(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145481
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アイドリングストップ制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 29/02 20060101AFI20241004BHJP
F02D 17/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F02D29/02 321A
F02D17/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057850
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢元 統裕
【テーマコード(参考)】
3G092
3G093
【Fターム(参考)】
3G092AC03
3G092EA14
3G092FA30
3G092GA00
3G092HF13Z
3G092HF21Z
3G092HF23Z
3G093BA21
3G093BA22
3G093BA24
3G093CA00
3G093DA06
3G093DA13
3G093DB05
3G093DB12
3G093DB15
3G093DB19
3G093FB05
(57)【要約】
【課題】燃料供給時にエンジンが自動停止された場合でも、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができるアイドリングストップ制御装置を提供すること。
【解決手段】各種情報を運転者に報知する報知部7と、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン2を自動停止させ、所定の自動再始動条件が成立したときエンジン2を自動再始動させ、エンジン2の自動停止中に燃料供給中であると判定した場合には、エンジン2の自動再始動を禁止し、エンジン2を自動再始動できないことを報知部7により報知する制御部8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を運転者に報知する報知部と、
所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、所定の自動再始動条件が成立したとき前記エンジンを自動再始動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記エンジンの自動停止中に燃料供給中であると判定した場合には、前記エンジンの自動再始動を禁止し、前記エンジンを自動再始動できないことを前記報知部により報知するアイドリングストップ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記エンジンの自動停止中に燃料供給中であると判定して前記エンジンの自動再始動を禁止したときに、前記エンジンの始動方法を前記報知部により報知する請求項1に記載のアイドリングストップ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エンジンの始動方法として、シフト位置を非走行レンジにすることを前記報知部により報知する請求項2に記載のアイドリングストップ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記エンジンの始動方法として、燃料供給状態を解除することを前記報知部により報知する請求項2に記載のアイドリングストップ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、シフト位置が非走行レンジである場合は、前記エンジンの始動方法として、燃料供給状態を解除することを前記報知部に報知させる請求項2に記載のアイドリングストップ制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記エンジンの自動停止中に燃料供給中であると判定して前記エンジンの自動再始動を禁止したときに、運転者によるエンジン始動操作が行なわれるまで前記エンジンの自動再始動の禁止を継続し、燃料供給状態が解除されていれば、前記エンジンの始動方法として前記エンジンの始動操作を行なうことを前記報知部により報知する請求項2に記載のアイドリングストップ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイドリングストップ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アイドルストップ機能搭載の車両において、車両がアイドルストップしているとき、フューエルリッドオープンレバーが操作されたとき、エンジンの自動再始動を禁止することが記載されている。これによって、給油時のエンジン始動を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転者にとっては、エンジンの再始動がどのタイミングで行なわれるのかが分からない。フューエルリッドが開いていることでエンジンの自動再始動が禁止されていることに気が付いておらず、いつも通りに操作していれば自動再始動すると思っている運転者にとっては、自動停止が継続し続け、自動再始動が行なわれないことに違和感を覚える可能性がある。
