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2024-145459情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145459
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/31 20190101AFI20241004BHJP
【FI】
G06F16/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057818
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】399109687
【氏名又は名称】第一法規株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523120786
【氏名又は名称】金 光泰
(71)【出願人】
【識別番号】523120797
【氏名又は名称】宮坂 豪
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 究
(72)【発明者】
【氏名】金 光泰
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 豪
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
(57)【要約】
【課題】ユーザの所望の係り受け付数量範囲を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索すること。
【解決手段】サーバは、ステップS1において、所定文章D1、D2から、数量及び1以上の数量関連情報からなる数量情報I1、I2を抽出する。サーバは、ステップS2において、数量情報I1、I2を、予め規定された形態の数量情報IS1、IS2に加工する。サーバ1は、数量情報IS1、IS2を構成する数量及び1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを文章D1、D2のインデックスF1、F2として生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章の索引データを生成する情報処理装置であって、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出する数量情報抽出手段と、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データとして生成する索引データ生成手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を、予め規定された形態に加工する加工手段、
をさらに備え、
前記索引データ生成手段は、加工された前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を前記フィールドにマッピングする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザが所望する数量及び1以上の数量関連情報を含む検索条件を受け付ける検索条件受付手段と、
前記検索条件から前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出して、前記予め規定された形態に加工することで、加工された前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を含むクエリを生成するクエリ生成手段と、
前記クエリと、検索対象の複数の文章の夫々の索引データとに基づいて、前記複数の文章の中から、前記クエリにより規定される前記数量を範囲に含む文章を検索する検索手段と、
をさらに備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記数量関連情報は、前記数量の範囲表現を示す範囲情報、前記数量の単位を示す単位情報、前記数量に係る表現を示す係受表現情報を含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記加工手段は、
前記数量の表現の揺れを予め規定された表現に統一し、
前記数量の単位を正規化し、前記数量を正規化された単位の量に変換する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記索引データ生成手段は、前記数量、並びに、前記範囲情報、前記単位情報、及び前記係受表現情報を含む前記数量関連情報の夫々を、前記フィールドにマッピングする、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定文章の前記索引データは、前記数量及び前記1以上の数量関連情報の組を複数有している場合、前記複数の組毎の前記フィールドから構成されている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章の索引データを生成する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出する数量情報抽出ステップと、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データとして生成する索引データ生成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章の索引データを生成するコンピュータに、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出する数量情報抽出ステップと、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データとして生成する索引データ生成ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、法律に関する検索キーワードを知らなくても所望の条文や裁判例を検索できる法律等検索システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-140339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含め従来の技術のみでは、ユーザの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザの自身のケースが高さ5mである場合、当該所望の高