(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145491
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電気接続部材、端子付き電気接続部材、端子付きガラス板構造及び電気接続部材の貼り合わせ方法
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20241004BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01R11/01 501Z
H01R43/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057866
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】神谷 翼
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広太
【テーマコード(参考)】
5E051
【Fターム(参考)】
5E051CA03
5E051CA04
(57)【要約】
【課題】被着体への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材、端子付き電気接続部材、端子付きガラス板構造及び電気接続部材の貼り合わせ方法を開示する。
【解決手段】シートと、導通接続部とを有し、シートがリアガラス200とタブ端子100とに固着して導通接続部がリアガラス200とタブ端子100との間を導通接続する電気接続部材10について、シートは、同じ曲率半径を有するリアガラス200と加圧治具300との間にタブ端子100とともに挟まれた状態で、加圧治具300の曲率半径Rpに追従するように変形可能に構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、
導通接続部とを有し、
前記シートが被着体と端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続する電気接続部材において、
前記シートは、同じ曲率半径を有する前記被着体と加圧治具との間に前記端子とともに挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形可能に構成されることを特徴とする
電気接続部材。
【請求項2】
前記電気接続部材の曲率半径は、前記被着体の曲率半径以下で構成される
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項3】
前記電気接続部材の曲率半径は、前記端子の曲率半径より大きく構成される
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項4】
前記シートは、湾曲する弧状の外周縁を有する
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項5】
前記シートは、開口部を有し、
前記開口部は、湾曲する弧状の内周縁を有する
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項6】
前記導通接続部は、導電材料を有するゴム状弾性体で構成される
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項7】
前記電気接続部材は、導電部材と、固着部材と、連結部材とを有して構成されており、
前記導電部材は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、
前記固着部材は、前記導電部材の周囲に配置され、前記被着体と前記端子とに固着して、前記導電部材を前記被着体と前記端子とで挟んで導通接続させるものであり、
前記連結部材は、前記導電部材と前記固着部材とを連結して一体構造とする
請求項1記載の電気接続部材。
【請求項8】
請求項1記載の電気接続部材と、
前記電気接続部材に固着する端子とを備える
端子付き電気接続部材。
【請求項9】
前記端子の曲率半径は、前記被着体の曲率半径より大きく構成されており、
前記シートと前記端子とは、前記被着体と前記被着体以下の曲率半径を有する前記加圧治具との間に前記端子とともに挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形可能に構成される
請求項8記載の端子付き電気接続部材。
【請求項10】
前記端子の曲率半径は、前記被着体の曲率半径より小さく構成されており、
前記シートと前記端子とは、前記被着体と前記被着体以上の曲率半径を有する前記加圧治具との間に前記端子とともに挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形可能に構成される
請求項8記載の端子付き電気接続部材。
【請求項11】
前記端子は、前記電気接続部材と接触する面が100mm以上50000mm以下の曲率半径を有して曲がっている
請求項8記載の端子付き電気接続部材。
【請求項12】
請求項1~11いずれか1項記載の電気接続部材と、
少なくとも一方の面に電極部が設けられるガラス板でなる被着体と、
端子とを備える端子付きガラス板構造であって、
前記電気接続部材は前記端子と前記電極部の間に配置され、かつ、前記端子は前記電気接続部材の少なくとも厚さ方向に導電性を有する導電部材を介して前記電極部に接続され、
前記端子は、前記導電部材の周囲に配置される固着部材によって前記ガラス板に固定される
端子付きガラス板構造。
【請求項13】
凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法において、
前記電気接続部材は、
シートと、
導通接続部とを有し、
前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、
前記被着体と同じ曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする
電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項14】
凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法において、
前記電気接続部材は、
シートと、
導通接続部とを有し、
前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、
加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体と同じ曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする
電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項15】
凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法において、
前記電気接続部材は、
シートと、
導通接続部とを有し、
前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、
前記被着体以下の曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体より大きい曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする
電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項16】
凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法において、
前記電気接続部材は、
シートと、
導通接続部とを有し、
前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、
