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特開2024-145477コイルユニットおよびコイル監視システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145477
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コイルユニットおよびコイル監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20241004BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057845
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野内 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 広志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 道朝
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】地中に埋設された状態でもコイルの状態を把握できるコイルユニットを提供すること。
【解決手段】コイルユニットは、地中に埋設され、道路を走行する車両に対して非接触で給電するためのコイルユニットであって、1または2以上のコイルと、前記コイルの状態を監視するためのセンサと、を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設され、道路を走行する車両に対して非接触で給電するためのコイルユニットであって、
1または2以上のコイルと、
前記コイルの状態を監視するためのセンサと、
を含む、コイルユニット。
【請求項2】
前記センサは、温度センサである、請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項3】
前記センサは、変形センサである、請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項4】
前記センサは、磁気センサである、請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項5】
前記温度センサは、赤外線カメラ、光ファイバセンサ、または光ファイバグレーティングである、請求項2に記載のコイルユニット。
【請求項6】
前記変形センサは、光ファイバセンサ、光ファイバグレーティング、または歪センサである、請求項3に記載のコイルユニット。
【請求項7】
前記コイルの裏側に配置されたトレイと、
前記トレイの裏側に配置されたフェライトと、
をさらに有し、
前記センサは、前記トレイに配置されている、
請求項2または請求項3に記載のコイルユニット。
【請求項8】
前記コイルを2以上有し、
前記2以上のコイルおよび前記センサを収容するハウジングをさらに有し、
前記2以上のコイルは、前記ハウジングの一面に、平面視したときに、道路を走行する前記車両の通行方向に沿う第1方向および第1方向に垂直な第2方向の少なくとも一方に沿って配置されており、
前記センサは、温度センサ、変形センサ、および磁気センサのうち、いずれか1以上を含む、
請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項9】
請求項1に記載のコイルユニットと、
前記コイルについての前記センサからの情報を監視する管理センターと、を有する、
コイル監視システム。
【請求項10】
地中に埋設され、道路を走行する車両に対して非接触で給電するための1または2以上のコイルと、
前記コイルに流れる電流値を測定するための電流計、または前記コイルに電流を流した場合の抵抗値を計測するための抵抗計であるセンサと、
前記センサからの情報に基づいて、前記コイルの状態を監視するための管理センターと、
を有する、コイル監視システム。
【請求項11】
前記センサからの情報は、前記コイルの測定値および前記コイルの識別情報を含み、
前記管理センターは、前記コイルの前記測定値を前記コイルの前記識別情報と紐付けして管理するとともに、測定値に異常を検出した場合に、前記コイルの位置を特定する、
請求項9または請求項10に記載のコイル監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルユニットおよびコイル監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に搭載されたバッテリーに電力を供給する方法として、非接触給電が知られている。非接触給電では、地中に配置された送電側の給電装置から、電気自動車に搭載された受電側の受電装置に電力を送ることで、電気自動車に搭載されたバッテリーに電力を供給する。
【0003】
地中に配置された給電装置の保守作業を行う場合、掘削工事のため道路封鎖する必要がある。道路封鎖により交通が遮断されるため、給電装置の保守作業は、計画的にかつ短時間で行うことが望ましい。
【0004】
特許文献1には、非接触給電に用いる給電装置(コイルユニット)が開示されている。送電装置は、送電側整流回路と、インバータと、送電側コイルを含む送電側共振回路とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-004370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の給電装置は、地中に配置されているため、故障したか否かを判断できない。このため、特許文献1に記載の給電装置では、給電装置の保守作業を計画的にできないという問題があった。また、特許文献1に記載の給電装置では、保守作業の対象となる給電装置の位置を予め特定できないため、保守作業に伴う道路の封鎖時間が長くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の第一の目的は、地中に埋設された状態でもコイルの状態を把握できるコイルユニットおよびコイル監視システムを提供することである。また、本発明の第二の目的は、保守作業の対象のコイルの位置を予め特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
