の制御部216は、受信した第2中継器を示す情報に基づいて、第2中継器として機能する検出装置210を特定することができる。送信側検出装置210の制御部216は、第2中継器に検出信号を送信する。検出信号を受信した第2中継器は、自身の中継部219から制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0097】
このように、制御装置200の制御部206は、パレット104が移動している間、一つ以上の他のパレット104に設置された検出装置210を、送信側検出装置210と制御装置200との通信の中継器として機能させることができる。
【0098】
また、制御部206が取得した、他の検出装置210と制御装置200との通信強度のなかに所定の通信強度以上の通信強度がない場合がある。このような場合、制御部206は、取得した通信強度のうちのなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210を中継器(第1中継器)として決定する。制御部206は、送信側検出装置210に第1中継器を示す情報を送信する。
【0099】
送信側検出装置210の制御部216は、第1中継器を示す情報に基づいて、第1中継器として機能する検出装置210を特定することができる。送信側検出装置210の制御部216は、第1中継器に検出信号を送信する。
【0100】
第1中継器として機能する検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満の場合、制御装置200は第1中継器から送信された信号を直接受信することができない虞がある。このような場合、制御部206は、第1中継器として機能する検出装置210以外の検出装置210に、該検出装置210と制御装置200との通信強度をリクエストする。
【0101】
制御部206は、他の検出装置210と制御装置200との通信強度を取得し、取得した通信強度のなかから所定の通信強度以上の通信強度を選択する。制御部206は、選択された通信強度のうち、最も大きな通信強度に対応する検出装置210をさらなる中継器(第2中継器)に決定する。即ち、第2中継器は、第1中継器とは異なる。制御部206は、第2中継器を示す情報を第1中継器に送信する。第1中継器の制御部216は、第2中継器を示す情報に基づいて、第2中継器として機能する検出装置210を特定することができる。第1中継器は、第2中継器に検出信号を送信する。検出信号を受信した第2中継器は、自身の中継部219から制御装置200に受信した検出信号を送信する。
【0102】
尚、取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度がない場合、制御部206は、取得した通信強度のなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210をさらなる中継器(第2中継器)に決定し、第2中継器を示す情報を第1中継器に送信する。第1中継器は、第2中継器を示す情報に基づいて、第2中継器に検出信号を送信する。
【0103】
このように、検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満の場合、制御部206は、取得した通信強度のなかから最も大きな通信強度に対応する検出装置210を新たな中継器として決定し、検出信号を新たな中継器に送信させる。新たな中継器の決定は、検出装置210と制御装置200との通信強度に、所定の通信強度以上の通信強度が含まれるまで継続する。
【0104】
取得した通信強度に所定の通信強度以上の通信強度がない場合、2番目の中継器(第2中継器)以降の中継器を決定する工程は、上述した第1実施形態で説明したように、中継器側の制御部216で実行されてもよい。
【0105】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る駐車装置について説明する。第3実施形態に係る駐車装置、制御装置、及び検出装置の構成は、上述した第1実施形態に係る駐車装置100、制御装置200、及び検出装置210と同様であるため、詳細な説明は省略する。以下では、第3実施形態に係る駐車装置について、第1実施形態に係る駐車装置100とは異なる点について主に説明する。
【0106】
上記第1実施形態では、検出装置210と制御装置200との通信強度に基づいて、検出装置210と制御装置200との通信モード、及び検出装置210から制御装置200への検出信号(傾き検出結果)の送信経路に含まれる中継器が決定された。本実施形態においては、パレット104と制御装置200との位置関係に基づいて、検出装置210と制御装置200との通信モードが決定される場合を説明する。ここで、パレット104と制御装置200との位置関係は、パレット104と制御装置200との距離である。
【0107】
移動する直前の各パレット104と制御装置200との距離(位置関係)は、制御装置200の制御部206により予め特定されることができる。また、移動する直前の各パレット104と制御装置200との距離(位置関係)は、各パレット104に設置された検出装置210の制御部216によって予め特定されてもよい。したがって、移動する直前のパレット104と制御装置200との距離は、送信側検出装置210の制御部216によって予め把握されていてもよく、送信側検出装置210の制御部216が制御装置200にリクエストして取得してもよい。
【0108】
移動しているパレット104と制御装置200との距離(位置関係)は、移動しているパレット104の検出部212から出力される検出信号に基づいて、特定することができる。具体的には、移動しているパレット104の検出部212から出力される検出信号に基づき、移動しているパレット104の移動方向を特定することができる。つまり、移動しているパレット104が、制御装置200に近づく方向に移動しているのか、或いは遠ざかる方向に移動しているのかを特定することができる。また、予め設定されたパレット104の移動速度と、パレット104が移動を開始したタイミングからの経過時間とにより、パレット104の移動距離を算出することができる。パレット104の移動方向とパレット104の移動距離とによって、移動しているパレット104の位置と制御装置200との距離を特定することができる。
【0109】