【0005】
また、アイドルストップ中は、電装負荷にはバッテリ電圧が供給され続けるため、運転者がエンジンを始動できない状態が続いた場合、バッテリの電圧が低下してしまう。
【0006】
また、エンジンの再始動を禁止しているだけでは、禁止条件が解消されるとエンジンが再始動され、フューエルリッドオープンレバーが操作されなくなった瞬間に意図せずエンジンが再始動してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、燃料供給時にエンジンが自動停止された場合でも、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができるアイドリングストップ制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、各種情報を運転者に報知する報知部と、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、所定の自動再始動条件が成立したとき前記エンジンを自動再始動させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記エンジンの自動停止中に燃料供給中であると判定した場合には、前記エンジンの自動再始動を禁止し、前記エンジンを自動再始動できないことを前記報知部により報知するものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、燃料供給時にエンジンが自動停止された場合でも、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るアイドリングストップ制御装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るアイドリングストップ制御装置の自動再始動禁止処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例の他の態様に係るアイドリングストップ制御装置の自動再始動禁止処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係るアイドリングストップ制御装置は、各種情報を運転者に報知する報知部と、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、所定の自動再始動条件が成立したときエンジンを自動再始動させる制御部と、を備え、制御部は、エンジンの自動停止中に燃料供給中であると判定した場合には、エンジンの自動再始動を禁止し、エンジンを自動再始動できないことを報知部により報知するよう構成されている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係るアイドリングストップ制御装置は、燃料供給時にエンジンが自動停止された場合でも、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができる。
【実施例0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るアイドリングストップ制御装置について詳細に説明する。
【0014】
図1において、本発明の一実施例に係るアイドリングストップ制御装置を搭載した車両1は、エンジン2と、スタータ3と、ISG(Integrated Starter Generator)4と、燃料供給確認センサ5と、アイドリングストップ用センサ6と、報知部7と、制御部8と、を含んで構成される。
【0015】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。
【0016】
エンジン2には、スタータ3と、ISG4とが連結されている。スタータ3は、図示しないモータとピニオンギヤとを含んで構成されている。スタータ3は、モータを回転させることにより、エンジン2のクランクシャフトを回転させて、エンジン2に始動時の回転力を与えるようになっている。
【0017】
ISG4は、図示しないベルトなどを介してエンジン2のクランクシャフトに連結されている。ISG4は、電力が供給されることにより回転することでエンジン2を回転駆動させる電動機の機能と、クランクシャフトから入力された回転力を電力に変換する発電機の機能とを有する。このように、エンジン2は、スタータ3によって始動され、アイドリングストップ機能による停止状態からISG4によって再始動される。
【0018】
燃料供給確認センサ5は、車両1が外部から燃料を供給されているか否かを検出する。燃料供給確認センサ5は、例えば、フューエルリッドが開いているか否かを検出するフューエルリッド開閉スイッチセンサにより構成される。燃料供給確認センサ5は、例えば、車両1の燃料が気体燃料である場合は、充填ホースが装着されたか否かを検出する充填ホース装着スイッチセンサにより構成される。
【0019】
アイドリングストップ用センサ6は、エンジン2の自動停止と自動再始動を判定するためのセンサ類である。アイドリングストップ用センサ6は、例えば、車速センサ、加速度センサ、ブレーキペダルスイッチセンサ、ブレーキストロークセンサ、ブレーキ液圧センサ、アクセルペダルスイッチセンサ、アクセル開度センサ、バッテリ電圧センサ、シフト位置センサなどから構成される。