地中に埋設され、道路を走行する車両に対して非接触で給電するためのコイルユニットであって、
1または2以上のコイルと、
前記コイルの状態を監視するためのセンサと、
を含む、コイルユニットが提供される。
【0009】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
本実施の形態のコイルユニットと、
前記コイルについての前記センサからの情報を監視する管理センターと、
を有する、コイル監視システムが提供される。
【0010】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
地中に埋設され、道路を走行する車両に対して非接触で給電するための1または2以上のコイルと、
前記コイルに流れる電流値を測定するための電流計、または前記コイルに電流を流した場合の抵抗値を計測するための抵抗計であるセンサと、
前記センサによる情報に基づいて、前記コイルの状態を監視するための管理センターと、を有する、コイル監視システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコイルユニットによれば、地中に埋設された状態でもコイルの状態を把握でき、よって計画的に保守作業が行えるほか、予め保守作業の対象となるコイルを特定できるため、道路の封鎖時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1のコイル監視システムの構成を示す模式図である。
図2A図2Aは、実施の形態1のコイルユニットの斜視図である。
図2B図2Bは、実施の形態1のコイルユニットの正面図である
図3図3は、ケースに収容されたコイルと、フェライトとを示す分解斜視図である。
図4A図4Aは、実施の形態2のコイルユニットの平面図である。
図4B図4Bは、実施の形態2のコイルユニットの正面図である。
図5A図5Aは、実施の形態3のコイルユニットの平面図である。
図5B図5Bは、実施の形態3のセンサの配置を説明するための斜視図である。
図6A図6Aは、実施の形態4のコイルユニットにおけるセンサの配置を説明するための図である。
図6B図6Bは、実施の形態4のコイルユニットにおけるセンサの他の配置を説明するための図である。
図7A図7Aは、実施の形態5のコイルユニットの模式図である。
図7B図7Bは、実施の形態5におけるケースに収容されたコイルおよびフェライトを示す斜視図である。
図8A図8Aは、実施の形態6のコイルユニットの模式図である。
図8B図8Bは、実施の形態6におけるケースおよびアルミニウム板を示す斜視図である。
図9図9は、実施の形態7のコイル監視システムの構成を示す図である。
図10図10は、実施の形態8のコイル監視システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態のコイルユニットおよびコイル監視システムについて、添付した図面を参照して、詳細に説明する。本発明のコイルユニットおよびコイル監視システムは、以下に示す実施の形態に限定されない。本実施の形態のコイル監視システムは、非接触給電に用いられ、道路を走行する車両に電力を供給するコイルユニットに含まれるコイルの状態を監視するシステムである。
【0014】
[実施の形態1]
(コイル監視システムの構成)
図1は、実施の形態1のコイル監視システム10の構成を示す模式図である。なお、添付した各図面は、いずれも模式図であり、実際の寸法を示すものではない。
【0015】
図1に示されるように、コイル監視システム10は、コイル21およびセンサ26を含むコイルユニット20と、管理センター30とを有する。コイル監視システム10は、センサ26による測定値を、そのコイル21の識別情報と共に管理センター30に送り、当該測定値に基づいてコイル21の状態を監視する。管理センター30は、コイル21の異常発生を検出した場合に、コイル21の位置を特定する。コイルユニット20は、図示しないインバータを介して電源11に接続されており、電源11からの電力を電気自動車12内の非接触受電装置13に送る。非接触受電装置13に送られた電力は、バッテリー14に蓄電される。
【0016】
図2Aは、実施の形態1のコイルユニット20の斜視図であり、図2Bは、実施の形態1のコイルユニット20の正面図である。図3は、ケース24に収容されたコイル21と、フェライト23とを示す分解斜視図である。
【0017】
図2A、Bおよび図3に示されるように、コイルユニット20は、1または2以上のコイル21と、コイル21の外部からコイル21の状態を観察するためのセンサ26とを有する。コイルユニット20は、フェライト23をさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイルユニット20は、コイル21と、フェライト23と、ケース24と、ハウジング25と、センサ26とを有する。本実施の形態では、コイルユニット20は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21およびフェライト23が収容されている。
【0018】
コイル21は、リッツ線が平面的に渦巻き状に巻回されたものである。コイル21の外形は、孔を有する板形状である。本実施の形態では、コイル21は、その形状を維持するため、コイル基板(図示省略)に対して固定されている。コイル基板の平面視形状は、角環形状である。コイル基板に対してコイル21を固定する方法は、特に限定されない。コイル21は、コイル基板に対して、接着剤で固定されてもよいし、粘着テープで固定されてもよい。
【0019】