前記被着体以上の曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体より小さい曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする
電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項17】
前記端子は、前記電気接続部材と接触する面が100mm以上50000mm以下の曲率半径を有して曲がっている
請求項16記載の電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項18】
前記加圧治具は、前記端子と接触する面が50mm以上100000mm以下の曲率半径を有して曲がっている
請求項16記載の電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項19】
前記凹曲面を有する前記被着体は、直交するXY方向で異なる曲率半径を有して曲がっている
請求項16記載の電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項20】
前記導通接続部は、導電材料を有するゴム状弾性体で構成される
請求項13記載の電気接続部材の貼り合わせ方法。
【請求項21】
前記電気接続部材は、導電部材と、固着部材と、連結部材とを有して構成されており、
前記導電部材は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、
前記固着部材は、前記導電部材の周囲に配置され、前記被着体と前記端子とに固着して、前記導電部材を前記被着体と前記端子とで挟んで導通接続させるものであり、
前記連結部材は、前記導電部材と前記固着部材とを連結して一体構造とする
請求項13~請求項20いずれか1項記載の電気接続部材の貼り合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続部材、端子付き電気接続部材、端子付きガラス板構造及び電気接続部材の貼り合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば配線の電極部とケーブル端子の取り付けられたタブ端子とを接続する従来のはんだ付けの代わりとして用いられる電気接続部材の技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線の電極部が設けられた「被着体」の被固着面は、湾曲面となっている場合がある。湾曲した被固着面に対して電気接続部材を貼り合わせる場合において、被固着面と電気接続部材の固着面との曲率が異なると、被固着面と固着面との界面に未固着領域(気泡)が残りやすくなってしまう。
【0005】
本出願は、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材、端子付き電気接続部材、端子付きガラス板構造及び電気接続部材の貼り合わせ方法を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願で開示するいくつかの態様は、以下の特徴を有するものとして構成される。
【0007】
すなわち、本開示の一態様は、シートと、導通接続部とを有し、前記シートが被着体と端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続する電気接続部材について、前記シートは、同じ曲率半径を有する前記被着体と加圧治具との間に前記端子とともに挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形可能に構成されることを特徴とする。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材を実現することができる。
【0008】
本開示の一態様は、前記端子の曲率半径が、前記被着体の曲率半径より大きく構成されており、前記シートと前記端子とは、前記被着体と前記被着体以下の曲率半径を有する前記加圧治具との間に前記端子とともに挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形可能に構成される端子付き電気接続部材である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する端子付き電気接続部材を実現することができる。
【0009】
本開示の一態様は、電気接続部材と、少なくとも一方の面に電極部が設けられるガラス板でなる被着体と、端子とを備える端子付きガラス板構造であって、前記電気接続部材は前記端子と前記電極部の間に配置され、かつ、前記端子は前記電気接続部材の少なくとも厚さ方向に導電性を有する導電部材を介して前記電極部に接続され、前記端子は、前記導電部材の周囲に配置される固着部材によって前記ガラス板に固定される端子付きガラス板構造である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する端子付きガラス板構造を実現することができる。
【0010】
本開示の一態様は、凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法について、前記電気接続部材は、シートと、導通接続部とを有し、前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、前記被着体と同じ曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記加圧治具の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする電気接続部材の貼り合わせ方法である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材の貼り合わせ方法を実現することができる。
【0011】
本開示の一態様は、凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法について、前記電気接続部材は、シートと、導通接続部とを有し、前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体と同じ曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする電気接続部材の貼り合わせ方法である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材の貼り合わせ方法を実現することができる。
【0012】
本開示の一態様は、凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法について、前記電気接続部材は、シートと、導通接続部とを有し、前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、前記被着体以下の曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体より大きい曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする電気接続部材の貼り合わせ方法である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材の貼り合わせ方法を実現することができる。
【0013】
本開示の一態様は、凹曲面を有する被着体と端子との間を導通接続する電気接続部材の貼り合わせ方法について、前記電気接続部材は、シートと、導通接続部とを有し、前記シートが前記被着体と前記端子とに固着して前記導通接続部が前記被着体と前記端子との間を導通接続し、前記被着体以上の曲率半径を有する加圧治具によって、前記被着体と前記加圧治具との間に前記被着体より小さい曲率半径を有する前記端子とともに前記シートが挟まれた状態で、前記端子の曲率半径に追従するように変形させることを特徴とする電気接続部材の貼り合わせ方法である。これによれば、「被着体」への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制する電気接続部材の貼り合わせ方法を実現することができる。
