(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145466
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】接合部材
(51)【国際特許分類】
F16B 12/20 20060101AFI20241004BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20241004BHJP
F16B 13/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16B12/20 C
F16B5/06 J
F16B13/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057830
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】吉江 邦将
【テーマコード(参考)】
3J001
3J024
3J025
【Fターム(参考)】
3J001FA07
3J001GA01
3J001GA06
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA08
3J001JB03
3J001JB18
3J001JC02
3J001JC13
3J001JD04
3J001JD16
3J001JD32
3J001JD36
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA13
3J024AA14
3J024AA45
3J024BA02
3J024BA03
3J024BA05
3J024CA07
3J024CA14
3J024CA17
3J025AA02
3J025AA04
3J025BA32
3J025BA35
3J025CA03
3J025CA06
3J025EA05
(57)【要約】
【課題】接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる接合部材を提供する。
【解決手段】実施形態における接合部材1は、第1孔101aを有する第1板材101と第2孔102aを有する第2板材102とを接合するための接合部材1であって、貫通孔を有するとともに弾性変形可能な第1筒状部材3と第2筒状部材4と、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに挿通される棒状部材2と、を備える。第1筒状部材3と第2筒状部材4とは、材軸方向の一端部に形成されるとともに棒状部材2の外径D2よりも大きな内径を有する導入部31,41と、導入部31,41の内径よりも小さな内径を有する本体部32,42と、本体部32,42の内径よりも小さな内径を有する保持部33,43と、を有する。第1筒状部材3に棒状部材2が挿通されたとき、棒状部材2の材軸方向の一端部21側は、第1筒状部材3の保持部33に保持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1孔を有する第1板材と第2孔を有する第2板材とを接合するための接合部材であって、
貫通孔を有するとともに弾性変形可能な一対の筒状部材と、一対の前記筒状部材に挿通される棒状部材と、を備え、
前記筒状部材は、
材軸方向の一端部に形成されるとともに前記棒状部材の外径よりも大きな内径を有する導入部と、
前記導入部に繋がるとともに前記導入部の内径よりも小さな内径を有する本体部と、
前記本体部を挟んで前記導入部の反対側に形成されるとともに前記本体部の内径よりも小さな内径を有する保持部と、を有し、
前記棒状部材が前記筒状部材に挿通されたとき、前記棒状部材の材軸方向の一端部側は、一方の前記筒状部材の前記保持部に保持されること
を特徴とする接合部材。
【請求項2】
前記棒状部材は、中実に形成されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項3】
前記棒状部材は、材軸方向の一端部と他端部との間に主部を有し、
前記棒状部材の一端部の外径は、前記主部の外径以下であり、
前記棒状部材の一端部は、テーパー状に形成されること
を特徴とする請求項2記載の接合部材。
【請求項4】
一方の前記筒状部材の材軸方向の長さは、他方の前記筒状部材の材軸方向の長さと異なること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項5】