コイル21の数は、1または2以上である。本実施の形態では、コイル21の数は、4つである。複数のコイル21は、平面視したときに、道路を走行する車両の通行方向に沿う第1方向および第1方向に垂直な第2方向の少なくとも一方に沿って配置されていることが好ましい。本実施の形態では、4つのケース24が、当該第1方向と、当該第2方向とに沿って配置されているので、4つのコイル21も、当該第1方向と、当該第2方向とに沿って配置されている。なお、コイル21は、コンデンサを含む共振回路であってもよい。
【0020】
フェライト23は、コイル21の裏側に配置されており、コイル21から発生した磁力線の方向付けおよび集約を行う。フェライト23は板形状に形成されており、フェライト23の平面視形状は角環形状である。
【0021】
ケース24は、コイル21と、フェライト23とを収容する。ケース24の略中央部分には、ケース24の表面および裏面に開口した貫通孔24cが配置されている。ケース24は、ケース本体24aと、ケース蓋24bとを有する。ケース24(ケース本体24aおよびケース蓋24b)の材料は、絶縁性を有し、かつ磁力線を透過させることができ、かつ上記の構成要素を収容できる剛性を有していれば特に限定されない。ケース24の材料の例には、ポリカーボネート樹脂材料、ポリプロピレン樹脂材料が含まれる。
【0022】
ハウジング25は、複数のケース24と、センサ26とを収容する。上記の通り、ケース24は、コイル21と、フェライト23とを収容する。ハウジング25は、ハウジング本体25aと、ハウジング蓋25bとを有する。ハウジング25(ハウジング本体25aおよびハウジング蓋25b)の材料は、絶縁性を有し、かつ上記の構成要素を収容できる剛性を有していれば特に限定されない。ハウジング25の材料の例には、ポリカーボネート樹脂材料、ポリプロピレン樹脂材料が含まれる。
【0023】
センサ26は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。センサ26の種類は、前述の機能を発揮できれば特に限定されない。センサ26の種類の例には、温度を測定するための温度センサ、歪を測定するための変形センサ、磁気を測定するための磁気センサが含まれる。温度センサの例には、赤外線カメラ、光ファイバセンサ(光時間領域反射率計:OTDR)、または光ファイバグレーティングが含まれる。変形センサの例には、光ファイバセンサ、光ファイバグレーティング、およびセンサが含まれる。
【0024】
本実施の形態では、センサ26は、温度センサである。以下に、センサ26が赤外線カメラである場合について説明する。センサ26は、平面視において、ケース24と重畳しない位置に設置される。センサ26は、コイルユニット20のハウジング25内の、例えば上端部に設置されており、ハウジング25内のケース24を観察する。本実施の形態では、センサ26の数は、2つである。また、本実施の形態では、センサ26は、ハウジング25内の平面視における第一方向のそれぞれの端部であって、かつ平面視における第一方向と直交する第二方向に沿う方向における中央であって、ケース24よりも高い位置から、ケース24を見下ろす位置に、それぞれ配置されている。図2A、Bでは、図示右側のセンサ26は、例えば図示右側2つのケース24の内部のコイル21を監視している。また、図示左側のセンサ26は、例えば図示左側2つのケース24の内部のコイル21を監視している。
【0025】
センサ26は、地上の制御ボックス27内に設置された受信部に対してワイヤレスで接続可能に構成されている。すなわち、本実施の形態では、センサ26は、コイル21の温度を測定し、その温度情報を変換した信号をワイヤレスで制御ボックス27内に設置された受信部に送信する。このように、センサ26は、ワイヤレスで受信部に接続されているため、コイルユニット20のコイル21の周辺にセンサ26を配置してもセンサ26用のケーブルなどが配置されない。これにより、電源11から制御ボックス27を介して送られた電力を電気自動車12内の非接触受電装置13に適切に送ることができる。なお、センサ26と受信部との接続は、ワイヤレスに限られず、有線により行われてもよい。また、受信部は、制御ボックス27以外の場所に設置されてもよい。
【0026】
センサ26がコイル21の温度を測定するタイミングは特に限定されない。センサ26は、コイル21の温度を常時測定してもよいし、所定の間隔で測定してもよいし、予め定められたスケジュールに基づいて測定してもよい。
【0027】
センサ26は、ケース24の内部に配置されていてもよいし、ケース24の外部に配置されていてもよい。本実施の形態では、センサ26は、複数のコイル21の状態を観察する観点から、ケース24の外部であって、ハウジング25の内部に配置されている。センサ26の数は、ケース24の内部に配置された全てのコイル21の状態を観察できれば、特に限定されない。センサ26の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0028】
制御ボックス27は、図示しないインバータおよび受信部を含む。インバータは、電源11から送られてきた直流の電圧および周波数を調整し、コイル21に送る。受信部は、センサ26から送られてきたコイル21の状態信号を受信し、管理センター30にそのコイル21の識別情報と共に送信する。受信部は、ワイヤレスでセンサ26に接続可能に構成されている。なお、本実施の形態では、制御ボックス27は、地上であって、電源11の近くに配置されている。
【0029】
管理センター30は、センサ26によるコイル21の測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置がコイル21の温度に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の温度が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の温度が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0030】