本実施形態では、移動するパレット104に設けられた送信側検出装置210、即ち、検出部212によって出力された検出信号を送信する検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210に対応するパレット104と制御装置200との距離に基づいて、送信側検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器の要否を判定する。中継器とは、送信側検出装置210よりも、制御装置200との距離が近い別の検出装置210である。中継器は、送信側検出装置210と制御装置200との通信を中継する。中継器に対応するパレット104は、移動するパレット104でもよく、移動しないパレット104でもよい。
【0110】
図6~
図8は、本実施形態に係る送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを決定するための、送信側検出装置210の制御部216の処理の一例を説明するためのフローチャートである。以下、本実施形態に係る送信側検出装置210と制御装置200との通信モードの決定方法について、
図6~
図8を参照して具体的に説明する。
【0111】
<第1パターン>
図6に示すように、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を取得する(S601)。送信側検出装置210の記憶部214は、対応するパレット104の直前の移動完了後の位置を記憶していてもよい。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、記憶部214に記憶されたパレット104の位置に基づいて、対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を取得することができる。また、送信側検出装置210の制御部216が制御装置200と通信可能である場合、制御部216は、対応するパレット104と制御装置200との距離を制御装置200にリクエストして取得してもよい。
【0112】
次に、送信側検出装置210の制御部216は、取得した対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離以下であるか否か判定する(S603)。対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離以下である場合(S603;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第1モードを選択する(S605)。
【0113】
対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離を超過している場合(S603;No)、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第2モードを選択する(S607)。
【0114】
送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第1モードが選択されると、
図7に示すように、送信側検出装置210の制御部216は、通信部217を介して制御装置200の通信部202に検出信号を直接送信する(S609)。
【0115】
その後、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104と制御装置200との距離を特定する処理、即ち、直前のS601の処理から所定時間が経過したか否か判定する(S611)。ここで、所定時間は予め設定された期間であり、固定であってもよく、利用者によって変更されてもよい。尚、直前のS601の処理からの経過時間は、制御部216によって測定される。直前のS601の処理から所定時間が経過していない場合(S611;No)、送信側検出装置210の制御部216は、S611の処理を繰り返す。
【0116】
直前のS601の処理から所定時間が経過している場合(S611;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否かを検出部212から出力された検出信号に基づき判定する(S613)。
【0117】
対応するパレット104が移動している場合(S613;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、
図6に示すS601の処理に戻り、対応するパレット104と制御装置200との距離を新たに取得する(S601)。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、検出信号基づいて対応するパレット104の移動方向を特定する。さらに、送信側検出装置210の制御部216は、予め設定されたパレット104の移動速度と、対応するパレット104が移動を開始したタイミングからの経過時間とにより、対応するパレット104の移動開始位置からの移動距離を算出する。ここで、対応するパレット104が移動を開始したタイミングからの経過時間は、制御部216によって測定される。送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104の移動方向と移動距離とによって、移動中の対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を特定する。
【0118】
上述した方法により、送信側検出装置210の制御部216は、移動中の対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を取得することができる。次いで、送信側検出装置210の制御部216は、S603の処理に進む。
【0119】
一方、対応するパレット104が移動していない場合(S613;No)、即ち、対応するパレット104の移動が停止している場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを決定する処理を終了する。
【0120】
送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第2モードが選択されると、
図8に示すように、送信側検出装置210の制御部216は、他の検出装置210に、第2モードで通信を行うことを通知する(S615)。ここで、他の検出装置210とは、送信側検出装置210が設置されているパレット104以外の他のパレット104に設置された検出装置210である。
【0121】
