(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145490
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】プロジェクター、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20241004BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241004BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241004BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241004BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N5/74 D
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
G09G5/00 550H
G09G5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057865
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 真弥
(72)【発明者】
【氏名】西郷 学
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA22
2K203FA34
2K203FA62
2K203FA82
2K203FA93
2K203FB03
2K203GA43
2K203GA52
2K203GB32
2K203GB44
2K203GB55
2K203GB62
2K203GC07
2K203HA99
2K203KA83
2K203MA05
5C058BA23
5C058EA03
5C058EA26
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA13
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA03
5C182BB05
5C182BB11
5C182BB22
5C182BC01
5C182BC41
5C182CA01
5C182CA02
5C182CC25
5C182DA53
(57)【要約】
【課題】マルチプロジェクションにおいて、他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得する。
【解決手段】処理装置22は、第1の有効データ、第2の有効データ、及び無効データに基づいて、調光制御情報及び光源制御情報を決定する。第1の有効データは、光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に画像光LLの生成に用いられる第1の有効画素EP1に対応するデータである。第2の有効データは、光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に画像光LLの生成に用いられる第2の有効画素EP2に対応するデータである。無効データは、画像光LLの生成に用いられない画素に対応し、他のプロジェクターによってスクリーン3に投射される投射画像PRIを示すデータである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光が入射する表示パネルと、
前記表示パネルから射出される、投射対象に投射される投射画像の少なくとも一部を含む画像光が入射する光学素子と、
前記光学素子の姿勢を、前記画像光を前記投射対象の第1の領域に対して第1の光軸に沿って射出する第1の姿勢と、前記画像光を前記第1の領域に対して第2の光軸に沿って射出する第2の姿勢と、のいずれかに制御する駆動装置と、
を含む光学デバイスと、
前記光学素子の姿勢が前記第1の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が前記第2の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第2の有効画素と、を含む複数の有効画素と、
前記画像光を生成することに用いられない複数の無効画素と、
を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、
前記複数の第1の有効画素に対応する第1の有効データと、
前記複数の第2の有効画素に対応する第2の有効データと、
前記複数の無効画素に対応し、少なくとも1台の他のプロジェクターによって前記投射対象に投射される前記投射画像の少なくとも一部を示す無効データと、
を含む画像データを受信する通信回路と、
前記第1の有効データ及び前記第2の有効データの一部又は全部と、前記無効データの一部又は全部とに基づいて、前記画像光を投射することに用いる制御情報を決定する制御装置と、
を備えるプロジェクター。
【請求項2】
前記少なくとも1台の他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクターであり、
前記第1の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域に対して画像光を投射し、
前記無効データは、前記投射画像のうち前記第2の領域に対応する画像を示す、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の有効データと、前記第2の有効データと、前記無効データとに基づいて、前記制御情報を決定する、
請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記少なくとも1台の他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクター及び第2の他のプロジェクターであり、
前記第1の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域に対して画像光を投射し、
前記第2の他のプロジェクターは、前記投射対象の第3の領域に対して画像光を投射し、
前記無効データは、前記投射画像のうち前記第2の領域に対応する画像を示す第1の無効データと、前記投射画像のうち前記第3の領域に対応する画像を示す第2の無効データとを含む、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1の領域の面積、前記第2の領域の面積、及び前記第3の領域の面積は等しく、
前記第1の有効データに対応する有効画素の数は前記第1の無効データに対応する無効画素の数と等しく、
前記第1の有効データに対応する有効画素の数は前記第2の無効データに対応する無効画素の数と等しく、
前記制御装置は、前記第1の有効データと、前記第1の無効データと、前記第2の無効データとに基づいて、前記制御情報を決定する、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記少なくとも1台の他のプロジェクターの数はN(Nは1以上の整数)であり、
N台の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域から第N+1の領域までのN個の領域に一対一に対応しており、
前記N台の他のプロジェクターの各々は、対応する領域に画像光を投射し、
前記複数の無効画素の一部又は全部は、前記N個の領域に投射されるN個の投射画像の画素に対応しており、
前記無効データは、前記N個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第Nの無効データまでを含み、
前記第1の無効データから前記第Nの無効データまでの各々に対応する前記無効画素の数と、前記第1の有効データ及び前記第2の有効データの一部又は全部に対応する前記有効画素の数とは、前記N個の領域の各面積に比例する、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記制御情報は、前記表示パネルに入力される表示画像データの示す輝度を制御する調光制御情報と、前記光源の光量を制御する光源制御情報とのうち少なくとも一方を含む、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記制御情報は、前記調光制御情報を含み、
前記光学素子の姿勢が前記第1の姿勢である場合に、前記画像光は、前記第1の有効データと前記調光制御情報とに基づいて制御され、
前記光学素子の姿勢が前記第2の姿勢である場合に、前記画像光は、前記第2の有効データと前記調光制御情報とに基づいて制御される、
請求項7に記載のプロジェクター。
【請求項9】
コンピューターに、
プロジェクターが投射対象の第1の領域に投射画像の画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示す画像データを受信することと、
第1の有効データ及び第2の有効データの一部又は全部と、無効データの一部又は全部とに基づいて、前記投射することに用いる制御情報を決定することと、
を実行させ、
前記複数の有効画素は、前記プロジェクターの表示パネルから射出される前記画像光が入射する光学素子の姿勢が第1の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が第2の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第2の有効画素とを含み、
前記第1の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第1の有効画素に対応し、
前記第2の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第2の有効画素に対応し、
前記無効データは、前記プロジェクター以外の他のプロジェクターによって投射される前記投射画像の一部の画像を示し、
前記第1の領域は、前記第1の姿勢において前記光学素子からの画像光が第1の光軸に沿って射出され、かつ、前記第2の姿勢において前記光学素子からの画像光が第2の光軸に沿って射出される領域である、
プログラム。
【請求項10】
第1のプロジェクターから第M(Mは2以上の整数)のプロジェクターの各々から投射される画像光によって、投射対象に投射画像を投射する投射システムに利用可能な情報処理装置であって、
前記投射対象は、第1の領域から第Mの領域までのM個の領域を含み、
前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに一対一に対応する第1の画像データから第Mの画像データまでを生成する制御装置と、
前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでを、前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでに一対一に対応する前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに送信する送信装置と、を含み、
第J(Jは1以上M以下の任意の整数)のプロジェクターは、M個の領域のうち、第Jの領域に画像光を投射し、
第Jの画像データは、
前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、
前記複数の無効画素の一部又は全部は、前記M個の領域のうち、前記第Jの領域を除くM-1個の領域に投射されるM-1個の投射画像の画素に対応し、
前記複数の無効画素に対応する無効データは、前記M-1個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第M-1の無効データまでを含み、
前記第1の無効データから前記第M-1の無効データまでの各々に対応する前記無効画素の数と、前記有効画素の一部又は全部の数とは、前記M個の領域の各面積に比例する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプロジェクターを用いて、各プロジェクターにより投射される投射画像を並べて表示することにより、大画面化及び解像度向上を図るマルチプロジェクション技術が知られている。特許文献1には、複数の投射画像がタイル状に並べられて配置されるタイリング画像のむらを、むら測定装置から取得されたむら測定結果から算出される補正値に基づいて補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、補正を行う画像処理装置が各プロジェクターの特性を取得するために、むら測定装置を用いて各プロジェクターのむらを測定する必要がある。そのため、例えば、画像の明るさや光源の出力といった、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るプロジェクターの一態様は、光源と、前記光源からの光が入射する表示パネルと、前記表示パネルから射出される、投射対象に投射される投射画像の少なくとも一部を含む画像光が入射する光学素子と、前記光学素子の姿勢を、前記画像光を前記投射対象の第1の領域に対して第1の光軸に沿って射出する第1の姿勢と、前記画像光を前記第1の領域に対して第2の光軸に沿って射出する第2の姿勢と、のいずれかに制御する駆動装置と、を含む光学デバイスと、前記光学素子の姿勢が前記第1の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が前記第2の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第2の有効画素と、を含む複数の有効画素と、前記画像光を生成することに用いられない複数の無効画素と、を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、前記複数の第1の有効画素に対応する第1の有効データと、前記複数の第2の有効画素に対応する第2の有効データと、前記複数の無効画素に対応し、少なくとも1台の他のプロジェクターによって前記投射対象に投射される前記投射画像の少なくとも一部を示す無効データと、を含む画像データを受信する通信回路と、前記第1の有効データ及び前記第2の有効データの一部又は全部と、前記無効データの一部又は全部とに基づいて、前記画像光を投射することに用いる制御情報を決定する制御装置と、を備える。
【0006】
本開示に係るプログラムの一態様は、コンピューターに、プロジェクターが投射対象の第1の領域に投射画像の画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示す画像データを受信することと、第1の有効データ及び第2の有効データの一部又は全部と、無効データの一部又は全部とに基づいて、前記投射することに用いる制御情報を決定することと、を実行させ、前記複数の有効画素は、前記プロジェクターの表示パネルから射出される前記画像光が入射する光学素子の姿勢が第1の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が第2の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第2の有効画素とを含み、前記第1の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第1の有効画素に対応し、前記第2の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第2の有効画素に対応し、前記無効データは、前記プロジェクター以外の他のプロジェクターによって投射される前記投射画像の一部の画像を示し、前記第1の領域は、前記第1の姿勢において前記光学素子からの画像光が第1の光軸に沿って射出され、かつ、前記第2の姿勢において前記光学素子からの画像光が第2の光軸に沿って射出される領域である。
【0007】