【0020】
車速センサは、車両1の速度を検出する。加速度センサは、車両1の加速度を検出する。ブレーキペダルスイッチセンサは、運転者によって操作される図示しないブレーキペダルが踏まれているか否かを検出する。ブレーキストロークセンサは、運転者によって操作されるブレーキペダルの踏み込み量を検出する。ブレーキ液圧センサは、車両1の図示しないブレーキの液圧を検出する。アクセルペダルスイッチセンサは、運転者によって操作される図示しないアクセルペダルが踏み込まれているか否かを検出する。アクセル開度センサは、運転者によって操作されるアクセルペダルの開度であるアクセル開度を検出する。バッテリ電圧センサは、車両1の図示しないバッテリの電圧を検出する。シフト位置センサは、運転者による図示しないシフトレバーの操作により選択されたシフト位置を検出する。
【0021】
報知部7は、例えば、警告灯、メータ、カーナビなどのディスプレイ装置、スピーカ、ブザーなどで構成され、視覚、聴覚などを通じて各種情報を運転者に報知する。
【0022】
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0023】
コンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部8として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例における制御部8として機能する。
【0024】
制御部8の入力ポートには、前述の燃料供給確認センサ5、アイドリングストップ用センサ6を含む各種センサ類が接続されている。
【0025】
制御部8の出力ポートには、前述のエンジン2、スタータ3、ISG4、報知部7を含む各種制御対象類が接続されている。
【0026】
本実施例において、制御部8は、アイドリングストップ用センサ6の検出結果を基に、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン2の自動停止を行ない、その後、所定の自動再始動条件が成立したときにエンジン2の自動再始動を行なう。
【0027】
制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給確認センサ5の検出結果により車両1が外部から燃料を供給されていると判定すると、エンジン2の自動再始動を禁止し、エンジン2を自動再始動できないことを報知部7により報知する。
【0028】
制御部8は、例えば、警告灯を点灯させたり、メータに警告を表示させたり、ディスプレイ装置に警告を表示させたりしてエンジン2が自動再始動できないことを報知部7により報知する。
【0029】
制御部8は、エンジン2の自動再始動の禁止中に、燃料供給確認センサ5の検出結果により車両1が外部から燃料を供給されていないと判定すると、エンジン2の自動再始動の禁止を解除し、所定の自動再始動条件が成立したときにはエンジン2の自動再始動を行なう。
【0030】
制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給確認センサ5の検出結果により車両1が外部から燃料を供給されていると判定して、エンジン2の自動再始動を禁止したとき、エンジン2の始動方法を報知部7により報知する。
【0031】
制御部8は、例えば、メータやディスプレイ装置によりエンジン2の始動方法を報知部7により報知する。
【0032】
制御部8は、エンジン2の始動方法として、シフト位置を非走行レンジにすることを報知部7により報知する。
【0033】
制御部8は、例えば、AT(Automatic Transmission)車の場合、「シフトをPまたはNにしてください」と報知部7により報知する。制御部8は、例えば、MT(Manual Transmission)車の場合、「シフトをNにしてください」と報知部7により報知する。制御部8は、パーキングブレーキをかけるように報知部7により報知してもよい。
【0034】
制御部8は、エンジン2の始動方法として、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知する。
【0035】
制御部8は、例えば、フューエルリッドが開いていることで燃料供給状態であると判定している場合は、「フューエルリッドを閉じてください」と報知部7により報知する。制御部8は、例えば、ガス充填ホースが装着されていることで燃料供給状態であると判定している場合は、「ガス充填ホースを外してください」と報知部7により報知する。
【0036】
制御部8は、シフト位置が非走行レンジである場合は、エンジン2の始動方法として、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知するようにしてもよい。
【0037】
このように、本実施例においては、エンジン2が正常に始動しており、エンジン2の自動停止が禁止されておらず、所定の自動停止条件でエンジン2の自動停止が行なえるエンジン始動中状態から、エンジン2の自動停止条件が成立すると、エンジン自動停止中状態となる。
【0038】
エンジン自動停止中状態では、エンジン2が正常に自動停止しており、エンジン2の自動再始動が禁止されておらず、所定の自動再始動条件が成立すると、エンジン2の自動再始動が行なえる。
【0039】