制御部216は、他の検出装置210に、他の検出装置210と制御装置200との距離をリクエストする(S617)。ここで、他の検出装置210と制御装置200との距離とは、送信側検出装置210が設置されているパレット104以外の他のパレット104の各々と制御装置200との距離である。送信側検出装置210の制御部216は、他の検出装置210から、他の検出装置210と制御装置200との距離を取得する(S619)。
【0122】
制御部216は、取得した他の検出装置210と制御装置200との距離のなかから、制御装置200との距離が最も近い検出装置210を特定する(S621)。制御部216は、S621の処理で特定した検出装置210を中継器に指定し、検出信号を特定された検出装置210に送信する(S623)。図示はしないが、中継器として指定された検出装置210は、送信側検出装置210から送信され検出信号を、自身の中継部219から制御装置200に送信する。
【0123】
その後、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104と制御装置200との距離を特定する処理、即ち、直前のS601の処理から所定時間が経過したか否か判定する(S625)。直前のS601の処理から所定時間が経過していない場合(S625;No)、送信側検出装置210の制御部216は、S625の処理を繰り返す。
【0124】
直前のS601の処理から所定時間が経過している場合(S625;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否かを検出部212から出力された検出信号に基づき判定する(S627)。
【0125】
対応するパレット104が移動している場合(S627;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、
図6に示すS601の処理に戻り、対応するパレット104と制御装置200との距離を新たに取得する(S601)。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、検出信号基づいて対応するパレット104の移動方向を特定する。さらに、送信側検出装置210の制御部216は、予め設定されたパレット104の移動速度と、対応するパレット104が移動を開始したタイミングからの経過時間とにより、対応するパレット104の移動開始位置からの移動距離を算出する。送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104の移動方向と移動距離とによって、移動中の対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を特定する。
【0126】
上述した方法により、送信側検出装置210の制御部216は、移動中の対応するパレット104の位置と制御装置200との距離を取得することができる。次いで、送信側検出装置210の制御部216は、S603の処理に進む。
【0127】
一方、対応するパレット104が移動していない場合(S627;No)、即ち、対応するパレット104の移動が停止している場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードを決定する処理を終了する。
【0128】
以上が、本実施形態において送信側検出装置210の制御部216によって実行される処理の一例である。
【0129】
このように、送信側検出装置210に対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離を超過している場合、制御装置200との距離が相対的に近いパレット104に設置された検出装置210を中継器として機能させることにより、制御装置200は、送信側検出装置210から移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100に載置された車両V及び駐車装置100の損傷を防止することができる。
【0130】
尚、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードが第2モードである場合、送信側検出装置210の制御部216は、他の検出装置210と制御装置200との距離に代わって、他の検出装置210と制御装置200との通信強度に基づいて、中継器として機能させる検出装置210を特定してもよい。他の検出装置210と制御装置200との通信強度に基づいて、中継器として機能する検出装置210を特定する処理は、
図5を参照して説明した処理と同様である。
【0131】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、各パレット104に設置された検出装置210が、中継器を介して、又は中継器を介さず制御装置200に検出信号を送信している。本実施形態では、駐車装置の複数のパレットが、複数のグループのうちのいずれか一つに属しており、各グループに中継器として機能する検出装置が設定される態様を説明する。
【0132】
図9は、本実施形態に係る駐車装置100Aの構成を示す模式的な正面図である。駐車装置100Aの構成は、第1実施形態に係る駐車装置100の構成と同様である。また、本実施形態において、制御装置及び検出装置の構成は、第1実施形態で述べた制御装置200及び検出装置210と同様である。
【0133】
駐車装置100Aでは、PS1~PS14で示す14個の車両載置領域に車両Vを載置するパレット104がそれぞれ設置されている。PS1~PS14で示す14個の車両載置領域に設置されたパレット104は、複数のパレット104から構成されるグループに属している。本実施形態では、一例として、PS1~PS14で示す14個のパレット104が、3つのグループのいずれか1つの属している場合を説明する。
【0134】
第1グループG1は、PS1~PS3及びPS5~PS7で示す車両載置領域に設置された6個のパレット104から構成される。第2グループG2は、PS9~PS11及びPS13~PS15で示す車両載置領域に設置された5個のパレット104から構成される。第3グループG3は、PS4、PS8、及びPS12で示す車両載置領域に設置された3個のパレット104から構成される。
【0135】
本実施形態では、第1グループG1~第3グループG3の各グループに属する複数のパレット104に設置された検出装置210の中に中継器として機能する所定の検出装置210が含まれる。ここでは、各グループに属するパレット104に設置された検出装置210を、該グループに属する検出装置210と呼ぶ。中継器として機能する検出装置210は、自身が属するグループに含まれる他の検出装置210と制御装置200との通信を中継する。また、各グループにおいて中継器として機能する検出装置210は、他のグループに属する中継器として機能する検出装置210と互いに通信可能である。