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができない状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所望の係り受け付数量範囲を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章の索引データを生成する情報処理装置であって、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出する数量情報抽出手段と、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データとして生成する索引データ生成手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザの自身のケースが高さ5mである場合、所望の当該高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの係り受け付数量範囲検索を実現化させる手法の概要を示すイメージ図である。
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの係り受け付数量範囲検索の概要を示すイメージ図である。
図3図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成例を示す図である。
図4図1に示した情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図4に示したハードウェア構成を有するサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6図2の係り受け付数量範囲検索をユーザが実行する場合にユーザ端末に表示されるUI画面の一例を示す図である。
図7】インデックスの構造の具体例を示す図である。
図8図7の構造のインデックス及び当該インデックスを用いた係り受け付数量範囲検索の具体的事例であって、クエリ側が「範囲」の場合の例を示している。
図9図7の構造のインデックス及び当該インデックスを用いた係り受け付数量範囲検索の具体的事例であって、検索対象の文書の数値が範囲でない場合(「以上」「未満」等の表現が周辺に見つからない場合)の例を示す図である。
図10図7の構造のインデックスの具体的事例であって、検索対象の文書の範囲が「未満」や「超える」で表現される場合の例を示している。
図11図7の構造のインデックスの具体的事例であって、検索対象の文書のインデックス側が「上限値<下限値」の場合の例を示す図である。
図12図7の構造のインデックスの具体的事例であって、1つの文書に複数の数値表現(数量及び係受表現情報等の1以上の数量関連情報)が含まれる場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明の情報処理装置の実施形態の説明の前に、当該情報処理装置の実施形態が適用されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
本サービスは、法律条文等の多量の文章の中から、ユーザが所望する係り受け付数量範囲を含む文章を検索するサービスである。なお、以下、このような本サービスで提供される検索(手法)を、「係り受け付数量範囲検索」と呼ぶ。
【0012】
ここで、「係り受け付数量範囲」とは、数量、当該数量の範囲を示す情報(以下、「範囲情報」と呼ぶ)、当該数量の単位を示す情報(以下、「単位情報」と呼ぶ)、及び当該数量に係る表現を示す情報(以下、「係受表現情報」と呼ぶ)から構成される文字列集合体を意味する。
例えば、「・・・高さ十メートル以下の・・・」という法律条文等が存在するものとする。この場合、「十」が数量であり、「以下」が範囲情報であり、「メートル」が単位情報であり、「高さ」が係受表現情報である。
また例えば、「・・・高さ50cm未満の・・・」という別の法律条文等が存在するものとする。この場合、「50」が数量であり、「未満」が範囲情報であり、「cm」が単位情報であり、「高さ」が係受表現情報である。
【0013】
具体的には、所定分野で何らかの法規制がされる際、当該所定分野の法令において「高さ1m以上の場合において・・・」、「幅10m未満であれば・・・」といった係り受け付数量範囲を示して制約される場合がある。
法令のデータベースを利用するユーザは、こうした法規制について調査する際、自身のケース(例えば、所定分野でのビジネス展開を考えている係り受け付数量)が、規制された係り受け付数量範囲に該当する状況かどうかを確認することとなる。
例えば、ユーザ自身のケースにおける係り受け付数量が「高さ5m」や「高さ200cm」であったものとする。この場合、本来、上述の「高さ1m以上の場合において・・・」という法令等が適用されるため、当該法令等がヒットしなければならない。
しかしながら、従来のデータベースにおけるキーワード検索では、例えば、「高さ5m」のように「5」という数量と「高さ」、「m」というキーワードを1つの検索窓に入力したり、或いはまた「高さ200cm」のように「200」という数量と「高さ」、「cm」というキーワードを1つの検索窓に入力したとしても、上述の「高さ1m以上の場合において・・・」という法令等をヒットさせることはできなかった。
なお、従来においても、法令等とは別に構造化データとして数値を持たせて、RDB検索として実現することで、このような検索自体は可能であったが、RDB検索を実現するためには多数のデータを関連付ける必要があり、煩雑で高コストの準備が必要になる。特に、法令等は度々更新されるものであり、法令等の更新毎にデータの関連付けの更新をすることは、非常に煩雑で高コストになってしまう。
【0014】
これに対して、本サービスは、数量に関するデータを個別に持たせることなく(それ故簡単かつ低コストで準備ができ)、数量とキーワードを1つの検索窓にユーザが入力するだけで、ユーザのケースに該当する係り受け付数量範囲を含む法令等をヒットさせる検索、即ち係り受け付数量範囲検索を提供することが可能になる。
【0015】
以下、図1を参照して、本サービスの係り受け付数量範囲検索を実現化させる手法の概要について説明する。
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの係り受け付数量範囲検索を実現化させる手法の概要を示すイメージ図である。
【0016】
図1に示すように、検索対象の法令等の文章として、「・・・高さ十メートル以下の・・・」という文章D1、及び「・・・高さ50cm未満の・・・」という文章D2を含む多数の文章が存在しているものとする。