前記棒状部材が前記筒状部材に挿通されたとき、前記棒状部材の材軸方向の他端部側は、他方の前記筒状部材の前記保持部に保持されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔が形成される板材同士を接合するための接合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットに使われている側板等の板材へ、天板、底板、背板等の板材を取り付ける構造においては、板材の接合部にダボを取り付け、接着剤を塗布することが一般的に行われている。この際、塗布する接着剤の量や、木質のダボの乾燥状態による接着剤の吸収度合い等によって、板材同士の接合強度にバラつきが生じるおそれがある。また、ダボに塗布した接着剤が硬化するまでに養生時間が必要となる。このため、接合が完了するまでに時間がかかる。
【0003】
そこで、接着剤を用いずに板材同士を接合する技術として、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1には、管径が収縮したり拡大したりできて、突出して形成されるスナップ部を備える中空管が含まれる二つの接合部材、及びそれぞれの前部が連接されて、後部が相対方向に伸ばされ、前記接合部材の中空空間に対応するように構成され、後部が係止部を備える二つの結合ロッドが含まれる連結部材が含まれる板材連接構造であって、前記二つの接合部材がそれぞれ板材が備える設置孔に設置されて、一つの結合ロッドを一つの前記接合部材に挿入させ、かつもう一つの結合ロッドをもう一つの前記接合部材に挿入させて、前記接合部材が前記結合ロッドとの接触によって前記スナップ部で前記板材の設置孔に嵌って、さらに前記連結部材の係止部をそれぞれ二つの接合部材に引掛けることにより、前記二つの板材を接合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の開示技術では、前記接合部材の後部に内壁が窪んで形成され、前記係止部と嵌り合うように設置される係止孔が含まれる。そして、係止部をそれぞれ二つの接合部材に引掛けるために、係止部の外径は、後部の外径よりも大きく構成される。このため、接合部材の中空空間に結合ロッドを挿入する際、係止部を挿入しづらく、板材同士を接合するのに時間がかかる。また、係止部の外径は、後部の外径よりも大きく構成されることから、接合部材の中空空間に結合ロッドを挿入する際、結合ロッドへの強い叩き込みが必要となる場合がある。この場合、接合部材によって板材表面に膨れが生じる等の板材の破損のおそれが高くなる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、板材の破損を抑制でき、接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる接合部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る接合部材は、第1孔を有する第1板材と第2孔を有する第2板材とを接合するための接合部材であって、貫通孔を有するとともに弾性変形可能な一対の筒状部材と、一対の前記筒状部材に挿通される棒状部材と、を備え、前記筒状部材は、材軸方向の一端部に形成されるとともに前記棒状部材の外径よりも大きな内径を有する導入部と、前記導入部に繋がるとともに前記導入部の内径よりも小さな内径を有する本体部と、前記本体部を挟んで前記導入部の反対側に形成されるとともに前記本体部の内径よりも小さな内径を有する保持部と、を有し、前記棒状部材が前記筒状部材に挿通されたとき、前記棒状部材の材軸方向の一端部側は、一方の筒状部材の前記保持部に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板材の破損を抑制でき、接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態におけるキャビネットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における板材の接合構造の一例を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における板材の接合構造の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態における接合部材の第1筒状部材の一例を示す断面図であり、