【0136】
図10は、本実施形態に係る駐車装置100Aにおける、検出装置210から制御装置200への検出信号(傾き検出結果)の送信経路を説明するための概略図である。
【0137】
図10に示すように、第1グループG1には、PS1~PS3及びPS5~PS7の車両載置領域の6個のパレット104に設置された6個の検出装置210(PS1~PS3、PS5~PS7)が属している。本実施形態では、第1グループG1に属している検出装置210のうち、検出装置210(PS6)が中継器として機能する。検出装置210(PS6)は、制御装置200と直接通信することができる。また、検出装置210(PS6)は、同一のグループに属する他の検出装置210(PS1~PS3、PS5、PS7)と通信する。検出装置210(PS6)は、検出装置210(PS1~PS3、PS5、PS7)と制御装置200との通信を中継する。第1グループG1において、中継器として機能する検出装置210(PS6)の通信部217は中継部219を含むが、同一のグループに属する他の検出装置210(PS1~PS3、PS5、PS7)の通信部217は中継部219を含まなくてもよい。
【0138】
第2グループG2には、PS9~PS11及びPS13~PS14の車両載置領域の5個のパレット104に設置された5個の検出装置210(PS9~PS11、PS13~PS14)が属している。本実施形態では、第2グループG2に属している検出装置210のうち、検出装置210(PS13)が中継器として機能する。検出装置210(PS13)は、制御装置200と直接通信することができる。また、検出装置210(PS13)は、同一のグループに属する他の検出装置210(PS9~PS11、PS14)と通信する。検出装置210(PS13)は、検出装置210(PS9~PS11、PS14)と制御装置200との通信を中継する。第2グループG2において、中継器として機能する検出装置210(PS13)の通信部217は中継部219を含むが、同一のグループに属する他の検出装置210(PS9~PS11、PS14)の通信部217は中継部219を含まなくてもよい。
【0139】
第3グループG3には、PS4、PS8、及びPS12の車両載置領域の3個のパレット104に設置された3個の検出装置210(PS2、PS8、PS12)が属している。本実施形態では、第3グループG3に属している検出装置210のうち、検出装置210(PS12)が中継器として機能する。検出装置210(PS12)は、制御装置200と直接通信することができる。また、検出装置210(PS12)は、同一のグループに属する他の検出装置210(PS4、PS8)と通信する。検出装置210(PS12)は、検出装置210(PS4、PS8)と制御装置200との通信を中継する。第3グループG3において、中継器として機能する検出装置210(PS12)の通信部217は中継部219を含むが、同一のグループに属する他の検出装置210(PS4、PS8)の通信部217は中継部219を含まなくてもよい。
【0140】
パレット駆動装置230によって駐車装置100Aのパレット104が駆動されると、移動するパレット104に設置された検出装置210から検出信号が送信される。このとき、検出信号を送信する検出装置210(送信側検出装置210)が中継器ではない場合、送信側検出装置210は、同一グループに属する中継器に検出信号を送信する。
【0141】
同一グループに属する送信側検出装置210から検出信号を受信した中継器は、自身の中継部219を介して制御装置200に受信した検出信号を送信する。また、移動するパレット104に設置された検出装置210が中継器である場合、中継器は、自身の検出部212から出力された検出信号を制御装置200に送信する。
【0142】
例えば、第1グループG1に属する、PS2で示した車両載置領域のパレット104が移動する際、検出装置210(PS2)から検出信号が送信される。この際、検出装置210(PS2)は、第1グループG1に属する中継器である検出装置210(PS6)に検出信号を送信する。検出装置210(PS2)から検出信号を受信した中継器(検出装置210(PS6))は、受信した検出信号を制御装置200に送信する。つまり、中継器(検出装置210(PS6))は、第1モードで制御装置200と信号を送受信する。
【0143】
一方、中継器が設置されたパレット104が移動すると、制御装置200との距離が離れる場合がある。この場合、該中継器と制御装置200との通信強度が下がり、該中継器と制御装置200との直接通信が困難になる虞がある。また、中継器と同一のグループに属するパレット104や他のグループに属するパレット104が移動することにより、中継器と制御装置200との通信を遮蔽する遮蔽物が、中継器と制御装置200との信号送信経路上に現れることがある。この場合も、該中継器と制御装置200との通信強度が下がり、該中継器と制御装置200との直接通信が困難になる。
【0144】
このような場合、中継器は、他のグループに属する中継器と通信し、他のグループに属する中継器を介して、制御装置200に検出信号を送信する。例えば、第1グループG1に属する、PS2で示した車両載置領域のパレット104が移動する際、検出装置210(PS2)は、中継器(検出装置210(PS6))に検出信号を送信する。
【0145】
中継器(検出装置210(PS6))は、自身と制御装置200との通信強度を取得する。中継器(検出装置210(PS6))と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満の場合、制御装置200との通信モード第2モードに設定する。中継器(検出装置210(PS6))は、自身と通信可能な他のグループに属する中継器と通信して、該中継器を介して、検出装置210(PS2)から受信した検出信号を制御装置200に送信する。換言すると、第1グループG1に属する中継器(検出装置210(PS6))は、第2グループG2に属する中継器(検出装置210(PS13))又は第3グループG3に属する中継器(検出装置210(PS12))を介して、検出装置210(PS2)から受信した検出信号を制御装置200に送信する。
【0146】
ここで、第1グループG1に属する中継器と制御装置200との通信中継する、他のグループに属す中継器は二つ以上であってもよい。つまり、第1グループG1に属する中継器(検出装置210(PS6))は、第2グループG2に属する中継器(検出装置210(PS13))及び第3グループG3に属する中継器(検出装置210(PS12))の両方を介して、検出装置210(PS2)から受信した検出信号を制御装置200に送信してもよい。