【0017】
ステップS1において、本発明の情報処理装置の一実施形態のサーバ(例えば、後述の図3のサーバ1)は、処理対象の所定文章から、数量及び1以上の数量関連情報(これらをまとめて「数量情報」と呼ぶ)を抽出する。ここで、数量関連情報には、上述した範囲情報、単位情報、及び係受表現情報が含まれる。
具体的には例えば、文章D1から、(係受表現情報、数量、単位情報、範囲情報)=(高さ、十、メートル、以下)という数量情報I1が抽出される。
また例えば、文章D2から、(係受表現情報、数量、単位情報、範囲情報)=(高さ、50、cm、未満)という数量情報I2が抽出される。
【0018】
ステップS2において、サーバは、抽出した数量情報を、正規化等、予め規定された、検索に適する形態に加工する。
例えば、サーバは、数量の表現の揺れを予め規定された表現に統一する。具体的には例えば、サーバは、漢数字や算用数字の揺れを統一する。
また例えば、サーバは、数量の単位を正規化する。そして、サーバは、当該数量を、正規化された単位の量に変換する。具体的には例えば、本実施形態では長さの単位は「メートル」が採用されている。そこで、数量関連情報が「1km」の場合、当該「1km」は「1000m」であるので、「1km」の「km」という単位情報は、「メートル」という単位情報に加工される。そして、「1km」の「1」という数量は、「1000」という数量に変換される。
図1の例では、(係受表現情報、数量、単位情報、範囲情報)=(高さ、十、メートル、以下)という数量情報I1が、(高さ、10、メートル、以下)という数量情報IS1に加工される。
また(係受表現情報、数量、単位情報、範囲情報)=(高さ、50、cm、未満)という数量情報I2が、(高さ、0.5、メートル、未満)という数量情報IS2に加工される。
【0019】
ステップS3において、サーバは、ステップS2において加工した数量情報(数量及び1以上の数量関連情報の夫々)を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを、処理対象の所定文章の索引データ(インデックス)として生成する。
【0020】
ここで、本実施形態の予め規定されたフィールドとしては、(通常のフィールド、Subject、Unit、Upper、Lower、exact)という構造が採用されている。
「Subject」は、係り受け付主題を示す項目であり、係受表現情報がマッピングされる。
「Unit」は、数量の単位を示す項目であり、単位情報がマッピングされる。
「Upper」は、数量範囲の上限値を示す項目であり、数量及び範囲情報から特定される上限値がマッピングされる。
「Lower」は、数量範囲の下限値を示す項目であり、数量及び範囲情報から特定される下限値がマッピングされる。
「exact」は、範囲ではない数値を示す項目であり、例えば、数量として範囲ではなく値が含まれている文章の場合に当該値を示し、数量から特定される値がマッピングされる。
【0021】
図1の例では、文章D1に対して、数量情報IS1の各情報の夫々が上述の構造のフィールドにマッピングされることで、(通常のフィールド、Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(-、高さ、メートル、10、MIN_VAL、-)というインデックスF1が生成される。
また、文章D2に対して、数量情報IS2の各情報の夫々が上述の構造のフィールドにマッピングされることで、(通常のフィールド、Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(-、高さ、メートル、0.4999・・・、MIN_VAL、-)というインデックスF2が生成される。
【0022】
このようにして、検索対象の各文章毎にインデックスが生成されて対応付けられることにより、図2に示すように、本サービスの係り受け付数量範囲検索が可能になる。
図2は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの係り受け付数量範囲検索の概要を示すイメージ図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では所定のデータベース61(以下「DB61」と呼ぶ)には、多数の法令の文章の夫々がインデックスに対応付けられて格納されている。具体的には例えば、文章D1に対しては、図1の例で生成されたインデックスF1が対応付けられており、文章D2に対しては、図1の例で生成されたインデックスF2が対応付けられている。
【0024】
ユーザUは、自身が操作する端末2(以下、「ユーザ端末2」と呼ぶ)を操作して、自身のケースに該当する数量及び1以上の数量関連情報(キーワード)を含む文章等を、検索条件として検索窓に入力する。
すると、サーバは、検索窓に入力された検索条件を受け付ける。
例えば、図2の例では、「高さ二mが適用される条文はある?」という検索条件K1が、検索窓に入力されている。そこで、サーバは、検索条件K1を受け付ける。
【0025】
ステップS11において、サーバは、検索条件から数量及び1以上の数量関連情報を抽出して、予め規定された形態に加工することで、加工された数量及び1以上の数量関連情報の夫々を含むクエリを生成する。
ここで、クエリの形態(構造)は、インデックスと比較可能なものであれば特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように(数量表現、Subject)という形態(構造)が採用されている。
「数量表現」は、数量と単位を示す項目であり、検索条件のうち「数量」及び「単位情報」が格納される。
「Subject」は、係り受け付主題を示す項目であり、検索条件のうち「係受表現情報」が格納される。
ここで、クエリは、インデックスと比較可能なものであるため、検索条件がそのまま格納されるのではなく、インデックスの生成と同様に正規化等の加工が行われた検索条件が格納される。即ち、検索条件に対して、上述の図1のステップS2と同様の加工が行われた後、クエリが生成される。
具体的には例えば、図2の例では、検索条件K1から「高さ二m」が抽出されると、「高さ2メートル」と加工された後、(数量表現、Subject)=(2メートル、高さ)というクエリQが生成される。
【0026】
ステップS12において、サーバは、クエリと、検索対象の複数の文章の夫々のインデックス(索引データ)とに基づいて、複数の文章の中から、クエリにより規定される数量を範囲に含む文章を検索する。
具体的には例えば、図2の例では、クエリQは、Subjectとして「高さ」を有していることから、同一の「高さ」をSubjectに含むインデックスF1及びインデックスF2と比較される。