図4(b)は、実施形態における接合部材の第2筒状部材の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態における板材の接合方法の第1挿通工程を説明する図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態における板材の接合方法の第2挿通工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した接合部材、該接合部材を用いた板材の接合構造、キャビネット、板材の接合方法及びキャビネットの組立方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<キャビネット100>
図1に示すように、キャビネット100は、接合構造10により接合された複数の板材を含む棚等である。キャビネット100は、板材等を接合して構成されるとともに内部に収納空間を有する、箱型の収納家具である。キャビネット100は、例えば、該収納空間の前面に丁番を介して開閉可能に扉を設けたり、該収納空間に摺動可能な引出を設けたりすることもできる収納家具である。キャビネット100は、例えば吊戸棚であってもよい。キャビネット100は、例えば対面式キッチンの壁側に配されるカップボード等の収納スペースに用いられる収納庫であってもよい。キャビネット100は、例えばキッチン、洗面化粧台等のカウンターの下方に設けられるキャビネットでもよい。
【0013】
キャビネット100は、第1側板11と、第2側板12と、底板13と、天板14と、背板15と、のそれぞれが接合される。なお、キャビネット100がカウンター下にワゴンを収容するための空間や、座りながらの作業が可能な空間が設けられるキャビネット(シンクキャビネット等)である場合等には、底板等の一部の板材が省略されることもある。
【0014】
板材の接合構造10は、例えばキャビネット100を構成する第1側板11と、第2側板12と、底板13と、天板14と、背板15と、のうち互いに接触される何れか2つの板材を接合する。
【0015】
<板材の接合構造10、第1板材101、第2板材102>
図2及び
図3に示すように、板材の接合構造10は、第1板材101の第1孔101aと第2板材102の第2孔102aとが対向して配置され、第1孔101aを有する第1板材101と第2孔102aを有する第2板材102とが接合部材1を用いて接合される。接合部材1は、第1孔101aと第2孔102aとに挿通される。
【0016】
第1板材101と第2板材102は、例えば直方体状に形成され、一対の主面と、一対の主面を繋ぐ4つの端面が形成される。第1板材101は、例えば端面に第1孔101aが形成される。第2板材102は、例えば主面に第2孔102aが形成される。
【0017】
板材の接合構造10では、第1板材101の端面に形成された第1孔101aと、第2板材102の主面に形成された第2孔102aと、を互いに対向させて接合部材1により接合する。このほか、板材の接合構造10では、例えば2つの板材のそれぞれ主面に孔が形成される場合、板材の主面に形成された孔同士を互いに対向させて接合部材1により接合することもできる。板材の接合構造10では、例えば接合する2つの板材のそれぞれ端面に孔が形成される場合、板材の端面に形成された孔同士を互いに対向させて接合部材1により接合することもできる。このように、板材の接合構造10では、第1板材101の第1孔101aが形成される面と、第2板材102の第2孔102aが形成される面と、が互いに対向されて接合部材1により接合される。
【0018】
第1板材101と第2板材102とは、例えばMDF(Medium Density Fiberboard)、無垢材、合板、集成材、及びパーチクルボード等の木製の板材であってもよい。第1板材101と第2板材102とは、例えば鋼板やステンレス等の金属製の板材を含んだ構成であってもよい。また、第1板材101と第2板材102とは、例えばアクリル系、ウレタン系、及びFRP等の樹脂製の板材であってもよい。第1板材101と第2板材102とは、例えば発泡ポリスチレン等の発泡樹脂製の板材であってもよい。
【0019】
<接合部材1>
接合部材1は、貫通孔を有する一対の筒状部材と、一対の筒状部材に挿通される棒状部材2と、を備える。一対の筒状部材のうち一方の筒状部材を第1筒状部材3とし、他方の筒状部材を第2筒状部材4とする。第1筒状部材3と第2筒状部材4とは、例えばポリウレタン樹脂等の樹脂が用いられ、弾性変形可能に構成される。