【0014】
本開示の一態様によれば、電気接続部材を被着体に固着する際の気泡残り(未固着部位)の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は電気接続部材、タブ端子、リアガラス及び加圧治具の一実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は電気接続部材の更に別の変形例を示す平面図である。
【
図5】
図2の電気接続部材をリアガラス及びタブ端子に対して貼り付ける電気接続部材の貼り合わせ方法を示す断面図である。
【
図6】
図5に続く電気接続部材の貼り合わせ後の使用状態を示す断面図である。
【
図7】電気接続部材、タブ端子、リアガラス及び加圧治具の曲率半径の大小関係における第1の組合せを示す説明図である。
【
図8】電気接続部材、タブ端子、リアガラス及び加圧治具の曲率半径の大小関係における第2の組合せを示す説明図である。
【
図9】電気接続部材、タブ端子、リアガラス及び加圧治具の曲率半径の大小関係における第3の組合せを示す説明図である。
【
図10】電気接続部材、タブ端子、リアガラス及び加圧治具の曲率半径の大小関係における第4の組合せを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の一態様を具体的に説明する。しかしながら、その説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、例示的な実施形態を説明する記載として理解すべきものである。以下の説明は、特許請求の範囲を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
以下の説明で「上」、「下」、「左」、「右」の方向を示す用語は、説明の便宜のために使用するものであり、方向を限定することを文脈上明確に記載しない限り、使用方法、使用態様を示すものではない。本明細書及び特許請求の範囲に記載する「第1」と「第1」に続く「第n」等の用語は、異なる要素を区別するための識別用語として使用するものであり、特定の順序や優劣等を示すものではない。
【0018】
以下の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書及び特許請求の範囲に記載する一態様による構成要素は、単数形又は複数形であることを文脈上明確に記載しない限り、複数形も含むことが意図される。用語「及び/又は」は、関連する列挙された要素のうちの1つ以上のいずれか及び全ての考えられる組合せを指し、かつこれを含むことが意図される。本明細書及び特許請求の範囲に記載する用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む、備える(comprises)」、及び/又は「含む、備える(comprising)」は、特徴、動作、要素、ステップの存在を特定するものである。しかしながら、1つ以上の他の特徴、動作、要素、ステップ及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外するものではない用語として用いられている。
【0019】
【0020】
以下、電気接続部材10の接続構造及び加圧治具300の実施形態を例示して説明する。電気接続部材10は、
図1で示すように、自動車の「被着体」としてのリアガラス200と「端子」としてのタブ端子100とに固着可能に構成されている。そして、電気接続部材10は、リアガラス200における「第1の接続対象物」としての電極部201とタブ端子100(金属端子、ケーブル端子)における「第2の接続対象物」としての被固着面101とを導通接続するものである。電気接続部材10は、弾性コネクタとして構成できる。
【0021】
電気接続部材10は、リアガラス200に限らず、例えば自動車のフロントガラスに設けられる各種用途(デフォッガー、アンテナ等)の配線面の電極部201(バスバー、母線)と、タブ端子100の被固着面101とを接続する弾性コネクタとして用いることができる。さらに、建築物や構築物の窓ガラスに設けられる各種用途の配線の電極部201(アンテナ、電熱線等)と、タブ端子100の被固着面101とを接続する弾性コネクタとして用いることができる。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲では、便宜上、
図1等に示されるように、電気接続部材10の長手方向(左右方向)をX方向、短手方向(前後方向)をY方向、高さ方向(上下方向)(加圧治具300の押し込み方向)をZ方向として記載する。さらに、
図1で示す電気接続部材10の接続構造において、加圧治具300が位置する側をZ方向における上側(外側)、リアガラス200が位置する側をZ方向における下側(内側)として記載する。しかしながら、それらは、電気接続部材10の配置の向き、電気接続部材10の導通接続方向等を限定するものではない。
【0023】
【0024】
電気接続部材10は、シート11と、「導電部材」としての導通接続部12とを有する。シート11及び導通接続部12は、一体構造とされている。電気接続部材10は、
図2Aで示すように、平面視で矩形状とされている。しかしながら、電気接続部材10は、平面視で矩形状に限らず、例えば矩形以外の多角形、正円、楕円等の各種の円形状、線形状、帯形状であっても良い。さらに、電気接続部材10は、
図2Bで示すように、正面視においても厚さが一定の矩形状とされている。すなわち、電気接続部材10は、薄板形状とされている。
【0025】
しかしながら、電気接続部材10は、
図3Aで示すように、例えば長手方向における両端が上向きに湾曲する形状となっていても良い。さらに、
図3Bで示すように、電気接続部材10は、シート11を面方向で横断する複数の方向(多方向、例えば長手方向及び短手方向)で、シート11の外縁側が反り上がる形状(球面形状、椀形状)となっていても良い。
【0026】
さらに、電気接続部材10は、
図4で示すように、シート11が湾曲する弧状の外周縁11cを有しても良い。外周縁11cは、平面視でシート11の外縁を形成する長辺と短辺との交差部(角部)に形成されている。電気接続部材10は、
図4で示すように、後述する第1の開口部14e(
図3A参照)及び第2の開口部15e(
図3A参照)が湾曲する弧状の内周縁11dを有しても良い。内周縁11dは、平面視でシート11の内縁(第1の開口部14e及び第2の開口部15eの外縁)を形成する長辺と短辺との交差部(角部)に形成されている。外周縁11c及び内周縁11dは、電気接続部材10が固着するリアガラス200、タブ端子100からシート11を剥がれにくい構成とすることができる。
【0027】
シート11は、電気接続部材10において導通接続部12を除く部分である。シート11は、「連結部材」としてのベースシート13と、「固着部材」としての第1の固着部材14と、「固着部材」としての第2の固着部材15とを有する。第1の固着部材14及び第2の固着部材15の各々は、ベースシート13の両面に設けられる。このため、シート11は、「連結部材」と「固着部材」との積層構造である。すなわち、シート11は、電気接続部材10の内側(下側)から順に第2の固着部材15と、ベースシート13と、第1の固着部材14とが固着する積層構造である。
【0028】
ベースシート13は、シート11の基材を構成する。ベースシート13は、導通接続部12と、第1の固着部材14及び第2の固着部材15とを連結して一体にしている。ベースシート13には、樹脂フィルム、ゴムフィルム、メッシュシート、網、金属板、紙、織布、不織布、発泡シート等や、これらのうちの複数を組み合わせた複合シートを用いることができる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂のフィルムシートを挙げることができる。フィルムシートとしては、無色透明、白色や乳白色等の有色の透明又は半透明のものを用いても良い。