即ち、同図のステップS12の「検索」の上方のイメージ図に示すように、クエリQの数量表現である「2メートル」は、インデックスF1の範囲(10メートル以下)の中に入るため、当該インデックスF1に対応する文章D1がヒットする。
一方、クエリQの数量表現である「2メートル」は、インデックスF2の範囲(0.5メートル未満)の外であるため、当該インデックスF2に対応する文章D2はヒットしない。
これにより、「・・・高さ十m以下の・・・」という文章D1がユーザ端末2に表示されることで、検索結果としてユーザUに提示される。
【0027】
このように、本サービスでは、検索対象の文章から、数量及び1以上の数量関連情報(数量情報)が抽出されて(図1のステップS1)、正規化等、比較可能な形態に適宜加工されて(図1のステップS2)、数量情報がフィールドにマッピングされることでインデックス(索引データ)が生成される(図1のステップS3)。
このようにして、検索対象の複数の文章毎にインデックスが生成されて対応付けられると、ユーザUは、自身のケースに該当する数量及びキーワード(1以上の数量関連情報)を1つの検索窓に入力するといった簡便な操作をするだけで、自身のケースに適用される法律条文等の文章を検索することが可能になる。
即ち、本サービスは、数量に関するデータを個別に持たせることなく、数量とキーワード(1以上の数量関連情報)を1つの検索窓にユーザUが入力するだけで、ユーザUのケースに該当する係り受け付数量範囲を含む法律条文等をヒットさせる検索、即ち係り受け付数量範囲検索を提供することが可能になる。
換言すると、ユーザUの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザUの自身のケースが高さ5mである場合、所望の当該高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができる。
【0028】
ここで、本サービスの係り受け付数量範囲検索の特徴としては、単純に数量の範囲での検索ができるのみならず、当該数量に係る表現を示す「係受表現情報」もインデックスに含まれているため、ユーザは自身のケースに該当するキーワードとして、係受表現情報も含めることができる点である。
この点により、単純な数量の範囲の検索と比較して、ユーザの自身のケースに該当する文章を的確にヒットさせることが可能になる。
このような係受表現情報として、上述の図1及び図2の例では「高さ」が採用されたが、特にこれに限定されず、各種各様なものを採用することができる。
具体的には例えば、「特定駐車場における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第2条」や「消防法施行規則第13条の5」では「床面から天井までの高さ」を係受表現情報として採用することができる。
例えば、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令第9条」や「汚染土壌処理業に関する省令第4条」では「排出ガス量」を係受表現情報として採用することができる。
例えば、「下請代金支払遅延等防止法第2条第7項」や「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律施行令第1条」では「資本金の額」を係受表現情報として採用することができる。
例えば、「建築基準法に基づく指定建築基準適合判定資格者検定機関等に関する省令第15条」や「建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令第8条第2項」では「床面積の合計」を係受表現情報として採用することができる。
例えば、「船舶区画規程第40条」や「環境保護に関する南極条約議定書附属書III第6条」では「船舶の最大搭載人員」を係受表現情報として採用することができる。
【0029】
次に、このような図1及び図2の本サービスに適用される情報処理システムの構成について説明する。
図3は、図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成例を示す図である。
本実施形態の情報処理システムは、例えば、図3に示すように、サーバ1と、ユーザ端末2とが、インターネット等のネットワークNに接続されることで構成される。
【0030】
サーバ1は、サービス提供者により管理される情報処理装置であり、ユーザUに対して、ウェブサイトを提供する。
ユーザ端末2は、ユーザUの操作を受け付ける、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット、スマートフォン等の情報処理装置である。ユーザUは、ユーザ端末2から上記ウェブサイトにアクセスしてサービス提供者により提供される本サービス(図2参照)を受けることができる。
具体的に、ウェブサイトでは、ユーザが例えば、法律条文等の所定文章を可読性良く閲覧できるサービスが提供される。
【0031】
なお、本実施形態では、ユーザ端末2とサーバ1と協働の一例として、例えば、ユーザ端末2がサーバ1のウェブサイトにアクセスしてウェブサイトを表示する第1手法が採用された。第1手法によれば、ユーザ端末2は、サーバ1と適宜通信をしながら主要な処理をサーバ1に実行してもらう。
ただし、ユーザ端末2とサーバ1が協働して本サービスを実現する手法は、第1手法に特に限定されない。
例えば、ユーザ端末2は、サーバ1又はその管理下の図示せぬ装置から専用のアプリケーションソフトウェアプログラム(以下、「アプリ」と略記する)を予めダウンロード及びインストールして、アプリで実行する第2手法を、「協働」の手法として採用することができる。また、第1手法と第2手法とを適宜組み合わせた手法を、「協働」の手法として採用することもできる。
ただし、以下の例では、説明の便宜上、第1手法が「協働」の手法として採用されているものとして説明する。即ち、以下の例で、処理の動作主体が「サーバ1」となっている個所は例示に過ぎず、実装時には適宜「ユーザ端末2」としてよいことは言うまでもない。
【0032】
本例では、サーバ1が主要な処理を実行するため、図3の情報処理システムのうちサーバ1に着目して、以下の説明を行う。
【0033】
図4は、図1に示した情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0035】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0036】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0037】