【0020】
<棒状部材2>
棒状部材2は、中実な円柱形状に形成され、例えば木製のダボが用いられる。棒状部材2は、材軸方向の一方側の一端部21と、材軸方向の他方側の他端部22と、一端部21と他端部22との間の主部23と、を有する。本体部の外径D2とする。棒状部材2は、一端部21の外径D21が本体部の外径D2以下である。棒状部材2は、他端部22の外径D22が本体部の外径D2以下である。棒状部材2は、主部23よりも縮径された一端部21と他端部22とを有し、一端部21と他端部22とがテーパー状に形成される。
図3に示すように、一端部21と他端部22とは、例えば外面が材軸方向に対して一様な角度で傾斜してテーパー状に形成される。一端部21と他端部22とは、例えば外面が湾曲してテーパー状に形成されてもよい。
【0021】
棒状部材2は、外面に材軸方向に傾斜したらせん状の溝が形成される。この場合、棒状部材2を筒状部材に挿通したとき、外面に形成された溝がずれ止めとして機能し、棒状部材2と筒状部材とのずれを抑制することができる。棒状部材2は、外形に材軸方向に沿ってくびれるような凹凸が形成されてもよい。この場合、棒状部材2を筒状部材に挿通したとき、外面に形成された凹凸形状がずれ止めとして機能し、棒状部材2と筒状部材とのずれを抑制することができる。
【0022】
<第1筒状部材3>
図4(a)に示すように、第1筒状部材3は、導入部31と、本体部32と、保持部33と、を有する。第1筒状部材3の材軸方向の長さは、長さL3とする。
【0023】
第1筒状部材3は、材軸方向の一端部に導入部31が形成される。導入部31の内径d31とする。導入部31は、本体部32側にテーパー状の第1テーパー部31aが形成される。導入部31は、第1テーパー部31aを有することにより、棒状部材2を挿通し易くできる。
【0024】
本体部32は、導入部31に繋がるとともに導入部31の内径d31よりも小さな内径d32で形成される。本体部32の外周面は、爪部32aが形成される。本体部32は、爪部32aを有することにより、第1孔101aに対するずれ止めとして機能させることができる。
【0025】
保持部33は、本体部32を挟んで導入部31の反対側に形成される。保持部33は、本体部32の内径d32よりも小さな内径d33で形成される。保持部33は、本体部32側にテーパー状の第2テーパー部33aが形成される。保持部33は、第2テーパー部33aを有することにより、棒状部材2の一端部21を挿通し易くできる。
【0026】
<第2筒状部材4>
図4(b)に示すように、第2筒状部材4は、導入部41と、本体部42と、保持部43と、を有する。第2筒状部材4の材軸方向の長さを、長さL4とする。第2筒状部材4の材軸方向の長さL4は、例えば第1筒状部材3の材軸方向の長さL3よりも短い。
【0027】
第2筒状部材4は、材軸方向の一端部に導入部41が形成される。導入部41の内径d41とする。導入部41は、本体部42側にテーパー状の第1テーパー部41aが形成される。導入部41は、第1テーパー部41aを有することにより、棒状部材2を挿通し易くできる。
【0028】
本体部42は、導入部41に繋がるとともに導入部41の内径d41よりも小さな内径d42で形成される。本体部42の外周面は、爪部42aが形成される。本体部42は、爪部42aを有することにより、第2孔102aに対するずれ止めとして機能させることができる。
【0029】
保持部43は、本体部42を挟んで導入部41の反対側に形成される。保持部43は、本体部42の内径d42よりも小さな内径d43で形成される。保持部43は、本体部42側にテーパー状の第2テーパー部43aが形成される。保持部43は、第2テーパー部43aを有することにより、棒状部材2の他端部22を挿通し易くできる。
【0030】
図3に示すように、板材の接合構造10では、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに棒状部材2が挿通される。このとき、第1筒状部材3は、径方向の外側に膨脹するように弾性変形し、第1筒状部材3の外周面は、第1孔101aの内周面に接触される。
【0031】
導入部31の内径d31は、棒状部材2の主部23の外径D2よりも大きい。このため、第1筒状部材3に棒状部材2が挿通されたとき、導入部31は、棒状部材2の主部23と離間される。
【0032】
第1筒状部材3に棒状部材2が挿通されたとき、本体部32は棒状部材2によって径方向の外側に膨脹するように弾性変形され、本体部32の外周面に形成された爪部32aは、第1孔101aに接触される。