エンジン自動停止中状態において、燃料供給状態であると判定されると、エンジン自動停止中再始動禁止状態となる。
【0040】
エンジン自動停止中再始動禁止状態では、エンジン2は自動停止しており、エンジン2の自動再始動が禁止される。
【0041】
エンジン自動停止中再始動禁止状態は、燃料供給状態が解除されれば、同一のイグニッションサイクル中にエンジン自動停止中状態になることが可能である。イグニッションサイクルとは、図示しないイグニッションスイッチによりエンジン2が始動されてから停止されるまでの期間である。
【0042】
エンジン自動停止中状態において、エンジン2の自動再始動条件が成立すると、エンジン2が再始動され、エンジン始動中状態となる。
【0043】
以上のように構成された本実施例に係るアイドリングストップ制御装置による自動再始動禁止処理について、
図2を参照して説明する。なお、以下に説明する自動再始動禁止処理は、制御部8が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0044】
ステップS1において、制御部8は、エンジン2が自動停止中であるか否かを判定する。
【0045】
エンジン2が自動停止中であると判定した場合には、制御部8は、ステップS2の処理を実行する。エンジン2が自動停止中でないと判定した場合には、制御部8は、自動再始動禁止処理を終了する。
【0046】
ステップS2において、制御部8は、自動再始動条件が成立しているか否かを判定する。
【0047】
自動再始動条件が成立していると判定した場合には、制御部8は、自動再始動禁止処理を終了する。自動再始動条件が成立していないと判定した場合には、制御部8は、ステップS3の処理を実行する。
【0048】
ステップS3において、制御部8は、燃料供給確認センサ5の検出結果により燃料供給状態であるか否かを判定する。
【0049】
燃料供給状態であると判定した場合には、制御部8は、ステップS4の処理を実行する。燃料供給状態でないと判定した場合には、制御部8は、ステップS2の処理を実行する。
【0050】
ステップS4において、制御部8は、エンジン2の自動再始動を禁止する。ステップS4の処理を実行した後、制御部8は、ステップS5の処理を実行する。
【0051】
ステップS5において、制御部8は、シフト位置が非走行レンジとなっているか否かを判定する。
【0052】
シフト位置が非走行レンジとなっていると判定した場合には、制御部8は、ステップS7の処理を実行する。シフト位置が非走行レンジとなっていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS6の処理を実行する。
【0053】
ステップS6において、制御部8は、シフト位置を非走行レンジにすることを報知部7により報知する。ステップS6の処理を実行した後、制御部8は、ステップS5の処理を実行する。
【0054】
ステップS7において、制御部8は、シフト位置を非走行レンジにすることの報知を停止する。ステップS7の処理を実行した後、制御部8は、ステップS8の処理を実行する。
【0055】
ステップS8において、制御部8は、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知する。ステップS8の処理を実行した後、制御部8は、ステップS9の処理を実行する。
【0056】
ステップS9において、制御部8は、シフト位置が非走行レンジとなっているか否かを判定する。
【0057】
シフト位置が非走行レンジとなっていると判定した場合には、制御部8は、ステップS10の処理を実行する。シフト位置が非走行レンジとなっていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS6の処理を実行する。
【0058】
ステップS10において、制御部8は、燃料供給確認センサ5の検出結果により燃料供給状態が解除されているか否かを判定する。
【0059】
燃料供給状態が解除されていると判定した場合には、制御部8は、ステップS11の処理を実行する。燃料供給状態が解除されていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS8の処理を実行する。
【0060】
ステップS11において、制御部8は、燃料供給状態を解除することの報知を停止する。ステップS11の処理を実行した後、制御部8は、ステップS2の処理を実行する。
【0061】
このように、本実施例では、制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給状態であると判定すると、エンジン2の自動再始動を禁止し、エンジン2を自動再始動できないことを報知部7により報知する。
【0062】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止された場合に、エンジン2を自動再始動できないことを報知しているため、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。
【0063】
また、制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給状態であると判定して、エンジン2の自動再始動を禁止したとき、エンジン2の始動方法を報知部7により報知する。