出力部16は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、例えば、キーボード等により構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば、図1のユーザ端末2等)との間で通信を行う。
【0038】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0039】
なお、図示はしないが、図3のユーザ端末2も、図4に示したハードウェア構成と基本的に同様の構成を有する。従って、ユーザ端末2のハードウェア構成の説明については省略する。
【0040】
このようなサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、図1及び図2の本サービスを実現するための一連の処理の実行が可能になる。
【0041】
以下、図5を参照して上述した一連の処理を実行するためのサーバ1の機能的構成の一例について説明する。
図5は、図4に示したハードウェア構成を有するサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、サーバ1の記憶部18には、DB61が記憶されている。
【0042】
DB61には、法律条文(法令「現行法規」)の他、判例「判例体系」、法関連文献情報「法律判例文献情報」等のコンテンツ(JSONファイル等)で構成される法情報総合データベース等が記憶されている。JSONは、JavaScript Object Notationの略称である。なお、JavaScriptは登録商標である。
即ち、DB61には、法律条文等の検索対象の多数の文章が格納されている。
【0043】
図5に示すように、サーバ1のCPU11においては、検索対象所定文章に対してインデックスが生成される際には、数量情報抽出部51と、正規化部52と、インデックス化部53とが機能する。
【0044】
数量情報抽出部51は、DB61に格納されている多数の文章の夫々を処理対象として、処理対象の所定文章から、数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出する。
即ち、数量情報抽出部51は、図1のステップS1の処理を実行する。
【0045】
数量関連情報は、上述したように、数量の範囲表現を示す範囲情報、数量の単位を示す単位情報、数量に係る表現を示す係受表現情報を含む。
【0046】
正規化部52は、数量情報抽出部51により抽出された数量及び1以上の数量関連情報の夫々を、予め規定された形態に加工する。
即ち、正規化部52は、図1のステップS2の処理を実行する。
例えば、正規化部52は、数量の表現の揺れを予め規定された表現に統一する。
また例えば、正規化部52は、数量の単位を正規化し、数量を正規化された単位の量に変換する。
【0047】
インデックス化部53は、正規化部52により数量及び1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを所定文章のインデックス(索引データ)として生成する。
即ち、インデックス化部53は、図1のステップS3の処理を実行する。
具体的には、インデックス化部53は、数量、並びに、範囲情報、単位情報、及び係受表現情報を含む数量関連情報の夫々をフィールドにマッピングすることで、インデックスを生成する。
所定文章に対して生成されたインデックスは、当該所定文章と対応付けられてDB61に格納される。
【0048】
また、ユーザUがユーザ端末2を操作して係り受け付数量範囲検索を実行する場合、サーバ1のCPU11においては、検索文受付部54と、クエリ化部55と、検索部56と、表示制御部57とが機能する。
【0049】
表示制御部57は、検索窓を含む所定のウェブページ(後述の図6参照)をユーザ端末2に表示させる制御を実行する。
ユーザUは、ユーザ端末2を操作して、自身のケースに該当する所望の数量及び1以上の数量関連情報(キーワード)を含む検索条件を検索窓に入力する。
検索文受付部54は、検索窓に入力された検索条件、即ちユーザUが所望する数量及び1以上の数量関連情報を含む検索条件を受け付ける。
【0050】
クエリ化部55は、検索文受付部54により受け付けられた検索条件から数量及び1以上の数量関連情報を抽出して、予め規定された形態に加工することで、加工された数量及び1以上の数量関連情報の夫々を含むクエリを生成する。
即ち、クエリ化部55は、図2のステップS11の処理を実行する。
【0051】
検索部56は、クエリと、DB61に格納された検索対象の複数の文章の夫々のインデックス(索引データ)とに基づいて、当該複数の文章の中から、クエリにより規定される数量を範囲に含む文章を検索する。
即ち、検索部56は、図2のステップS12の処理を実行する。
【0052】
表示制御部57は、検索部56により検索された文章を、検索結果としてユーザ端末2に表示させる制御(後述の図6参照)を実行する。
【0053】
さらに以下、図5の機能的構成を有するサーバ1により実現される図1及び図2の本サービスの具体的事例について説明する。
【0054】
図6は、図2の係り受け付数量範囲検索をユーザが実行する場合にユーザ端末に表示されるUI(User Interface)画面の一例を示している。
図6(A)に示すUI画面201は、本サービスにより提供される所定のウェブサイトの1つのウェブページとして構成される。UI画面201においては、上方に検索窓211及び検索ボタン212が配置され、その下方に検索結果表示欄213が配置されている。
【0055】
図6(A)の例では、「建築物 面積 9m^2」という検索条件が検索窓211に入力されている。
ユーザUは、このような検索条件が入力された状態で検索ボタン212を押下操作すると、「建築物 面積 9m^2」という検索条件がサーバ1に送信されて、係り受け付数量範囲検索が実行される。
【0056】
即ち、図5の検索文受付部54は、検索窓211に入力された「建築物 面積 9m^2」という検索条件を受け付ける。
クエリ化部55は、(数量表現、Subject)=(9m^2、建築物 面積)というクエリを生成する。
【0057】
ここで、DB61には建築基準法の各条文の文章が格納されているものとする。
また、図6に示すように、建築基準法第22条のインデックスは、(通常のフィールド、Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(-、(茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積)、m^2、10、―、―)というフィールドFk22であるものとする。