【0033】
保持部33は、本体部32の内径d32よりも小さな内径d33で形成される。このため、第1筒状部材3に棒状部材2が挿通されたとき、棒状部材2の一端部21側が保持部33に保持される。
【0034】
また、第2筒状部材4に棒状部材2が挿通されたとき、第2筒状部材4は、径方向の外側に膨脹するように弾性変形し、第2筒状部材4の外周面は、第2孔102aの内周面に接触される。
【0035】
導入部41の内径d41は、棒状部材2の主部23の外径D2よりも大きい。このため、第2筒状部材4に棒状部材2が挿通されたとき、導入部41は、棒状部材2の主部23と離間される。
【0036】
第2筒状部材4に棒状部材2が挿通されたとき、本体部42は棒状部材2によって径方向の外側に膨脹するように弾性変形する。本体部42の外周面に形成された爪部32aは、第1孔101aに接触される。
【0037】
保持部43は、本体部42の内径d42よりも小さな内径d43で形成される。このため、第2筒状部材4に棒状部材2が挿通されたとき、棒状部材2の他端部22が保持部43に保持される。
【0038】
<キャビネットの組立方法>
次に、キャビネットの組立方法の一例について説明する。キャビネットの組立方法は、キャビネット100を構成する第1側板11と、第2側板12と、底板13と、天板14と、背板15と、のうち互いに接触される何れか2つの板材を接合する。キャビネットの組立方法は、板材の接合方法を備える。
【0039】
<板材の接合方法>
板材の接合方法は、第1孔101aを有する第1板材101と第2孔102aを有する第2板材102とを接合部材1を用いて接合する。板材の接合方法は、第1挿通工程と、第2挿通工程と、を備える。
【0040】
<第1挿通工程>
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1挿通工程では、第1孔101aに挿通された第1筒状部材3に棒状部材2の一端部21側を挿通し、第1筒状部材3の外周面を第1孔101aの内周面に接触させる。第1筒状部材3に棒状部材2の一端部21側を挿通する際には、例えば作業者が手で棒状部材2を押し込んで挿通すればよい。なお、第1筒状部材3に棒状部材2の一端部21側を挿通する際には、作業者がハンマー等の打撃手段を用いて弱い力で打撃しながら棒状部材2を挿通してもよい。
【0041】
詳細には先ず、
図5(a)に示すように、第1挿通工程は、第1孔101aに第1筒状部材3を配置した状態から開始する。そして、
図5(b)に示すように、第1挿通工程では、第1筒状部材3の導入部31側から棒状部材2を挿通し、棒状部材2の材軸方向の一端部21側を第1筒状部材3の保持部33に保持させる。
【0042】
ここで、棒状部材2の一端部21の外径D21は、導入部31の内径d31よりも小さく、本体部32の内径d32よりも小さい。このため、第1筒状部材3に棒状部材2を挿通する際に、棒状部材2の一端部21側を、導入部31と本体部32に容易に挿通できる。また、棒状部材2の一端部21の外径D21は、主部23の外径D2以下であり、棒状部材2の一端部21は、テーパー状に形成される。このため、棒状部材2の一端部21側を、導入部31と本体部32に容易に挿通できる。一端部21の外径D21は、保持部33の内径d33よりも小さくてもよい。
【0043】
また、棒状部材2の主部23の外径D2は、導入部31の内径d31よりも小さい。このため、棒状部材2の主部23を導入部31側から容易に挿通できる。
【0044】
また、
図5(a)に示すように、第1筒状部材3に棒状部材2を挿通する前においては、棒状部材2の主部23の外径D2は、本体部32の内径d32よりも大きい。このため、
図5(b)に示すように、棒状部材2を導入部31側から挿通したとき、棒状部材2の主部23により本体部32が径方向の外側に膨脹するように弾性変形し、本体部32の爪部32aを第1孔101aの内周面に接触させることができる。このため、接着剤を用いることなく、板材に接合できる。
【0045】
また、棒状部材2の主部23の外径D2は、保持部33の内径d33よりも大きい。これにより、第1筒状部材3に挿通される棒状部材2の一端部21側は、本体部32の内径d32よりも小さい内径d33を有する保持部33に保持されることで、棒状部材2の挿通を完了できる。すなわち、棒状部材2の材軸方向の一端部21の外径D21を主部23の外径D2よりも大きくすることなく、棒状部材2の一端部21側を第1筒状部材3の保持部33に保持させることができる。このため、第1筒状部材3に棒状部材2の一端部21側を容易に挿通できる。