【0029】
樹脂フィルムの厚さは、形状を保持するための定形性、被固着面に対して形状追従する曲げが可能な可撓性等を持たせるという目的のため、5μm以上1000μm以下、好ましくは30μm以上350μm以下とすることができる。樹脂フィルムのコシ(ヤング率で表される)が大きくなるほど、形状を保持する定形性が高くなる一方で、被固着面に対して形状追従する曲げが可能な可撓性を持たせることが難しくなる。そのため、ベースシート13を構成する樹脂フィルムとしては、ヤング率(引張弾性係数)が4500MPa以下のものを用いることが好ましい。樹脂フィルムのヤング率(引張弾性係数)は、引張試験でフィルムが塑性変形する直前での最大弾性から求めることができる(ASTM-D882準拠)。
【0030】
第1の固着部材14は、シート11を「端子」としてのタブ端子100に対して固着するための部材である。第2の固着部材15は、シート11を「被着体」としてのリアガラス200に対して固着するための部材である。第1の固着部材14及び第2の固着部材15がそれぞれタブ端子100及びリアガラス200と固着することによって、導通接続部12の圧縮状態が維持される。
【0031】
第1の固着部材14は、シート11(ベースシート13)の「第1の面」としての表側面11aの側に設けられている。第2の固着部材15は、シート11(ベースシート13)の「第2の面」としての裏側面11bの側に設けられている。第1の固着部材14及び第2の固着部材15は、いずれも両面テープによって構成されている。第1の固着部材14及び第2の固着部材15が設けられたシート11の表側面11a及び裏側面11bは、いずれも「固着面」として機能する。
【0032】
しかしながら、第1の固着部材14及び第2の固着部材15には、両面テープ以外にも、粘着剤、接着剤、ホットメルト接着剤等を用いることができる。第1の固着部材14及び第2の固着部材15が熱硬化型の接着剤の場合には、タブ端子100及び電気接続部材10をリアガラス200に押圧する工程で、例えば加熱した加圧治具300にて押圧することで接着剤を硬化させて固着することができる。第1の固着部材14及び第2の固着部材15がホットメルト接着剤の場合には、タブ端子100及び電気接続部材10をリアガラス200に押圧する工程で、例えば加熱した加圧治具300にて押圧することでホットメルト接着剤を軟化後に冷却固化させて固着することができる。さらに、第1の固着部材14及び第2の固着部材15は、電気接続部材10をタブ端子100及びリアガラス200に貼り付ける工程で、接着剤や粘着剤を塗布して形成しても良い。
【0033】
第1の固着部材14は、ベースシート13の側から順に、第1の内側粘着層14a、第1のテープ基材14b、第1の外側粘着層14c、第1の剥離テープ14d(保護フィルム)を積層して構成されている。第2の固着部材15も、それと同様に、ベースシート13の側から順に、第2の内側粘着層15a、第2のテープ基材15b、第2の外側粘着層15c、第2の剥離テープ15d(保護フィルム)を積層して構成されている。第1の内側粘着層14a及び第2の内側粘着層15aは、ベースシート13に固着される部位である。さらに、第1の外側粘着層14cは、タブ端子100に固着される部位である。そして、第2の外側粘着層15cは、リアガラス200に固着される部位である。
【0034】
第1のテープ基材14b及び第2のテープ基材15bは、ベースシート13と同様に樹脂フィルム等で構成されている。樹脂フィルムの場合の素材、厚さは、ベースシート13と同様とすることができる。
【0035】
第1の固着部材14及び第2の固着部材15は、ベースシート13の平面形状(ここでは矩形。多角形、円形、不定形状等の任意の形状とすることができる。)に対応する形状を有するものである。しかしながら、導通接続部12は、リアガラス200の電極部201及びタブ端子100の被固着面101と導通接続するために、シート11の表側面11a及び裏側面11bの双方において露出する必要がある。このため、第1の固着部材14及び第2の固着部材15の双方における中央部位には、それぞれ「開口部」としての第1の開口部14e及び「開口部」としての第2の開口部15eが形成されている。したがって、第1の固着部材14及び第2の固着部材15の双方の平面形状は、全体として枠形状とされている。これによって、第1の開口部14e及び第2の開口部15eは、いずれも導通接続部12を包囲しつつ露出させるための「窓」として形成されている。
【0036】
ベースシート13は、第1の開口部14e及び第2の開口部15eの内側において、第1の固着部材14及び第2の固着部材15が固着しない非固着部分を有する。すなわち、第1の開口部14e及び第2の開口部15eの内側では、導通接続部12がベースシート13のみによって支持されている。このベースシート13の支持部分は、導通接続部12をシート11の厚さ方向で変位可能に支持する可撓部13aとして構成される。
【0037】
導通接続部12は、「弾性コネクタ」として構成されている。ベースシート13には、複数の導通接続部12を形成するそれぞれの位置に貫通孔が形成されている。そして、各貫通孔を貫通するように導通接続部12が形成されている。導通接続部12は、ベースシート13の貫通孔を形成する縁部によって支持される。
【0038】
導通接続部12は、例えば導通部12aと、導通部12aを包囲する外周部12bとを有する。導通部12aは、シリコーンゴム等のゴム状弾性体に「導電材料」としての導電性フィラーを磁場等によって導通接続部12の軸方向に沿って配向して形成される。このように構成される導通接続部12によれば、低圧縮荷重であり、かつ、伝送損失を低減することができるため好ましい。導通部12aに代えて、導電性ゴムでなる導通部(例:低硬度のシリコーンゴムに導電性フィラーを配合したもの等)、金属細線を配列した導通部(例:低硬度のシリコーンゴムに多数の金属ワイヤーを貫通させて導通部としたもの等)とすることもできる。さらに、導電性を有するのは導通部12aに限らず、導通接続部12の表面(外周部12b)に導電層を有する軟質部材とすることもできる。導通接続部12は、上記のほかに、金属板ばねや金属スプリングなどを用いることもできる。
【0039】
導通接続部12は、柱状に形成されており、その外径は導通接続部12の軸方向における全長にわたって一定の長さで形成されている。しかしながら、導通接続部12は、その外径が軸方向で一定の形状に限らず、例えばベースシート13の一方面と他方面にそれぞれ台形状に突出するような断面形状であっても良い。
【0040】
1つの導通接続部12は、ベースシート13の内側面13bに対して突出する第1の突出部12cと、外側面13cに対して突出する第2の突出部12dとの、2つの突起により構成されている。第1の突出部12c及び第2の突出部12dの双方の先端は平坦面である。しかしながら、これらの突出部の先端は凸曲面であってもよく、微小凹凸を有する面であっても良い。
【0041】
第1の突出部12cの突出長さは、第1の開口部14e(シート11の表側面11a、第1の剥離テープ14dの外表面)から突出しない長さで形成されている。これと同様に、第2の突出部12dの突出長さは、第2の開口部15e(シート11の裏側面11b、第2の剥離テープ15dの外表面)から突出しない長さで形成されている。
【0042】
他方で、第1の突出部12cの突出長さは、第1の剥離テープ14dの剥離後の外表面である第1の外側粘着層14cから突出する長さで形成されている。したがって、第1の剥離テープ14dの剥離後の電気接続部材10では、第1の突出部12cがシート11の表側面11aから突出する。これと同様に、第2の突出部12dの突出長さは、第2の剥離テープ15dの剥離後の外表面である第2の外側粘着層15cから突出する長さで形成されている。したがって、第2の剥離テープ15dの剥離後の電気接続部材10では、第2の突出部12dがシート11の裏側面11bから突出する。