建築基準法第67条のインデックスは、(通常のフィールド、Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(-、附属建築物、m^2、50、―、―)というフィールドFk67であるものとする。
【0058】
この場合、検索部56は、クエリと、建築基準法の各条文の夫々のインデックスとを比較し、クエリのSubjectの「建築 面積」の少なくとも一方をSubjectに含むフィールドFk22及びフィールドFk67を数量範囲比較対象に決定する。
クエリの数量表現である「9m^2」は、インデックスFk22の範囲(10m^2以下)の中に入るため、検索部56は、当該インデックスFk22に対応する建築基準法第22条をヒットさせる。
同様に、クエリの数量表現である「9m^2」は、インデックスFk67の範囲(50m^2以下)の中に入るため、検索部56は、当該インデックスFk67に対応する建築基準法第67条をヒットさせる。
【0059】
表示制御部57は、図6に示すように、UI画面201の検索結果表示欄213に対して、検索部56により検索(ヒット)された建築基準法第22条及び第67条の文章を表示させる。
【0060】
なお、ユーザUは、UI画面201に対して所定操作を行うことで、検索結果表示欄213に表示された文章(条文)の詳細画面を図6(B)のUI画面214に表示させることもできる。
例えば、図6(B)は、検索結果表示欄213に表示された建築基準法第22条の詳細画面の一例を示している。
【0061】
次に、図7乃至図12を参照して、インデックスの具体的事例、及び当該インデックスを用いた係り受け付数量範囲検索の具体的事例について説明する。
【0062】
図7は、インデックスの構造の具体例を示している。
図7の例のインデックスは、(通常のフィールド、Subject[1・・・N]、Unit[1・・・N]、Upper[1・・・N]、Lower[1・・・N]、exact)という構造が採用されている。
「Subject」は、係り受け付主題を示す項目であり、係受表現情報がマッピングされる。
「Unit」は、数量の単位を示す項目であり、単位情報がマッピングされる。
「Upper」は、数量範囲の上限値を示す項目であり、数量及び範囲情報から特定される上限値がマッピングされる。
「Lower」は、数量範囲の下限値を示す項目であり、数量及び範囲情報から特定される下限値がマッピングされる。
「exact」は、範囲ではない数値を示す項目であり、例えば、数量として範囲ではなく値が含まれている文章の場合に当該値を示し、数量から特定される値がマッピングされる。
ここで、「Subject」、「Unit」、「Upper」、「Lower」、及び「exact」において、[1・・・N]が記載されているのは、条文等の1つの文章には、複数の数値表現(数量及び係受表現情報等の1以上の数量関連情報)が含まれる可能性があるからである。
つまり、1つの文章に、N個(Nは1以上の整数値)の数値表現(数量及び係受表現情報等の1以上の数量関連情報)が含まれる場合、「Subject」、「Unit」、「Upper」、「Lower」、及び「exact」の組を1つのフィールドと定義すると、当該文章のインデックスはN個のフィールドから構成されることになる。
【0063】
図8は、図7の構造のインデックス及び当該インデックスを用いた係り受け付数量範囲検索の具体的事例であって、クエリ側が「範囲」の場合の例を示している。
図8(A)には、検索対象の「・・・コンベアの長さが五十メートル以上であること。・・・」という文章Daが示されている。
文章Daは、数量範囲(下限値:五十~上限値:MAX_VALUE)を表現している文書の一例である。
図8(B)には、文章DaのインデックスFaとして、(Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(コンベアの長さ、メートル、MAX_VALUE、50、(未使用))が示されている。
また、当該インデックスFaの下方には、インデックスFa側の範囲が視覚化されたイメージとして示されている。
【0064】
図8(C)には、図8(B)のインデックスFaと比較されて図8(A)の文章Daがヒットするクエリの例が示されている。
即ち、図8(C)の例のクエリは、「コンベア 長さ 50 メートル」とされている。
図8(C)の下方には、当該クエリとインデックスFaとに基づく範囲の比較の様子が視覚化されたイメージが示されている。
当該イメージからわかるように、インデックスFa側の50メートル以上の範囲にクエリの50メートルが存在しているので、図8(A)の文章Daがヒットする。
【0065】
図8(D)には、図8(B)のインデックスFaと比較されて図8(A)の文章Daがヒットするクエリの例であって図8(C)とは異なる例が示されている。
即ち、図8(D)の例のクエリは、「コンベア 長さ 100 メートル以上」とされている。
図8(D)の下方には、当該クエリとインデックスFaとに基づく範囲の比較の様子が視覚化されたイメージが示されている。
当該イメージからわかるように、インデックスFa側の50メートル以上の範囲にクエリの100メートル以上の範囲が存在しているので、図8(A)の文章Daがヒットする。
【0066】
図8(E)には、図8(B)のインデックスFaと比較されて図8(A)の文章Daがヒットするクエリの例であって図8(C)及び(D)とは異なる例が示されている。
即ち、図8(E)の例のクエリは、「コンベア 長さ 75 メートル以下」とされている。
図8(E)の下方には、当該クエリとインデックスFaとに基づく範囲の比較の様子が視覚化されたイメージが示されている。
当該イメージからわかるように、インデックスFa側の50メートル以上の範囲とクエリの75m以下の範囲とが重なるため、図8(A)の文章Daがヒットする。
【0067】
図9は、図7の構造のインデックス及び当該インデックスを用いた係り受け付数量範囲検索の具体的事例であって、検索対象の文書の数値が範囲でない場合(「以上」「未満」等の表現が周辺に見つからない場合)の例を示している。
図9(A)には、検索対象の「・・・令第22条第3号ハの公安委員会が定める自動車は、別表4に掲げる道路を通行する自動車とし、同号ハの公安委員会が定める高さは、4.1メートルとする。・・・」という文章Dbが示されている。
図9(B)には、文章DbのインデックスFbとして、(Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(自動車高さ、メートル、(未使用)、(未使用)、4.1)が示されている。