センサ26から送られるコイル21の識別情報は、管理センター30にてコイル21の位置情報と紐づけられる。位置情報は、コイル21が設置された位置を特定する情報であり、例えば住所や地図上の位置を示すデータである。管理センター30は、コイル21の測定値に異常を検出した場合に、そのコイル21の識別情報または位置情報からそのコイル21の位置を特定する。管理センター30は、異常を検出したコイル21の測定値、識別情報および位置情報を管理者に報知する。なお、管理センター30は、コイル21の測定値、識別情報および位置情報を、さらに、保守作業の担当者に報知してもよい。
【0031】
ここで、コイル監視ユニットの動作について説明する。まず、電源11からの電力が制御ボックス27内のインバータを介してコイル21に送られる。このとき、コイルユニット20のコイル21と、非接触受電装置13のコイルに高周波電力が供給されることにより、コイルユニット20のコイル21から非接触受電装置13のコイルに向かって電磁誘導により磁束が発生する。また、このとき非接触受電装置13のコイルには誘電起電力が発生する。これにより、コイルユニット20のコイル21から非接触受電装置13のコイルへ非接触で電力が供給される。
【0032】
上記の通り、コイルユニット20は、センサ26を有している。本実施の形態では、センサ26は、コイル21の温度を監視する。センサ26は、コイル21の温度を一定間隔で測定している。センサ26で測定された温度の情報は、制御ボックス27に送られ、制御ボックス27で受信された情報は、そのコイル21の識別情報と共に管理センター30に送られる。
【0033】
管理センター30は、各制御ボックス27から送られてきたコイル21の温度情報に基づいて、コイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の温度が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の温度が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0034】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システム10によれば、コイル21の外部からコイル21の状態を監視するためのセンサ26を有するため、コイル21に異常が発生する前の状態を検出できる。また、コイル21に異常が発生した場合に、保守作業が必要なコイル21の位置が予め特定される。これにより、コイル21に異常が発生する前に、計画的にコイル21を交換でき、保守工事に伴う道路封鎖時間を短くできる。
【0035】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2のコイル監視システムについて説明する。本実施の形態のコイル監視システムは、コイルユニット40の構成のみが実施の形態1のコイル監視システム10と異なる。そこで、ここでは、主としてコイルユニット40について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
(コイル監視システムの構成)
本実施の形態のコイル監視システムは、コイル21およびセンサ46を含むコイルユニット40と、管理センター30とを有する。
【0037】
(コイルユニットの構成)
図4Aは、実施の形態2のコイルユニット40の平面図であり、図4Bは、実施の形態2のコイルユニット40の正面図である。
【0038】
図4A、Bに示されるように、コイルユニット40は、1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ46とを有する。コイルユニット40は、フェライト23をさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイルユニット40は、コイル21と、フェライト23と、ケース24と、ハウジング25と、センサ46とを有する。本実施の形態では、コイルユニット40は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21、フェライト23およびセンサ46が収容されている。
【0039】
センサ46は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。センサ46は、変形センサである。本実施の形態では、センサ46は、光ファイバグレーティングである。センサ46は、ケース24の内部に配置されていてもよいし、ケース24の外部に配置されていてもよい。本実施の形態では、センサ46は、ケース24の内部に配置されている。なお、本実施の形態では、センサ46の光源および検出部は、地上の制御ボックス27内に配置されている(図示省略)。
【0040】
センサ46の数は、特に限定されない。センサ46の数は、1つでもよいし、複数でもよい。本実施の形態では、4つである。センサ46は、回折格子部46aを有する。回折格子部46aの数は、特に限定されない。回折格子部46aは、1つでもよいし、複数でもよい。回折格子部46aの数は、コイル21の大きさに応じて適宜設定できる。本実施の形態では、1つのセンサ(光ファイバグレーティング)46に対して、6つの回折格子部46aが配置されている。本実施の形態では、コイル21を平面視したときに、回折格子部46aがコイル21の周りに等間隔となるように配置されている。また、コイル21を正面視したときに、回折格子部46aの高さは、コイル21の高さと同じ高さになるように配置されている。回折格子部46aは、例えばコイル21の中心側と外周側に配置されてもよい。
【0041】
管理センター30は、センサ46による情報から求められた測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置がコイル21の変形度に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の変形度が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の変形度が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0042】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0043】