【0043】
これらシート11から突出する第2の突出部12d及び第1の突出部12cがリアガラス200とタブ端子100とによって圧縮可能に構成されている。このように導通接続部12は、圧縮されることによって、電気抵抗が小さくなる。
【0044】
導通接続部12は、
図2等で示すように電気接続部材10の短手方向に2つ並んで配置されている。しかしながら、導通接続部12の形状、数、配置は、これに限らず、例えば電気接続部材10の長手方向に2つの導通接続部12を並べて配置しても良く、導通接続部12を4つとしても良い。さらに、導通接続部12は、1つであっても良く、任意の複数であっても良い。さらに、複数の導通接続部12の間が絶縁性の材料でつながった面一の構成であっても良い。
【0045】
【0046】
タブ端子100(端子、金属端子、ケーブル端子)は、薄板部100aと端子部100bを有し、端子部100bに取り付けられた配線ケーブル等を介して外部機器と導通接続するものである。タブ端子100は、薄板部100aと端子部100bとがつながるL字形状とされている。タブ端子100は、平面状又は曲面状の被固着面101を有する。被固着面101は、電気接続部材10の第1の固着部材14に固着して、電気接続部材10の導通接続部12と導通接続するものである。被固着面101は、薄板部100aにおける外側表面に形成される。端子部100bは、JIS-C2809:2014(平形接続子)に定められたメールタブ形状を先端に有することができる。タブ端子100には、銅、銅合金、ステンレス鋼、鉄などの導電性の金属板を用いることができる。あるいはタブ端子100は、樹脂板や樹脂基板に導電配線を有するものを用いてもよい。いずれも導電性を有することと、被固着面101がリアガラス200(被着体)の曲面に沿った形状になることが可能なことが好ましい。
【0047】
【0048】
本実施形態の「被着体」としてのリアガラス200は、「自動車用リアガラス部材」である。リアガラス200は、板形状とされている(ガラス板)。リアガラス200には、デフォッガー、アンテナ等の配線が形成されている。リアガラス200における配線の端末には電極部201が形成されている。リアガラス200の被固着面は、「曲面体」としての内側面202(湾曲面の内側面)である。電気接続部材10の第2の外側粘着層15cは、リアガラス200に固着される。このとき、内側面202の領域内に形成される電極部201は、電気接続部材10の導通接続部12と導通接続する。
【0049】
【0050】
加圧治具300は、タブ端子100及び電気接続部材10を押圧することによって、タブ端子100及び電気接続部材10を変形させて、これらの曲率(曲率半径R)を変えるものである。そして、加圧治具300は、タブ端子100及び電気接続部材10をまとめて加圧することによって、リアガラス200及びタブ端子100に対して電気接続部材10を貼り合わせるものである。加圧治具300(押し子)は、アルミニウム等の金属や変形可能なゴム状弾性体で形成されている。加圧治具300の先端には、圧接面301が形成されている。加圧治具300は、圧接面301を底面として、底面の各辺と比べて押圧方向の辺がより長い略正四角柱形状とされている。加圧治具300は、プレス加圧によって、タブ端子100及び電気接続部材10を変形させるものである。しかしながら、加圧治具300は、プレス加圧するものに限らず、曲線(曲面)方向へのローラ加圧するもの(加圧ローラ)等であっても良い。
【0051】
【0052】
次に、電気接続部材10の使用方法について説明する。まず電気接続部材10の表側面11aに有する第1の剥離テープ14dが剥がされる。第1の剥離テープ14dの剥がされた電気接続部材10の上には、タブ端子100が配置され、「端子付き電気接続部材」となる。このとき、導通接続部12の第1の突出部12cとタブ端子100の被固着面101とが接触した状態とされる。次に、電気接続部材10の裏側面11bに有する第2の剥離テープ15dが剥がされる。その後に、
図5で示すように、電気接続部材10がリアガラス200の電極部201の上に配置される。その際に、リアガラス200の電極部201に対して電気接続部材10の導通接続部12が位置合わせされる。そして、加圧治具300によって、タブ端子100及び電気接続部材10がまとめてリアガラス200に対して押し付けられる。このとき、加圧治具300の圧接面301は、タブ端子100の被固着面101とは反対側の面を押し込む。
【0053】
タブ端子100及び電気接続部材10が圧接面301によって押圧されていくと、導通接続部12が潰されつつ、タブ端子100及び電気接続部材10の曲率が変わるように変形が進む。電気接続部材10の曲率がリアガラス200の内側面202の曲率に近づいたり一致したりすることによって、第2の固着部材15をリアガラス200に対して固着することができる。同様にタブ端子100の被固着面101の曲率と電気接続部材10の曲率とが近づいたり一致したりすることによって、第1の固着部材14をタブ端子100に対して固着することができる。
【0054】
第2の固着部材15がリアガラス200に対して固着されるともに第1の固着部材14がタブ端子100に対して固着されることによって、電気接続部材10の特に導通接続部12がリアガラス200とタブ端子100とに圧縮固定され、導通部12aは低抵抗化する。これによって、
図6で示すように、リアガラス200の電極部201とタブ端子100とを導通部12aによって導通接続することができる。
【0055】
ここで、自動車のガラス基材(リアガラス200、フロントガラス)の内面は、大きく湾曲したものである。このような凹曲面のガラス基材上に設けられるバスバー、配線基板等と、配線ケーブルへとつながる金属板等の端子との接続には、従来半田付けが用いられていた。半田は、溶融固着する性質によって、ガラス基材の凹曲面と金属板の平面との隙間を埋めることができる。同様に、溶融固着する半田は、金属板を多点接触可能な足のある形状に曲げ形成された端子とガラス基材との固着も可能である。
【0056】
しかしながら、半田は欧州を中心として鉛使用規制の動きがあり、さらに、鉛フリーの半田についても課題が多いため、半田を代替する導通接続部材が求められる。
【0057】
電気接続部材10は、半田の代わりに、このような凹曲面であるリアガラス200に設けられる電極部201と平面であるタブ端子100の被固着面101との間における導通接続に用いられる。しかしながら、このような凹曲面において導通接続する場合に、平面的な圧着では電気接続部材10の第2の固着部材15とリアガラス200との界面、特に導通接続部12の周りに未固着領域(気泡、エア)が残りやすいという課題がある。
【0058】
すなわち、電気接続部材10では、第2の剥離テープ15dを剥がすと、第2の突出部12dが圧縮代の分だけシート11の裏側面11bから突出する。この状態であると、先に導通接続部12がリアガラス200と接触し、その後に第2の外側粘着層15cの外縁側(シート11の外縁側)が接触しやすい。すると、特に第2の外側粘着層15cの内縁側(シート11の内縁側)が電極部201に対して浮いてしまい、それが気泡(未固着部位)として残ってしまう。したがって、電気接続部材10は、第2の突出部12dを有しない構成と比べて、第2の突出部12dの周りに気泡残りが発生しやすい。シート11の外縁側が第2の外側粘着層15cによって密封されてしまうと、発生した気泡の逃げ場がなくなり、比較的大きな気泡残りが発生しうる。これは、電気接続部材10とタブ端子100との間においても同様である。
【0059】
気泡残りは、リアガラス200の内側面202が凹曲面である場合には、更に発生しやすくなる。すなわち、第2の剥離テープ15dを剥がした状態でのシート11の内縁側では、第2の外側粘着層15cと内側面202との間に、その突出量に応じた間隙が形成される。しかしながら、内側面202が円弧状に曲がっていると、シート11の内縁側から外縁側に向かうにつれて、内側面202は第2の外側粘着層15cと次第に近づいていく。つまり前述の間隙は内側面202によって縮小されてしまい、シート11の外縁側がより容易に内側面202と接触しやすくなる。これによって、シート11の外縁側が内縁側よりも先に内側面202接触し、気泡残りが発生しやすくなってしまう。