【0064】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止された場合に、エンジン2を自動再始動できないこととエンジン2の始動方法を報知しているため、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。
【0065】
また、制御部8は、エンジン2の始動方法として、シフト位置を非走行レンジにすることを報知部7により報知する。
【0066】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止された場合に、エンジン2を自動再始動できないこととエンジン2の始動方法としてシフト位置を非走行レンジとすることを報知しているため、車両1が意図せず動き出すことを防ぎながら、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。また、非日常的なエンジン停止の対応でも、非走行レンジにし忘れることを防ぐことができる。
【0067】
また、制御部8は、エンジン2の始動方法として、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知する。
【0068】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止された場合に、エンジン2を自動再始動できないこととエンジン2の始動方法として燃料供給状態を解除することを報知しているため、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。また、運転者がエンジン2を始動できず、バッテリの充電状態が低下することを防ぐことができる。
【0069】
また、制御部8は、シフト位置が非走行レンジである場合は、エンジン2の始動方法として、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知する。
【0070】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止された場合に、エンジン2を自動再始動できないこととエンジン2の始動方法としてシフト位置が非走行レンジであるときは燃料供給状態を解除することを報知しているため、燃料供給状態が解除されてエンジン2が自動再始動された場合に車両1が意図せず動き出すことを防ぎながら、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。
【0071】
正常にエンジン2が自動停止されている状況と、燃料供給中にエンジン2の自動再始動が禁止されている状況とは、いずれもエンジン2が停止している点では共通であるが、運転者にその違いを明確に伝えないと、運転者に違和感を覚えさせたり、バッテリの電圧が低下してしまったり、車両1が意図せず動き出したりしてしまう可能性がある。このため、本実施例のような報知を適切に行なうといった工夫が必要となる。
【0072】
本実施例の他の態様としては、
図1における制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給確認センサ5の検出結果により車両1が外部から燃料を供給されていると判定すると、エンジン2の自動再始動を禁止し、運転者によるエンジン始動操作が行なわれるまでエンジン2の自動再始動の禁止を継続するエンジンストール状態とし、エンジン2を自動再始動できないことを報知部7により報知し、燃料供給状態が解除されていれば、エンジン2の始動方法としてエンジン2の始動操作を行なうことを報知部7により報知する。
【0073】
制御部8は、例えば、「キーでエンジン始動してください」もしくは「PUSHでエンジン始動してください」と報知部7により報知する。
【0074】
このように、本実施例の他の態様においては、エンジン2が正常に始動しており、エンジン2の自動停止が禁止されておらず、所定の自動停止条件でエンジン2の自動停止が行なえるエンジン始動中状態から、エンジン2の自動停止条件が成立すると、エンジン自動停止中状態となる。
【0075】
エンジン自動停止中状態では、エンジン2が正常に自動停止しており、エンジン2の自動再始動が禁止されておらず、所定の自動再始動条件が成立すると、エンジン2の自動再始動が行なえる。
【0076】
エンジン自動停止中状態において、燃料供給状態であると判定されると、エンジンストール状態となる。
【0077】
エンジンストール状態では、エンジン2は運転者によるエンジン始動操作が行なわれるまでエンジン2の自動再始動が禁止されている。すなわち、同一のイグニッションサイクル中にエンジン自動停止中状態になることが不可能であり、エンジン2を始動させるには、運転者のイグニッションスイッチによる始動が必要となる。
【0078】
なお、エンジン自動停止中状態において、所定のエンジン再始動禁止条件が成立した場合にエンジン自動停止中再始動禁止状態になるようにしてもよい。
【0079】
エンジン自動停止中再始動禁止状態では、エンジン2は自動停止しており、エンジン2の自動再始動が禁止される。
【0080】
エンジン自動停止中再始動禁止状態において、燃料供給状態であると判定されると、エンジンストール状態となるようにしてもよい。
【0081】