本開示に係る情報処理装置の一態様は、第1のプロジェクターから第M(Mは2以上の整数)のプロジェクターの各々から投射される画像光によって、投射対象に投射画像を投射する投射システムに利用可能な情報処理装置であって、前記投射対象は、第1の領域から第Mの領域までのM個の領域を含み、前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに一対一に対応する第1の画像データから第Mの画像データまでを生成する制御装置と、前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでを、前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでに一対一に対応する前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに送信する送信装置と、を含み、第J(Jは1以上M以下の任意の整数)のプロジェクターは、M個の領域のうち、第Jの領域に画像光を投射し、第Jの画像データは、前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、前記複数の無効画素の一部又は全部は、前記M個の領域のうち、前記第Jの領域を除くM-1個の領域に投射されるM-1個の投射画像の画素に対応し、前記複数の無効画素に対応する無効データは、前記M-1個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第M-1の無効データまでを含み、前記第1の無効データから前記第M-1の無効データまでの各々に対応する前記無効画素の数と、前記有効画素の一部又は全部の数とは、前記M個の領域の各面積に比例する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る投射システムの構成図である。
【
図2】
図1のプロジェクターの構成例を示すブロック図である。
【
図3】輝度伸長率のルックアップテーブルの一例を示す図である。
【
図4】第1の投射光が投射される場合における投射装置の構成を示す図である。
【
図5】第2の投射光が投射される場合における投射装置の構成を示す図である。
【
図6】光路シフト装置の画像光を進行方向から見た概略構成図である。
【
図7】画素ずらしによる画像光の投射位置を示す図である。
【
図8】メディアサーバーからプロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
【
図9】
図1のメディアサーバーの構成例を示すブロック図である。
【
図10】プロジェクターの台数が2台である場合に、メディアサーバーから各プロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
【
図11】プロジェクターの台数が2台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図12】プロジェクターに入力される第1の画像データの簡易的な模式図である。
【
図13】他のプロジェクターに入力される第2の画像データの簡易的な模式図である。
【
図14】第2実施形態に係る投射システムの構成図である。
【
図15】プロジェクターの台数が3台である場合に、メディアサーバーから各プロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
【
図16】第1の画像データにおいて統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
【
図17】プロジェクターの台数が3台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図18】第2の画像データにおいて、統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
【
図19】第3の画像データにおいて、統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
【
図20】第3実施形態に係る投射システムの構成図である。
【
図21】プロジェクターの台数が5台である場合に、メディアサーバーからプロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
【
図22】第1の画像データにおいて統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
【
図23】接続されているプロジェクターの台数が5台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図24】接続されているプロジェクターの台数が4台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図25】第4実施形態に係る投射システムの構成図である。
【
図26】プロジェクターの台数が9台である場合に、メディアサーバーからプロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
【
図27】第1の画像データにおいて統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
【
図28】プロジェクターの台数が9台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図29】プロジェクターの台数が8台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
【
図30】第5実施形態に係る投射システムの構成図である。
【
図31】処理装置22の動作を示すフローチャートである。
【
図32】1台のメディアサーバーとM台のプロジェクターとにより構成される投射システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際と異なる場合があり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.第1実施形態
1.1.投射システムの概要
以下、
図1を参照しつつ、第1実施形態に係る投射システム1の概要について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る投射システム1の構成図である。投射システム1は、2台のプロジェクター2、スクリーン3、及びメディアサーバー4を備えている。2台のプロジェクター2は、プロジェクター200及び他のプロジェクター201を含んでいる。以下、プロジェクター200の性能及び他のプロジェクター201の性能は同等であるものとして、説明を続ける。
【0012】
プロジェクター200及び他のプロジェクター201は、メディアサーバー4とそれぞれ接続されている。プロジェクター200及び他のプロジェクター201は、メディアサーバー4から画像データを受信し、受信された画像データに基づいて、スクリーン3上に画像を投射する。言い換えると、メディアサーバー4は、プロジェクター200及び他のプロジェクター201の各々から投射される画像光によって、スクリーン3に投射画像PRIを投射する投射システム1に利用可能である。
【0013】
プロジェクター200は、スクリーン3上の2つの領域のうち、第1の領域300に対して画像光LL0を投射する。他のプロジェクター201は、スクリーン3上の2つの領域のうち、第2の領域301に対して画像光LL1を投射する。第1の領域300と第2の領域301とは、第1の重複領域OL1において重なり合っている。第1の重複領域OL1では、プロジェクター200からの画像光と、他のプロジェクター201からの画像光とが重なり合う。なお、本実施形態において、第1の領域300の面積と第2の領域301の面積とは等しい。
【0014】
なお、投射画像PRIが投射される面は、スクリーン3に限らず、建物の壁面、天井等であってもよい。
【0015】
1.2.プロジェクターの構成
以下、
図2~
図3を参照しつつ、第1実施形態に係るプロジェクター200の構成について説明する。
【0016】
図2は、
図1のプロジェクター200の構成例を示すブロック図である。
図2に示したように、プロジェクター200は、記憶装置21、処理装置22、通信装置23、操作装置24、及び投射装置25を備えている。
【0017】
記憶装置21は、各種情報を記憶する。記憶装置21は、例えば、RAM等の揮発性メモリー及びROM等の不揮発性メモリーを含んで構成されている。ここで、RAMとは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMとは、Read Only Memoryの略称である。記憶装置21には、制御プログラム211等が記憶されている。記憶装置21の揮発性メモリーは、処理装置22のワークエリア212として処理装置22に利用される。制御プログラム211は、プロジェクター200の全体を制御するプログラムである。
【0018】
なお、記憶装置21の一部又は全部は、外部記憶装置、外部サーバー等に設けられてもよい。また、記憶装置21に記憶される各種情報の一部又は全部は、予め記憶装置21に記憶されてもよいし、外部記憶装置、外部サーバー等から取得されてもよい。
【0019】
処理装置22は、プロジェクター200の動作を制御する。処理装置22は、台数判定部221、統計量演算部222、調光制御情報決定部223、光源制御情報決定部224、調光制御部225、及び光源制御部226としての機能を有している。処理装置22は、1以上のCPUを含んで構成されている。但し、処理装置22は、CPUの代わりに、又はCPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えていてもよい。ここで、CPUとはCentral Processing Unitの略称であり、FPGAとはField-Programmable Gate Arrayの略称である。なお、処理装置22の各機能ブロックの少なくとも1つは、CPU又はFPGA等のプログラマブルロジックデバイスに代えて、専用のハードウェアにより実現されてもよい。
【0020】
処理装置22は、記憶装置21から制御プログラム211を読み出し、読み出された制御プログラム211を実行する。処理装置22は、制御プログラム211を実行することにより、台数判定部221、統計量演算部222、調光制御情報決定部223、光源制御情報決定部224、調光制御部225、及び光源制御部226として機能する。
【0021】
台数判定部221は、メディアサーバー4からマルチプロジェクションを構成するプロジェクターの台数を示す台数情報を取得し、統計量演算部222に送信する。
【0022】
統計量演算部222は、台数判定部221から受信した台数情報に基づいて、入力された画像データの統計量の演算対象となる画素を特定する。統計量演算部222は、特定された演算対象となる画素の画素値について統計処理を実行し、統計量を演算する。統計量は、例えば、平均画素値、最小輝度、最大輝度、及び輝度ヒストグラムである。
【0023】
より具体的に述べると、統計量演算部222は、演算対象として特定された画素をマスク処理により抽出する。マスク処理に用いられるマスクパターンは、プロジェクターの台数に応じて予め用意され、記憶されている。マスクパターンは、画像データの各画素に対して、「1」又は「0」の1ビットのデータとして与えられる。マスクパターンの「1」に対応する画素は、演算対象の画素であり、マスクパターンの「0」に対応する画素は、演算対象外の画素である。マスク処理は、各画素における画像データと、マスクパターンの「1」又は「0」との論理積を演算する処理である。
【0024】
統計量演算部222は、入力された画像データをラスタースキャンにより全画素にわたって走査し、各画素に対してマスク処理を実行し、演算対象となる画素の画素値について統計処理を実行する。統計量演算部222は、演算対象となる画素をマスク処理によって特定する。プロジェクターの台数が2台である本実施形態では、演算対象として特定される画素は、入力された画像データに対応するすべての画素である。即ち、マスクパターンは、すべての画素において「1」である。
【0025】
統計量演算部222は、統計処理の結果を調光制御情報決定部223及び光源制御情報決定部224に送信する。
【0026】
調光制御情報決定部223は、統計量演算部222から受信した統計量に基づいて、表示画像データの示す輝度を制御するための調光制御情報を決定する。表示画像データは、投射装置25の液晶パネルに入力される画像データである。言い換えると、調光制御情報決定部223は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとに基づいて、調光制御情報を決定する。調光制御情報は、画像光LLを投射することに用いる情報であり、本実施形態では、輝度伸長率である。輝度伸長率は、画像データの画素ごとに設定される。
【0027】
図3は、輝度伸長率のルックアップテーブルの一例を示す図である。
図3に示したように、輝度伸長率のルックアップテーブルは、平均輝度と最大輝度とに対応付けて輝度伸長率が設定されたテーブルである。
図3の白丸に示した格子点の各箇所に、輝度伸長率G(x,y)が格納されている。輝度伸長率G(x,y)の括弧内の文字x,yは、画像データの1フレームにおける座標を表している。即ち、G(x,y)は、座標(x,y)の画素の輝度伸長率を意味する。輝度伸長率G(x,y)の範囲は、任意に設定可能であり、例えば、0~255の範囲に設定される。
【0028】
調光制御情報決定部223は、統計量として算出された平均輝度と最大輝度とに対応する格子点を特定し、特定した格子点に設定されている輝度伸長率G(x,y)を取得する。調光制御情報決定部223は、平均輝度と最大輝度とに対応する格子点が輝度伸長率のルックアップテーブルに存在しない場合、入力された平均輝度及び最大輝度に最も近い格子点に設定された輝度伸長率を取得してもよい。また、調光制御情報決定部223は、複数の格子点に設定されている輝度伸長率に基づいて補間演算を行い、輝度伸長率を求めてもよい。
【0029】
再び
図2を参照すると、光源制御情報決定部224は、統計量演算部222から受信した統計量に基づいて、光源251の光量を制御するための光源制御情報を決定する。言い換えると、光源制御情報決定部224は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとに基づいて、光源制御情報を決定する。光源制御情報は、画像光LLを投射することに用いる情報であり、本実施形態では、輝度ヒストグラムである。例えば、計測された輝度ヒストグラムから画像全体が暗いと判断される場合、光源制御部226は、光源251の出力を低下させる。これにより、画像のコントラストを高めることができる。
【0030】
調光制御部225は、調光制御情報である輝度伸長率に基づいて、入力された画像に対して輝度伸長処理を実施する。
【0031】
光源制御部226は、光源制御情報である輝度ヒストグラムに基づいて、光源251の出力を調整する。
【0032】
通信装置23は、通信インターフェースであり、例えば、コネクター、アンテナ、及びインターフェース回路を有するインターフェース基板を含んでいる。通信装置23は、メディアサーバー4等の外部装置との間においてデータ通信を行う。
【0033】
操作装置24は、ユーザーから、プロジェクター2に対する入力操作を受け付ける入力インターフェースである。操作装置24は、例えば、プロジェクター2の筐体に設けられた操作ボタンを有している。操作装置24は、押下された操作ボタンを識別する情報を処理装置22へ出力する。これにより、ユーザーの操作装置24に対する入力操作の内容が処理装置22へ伝達される。
【0034】
例えば、ユーザーは、操作装置24を操作することにより、入力画像の解像度の設定及び出力画像の解像度の設定を変更できる。なお、操作装置24は、操作ボタンの代わりにタッチパネルを有していてもよい。この場合、操作装置24は、検出したタッチ位置を示すデータを処理装置22へ出力する。
【0035】
投射装置25は、スクリーン3に投射光を投射する。投射装置25は、光源251と、光変調器252と、光路シフト装置253と、投射レンズ254とを備えている。光源251は、白色光源である。光源251としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED、レーザー光源等が用いられる。光変調器252は、1以上の液晶パネルを含んでいる。なお、光変調器252は、液晶パネルの代わりに、DMDを含んでいてもよい。
【0036】
光変調器252は、処理装置22から入力される信号に基づいて、光源251から発せられた光を、スクリーン3上に投射画像PRIを表示するための投射光に変調する。ここで、LEDとは、Light Emitting Diodeの略称であり、DMDとはDigital Mirror Deviceの略称である。
【0037】