【0060】
他方で、電気接続部材10は、上述のようにベースシート13と第1の固着部材14と第2の固着部材15との積層構造である。これら各層の基材には例えばPETフィルムのような腰の強い材料が用いられる。このため、リアガラス200に沿った形状で第2の固着部材15が固着されないと、貼り合わせ後に浮いた箇所が未固着領域となってしまう。同様に、リアガラス200の曲面とタブ端子100の曲面とが異なると、これらに電気接続部材10を貼り合わせた後に浮いた箇所が未固着領域となってしまう。
【0061】
「弾性コネクタ」としての導通接続部12を有する電気接続部材10は、圧縮されることによって低抵抗化するため、リアガラス200とタブ端子100との間において確実に圧縮された状態で固定されることが要求される。
【0062】
しかしながら、リアガラス200及びタブ端子100と電気接続部材10との間に気泡残りが発生すると、固着面積の減少によって、第1の外側粘着層14cとタブ端子100との固着力、第2の外側粘着層15cとリアガラス200との固着力が低下する。これによって、第1に、導通接続部12の押圧状態が低下し、導電性フィラー同士の導通接触による導通接続部12の良好な導通性能を安定して得られないおそれがある。第2に、固着力が低下すると、外力の作用等によってリアガラス200に対する第2の外側粘着層15cの固着部分及びタブ端子100に対する第1の外側粘着層14cの固着部分が剥がれやすくなり、接続信頼性が低下するおそれがある。第3に、固着面積が減少する可能性があることを想定しつつ一定の固着力を確保するためには、シート11を大きめに形成する必要があることから、電気接続部材10の全体を小型化することが難しくなってしまう。
【0063】
以上のことから、電気接続部材10では、導通接続部12の圧縮状態を維持しつつ、電気接続部材10がリアガラス200及びタブ端子100から剥がれ落ちないようにする必要がある。そのためには、内側面202及び被固着面101に対して第2の固着部材15及び第1の固着部材14のそれぞれをしっかりと密着させる必要がある。第1の外側粘着層14c及び第2の外側粘着層15cの固着強度を向上するには、貼り合わせ面積を最大化することが考えられる。これは、リアガラス200及びタブ端子100の各々と電気接続部材10との界面における気泡の挟み込みをなくし、浮いた箇所をなくすことによって実現することができる。
【0064】
本開示では、電気接続部材10及びタブ端子100の形状をリアガラス200に対して追従させ、貼り合わせ面を広くして全体的に固着させるように、その構成を工夫すること、又はその構成を生かして貼り合わせ方法を工夫して、気泡残りの発生を抑制している。
【0065】
電気接続部材10、タブ端子100、リアガラス200及び加圧治具300の曲率半径R
【0066】
上述のように本出願では、リアガラス200への固着時における気泡残り(未固着部位)の発生を抑制することを一つの課題としている。この課題を解決するために、本出願では、リアガラス200の内側面202、第1の固着部材14及び第2の固着部材15の「固着面」(表側面11a及び裏側面11b)並びにタブ端子100の被固着面101の曲率半径Rを適切な大小関係とする。本出願では、このような各面の曲率半径Rの適切な大小関係によって、リアガラス200に対して電気接続部材10及びタブ端子100をまとめて加圧貼り合わせすることが実現される。本出願では、異なる曲面を有するリアガラス200、電気接続部材10及びタブ端子100に対応することが可能である。
【0067】
ここで、電気接続部材10(第1の固着部材14、第2の固着部材15)は、曲率半径Reを有する。タブ端子100(被固着面101)は、曲率半径Rtを有する。リアガラス200(内側面202)は、曲率半径Rrを有する。加圧治具300(圧接面301)は、曲率半径Rpを有する。これらの曲率半径Rは、球面計(スフェロメータ)、レーザー干渉計等によって測定することができる。
【0068】
電気接続部材10の曲率半径Reは、リアガラス200(被着体)の曲率半径以下で構成されることが好ましい。リアガラス200の内側面202に対して、電気接続部材10の内縁側が外縁側よりも先に接触しやすくなるため、気泡の挟み込みが低減される。さらに、電気接続部材10の曲率半径Reは、タブ端子100の被固着面101(端子)の曲率半径Rtより大きく構成されることが好ましい。タブ端子100の被固着面101(端子)に対して、電気接続部材10の内縁側が外縁側よりも先に接触しやすくなるため、気泡の挟み込みが低減される。
【0069】
本出願において、電気接続部材10を貼り付ける対象となるリアガラス200は、上述のように凹曲面を有する。リアガラス200は、X方向とY方向とで異なる曲率半径Rrを有する。より具体的に、リアガラス200は、直交するXY方向で、1.01倍以上10倍以下の異なる曲率半径Rrを有して曲がっている。電気接続部材10は、このような複数方向で曲率半径Rの異なる「被着体」との間でも未固着領域が残らずに貼り合わせることが可能となるものである。
【0070】
タブ端子100は、電気接続部材10と接触する被固着面101が100mm以上50000mm以下の曲率半径Rtを有して曲がっていることが好ましい。被固着面101が100mm以上50000mm以下の曲率半径Rtを有することによって、タブ端子100と電気接続部材10との間で未固着領域が残らずに貼り合わせることが可能となる。
【0071】
加圧治具300は、タブ端子100と接触する圧接面301が50mm以上100000mm以下の曲率半径Rpを有して曲がっていることが好ましい。圧接面301が50mm以上100000mm以下の曲率半径Rpを有することによって、リアガラス200及びタブ端子100と電気接続部材10との間で未固着領域が残らずに貼り合わせることが可能となる。
【0072】
以下では、電気接続部材10、タブ端子100、リアガラス200及び加圧治具300のそれぞれの曲率半径Rの大小関係について説明する。以下では、説明が煩雑になることを避けるため、部位(例えば内側面202)ではなく部材(例えばリアガラス200)で表記する。ここでの曲率半径Rは大小関係の比較であるので、曲率半径Rを大きい順に「∞」、「3」、「2」及び「1」の4段階で示す。曲率半径Rが「∞」とは、平坦面のことである。
【0073】
【0074】
リアガラス200の曲率半径Rr:2
電気接続部材10の曲率半径Re:∞,3,2,1
タブ端子100の 曲率半径Rt:∞,3,2,1
加圧治具300の 曲率半径Rp:2
【0075】
第1の組合せでは、加圧治具300の曲率半径Rpが、リアガラス200の曲率半径Rrと同じ構成である。電気接続部材10の曲率半径Re及びタブ端子100の曲率半径Rtは、任意であって、平坦面でも良い。
【0076】
ただし、電気接続部材10は、平坦、すなわち曲率半径Reが∞ではなく、湾曲形状であることが好ましい。さらに、電気接続部材10の曲率半径Reは、リアガラス200の曲率半径Rr以下であることが好ましい。電気接続部材10とリアガラス200とがこのような曲率半径Rの大小関係を有することによって、電気接続部材10とリアガラス200との間で未固着領域が残らずに貼り合わせることが可能となる。
【0077】
第1の組合せでは、加圧治具300の曲率半径Rpに沿って、電気接続部材10とタブ端子100とが曲がる。電気接続部材10の曲率半径Reが加圧治具300の曲率半径Rp(及びリアガラス200の曲率半径Rr)と同じである場合には、電気接続部材10は変形せずにリアガラス200に固着する。同様に、タブ端子100の曲率半径Rtが加圧治具300の曲率半径Rpと同じである場合には、タブ端子100は変形せずに電気接続部材10に固着する。
【0078】