エンジン自動停止中再始動禁止状態は、所定のエンジン再始動可能条件が成立したとき、同一のイグニッションサイクル中にエンジン自動停止中状態になるようにしてもよい。 エンジン自動停止中状態において、エンジン2の自動再始動条件が成立すると、エンジン2が再始動され、エンジン始動中状態となる。
【0082】
以上のように構成された本実施例の他の態様に係るアイドリングストップ制御装置による自動再始動禁止処理について、
図3を参照して説明する。なお、以下に説明する自動再始動禁止処理は、制御部8が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0083】
前述の実施例と同様に、ステップS1からステップS3において、制御部8は、エンジン2が自動停止中であるか否かを判定し、エンジン2が自動停止中であると判定した場合には、自動再始動条件が成立しているか否かを判定し、自動再始動条件が成立していないと判定した場合には、燃料供給状態であるか否かを判定し、燃料供給状態であると判定した場合には、制御部8は、ステップS21の処理を実行する。
【0084】
ステップS21において、制御部8は、運転者によるエンジン始動操作が行なわれないとエンジン2を始動させないエンジンストール状態とする。ステップS21の処理を実行した後、制御部8は、ステップS22の処理を実行する。
【0085】
ステップS22において、制御部8は、シフト位置が非走行レンジとなっているか否かを判定する。
【0086】
シフト位置が非走行レンジとなっていると判定した場合には、制御部8は、ステップS24の処理を実行する。シフト位置が非走行レンジとなっていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS23の処理を実行する。
【0087】
ステップS23において、制御部8は、シフト位置を非走行レンジにすることを報知部7により報知する。ステップS23の処理を実行した後、制御部8は、ステップS22の処理を実行する。
【0088】
ステップS24において、制御部8は、シフト位置を非走行レンジにすることの報知を停止する。ステップS24の処理を実行した後、制御部8は、ステップS25の処理を実行する。
【0089】
ステップS25において、制御部8は、燃料供給状態を解除することを報知部7により報知する。ステップS25の処理を実行した後、制御部8は、ステップS26の処理を実行する。
【0090】
ステップS26において、制御部8は、シフト位置が非走行レンジとなっているか否かを判定する。
【0091】
シフト位置が非走行レンジとなっていると判定した場合には、制御部8は、ステップS27の処理を実行する。シフト位置が非走行レンジとなっていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS23の処理を実行する。
【0092】
ステップS27において、制御部8は、燃料供給確認センサ5の検出結果により燃料供給状態が解除されているか否かを判定する。
【0093】
燃料供給状態が解除されていると判定した場合には、制御部8は、ステップS28の処理を実行する。燃料供給状態が解除されていないと判定した場合には、制御部8は、ステップS25の処理を実行する。
【0094】
ステップS28において、制御部8は、燃料供給状態を解除することの報知を停止する。ステップS28の処理を実行した後、制御部8は、ステップS29の処理を実行する。
【0095】
ステップS29において、制御部8は、エンジン2の始動方法としてエンジン2の始動操作を行なうことを報知部7により報知する。ステップS29の処理を実行した後、制御部8は、ステップS2の処理を実行する。
【0096】
このように、本実施例の他の態様では、制御部8は、エンジン2の自動停止中に、燃料供給状態であると判定すると、エンジン2の自動再始動を禁止し、運転者によるエンジン始動操作が行なわれるまでエンジン2の自動再始動の禁止を継続し、エンジン2を自動再始動できないことを報知部7により報知し、燃料供給状態が解除されていれば、エンジン2の始動方法としてエンジン2の始動操作を行なうことを報知部7により報知する。
【0097】
これにより、エンジン2の自動停止中に燃料供給状態であることを条件にエンジン2の自動再始動が禁止され、運転者のエンジン始動操作が無い限りエンジン2が始動できない場合に、エンジン2を自動再始動できないことと、燃料供給状態が解除されていればエンジン2の始動方法としてエンジン2を始動させることを報知しているため、燃料供給状態のままエンジン始動操作が行なわれることを抑えながら、運転者に違和感を覚えさせることを抑えることができ、運転者に適切にエンジン2を始動させることができる。
【0098】
従来の設計思想において、エンジン自動停止は、電力不足や低温時などのエンジン2が自動再始動できない場合には行なわないようにするものである。
【0099】
燃料供給状態時にエンジン2が始動しないようにするため、エンジン2をストール状態にする構成を、単純にエンジン自動停止中に組み込むと、従来の設計思想に反するものとなり、本実施例の他の態様のような報知を適切に行なうといった工夫が必要となる。
【0100】
本実施例では、各種センサ情報に基づき制御部8が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0101】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。