なお、本実施の形態では、センサ46として光ファイバグレーティングを使用し、コイル21の変形度を観察したが、光ファイバグレーティングでの観察対象は、コイル21の変形度でなくてもよい。例えば、実施の形態1に示したように、光ファイバグレーティングでコイル21の温度を測定してもよい。すなわち、光ファイバグレーティングは、温度センサとしても機能するし、変形センサとしても機能できる。
【0044】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3のコイル監視システムについて説明する。本実施の形態のコイル監視システムは、コイルユニット50の構成のみが実施の形態1のコイル監視システム10と異なる。そこで、ここでは、主としてコイルユニット50について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
(コイル監視システムの構成)
本実施の形態のコイル監視システムは、コイル21およびセンサ56を含むコイルユニット50と、管理センター30とを有する。
【0046】
(コイルユニットの構成)
図5Aは、実施の形態3のコイルユニット50の平面図であり、図5Bは、実施の形態3のセンサ56の配置を説明するための斜視図である。
【0047】
図5A、Bに示されるように、コイルユニット50は、1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ56とを有する。コイルユニット50は、ケース24と、トレイ52と、フェライト23とをさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイルユニット50は、コイル21と、トレイ52と、フェライト23と、ハウジング25と、センサ56とを有する。本実施の形態では、コイルユニット50は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21、トレイ52、フェライト23およびセンサ56が収容されている。
【0048】
トレイ52は、コイル21の裏側に配置されている。トレイ52は、センサ56を配置する第1溝52aが形成されている。トレイ52に対してセンサ56を固定する方法は、特に限定されない。センサ56は、トレイ52に対して、接着剤で固定されてもよいし、粘着テープで固定されてもよいし、樹脂で封止してもよい。
【0049】
センサ56は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。本実施の形態では、センサ56は、温度センサであり、光ファイバセンサである。センサ(温度センサ)56は、トレイ52に配置されている。なお、本実施の形態では、センサ56の光源および検出部は、制御ボックス27内に配置されている。センサ56は、平面視したときに、コイル21に対応した位置となるように配置されている。
【0050】
管理センター30は、センサ56による情報から求められた測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置がコイル21の温度に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の温度が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の温度が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0051】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0052】
なお、本実施の形態では、センサ56として光ファイバセンサを使用したが、光ファイバグレーティングを使用してもよい。本実施の形態では、センサ56は、コイル21の温度を観察したが、光ファイバグレーティングでの観察対象は、コイル21の温度でなくてもよい。例えば、光ファイバグレーティングでの観察対象は、変形度(歪)でもよい。すなわち、光ファイバセンサは、温度センサとしても機能するし、変形センサとしても機能できる。
【0053】
[実施の形態4]
次に、実施の形態4のコイル監視システムについて説明する。本実施の形態のコイル監視システムは、光ファイバセンサの配置のみが実施の形態3のコイル監視システムと異なる。そこで、実施の形態3のコイル監視システムと同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図6Aは、実施の形態4のコイルユニットにおけるセンサ56の配置を説明するための図であり、図6Bは、実施の形態4のコイルユニットにおけるセンサ56の他の配置を説明するための図である。
【0055】
光ファイバセンサであるセンサ56は、トレイ52に配置されて、コイルユニットに設置される。センサ56は、1本でもよいし、複数本でもよい。図6A、Bに示されるように、センサ56は、トレイ52の対角線に対応する位置に配置されていてもよい。また、図6Bに示されるように、センサ56は2本でもよいし、図6Aに示されるように、センサ56は1本でもよい。ここで、1本のセンサ56をトレイ52の対角線上に配置する場合、図6Aに示すように、所定の曲げ半径以上で曲げて配置される。
【0056】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0057】
[実施の形態5]
次に、実施の形態5のコイル監視システムについて説明する。本実施の形態のコイル監視システムは、コイルユニット60の構成のみが実施の形態1のコイル監視システム10と異なる。そこで、ここでは、主としてコイルユニット60について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
(コイル監視システムの構成)
本実施の形態のコイル監視システムは、コイル21およびセンサ66を含むコイルユニット60と、管理センター30とを有する。
【0059】
(コイルユニットの構成)