【0046】
<第2挿通工程>
第1挿通工程と同様、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第2挿通工程では、第2孔102aに挿通された第2筒状部材4に棒状部材2の他端部22側を挿通し、第2筒状部材4の外周面を第2孔102aの内周面に接触させる。第2筒状部材4に棒状部材2の他端部22側を挿通する際には、例えば作業者が手で棒状部材2が挿通された第1板材101を保持しながら、棒状部材2を第2筒状部材4に挿通すればよい。なお、第2筒状部材4に棒状部材2の他端部22側を挿通する際には、ハンマー等の打撃手段を用いて第1板材101及び第2板材102の少なくとも何れかを弱い力で打撃しながら行ってもよい。
【0047】
詳細には先ず、
図6(a)に示すように、第2挿通工程は、第2孔102aに第2筒状部材4を配置した状態から開始する。そして、
図6(b)に示すように、第2挿通工程では、第2筒状部材4の導入部41側から棒状部材2を挿通し、棒状部材2の材軸方向の他端部22側を第2筒状部材4の保持部43に保持させる。
【0048】
ここで、棒状部材2の他端部22の外径D22は、導入部41の内径d41よりも小さく、本体部42の内径d42よりも小さい。このため、第2筒状部材4に棒状部材2を挿通する際に、棒状部材2の他端部22側を、導入部41と本体部42に容易に挿通できる。また、棒状部材2の他端部22の外径D22は、主部23の外径D2以下であり、棒状部材2の他端部22は、テーパー状に形成される。このため、棒状部材2の他端部22側を、導入部41と本体部42に容易に挿通できる。他端部22の外径D22は、保持部43の内径d43よりも小さくてもよい。
【0049】
また、棒状部材2の主部23の外径D2は、導入部41の内径d41よりも小さい。このため、棒状部材2の主部23を導入部41側から容易に挿通できる。
【0050】
また、
図6(a)に示すように、第2筒状部材4に棒状部材2を挿通する前においては、棒状部材2の主部23の外径D2は、本体部42の内径d42よりも大きい。このため、
図6(b)に示すように、棒状部材2を導入部41側から挿通したとき、棒状部材2の主部23により本体部42が径方向の外側に膨脹するように弾性変形し、本体部42の爪部42aを第2孔102aの内周面に接触させることができる。このため、接着剤を用いることなく、板材を接合できる。
【0051】
また、棒状部材2の主部23の外径D2は、保持部43の内径d43よりも大きい。これにより、第2筒状部材4に挿通される棒状部材2の他端部22側は、本体部42の内径d42よりも小さい内径d43を有する保持部43に保持されることで、棒状部材2の挿通を完了できる。すなわち、棒状部材2の材軸方向の他端部22の外径D22を主部23の外径D2よりも大きくすることなく、棒状部材2の他端部22側を、第2筒状部材4の保持部43に保持させることができる。このため、第2筒状部材4に棒状部材2の他端部22側を容易に挿通できる。よって、板材同士を短時間で接合できる。
【0052】
ここで、第2筒状部材4に棒状部材2を挿通する際には、棒状部材2は、既に第1板材101の第1孔101aに挿通された第1筒状部材3に挿通された状態とされる。棒状部材2が第1筒状部材3に挿通された状態であることから、第2筒状部材4への棒状部材2の挿通は、第1筒状部材3への棒状部材2の挿通よりも行いづらいことなる。したがって、第2筒状部材4の材軸方向の長さL4は、第1筒状部材3の材軸方向の長さL3よりも短いことが好ましい。これにより、材軸方向の長さの長い第1筒状部材3に棒状部材2を挿通した後に、材軸方向の長さの短い第2筒状部材4に棒状部材2を挿通できる。このため、板材同士の接合をより容易に行うことができる。
【0053】
以上により、板材の接合方法の一例が完了する。
【0054】
本実施形態では、貫通孔を有するとともに弾性変形可能な第1筒状部材3と第2筒状部材4と、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに挿通される棒状部材2と、を備える。これにより、棒状部材2を第1筒状部材3と第2筒状部材4とに挿通したとき、第1筒状部材3と第2筒状部材4とを径方向の外側に膨脹するように弾性変形させることができる。このため、第1筒状部材3の外周面を第1孔101aの内周面に接触させ、第2筒状部材4の外周面を第2孔102aの内周面に接触させることができる。したがって、接着剤を用いることなく第1板材101と第2板材102とを接合できる。