電気接続部材10の曲率半径Reが加圧治具300の曲率半径Rpよりも小さい(「1」)場合には、電気接続部材10は加圧治具300の曲率半径Rpに沿って、曲率半径Reが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。同様に、タブ端子100の曲率半径Rtが加圧治具300の曲率半径Rpよりも小さい(「1」)場合には、タブ端子100は加圧治具300の曲率半径Rpに沿って、曲率半径Rtが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、電気接続部材10に固着する。
【0079】
電気接続部材10の曲率半径Reが加圧治具300の曲率半径Rpよりも大きい(「∞」、「3」)場合には、電気接続部材10は加圧治具300の曲率半径Rpに沿って曲率半径Reが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。同様に、タブ端子100の曲率半径Rtが加圧治具300の曲率半径Rpよりも大きい(「∞」、「3」)場合には、タブ端子100は加圧治具300の曲率半径Rpに沿って曲率半径Rtが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、電気接続部材10に固着する。
【0080】
第1の組合せのように加圧治具300の先端の圧接面301(曲面加圧面)は、リアガラス200の内側面202と同じ曲率半径Rpであることが最も好ましい。このとき、電気接続部材10及びタブ端子100は、同じ曲率半径Rを有するリアガラス200と加圧治具300との間に挟まれた状態で、加圧治具300の曲率半径Rpに追従するように変形していく。すなわち、電気接続部材10とタブ端子100とをリアガラス200及び加圧治具300と同じ曲率半径Rに曲げながら貼り合わせていく。これによって、電気接続部材10及びタブ端子100を加圧治具300の曲率半径Rpに追従性良く変形しながら、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100に固着することができる。そして、リアガラス200及びタブ端子100の各々と電気接続部材10との界面に未固着領域が残ることを抑制できる。
【0081】
【0082】
リアガラス200の曲率半径Rr:2
電気接続部材10の曲率半径Re:∞,3,2,1
タブ端子100の 曲率半径Rt:2
加圧治具300の 曲率半径Rp:∞,3,2,1
【0083】
第2の組合せでは、タブ端子100の曲率半径Rtが、リアガラス200の曲率半径Rrと同じ構成である。電気接続部材10の曲率半径Re及び加圧治具300の曲率半径Rpは、任意であって、平坦面でも良い。
【0084】
ただし、タブ端子100の曲率半径Rtは、電気接続部材10の曲率半径Re以下であることが好ましい。タブ端子100と電気接続部材10とがこのような曲率半径Rの大小関係を有することによって、タブ端子100と電気接続部材10との間で未固着領域が残らずに貼り合わせることが可能となる。
【0085】
第2の組合せでは、タブ端子100の曲率半径Rtに沿って、電気接続部材10が曲がる。電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rt(及びリアガラス200の曲率半径Rr)と同じである場合には、電気接続部材10は変形せずにリアガラス200及びタブ端子100に固着する。
【0086】
電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも小さい(「1」)場合には、電気接続部材10はタブ端子100の曲率半径Rtに沿って、曲率半径Reが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。
【0087】
電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも大きい(「∞」、「3」)場合には、電気接続部材10はタブ端子100の曲率半径Rtに沿って曲率半径Reが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。このとき、電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも大きいことによって、被固着面101による押圧領域を、導通接続部12がある中心側から徐々に外縁側に拡張していくことができる。これは、つまり被固着面101が電気接続部材10を押圧したときに、表側面11aの内縁側から外縁側に向けて徐々に第1の外側粘着層14cがタブ端子100に固着していくことを意味する。したがって、表側面11aの内縁側よりも先に表側面11aの外縁側が被固着面101に固着することによる気泡残りの発生を抑制することができる。
【0088】
このように、電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも大きいことで、タブ端子100を電気接続部材10に置いた状態で被固着面101に対して表側面11aの外縁側を離間させることができる。すなわち、タブ端子100は、被固着面101が第1の突出部12cのみと接触する非傾倒姿勢で置いた状態では、被固着面101が表側面11aの内縁側のみと接触している。したがって、加圧治具300でタブ端子100及び電気接続部材10を押圧したときに、表側面11aの外縁側が先に被固着面101に固着することによる気泡残りの発生を抑制することができる。
【0089】
換言すると、電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも大きい組合せは、シート11の内縁側におけるタブ端子100との間隙よりも、シート11の外縁側におけるタブ端子100との間隙の方が大きくなる組合せである。このため、シート11の内縁側よりも早く外縁側がタブ端子100と固着することを抑制できる。
【0090】
さらに、電気接続部材10の曲率半径Reがタブ端子100の曲率半径Rtよりも大きい組合せは、電気接続部材10とタブ端子100との固着時に、シート11の内縁側からタブ端子100に沿って変形してタブ端子100と固着可能な組合せである。これによれば、シート11の外縁側がタブ端子100と接触しにくく、気泡残りの発生を抑制することができる。
【0091】
第2の組合せのようにタブ端子100は、リアガラス200の内側面202と同じ曲率半径Rtであることが好ましい。このとき、電気接続部材10は、同じ曲率半径Rを有するリアガラス200とタブ端子100との間に挟まれた状態で、タブ端子100の曲率半径Rtに追従するように変形していく。すなわち、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100と同じ曲率半径Rに曲げながら貼り合わせていく。これによって、電気接続部材10をタブ端子100の曲率半径Rtに追従性良く変形しながら、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100に固着することができる。そして、リアガラス200及びタブ端子100の各々と電気接続部材10との界面に未固着領域が残ることを抑制できる。
【0092】
さらに、タブ端子100は(リアガラス200も同様に)、電気接続部材10と比べて形状保持性が高い。そして、電気接続部材10は、形状保持性(定形性)が高く、かつ、同じ曲率半径Rを有するタブ端子100及びリアガラス200に挟まれた状態とされる。このため、電気接続部材10は、タブ端子100及びリアガラス200と同じ曲率半径Rを維持しやすく、タブ端子100及びリアガラス200から剥がれにくい構成とすることができる。
【0093】
なお、加圧治具300は、タブ端子100の曲率半径Rtを変化させないで加圧できることが好ましい。タブ端子100の曲率半径Rtが変化しないことによって、電気接続部材10が曲げられる間には、同じ曲率半径Rを有するリアガラス200とタブ端子100との間に挟まれた状態を維持することができる。これによって、電気接続部材10をタブ端子100の曲率半径Rtに追従性良く変形しながら、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100に固着することができる。