光路シフト装置253は、光変調器252によって変調された投射光を、第1の光軸に沿って射出される第1の投射光と、第2の光軸に沿って射出される第2の投射光とのいずれかに制御する。
【0038】
投射レンズ254は、光路シフト装置253によって制御された第1の投射光又は第2の投射光をスクリーン3において結像させる。
【0039】
このように、投射装置25は、処理装置22の制御により、スクリーン3上に投射画像PRIを表示するための投射光を投射する。言い換えると、投射装置25は、処理装置22から入力された画像情報に基づく画像をスクリーン3上に投射する。
【0040】
1.3.投射装置の構成
以下、
図4~
図6を参照しつつ、第1実施形態に係る投射装置25の構成について説明する。
【0041】
図4は、第1の投射光が投射される場合における投射装置25の構成を示す図である。
図5は、第2の投射光が投射される場合における投射装置25の構成を示す図である。
図4及び
図5に示したように、光変調器252は、第1のミラーRM1、第2のミラーRM2、第3のミラーRM3、第1のダイクロイックミラーDM1、第2のダイクロイックミラーDM2、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、第3の液晶パネルLC3、及びダイクロイックプリズムDP1を有している。
【0042】
光源251から出射された光は、第1のダイクロイックミラーDM1によって赤色光(R)とその他の光とに分離される。
図4及び
図5の例では、赤色光(R)は、第1のダイクロイックミラーDM1を透過した後、第1のミラーRM1によって反射され、第1の液晶パネルLC1に入射する。その他の光は、第1のダイクロイックミラーDM1によって反射された後、第2のダイクロイックミラーDM2によって緑色光(G)と青色光(B)とに分離される。
【0043】
図4及び
図5の例では、緑色光(G)は、第2のダイクロイックミラーDM2によって反射された後、第2の液晶パネルLC2に入射する。青色光(B)は、第2のダイクロイックミラーDM2を透過した後、第2のミラーRM2及び第3のミラーRM3によって反射され、第3の液晶パネルLC3に入射する。
【0044】
第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3は、空間光変調器として用いられる。第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3は、それぞれR,G,Bの光の三原色に対応する透過型の空間光変調器であり、例えば、縦1080行、横1920列のマトリクス状に配列した画素を備えている。
【0045】
各画素では、入射光に対する透過光の光量が調整され、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3において、全画素の光量分布が協調制御される。第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3において、それぞれ空間的に変調された光は、ダイクロイックプリズムDP1において合成され、ダイクロイックプリズムDP1からフルカラーの画像光LLとして出射される。
【0046】
光路シフト装置253は、光路シフト素子2531及び駆動装置2532を有している。光路シフト素子2531は、ダイクロイックプリズムDP1と投射レンズ254との間に配置されている。
【0047】
図6は、光路シフト装置253を画像光LLの進行方向から見た概略構成図である。光路シフト装置253は、光路シフト素子2531及び駆動装置2532に加え、支持体2533を有している。光路シフト素子2531は、正方形の一角が突出した形状を有している。光路シフト素子2531の突出した一角と隣り合う2つの角には、第1の梁B1及び第2の梁B2がそれぞれ設けられている。第1の梁B1及び第2の梁B2は支持体2533と繋がっている。
第1の梁B1及び第2の梁B2は、光路シフト素子2531の対角線の1つに沿った回転軸RA1上に設けられている。つまり、光路シフト素子2531は、回転軸RA1を中心として回転可能に第1の梁B1及び第2の梁B2を介して支持体2533により支持されている。
【0048】
駆動装置2532は、アクチュエーターACT及び駆動回路DRVを含んでいる。アクチュエーターACTは、磁石M1とコイルC1とにより構成されている。磁石M1は、光路シフト素子2531の突出した一角に固定されている。コイルC1は、磁石M1と対向するように、支持体2533の一角に固定されている。駆動回路DRVは、コイルC1に流れる電流を制御する。駆動回路DRVからの電流がコイルC1に流れることにより発生する磁界と、磁石M1から発生する磁界との相互作用により、コイルC1と磁石M1との間に引力又は斥力が生じる。この引力又は斥力により、光路シフト素子2531が回転軸RA1を中心として回転する。
【0049】
駆動装置2532は、光路シフト素子2531の姿勢を第1の姿勢と第2の姿勢とのいずれかに制御する。より具体的に述べると、
図4に示したように、駆動装置2532は、コイルC1に第1の電流を流すことにより、光路シフト素子2531の姿勢を第1の姿勢に付勢する。第1の姿勢は、画像光LLをスクリーン3の第1の領域300に対して第1の光軸OA1に沿って射出する姿勢である。
【0050】
また、
図5に示したように、駆動装置2532は、コイルC1に第2の電流を流すことにより、光路シフト素子2531の姿勢を第2の姿勢に付勢する。第2の姿勢は、画像光LLをスクリーン3の第1の領域300に対して第2の光軸OA2に沿って射出する姿勢である。本例において、第1の電流と第2の電流とは、互いに大きさが等しく、且つ流れる方向が反対の電流である。
【0051】
画像光LLは、光路シフト素子2531を経由した後、投射レンズ254によって拡大され、第1の光軸OA1又は第2の光軸OA2に沿ってスクリーン3に投射される。
【0052】
このように、駆動装置2532は、光路シフト素子2531の姿勢を第1の姿勢に制御することにより、画像光LLの光路を第1の光路に制御する。駆動装置2532は、光路シフト素子2531の姿勢を第2の姿勢に制御することにより、画像光LLの光路を第2の光路に制御する。
【0053】
これにより、投射装置25は、第1の液晶パネルLC1の解像度、第2の液晶パネルLC2の解像度、及び第3の液晶パネルLC3の解像度よりも高い解像度の画像をスクリーン3に投射する。例えば、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3の解像度がフルハイビジョンであれば、スクリーン3には、4K相当の解像度の画像が表示される。なお、「光路シフト」は「画素ずらし」とも呼ばれる。
【0054】
1.4.画素ずらしの概要
以下、
図7及び
図8を参照しつつ、第1実施形態に係る画素ずらしの概要について説明する。
【0055】
図7は、画素ずらしによる画像光の投射位置を示す図である。駆動装置2532が、光路シフト素子2531の姿勢を第1の姿勢に制御したとき、画像光LLは、第1の領域300中の第1の位置P1に投射される。駆動装置2532が、光路シフト素子2531の姿勢を第2の姿勢に制御したとき、画像光LLは、第1の領域300中の第2の位置P2に投射される。第1の位置P1と第2の位置P2とは、画素Pxの対角方向Kに半画素ずれた関係にある。なお、半画素とは、画素Pxの半分のことである。
【0056】
図8は、メディアサーバー4からプロジェクター200に入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。ここで、
図7における画素Pxがフルハイビジョンの画像の各画素に対応し、メディアサーバー4からプロジェクター200に入力される画像データが4K解像度の画像データであるとする。この場合、第1の位置P1の各画素Pxには、
図8の画像データD1に対応する色が投射され、第2の位置P2の各画素Pxには、
図8の画像データD2に対応する色が投射される。
【0057】
駆動装置2532は、例えば、1フレーム期間の前半において、光路シフト素子2531の姿勢を第1の姿勢に制御し、1フレーム期間の後半において、光路シフト素子2531の姿勢を第2の姿勢に制御する。このような画素ずらしを行うことにより、見かけの画素が増加し、スクリーン3に投射される画像を高解像度化することができる。
【0058】
ところで、
図8の画素データuに対応する色は、スクリーン3に投射されない。即ち、画素データuは、画像光LLを生成することに用いられない。画像光LLを生成することに用いられない画素、即ち、画素データuに対応する画素を、以下、無効画素IPと呼ぶ。一方、画像光LLを生成することに用いられる画素、即ち、画像データD1及びD2に対応する画素を、以下、有効画素EPと呼ぶ。
【0059】
図8に示したように、有効画素EPと無効画素IPとは、千鳥状に配列された画像を示す。また、画像データD1に対応する画素を、以下、第1の有効画素EP1と呼び、画像データD2に対応する画素を、以下、第2の有効画素EP2と呼ぶ。つまり、第1の有効画素EP1は、光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に画像光LLを生成することに用いられる。第2の有効画素EP2は、光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に画像光LLを生成することに用いられる。
【0060】
上述したように、本実施形態において、プロジェクター200の性能及び他のプロジェクター201の性能は同等であるため、他のプロジェクター201の構成は、プロジェクター200の構成と同一であるものとして説明する。従って、他のプロジェクター201の構成の説明は省略する。なお、メディアサーバー4から見ると、プロジェクター200と他のプロジェクター201とは、互いに対等な関係にある。
【0061】
1.5.メディアサーバーの構成
次に、
図9を参照しつつ、第1実施形態に係るメディアサーバー4の構成について説明する。
【0062】
図9は、
図1のメディアサーバー4の構成例を示すブロック図である。
図9に示したように、メディアサーバー4は、記憶装置41、処理装置42、通信装置43、及び操作装置44を含んでいる。
【0063】
記憶装置41は、各種情報を記憶する。記憶装置41は、例えば、RAM等の揮発性メモリー及びROM等の不揮発性メモリーを含んで構成されている。記憶装置41には、制御プログラム411、コンテンツデータ412等が記憶されている。記憶装置41の揮発性メモリーは、処理装置42のワークエリアとして処理装置42に利用される。制御プログラム411は、メディアサーバー4の全体を制御するプログラムである。コンテンツデータ412は、プロジェクター200及び他のプロジェクター201によりスクリーン3に投射される画像の元のデータである。
【0064】
なお、記憶装置41の一部又は全部は、外部記憶装置、外部サーバー等に設けられてもよい。また、記憶装置41に記憶される各種情報の一部又は全部は、予め記憶装置41に記憶されてもよいし、外部記憶装置、外部サーバー等から取得されてもよい。また、本実施形態において、メディアサーバー4は、パーソナルコンピューターである。
【0065】
処理装置42は、プロジェクター200及び他のプロジェクター201に一対一に対応する第1の画像データ及び第2の画像データを生成する。処理装置42は、管理部421とデータ生成部422とを有している。
【0066】
管理部421は、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数を特定し、特定されたプロジェクターの数に基づく画像分割領域を特定する。画像分割領域の特定には、第1の重複領域OL1の幅の設定も含まれる。
【0067】
管理部421は、メディアサーバー4とプロジェクター200との間において接続が確立された旨の第1接続情報及びメディアサーバー4と他のプロジェクター201との間において接続が確立された旨の第2接続情報を取得する。管理部421は、取得された第1接続情報及び第2接続情報に基づいて、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数を2台と特定する。第1の重複領域OL1の幅は、予めユーザーによって設定されている。
【0068】
データ生成部422は、コンテンツデータ412を第1の画像データと第2の画像データとに分割する。データ生成部422は、第1の画像データ及び第2の画像データを、以下で説明するように生成する。
【0069】
通信装置43は、生成された第1の画像データをプロジェクター200に送信し、生成された第2の画像データを他のプロジェクター201に送信する。
【0070】
1.6.メディアサーバー4により生成される画像データの概要
以下、
図10を参照しつつ、第1実施形態に係るメディアサーバー4により生成される画像データについて説明する。
【0071】
図10は、プロジェクターの台数が2台である場合に、メディアサーバー4から各プロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
図10において、紙面左側の配列AR0がメディアサーバー4からプロジェクター200に送信される第1画像データに対応し、紙面右側の配列AR1がメディアサーバー4から他のプロジェクター201に送信される第2の画像データに対応している。
【0072】
配列AR0では、画素D01、D03、D05、D07、D0A、D0C、D0E、・・・が有効画素EPに該当する。配列AR1では、画素D11、D13、D15、D17、D1A、D1C、D1E、・・・が有効画素EPに該当する。
【0073】
データ生成部422は、配列AR0を縦2画素、横2画素の画素群PG0ごとに区切るとともに、配列AR1を縦2画素×横2画素の画素群PG1ごとに区切り、対応する画素群PG0及びPG1との間において、データの置換操作を行う。
【0074】
図10に示したように、データ生成部422は、例えば、左上隅の画素群PG0とPG1に対して、以下の(a)~(d)の操作を実行する。
(a)プロジェクター200の無効画素IPである画素D02のデータを、他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D11のデータに置き換える。
(b)プロジェクター200の無効画素IPである画素D09のデータを、他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D1Aのデータに置き換える。
(c)他のプロジェクター201の無効画素IPである画素D12のデータを、プロジェクター200の有効画素EPである画素D01のデータに置き換える。
(d)他のプロジェクター201の無効画素IPである画素D19のデータを、プロジェクター200の有効画素EPである画素D0Aのデータに置き換える。
【0075】
このように画素データが置き換えられることにより、画素群PG0における画素データの並び順と画素群PG1における画素データの並び順とは互いに異なるものの、画素群PG0及び画素群PG1には、同一の4つの画素データが含まれる。従って、残りの各画素群について同様の操作が行われることにより、配列AR0全体及び配列AR1全体には、同じ画素データが含まれることになる。以上が、メディアサーバー4により生成される画像データの概要である。
【0076】
以下、複数の第1の有効画素EP1に対応するデータを第1の有効データと呼び、複数の第2の有効画素EP2に対応するデータを第2の有効データと呼び、複数の無効画素IPに対応するデータを無効データと呼ぶ。無効データは、他のプロジェクター201によってスクリーン3に投射される投射画像PRIを示すデータであるとも言える。
【0077】
1.7.各プロジェクターによる統計量演算の概要
以下、
図11~
図13を参照しつつ、第1実施形態に係る各プロジェクターによる統計量演算の概要について説明する。
【0078】
プロジェクター200の通信装置23は、配列AR0に示された第1の画像データ、即ち、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとを含む画像データと、台数情報とを受信する。プロジェクター200の台数判定部221は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。第1実施形態において、プロジェクターの台数は2台である。
【0079】