また、当該インデックスFbの下方には、インデックスFb側の範囲が視覚化されたイメージとして示されている。
【0068】
図9(C)には、図9(B)のインデックスFbと比較されて図9(A)の文章Dbがヒットするクエリの例が示されている。
即ち、図9(C)の例のクエリは、「自動車 高さ 4.1 メートル」とされている。
図9(C)の下方には、当該クエリとインデックスFbとに基づく範囲の比較の様子が視覚化されたイメージが示されている。
当該イメージからわかるように、インデックスFb側の4.1メートルに対して、クエリも4.1メートルなので、図9(A)の文章Dbがヒットする。
【0069】
図9(D)には、図9(B)のインデックスFbと比較されて図9(A)の文章Dbがヒットするクエリの例であって図9(C)とは異なる例が示されている。
即ち、図9(D)の例のクエリは、「自動車 高さ 2 メートル以上」とされている。
図9(D)の下方には、当該クエリとインデックスFbとに基づく範囲の比較の様子が視覚化されたイメージが示されている。
当該イメージからわかるように、インデックスFb側の4.1mはクエリの2メートル以上の範囲に存在しているので、図9(A)の文章Dbがヒットする。
【0070】
図10は、図7の構造のインデックスの具体的事例であって、検索対象の文書の範囲が「未満」や「超える」で表現される場合の例を示している。
図10(A)には、検索対象の「・・・人事委員会の定めるところにより算定した通勤距離が60キロメートル未満である場合・・・」という文章Dcが示されている。
図10(B)には、文章DcのインデックスFcとして、(Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(通勤距離、キロメートル、59.9999・・・、MIN_VAL、(未使用))が示されている。
【0071】
図11は、図7の構造のインデックスの具体的事例であって、検索対象の文書のインデックス側が「上限値<下限値」の場合の例を示している。
図11(A)には、検索対象の「・・・同居者のいずれもが60歳以上または18歳未満の者であること。・・・」という文章Ddが示されている。
図11(B)には、文章DdのインデックスFdとして、(Subject、Unit、Upper、Lower、exact)=(同居者のいずれも、歳、17.9999・・・、60、(未使用))が示されている。
【0072】
図12は、図7の構造のインデックスの具体的事例であって、1つの文書に複数の数値表現(数量及び係受表現情報等の1以上の数量関連情報)が含まれる場合の例を示している。
図12(A)には、検索対象の「・・・待避所の長さは、20メートル以上とし、その区間の車道の幅員は、5メートル以上とすること。・・・」という文章Deが示されている。
図12(B)には、文章DeのインデックスFeとして、(Subject1、Unit1、Upper1、Lower1、exact1、Subject2、Unit2、Upper2、Lower2、exact2)=(待避所の長さ、メートル、MAX_VAL、20、(未使用)、車道の幅員、メートル、MAX_VAL、5、(未使用))が示されている。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0074】
例えば、上述した実施形態では、法律条文等を例示したが、ここに示した法律条文等は、文章の一例であり、他の文章、例えば、契約書や社内規程等であってもよく、ここに例示した以外の文章であってもよく、数量及び1以上の数量関連情報を含み得る所定文章であれば足りる。
【0075】
例えば、上述した実施形態では、所定文章のインデックスを作成するに際し、図1のステップS1乃至S3の処理が実行されたが、ステップS2の正規化等の加工処理は必ずしも必須な処理ではない。即ち、ステップS1の後にステップS3の処理が実行されてもよい。
例えば、各種解説系コンテンツや、各業種で利用されるウェブサイトのデータ(例:建築分野、薬学分野等)等については、元々算用数字を前提にしたデータを対象としているため、正規化は省略されてもよい。
また例えば、インデックス側での算用数字と漢数字の揺れ等に対して、クエリ側で調整するようにしてもよい。
【0076】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは特に図5の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図5に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末2に移譲させてもよい。逆に図示はしないがユーザ端末2の機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部をサーバ1に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0077】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、サーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0078】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0079】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくともよく、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0080】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば、図3のサーバ1等)は、
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章(例えば、図1の文章D1、D2)の索引データを生成する情報処理装置であって、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報(例えば、図1の数量情報I1、I2)を抽出する数量情報抽出手段(例えば、図5の数量情報抽出部51)と、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データ(例えば、図1のインデックスF1、F2)として生成する索引データ生成手段(例えば、図5のインデックス化部53)と、
を備える。
【0081】