【0147】
また、中継器が、制御装置200と通信が可能かどうかを特定する場合、制御装置200との通信強度に代えて、制御装置200との距離、即ち、対応するパレット104と制御装置200との距離に基づいて、自身が制御装置200と直接通信することが可能か否かを判定してもよい。
【0148】
また、中継器が他のグループに属する中継器に検出信号を送信する際、中継器は、他のグループに属する中継器と制御装置200との通信強度を又は距離をリクエストしてもよい。リクエストに応じて、他のグループに属する中継器は、自身と制御装置200との通信強度、又は自身が設置されたパレット104と制御装置200との距離を中継器に送信する。また、リクエストされた通信強度又は距離は、制御装置200から中継器に送信されてもよい。中継器は、取得した通信強度又は距離に基づいて、他のグループに属する中継器の中から自身と制御装置200との通信を中継することができる中継器を選択することができる。
【0149】
このように、所定のグループに属する検出装置210の中から中継器として機能する検出装置210を予め設定することにより、制御装置200は、送信側検出装置210から移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100に載置された車両V及び駐車装置100Aの損傷を防止することができる。
【0150】
また、中継器として機能する検出装置210を予め設定することにより、中継器として機能しない検出装置210の電力消費を低減させることができる。そのため、中継器として機能しない検出装置210の電池交換の頻度を低減することができる。
【0151】
また、中継器として機能する検出装置210を予め設定することにより、制御装置200と各グループに属する検出装置210との間に、特定の送信経路が形成される。これにより、多数のパレット104が移動する場合であっても、各検出装置210と制御装置200との間で通信の混線が発生する虞が低減される。
【0152】
本実施形態において、複数の中継器のうち、少なくとの一つの中継器は、制御装置200と確実に直接通信できることが好ましい。そのような中継器は、例えば、制御装置200の近傍に位置するパレット104であり、移動する場合であっても制御装置200から所定の距離の範囲に存在するパレット104に設置された検出装置であることが好ましい。
【0153】
以上では、複数のパレット104が、3つのグループのいずれか1つの属している場合を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。グループの数は、2つ以上であればよい。また、各グループに属するパレットの数は、2つ以上であればよく、特定の数に限定されない。
【0154】
図11は、所定のグループに属する中継器の制御部216が、同一のグループの属する検出装置(送信側検出装置)210から制御装置200への通信を中継する際の、中継器の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0155】
図11に示すように、中継器の制御部216は、対応するグループに属している送信側検出装置210から検出信号を受信したか否かを判定する(S801)。
【0156】
検出信号を受信していない場合(S801;No)、中継器の制御部216は、S801の処理を繰り返す。検出信号を受信した場合(S801;Yes)、制御部216は、対応する中継器と制御装置200との通信強度を取得する(S803)。
【0157】
制御部216は、取得した通信強度が所定の通信強度以上であるか否か判定する(S805)。取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合(S805;Yes)、制御部216は、制御装置200との通信モードとして第1モードを選択し(S807)、通信部217を介して送信側検出装置210から受信した検出信号を制御装置200に直接送信する(S809)。
【0158】
その後、制御部216は、対応するグループに属している送信側検出装置210から検出信号を受信したか否かを判定する(S811)。検出信号を受信していない場合(S811;No)、制御部216は、処理を完了する。
【0159】
検出信号を受信した場合(S811;Yes)、制御部216は、S803の処理に戻る。
【0160】
一方、取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合(S805;No)、制御部216は、制御装置200との通信モードとして第2モードを選択する(S813)。
【0161】
第2モードを選択すると、制御部216は、他のグループに属する中継器又は制御装置200に、他のグループに属する中継器と制御装置200との通信強度をリクエストし、通信強度を取得する(S815)。ここで、制御部216は、通信強度に代えて、他のグループに属する中継器と制御装置200との距離をリクエストして、取得してもよい。
【0162】
制御部216は、取得した通信強度に基づいて、対応する中継器と制御装置200との通信を中継する、他のグループに属する中継器を選択する(S817)。
【0163】
制御部216は、S817で選択した中継器に送信側検出装置210から受信した検出信号を送信する(S819)。その後、制御部216は、S811の処理に進む。
【0164】
以上が、中継器の制御部216によって実行される処理の一例である。
【0165】
<第5実施形態>
図12は、本開示の一実施形態に係る駐車装置100Bの構成を示す模式的な側面図である。
図13は、本実施形態に係る駐車装置100Bの構成を示す模式的な正面図である。駐車装置100Bの構成は、第1実施形態に係る駐車装置100の構成と略同様である。本実施形態において、制御装置の構成は、第1実施形態で述べた制御装置200と同様である。また、検出装置に含まれる通信部が中継部を含まないという点を除いて、本実施形態における検出装置の構成は、第1実施形態で述べた検出装置210と略同様である。
【0166】