プロジェクター200の統計量演算部222は、台数情報に基づいて、入力された画像データの統計量の演算対象となる画素及び演算対象外となる画素を特定する。プロジェクターの台数が2台である場合、画素群PG0中には、プロジェクター200の有効画素と、他のプロジェクター201の有効画素に対応する画素とが同じ数だけ含まれている。従って、第1の画像データのすべての画素を、統計量の演算対象とする。
【0080】
図11は、接続されているプロジェクターの台数が2台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図11に示したように、マスクパターンMA1は、すべての画素において「1」となっている。プロジェクター200の統計量演算部222は、受信された第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとを含む画像データについて統計量を演算し、演算された統計量を出力する。統計量は、例えば、平均画素値、最小輝度、最大輝度、及び輝度ヒストグラムである。
【0081】
このように、プロジェクターの台数が2台である場合、統計量演算部222は、画像データのすべての画素を用いて演算するので、平均画素値は、単に画像データの画素数により平均化すればよい。
【0082】
他のプロジェクター201の通信装置は、配列AR1に示された第2の画像データを受信する。他のプロジェクター201の台数判定部は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を2台と判定する。他のプロジェクター201の統計量演算部は、受信された第2の画像データについてプロジェクター200と同様に統計量を演算し、演算された統計量を出力する。
【0083】
第1の画像データに含まれるデータ及び第2の画像データに含まれるデータは、並び方を除けば、互いに等しい。そのため、プロジェクター200の統計量演算部222から出力される統計量と、他のプロジェクター201の統計量演算部から出力される統計量とは互いに等しくなる。
【0084】
従って、プロジェクター200は、他のプロジェクター201によって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクター201から取得しなくとも、プロジェクター200及び他のプロジェクター201により投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。同様に、他のプロジェクター201は、プロジェクター200によって投射される画像光に関する統計量をプロジェクター200から取得しなくとも、プロジェクター200及び他のプロジェクター201により投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。
【0085】
図12は、プロジェクター200に入力される第1の画像データの簡易的な模式図である。
図12において、「#0」は、自身のプロジェクター、即ち、プロジェクター200を表している。「#0」により示される画素は有効画素EPである。他方、「#1」は、他のプロジェクター201を表している。「#1」により示される画素は無効画素IPである。つまり、画素群PG0において、右上の画素及び左下の画素の各々が無効画素IPである。また、画素群PG0において、左上の画素が第1の有効画素EP1であり、右下の画素が第2の有効画素EP2である。
【0086】
図13は、他のプロジェクター201に入力される第2の画像データの簡易的な模式図である。
図13において、「#0」は、
図12と同様に、プロジェクター200を表しており、「#1」は、他のプロジェクター201を表している。「#1」により示される画素は有効画素EPである。他方、「#0」により示される画素は無効画素IPである。つまり、画素群PG1において、右上の画素及び左下の画素の各々が無効画素IPである。また、画素群PG1において、左上の画素が第1の有効画素EP1であり、右下の画素が第2の有効画素EP2である。
【0087】
1.8.第1実施形態が奏する効果
以上説明したように、第1実施形態に係るプロジェクター200は、光源251と、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3と、光路シフト装置253と、通信装置23と、処理装置22と、を備える。
【0088】
第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3には、光源251からの光が入射する。光路シフト装置253は、光路シフト素子2531と、駆動装置2532とを含む。光路シフト素子2531には、スクリーン3に投射される投射画像PRIの少なくとも一部を含む画像光LLが入射する。画像光LLは、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3のそれぞれから射出される。
【0089】
駆動装置2532は、光路シフト素子2531の姿勢を、第1の姿勢と第2の姿勢とのいずれかに制御する。第1の姿勢は、画像光LLをスクリーン3の第1の領域300に対して第1の光軸OA1に沿って射出する姿勢である。第2の姿勢は、画像光LLを第1の領域300に対して第2の光軸OA2に沿って射出する姿勢である。
【0090】
通信装置23は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとを含む画像データを受信する。第1の有効データは、複数の第1の有効画素EP1に対応するデータである。第2の有効データは、複数の第2の有効画素EP2に対応するデータである。無効データは、複数の無効画素IPに対応し、他のプロジェクター201によってスクリーン3に投射される投射画像PRIを示すデータである。
【0091】
複数の第1の有効画素EP1は、光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に画像光LLを生成することに用いられる画素である。複数の第2の有効画素EP2は、光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に画像光LLを生成することに用いられる画素である。複数の第1の有効画素EP1と複数の第2の有効画素EP2とは、複数の有効画素EPに含まれる。複数の無効画素IPは、画像光LLを生成することに用いられない。投射画像PRIの複数の画素には、複数の有効画素EPと複数の無効画素IPとが含まれる。投射画像PRIは、有効画素EPと無効画素IPとが千鳥状に配列された画像を示す。
【0092】
処理装置22は、第1の有効データ及び第2の有効データの全部と、無効データの全部とに基づいて、調光制御情報及び光源制御情報を決定する。調光制御情報及び光源制御情報は、画像光LLを投射することに用いる情報である。
【0093】
以上のプロジェクター200によれば、通信装置23は、画像光LLを生成することに用いられない無効画素IPのデータが、他のプロジェクター201の有効画素のデータに置き換えられた画像データを受信する。受信された画像データには、プロジェクター200によって画像光LLを生成することに用いられる有効画素のデータと、他のプロジェクター201によって画像光LLを生成することに用いられる有効画素のデータとが含まれる。従って、処理装置22は、受信された画像データの統計量を演算することにより、投射画像全体の統計量を演算することができる。
【0094】
このように、プロジェクター200は、他のプロジェクター201によって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクター201から取得しなくとも、プロジェクター200及び他のプロジェクター201により投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。同様に、他のプロジェクター201は、プロジェクター200によって投射される画像光に関する統計量をプロジェクター200から取得しなくとも、プロジェクター200及び他のプロジェクター201により投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。つまり、プロジェクター200及び他のプロジェクター201は、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0095】
なお、第1実施形態において、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3は「表示パネル」の一例であり、光路シフト装置253は、「光学デバイス」の一例であり、通信装置23は「通信回路」の一例であり、処理装置22は「制御装置」又は「コンピューター」の一例である。また、第1実施形態において、光路シフト素子2531は「光学素子」の一例であり、スクリーン3は「投射対象」の一例であり、調光制御情報は「調光制御情報」又は「制御情報」の一例であり、光源制御情報は「光源制御情報」又は「制御情報」の一例である。また、第1実施形態において、制御プログラム211は「プログラム」の一例である。また、第1実施形態において、処理装置42は「制御装置」の一例であり、通信装置43は「送信装置」の一例である。
【0096】
また、他のプロジェクター201は、スクリーン3の第2の領域301に対して画像光LLを投射し、無効データは、投射画像PRIのうち第2の領域301に対応する画像を示す。
【0097】
これによれば、他のプロジェクターが1台である場合、無効データは、投射画像PRIのうち第2の領域301に対応する画像を示す。従って、プロジェクター200は、他のプロジェクター201から第2の領域301に投射される画像の統計量を他のプロジェクター201から取得しなくとも、第1の領域300及び第2の領域301の統計量を演算することができる。
【0098】
また、処理装置22は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとに基づいて、調光制御情報及び光源制御情報を決定する。
【0099】
これによれば、他のプロジェクターが1台である場合、無効データの全部に、他のプロジェクターのすべての有効データが含まれる。従って、処理装置22は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとに基づいて、投射画像全体の統計量を演算することができる。その結果、処理装置22は、調整制御情報及び光源制御情報を決定することができる。
【0100】
また、制御情報は、第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3に入力される表示画像データの示す輝度を制御する調光制御情報と、光源の光量を制御する光源制御情報とのうち少なくとも一方を含む。
【0101】
これによれば、処理装置22は、表示画像データの示す輝度又は光源の光量を制御することにより、プロジェクター200の投射画像の明るさを調整することができる。
【0102】
また、制御情報は、調光制御情報を含む。光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に、画像光LLは、第1の有効データと調光制御情報とに基づいて制御される。光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に、画像光LLは、第2の有効データと調光制御情報とに基づいて制御される。
【0103】
これによれば、第1の有効データは、光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に、画像光LLとして第1の領域300に投射される。第2の有効データは、光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に、画像光LLとして第1の領域300に投射される。このように、本実施形態に係るプロジェクター200としては、画素ずらしにより画像光を投射するプロジェクターが好適に用いられる。
【0104】
また、第1実施形態に係る制御プログラム211は、処理装置22に画像データを受信することと、制御情報を決定することとを実行させる。画像データは、プロジェクター200がスクリーン3の第1の領域300に投射画像PRIの画像光LLを投射することに用いる複数の有効画素及び投射することに用いない複数の無効画素を含み、有効画素と無効画素とが千鳥状に配列された画像を示す。
【0105】
制御情報は、第1の有効データ及び第2の有効データの全部と、無効データの全部とに基づく、画像を投射することに用いる情報である。
【0106】
複数の有効画素は、プロジェクター200の第1の液晶パネルLC1、第2の液晶パネルLC2、及び第3の液晶パネルLC3から射出される画像光LLが入射する光路シフト素子2531の姿勢が第1の姿勢である場合に、画像を投射することに用いる複数の第1の有効画素と、光路シフト素子2531の姿勢が第2の姿勢である場合に、画像を投射することに用いる複数の第2の有効画素とを含む。
【0107】
第1の有効データは、画像データのうち、複数の第1の有効画素に対応し、第2の有効データは、画像データのうち、複数の第2の有効画素に対応し、無効データは、プロジェクター200以外の他のプロジェクター201によって投射される投射画像PRIの一部の画像を示す。第1の領域300は、第1の姿勢において光路シフト素子2531からの画像光LLが第1の光軸OA1に沿って射出され、かつ、第2の姿勢において光路シフト素子2531からの画像光LLが第2の光軸OA2に沿って射出される領域である。
【0108】
以上のプログラムによれば、画像光LLを生成することに用いられない無効画素IPのデータが、他のプロジェクター201の有効画素のデータに置き換えられた置換画像データに基づいて、画像データの統計量を演算する。置換画像データには、プロジェクター200によって画像光LLを生成することに用いられる有効画素のデータと、他のプロジェクター201によって画像光LLを生成することに用いられる有効画素のデータとが含まれる。従って、本プログラムは、置換画像データの統計量を演算することにより、投射画像全体の統計量を演算することができる。
【0109】
このように、本プログラムによれば、他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0110】
2.第2実施形態
以下、
図14~
図19を参照することにより、本発明の第2実施形態に係る投射システム1Aの構成について説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、第1実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を用いると共に、その機能の説明を省略することがある。また、以下の説明では、説明の簡略化のため、主として、第2実施形態が、第1実施形態に比較して相違する点について説明する。
【0111】
2.1.第2実施形態の構成
図14は、第2実施形態に係る投射システム1Aの構成図である。投射システム1Aは、メディアサーバー4に3台のプロジェクターが接続されており、3台のプロジェクターがそれぞれ画像光を投射している点において、第1実施形態の投射システム1と相違している。言い換えると、投射システム1Aは、他のプロジェクターとして、第1の他のプロジェクター201及び第2の他のプロジェクター202を有している点において、第1実施形態の投射システム1と相違している。
【0112】
図14に示したように、プロジェクター200、第1の他のプロジェクター201、及び第2の他のプロジェクター202は、メディアサーバー4に接続されている。プロジェクター200は、スクリーン3の第1の領域300に対して画像光LL0を投射する。第1の他のプロジェクター201は、スクリーン3の第2の領域301に対して画像光LL1を投射する。第2の他のプロジェクター202は、スクリーン3の第3の領域302に対して画像光LL2を投射する。
【0113】
第1の領域300と第2の領域301とは、第1の重複領域OL1において重なり合っている。第2の領域301と第3の領域302とは、第2の重複領域OL2において重なり合っている。なお、本実施形態において、第1の領域300の面積、第2の領域301の面積、及び第3の領域302の面積は等しい。
【0114】
メディアサーバー4の構成は、第1実施形態のメディアサーバー4の構成と同じであり、メディアサーバー4に接続されている各プロジェクターの構成は、第1実施形態のプロジェクターの構成と同じである。
【0115】