【0094】
【0095】
リアガラス200の曲率半径Rr:2
電気接続部材10の曲率半径Re:∞,3,2,1
タブ端子100の 曲率半径Rt:∞,3
加圧治具300の 曲率半径Rp:2,1
【0096】
第3の組合せでは、タブ端子100の曲率半径Rtが、リアガラス200の曲率半径Rrよりも大きい構成であって、平坦面でも良い構成である。それに加えて、第3の組合せでは、加圧治具300の曲率半径Rpが、リアガラス200の曲率半径Rr以下の構成である。電気接続部材10の曲率半径Reは、任意であって、平坦面でも良い。
【0097】
第3の組合せは、タブ端子100の曲率半径Rtをリアガラス200の曲率半径Rrの「2」に合わせこむように曲げながら、加圧治具300によって加圧するものである。電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrと同じである場合には、電気接続部材10は変形せずにリアガラス200に固着する。
【0098】
電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrよりも小さい(「1」)場合には、電気接続部材10はリアガラス200の曲率半径Rrに沿って、曲率半径Reが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。
【0099】
電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrよりも大きい(「∞」、「3」)場合には電気接続部材10はリアガラス200の曲率半径Rrに沿って曲率半径Reが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。その際に、タブ端子100も、リアガラス200の曲率半径Rrに沿って曲率半径Reが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、電気接続部材10に固着する。
【0100】
第3の組合せのようにタブ端子100は、リアガラス200及び加圧治具300よりも大きい曲率半径Rtを有する場合には、加圧治具300によって、曲率半径Rtが小さくなるように変形していく。すなわち、タブ端子100は、より小さな曲率半径Rを有するリアガラス200と加圧治具300との間に挟まれた状態で、加圧治具300の曲率半径Rpに追従するように変形していく。そして、タブ端子100は、たとえ加圧治具300の曲率半径Rpがリアガラス200の曲率半径Rrよりも小さくても、リアガラス200の曲率半径Rrに追従した時点で変形が止まる。
【0101】
電気接続部材10については、リアガラス200の曲率半径Rrよりも小さい曲率半径Reを有する場合には、タブ端子100によって曲率半径Reが大きくなるように変形する。他方で、電気接続部材10は、リアガラス200よりも大きい曲率半径Reを有する場合には、より小さな曲率半径Rを有するリアガラス200と加圧治具300との間に挟まれた状態で、リアガラス200の曲率半径Rrに追従するように変形していく。これによって、電気接続部材10をタブ端子100の曲率半径Rtに追従性良く変形しながら、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100に固着することができる。そして、リアガラス200及びタブ端子100の各々と電気接続部材10との界面に未固着領域が残ることを抑制できる。
【0102】
【0103】
リアガラス200の曲率半径Rr:2
電気接続部材10の曲率半径Re:∞,3,2,1
タブ端子100の 曲率半径Rt:1
加圧治具300の 曲率半径Rp:∞,3,2
【0104】
第4の組合せでは、タブ端子100の曲率半径Rtが、リアガラス200の曲率半径Rrよりも小さい構成である。それに加えて、第4の組合せでは、加圧治具300の曲率半径Rpが、リアガラス200の曲率半径Rr以上の構成である。電気接続部材10の曲率半径Reは、任意であって、平坦面でも良い。
【0105】
第4の組合せは、タブ端子100の曲率半径Rtをリアガラス200の曲率半径Rrの「2」に広げるように曲げながら、加圧治具300によって加圧するものである。電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrと同じである場合には、電気接続部材10は変形せずにリアガラス200に固着する。
【0106】
電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrよりも小さい(「1」)場合には、電気接続部材10はリアガラス200の曲率半径Rrに沿って、曲率半径Reが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。その際に、タブ端子100も、リアガラス200の曲率半径Rrに沿って曲率半径Reが「2」になるまで大きくなる変形をしながら、電気接続部材10に固着する。
【0107】
電気接続部材10の曲率半径Reがリアガラス200の曲率半径Rrよりも大きい(「∞」、「3」)場合には電気接続部材10はリアガラス200の曲率半径Rrに沿って曲率半径Reが「2」になるまで小さくなる変形をしながら、リアガラス200に固着する。
【0108】
第4の組合せのようにタブ端子100は、リアガラス200及び加圧治具300よりも小さい曲率半径Rtを有する場合には、加圧治具300によって、曲率半径Rtが大きくなるように変形していく。すなわち、タブ端子100は、より小さな曲率半径Rを有するリアガラス200と加圧治具300との間に挟まれた状態で、加圧治具300の曲率半径Rpに追従するように変形していく。そして、タブ端子100は、たとえ加圧治具300の曲率半径Rpがリアガラス200の曲率半径Rrよりも大きくても、リアガラス200の曲率半径Rrに追従した時点で変形が止まる。
【0109】
電気接続部材10は、リアガラス200の曲率半径Rrよりも小さい曲率半径Reを有する場合には、より小さな曲率半径Rを有するリアガラス200と加圧治具300との間に挟まれた状態で、リアガラス200の曲率半径Rrに追従するように変形していく。他方で、電気接続部材10については、リアガラス200の曲率半径Rrよりも大きい曲率半径Reを有する場合には、タブ端子100によって曲率半径Reが大きくなるように変形する。これによって、電気接続部材10をタブ端子100の曲率半径Rtに追従性良く変形しながら、電気接続部材10をリアガラス200及びタブ端子100に固着することができる。そして、リアガラス200及びタブ端子100の各々と電気接続部材10との界面に未固着領域が残ることを抑制できる。
【符号の説明】
【0110】
10 電気接続部材
11 シート
11a 表側面(固着面、第1の面)
11b 裏側面(固着面、第2の面)
11c 外周縁
11d 内周縁
12 導通接続部(導電部材、弾性コネクタ)
12a 導通部
12b 外周部
12c 第1の突出部
12d 第2の突出部
13 ベースシート(連結部材)
13a 可撓部
13b 内側面
13c 外側面
14 第1の固着部材(固着部材)
14a 第1の内側粘着層
14b 第1のテープ基材
14c 第1の外側粘着層
14d 第1の剥離テープ
14e 第1の開口部(窓)
15 第2の固着部材(固着部材)
15a 第2の内側粘着層
15b 第2のテープ基材
15c 第2の外側粘着層
15d 第2の剥離テープ
15e 第2の開口部(窓)
100 タブ端子(金属板、端子)
100a 薄板部
100b 端子部
101 被固着面(第2の接続対象物)
200 リアガラス(被着体)
201 電極部(第1の接続対象物)
202 内側面(曲面体)
300 加圧治具
301 圧接面
R 曲率半径
Rt タブ端子の曲率半径
Re 電気接続部材の曲率半径
Rp 加圧治具の曲率半径
Rr リアガラスの曲率半径