【0055】
本実施形態では、第1筒状部材3は、本体部32を挟んで導入部31の反対側に形成されるとともに本体部32の内径d32よりも小さな内径を有する保持部33を有する。すなわち、棒状部材2の材軸方向の一端部21の外径D21を主部23の外径D2よりも大きくすることなく、棒状部材2の一端部21側を第1筒状部材3の保持部33に保持させることができる。このため、第1筒状部材3に棒状部材2の一端部21側を容易に挿通できる。よって、板材同士を短時間で接合できる。
【0056】
また、本実施形態では、本体部32の内径d32よりも小さな内径を有する保持部33を有することから、棒状部材2の材軸方向の一端部21の外径D21を主部23の外径D2よりも大きくする必要がない。これにより、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに棒状部材2を挿通する際、棒状部材2を強く叩き込む等の大きな力を必要としない。このため、板材の破損を抑制できる。
【0057】
本実施形態では、棒状部材2は、中空でなく中実に形成される。これにより、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに棒状部材2を挿通する際に、棒状部材2が変形しづらい。このため、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに棒状部材2を挿通し易くなる。
【0058】
また、本実施形態では、棒状部材2は、中実に形成される。これにより、棒状部材2が中空の場合よりも棒状部材2が径方向の内側に変形しにくくなる。このため、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに中実の棒状部材2を挿通したとき、第1筒状部材3の外周面を第1孔101aの内周面とに接触させた状態と、第2筒状部材4の外周面を第2孔102aの内周面に接触させた状態と、を維持し易い。したがって、板材同士の接合強度を確保し易くなる。
【0059】
本実施形態では、棒状部材2の一端部21の外径D21は、主部23の外径D2以下であり、棒状部材2の一端部21は、テーパー状に形成される。これにより、棒状部材2の一端部21側を導入部31と本体部32に挿通し易くなる。このため、板材同士をより短時間で接合できる。
【0060】
本実施形態では、第2筒状部材4の材軸方向の長さL4は、第1筒状部材3の材軸方向の長さL3よりも短い。これにより、材軸方向の長さの長い第1筒状部材3に棒状部材2を挿通した後に、材軸方向の長さの短い第2筒状部材4に棒状部材2を挿通できる。このため、板材同士の接合をより容易行うことができる。
【0061】
本実施形態では、第1筒状部材3と第2筒状部材4とは、貫通孔を有し、導入部31と導入部41は、棒状部材2の主部23と離間される。これにより、第1筒状部材3と第2筒状部材4とに棒状部材2を挿通したとき、棒状部材2の主部23が導入部31と導入部41とに引っ掛かることがないことから、棒状部材2が奥まで挿通され易くなり、棒状部材2の一端部21と他端部22とを保持部33、43により確実に保持できる。このため、板材同士の接合強度を確保し易くなる。
【0062】
なお、本実施形態では、棒状部材2の両端部がテーパー状に形成される場合を例示した。本発明では、棒状部材2は、材軸方向において一様な外径を有してもよい。
【0063】
以上、この発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
100 :キャビネット
10 :板材の接合構造
1 :接合部材
2 :棒状部材
21 :一端部
22 :他端部
23 :主部
3 :第1筒状部材
31 :導入部
31a :第1テーパー部
32 :本体部
32a :爪部
33 :保持部
33a :第2テーパー部
4 :第2筒状部材
41 :導入部
41a :第1テーパー部
42 :本体部
42a :爪部
43 :保持部
43a :第2テーパー部
101 :第1板材
101a :第1孔
102 :第2板材
102a :第2孔
D2 :棒状部材の外径
D21 :棒状部材の一端部の外径
D22 :棒状部材の他端部の外径
d31 :導入部の内径
d32 :本体部の内径
d33 :保持部の内径
d41 :導入部の内径
d42 :本体部の内径
d43 :保持部の内径