メディアサーバー4の管理部421は、第1接続情報、第2接続情報、及び第3接続情報を取得する。第3接続情報は、メディアサーバー4と第2の他のプロジェクター202との間において接続が確立された旨の情報である。管理部421は、取得された第1接続情報、第2接続情報、及び第3接続情報に基づいて、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数を3台と特定する。
【0116】
データ生成部422は、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数が3台である場合のプログラムを実行する。
【0117】
2.2.メディアサーバー4により生成される画像データの概要
以下、
図15を参照しつつ、第2実施形態に係るメディアサーバー4により生成される画像データについて説明する。
【0118】
図15は、プロジェクターの台数が3台である場合に、メディアサーバー4から各プロジェクターに入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。
図15において、紙面左側の配列AR0がメディアサーバー4からプロジェクター200に送信される第1画像データに対応している。また、紙面右側の配列AR1がメディアサーバー4から第1の他のプロジェクター201に送信される第2の画像データに対応している。また、紙面下側の配列AR2がメディアサーバー4から第2の他のプロジェクター202に送信される第3の画像データに対応している。
【0119】
配列AR0では、画素D01、D03、D05、D07、D0A、D0C、D0E、・・・が有効画素EPに該当する。配列AR1では、画素D11、D13、D15、D17、D1A、D1C、D1E、・・・が有効画素EPに該当する。配列AR2では、画素D21、D23、D25、D27、D2A、D2C、D2E、・・・が有効画素EPに該当する。
【0120】
データ生成部422は、配列AR0を縦2画素、横2画素の画素群PG0ごとに区切る。データ生成部422は、配列AR1を縦2画素、横2画素の画素群PG1ごとに区切る。データ生成部422は、配列AR2を縦2画素、横2画素の画素群PG2ごとに区切る。データ生成部422は、対応する画素群PG0、PG1、及びPG2の間において、データの置換操作を行う。
【0121】
図15に示したように、データ生成部422は、例えば、各配列の左上隅の画素群PG0、PG1、及びPG2に対して、以下の(a)~(f)の操作を実行する。
(a)プロジェクター200の無効画素IPである画素D02のデータを、第1の他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D11のデータに置き換える。
(b)プロジェクター200の無効画素IPである画素D09のデータを、第2の他のプロジェクター202の有効画素EPである画素D21のデータに置き換える。
(c)第1の他のプロジェクター201の無効画素IPであるD12のデータを、第2の他のプロジェクター202の有効画素EPである画素D21のデータに置き換える。
(d)第1の他のプロジェクター201の無効画素IPであるD19のデータを、プロジェクター200の有効画素EPである画素D01のデータに置き換える。
(e)第2の他のプロジェクター202の無効画素IPであるD22のデータを、プロジェクター200の有効画素EPである画素D01のデータに置き換える。
(f)第2の他のプロジェクター202の無効画素IPであるD29のデータを、第1の他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D11のデータに置き換える。
【0122】
このように画素データが置き換えられることにより、画素群PG0、PG1、及びPG2に含まれる4つの画素のうち、3つの画素には、並び順は互いに異なるものの、必ず画素D01、D11、及びD21が含まれる。以上が、メディアサーバー4により生成される画像データの概要である。
【0123】
2.3.各プロジェクターの統計量演算部の動作の概要
以下、
図16~
図19を参照しつつ、第2実施形態に係る各プロジェクターの統計量演算部の動作について説明する。
【0124】
図16は、第1の画像データにおいて統計量の演算の対象外となる画素を説明するための模式図である。
図16において、「#0」は、プロジェクター200を表している。「#0」により示される画素は、有効画素EPである。「#1」は、第1の他のプロジェクター201を表している。「#1」により示される画素は、第1の無効画素IP1である。第1の無効画素IP1は、無効画素IPのうち第1の無効データに対応する画素である。ここで、第1の無効データは、投射画像PRIのうち第2の領域301に対応する画像を示すデータである。言い換えると、第1の無効データは、第1の他のプロジェクター201の第1の有効データに相当する。なお、第1の無効データと第2の無効データとは、無効データに含まれるデータである。
【0125】
「#2」は、第2の他のプロジェクター202を表している。「#2」により示される画素は、第2の無効画素IP2である。第2の無効画素IP2は、無効画素IPのうち第2の無効データに対応する画素である。ここで、第2の無効データは、投射画像PRIのうち第3の領域302に対応する画像を示すデータである。言い換えると、第2の無効データは、第2の他のプロジェクター202の第1の有効データに相当する。
【0126】
プロジェクター200の通信装置23は、配列AR0に示された第1の画像データと、台数情報とを受信する。プロジェクター200の台数判定部221は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。本実施形態において、プロジェクターの台数は3台である。
【0127】
プロジェクターの台数が3台である場合、画素群PG0中には、プロジェクター200の第1の有効画素EP1が1つ、プロジェクター200の第2の有効画素EP2が1つ、第1の無効画素IP1が1つ、及び第2の無効画素IP2が1つ含まれている。つまり、第1の有効画素EP1の数は、第1の無効画素IP1の数と等しく、且つ第2の無効画素IP2の数と等しい。この場合、プロジェクター200の統計量演算部222は、台数情報に基づいて、入力された画像データの統計量の演算対象となる画素及び演算対象外となる画素を特定する。統計量演算部222は、
図16に斜線により示した第2の有効画素EP2に対応する画像データ、即ち、第2の有効データを統計量の演算対象外とする。
【0128】
このように、プロジェクターの台数が3台である場合、4画素中3画素が演算対象となり、残りの1画素が演算対象外となる。そのため、統計量演算部222は、画像データの画素数を3/4倍した値で演算対象画素における画素値の総和を除算することにより平均画素値を演算すればよい。
【0129】
図17は、接続されているプロジェクターの台数が3台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図17に示したように、マスクパターンMA2は、第1の有効画素EP1及び無効画素IPに対応する位置において「1」、第2の有効画素EP2に対応する位置において「0」となっている。
【0130】
図18は、第2の画像データにおいて、統計量の演算の対象外となる画素を説明するための模式図である。
図18において、「#0」、「#1」、及び「#2」は、
図15と同様にそれぞれプロジェクター200、第1の他のプロジェクター201、及び第2の他のプロジェクター202を表している。
【0131】
第1の他のプロジェクター201の通信装置は、配列AR1に示された第2の画像データと、台数情報とを受信する。第1の他のプロジェクター201の台数判定部は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。本実施形態において、プロジェクターの台数は3台である。この場合、第1の他のプロジェクター201の統計量演算部は、
図17に示したマスクパターンMA2を適用することにより、斜線により示した第2の有効画素EP2に対応する画像データ、即ち、第2の有効データを統計量の演算対象外とする。
【0132】
図19は、第3の画像データにおいて、統計量の演算の対象外となる画素を説明するための模式図である。
図19において、「#0」、「#1」、及び「#2」は、
図16及び
図18と同様にそれぞれプロジェクター200、第1の他のプロジェクター201、及び第2の他のプロジェクター202を表している。
【0133】
第2の他のプロジェクター202の通信装置は、配列AR2に示された第3の画像データと、台数情報とを受信する。第2の他のプロジェクター202の台数判定部は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。本実施形態において、プロジェクターの台数は3台である。この場合、第2の他のプロジェクター202の統計量演算部は、
図17に示したマスクパターンMA2を適用することにより、斜線により示した第2の有効画素EP2に対応する画像データ、即ち、第2の有効データを統計量の演算対象外とする。
【0134】
図16、
図18、及び
図19から理解されるように、第1の画像データ、第2の画像データ、及び第3の画像データにおいて、それぞれ演算対象となるデータは、並び方を除けば、互いに等しい。そのため、プロジェクター200の統計量演算部222から出力される統計量と、第1の他のプロジェクター201の統計量演算部から出力される統計量と、第2の他のプロジェクター202の統計量演算部から出力される統計量とは互いに等しくなる。
【0135】
また、第1の領域300の面積、第2の領域301の面積、及び第3の領域302の面積は等しいので、第1の有効データに対応する有効画素、即ち、第1の有効画素EP1の数は、第1の無効データに対応する無効画素、即ち、第1の無効画素IP1の数と等しい。第1の有効画素EP1の数は、第2の無効データに対応する無効画素、即ち、第2の無効画素IP2の数と等しい。
【0136】
処理装置22は、第1の有効データと、第1の無効データと、第2の無効データとに基づいて、統計量を演算し、調光制御情報及び光源制御情報を決定する。
【0137】
2.4.第2実施形態が奏する効果
以上説明したように、第2実施形態において、投射システム1Aは、他のプロジェクターとして、第1の他のプロジェクター201及び第2の他のプロジェクター202を有している。第1の他のプロジェクター201は、スクリーン3の第2の領域301に対して画像光LLを投射し、第2の他のプロジェクター202は、スクリーン3の第3の領域302に対して画像光LLを投射する。無効データは、投射画像のうち第2の領域301に対応する画像を示す第1の無効データと、投射画像のうち第3の領域302に対応する画像を示す第2の無効データとを含む。
【0138】
これによれば、プロジェクター200は、第1の統計量及び第2の統計量を、第1の他のプロジェクター201及び第2の他のプロジェクター202から取得しなくとも、3台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。第1の統計量は、第1の他のプロジェクター201によって投射される画像光に関する統計量である。第2の統計量は、第2の他のプロジェクター202によって投射される画像光に関する統計量である。
【0139】
これによれば、プロジェクターの台数が3台であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0140】
また、第1の領域300の面積、第2の領域301の面積、及び第3の領域302の面積は等しい。この場合、第1の有効データに対応する有効画素の数は、第1の無効データに対応する無効画素の数と等しい。また、第1の有効データに対応する有効画素の数は、第2の無効データに対応する無効画素の数と等しい。処理装置22は、第1の有効データと、第1の無効データと、第2の無効データとに基づいて、制御情報を決定する。
【0141】
これによれば、プロジェクターの台数が3台である場合、1つの画素群の中の4つの画素のうち、第2の有効画素EP2に対応する画像データを統計量の演算対象外とすることができ、投射画像全体の統計量をより正確に演算することができる。従って、制御情報をより正確に決定することができる。
【0142】
3.第3実施形態
以下、
図20~
図24を参照することにより、本発明の第3実施形態に係る投射システム1Bの構成について説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を用いると共に、その機能の説明を省略することがある。また、以下の説明では、説明の簡略化のため、主として、第3実施形態が、第1実施形態及び第2実施形態に比較して相違する点について説明する。
【0143】
3.1.第3実施形態の構成
図20は、第3実施形態に係る投射システム1Bの構成図である。投射システム1Bは、メディアサーバー4に5台のプロジェクターが接続されており、5台のプロジェクターがそれぞれ画像光LLを投射している点において、第1実施形態の投射システム1及び第2実施形態の投射システム1Aと相違している。言い換えると、投射システム1Bは、他のプロジェクターとして、第1の他のプロジェクター201から第4の他のプロジェクター204までを有している点において、投射システム1及び1Aと相違している。
【0144】
図20に示したように、プロジェクター200、第1の他のプロジェクター201、第2の他のプロジェクター202、第3の他のプロジェクター203、及び第4の他のプロジェクター204は、メディアサーバー4に接続されている。
【0145】
プロジェクター200は、スクリーン3の第1の領域300に対して画像光LL0を投射する。第1の他のプロジェクター201は、スクリーン3の第2の領域301に対して画像光LL1を投射する。第2の他のプロジェクター202は、スクリーン3の第3の領域302に対して画像光LL2を投射する。第3の他のプロジェクター203は、スクリーン3の第4の領域303に対して画像光LL3を投射する。第4の他のプロジェクター204は、スクリーン3の第5の領域304に対して画像光LL4を投射する。なお、本実施形態において、第1の領域300の面積、第2の領域301の面積、第3の領域302の面積、第4の領域303の面積、及び第5の領域304の面積は等しい。
【0146】
メディアサーバー4の構成は、第1実施形態及び第2実施形態のメディアサーバー4の構成と同じであり、メディアサーバー4に接続されている各プロジェクターの構成は、第1実施形態及び第2実施形態のプロジェクターの構成と同じである。
【0147】
メディアサーバー4の管理部421は、第1接続情報、第2接続情報、第3接続情報、第4接続情報、及び第5接続情報を取得する。第4接続情報は、メディアサーバー4と第3の他のプロジェクター203との間において接続が確立された旨の情報である。第5接続情報は、メディアサーバー4と第4の他のプロジェクター204との間において接続が確立された旨の情報である。管理部421は、取得された第1接続情報から第5接続情報までに基づいて、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数を5台と特定する。
【0148】
データ生成部422は、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数が5台である場合のプログラムを実行する。
【0149】
3.2.メディアサーバー4により生成される画像データの概要
以下、
図21を参照しつつ、第3実施形態に係るメディアサーバー4により生成される画像データについて説明する。
【0150】
図21は、プロジェクターの台数が5台である場合に、メディアサーバー4からプロジェクター200に入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。配列AR0では、画素D01、D03、D05、D07、D0A、D0C、D0E、D0G、D0H、D0J、D0L、D0N、D0Q、D0S、D0U、及びD0Wが有効画素EPに該当する。
【0151】