本実施形態に係る駐車装置100Bは、1段~3段の各段において、各段のパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する第1中継器R1、第2中継器、及び第3中継器R3が設置される。中継器R1~R3が設置される位置は、駐車装置100Bに出入りする車両Vに接触しない定位置であればよい。ここで定位置とは、パレット104の移動の有無にかかわらず、駐車装置100Bが設置された地面からの距離か変化しない位置を意味する。
【0167】
本実施形態においては、第1~第3中継器R1~R3が、駐車装置100Bの支柱102に設置されている場合を一例として説明する。第1中継器R1は、1段に対応する支柱102の一部に設置される。第2中継器R2は、2段に対応する支柱102の一部に設置される。第3中継器R3は、3段に対応する支柱102の一部に設置される。
【0168】
第1中継器R1は、駐車装置100Bの1段目に位置するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。
図13においては、第1中継器R1は、駐車装置100Bの1段目に位置するPS1、PS5、PS9及びPS13で示す車両載置領域の4個のパレット104にそれぞれ設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。
【0169】
第2中継器R2は、駐車装置100Bの2段目に位置するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。
図13においては、第2中継器R2は、駐車装置100Bの2段目に位置するPS2、PS6、PS10及びPS14で示す車両載置領域の4個のパレット104にそれぞれ設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。
【0170】
第3中継器R3は、駐車装置100Bの3段目に位置するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。
図13においては、第3中継器R3は、駐車装置100Bの3段目に位置するPS3、PS7及びPS11で示す車両載置領域の3個のパレット104にそれぞれ設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。また、第3中継器R3は、駐車装置100Bの4段目に位置するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継してもよい。この場合、
図13においては、第3中継器R3は、駐車装置100Bの4段目に位置するPS4、PS8及びPS12で示す車両載置領域の3個のパレット104にそれぞれ設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継してもよい
【0171】
第1中継器R1、第2中継器R2、及び第3中継器R3はそれぞれ、各パレット104に設置された検出装置210と制御装置200との間の通信を中継する。また、第1中継器R1、第2中継器R2、及び第3中継器R3は、互いに通信可能である。
【0172】
このように、検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器を駐車装置100Bの各段の定位置に設けることにより、制御装置200は、送信側検出装置210から移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100Bに載置された車両V及び駐車装置100Bの損傷を防止することができる。
【0173】
また、中継器を駐車装置100Bの定位置に設置することにより、各検出装置210が制御装置200と通信する必要がなく、各検出装置210の電力消費を低減させることができる。そのため、検出装置210の電池交換の頻度を低減することができる。また、中継器は、定位置に設置されるため、有線での給電が可能である。
【0174】
また、中継器を駐車装置100Bの定位置に設置することにより、多数のパレット104が移動する場合であっても、各検出装置210と制御装置200との間で通信の混線が発生する虞が低減される。また、検出装置210に不具合や異常が発生した場合、各段に設置された中継器により、異常が発生した検出装置210の位置を把握することができる。
【0175】
本実施形態では、駐車装置100Bの1段~3段の各段に設置される中継器の数が1つである場合を一例として説明しているが、各段に設置される中継器の数は、2つ以上であってもよい。各段の複数の中継器を設置すれば、各段の面積が大きくても、送信側検出装置210から送信される検出信号は、中継器により着実に制御装置200に送信される。
【0176】
<第6実施形態>
上述した第5実施形態では、駐車装置100Bの各段の定位置に設置された中継器が、対応する段に位置するパレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する。しかしながら、パレット104が昇降移動すると、該パレット104に設置された検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器から離れてしまう場合がある。この場合、検出装置210と中継器とが互いに通信できなくなる虞がある。
【0177】
本実施形態においては、パレット104が昇降移動する場合、検出装置210と制御装置200との通信を中継する中継器を切り替える。つまり、パレット104が昇降移動して、該パレット104に設置された検出装置210が当初利用していた中継器から離れてしまったとしても、通信可能な別の中継器を利用することにより、検出装置210は、該中継器を介して制御装置200と信号を送受信することができる。
【0178】
本実施形態に係る駐車装置、制御装置、及び検出装置の構成は、上述した第5実施形態に係る駐車装置100B、制御装置200、及び検出装置210と同様であるため、詳細な説明は省略する。以下では、第6実施形態に係る駐車装置について、第5実施形態に係る駐車装置100Bとは異なる点について主に説明する。
【0179】
検出信号を送信する、送信側検出装置210の制御部216は、検出部212から出力された検出信号に基づいて、対応するパレット104の昇降移動を検知すると、送信側検出装置210と対応する中継器との通信強度を取得する。ここで、対応する中継器とは、該パレット104が移動する直前の位置の段に設置された中継器を意味する。
【0180】
送信側検出装置210と第1中継器との通信強度が所定の通信強度以上である場合、送信側検出装置210の制御部216は、引き続き対応する中継器を介して制御装置200と信号を送受信する。
【0181】