これにより、数量に関するデータを個別に持たせることなく、数量とキーワード(1以上の数量関連情報)を1つの検索窓にユーザUが入力するだけで、ユーザUのケースに該当する係り受け付数量範囲を含む法律条文等の文章をヒットさせる検索、即ち係り受け付数量範囲検索を提供することが可能になる。
換言すると、ユーザの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザの自身のケースが高さ5mである場合、所望の当該高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができる。
【0082】
さらに、前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を、予め規定された形態に加工する(例えば、図1の数量情報I1、I2を数量情報IS1、IS2に加工する)加工手段(例えば、図5の正規化部52)、
を備え、
前記索引データ生成手段は、加工された前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を前記フィールドにマッピングする、
ようにすることができる。
【0083】
さらに、ユーザ(例えば、図2のユーザU)が所望する数量及び1以上の数量関連情報を含む検索条件(例えば、図2の検索条件K1)を受け付ける検索条件受付手段(例えば、図5の検索文受付部54)と、
前記検索条件から前記数量及び前記1以上の数量関連情報を抽出して、前記予め規定された形態に加工することで、加工された前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を含むクエリ(例えば、図2のクエリQ)を生成するクエリ生成手段(例えば、図5のクエリ化部55)と、
前記クエリと、検索対象の複数の文章の夫々の索引データとに基づいて、前記複数の文章の中から、前記クエリにより規定される前記数量を範囲に含む文章を検索する検索手段(例えば、図5の検索部56)と、
を備えることができる。
【0084】
さらに、前記数量関連情報は、前記数量の範囲表現を示す範囲情報(例えば、図1の数量情報I1のうち「以下」や数量情報I2のうち「未満」)、前記数量の単位を示す単位情報(例えば、数量情報I1、I2のうち「メートル」)、前記数量に係る表現を示す係受表現情報(例えば、数量情報I1、I2のうち「高さ」)を含む、
ようにすることができる。
【0085】
さらに、前記加工手段は、
前記数量の表現の揺れを予め規定された表現に統一し(例えば、図1の数量情報I1の漢数字の「十」を、数量情報IS1の算用数字の「10」に統一し)、
前記数量の単位を正規化し、前記数量を正規化された単位の量に変換する(例えば、図1の数量情報I2の「50」及び「cm」について、図1の数量情報IS2に示すように単位を「メートル」に正規化し、数量を「0.5」に変換する)、
ようにすることができる。
【0086】
さらに、前記索引データ生成手段は、前記数量、並びに、前記範囲情報、前記単位情報、及び前記係受表現情報を含む前記数量関連情報の夫々を、前記フィールドにマッピングする(例えば、図1のインデックスF1、F2の構造や図7のインデックスの構造参照)、
ことができる。
【0087】
さらにまた、前記所定文章の前記索引データは、前記数量及び前記1以上の数量関連情報の組を複数有している場合、前記複数の組毎の前記フィールドから構成されている(例えば、図12参照)、
ようにすることができる。
【0088】
本発明が適用される情報処理方法は、
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章(例えば、図1の文章D1、D2)の索引データを生成する情報処理装置(例えば、図3のサーバ1)が実行する情報処理方法であって、
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報(例えば、図1の数量情報I1、I2)を抽出する数量情報抽出ステップ(例えば、図1のステップS1)と、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データ(例えば、図1のインデックスF1、F2)として生成する索引データ生成ステップ(例えば、図1のステップS3)と、
を含む。
【0089】
これにより、数量に関するデータを個別に持たせることなく、数量とキーワード(1以上の数量関連情報)を1つの検索窓にユーザUが入力するだけで、ユーザUのケースに該当する係り受け付数量範囲を含む法律条文等の文章をヒットさせる検索、即ち係り受け付数量範囲検索を提供することが可能になる。
換言すると、ユーザの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザの自身のケースが高さ5mである場合、所望の当該高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができる。
【0090】
本発明が適用されるプログラムは、
数量、及び当該数量に関わる1以上の数量関連情報を含む所定文章(例えば、図1の文章D1、D2)の索引データを生成するコンピュータ(例えば、図4のCPU11)
前記所定文章から、前記数量及び前記1以上の数量関連情報(例えば、図1の数量情報I1、I2)を抽出する数量情報抽出ステップ(例えば、図1のステップS1)と、
前記数量及び前記1以上の数量関連情報の夫々を予め規定されたフィールドにマッピングすることで、マッピングされた当該フィールドを前記所定文章の索引データ(例えば、図1のインデックスF1、F2)として生成する索引データ生成ステップ(例えば、図1のステップS3)と、
を含む。
【0091】
これにより、数量に関するデータを個別に持たせることなく、数量とキーワード(1以上の数量関連情報)を1つの検索窓にユーザUが入力するだけで、ユーザUのケースに該当する係り受け付数量範囲を含む法律条文等の文章をヒットさせる検索、即ち係り受け付数量範囲検索を提供することが可能になる。
換言すると、ユーザの所望の係り受け付数量範囲(例えば、ユーザの自身のケースが高さ5mである場合、所望の当該高さ5mが含まれる「高さ1乃至7m」)を含む法律条文等の文章を容易かつ適切に検索することができる。
【符号の説明】
【0092】
1・・・サーバ、2・・・ユーザ端末、11・・・CPU、12・・・ROM、18・・・記憶部、19・・・通信部、51・・・数量情報抽出部、52・・・正規化部、53・・・インデックス化部、54・・・検索文受付部、55・・・クエリ化部、56・・・検索部、61・・・DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12