データ生成部422は、配列AR0を縦4画素、横4画素の画素群PG0ごとに区切る。図示は省略するが、同様に、データ生成部422は、第1の他のプロジェクター201に送信する4K解像度の画像データの配列AR1を縦4画素、横4画素の画素群PG1ごとに区切る。データ生成部422は、第2の他のプロジェクター202に送信する4K解像度の画像データの配列AR2を縦4画素、横4画素の画素群PG2ごとに区切る。データ生成部422は、第3の他のプロジェクター203に送信する4K解像度の画像データの配列AR3を縦4画素、横4画素の画素群PG3ごとに区切る。データ生成部422は、第4の他のプロジェクター204に送信する4K解像度の画像データの配列AR4を縦4画素、横4画素の画素群PG4ごとに区切る。
【0152】
データ生成部422は、対応する画素群PG0、PG1、PG2、PG3、及びPG4の間において、データの置換操作を行う。
【0153】
図21に示したように、データ生成部422は、例えば、配列AR0の左上隅の画素群PG0に対して、以下の(a)~(h)の操作を実行する。なお、ここでは、説明を簡単にするため、配列AR0における置換操作についてのみ説明する。
(a)プロジェクター200の無効画素IPである画素D02のデータを、第1の他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D11のデータに置き換える。
(b)プロジェクター200の無効画素IPである画素D09のデータを、第2の他のプロジェクター202の有効画素EPである画素D21のデータに置き換える。
(c)プロジェクター200の無効画素IPである画素D04のデータを、第3の他のプロジェクター203の有効画素EPである画素D31のデータに置き換える。
(d)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Bのデータを、第4の他のプロジェクター204の有効画素EPである画素D41のデータに置き換える。
(e)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Iのデータを、第1の他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D1Jのデータに置き換える。
(f)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Pのデータを、第2の他のプロジェクター202の有効画素EPである画素D2Jのデータに置き換える。
(g)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Kのデータを、第3の他のプロジェクター203の有効画素EPである画素D3Jのデータに置き換える。
(h)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Rのデータを、第4の他のプロジェクター204の有効画素EPである画素D4Jのデータに置き換える。
【0154】
データ生成部422は、配列AR0の残りの画素群PG0においても同様の置換操作を行う。また、データ生成部422は、配列AR1、AR2、AR3、AR4についても、同様に置換操作を行う。
【0155】
このように、画素データが置き換えられることにより、画素群PG0には、プロジェクター200の有効画素が8個、第1の他のプロジェクター201の有効画素、第2の他のプロジェクター202の有効画素、第3の他のプロジェクター203の有効画素、及び第4の他のプロジェクター204の有効画素が、2個ずつ含まれる。
【0156】
3.3.各プロジェクターの統計量演算部の動作の概要
以下、
図22~
図24を参照しつつ、第3実施形態に係る各プロジェクターの統計量演算部の動作について説明する。
【0157】
図22は、第1の画像データにおいて統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
図22において、「#0」は、プロジェクター200を表している。「#0」により示される画素は、プロジェクター200の有効画素EPである。
【0158】
「#1」は、第1の他のプロジェクター201を表している。「#1」により示される画素は、第1の無効画素IP1である。第1の無効画素IP1は、無効画素IPのうち第1の無効データに対応する画素である。第1の無効データは、第1の他のプロジェクター201の第1の有効データに相当する。
【0159】
「#2」は、第2の他のプロジェクター202を表している。「#2」により示される画素は、第2の無効画素IP2である。第2の無効画素IP2は、無効画素IPのうち第2の無効データに対応する画素である。第2の無効データは、第2の他のプロジェクター202の第1の有効データに相当する。
【0160】
「#3」は、第3の他のプロジェクター203を表している。「#3」により示される画素は、第3の無効画素IP3である。第3の無効画素IP3は、無効画素IPのうち第3の無効データに対応する画素である。第3の無効データは、第3の他のプロジェクター203の第1の有効データに相当する。
【0161】
「#4」は、第4の他のプロジェクター204を表している。「#4」により示される画素は、第4の無効画素IP4である。第4の無効画素IP4は、無効画素IPのうち第4の無効データに対応する画素である。第4の無効データは、第4の他のプロジェクター204の第1の有効データに相当する。
【0162】
プロジェクター200の通信装置23は、配列AR0に示された第1の画像データと、台数情報とを受信する。プロジェクター200の台数判定部221は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。本実施形態において、プロジェクターの台数は5台である。
【0163】
プロジェクターの台数が5台である場合、画素群PG0中には、プロジェクター200の第1の有効画素EP1が4つ、プロジェクター200の第2の有効画素EP2が4つ、第1の無効画素IP1が2つ、第2の無効画素IP2が2つ、第3の無効画素IP3が2つ、第4の無効画素IP4が2つ含まれている。この場合、プロジェクター200の統計量演算部222は、斜線により示したように、第1の有効画素EP1の一部及び第2の有効画素EP2の全部に対応する画像データを統計量の演算対象外とする。
【0164】
図23は、接続されているプロジェクターの台数が5台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図23に示したように、マスクパターンMA3は、第1の有効画素EP1の一部及び無効画素IPに対応する位置において「1」、第1の有効画素EP1の一部及び第2の有効画素EP2に対応する位置において「0」となっている。
【0165】
このように、プロジェクターの台数が5台である場合、16画素中10画素が演算対象となり、残りの6画素が演算対象外となる。そのため、統計量演算部222は、画像データの画素数を5/8倍した値で演算対象画素における画素値の総和を除算することにより平均画素値を演算すればよい。
【0166】
なお、画像データの統計量の演算方法は、マスクパターンを変更することにより、プロジェクターの台数が2~4台である場合にも適用できる。プロジェクターの台数が4台である場合、他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクターから第3の他のプロジェクターまでとなるので、
図22において、第4の無効画素IP4に対応する画素には、画像データは含まれない。従って、この場合、第4の無効画素IP4に対応する画素も統計量の演算対象外とすればよい。
【0167】
図24は、接続されているプロジェクターの台数が4台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図24に示したマスクパターンMA4によれば、16画素中9画素が演算対象となり、残りの7画素が演算対象外となる。そのため、統計量演算部222は、画像データの画素数を9/16倍した値で演算対象画素における画素値の総和を除算することにより平均画素値を演算すればよい。
【0168】
4.第4実施形態
以下、
図25~
図29を参照することにより、本発明の第4実施形態に係る投射システム1Cの構成について説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、第1実施形態~第3実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を用いると共に、その機能の説明を省略することがある。また、以下の説明では、説明の簡略化のため、主として、第4実施形態が、第1実施形態~第3実施形態に比較して相違する点について説明する。
【0169】
4.1.第4実施形態の構成
図25は、第4実施形態に係る投射システム1Cの構成図である。投射システム1Cは、メディアサーバー4に9台のプロジェクターが接続されており、9台のプロジェクターがそれぞれ画像光LLを投射している点において、投射システム1~1Bと相違している。言い換えると、投射システム1Cは、他のプロジェクターとして、第1の他のプロジェクター201から第8の他のプロジェクター208までを有している点において、投射システム1~1Bと相違している。
【0170】
図25に示したように、プロジェクター200、及び第1の他のプロジェクター201~第8の他のプロジェクター208は、それぞれメディアサーバー4に接続されている。
【0171】
プロジェクター200は、スクリーン3の第1の領域300に対して画像光LL0を投射する。第1の他のプロジェクター201~第8の他のプロジェクター208は、スクリーン3の第2の領域301~第9の領域308までに対して、画像光LL1~LL8をそれぞれ投射する。なお、本実施形態において、第1の領域300の面積、第2の領域301の面識、第3の領域302の面積、第4の領域303の面積、第5の領域304の面積、第6の領域305の面積、第7の領域306の面積、第8の領域307の面積、及び第9の領域308の面積は等しい。
【0172】
メディアサーバー4の構成は、第1実施形態~第3実施形態のメディアサーバー4の構成と同じであり、メディアサーバー4に接続されている各プロジェクターの構成は、第1実施形態~第3実施形態のプロジェクターの構成と同じである。
【0173】
メディアサーバー4の管理部421は、第1接続情報から第9接続情報までを取得する。第6接続情報は、メディアサーバー4と第5の他のプロジェクター205との間において接続が確立された旨の情報である。第7接続情報は、メディアサーバー4と第6の他のプロジェクター206との間において接続が確立された旨の情報である。第8接続情報は、メディアサーバー4と第7の他のプロジェクター207との間において接続が確立された旨の情報である。第9接続情報は、メディアサーバー4と第8の他のプロジェクター208との間において接続が確立された旨の情報である。
【0174】
管理部421は、取得された第1接続情報から第9接続情報までに基づいて、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数を9台と特定する。
【0175】
データ生成部422は、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数が9台である場合のプログラムを実行する。
【0176】
4.2.メディアサーバー4により生成される画像データの概要
以下、
図26を参照しつつ、第4実施形態に係るメディアサーバー4により生成される画像データについて説明する。
【0177】
図26は、プロジェクターの台数が9台である場合に、メディアサーバー4からプロジェクター200に入力される画像データをラスタースキャン後の配列に並べた模式図である。配列AR0では、画素D01、D03、D05、D07、D0A、D0C、D0E、D0G、D0H、D0J、D0L、D0N、D0Q、D0S、D0U、及びD0Wが有効画素EPに該当する。
【0178】
データ生成部422は、配列AR0を縦4画素、横4画素の画素群PG0ごとに区切る。図示は省略するが、同様に、データ生成部422は、第1の他のプロジェクター201から第8の他のプロジェクター208までにそれぞれ送信する4K解像度の画像データの配列AR1からAR8までを縦4画素、横4画素の画素群PG1~PG8ごとに区切る。
【0179】
データ生成部422は、対応する画素群PG0~PG8の間において、データの置換操作を行う。
【0180】
図26に示したように、データ生成部422は、例えば、配列AR0の左上隅の画素群PG0に対して、以下の(a)~(h)の操作を実行する。なお、ここでは、説明を簡単にするため、配列AR0における置換操作についてのみ説明する。
(a)プロジェクター200の無効画素IPである画素D02のデータを、第1の他のプロジェクター201の有効画素EPである画素D11のデータに置き換える。
(b)プロジェクター200の無効画素IPである画素D09のデータを、第2の他のプロジェクター202の有効画素EPである画素D21のデータに置き換える。
(c)プロジェクター200の無効画素IPである画素D04のデータを、第3の他のプロジェクター203の有効画素EPである画素D31のデータに置き換える。
(d)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Bのデータを、第4の他のプロジェクター204の有効画素EPである画素D41のデータに置き換える。
(e)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Iのデータを、第5の他のプロジェクター205の有効画素EPである画素D51のデータに置き換える。
(f)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Pのデータを、第6の他のプロジェクター206の有効画素EPである画素D61のデータに置き換える。
(g)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Kのデータを、第7の他のプロジェクター207の有効画素EPである画素D71のデータに置き換える。
(h)プロジェクター200の無効画素IPである画素D0Rのデータを、第8の他のプロジェクター208の有効画素EPである画素D81のデータに置き換える。
【0181】
データ生成部422は、配列AR0の残りの画素群PG0においても同様の置換操作を行う。また、データ生成部422は、配列AR1~AR8についても、同様に置換操作を行う。このように、画素データが置き換えられることにより、画素群PG0には、プロジェクター200の有効画素が8個、第1の他のプロジェクター201から第8の他のプロジェクター208までの有効画素が1個ずつ含まれる。
【0182】
4.3.各プロジェクターの統計量演算部の動作の概要
以下、
図27~
図29を参照しつつ、第4実施形態に係る各プロジェクターの統計量演算部の動作について説明する。
【0183】
図27は、第1の画像データにおいて統計量の演算対象外となる画素を説明するための模式図である。
図27において、「#0」は、プロジェクター200を表している。「#0」により示される画素は、プロジェクター200の有効画素である。「#1」~「#8」は、第1の他のプロジェクター201~第8の他のプロジェクター208をそれぞれ表している。
【0184】
「#1」により示される画素は、第1の無効画素IP1である。「#2」により示される画素は、第2の無効画素IP2である。「#3」により示される画素は、第3の無効画素IP3である。「#4」により示される画素は、第4の無効画素IP4である。「#5」により示される画素は、第5の無効画素IP5である。「#6」により示される画素は、第6の無効画素IP6である。「#7」により示される画素は、第7の無効画素IP7である。「#8」により示される画素は、第8の無効画素IP8である。
【0185】
プロジェクター200の通信装置23は、配列AR0に示された第1の画像データと、台数情報とを受信する。プロジェクター200の台数判定部221は、受信された台数情報に基づいて、プロジェクターの台数を判定する。本実施形態において、プロジェクターの台数は9台である。
【0186】
プロジェクターの台数が9台である場合、画素群PG0中には、プロジェクター200の第1の有効画素EP1が4つ、プロジェクター200の第2の有効画素EP2が4つ、第1の無効画素IP1から第8の無効画素IP8までが1つずつ含まれている。この場合、プロジェクター200の統計量演算部222は、斜線により示したように、第1の有効画素EP1の一部及び第2の有効画素EP2の全部に対応する画像データを統計量の演算対象外とする。
【0187】