図7Aは、実施の形態5のコイルユニット60の模式図であり、図7Bは、実施の形態5におけるケース24に収容されたコイル21およびフェライト23を示す斜視図である。
【0060】
図7A、Bに示されるように、コイルユニット60は、1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ66とを有する。コイルユニット60は、ケース24と、フェライト23とをさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイルユニット60は、コイル21と、フェライト23と、ケース24と、ハウジング25と、センサ66とを有する。本実施の形態では、コイルユニット60は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21、フェライト23およびセンサ66が収容されている。
【0061】
センサ66は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。本実施の形態では、センサ66は、磁気センサである。本実施の形態では、センサ(磁気センサ)66は、フェライト23に配置されている。より具体的には、フェライト23の中央よりの位置に配置されている。フェライト23の中央よりの位置に配置することによりセンサ66は、磁気をより精度よく測定できる。
【0062】
管理センター30は、センサ66による測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置が磁気に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の磁気が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の磁気が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0063】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0064】
[実施の形態6]
次に、実施の形態6のコイル監視システムについて説明する。本実施の形態のコイル監視システムは、コイルユニット70の構成のみが実施の形態1のコイル監視システム10と異なる。そこで、ここでは、主としてコイルユニット70について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
(コイル監視システムの構成)
本実施の形態のコイル監視システムは、コイル21およびセンサ76を含むコイルユニット70と、管理センター30とを有する。
【0066】
(コイルユニットの構成)
図8Aは、実施の形態6のコイルユニット70の模式図であり、図8Bは、実施の形態6におけるケース24およびアルミニウム板を示す斜視図である。
【0067】
図8A、Bに示されるように、コイルユニット70は、1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ76とを有する。コイルユニット70は、ケース24と、フェライト23と、アルミニウム板78とをさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイルユニット70は、2以上のコイル21と、フェライト23と、ケース24と、ハウジング25と、センサ76と、アルミニウム板78とを有する。本実施の形態では、コイルユニット70は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21、およびフェライト23が収容されている。
【0068】
アルミニウム板78は、コイル21の共振周波数を調整する。アルミニウム板78は、ケース24(ハウジング25)の裏側であって、フェライト23に対して所定の距離となるように配置されている。なお、アルミニウム板78は、フェライト23との間隔が調整可能に構成されていてもよい。アルミニウム板78には、センサ76を配置する第2溝78aが形成されている。アルミニウム板78に対してセンサ76を固定する方法は、特に限定されない。センサ76は、アルミニウム板78に対して、接着剤で固定されてもよいし、粘着テープで固定されてもよいし、樹脂で封止してもよい。
【0069】
センサ76は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。本実施の形態では、センサ76は、温度センサであり、光ファイバセンサである。センサ(温度センサ)76は、アルミニウム板78に配置されている。なお、本実施の形態では、センサ76の光源および検出部は、制御ボックス27とともに配置されている。センサ76は、平面視したときに、コイル21に対応した位置となるように配置されている。
【0070】
管理センター30は、センサ76による測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置がコイル21の温度に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の温度が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の温度が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0071】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0072】
なお、本実施の形態では、センサ76として光ファイバセンサを使用したが、光ファイバグレーティングを使用してもよい。本実施の形態では、コイル21の温度を観察したが、光ファイバグレーティングでの観察対象は、コイル21の温度でなくてもよい。例えば、光ファイバグレーティングでの観察対象は、変形度(歪)でもよい。すなわち、光ファイバグレーティングは、温度センサとしても機能するし、変形センサとしても機能できる。
【0073】