一方、送信側検出装置210と対応する中継器との通信強度が所定の通信強度未満である場合、送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210と制御装置200との間に、対応する中継器とは異なる別の中継器を介して信号を送受信する。別の中継器とは、送信側検出装置210が設置されたパレット104が移動する直前の位置の段とは異なる段に設置された中継器である。
【0182】
送信側検出装置210の制御部216は、送信側検出装置210が設置されたパレット104の移動方向に基づいて、別の中継器を決定する。具体的には、制御部216は、検出部212から検出信号に基づいて、送信側検出装置210が設置されたパレット104の移動方向を特定することができる。制御部216は、送信側検出装置210が設置されたパレット104の移動方向に位置する段に設置された中継器を新たに利用する中継器に決定する。
【0183】
例えば、
図13に示す駐車装置100Bにおいて、移動する直前のパレット104の位置が、2段目のPS14で示す車両載置領域であるとする。この場合、車両載置領域PS14に位置するパレット104に設置された検出装置210は、制御装置200との間に第2中継器R2を介して信号を送受信する。
【0184】
車両載置領域PS14に位置するパレット104が昇降移動を開始すると、移動するパレット104に設置された検出装置210(送信側検出装置210)の制御部216は、送信側検出装置210と第2中継器R2との通信強度が所定の通信強度以上であるか否か判定する。
【0185】
判定の結果、送信側検出装置210と第2中継器R2との通信強度が所定の通信強度以上である場合、送信側検出装置210の制御部216は、制御装置200との通信を中継する中継器として、引き続き第2中継器R2を利用する。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、検出部212から出力された検出信号を第2中継器R2に送信する。
【0186】
一方、判定の結果、送信側検出装置210と第2中継器R2との通信強度が所定の通信強度未満である場合、制御部216は、検出部212から出力された検出信号に基づいて、対応するパレットの移動方向、即ち、対応するパレット104が上昇移動しているのか、下降移動しているのかを判定する。
【0187】
判定の結果、対応するパレット104が上昇移動している場合、送信側検出装置210の制御部216は、第2中継器R2の利用を停止し、3段目に設置された第3中継器R3を制御装置200との通信を中継する中継器として利用する。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、検出部212から出力された検出信号を第3中継器R3に送信する。
【0188】
また、判定の結果、対応するパレット104が下降移動している場合、送信側検出装置210の制御部216は、第2中継器R2の利用を停止し、1段目に設置された第1中継器R1を制御装置200との通信を中継する中継器として利用する。この場合、送信側検出装置210の制御部216は、検出部212から出力された検出信号を第1中継器R1に送信する。
【0189】
このように、パレット104の移動に合わせて、制御装置200との通信を中継する中継器を切り替えることにより、検出装置210と制御装置200との通信を円滑に行うことができる。また、制御装置200は、送信側検出装置210から移動するパレット104の傾きを示す検出信号を着実に受信することができる。これにより、制御装置200は、移動するパレット104の傾きを正確に把握することができ、パレット104の傾き異常が発生した場合、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。その結果、駐車装置100Bに載置された車両V及び駐車装置100Bの損傷を防止することができる。
【0190】
以上の説明では、送信側検出装置210と対応する中継器との通信強度が所定の通信強度未満となった場合に、新たに利用する中継器を決定している。しかしながら、送信側検出装置210と対応する中継器との通信強度に代えて、送信側検出装置210と対応する中継器との間の距離が所定の距離を超過した場合に、新たに利用する中継器を決定してもよい。
【0191】
また、以上の説明では、パレット104の移動方向に基づいて、新たに利用する中継器を決定している。しかしながら、新たに利用する中継器の決定方法は、これに限定されるわけではない。
【0192】
例えば、送信側検出装置210と対応する中継器とが互いに通信することが難しくなった場合、送信側検出装置210の制御部216は、他の中継器と送信側検出装置210との通信強度を取得してもよい。この場合、制御部216は、取得した通信強度の中から最も大きな通信強度に対応する中継器を、新たに利用する中継器に決定する。
【0193】
また、送信側検出装置210と対応する中継器とが互いに通信することが難しくなった場合、送信側検出装置210の制御部216は、他の中継器と送信側検出装置210との距離を取得してもよい。ここで、他の中継器と送信側検出装置210との距離とは、他の中継器が設置された位置と送信側検出装置210に対応するパレットの位置との間の距離を意味する。この場合、制御部216は、取得した距離の中から最も小さな距離に対応する中継器を、新たに利用する中継器に決定する。
【0194】
また、送信側検出装置210と対応する中継器とが互いに通信することが難しくなった場合、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104の移動方向、他の中継器と送信側検出装置210との通信強度、及び他の中継器と送信側検出装置210との距離のうちの少なくとも一つに基づいて、新たに利用する中継器を決定してもよい。
【0195】
図14は、本実施形態において、送信側検出装置210から制御装置200に検出信号を送信する際の、送信側検出装置210の制御部216の処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、送信側検出装置210の制御部216が中継器を変更する場合、他の中継器と送信側検出装置210との通信強度に基づいて、中継器を変更する態様を一例として説明する。
【0196】
図14に示すように、送信側検出装置210の制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否かを判定する(S1401)。対応するパレット104が移動しているか否かは、検出部212から出力された検出信号に基づき判定することができる。対応するパレット104が移動していない場合(S1401;No)、送信側検出装置210の制御部216は、S1401の処理を繰り返す。