図28は、プロジェクターの台数が9台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図28に示したように、マスクパターンMA5によれば、16画素中9画素が演算対象となり、残りの7画素が演算対象外となる。そのため、プロジェクターの台数が9台である場合、統計量演算部222は、画像データの画素数を9/16倍した値で演算対象画素における画素値の総和を除算することにより平均画素値を演算すればよい。
【0188】
なお、プロジェクターの台数が2~8台である場合にも適用できる。例えば、プロジェクターの台数が8台である場合、他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクターから第7の他のプロジェクターまでとなるので、
図27において、第8の無効画素IP8に対応する画素には、画像データは含まれない。従って、この場合、第8の無効画素IP8に対応する画素も統計量の演算対象外とすればよい。
【0189】
図29は、プロジェクターの台数が8台である場合に、各プロジェクターの統計量演算部に適用されるマスクのマスクパターンを示す模式図である。
図29に示したように、マスクパターンMA6によれば、16画素中8画素が演算対象となり、残りの8画素が演算対象外となる。そのため、プロジェクターの台数が8台である場合、統計量演算部222は、画像データの画素数を1/2倍した値で演算対象画素における画素値の総和を除算することにより平均画素値を演算すればよい。
【0190】
5.第5実施形態
以下、
図30~
図32を参照することにより、本発明の第5実施形態に係る投射システム1Dの構成について説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、第1実施形態~第4実施形態と同一の構成要素に対しては、同一の符号を用いると共に、その機能の説明を省略することがある。また、以下の説明では、説明の簡略化のため、主として、第5実施形態が、第1実施形態~第4実施形態に比較して相違する点について説明する。
【0191】
5.1.第5実施形態の構成
図30は、第5実施形態に係る投射システム1Dの構成図である。投射システム1Dは、メディアサーバー4にN+1台のプロジェクターが接続されており、N+1台のプロジェクターがそれぞれ画像光を投射している点において、投射システム1~1Cと相違している。ここで、Nは1以上の整数である。言い換えると、投射システム1Dは、他のプロジェクターとして、第1の他のプロジェクター201から第Nの他のプロジェクター20Nまでを有している点において、投射システム1~1Cと相違している。
【0192】
図30に示したように、プロジェクター200、及び第1の他のプロジェクター201から第Nの他のプロジェクター20Nまでは、それぞれメディアサーバー4に接続されている。プロジェクター200は、スクリーン3の第1の領域300に対して画像光LL0を投射する。第1の他のプロジェクター201~第Nの他のプロジェクター20Nは、スクリーン3の第2の領域301~第N+1の領域30Nまでに対して、画像光LL1~LLNをそれぞれ投射する。なお、本実施形態において、第1の領域300~第N+1の領域30Nの各面積は等しい。
【0193】
メディアサーバー4の構成は、第1実施形態~第4実施形態のメディアサーバー4の構成と同じであり、メディアサーバー4に接続されている各プロジェクターの構成は、第1実施形態~第4実施形態のプロジェクターの構成と同じである。
【0194】
メディアサーバー4の管理部421は、第1接続情報から第N+1接続情報までを取得する。第N接続情報は、メディアサーバー4と第N-1の他のプロジェクターとの間において接続が確立された旨の情報である。
【0195】
管理部421は、取得された第1接続情報から第N+1接続情報までに基づいて、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数をN+1台と特定する。
【0196】
データ生成部422は、メディアサーバー4に接続されているプロジェクターの台数がN+1台である場合のプログラムを実行する。
【0197】
5.2.処理装置22の動作
図31は、処理装置22の動作を示すフローチャートである。以下、
図31を参照することにより、処理装置22の動作について説明する。
図31のルーチンは、例えば、処理装置22が起動されることにより開始され、一定の時間が経過する毎に実行されるようになっている。
【0198】
図31のルーチンが開始されると、先ず、ステップS101において、処理装置22は、台数情報を取得して、プロジェクターの台数が10台未満であるか否かを判定する。
【0199】
ステップS101において、処理装置22が、プロジェクターの台数が10台未満であると判定した場合、即ち、ステップS101における判定結果がYESであった場合、処理装置22は、ステップS102の処理を実行する。この場合、ステップS102において、処理装置22は、プロジェクターの台数が4台未満であるか否かを判定する。
【0200】
ステップS102において、処理装置22が、プロジェクターの台数が4台未満であると判定した場合、即ち、ステップS102における判定結果がYESであった場合、処理装置22は、ステップS103の処理を実行する。この場合、ステップS103において、処理装置22は、プロジェクターの台数が3台未満であるか否かを判定する。
【0201】
ステップS103において、処理装置22が、プロジェクターの台数が3台未満であると判定した場合、即ち、ステップS103における判定結果がYESであった場合、処理装置22は、ステップS104の処理を実行する。この場合、ステップS104において、処理装置22は、1~2台構成時のマスクパターンを作成する。
【0202】
一方、ステップS103において、処理装置22が、プロジェクターの台数が3台以上であると判定した場合、即ち、ステップS103における判定結果がNOであった場合、処理装置22は、ステップS105の処理を実行する。この場合、ステップS105において、処理装置22は、3台構成時のマスクパターンを作成する。
【0203】
また、ステップS102において、処理装置22が、プロジェクターの台数が4台以上であると判定した場合、即ち、ステップS102における判定結果がNOであった場合、処理装置22は、ステップS106の処理を実行する。この場合、ステップS106において、処理装置22は、4~9台構成時のマスクパターンを作成する。
【0204】
また、ステップS101において、処理装置22が、プロジェクターの台数が10台以上であると判定した場合、即ち、ステップS101における判定結果がNOであった場合、処理装置22は、ステップS107の処理を実行する。この場合、ステップS107において、処理装置22は、N台構成時のマスクパターンを作成する。
【0205】
次いで、ステップS108において、処理装置22は、入力された画像データに、作成されたマスクのマスクパターンを適用し、マスクパターンが適用された画像データについて統計量を演算する。
【0206】
次いで、処理装置22は、ステップS109の処理及びステップS111の処理を実行する。
【0207】
ステップS109において、処理装置22は、演算された統計量に基づいて調光制御情報を決定する。その後のステップS110において、処理装置22は、決定された調光制御情報に基づいて輝度伸長処理を実行する。
【0208】
また、ステップS111において、処理装置22は、演算された統計量に基づいて光源制御情報を決定する。その後のステップS112において、処理装置22は、決定された光源制御情報に基づいて光源の光量を制御する。その後、処理装置22は、本ルーチンを一旦終了する。
【0209】
以上が、処理装置22の動作である。なお、処理装置22は、上述した各ステップにおいて以下のように機能する。処理装置22は、ステップS101、ステップS102、及びステップS103において台数判定部221として機能する。処理装置22は、ステップS104、ステップS105、ステップS106、ステップS107、及びステップS108において統計量演算部222として機能する。処理装置22は、ステップS109において調光制御情報決定部223として機能し、ステップS110において調光制御部225として機能する。処理装置22は、ステップS111において光源制御情報決定部224として機能し、ステップS112において光源制御部226として機能する。
【0210】
5.3.第5実施形態が奏する効果
このように、他のプロジェクターの台数はN(Nは1以上の整数)であり、N台の他のプロジェクターは、スクリーン3の第2の領域301から第N+1の領域30NまでのN個の領域に一対一に対応している。N台の他のプロジェクターの各々は、対応する領域に画像光を投射する。
【0211】
複数の無効画素IPの一部又は全部は、N個の領域に投射されるN個の投射画像の画素に対応している。無効データは、N個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第Nの無効データまでを含んでいる。第1の無効データから第Nの無効データまでの各々に対応する無効画素IPの数と、第1の有効データ及び第2の有効データの一部又は全部に対応する有効画素EPの数とは、N個の領域の各面積に比例する。
【0212】
これによれば、プロジェクターの台数がN+1台である場合、プロジェクター200は、他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、N+1台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。従って、プロジェクターの台数が任意の台数であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0213】
5.4.M台のプロジェクターが接続されたメディアサーバーの構成
図32は、1台のメディアサーバーとM台のプロジェクターとにより構成される投射システム1Eの構成図である。ここで、Mは1以上の整数である。
図32に示したように、投射システム1Eにおいて、メディアサーバー4には、第1のプロジェクター2001から第Mのプロジェクター200Mが接続されている。これにより、メディアサーバー4は、投射システム1Eに利用可能である。
【0214】
投射システム1Eは、第1のプロジェクター2001から第Mのプロジェクター200Mの各々から投射される画像光によって、スクリーン3に投射画像PRIを投射するシステムである。スクリーン3は、第1の領域3001から第Mの領域300MまでのM個の領域を含んでいる。
【0215】
また、
図9に示したように、メディアサーバー4は、処理装置42と、通信装置43とを含んでいる。処理装置42は、第1の画像データから第Mの画像データまでを生成する。第1の画像データから第Mの画像データは、
図32の第1のプロジェクター2001から第Mのプロジェクター200Mに一対一に対応している。通信装置43は、第1の画像データから第Mの画像データまでを、第1のプロジェクター2001から第Mのプロジェクター200Mまでに送信する。
【0216】
第Jのプロジェクター200Jは、M個の領域のうち、第Jの領域に画像光を投射する。ここで、Jは1以上M以下の任意の整数である。第Jの画像データは、複数の有効画素EP及び複数の無効画素IPを含んでいる。ここで、
図8に示したように、有効画素EPと無効画素IPとは千鳥状に配列された画像を示す。
【0217】
有効画素EPは、第Jのプロジェクター200Jが画像光を投射することに用いる画素であり、無効画素IPは、第Jのプロジェクター200Jが画像光を投射することに用いない画素である。複数の無効画素IPの一部又は全部は、M個の領域のうち、第Jの領域300Jを除くM-1個の領域に投射されるM-1個の投射画像の画素に対応している。
【0218】
複数の無効画素IPに対応する無効データは、第1の無効データから第M-1の無効データまでを含んでいる。第1の無効データから第M-1の無効データは、M-1個の投射画像と一対一に対応している。第1の無効データから第M-1の無効データまでの各々に対応する無効画素の数と、有効画素の一部又は全部の数とは、M個の領域の各面積に比例している。
【0219】
例えば、Mが2の場合、
図12及び
図13に示したように、第1の無効データに対応する無効画素IPの数と、有効画素EPの全部の数とは、2個の領域の各面積に比例している。また、Mが3の場合、
図16、
図18、及び
図19に示したように、第1の無効データに対応する無効画素IPの数と、第2の無効データに対応する無効画素IPの数と、有効画素EPの一部の数とは、3個の領域の各面積に比例している。
【0220】
また、Mが5の場合、
図22に示したように、第1の無効データから第4の無効データに対応する無効画素IPの数と、有効画素EPの一部の数とは、5個の領域の各面積に比例している。Mが9の場合、
図27に示したように、第1の無効データから第8の無効データに対応する無効画素IPの数と、有効画素EPの一部の数とは、9個の領域の各面積に比例している。
【0221】
これによれば、メディアサーバー4は、M台のプロジェクターを有する投射システム1Eに利用可能である。第Jのプロジェクター200Jは、第Jのプロジェクター200Jを除く他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、M台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。従って、プロジェクターの台数が任意の台数であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0222】
6.変形例
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。具体的な変形の態様を以下に例示する。また、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内において適宜併合され得る。なお、以下に例示する変形例において、作用や機能が前述の実施形態と同等である要素については、以上の説明において使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜省略する。
【0223】
6.1.変形例1
上記実施形態において、調光制御情報として、輝度伸長率を例に説明したが、調光制御情報は、輝度伸長率に限定されない。例えば、エッジブレンド処理に用いられる補正関数のパラメータであってもよい。エッジブレンド処理は、各プロジェクターが投射する投射画像の一部を重ね合わせる重畳領域において、画像のつなぎ目を目立たなくする処理である。
【0224】
より具体的に述べると、調光制御情報決定部223は、重畳領域を含むブレンド領域を設定し、設定されたブレンド領域に投射する画像の輝度を補正関数を用いて調整することにより、重畳領域における画像のつなぎ目を目立たなくする。補正関数は、各投射画像におけるブレンド領域の開始端から投射画像の終端に向かって輝度を徐々に減少させるような関数である。
【0225】
6.2.変形例2
上記実施形態において、第1の電流と第2の電流とは、互いに大きさが等しく、且つ流れる方向が反対の電流であったが、駆動装置2532における電流の制御値は、これに限定されない。例えば、第1の電流の大きさと第2の電流の大きさは異なっていてもよい。第1の電流の大きさと第2の電流の大きさが異なっている場合、第1の電流の流れる方向と第2の電流の流れる方向とは同じ向きであってもよい。また、第1の電流及び第2の電流のいずれかがゼロであってもよい。つまり、通電状態及び非通電状態のいずれかにより、光路シフト素子2531の姿勢を制御してもよい。
【0226】
6.3.変形例3
上記実施形態において、アクチュエーターACTは、磁石M1とコイルC1とにより構成されていたが、アクチュエーターの構成は、これに限定されない。例えば、光路シフト素子2531に設けられた電極と、支持体2533に設けられた電極との間に電界を発生させ、発生した電界に起因する静電気力を用いて光路シフト素子2531の姿勢を変える静電方式が採用されてもよい。
【0227】
6.4.変形例4
また、支持体2533の一部を、アクチュエーターとして圧電素子により構成し、圧電素子に光路シフト素子2531を固定し、圧電素子の形状を制御して光路シフト素子2531の姿勢を変える圧電方式が採用されてもよい。
【0228】
6.5.変形例5
また、アクチュエーターとしてモーターを用い、モーターを制御して光路シフト素子2531の姿勢を変えるモーター駆動方式が採用されてもよい。