なお、本実施の形態では、光ファイバセンサであるセンサ(温度センサ)76を用いて温度を測定したが、光ファイバセンサであるセンサ(変形センサ)として使用してもよい。この場合、センサ76は、アルミニウム板78の歪を測定してもよいし、ケース24の歪を測定してもよい。このように、アルミニウム板78の歪またはケース24の歪を測定することで、間接的にコイル21の歪を測定してもよい。
【0074】
[実施の形態7]
次に、実施の形態7のコイル監視システムについて説明する。ここでは、主として、実施の形態1のコイル監視システム10と異なる点について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
(コイル監視システムの構成)
図9は、実施の形態7のコイル監視システム80の構成を示す図である。
【0076】
図9に示されるように、コイル監視システム80は、地中に埋設された1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ86と、管理センター30とを有する。コイル監視システム80は、ケース24と、フェライト23と、をさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイル監視システム80は、2以上のコイル21と、フェライト23と、ハウジング25と、センサ86と、管理センター30とを有する。本実施の形態では、コイル監視システム80は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21およびフェライト23が収容されている。
【0077】
センサ86は、コイル21の状態を直接または間接的に観察する。本実施の形態では、センサ86は、電流計である。センサ(電流計)86は、コイル21と制御ボックス27内のインバータとの間に配置されている。なお、本実施の形態では、センサ86は、制御ボックス27とともに地上に配置されている。電流計86は、制御ボックス27内に配置されてもよい。
【0078】
管理センター30は、センサ86による測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置がコイル21に流れる電流値に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21を流れる電流値が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21を流れる電流値が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0079】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0080】
[実施の形態8]
次に、実施の形態8のコイル監視システムについて説明する。ここでは、主として、実施の形態1のコイル監視システム10と異なる点について説明し、実施の形態1のコイル監視システム10と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
(コイル監視システムの構成)
図10は、実施の形態8のコイル監視システム90の構成を示す図である。
【0082】
図10に示されるように、コイル監視システム90は、1または2以上のコイル21と、コイル21の状態を観察するためのセンサ96と、管理センター30とを有する。コイル監視システム90は、ケース24と、フェライト23と、をさらに有していてもよい。本実施の形態では、コイル監視システム90は、コイル21と、フェライト23と、ハウジング25と、センサ96と、管理センター30とを有する。本実施の形態では、コイル監視システム90は、ハウジング25内に収容された4つのケース24を有しており、各ケース24の中にはコイル21およびフェライト23が収容されている。
【0083】
センサ96は、コイル21の状態を監視する。本実施の形態では、センサ96は、抵抗計である。センサ(抵抗計)96は、コイル21と制御ボックス27との間に配置されている。なお、本実施の形態では、センサ96は、制御ボックス27とともに地上に配置されている。センサ(抵抗計)96は、制御ボックス27内に設置されてもよい。
【0084】
管理センターは、センサ96による測定値に基づいて、コイル21の状態を監視する。管理センター30は、公知の演算処理装置を有する。本実施の形態では、演算処理装置が抵抗値に基づいてコイル21の状態を監視する。具体的には、コイル21の抵抗値が所定の範囲内であれば、コイル21が正常であると判断し、コイル21の抵抗値が所定の範囲外であれば、コイル21に異常が生じつつあることを報知する。
【0085】
(効果)
以上のように、本実施の形態のコイル監視システムは、実施の形態1と同様の効果を有する。
【0086】
<実施例1の変形例>
コイルユニット20は、さらにコイル21以外の温度を測定する、図示しないセンサを備えてもよい。この場合、センサのコイル21以外の温度を一定間隔でセンサ26と同期して一定間隔で測定している。センサで測定された温度情報は、制御ボックス27に送られ、制御ボックス27で受信された温度情報は、そのコイル21の識別情報と共に管理センター30に送られる。管理センター30は、センサ26の温度情報と、センサの温度情報に基づいて、コイル21の状態を判断する。これにより、コイルユニット20の外部の温度を考慮して、コイル21の温度情報に基づくコイル21の状態の監視を行うことができる。
【符号の説明】
【0087】
10、80、90 コイル監視システム
11 電源
12 電気自動車
13 非接触受電装置
14 バッテリー
20、40、50、60、70 コイルユニット
21 コイル
52 トレイ
23 フェライト
24 ケース
24a ケース本体
24b ケース蓋
24c 貫通孔
25 ハウジング
25a ハウジング本体
25b ハウジング蓋
26、46、56、66、76、86、96 センサ
27 制御ボックス
30 管理センター
46a 回折格子部
52a 第1溝
78 アルミニウム板
78a 第2溝
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10