【0197】
対応するパレットが移動している場合(S1401;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、対応する中継器との通信強度を取得する(S1403)。ここで対応する中継器とは、送信側検出装置210が設置されたパレット104が移動する直前の位置の段に設置された中継器を意味する。
【0198】
次に、送信側検出装置210の制御部216は、取得した対応する中継器との通信強度が所定の通信強度以上であるか否かを判定する(S1405)。取得した通信強度が所定の通信強度以上である場合(S1405;Yes)、送信側検出装置210の制御部216は、検出信号を対応する中継器に送信する(S1407)。
【0199】
その後、制御部216は、直前の送信側検出装置210と対応する中継器との通信強度の取得から、即ち、直前のS1403の処理から所定時間が経過したか否かを判定する(S1409)。所定時間が経過していない場合(S1409;No)、制御部216は、S1409の処理を繰り返す。尚、直前のS1403の処理からの経過時間は、制御部216によって測定される。
【0200】
所定時間が経過した場合(S1409;Yes)、制御部216は、対応するパレット104が移動しているか否か判定する(S1411)。対応するパレット104が移動をしていない、即ち対応するパレット104が移動を停止している場合(S1411;No)、制御部216は処理を終了する。
【0201】
対応するパレット104が移動をしている、即ち対応するパレット104が移動を継続している場合(S1411;Yes)、制御部216は、S1403の処理に戻る。
【0202】
一方、取得した通信強度が所定の通信強度未満である場合(S1405;No)、制御部216は、送信側検出装置210と他の中継器との通信強度を取得する(S1413)。制御部216は、取得した通信強度の中から最も大きな通信強度に対応する中継器を、新たに利用する中継器に決定する(S1415)。
【0203】
送信側検出装置210の制御部216は、検出信号を決定された中継器に送信する(S1417)。その後、制御部216は、S1411の処理に進む。
【0204】
以上が、本実施形態における送信側検出装置210の制御部216によって実行される処理の一例である。尚、ここでは、送信側検出装置210の制御部216によって実行される処理を説明したが、
図14を参照して説明した一連の処理において、送信側検出装置210と制御装置200との信号の送受信に使用され中継器を決定するための処理は、制御装置200の制御部206によって実行されることもできる。
【0205】
<変形例>
以下、本開示の駐車装置の変形例を説明する。
【0206】
[変形例1]
本開示の一実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。例えば、第3実施形態と、第1実施形態又は第2実施形態とが組み合わされてもよい。
【0207】
第3実施形態では、送信側検出装置210に対応するパレット104と制御装置200と距離が、所定の距離を超過した場合に、送信側検出装置210と制御装置200との通信モードとして第2モードが選択された。例えば、第3実施形態と第1実施形態とが組み合わされた場合、送信側検出装置210に対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離を超過していたとしても、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度以上であれば、送信側検出装置210の制御部216は、制御装置200との通信モードとして第1モードを選択してもよい。逆に、送信側検出装置210に対応するパレット104と制御装置200との距離が所定の距離以下であったとしても、送信側検出装置210と制御装置200との通信強度が所定の通信強度未満であれば、送信側検出装置210の制御部216は、制御装置200との通信モードとして第2モードを選択してもよい。
【0208】
[変形例2]
上述したように、制御装置200の制御部206は、利用者により操作盤220が操作されると、操作盤220から受信した情報に基づいてパレット104の駆動に関する指示信号をパレット駆動装置230に送信する。制御部206は、パレット駆動装置230に指示信号を送信する前に、各パレット104に設置された検出装置210が正常に動作するか否かを確認してもよい。検出装置210に故障などの不具合が発生していた場合、移動するパレット104の傾きを正常に検出することができない虞がある。そのため、パレット駆動装置230によってパレット104を移動させる前に、検出装置210が正常に動作するか否かを確認する。検出装置210に異常が確認された場合、制御装置200は、パレット駆動装置230にパレット104の移動を指示する指示信号を送信しない。
【0209】
また、制御装置200による検出装置210の動作確認は、パレット駆動装置230によってパレット104が移動している間、所定の時間ごとに定期的に実行されてもよい。パレット104が移動している間に検出装置210に異常が確認された場合、制御装置200は、パレット駆動装置230にパレット104の移動を停止させる指示信号を送信する。
【0210】
上述した第5実施形態及び第6実施形態のように、駐車装置に中継器が設置されている場合、制御装置200は、パレット駆動装置230によってパレット104を移動させる前、又はパレット104が移動している間に、中継器が正常に動作するか否かを確認してもよい。
【0211】
本開示の各実施形態に示す構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本開示の要旨を備えている限り、発明の範囲に含まれる。
【0212】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0213】
100,100A,100B・・・駐車装置
102・・・支柱
103・・・梁
104・・・パレット
106・・・昇降機
200・・・制御装置
204・・・記憶部
206・・・制御部
210・・・検出装置
212・・・検出部
214・・・記憶部
216・・・制御部
217・・・通信部
218・・・送信部
219・・・中継部
220・・・操作盤
230・・・パレット駆動装置