【0229】
6.6.変形例6
上記実施形態において、スクリーン3上の第1の領域から第Nの領域までの各領域の面積は等しいものとして説明したが、各領域は、必ずしも等しい必要はない。言い換えると、投射システムは、第1の領域から第Nの領域までの各領域の面積が等しくない場合であっても、各プロジェクターの統計量演算部において用いられるマスクパターンを適宜変更すればよい。
【0230】
6.7.変形例7
上記実施形態において、各プロジェクターの性能は同等であったが、各プロジェクターの性能は必ずしも同等でなくてもよい。各プロジェクターの性能が同等でない場合、各プロジェクターにおいて、各プロジェクターの性能差を補償する処理が適宜行われればよい。各プロジェクターの性能差を補償するために用いられる情報は、メディアサーバー4から各プロジェクターに台数情報とともに送られてもよい。
【0231】
6.8.変形例8
上記実施形態において、メディアサーバー4には、パーソナルコンピューターが用いられていたが、メディアサーバーはこれに限定されない。例えば、メディアサーバーは、専用のハードウェアであってもよい。また、メディアサーバー4と各プロジェクターとは、一対一に接続されていたが、メディアサーバーと各プロジェクターとの接続の方法は、これに限定されない。例えば、メディアサーバーと各プロジェクターとは、LAN等のネットワークを介して接続されてもよい。ここで、LANとは、Local Area Networkの略称である。この場合、メディアサーバーの記憶装置には、ネットワーク上の記憶装置が用いられ、メディアサーバーの処理装置には、ネットワーク上のルーターが用いられてもよい。
【0232】
7.付記
以下、付記として本開示のまとめを記載する。
【0233】
7.1.付記1
光源と、前記光源からの光が入射する表示パネルと、前記表示パネルから射出される、投射対象に投射される投射画像の少なくとも一部を含む画像光が入射する光学素子と、前記光学素子の姿勢を、前記画像光を前記投射対象の第1の領域に対して第1の光軸に沿って射出する第1の姿勢と、前記画像光を前記第1の領域に対して第2の光軸に沿って射出する第2の姿勢と、のいずれかに制御する駆動装置と、を含む光学デバイスと、前記光学素子の姿勢が前記第1の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が前記第2の姿勢である場合に前記画像光を生成することに用いられる複数の第2の有効画素と、を含む複数の有効画素と、前記画像光を生成することに用いられない複数の無効画素と、を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、前記複数の第1の有効画素に対応する第1の有効データと、前記複数の第2の有効画素に対応する第2の有効データと、前記複数の無効画素に対応し、少なくとも1台の他のプロジェクターによって前記投射対象に投射される前記投射画像の少なくとも一部を示す無効データと、を含む画像データを受信する通信回路と、前記第1の有効データ及び前記第2の有効データの一部又は全部と、前記無効データの一部又は全部とに基づいて、前記画像光を投射することに用いる制御情報を決定する制御装置と、を備えるプロジェクター。
【0234】
即ち、付記1に記載のプロジェクターによれば、通信回路は、画像光を生成することに用いられない無効画素のデータが、他のプロジェクターの有効画素のデータに置き換えられた画像データを受信する。受信された画像データには、プロジェクターによって画像光を生成することに用いられる有効画素のデータと、他のプロジェクターによって画像光を生成することに用いられる有効画素のデータとが含まれる。従って、制御装置は、受信された画像データの統計量を演算することにより、投射画像全体の統計量を演算することができる。
【0235】
このように、プロジェクターは、他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、プロジェクター及び他のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。同様に、他のプロジェクターは、プロジェクターによって投射される画像光に関する統計量をプロジェクターから取得しなくとも、プロジェクター及び他のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。つまり、プロジェクター及び他のプロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0236】
7.2.付記2
前記少なくとも1台の他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクターであり、前記第1の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域に対して画像光を投射し、前記無効データは、前記投射画像のうち前記第2の領域に対応する画像を示す、付記1に記載のプロジェクター。
【0237】
付記2に記載のプロジェクターによれば、他のプロジェクターが1台である場合、無効データは、投射画像のうち第2の領域に対応する画像を示す。従って、プロジェクターは、他のプロジェクターから第2の領域に投射される画像の統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、第1の領域及び第2の領域の統計量を演算することができる。
【0238】
7.3.付記3
前記制御装置は、前記第1の有効データと、前記第2の有効データと、前記無効データとに基づいて、前記制御情報を決定する、付記1又は付記2に記載のプロジェクター。
【0239】
付記3に記載のプロジェクターによれば、他のプロジェクターが1台である場合、無効データの全部に、他のプロジェクターのすべての有効データが含まれる。従って、制御装置は、第1の有効データと、第2の有効データと、無効データとに基づいて、投射画像全体の統計量を演算することができる。その結果、制御装置は、調整制御情報及び光源制御情報を決定することができる。
【0240】
7.4.付記4
前記少なくとも1台の他のプロジェクターは、第1の他のプロジェクター及び第2の他のプロジェクターであり、前記第1の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域に対して画像光を投射し、前記第2の他のプロジェクターは、前記投射対象の第3の領域に対して画像光を投射し、前記無効データは、前記投射画像のうち前記第2の領域に対応する画像を示す第1の無効データと、前記投射画像のうち前記第3の領域に対応する画像を示す第2の無効データとを含む、付記3に記載のプロジェクター。
【0241】
付記4に記載のプロジェクターによれば、プロジェクターは、第1の統計量及び第2の統計量を、第1の他のプロジェクター及び第2の他のプロジェクターから取得しなくとも、3台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。第1の統計量は、第1の他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量である。第2の統計量は、第2の他のプロジェクター202によって投射される画像光に関する統計量である。
【0242】
これによれば、プロジェクターの台数が3台であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0243】
7.5.付記5
前記第1の領域の面積、前記第2の領域の面積、及び前記第3の領域の面積は等しく、前記第1の有効データに対応する有効画素の数は前記第1の無効データに対応する無効画素の数と等しく、前記第1の有効データに対応する有効画素の数は前記第2の無効データに対応する無効画素の数と等しく、前記制御装置は、前記第1の有効データと、前記第1の無効データと、前記第2の無効データとに基づいて、前記制御情報を決定する、付記4に記載のプロジェクター。
【0244】
付記5に記載のプロジェクターによれば、プロジェクターの台数が3台である場合、1つの画素群の中の4つの画素のうち、第2の有効画素に対応する画像データを統計量の演算対象外とすることができ、投射画像全体の統計量をより正確に演算することができる。従って、制御情報をより正確に決定することができる。
【0245】
7.6.付記6
前記少なくとも1台の他のプロジェクターの数はN(Nは1以上の整数)であり、N台の他のプロジェクターは、前記投射対象の第2の領域から第N+1の領域までのN個の領域に一対一に対応しており、前記N台の他のプロジェクターの各々は、対応する領域に画像光を投射し、前記複数の無効画素の一部又は全部は、前記N個の領域に投射されるN個の投射画像の画素に対応しており、前記無効データは、前記N個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第Nの無効データまでを含み、前記第1の無効データから前記第Nの無効データまでの各々に対応する前記無効画素の数と、前記第1の有効データ及び前記第2の有効データの一部又は全部に対応する前記有効画素の数とは、前記N個の領域の各面積に比例する、
付記1から付記5までのいずれか1つに記載のプロジェクター。
【0246】
付記6に記載のプロジェクターによれば、プロジェクターの台数がN+1台である場合、プロジェクターは、他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、N+1台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。従って、プロジェクターの台数がN+1台であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0247】
7.7.付記7
前記制御情報は、前記表示パネルに入力される表示画像データの示す輝度を制御する調光制御情報と、前記光源の光量を制御する光源制御情報とのうち少なくとも一方を含む、付記1から付記6までのいずれか1つに記載のプロジェクター。
【0248】
付記7に記載のプロジェクターによれば、制御装置は、表示画像データの示す輝度又は光源の光量を制御することにより、プロジェクターの投射画像の明るさを調整することができる。
【0249】
7.8.付記8
前記制御情報は、前記調光制御情報を含み、前記光学素子の姿勢が前記第1の姿勢である場合に、前記画像光は、前記第1の有効データと前記調光制御情報とに基づいて制御され、前記光学素子の姿勢が前記第2の姿勢である場合に、前記画像光は、前記第2の有効データと前記調光制御情報とに基づいて制御される、付記7に記載のプロジェクター。
【0250】
付記8に記載のプロジェクターによれば、第1の有効データは、光学素子の姿勢が第1の姿勢である場合に、画像光として第1の領域に投射される。第2の有効データは、光学素子の姿勢が第2の姿勢である場合に、画像光として第1の領域に投射される。このように、付記8に記載のプロジェクターとしては、画素ずらしにより画像光を投射するプロジェクターが好適に用いられる。
【0251】
7.9.付記9
コンピューターに、プロジェクターが投射対象の第1の領域に投射画像の画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示す画像データを受信することと、第1の有効データ及び第2の有効データの一部又は全部と、無効データの一部又は全部とに基づいて、前記投射することに用いる制御情報を決定することと、を実行させ、前記複数の有効画素は、前記プロジェクターの表示パネルから射出される前記画像光が入射する光学素子の姿勢が第1の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第1の有効画素と、前記光学素子の姿勢が第2の姿勢である場合に、前記投射することに用いる複数の第2の有効画素とを含み、前記第1の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第1の有効画素に対応し、前記第2の有効データは、前記画像データのうち、前記複数の第2の有効画素に対応し、前記無効データは、前記プロジェクター以外の他のプロジェクターによって投射される前記投射画像の一部の画像を示し、前記第1の領域は、前記第1の姿勢において前記光学素子からの画像光が第1の光軸に沿って射出され、かつ、前記第2の姿勢において前記光学素子からの画像光が第2の光軸に沿って射出される領域である、プログラム。
【0252】
付記9に記載のプログラムによれば、画像光を生成することに用いられない無効画素のデータが、他のプロジェクターの有効画素のデータに置き換えられた置換画像データに基づいて、画像データの統計量を演算する。置換画像データには、プロジェクターによって画像光を生成することに用いられる有効画素のデータと、他のプロジェクターによって画像光を生成することに用いられる有効画素のデータとが含まれる。従って、本プログラムは、置換画像データの統計量を演算することにより、投射画像全体の統計量を演算することができる。
【0253】
このように、付記9に記載のプログラムによれば、他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【0254】
7.10.付記10
第1のプロジェクターから第M(Mは2以上の整数)のプロジェクターの各々から投射される画像光によって、投射対象に投射画像を投射する投射システムに利用可能な情報処理装置であって、前記投射対象は、第1の領域から第Mの領域までのM個の領域を含み、前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに一対一に対応する第1の画像データから第Mの画像データまでを生成する制御装置と、前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでを、前記第1の画像データから前記第Mの画像データまでに一対一に対応する前記第1のプロジェクターから前記第Mのプロジェクターまでに送信する送信装置と、を含み、第J(Jは1以上M以下の任意の整数)のプロジェクターは、M個の領域のうち、第Jの領域に画像光を投射し、第Jの画像データは、前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いる複数の有効画素及び前記第Jのプロジェクターが前記画像光を投射することに用いない複数の無効画素を含み、前記有効画素と前記無効画素とが千鳥状に配列された画像を示し、前記複数の無効画素の一部又は全部は、前記M個の領域のうち、前記第Jの領域を除くM-1個の領域に投射されるM-1個の投射画像の画素に対応し、前記複数の無効画素に対応する無効データは、前記M-1個の投射画像と一対一に対応する第1の無効データから第M-1の無効データまでを含み、前記第1の無効データから前記第M-1の無効データまでの各々に対応する前記無効画素の数と、前記有効画素の一部又は全部の数とは、前記M個の領域の各面積に比例する、情報処理装置。
【0255】
付記10に記載の情報処理装置によれば、メディアサーバーは、M台のプロジェクターを有する投射システムに利用可能である。第Jのプロジェクターは、第Jのプロジェクターを除く他のプロジェクターによって投射される画像光に関する統計量を他のプロジェクターから取得しなくとも、M台のプロジェクターにより投射される投射画像全体の統計量を演算することができる。従って、プロジェクターの台数がM台であっても、各プロジェクターは、お互いに他のプロジェクターが受信する他の投射画像の情報を容易に取得して、他の投射画像の情報を参照して制御することが好ましい制御情報を決定することができる。
【符号の説明】
【0256】
1,1A,1B,1C,1D,1E…投射システム、2…プロジェクター、3…スクリーン、4…メディアサーバー、22…処理装置、23…通信装置、25…投射装置、42…処理装置、43…通信装置、200…プロジェクター、201…他のプロジェクター、20N…第Nの他のプロジェクター、300…第1の領域、301…第2の領域、30N…第N+1の領域、2001…第1のプロジェクター、200J…第Jのプロジェクター、200M…第Mのプロジェクター、2531…光路シフト素子、2532…駆動装置、3001…第1の領域、300J…第Jの領域、300M…第Mの領域、EP…有効画素、EP1…第1の有効画素、EP2…第2の有効画素、IP…無効画素、IP1…第1の無効画素、IP2…第2の無効画素、LL…画像光、OA1…第1の光軸、OA2…第2の光軸、PRI…投射画像。